コナンの観てきた!クチコミ一覧

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組曲~touch 2 you~

組曲~touch 2 you~

touch my brassiere? company

上野ストアハウス(東京都)

2018/04/13 (金) ~ 2018/04/15 (日)公演終了

満足度★★★★

初めての劇団さんでしたが初対面の人に例えるなら、とにかくサービス精神旺盛、
沢山の事を語ってくれるのだけれど感情が先走りして中々要領を得た内容が伝わってこないのでちょっと付き合いづらいかなーと思うものの、すごくいい奴だという事はとにかく伝わってきて・・・最終的には、そういう事だったのか~っと思わず抱きしめたくなる、そんな劇団さんでした。

根無し草のように生きる歌舞伎町の人々。軽快に色んな側面を見せてくれるものの、まだバックボーンを把握しきれていないうちから溢れ出る各々の感情は、どう受け取ってよいものか持て余し気味。
せっかくの熱のこもった演技は、ストーリーと巧くリンクすればもっと効率よく生かされたのでは、と勿体なかった気持ちは残るのですが、それでも徐々に見えてくる各々が抱え込んだ哀しみの呪縛。
溜まりに溜まった感情がぶちまけられる頃には、いろんなモヤモヤが浄化されていく爽快感と共に、その感情のうねりに激しく心揺さぶられ、熱いものがこみ上げてくる力強い公演でした。

世界で一番幸せになるためのメソッド

世界で一番幸せになるためのメソッド

劇団ボンボヤージュ!

APOCシアター(東京都)

2018/04/07 (土) ~ 2018/04/08 (日)公演終了

満足度★★★★★

独自のカラーが確立されていて、気楽に楽しめるような空気が巧~くコントロールされた公演でした。
独自のカラーとは、思わず笑ってしまうツボを押さえたバカバカしさで、隠し味は大人の哀愁。
濃口、中口、薄口、色とりどりな役者さんたちの熱い演技は“強引に笑わせる”ではなく“思わず笑ってしまう”がポイントです。

短くてもインパクトあるパートや、たっぷり見応えのあるパート、各パートをまたいで成長していくパートもあり、気が付くと全てがひとつに繋がっていくような収束感。
焼肉エピソードと絡み合うのも、男女間だけで純愛・風俗・パワハラ・三角関係などバラエティー豊か。
そこにビジネスやタイムリーな時事ネタまで入っていたりするので楽しめる味わいの種類は実に盛り沢山でした。

劇団ボンボヤージュ!アットホームな小さい港(劇場)から何気にスゴいユニットの出航(旗上げ公演)に立ち会えたようで嬉しいです。

僕をみつけて/生きている

僕をみつけて/生きている

かわいいコンビニ店員 飯田さん

OFF OFFシアター(東京都)

2018/04/04 (水) ~ 2018/04/08 (日)公演終了

満足度★★★★

「僕をみつけて」を観劇。
作中では象徴的な人狼ゲームは駆け引きがえげつなく面白い存在ではありましたが、何だか無駄に人間不信になりそうで、自分からは決して参加したくないゲーム。
こんなに「勝ちたい!」という気持ちが湧き起らないゲームも珍しい。

本作のグループ中では財産家のお祖父さんをもつ年長男性がヒエラルキートップに君臨している様子。
しかし俯瞰で観ていると小さな流動コミュニティーの中、何とも儚い。
同年代の若い男女がこれだけ集まれば、あちこちで怪しい関係が生まれるのも必然で、同時にモテと非モテが生まれるのも必然。
どのポジションでいるにしても自己承認が揺れ動く、ちょっとだけ残酷な人間模様が描かれていました。
“若い”という事はキラキラしている様でいて中々大変!
ハァ~ッとついて出るのは何のため息だ(笑)

『あんな時代もあったねと~♪』といつか笑って話せる日が来るといいね・・・という思いを投げかける様にして劇場を後にしました。

笑う巨塔

笑う巨塔

タクフェス

東京グローブ座(東京都)

2018/03/29 (木) ~ 2018/04/08 (日)公演終了

満足度★★★★★

病院を舞台にしたコメディーとしてベタの連続だけれど、各業界から結集した馴染み深い面々の役者力・タレント力がグ~ンと作品を盛り上げ、もう見どころ満載。
いつもおいしいとこ取りの宅間さんが「あれっ?今回はゲストの方々に花を持たせる内容」と思って観ていましたが、あーやっぱりか~自己プロデュースの巧さが冴えまくっていました。
特にベテラン陣をイジる容赦のなさには大爆笑で、可笑しいのと同時に共演者間の信頼関係の強さが伝わってきます。
祭りの名に相応しく、豪華で面白くて何より楽しい!!

