コナンの観てきた!クチコミ一覧

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レンジャー

レンジャー

ミュージカル座

光が丘IMAホール(東京都)

2017/12/07 (木) ~ 2017/12/10 (日)公演終了

満足度★★★★

成り行き上、望みもしないのに時空戦士トラベレンジャー“レッド”役に任命されたアルバイト学生。
そんなオープニングとくれば「なるほど戦隊コメディーか」と思いきや、彼の役者・人としての成長、番組制作者陣の熱き想い、1970年の時代を反映したレンジャー仲間の事情等がギュ~ッと詰まった“男前”で“大人向け”の人間ドラマでした。

撮影現場の騒々しさや華やかさで、ミュージカルとの相性はイイ感じ。
いくつものミュージカルナンバーは特撮テレビドラマに対しての“想い”をのせた曲が多く、活気づいてくる現場の高揚感とうまくリンクし、こちらの気持ちも段々とアガっていきます。

本作の中では数少ない一般人“主人公の彼女”の存在が切ないワンポイントに。

ネタバレBOX

ひょっとしてウルトラマンシリーズの中でもドラマ性を特に重視し、異色作と語り継がれる「ウルトラセブン」がモチーフ?
胸に抱いている星

胸に抱いている星

THEATRE ATMAN

【閉館】日暮里ARTCAFE百舌(東京都)

2017/12/08 (金) ~ 2017/12/10 (日)公演終了

満足度★★★★

今まで観たことの無いタイプの作品。
『演劇人のお話し』と言うより、演出家さんと役者さん3人が「役柄」という仮面を脱ぎ捨て、ありのまま舞台に差し出された感じと言えば良いのでしょうか。
各自に与えられた“ひとり語り”のシーンは特に興味深く、紛れもない自分自身の言葉で自身の事が語られており、体温が伝わってくる様に想いが伝わってきます。
今回初めての方ばかりですが、思わず「うんうん」と頷きながら聞き入ってしまいました。
フライヤーではキャスト3名となっていますが、演出家の李哉尚氏もしっかり作品に加わっており、計4人それぞれ個人としての表現に加えて、即興劇の形で劇団としての表現もありのままに披露。

毎回カタチを変えていく即興劇を多用しながらも、最終的にはタイトル『胸に抱いている星』へと着地していき、作品としての骨格もちゃんと組まれた不思議な公演でした。

その劇団の内面プロフィールがよ~く分かる試みなので、THEATRE ATMANさんが発祥の地(劇団)という事で、いろんな劇団に横展開しても面白いフォーマットだと思えました。

ネタバレBOX

居酒屋トークのシーンでは、演出家さんが3人とは離れた位置で観察し時折指示を出されていましたが、いっそのこと演出家さんも一緒に加わり、もっとぶっちゃけ度の高いトークを聞いてみたい!と思いました。
今回の形式だと、どうしても3人がパフォーマンス寄りの会話になってしまい(パフォーマンス部分は即興劇のシーンで既に堪能しているので)こちらのシーンではお互いが同調する事をあまり気にせず、ライブで“素”に近い言葉を聞いてみたかったと思います。
ペットハウス

ペットハウス

唐沢俊一ユニット

参宮橋TRANCE MISSION(東京都)

2017/12/06 (水) ~ 2017/12/10 (日)公演終了

満足度★★★★

もしヒーロー(orアイドル)が落ちていたとしても、それを持ち帰るというハードルを突破してしまったのは、同じ思惑の3人が居合わせた悲劇(喜劇)というべきか。
部屋の中まで持ってきた憧れのヒーローの身体。 〇〇〇を見つめるなッ!触ろうとするな~ッ(笑)

前半はもう少しテンポアップした方が良い気もしましたが、アドリブギャグいっぱいの強気な姿勢は◎。
特撮ヒーロー業界のまことしやかな内容が随所に散りばめられ、一応フィクションとは謳っているものの、これらの多くは結構な業界あるあるなのでは?
何といっても唐沢俊一氏の作・演出ですし。

そんなこんなを勘ぐりながら楽しんでいるうちラストに向けての急展開。
なんだか喪黒福造(もぐろふくぞう)が出て来て『ド~ン!!』と言いそう。
実際にイケメンヒーローにハマっている人にはグサッとくる作品ではないかと。

