コナンの観てきた!クチコミ一覧

601-620件 / 908件中
「66-2 ~ロクロク2~」

「66-2 ~ロクロク2~」

円盤ライダー

山野美容専門学校マイタワー27階 〒151-8539 東京都渋谷区代々木1-53-1(東京都)

2018/07/27 (金) ~ 2018/08/06 (月)公演終了

満足度★★★★★

通常なら出入り出来ない場所が会場。
それだけでもポイントは高いのですがビル27階は両サイドがガラス張りで、まさにここでしか見る事が出来ない眺望。
代表渡部氏が先頭をきって絶景ポイントを力説してくれていたり、分刻みに夕陽の加減が変化していったり、何やら沢山物販が並んでいたりで、いつもの開演待ち時間は当日パンフに目を通す時間なのに全く忘れていました。

私が拝見した前作「66ロクロク」の会場は渋谷シダックスでしたが、頭上にはキラキラシャンデリア、客席がL字で囲うステージスペースは前作よりも更に役者さんが近く感じられ、座る位置によって色んな個性アングルを楽しめる仕様。
リピートされる方は次回はあの席で、その次はあの席でと、きっと目星を付けられている事でしょう。

初見でも楽しめるという事は全く新しい設定?かと思いきや、出ました!日本を応援する会社「エール」
早々に「そうそうこれこれ」感が湧きあがり、設定とはいえあの後もちゃんと企業として生き残っていたのだな~と嬉しくなってきました。
そして前作から更にパワーアップした内容。会場いっぱいの熱演の中にも舞台を自ら楽しむ役者さんの余裕すら感じられ、いまだ進化し続けている劇団さんなのだと思わせます。

ステージスペースがあって客席に座って演技を観て楽しむのであれば、それは「観劇」という事になるのでしょうが、それ以上の意味をもったパワーで迫ってくるこの力強さは何なのか。
今回の公演を体感して、それってもしかすると「熱苦しいほどの連帯感」なのではないかと自分なりに思い至りました。
慣れ合いというわけでもなく、目に見えない不確かなモノに対しての確固たる自信と信頼。
それが舞台上に留まらず演者と観客との間にも波及していたのではないかと。
何だか良い“気”を注入してもらった様で非常にありがたいと思った公演。
あっ、でもセミナーとかじゃありません、コメディーです!

かざぐるま

かざぐるま

ワイルドバンチ演劇団

中野スタジオあくとれ(東京都)

2018/07/27 (金) ~ 2018/07/29 (日)公演終了

満足度★★★★

劇団カラーという事でいいのでしょうか、3編とも信念ある登場人物が真っすぐに生き抜こうとする姿を描いた青春時代劇。
しっかりとした台詞のひとつひとつが、伝えたい内容を確実に観る者に届けたい!とする創り手の誠意の様に感じられ『地に足のついた台詞』の劇団さんだなーと思えます。
殺陣やアクションシーンは大きな見どころのひとつですがパフォーマンスに留まらず台詞等を盛り込みドラマを含ませている所が印象的でした。
ちょっと笑いを誘うような差し色があれば、より良かったと思いますが、ラストでの感情炸裂の連続は圧巻でした。

私は世界

私は世界

ワンツーワークス

赤坂RED/THEATER(東京都)

2018/07/20 (金) ~ 2018/07/29 (日)公演終了

満足度★★★★★

とても分かりやすく引き込まれる内容でありながら「危険地域取材の自己責任」と「若者の貧困の自己責任」どちらもなかなか正解を導き出せないテーマの提示であり、特に拉致問題に関しては人命が懸かっているだけに、いささかヘビーな気持ちが居残っています。
部外者としてただ報道で見聞きするのと、当事者やその家族、友人の目線になった場合とでは当然ながらモノの見え方が大きく異なり、改めて実際の事件報道内容に対して「致し方無し」と受け取っていた頃に思いが巡ります。

「自己責任」という座りの良い“突き放し”の正体が見え隠れする中、置かれた状況やとった行動が同じであっても、もし演者のルックスやキャラクターが変われば、心揺さぶられる色合いも微妙に変わってくるものと思われ、日本人は感情に流されやすく自分もその一人という事を実感せずにはいられませんでした。

忘却者来訪

忘却者来訪

ラビット番長

演劇制作体V-NETアトリエ【柴崎道場】(東京都)