徒花

徒花

teamキーチェーン

d-倉庫(東京都)

2018/03/28 (水) ~ 2018/04/01 (日)公演終了

満足度★★★★★

「笑い」や「デフォルメ」には一切頼らないドラマ“力”。
水が高い所から低い所へと流れるが如く、主人公達の抗えない運命が徐々に見えてきたとしても、この目で彼らの行く末をしっかりと見届けたい!と強く思いながらの観劇でした。
私にとっては1年チョイぶりのteamキーチェーンさんですが、その進化ぶりは目ざましく、若くしてここまで円熟した公演を打つまでに達していたとは・・・驚きです。

事件勃発前、和やかな日常シーンからもう既に漂う哀しい予感・・・その理由は舞台上手にもあるのですが、それ以外でも何かあったはず・・・一体何が隠し味なのか、後々まで残る不思議感・・・以前の公演でも似たような感覚になった記憶が蘇りました。
その後の展開は、もう一気にストーリーの波に飲み込まれるしかなく・・・
主演以外の役者さんの存在感もどんどん肉付けされ、作品がより大きく、より豊かなものへと成長していく醍醐味。
これだけの豊富な人材は劇団の財産であり、見事に活かしきったのは劇団の力量があっての事。

東野圭吾張りの面白さだったなーと思いつつも、仮にその小説をそのまま表現したからといって同等の面白さが保証されるものではないのが舞台の難しさ。
やはり良質なストーリーがあって、更にそれを最大限に引き出す演出と演技力が伴わなければ中々到達できない生舞台の底意地悪さを見事にクリアーしていたのだなーと納得しつつ、今夜は回想に浸りたいです。

漂流

漂流

HitoYasuMi

ワーサルシアター(東京都)

2018/03/28 (水) ~ 2018/04/01 (日)公演終了

満足度★★★★★

地下小劇場で無人島を舞台にした公演。
フライヤーと同じ衣装、シチュエーションもそのままに海辺に流れ着いた新婦。
彼女が激しい波風の音で目を覚ますシーンで「おっ!これはっ」という強い手ごたえを感じました。
ここから始まる漂流ドラマを真正面から直球芝居で魅せる覚悟がある事をハッキリ見せてくれたからです。

薄着1枚身につけただけの女性1人。
先住漂流者のおかげで、野垂死には避けられたものの、次に待ち受けるのは僅かな人間達とのコミュニケーションという難題。
苛酷な自然の中での生き残りがベースにあるものの、本作のキモは何といってもこの島から逃れられない人達の生き様。
実際なら何日も経てば、髪も肌も衣装もボロボロになるであろうビジュアルには目をつぶるとして(そこをリアルにされてしまうと結構きついですし)それぞれのバックグラウンドを想像しながら観る登場人物の立ち振る舞いや関係性にはグイグイ引き込まれてしまいます。

助け合いと暗鬼。特殊な状況下での人間ドラマが各自個性豊かに描かれ、演技をしっかり堪能するタイプの芝居を観ているぞー!という充足感に満たされていきます。
特に若者には未来を諦める事など絶対できない心からの叫びは、強く胸に突き刺さりました。

ネタバレBOX

ゴツプロ!の塚原さんの容姿、形相が無人島サバイバルの現実味をグッと引き上げてくれます。(いつ拝見しても毎回全然違うキャラクターなのも凄い)
こういった状況下だと男と女の違いが妙に生々しくハッキリ見えるのは、やはり動物的な生活を強いられるからでしょうか。
とは言え同じ男または女であってもやはり人それぞれ、個性的だから面白いです。
荒天~こうてん~

荒天~こうてん~

劇団黒胡椒

上野ストアハウス(東京都)

2018/03/29 (木) ~ 2018/04/01 (日)公演終了

満足度★★★★

しっかり見応えありました、2時間20分。
煌びやかさとドロドロを併せ持った吉原遊廓の世界。
この世界観を時代劇の様式に囚われず、むしろぶっ壊すくらいの勢いで描かれたロックな女達のドラマ。
演技に深みを加えて濃縮すれば公演時間は今より短縮可能なのでしょうが、ひとつひとつのシーンを丁寧に、人物ひとりひとりの心情をしっかり伝えたいという演出意思が強く感じられ好感、結果観劇初心者にはかなり優しい創りになっていたともいえます。