嬉しい飲物サービス、席下にホルダーがあって便利です。

ネタバレBOX

前半テンポアップして時間が浮いた分、ヒーローを持ち帰るシーンを是非入れて欲しかった。
3人のキャラが、まずそこで色濃く出ると思えるし、冒頭の大きな見せ場にもなり得ると思いました。
星の記憶

星の記憶

アンティークス

シアター711(東京都)

2017/12/06 (水) ~ 2017/12/10 (日)公演終了

満足度★★★★★

以前に食した福岡の駅弁を思い出させる創りの作品でした。
それは一口大に取り揃えられた名産品が沢山並んでおり、一品ごとにどれも味わい深いのですが、前後の味も絡み合い絶妙なハーモニーを生み出します。

説明文から、もしかすると哲学的な作品かも、と白紙の状態での観劇でしたが、日常のひとコマひとコマが生活の機微を添えて実に味わい深く描かれており、ストーリーが進行していく毎にそれぞれが絡み合い、更なる深みを増していきます。・・・ホラそっくりでしょ!

良い人も悪い人も微妙な人も皆それぞれの生き方で、そして何等かの形で繋がっており、その果てしない広がりを彷彿させる世界観からなのか、それとも一個人が織り成す人生の奥深さからなのか、宇宙にも通ずる拡がりと生命力の輝きを感じました。

ネタバレBOX

艶っぽい情事の後、帰宅して父親から説教。。確かにこれも光と闇(笑)
群像劇の様でありながら、父親教師の人生が軸になっているのだと徐々に判明。
早死にこそ勘弁ですが、彼のように人生の末期に、過去や現在の甘いも酸いもキラキラと心に舞い降りてくる幕引きを迎えられたら素敵だなーとしみじみ浸ってしまいました。
銭湯ぐらし

銭湯ぐらし

藏下右京×渕上夏帆 二人芝居

杉並区高円寺 小杉湯 湯パート103号室(東京都)

2017/12/02 (土) ~ 2017/12/04 (月)公演終了

会場は風呂無しアパートの一室。
これによりMy観劇歴の最小会場記録を更新。
「銭湯ぐらし」のタイトルや制作背景から、さぞかし生活臭溢れる公演かと思いきや、意外と観念的な表現が多く、観劇というよりアート作品を鑑賞してきた様な感覚。
とはいっても衣装の毛玉ひとつひとつもハッキリ見えてしまう目前での密室光景は、僅かな香りさえも間近に感じ取られ、有無を言わさず生々しく、やはりこの体験はこの空間、この時間でしか得られない演劇の醍醐味そのもの。

シーリングライトの強弱や家電の放つ光を利用したワンルームならではの照明効果は、時には現実的で時には幻想的。

ネタバレBOX

男性はどう見てもメンヘラ、女性はそもそも人間?
観終わった直後はとりとめのない印象こそ受けましたが、よく考えてみると漠然とした不安や、日常のちょっとした幸せ等、誰もが無意識に感じる悲喜こもごも(特別な事件が無くとも生きているだけで湧きあがってくるランダムな感情)が描かれた、そんなに遠くもない世界なのかなと思えたりもしました。

心残りは小杉湯の入浴。
時間がなかったので断念するしかなく、その夜は自宅の長風呂にてガマンしましたが、作中での小杉湯入浴手順は初級・中級・上級としっかりインプット。
いずれ実現、実感したいと思います。
Kiss Kiss Bang Bang 2.0

Kiss Kiss Bang Bang 2.0

APAF-アジア舞台芸術人材育成部門

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2017/12/01 (金) ~ 2017/12/03 (日)公演終了

とにかくキスkissキスがてんこ盛りな1時間強。
恋人同士が交わすキスとは全く異なる意味合いのキス行為は、いろんな切り口のアイデアが結集した形で台詞こそほぼありませんが、そのニュアンスはしっかりと伝わってきました。
それぞれのシチュエーションは可笑しかったり、ドキッとしたり、怖かったり・・・ちょっと普段の演劇とは異なった感覚。
無料公演。一見の価値大いにアリです。

