コナンの観てきた!クチコミ一覧

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スピークイージー

スピークイージー

やみ・あがりシアター

荻窪小劇場(東京都)

2017/12/23 (土) ~ 2017/12/28 (木)公演終了

満足度★★★★

酒を禁止された飲み会は、さもありなんなシラケきった雰囲気。
そこを起点にノミュニケーションの正体について様々な見解を投げかけてくれる展開がとても面白かったです。
酒の席では、いやらしい事にシラフな頭で観察してしまう私にとって、飲み会でのあれやこれやの喜怒哀楽劇場は、その観察眼に対して色々と感心させられニヤニヤのしっぱなしでした。

「酒」に対して、かなり辛辣な視線を持ちながらも「でもやっぱり、お酒って必要なんだよネ!」と思わせる、何とも言えない説得力は、かなり酒との付き合いを心得た人の作品なんだろうなーと思っていたら、結構若い方だったのには驚きました。

ネタバレBOX

「都内における禁酒条例」この法案が通ることってあるんだろうか。という邪推が足枷になってしまうところではありましたが、しっかりと条例施行までの経緯を盛り込んだ、ぼやかしの無い姿勢は、作者の実直さを感じさせ、好ましく思えました。
スタア

スタア

玉川大学芸術学部パフォーミング・アーツ学科

玉川大学 大学3号館 演劇スタジオ(東京都)

2017/12/23 (土) ~ 2017/12/26 (火)公演終了

満足度★★★★★

筒井康隆の破天荒な原作は、卒業公演というにはかなりブラックでカオスな世界観で、演者に様々なモノを要求する内容に思えました。

役者さんの器量に、あえて下駄を預けたのではないかと受け取れる演出。
優等生な役者さん達が講師の指導のもと真面目に演技と向き合う(これはこれで素晴らしいのですが)この枠を突き破った瞬間から、もう完全に舞台に魅了されっぱなしでした。
私の観た回は山千組の千秋楽。
「この回が4年生にとって学生生活ラストofラストの公演」という色眼鏡を外したとしてもパワー全開で演技を楽しむ役者さんは本当に輝きまくっていました。
生のドキュメントともいえるキラキラした歴史の1ページに立ち会う事ができ、感動的で素晴らしい体験でした。

ラブソング・メリークリスマス

ラブソング・メリークリスマス

アベノグミデス。

東中野バニラスタジオ(Vanilla Studio)(東京都)

2017/12/22 (金) ~ 2017/12/26 (火)公演終了

満足度★★★

J-POP クリスマスソングが流れ、手作り感溢れる飾り付けがされた会場部屋。
チケット代わりに渡されるのは手書きのネーム入りクリスマスカード+α。
もう全体を包み込む雰囲気が観劇というより、よそ様の同窓会兼クリスマスパーティー公演にお呼ばれした感覚。
下北や池袋で公演される作品と比べてしまうと拙い感はありましたが、楽しませよう精神はヒシヒシ伝わりました。
内容的にはもう少しミステリー風味を強調してもよかったかなーと。
一生懸命、案内してくれる演出家さんにもガンバレーと言いたい。

ビーフシチューはビールで煮込んで

ビーフシチューはビールで煮込んで

ふれいやプロジェクト

劇場MOMO(東京都)

2017/12/20 (水) ~ 2017/12/24 (日)公演終了

満足度★★★★

心温まる公演で間違いありませんでした。
クリスマスが決戦日となる舞台。
作品の空気を大きく支配するのは兄妹の二人。
どちらもズバシャキしていて似たもの兄妹といったところか。
(㊟ズバシャキとは:ズバズバ言いたい事を言ってシャキシャキしている様。今、造りました)

ズバシャキなのに、もしくはそれ故に、すぐ言い合いになる二人。
お互いの幸せを願う者同士 何とも厄介だが、二人だけのシーンはまるで役者対決のごとく火花バチバチ、見どころです。

妹の彼氏や親友はバランスをとってなのか控えめに感じましたが、いかにも超高級物件の彼氏には付き物というべき邪魔しいの女性が、中々味のある刺客として参戦。
(お若い方ですがパンフを見ると主宰でもある事が判明、なるほどヤリ手だなーと)