何よりライブハウスさながらの生バンド&パフォーマンスまで満喫でき、本来の小演劇で提供される容量を遥かに超えたそのサービス精神。
艶やかな着物姿での振り付け激しいダンスシーンは、場の盛り上げだけにとどまらずストーリーの意味合いにも深く関わり、作品に大きく貢献する存在。
特にそのダンスシーンでは、前半の活気溢れる花魁の華やかさに、後半では吉原の闇が加わっていく表現変化のテクニックが絶妙でした。
この内容を1日2公演!う~ん、若さと気迫のなせる業としか言いようがないですね。

ネタバレBOX

吉原遊廓サイドの人物は着物、政府サイドはSPっぽい黒コスチューム、闇を暴こうとする記者(!)は私服ルックという一見無茶苦茶な衣装構成は、最初こそ違和感がありましたが、それぞれの棲み分けが一目瞭然という効果を発揮し始め、結果的にナイスアイデア。

観劇初心者には優しい公演と思えた反面、男と女・女と女・親と子の愛憎演技に磨きがかかれば、自ずと表現は濃縮、時間も程よく削ぎ落され、より洗練された作品となり、より多くの観客に、より深い感動を与えられるのでは。という思いが・・・心配せずとも、このままの完全燃焼で作品に向き合う心意気をもってすれば、自然と劇団は円熟の域へと向かっていくものなのかも。
彼女は二度ベルを鳴らす

彼女は二度ベルを鳴らす

空想実現集団TOY'sBOX

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2018/03/28 (水) ~ 2018/04/01 (日)公演終了

満足度★★★★

受付・客入れから始まり、終演後の撮影会や、新参者の私にも優しく温かいハイタッチ会、お土産には全役者さんサイン入りキャスト表の手作り感!
小劇場で出来る“おもてなし”として何が喜ばれるか、幾つも考え出してそれを実践する労を惜しまない体制には、そりゃー人気も上がるでしょうし、もう是非とも上がって欲しいと思うのは至極当然。

中々筆の進まない気弱な小説家と、飛び出した濃ゆいヒーロー感ある小説主人公。
更に、ひょんな形で現れた薄幸ヒロインも加わったキャラ設定バッチリの三つ巴で小説世界は進行。
現実世界と小説世界入り乱れる中、何役もこなしていく役者さん達の演技バランスも非常によく、それ故ストーリー的には楽しみながらも、もっと欲張ってもOKだったのではないかという思いが。
例えば小説家と主人公の意見が対立してバチバチする等、小説主人公にはもっと大暴れしてもらってハチャメチャになれば更によかったなーと考えてみたり。
これは想像ですが、旗揚げ作品がベースという事で、(かなり書き直しもされたでしょうがそれ以上に)当時から比べて演出・役者力が随分とUPした為、余力みたいなものが垣間見えた様に思ったのですがどうでしょう。

「若きキャラメルボックス」という印象が強く残った反面、当然TOYsBOXさんらしさを追求されている部分も見受けられ、特に「笑い」にはこだわろうという姿勢は感じられました。
クセ者な役どころで役者さんでもイケそうな作・演出家さんには、それでもまだ使っていない引き出しがある気がしてなりません。
そのアクの様な強味をいかんなく発揮させ、最強のTOYsBOXへと昇っていかれますよう期待いたします。

ハムレットマシーン

ハムレットマシーン

OM-2

日暮里サニーホール(東京都)

2018/03/22 (木) ~ 2018/03/24 (土)公演終了

満足度★★★★

「戸惑う」という感覚を大いに刺激されました。
舞台をグルッと1周取り囲む客席。
その一つに着席して観劇しているうち、自分が歪んだ時間を刻む時計盤上で、目盛のひとつに配されている様な感覚に。

具体的な確信に手が届かないもどかしさはありましたが、精神世界として捉えるにはあまりにも激しく且つ生々しい光景。
彼はかつて「ハムレット」だった男なのか、それとも「ハムレット」に憑りつかれた男なのか、とにかく神経をフル稼働しているうち、重圧・逃避・倒錯・・・混沌さがみるみる加速。
「目の前はこんな状況、それなのに空気が無臭で普通に美味しいのが不思議」何故かそんな事を思ったり・・・