ネタバレBOX

立候補で舞台に上がった観客の方は、その勇気にもうビックリでとても面白楽しかったです。
しかし、さすがに仕込みじゃないかなーと、そこは半信半疑で観ていたのですが、最終的に客席に降りてきた役者さんと自分もキスしていました・・・そうかガチかっ!
(注)もちろん全員ではないし、強制でもないのでご安心を。

観終わって池袋西口公園に出ると、外人さんグループの女性から「メリークリスマス!」とスティックキャンディーを頂きました。
池袋が“不思議”に包まれていた夜でした。
月はゆっくり歩く

月はゆっくり歩く

シアターノーチラス

新宿眼科画廊(東京都)

2017/11/23 (木) ~ 2017/11/28 (火)公演終了

満足度★★★★

登場人物の内面が赤裸々に描写されるシアターノーチラスさんの作風はとても好きです。
今回は「2番目の月が見える人々」という事で、この人達を一体どう捉えたら良いものか悩ましいスタートではありましたが、隠れた根っこの部分を引っ張ってみれば芋の様にゴロゴロ出てくる心の異形物。
初めて会う人の言動、表層面からどれだけ本当の姿が読み取れるというのか、過信する事に対して注意信号が点滅します。

SNSでの怪しい呼びかけ。
今までも、これからも縁の無いモノだと思いますが、本作を観ればもう絶対近寄りたくない。そうNEVER!

11月アトリエ試演会

11月アトリエ試演会

ラビット番長

演劇制作体V-NETアトリエ【柴崎道場】(東京都)

2017/11/23 (木) ~ 2017/11/26 (日)公演終了

満足度★★★★

いつも、どんな切り口で来るのか分からないアトリエ公演。
今回は試演会という事で、老人介護『ギンノキヲク』シリーズの流れを汲む、限りなく本流に近い新作だったので、すごくお得な感じだったね!おじいちゃん。
次のシリーズの伏線にもなっているそうなので、なかなか商売上手だね!おじいちゃん。

STARTER

STARTER

劇団Turbo

駅前劇場(東京都)

2017/11/22 (水) ~ 2017/11/26 (日)公演終了

満足度★★★★

レトロで軽快な音楽、そして「カノン」がよく似合う作品でした。
総勢22人もの役者さん(+お利口な猫)が出演されていたにも関わらず「役柄を覚えるのが大変!」といった苦労が全くなく、ただ舞台に身をゆだねていれば楽しめる軽快な流れを心地よく感じながら観る事が出来ました。
何より「お好きな処で笑って頂ければ、それで結構ですから」とでもいう様な「笑い」に対して余裕ある感じが、よりリラックス感を与えてくれます。

事前情報がかなり少ない為、観に行って初めてその内容を知る形となりますが、自分なりの予想通りどのお客さんもニコニコと劇場を後にする、そんな公演だったので方向性は大当たり。
それにしてもラストシーンはさすがに予想もできない絵面でした。

怠惰なマネキン

怠惰なマネキン

MONO

新宿眼科画廊(東京都)

2017/11/17 (金) ~ 2017/11/21 (火)公演終了

満足度★★★★

会場は白塗りの展示スペース。言ってみればワンルームの一室。
なので客席を含めた会場全体をステージとして機能させた方が据わりが良く、更に観客を「集められたマネキン」として見立てるのは巧く考えられたナイス設定。

まさにこの場所で大量のマネキンを利用したアートな展示会を画策する5人の若者。
中には有能そうに見える人材もいるというのに、一向にその先から進めない理由はどこにあるのか。
その一連を目の当たりにする展開は人間ウオッチングとしても若者のコミュニケーション観察としても非常に面白かったです。

いつも通りの観客としての感想は、自然と顔がほころんだりガクッとしたり臨場感ある公演として大納得でしたが、せっかくのナイス設定。
マネキンとしての哀しみも同時に味わえたなら・・・という欲もついつい芽生えてくるのでした。

自ずとMONOさんの今後の動向が気になってくる公演でもありました。

ネタバレBOX

役者さんとしては、やはり観客を物として捉えるには遠慮が出るのか、要所でしかその扱いをするシーンがなかったのが少し残念。
最初は期待のこもったアイテムだったのに、いつの間にやらただ場所を占領しているだけのガラクタに成り下がっていく我々(マネキン)。
雛段に並べられたマネキンとしては、あまりにも不甲斐なく理不尽な展開。
直接観客をいじって欲しいとまでは言わなくとも、我々を眺めまわす表情の変化を随所に投げかけてくれれば、かなりの一体感が生まれたのでは。
と思うものの中にはそれを不愉快に思うお客さんも出てくるかも。
リスクはなるべく回避するであろう彼らにとっては、それは避けたいところ・・・そう考えると彼らのキャラクターと作品が勝手にリンクしてきて面白く感じたりもするのでした。
穴ザワールド