心温まる公演です。

ネタバレBOX

この日のゲストは浦えりかさん。
しっかり役柄をこなしたうえ、ちゃっかり宣伝も投入。

ニコニコ生放送(動画)は直接ストーリーとの繋がりはありませんでしたが、重要アイテム“ビーフシチュー”の存在感アップと、ちょっとした和みタイムにもなってました。
「標〜shirube〜」

「標〜shirube〜」

劇団桟敷童子

すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)

2017/12/12 (火) ~ 2017/12/25 (月)公演終了

満足度★★★★★

ぜひ桟敷童子作品を観て来てほしい人用に購入したチケットでしたが、残念ながら都合がつかず自分が観に行く事に。

戦争から戻らない男を待つ女達を中心に愛と執念が渦巻く中、気迫に満ち満ちたシーンと人間味ある笑いが自然に共存していて、いつも以上に観やすい仕上がりになっていたと思いました。

信じられないくらいの辛口コメント連発の“オヤジ♪”さんが手放しに絶賛の、先にあるコメントにはほぼ同感で、好き嫌いはあっても必ず心に響くモノを残してくれる劇団さんだと確信しているので、やっぱり観て欲しかったな~としみじみ思いながら劇場を後にしました。

URASUJI 2017 ちんもく

URASUJI 2017 ちんもく

敦-杏子(TON-ANZU)プロデュース

ザ・スズナリ(東京都)

2017/12/16 (土) ~ 2017/12/28 (木)公演終了

満足度★★★★★

もともと必殺仕〇人の最高級パロディーな感じで始まったURASUJIもすっかりオリジナルの世界観を確立。
初演からほぼ欠かさず拝見していますが、今回もゲストの魅力を貪欲に取り入れたお楽しみ満載の超豪華版。
多方面から集まったオリジナルメンバーも相変わらず健在。(このメンバーだけでも既に充分濃ゆい)

定番悪役リーダー格、深沢敦さん 藤田記子さんに、2度目の登場 小川菜摘さんが加わってギラギラ怪しさ倍増。
(注)このヤバめ毒素のあんばいが中毒性の源
劇中歌ではプロの歌手である杏子さん 池田有希子さん 元モー娘。新垣里沙さん達は当然として、小川さん 天宮良さんも聴かせて魅せます。

毎回 大盛況人気公演ゆえ、既にチケット完売かと思いきや平日夜はまだ残っているそうです。
ダークでコメディーでダイナミックで、とにかく見どころ満載なので観て損はないと思いますぜ。

ネタバレBOX

ストーリーが進むごと華麗に役者さんが登場する展開は興奮します が、岩﨑大さんが出てくるの、さすがに遅すぎなのでは。
てっきり、あれっ今回はオリジナルメンバー1人欠場だったっけ?と思いましたぜ。
赤と青

赤と青

ラビット番長

演劇制作体V-NETアトリエ【柴崎道場】(東京都)

2017/12/15 (金) ~ 2017/12/17 (日)公演終了

満足度★★★★★

“勢いの波に乗っている”とはこういうことか。何を演っても面白い。
大抵がどんな内容なのか知らぬまま会場に向かうという、おまかせ状態のアトリエ公演。
気楽に観に行って「思った以上に良かった~」と会場を後にするこのパターン、アタリしか入ってないガチャガチャみたい。

深刻味ある良い表情をしたENBUゼミの女優さんがいるなーと思って観ていたら、千秋楽回で感極まり、既に舞台裏で泣いていた顔だった事が判明。
面白い人だった。

時代絵巻AsH 其ノ拾壱『朱天〜しゅてん〜』

時代絵巻AsH 其ノ拾壱『朱天〜しゅてん〜』

時代絵巻 AsH

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2017/12/14 (木) ~ 2017/12/19 (火)公演終了

満足度★★★★★

正統派な時代劇をあまり観た事のない自分でも、じっくり腰を据えて楽しめました。

あまりにも理不尽な「鬼」と呼ばれし者との決戦。
そこに至るまでに描かれる歴史ドラマが、来るべきクライマックスをよりドラマチックな仕上がりに導いていました。

若手中心という事も関係してか、本格時代劇でありながら思った以上に客席には若い人もおり、これだけ基礎がしっかりしていれば息の長い劇団として、伸びしろもあるだけに、ファン数を増やし続けていくことでしょう。