「ハムレット」といえば藤原竜也がまず頭に浮ぶ私にとって本作を観終わった後、「なれの果て」という言葉がポッカリ浮かんでいました。

Yellow Fever

Yellow Fever

劇団俳小

d-倉庫(東京都)

2018/03/21 (水) ~ 2018/03/25 (日)公演終了

満足度★★★★

ジャズピアノの調べがさり気なく効果音となり、まるでオールドムービーを観ているかの様。

もはや現代においては絶滅してしまったのではないかと思える程 武骨で硬派な私立探偵。
その彼にしっかり食いついてくる女性記者は、まさにオヤジキラー。
じっくり煮込まれた台詞回しと所作のカッコよさ、東洋系移民が中心の物語という事もあり、翻訳モノながらしっくりきて、ハードボイルドの世界観もハマっていました。

カナダ西海岸において日系人達の寄り添う街が「スラム街」として扱われていた時代があったのは非常に哀しい歴史ですが、それはもう昔の事・・・いや、ごく最近聞いた政治発言と同じニュアンスが作中でも語られていたので気味悪い感じがします。

「う~んマンダム。」を真似されていた年代の方には直球なのではと思われる公演。

隣の芝生も。

隣の芝生も。

MONO

座・高円寺1(東京都)

2018/03/15 (木) ~ 2018/03/21 (水)公演終了

満足度★★★★★

それぞれ問題を抱えた2つの会社がお互いの腹を探り合う、ごく日常的なストーリーかと思っていましたが、個人的にはどこか『セーラー服と機関銃』を彷彿させる意外な展開の面白さでした。
勿論ストーリーは完全オリジナルですし「快感ッ」なバイオレンスシーンもありませんが、ユーモラスな空気の中に不穏な匂いが混ざり込んだ独特の味わいは、どことなく共通しているのではないかと。
直接的な描写はなくとも水面下で確実に存在する影、おのずと舞台上にないシーンまでも頭の中で広がっていくところにテクニックを感じます。

前作での「俳優育成講座」出身メンバーが本体作品の中で馴染んでいるどころか、大活躍されていて凄く頼もしい。
既にその時で会話の面白さが際立つ劇団さんである事は重々承知していたのですが、今回更に感じたのは会話を面白おかしく楽しんでいるうちに、登場人物のキャラクターはもちろん、お互いの関係性や心の微妙な変化等がごく自然にスルッと入ってくる絶妙さでした。

隣り合わせの2つの会社は、同じ舞台で左右に分かれたセットではなく、回転舞台による完全入れ替え制。
なので下手・上手の見えづらさとは無縁であり、ほんの数秒で雰囲気がガラッと変わります。

プープーソング

プープーソング

劇団きらら

北とぴあ カナリアホール(東京都)

2018/03/16 (金) ~ 2018/03/18 (日)公演終了

満足度★★★★

演劇職人な風格の舞台。サクサク進行する安定感。
レンタル彼氏(広くは人間関係代行業)を依頼するに至った女性の生き様は、ズバリだめだめではありましたが、人としては味わい深く、何とか幸せになって欲しいと思ってしまうタイプ。
彼女が思い悩む類の不義理は、大なり小なり身に覚えがある気がして自分の胸に手を当ててみたくなります。
(う~ん、あるかも。っていうか誰にでもあるでしょ、きっと)
何だか無意味にも思えるお金がどんどん消費されていく様は、オイオイッとツッコミたくなりますが、とりあえず情に流されやすい代行さんでよかったなーと。
若い代行さんの他に登場する、もう少し年配の代行さんがメチャクチャいい味。
人間、手垢がつけばそのぶん良い出汁がでるなー。としみじみしました。

猫と針

猫と針

劇団Kalium

新井薬師 SPECIAL COLORS(東京都)

2018/03/15 (木) ~ 2018/03/17 (土)公演終了

満足度★★★★

撮影スタジオに集まった5人の同窓生。
高校時代に起きた大事件や、直近の殺人事件等、きな臭い話題に縁のある面々。
事件の真相解明が軸になっている様にも見えますが、実際の見どころはその話題についてやり取りする彼等から滲み出る人間性にあった様に思います。

公演時間が比較的短いにも関わらず、全くそう感じさせない密度の濃さ。
とにかくしゃべる。5人揃ってもしゃべるし、誰かが抜けてもしゃべる。
その場に居ない人の噂をする事で露わになってしまうのは、噂されている人物より、むしろ噂している当人の人間性ではないかと思えて、どこか怖いものが残りました。
そして5人が集められた本当の目的も怖い。