2018/07/20 (金) ~ 2018/07/22 (日)公演終了

満足度★★★★

甘酸っぱい青春SFミステリーな感じは夏休みの香りがして季節的にピッタリ。
どこか懐かしい王道の面白さを楽しむ中、サイコパスを匂わす単語が出てきたあたりから不吉な香りも加わり、独特な光と影が生まれていました。
周りにサポートされつつフレッシュな役者さんが前面に出た演出は作品に合っていたと思います。

当日パンフで作者さんの指摘する本作と酷似した作品(映画化もされている)というのは、恐らく自分も実際舞台で観たことのある作品だと思うのですが、観ている途中では全く気づきませんでした。
私は上記のコントラストをもった今回の作品の方が断然好きです。
その作品が初演された10年以上も前に書きあげられ、しかも大学生時代の処女作とはとても思えないクオリティーでした。

顔!!!

顔!!!

艶∞ポリス

駅前劇場(東京都)

2018/07/18 (水) ~ 2018/07/25 (水)公演終了

満足度★★★★★

観客席から観ると大鏡の向こう側からテレビ局楽屋の様子を一望しているかの様な仕様。
幕が上がる(ライトアップする)と目の前にド~ンと出現しました、すっごい美人さん!
ただその冴えないオーラからすると、満たされていない事は明らかなのですが、いったい・・・

作者の方はTV局もしくはそれに関連した仕事経験アリか、でなければ相当な調査をされているものと思われ、舞台上の楽屋ではさもありなんと思わず納得に次ぐ納得の超現実的エッセンスが盛り沢山。
『ドラマ』よりもシビアで面白い『楽屋裏でのドラマ』が繰り広げられていました。
これまでTV番組等でも“業界モノ”はあったかもしれませんが、この舞台表現力の生々しさたるや本作の前では全て吹き飛んでしまいます。
登場する女優さんにしろメイキャップさんにしろ自分自身が売りモノなだけあって実に個性的。(いや局のスタッフ、マネージャーさんもかなりきっつい面々)
作者さんの意図するところは「美人はつらいよ」かもしれませんが、私には「美人であろうとなかろうと女はつらいよ」に受け取れました。
むしろ美人女優さんには「こんな生き馬の目を抜く芸能界に身を置くのなら、“枕上等”くらいのしたたかさがないと生き抜けないんじゃないのか」と思ってしまったのですが言い過ぎでしょうか。

何気に笑いどころ満載なところを含め、もう最高!!に楽しめましたが、女性の方なら、どこか身に覚えがある事もあったりして(無かったら無い事に対して)よりヒリつく様な面白さを味わえるのではないかと思いました。

ネタバレBOX

しかし男性陣、ワルいなーと思って観ていましたが、「“枕上等”くらいのしたたかさがないと生き抜けないんじゃないのか」的な発言が劇中男性スタッフさんの口からもあった事を書いた後思い出しました。こりゃいか~ん!
めちゃくちゃ頑張っていたのに美人女優さん・・・何を見ていたんだと反省。
招きたい客

招きたい客

座★ピカロ et teamDugØut 共同プロデュース公演

武蔵野芸能劇場 小劇場(東京都)

2018/07/14 (土) ~ 2018/07/17 (火)公演終了

満足度★★★★

オープン初日に仲の悪い女優同士が鉢合わせしたり、ミーハーなカップルがいたり、映画監督、パパラッチ等々クセの強いお客様が続々。
登場人物の一人が「あれっ何か前に見たことがあるような気がする」の台詞に「おやっ(別の意味で)自分もこの感じ観たことあるような気がする」と頭の中でつぶやいていました。
現代日本の設定とはいえ舞台は孤島に佇む洋館ペンション。そして外は嵐。
異なる部分も沢山あるものの、この感覚は昔観た『マウストラップ』じゃないのかと。
島の名前も「アガサ島」・・・確信犯決定ですね。
全員容疑者の殺人事件に、ペンションの中は疑心暗鬼の渦。
このままアガサ・クリスティーのエッセンスたっぷりの本格推理ミステリーとして正統に突っ走るのかと思いきや・・・
再演もあるかもしれないのでこれ以上は自粛ですが、結局しっかりオリジナルな作品でした。
大胆な構成、ラスト20分が本公演の本当の核なのでしょう。
このストーリーを制作する過程に興味が湧きました。

