満足度★★★★★
地下小劇場で無人島を舞台にした公演。
フライヤーと同じ衣装、シチュエーションもそのままに海辺に流れ着いた新婦。
彼女が激しい波風の音で目を覚ますシーンで「おっ!これはっ」という強い手ごたえを感じました。
ここから始まる漂流ドラマを真正面から直球芝居で魅せる覚悟がある事をハッキリ見せてくれたからです。
薄着1枚身につけただけの女性1人。
先住漂流者のおかげで、野垂死には避けられたものの、次に待ち受けるのは僅かな人間達とのコミュニケーションという難題。
苛酷な自然の中での生き残りがベースにあるものの、本作のキモは何といってもこの島から逃れられない人達の生き様。
実際なら何日も経てば、髪も肌も衣装もボロボロになるであろうビジュアルには目をつぶるとして(そこをリアルにされてしまうと結構きついですし)それぞれのバックグラウンドを想像しながら観る登場人物の立ち振る舞いや関係性にはグイグイ引き込まれてしまいます。
助け合いと暗鬼。特殊な状況下での人間ドラマが各自個性豊かに描かれ、演技をしっかり堪能するタイプの芝居を観ているぞー!という充足感に満たされていきます。
特に若者には未来を諦める事など絶対できない心からの叫びは、強く胸に突き刺さりました。