それにしてもこれだけずっしりくる公演の場合、アンケートタイムを頂けると、書くふりをして(いや、ちゃんと書きますが)余韻に浸れて助かるのですが。
感想アンケートはありませんでしたが、有料レベルの立派な当日パンフを頂けました。つくづくありがたい。

ジ・アース

ジ・アース

十七戦地

ギャラリーLE DECO(東京都)

2017/12/13 (水) ~ 2017/12/17 (日)公演終了

満足度★★★★

全く異なる個性を持った3作品。
普通なら順番に1作品づつ上演してもOKなところ、ストーリーの節目節目を切断して不規則な数珠つなぎに。
(規則性があったらごめんなさい。少なくともABCABC・・・の単純な順番ではなかった)

一見観づらい構成の様に思えますが、短いピッチでのストーリー交代は二人芝居で生じやすいダレが全く無くなり、集中力が途切れません。
更に3作品の世界観への愛着度合い、盛り上がりに向けての加速感、結末に向けての収束感の波長が絶妙に絡み合い、まるでひとつの作品を観てきたかの様なまとまりをもたらします。

観ている側としては「おっ、今度はこっちのストーリーが来たか」と差し出されたメニューを美味しく頂いていましたが、提供する側は三つの波長がうまく調和する様、相当な苦労があったはず。
それはフライヤー裏面にある今年1月から始まった1年がかりの制作スケジュールにも表われており、8月の時点で1パートが白紙に戻っているのには、ちょっと笑ってしまいました。ごめんなさい。ほんと大変っ!

丸く陣取られた舞台スペースをしっかり取り囲む3方向の客席。
心地良い緊張感を持ちながら1シーン1シーンしっかり楽しめました。

レンジャー

レンジャー

ミュージカル座

光が丘IMAホール(東京都)

2017/12/07 (木) ~ 2017/12/10 (日)公演終了

満足度★★★★

成り行き上、望みもしないのに時空戦士トラベレンジャー“レッド”役に任命されたアルバイト学生。
そんなオープニングとくれば「なるほど戦隊コメディーか」と思いきや、彼の役者・人としての成長、番組制作者陣の熱き想い、1970年の時代を反映したレンジャー仲間の事情等がギュ~ッと詰まった“男前”で“大人向け”の人間ドラマでした。

撮影現場の騒々しさや華やかさで、ミュージカルとの相性はイイ感じ。
いくつものミュージカルナンバーは特撮テレビドラマに対しての“想い”をのせた曲が多く、活気づいてくる現場の高揚感とうまくリンクし、こちらの気持ちも段々とアガっていきます。

本作の中では数少ない一般人“主人公の彼女”の存在が切ないワンポイントに。

ネタバレBOX

ひょっとしてウルトラマンシリーズの中でもドラマ性を特に重視し、異色作と語り継がれる「ウルトラセブン」がモチーフ?
胸に抱いている星

胸に抱いている星

THEATRE ATMAN

【閉館】日暮里ARTCAFE百舌(東京都)

2017/12/08 (金) ~ 2017/12/10 (日)公演終了

満足度★★★★

今まで観たことの無いタイプの作品。
『演劇人のお話し』と言うより、演出家さんと役者さん3人が「役柄」という仮面を脱ぎ捨て、ありのまま舞台に差し出された感じと言えば良いのでしょうか。
各自に与えられた“ひとり語り”のシーンは特に興味深く、紛れもない自分自身の言葉で自身の事が語られており、体温が伝わってくる様に想いが伝わってきます。
今回初めての方ばかりですが、思わず「うんうん」と頷きながら聞き入ってしまいました。
フライヤーではキャスト3名となっていますが、演出家の李哉尚氏もしっかり作品に加わっており、計4人それぞれ個人としての表現に加えて、即興劇の形で劇団としての表現もありのままに披露。

毎回カタチを変えていく即興劇を多用しながらも、最終的にはタイトル『胸に抱いている星』へと着地していき、作品としての骨格もちゃんと組まれた不思議な公演でした。

その劇団の内面プロフィールがよ~く分かる試みなので、THEATRE ATMANさんが発祥の地(劇団)という事で、いろんな劇団に横展開しても面白いフォーマットだと思えました。