気になるところは、役者さん達は登場人物の役柄ほどにスレてはいないと思われ、こんな台詞を言ってはいるけれど本当は良い性格なんだろうなーと、どこか想像できてしまうところでしょうか。
いい子達ばかりだと思っていたらラストでドスンと落とすタイプの内容の方がしっくりきたかもしれません。
どちらにしても劇団として伸びていく貴重なワンステップの意義は感じ取られ、実際、演出・役者さん達の持ち味の良さは本流以外の所からもポロポロこぼれ出しており、今後のまた違った角度からの作品も観てみたいと思いました。

渇愛

渇愛

名取事務所

小劇場B1(東京都)

2018/03/09 (金) ~ 2018/03/18 (日)公演終了

満足度★★★★

韓国の国民性というか気質というか、そういった空気感が色濃く出ていた舞台。
どうも自己主張の強い登場人物が多いと思えてならない韓国ドラマは、個人的には苦手なタイプで、早々に投げ出してしまう事がほとんどですが、本作に関してはしっかり見届ける事ができました。というか観る事から逃げられない感覚。

ムーダン(巫堂)にまつわる禍々しさが蔓延する中、決定的な深刻さを持ち迫ってくるのは夫婦の巡り合わせの悪さ。
不幸の連鎖はあまりに衝撃的で、次々と重くのしかかってきますが、それはそっくりそのまま“見応え”として昇華。
随所に入る記憶のフラッシュバックは映像的でありながら、血と汗の匂いが漂ってきそうな生々しさで、終始 照明と音響と演技が絶妙に絡み合い、役者さんの背後に伸びた影にまで迫力を感じます。
観終わった後は、何だかもう喉がカラカラになっていました。

Hysteric FIVE

Hysteric FIVE

放課後ランナー

ウッディシアター中目黒(東京都)

2018/03/07 (水) ~ 2018/03/11 (日)公演終了

満足度★★★★★

連続猟奇殺人事件を軸に、正にぶっ飛んだミステリアスコメディー・・・でありながらの変態超大作。
サスペンスタッチのスタートと認識するやいなや繰り広げられる展開は、まるで目の前にぶら下がった多彩なご馳走をひょいパクひょいパクと食べ突き進んでいく様な楽しさ。
夢中で食べ進んでいるうち、今一体どこに向かっているのか時折分からなくなっても、次々ご馳走が出てくるものだから、ひょいパクひょいパク。
気が付けばアラ不思議、見事ゴールに辿り着いていました。

映画に『変態仮面』という作品がありますが、やはり生舞台の持つインパクトとパワーは絶大。しかも沢山いるし(笑)
女性陣もクールセクシー系や羞恥コスチューム等で対抗。
登場人物全員が方向性こそ違えど見事なキャラクターばかりで見どころには事欠かないのと、とにかく華のある役者さんばかりだったなーと。

格闘アクションシーンに見とれたり、あまりの荒唐無稽さに笑ったかと思うと、いきなりのシリアスシーンにドキッとしたり、何かと感情目まぐるしく引き込まれましたが、いつの間にか変態コスチュームがシュールでお洒落に見えてくるから不思議。
本来のキャラとはギャップありまくりの吹っ切れた変態パワーには、もうぐうの音も出ません、お見事です。

PIGHEAD 蠅の王

PIGHEAD 蠅の王

ワンツーワークス

赤坂RED/THEATER(東京都)

2018/03/01 (木) ~ 2018/03/11 (日)公演終了

満足度★★★★★

ワンツーワークスさんがオフィスものを演じれば、そりゃ絶対面白いと思っていましたが、案の定めちゃくちゃ面白かったです。
とある会社での、いち部署内における人間模様を俯瞰で観察できる本作。
ギスギスしてしまうのにはそれ相応の原因があるのですが、会社というひとつの国家の中ではどうしようもないという現実。
社員一人一人の微妙な立場や、個性ある人格がどんどん擦り切れ変貌していく様が、それこそ手に取るように伝わってくる凄み。

同じプロジェクトでありながら執拗に衝突を繰り返す関係性に「やっぱりそうなるよねー」と気の毒になってくる思いと、「なんて巧い心理描写なんだ!」と作品としてのクオリティーの高さにひたすら感心してしまう思いの、意味としてはダブルのため息が出てきます。
オフィスワーカーは特に必見の、丸の内サスペンスホラーな作品でした。