穴ザワールド

発条ロールシアター

新高円寺アトラクターズ・スタヂオ(東京都)

2017/11/16 (木) ~ 2017/11/19 (日)公演終了

満足度★★★★

観劇は自身を劇場に置き、様々な情報を全身に受けて感じるエンターテイメント。
そういう意味で受付けから劇場を後にするまで一貫した手作り感はとても心地よく楽しい。

ストーリー的には、観ているリアルタイムもさることながら、観終わって余韻に浸りつつ場面の数々を反芻している今、咀嚼タイムが面白い。
「穴」で結びつく奇妙な関係。
気のいい大家さんを巧く(?)はぐらかし生き延びる、そんなおじさん達の刹那な蜜月タイム・・・じわじわ沁みてきてます。

ネタバレBOX

「明確な理由・目的」がなければ行動に繋がらない私からすると、穴掘りおじさんの“ロマン”に気付くのがちょっと遅かった。
理解したうえで観ていれば数倍映えるシーンがあったので勿体ない事をしました。
一緒に観た同行者は彼の欲求心情がよく分かると力説するので、ちょっと口惜しい。

停電の中、おじさん3人と娘が過ごした怪奇で滑稽な蜜月タイムが絶妙な本作の肝。
(あのしりとりはアドリブ?際立って自然ななごみ感があって印象的)
徐々に大きくなる不穏な外界のノイズが、この奇跡の時間を破壊するであろうとイヤでも予見させるので、より輝いて見える時間でした。

どう見てもクズの部類に属する父親に、どうして娘がこんなに寄り添ってくれるのか納得できるものが冒頭に描かれていると据わりが良かったかも。
ちょっとしか出番のなかった郵便屋さんと電気屋さん。外界の人としてもっと出番があってもよかったのに・・・と思うものの、これもひとつの手作り感かなーと。
三人義理姉妹

三人義理姉妹

年年有魚

駅前劇場(東京都)

2017/11/15 (水) ~ 2017/11/19 (日)公演終了

満足度★★★★

微妙~に「三人姉妹」を匂わせつつ、しっかりオリジナル作品。

副校長の【長女】
無職の【長男】&看護師の【嫁】
代議士の【次男】&家庭を守る【嫁】&反抗期の【娘】

家族構成は日本の一般家庭に比べて大所帯かつ意識高い系。
この顔ぶれに加えて家政婦さんや出入りの人々。
冒頭から香り立つ独特の雰囲気は、どの方向から波風が立ってもおかしくない程にザワザワして、既に波乱の予感。
実際波風立っちゃうわけですが、反応がそれぞれに個性的なのが面白い。
現実味あるようでいて、どこか異空間の中にいる様な、はたまた歪んだ磁場がある様な、実にオリジナルテイストな公演でした。

奥行のある間取りは大邸宅を連想し、重厚ながらアンバランスな内装は作品にぴったり。

ネタバレBOX

ラスト近くでの代議士夫婦の会話がしみじみ実直で印象的。

そして本作品に不思議な味付けを加えるマダム。
まとめ役の様な、引っ掻き回しの様な、実はプラスにもマイナスにもなってない様な・・・
ってなんだよマダムって!・・・と思わせる。そうです、それがマダム。
『青いポスト』/『崩れる』

『青いポスト』/『崩れる』

アマヤドリ

インディペンデントシアターOji(東京都)

2017/11/04 (土) ~ 2017/12/03 (日)公演終了

満足度★★★★

『崩れる』を観劇。
リアリティー抜群な男達のやりとり。
彼らはブチ切れたり反省したり、一連の流れが本当に自然なので、人間ウオッチング・人間観察の視点にて面白く観劇できました。
会話の内容、態度からそれぞれの思惑が透けて見えるので、コメディーでもないのについつい笑ってしまいます。
もめる男達。傍観者だからこそ笑っていられるわけで、同時にそこからは公正な大人でいる事の難しさについて考えさせられ「う~ん」となります。
みんな自分が正しいと思っているのだから実にややこしい!