ネタバレBOX

居酒屋トークのシーンでは、演出家さんが3人とは離れた位置で観察し時折指示を出されていましたが、いっそのこと演出家さんも一緒に加わり、もっとぶっちゃけ度の高いトークを聞いてみたい!と思いました。
今回の形式だと、どうしても3人がパフォーマンス寄りの会話になってしまい(パフォーマンス部分は即興劇のシーンで既に堪能しているので)こちらのシーンではお互いが同調する事をあまり気にせず、ライブで“素”に近い言葉を聞いてみたかったと思います。
ペットハウス

ペットハウス

唐沢俊一ユニット

参宮橋TRANCE MISSION(東京都)

2017/12/06 (水) ~ 2017/12/10 (日)公演終了

満足度★★★★

もしヒーロー(orアイドル)が落ちていたとしても、それを持ち帰るというハードルを突破してしまったのは、同じ思惑の3人が居合わせた悲劇(喜劇)というべきか。
部屋の中まで持ってきた憧れのヒーローの身体。 〇〇〇を見つめるなッ!触ろうとするな~ッ(笑)

前半はもう少しテンポアップした方が良い気もしましたが、アドリブギャグいっぱいの強気な姿勢は◎。
特撮ヒーロー業界のまことしやかな内容が随所に散りばめられ、一応フィクションとは謳っているものの、これらの多くは結構な業界あるあるなのでは?
何といっても唐沢俊一氏の作・演出ですし。

そんなこんなを勘ぐりながら楽しんでいるうちラストに向けての急展開。
なんだか喪黒福造(もぐろふくぞう)が出て来て『ド~ン!!』と言いそう。
実際にイケメンヒーローにハマっている人にはグサッとくる作品ではないかと。

嬉しい飲物サービス、席下にホルダーがあって便利です。

ネタバレBOX

前半テンポアップして時間が浮いた分、ヒーローを持ち帰るシーンを是非入れて欲しかった。
3人のキャラが、まずそこで色濃く出ると思えるし、冒頭の大きな見せ場にもなり得ると思いました。
星の記憶

星の記憶

アンティークス

シアター711(東京都)

2017/12/06 (水) ~ 2017/12/10 (日)公演終了

満足度★★★★★

以前に食した福岡の駅弁を思い出させる創りの作品でした。
それは一口大に取り揃えられた名産品が沢山並んでおり、一品ごとにどれも味わい深いのですが、前後の味も絡み合い絶妙なハーモニーを生み出します。

説明文から、もしかすると哲学的な作品かも、と白紙の状態での観劇でしたが、日常のひとコマひとコマが生活の機微を添えて実に味わい深く描かれており、ストーリーが進行していく毎にそれぞれが絡み合い、更なる深みを増していきます。・・・ホラそっくりでしょ!

良い人も悪い人も微妙な人も皆それぞれの生き方で、そして何等かの形で繋がっており、その果てしない広がりを彷彿させる世界観からなのか、それとも一個人が織り成す人生の奥深さからなのか、宇宙にも通ずる拡がりと生命力の輝きを感じました。

ネタバレBOX

艶っぽい情事の後、帰宅して父親から説教。。確かにこれも光と闇(笑)
群像劇の様でありながら、父親教師の人生が軸になっているのだと徐々に判明。
早死にこそ勘弁ですが、彼のように人生の末期に、過去や現在の甘いも酸いもキラキラと心に舞い降りてくる幕引きを迎えられたら素敵だなーとしみじみ浸ってしまいました。
銭湯ぐらし

銭湯ぐらし

藏下右京×渕上夏帆 二人芝居

杉並区高円寺 小杉湯 湯パート103号室(東京都)

2017/12/02 (土) ~ 2017/12/04 (月)公演終了

会場は風呂無しアパートの一室。
これによりMy観劇歴の最小会場記録を更新。
「銭湯ぐらし」のタイトルや制作背景から、さぞかし生活臭溢れる公演かと思いきや、意外と観念的な表現が多く、観劇というよりアート作品を鑑賞してきた様な感覚。
とはいっても衣装の毛玉ひとつひとつもハッキリ見えてしまう目前での密室光景は、僅かな香りさえも間近に感じ取られ、有無を言わさず生々しく、やはりこの体験はこの空間、この時間でしか得られない演劇の醍醐味そのもの。