竹取物語 ~KAGUYA~

竹取物語 ~KAGUYA~

studio-TATE 殺陣道場

座・高円寺2(東京都)

2018/07/15 (日) ~ 2018/07/16 (月)公演終了

満足度★★★

舞台未経験者のチャレンジの場としては、なかなかに贅沢なステージ。
新生「竹取物語」。『バックトゥザフューチャー』テイストINのストーリーや途中スピンオフが入るアイデア等、演出にはパフォーマンスもふんだんに取り入れられて、ちょっとしたお祭りの様相。(もっとはっちゃけても良かったくらい。いやむしろそうして欲しい)

役者さんにとってはさすがにハードルが高いステージだったようにも感じましたが、光る原石探しの楽しみもアリ。
かぐやと信長は主役という事でナルホドといった感じですが、個人的には柴田勝家とザビエルも光って見えました。
これだけ若い役者さんが多いのであれば新生『コーラスライン』。セミドキュメントな感じのオーディションものを演ってみても面白いと思いました。

【東京公演】劇団壱劇屋「独鬼〜hitorioni〜」

【東京公演】劇団壱劇屋「独鬼〜hitorioni〜」

壱劇屋

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2018/07/12 (木) ~ 2018/07/17 (火)公演終了

満足度★★★★

台詞なしでもダイレクトに伝わってくるこの感じは、泣けると話題になった鉄拳のパラパラ漫画と通じるものがある様に思いました。
当然漫画ならではのダイナミックなカット割りはできないものの、表情豊かに全身で表現するダイナミックな展開の中には台詞がないからこその独特な情緒が真っすぐに伝わってきます。
個人的には“言葉”を封印するというのは勿体ないのですが、その場合のひとつの完成形として見事な作品でした。

作品の大半を占める激しい殺陣シーンひとつひとつには終わりのない哀しい物語が織り込まれ、それぞれの対戦バリエーションも実に豊富。
ちょっとしたタイミングミスで怪我に直結しそうなものの、迷いの無い華麗な動きの連続にはただただ見惚れるばかり。

上質なエンターテインメントであり立派な芸術作品。
観る価値は大いにアリです。

慕情の部屋 2018

慕情の部屋 2018

スポンジ

駅前劇場(東京都)

2018/07/11 (水) ~ 2018/07/15 (日)公演終了

満足度★★★★★

事件のあらましが分かっているうえで、登場人物達と同じ空気を吸い、その事件の経緯を“生”の目撃者として、罠に絡まっていく感覚と共に体感できるスタイルの公演でした。
このライブな面白さは映像では絶対無理。
役者さんが各役柄を等身大で自然に演じられているので、メチャクチャ入り込めました。

何しろ扱っているのが殺人事件なので重く暗い空気に包まれるかと思いきや、ごく日常の延長線上にある世界観、獄中シーンでさえも「実際こんな感じなのか」と興味深く見入ってしまいます。

再演という事で前作は拝見していないのですが、間違いなく相当のブラッシュアップがなされていると確信できる公演で、いろんなシーンに対応したセットの工夫や、立体感ある音響等、絶妙な演技と共に大いに楽しませて頂きました。

ネタバレBOX

一番の被害者はもちろん旦那とその家族ですが、純情を巧みにもてあそばれた挙句、犯行に搔き立てられた若者の青さが不憫でならない。
愚かだったとはいえ、彼の未だ呆然とした中に湧き上がる悔しさが伝わってきます。
若者を一気に落としにかかった主婦の滑った唇が艶めかしくも、恐ろしいです。

実際描かれたシーンの他にも様々な心理戦略の過程、やり取りがあったであろう事がイメージできてしまい・・・そういえばよく考えると実際の殺人シーンは無かったのですね・・・スゴイ表現力!(脳内ではしっかり存在しています)

自在の時系列、ラストシーンは当然獄中かと思いきや心憎いシーンで幕。
もっともっと沢山拍手を送りたかったのに、ちょっと呆気に取られた形で劇場をあとにしたのが唯一心残りです。
甘い丘

甘い丘

えにし

ザ・ポケット(東京都)