『崩れる』は的を得たタイトルで、あちらこちら いろんな意味で崩れまくっていました。

陽と陰と手記

陽と陰と手記

中央大学第二演劇研究会

東演パラータ(東京都)

2017/11/09 (木) ~ 2017/11/12 (日)公演終了

満足度★★★★

「集団自殺」加害者の手記を元に事件の真相を紐解いていく内容だと、観始めてから分かり思わず背筋がゾワッとなりました。
並行して描かれる性質の異なった3つのグループが一体どう事件と関わっていくのか、自ずと注目してしまうストーリーに引き付けられます。
最終的に加害者青年の思惑こそ丁寧に描かれていたと思いますが、個人的には人物像をしっかり感じるまでには至らず・・・余りに巧く演じられるのも怖い気もしますが。
振り返れば策士な演出、凝った構造の作品だったなーとしみじみ。

くるんのぱー

くるんのぱー

ふくふくや

駅前劇場(東京都)

2017/11/01 (水) ~ 2017/11/12 (日)公演終了

満足度★★★★★

腐れ縁の女座長二人が率いる二つの剣劇一座。
その合同公演の経緯を見守っているだけでも充分面白いというのに、それだけじゃあ終わらない極上の2時間。
男にだらしなかったり、金に汚かったり、女が男らしく、男が女らしかったり破天荒な一座ながら、その誰もが味わい深く愛おしくなってしまう面々。
舞台で魅せるテクニックを知り尽くした者にしか創る事が出来ない、泣き笑いたっぷりの人生劇場でした。

『50ans,j’yvais!(サンコントン ジヴェ!)50歳の私が20代の彼と結婚する方法』

『50ans,j’yvais!(サンコントン ジヴェ!)50歳の私が20代の彼と結婚する方法』

Sky Theater PROJECT

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2017/11/07 (火) ~ 2017/11/12 (日)公演終了

満足度★★★★

その場しのぎの嘘が引き起こす笑いの構造こそ三谷幸喜風コメディーですが、その作風にジェットエンジンを装着させた感じの作品でした。
50歳の主人公と若い彼氏がすごくまともに見えるほどに登場人物達の漫画的キャラが濃ゆいこと!
おかげで配役のインプット作業に何の苦労も要しませんでした(笑)
ここまで徹底的にやれば好き嫌いが出てくる事も考えられますが、貪欲に笑いを取りに行く姿勢には清々しさを感じました。
気難しい顔で観ていた人もきっと顔が緩んでくるであろう怒涛のドタバタの中に、幸せを願う年配女性の哀愁が漂います。
小気味よいテンポは公演回数を重ねるごとによりイイ感じになっていくのでは。

青の鳥 レテの森

青の鳥 レテの森

ハグハグ共和国

萬劇場(東京都)

2017/11/01 (水) ~ 2017/11/05 (日)公演終了

満足度★★★★

千秋楽を観劇。
バトルロワイアル的ダークさと、童話をモチーフにしたコメディータッチの明るさ。
相反するカラーが共存した世界観には、ふんだんに盛り込まれたパフォーマンスも加わり「楽しめた」という意味ではかなりの満足感。
そして謎だらけだったレテの森の秘密が紐解かれる爽快感。

でもちょっと待った、出来上がったパズルは一見完成した様に思えるも、よく見返してみると不確かなピースがいくつも点在しているではないか!ガ~ン
この場合、
①リピートして更に掘り下げて観てみる
②観劇した人と感想を言い合い“気づき”を共有する
③役者さんを捕まえて問い詰める
しかし、う~ん・・・どれも出来ないっ! ガ~ン

観劇集中後のもうろうとした頭でひねり出したファイナルアンサーはDVD予約。
消極的ながら、たぶん正解。

ネタバレBOX

前半、順番に描かれる各グループのエピソードはコミカルなままでも良いのですが、もう少し深めに彼等のバックグラウンドを知りたかったかも。
ただし三匹の子豚チームはそのままでOK・・・ただただ可笑しかったから
テネシーウィリアムズ短編集 vol.2