シーリングライトの強弱や家電の放つ光を利用したワンルームならではの照明効果は、時には現実的で時には幻想的。

ネタバレBOX

男性はどう見てもメンヘラ、女性はそもそも人間?
観終わった直後はとりとめのない印象こそ受けましたが、よく考えてみると漠然とした不安や、日常のちょっとした幸せ等、誰もが無意識に感じる悲喜こもごも(特別な事件が無くとも生きているだけで湧きあがってくるランダムな感情)が描かれた、そんなに遠くもない世界なのかなと思えたりもしました。

心残りは小杉湯の入浴。
時間がなかったので断念するしかなく、その夜は自宅の長風呂にてガマンしましたが、作中での小杉湯入浴手順は初級・中級・上級としっかりインプット。
いずれ実現、実感したいと思います。
Kiss Kiss Bang Bang 2.0

Kiss Kiss Bang Bang 2.0

APAF-アジア舞台芸術人材育成部門

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2017/12/01 (金) ~ 2017/12/03 (日)公演終了

とにかくキスkissキスがてんこ盛りな1時間強。
恋人同士が交わすキスとは全く異なる意味合いのキス行為は、いろんな切り口のアイデアが結集した形で台詞こそほぼありませんが、そのニュアンスはしっかりと伝わってきました。
それぞれのシチュエーションは可笑しかったり、ドキッとしたり、怖かったり・・・ちょっと普段の演劇とは異なった感覚。
無料公演。一見の価値大いにアリです。

ネタバレBOX

立候補で舞台に上がった観客の方は、その勇気にもうビックリでとても面白楽しかったです。
しかし、さすがに仕込みじゃないかなーと、そこは半信半疑で観ていたのですが、最終的に客席に降りてきた役者さんと自分もキスしていました・・・そうかガチかっ!
(注)もちろん全員ではないし、強制でもないのでご安心を。

観終わって池袋西口公園に出ると、外人さんグループの女性から「メリークリスマス!」とスティックキャンディーを頂きました。
池袋が“不思議”に包まれていた夜でした。
月はゆっくり歩く

月はゆっくり歩く

シアターノーチラス

新宿眼科画廊(東京都)

2017/11/23 (木) ~ 2017/11/28 (火)公演終了

満足度★★★★

登場人物の内面が赤裸々に描写されるシアターノーチラスさんの作風はとても好きです。
今回は「2番目の月が見える人々」という事で、この人達を一体どう捉えたら良いものか悩ましいスタートではありましたが、隠れた根っこの部分を引っ張ってみれば芋の様にゴロゴロ出てくる心の異形物。
初めて会う人の言動、表層面からどれだけ本当の姿が読み取れるというのか、過信する事に対して注意信号が点滅します。

SNSでの怪しい呼びかけ。
今までも、これからも縁の無いモノだと思いますが、本作を観ればもう絶対近寄りたくない。そうNEVER!

11月アトリエ試演会

11月アトリエ試演会

ラビット番長

演劇制作体V-NETアトリエ【柴崎道場】(東京都)

2017/11/23 (木) ~ 2017/11/26 (日)公演終了

満足度★★★★

いつも、どんな切り口で来るのか分からないアトリエ公演。
今回は試演会という事で、老人介護『ギンノキヲク』シリーズの流れを汲む、限りなく本流に近い新作だったので、すごくお得な感じだったね!おじいちゃん。
次のシリーズの伏線にもなっているそうなので、なかなか商売上手だね!おじいちゃん。

STARTER

STARTER

劇団Turbo

駅前劇場(東京都)

2017/11/22 (水) ~ 2017/11/26 (日)公演終了

満足度★★★★

レトロで軽快な音楽、そして「カノン」がよく似合う作品でした。
総勢22人もの役者さん(+お利口な猫)が出演されていたにも関わらず「役柄を覚えるのが大変!」といった苦労が全くなく、ただ舞台に身をゆだねていれば楽しめる軽快な流れを心地よく感じながら観る事が出来ました。
何より「お好きな処で笑って頂ければ、それで結構ですから」とでもいう様な「笑い」に対して余裕ある感じが、よりリラックス感を与えてくれます。