遭難、

遭難、

成城大学 演劇部

成城大学 2号館地下 002教室(東京都)

2018/03/01 (木) ~ 2018/03/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

観劇中、私の中で何度も「性根」という言葉が頭をよぎりました。

生徒の自殺未遂問題によって別棟の職員室に追いやられた4人の教師。
連日、きっつい生徒の母親が責任を追及しにやって来るのがその理由で、まさに針の筵の職員室。
往々にしてトラブルが起こった時、その人の性格が露わになってしまうものですが、その赤裸々な人物像をリーダー格教師を筆頭に、どの役者さんも見事に身にまとっているので、すこぶる面白い。

もう少し高齢で、それこそプロの役者さんが演じた方が完成度は高いのかもしれませんが、彼女達が創り上げ醸し出す空気感は唯一無二。
この公演で本作『遭難、』に初めて出逢えた事は、とても幸運だったと思います。
前提として戯曲の良さも当然ありますが、その肝(きも)を充分汲み取った人間模様に、幕が上がったその瞬間から速攻引きずり込まれてしまう力強い公演でした。

舞台「エグ女」

舞台「エグ女」

TBSラジオ

CBGKシブゲキ!!(東京都)

2018/02/27 (火) ~ 2018/03/04 (日)公演終了

満足度★★★★

性悪な女、依存する女、男癖の悪い女等々14パートにわたって、たちの悪い女性のオンパレード。
着眼点が面白く、日常レベルの毒とユーモアで、どのパート楽しめますが何しろ1パートあたり10分未満。
テーマを深く掘り下げた作風が好みの方には不向きかもしれない反面、オードブルをちょっとずつ食す様に、色んな味を楽しみたい派にはうってつけな構成。

美人女優さんばかりで占められているのも本公演のウリだと思え、三戸なつめさんのお人形みたいな愛らしさと個性には、そりゃもうビックリ。
(ただし絶対関わりたくないエグ女役)
そして「だめんず・うぉ~か~」の作者でもある倉田真由美さん。
オープニングパフォーマンスでのキメ顔には笑ってしまいましたが、10パート目『輝美』の吹っ切れた演技で堂々たる存在感。

千葉のジョニー

千葉のジョニー

タンバリンステージ

Geki地下Liberty(東京都)

2018/02/28 (水) ~ 2018/03/04 (日)公演終了

満足度★★★★

千葉のご当地感満載の舞台が下北沢で。
だめんずキラーの結婚詐欺師も東京じゃなく千葉っぽい(?)
騙す者、騙される者、追求する者達に対して「よしそこでもうひと押しだ!」「駄目だ!騙されるな」「その追跡ばれるだろっ!」と何故かそれぞれに肩入れしたくなるオール愛されキャラで盛り上がりっぱなし、上手い。

終演後、演出家さんによるダメ出しがセットになっており何気なく笑っていた所にもチェックが入って中々手厳しい。
(ガチ指導7割、パフォーマンス3割な印象)

演劇部のキャリー

演劇部のキャリー

クリオネ

OFF OFFシアター(東京都)

2018/02/22 (木) ~ 2018/02/28 (水)公演終了

満足度★★★★★

役者バカなお二人だからこそ、そしてこのキャスティングだからこそ実現したといえる濃厚で純真でウェルメイドな二人芝居。
野口かおるさんの、こんなに色んな側面が引き出された作品を拝見したのは初めてです。
オクイシュージさんは、規格外な野口さんがたとえ突然襲いかかってきたとしてもパッと身体をつまんでクンクン匂いを嗅ぎ、そっと元の位置に戻しそうな貫禄があり、それこそ引き出しが無数にありそうな大人な役者さんだと思えました。(野口さんを一体何だと思っているのだ、失礼な!)

最初はキャピった女子高生の中から「野口かおる」が見え隠れする流れに笑い転げたり、その空気に自在に溶け込みながらも攻めも忘れないオクイさんの巧さに感心したりと、お二人の関係性の妙を楽しんでいましたが、ある場面から一転、ガッツリとストーリーの中へと引き込まれてしまい、もはや笑う事も忘れ、ただただ見入ってしまいました。
かなり無法地帯な舞台ではないかと想像していたのですが、それを沢山匂わせながらも絶妙な計算ずく!
元々お二人の為に書き下ろされた作品ではない事にビックリです。

あと強く印象的だった事・・・客席との一体感がたまらなく心地良い舞台でした。

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