テネシーウィリアムズ短編集 vol.2

有機事務所 / 劇団有機座

阿佐ヶ谷アートスペース・プロット(東京都)

2017/11/02 (木) ~ 2017/11/05 (日)公演終了

満足度★★★★★

テネシーウィリアムズ作品のメガ盛り。まさにフルコースをこれ以上ないほどに満喫できました。
5作品で約3時間(休憩1回あり)。観劇前の時点では、ものすごいサービス! 1パート減らしたとしても差し支えないのでは。とすら思えたボリューム感ですが観終わった今、じゃあどのパートを削るのかと聞かれれば、どのパートも捨てがたく、何より公演順番が絶妙です。
ストーリーテラーによるテネシーウィリアムズの生い立ちや境遇の解説があり、より深く鑑賞できる工夫も。

(1パート目)
売れない青年小説家が主人公。ぞんざいに扱われ消えゆく家財道具が、彼の人生と重なって何とも言えぬ空虚感が広がります。

(2パート目)
私自身が演劇に魅了されるきっかけとなった『欲望という名の電車』。今も篠井英介さんや大竹しのぶさんのブランチが心の中にクッキリと息づいています。
顔のシワを誤魔化すことに苦心し、失笑モノのプライドも粉々になっていく独り身女性の行く末はまさに『欲望という名の電車』ラストシーンのクローズアップ版。
こんな形で原点を観ることができるとは感激です。

(3パート目)
まさかの笑える作品! かなりシニカルな笑いではありますが。

(4パート目)
病気でお払い箱確定の娼婦。
疑念と混乱の中、唯一輝きつづけるのは昔の恋人への想い。痛々しい程のその渇望。
ちょっと『吉原炎上』の西川峰子さんを思い出してしまいました。
観終わった後、タイトルの意味が沁み込みます。

(5パート目)
安アパートの共有スペースにて男3人の会話劇。
唯一のオリジナル作品ですが、テネシーウィリアムズのエッセンスが見事に包含されており何ら違和感なく楽しめました。
柑橘系を一滴垂らした様な終わり方が良かったです。

容赦なく引っ剥がされていく虚栄心・・・今回の一連の作品から特に共通して感じられました。

光の音

光の音

多摩美術大学 演劇舞踊デザイン学科

多摩美術大学 上野毛キャンパス 演劇舞踊スタジオB(東京都)

2017/10/28 (土) ~ 2017/10/29 (日)公演終了

雨に濡れそぼる多摩美キャンパス。
その一角にあるホールにて妖しくも煌びやか、こんなにも本格的なミュージカル舞踏劇が繰り広げられていると誰が想像出来るだろうか。
トップクラスの美大とはいえレベル高すぎ!

フライヤーからは分からなかったが描かれるのは愛憎渦巻く戦国絵巻。
センス良く変動性あるセットもさることながら、細部までこだわりぬいた衣装やエクステを駆使した斬新な髪形。
照明、音響もバッチリ。
何より迫真の演技と優れた身体能力を生かした舞踏、殺陣の数々・・・
たちまち田舎者の自分に戻り「東京の大学ってスゲ~ッ!」と唖然となりました。

幸せな上園家

幸せな上園家

劇団敏感

北池袋 新生館シアター(東京都)

2017/10/27 (金) ~ 2017/10/29 (日)公演終了

満足度★★★★

変人っぽいけどきっと哀しい訳アリなんだろうなーと思わせる一人の女性が家族募集の呼びかけ人。
もうちょっと厳選した方がいいんじゃないかと思わせる家族採用者たち。
それを上回る香ばしい人達も登場。
話が進むごとに登場人物に対する人格評価が、上がったり下がったり目まぐるしく変動していくのが愉快痛快です。
それぞれの生い立ちや、家族関係の機微を面白おかしく楽しんでいるうち、いつの間にかすっかり感情移入していってしまうストーリーと役者さん達。
気軽に楽しめるうえ予想を超えた濃ゆい満足感でびっくりです。

ネタバレBOX

きっとガツンとくる言葉が吐き出される!ワクワク・・
そう予見したラストシーンでの奥さんの言葉の内容が、ひねり過ぎていてインパクトが弱まった様に感じたのが唯一残念。
凄く面白かった!の片隅にちょっとモヤモヤが残りました。

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