事前情報がかなり少ない為、観に行って初めてその内容を知る形となりますが、自分なりの予想通りどのお客さんもニコニコと劇場を後にする、そんな公演だったので方向性は大当たり。
それにしてもラストシーンはさすがに予想もできない絵面でした。

怠惰なマネキン

怠惰なマネキン

MONO

新宿眼科画廊(東京都)

2017/11/17 (金) ~ 2017/11/21 (火)公演終了

満足度★★★★

会場は白塗りの展示スペース。言ってみればワンルームの一室。
なので客席を含めた会場全体をステージとして機能させた方が据わりが良く、更に観客を「集められたマネキン」として見立てるのは巧く考えられたナイス設定。

まさにこの場所で大量のマネキンを利用したアートな展示会を画策する5人の若者。
中には有能そうに見える人材もいるというのに、一向にその先から進めない理由はどこにあるのか。
その一連を目の当たりにする展開は人間ウオッチングとしても若者のコミュニケーション観察としても非常に面白かったです。

いつも通りの観客としての感想は、自然と顔がほころんだりガクッとしたり臨場感ある公演として大納得でしたが、せっかくのナイス設定。
マネキンとしての哀しみも同時に味わえたなら・・・という欲もついつい芽生えてくるのでした。

自ずとMONOさんの今後の動向が気になってくる公演でもありました。

ネタバレBOX

役者さんとしては、やはり観客を物として捉えるには遠慮が出るのか、要所でしかその扱いをするシーンがなかったのが少し残念。
最初は期待のこもったアイテムだったのに、いつの間にやらただ場所を占領しているだけのガラクタに成り下がっていく我々(マネキン)。
雛段に並べられたマネキンとしては、あまりにも不甲斐なく理不尽な展開。
直接観客をいじって欲しいとまでは言わなくとも、我々を眺めまわす表情の変化を随所に投げかけてくれれば、かなりの一体感が生まれたのでは。
と思うものの中にはそれを不愉快に思うお客さんも出てくるかも。
リスクはなるべく回避するであろう彼らにとっては、それは避けたいところ・・・そう考えると彼らのキャラクターと作品が勝手にリンクしてきて面白く感じたりもするのでした。
穴ザワールド

穴ザワールド

発条ロールシアター

新高円寺アトラクターズ・スタヂオ(東京都)

2017/11/16 (木) ~ 2017/11/19 (日)公演終了

満足度★★★★

観劇は自身を劇場に置き、様々な情報を全身に受けて感じるエンターテイメント。
そういう意味で受付けから劇場を後にするまで一貫した手作り感はとても心地よく楽しい。

ストーリー的には、観ているリアルタイムもさることながら、観終わって余韻に浸りつつ場面の数々を反芻している今、咀嚼タイムが面白い。
「穴」で結びつく奇妙な関係。
気のいい大家さんを巧く(?)はぐらかし生き延びる、そんなおじさん達の刹那な蜜月タイム・・・じわじわ沁みてきてます。

ネタバレBOX

「明確な理由・目的」がなければ行動に繋がらない私からすると、穴掘りおじさんの“ロマン”に気付くのがちょっと遅かった。
理解したうえで観ていれば数倍映えるシーンがあったので勿体ない事をしました。
一緒に観た同行者は彼の欲求心情がよく分かると力説するので、ちょっと口惜しい。

停電の中、おじさん3人と娘が過ごした怪奇で滑稽な蜜月タイムが絶妙な本作の肝。
(あのしりとりはアドリブ?際立って自然ななごみ感があって印象的)
徐々に大きくなる不穏な外界のノイズが、この奇跡の時間を破壊するであろうとイヤでも予見させるので、より輝いて見える時間でした。

どう見てもクズの部類に属する父親に、どうして娘がこんなに寄り添ってくれるのか納得できるものが冒頭に描かれていると据わりが良かったかも。
ちょっとしか出番のなかった郵便屋さんと電気屋さん。外界の人としてもっと出番があってもよかったのに・・・と思うものの、これもひとつの手作り感かなーと。

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