2018/07/04 (水) ~ 2018/07/08 (日)公演終了

満足度★★★★★

一般社会から、あえて遠ざかる様に存在する丘の上のサンダル工場。
女だらけの工場かと思いきや男女入り乱れて中々の無法地帯。
面接を受けに来た訳アリ主婦同様「ひでーな、こりゃ」の荒れ放題に思えたこの場所が、一緒に時を刻むごとに段々居心地が良くなってくるから不思議。

工場の人々は概して野蛮ではあるけれど、それぞれの影と寄り添う姿は個性的で、お互いの傷をなめ合う様な馴れ合いは無くとも、お互いの微妙な距離間がある意味“思いやり”とすら感じてきます。
季節の移ろいと共に何だか丘を降りた社会の方が、よっぽど残酷なところに思えてきてしまう中、この工場を踏み台に社会へと飛び出していく者がとても輝いて見えたのも確か。
実に様々な登場人物の“生き抜く姿”を堪能できました。

ブロウクン・コンソート

ブロウクン・コンソート

パラドックス定数

シアター風姿花伝(東京都)

2018/06/26 (火) ~ 2018/07/01 (日)公演終了

満足度★★★★

昔ハマって読み漁ったハードボイルド小説「新宿鮫」シリーズを彷彿させる世界観。
それが生々しく舞台上で繰り広げられるなんて。
闇社会で生きる人々の、上っ面だけでなく いびつに揺れ動き、やがて軋みだす内面もしっかり伝わってくる濃厚な時間でした。

都会の盲点、白昼堂々と拳銃製造に勤しむ兄弟。
もう行き着く所までいかなきゃ収まらないであろうピリついた空気に心はザワつきっぱなし。
自分が悪い事をしているわけでもないのに、どんどん追い詰められていく様でビクビクものでした。

ネタバレBOX

ヤクザの弟分は、もう自滅の道を決め込んでいたのだろうか。
情報セキュリティーに対して、今一つ甘いのでハラハラします。
だとしたら一人で自滅すればいいのに・・・悪党。
殺し屋は更にあけすけで全ては計算づく?細かい事は問題としない余程のヒットマンかと思いきや、社会人の皮を被った壊れた人でした・・・別の意味で怖い!
いやいや余りのえげつなさに笑いまでおこる刑事が一番怖いのかも・・・いや拳銃兄弟も、あぁ~っもう皆じゃん!
Dの呼ぶ声

Dの呼ぶ声

成城大学 演劇部

成城大学2号館地下1階002教室(東京都)

2018/06/28 (木) ~ 2018/07/01 (日)公演終了

満足度★★★

「心」と「身体」。目に見えないだけに「心」の存在は実に謎めいていると思わせる作品でした。
それがヒューマノイドであったとしても。

主要な役どころも含めて多数の1年生が出演。
ちょっとづつの自己紹介で見せた個々の魅力をもってすれば、今後場数を増やすごとに更なる良い公演を観せてくれそう。

緑色のスカート

緑色のスカート

みどり人

新宿眼科画廊(東京都)

2018/06/29 (金) ~ 2018/07/03 (火)公演終了

満足度★★★★★

恋愛は人生の椅子取りゲーム。
誰だって軽やかなステップを踏み鳴らし、男ならスマートに、女ならしなやかに目指した椅子へチョコンと納まりたいところ。
しかし、いざとなると思わず「ゴゥォリャ~!」と鬼の形相で飛び掛かってしまう悲しい人のサガ。
そこで軽く弾き出されてしまうか、誰かを引きずり降ろしてでも椅子にしがみつくのかは人それぞれ。
他にも踏ん切り悪く次のチャンスを虎視眈々と狙ったり、ちゃっかり座れたと思ったらなんと糞が付いてて飛びのいてしまったり・・・
そんな、あぁ~ッ穴があったら入りたい!感覚が満載でむちゃくちゃ楽しい。

本当にどこにでもいそうで、自分の友人だったり仕事仲間であったとしても全くおかしくない登場人物の面々。
その中に過去の自分自身が何気に紛れていたとしてもおかしくないくらい。

おそらくは多くの女性と同様に、子供の頃、憧れのキラキラ男子がドジで無欲な主人公女子に真剣な愛の告白をする少女漫画に心ときめかせ育ったであろう作者さん(偏見が入っていたら申し訳ない)が、大人になり冷ややかで鋭い観察眼・表現力と人間愛を装備して、これがリアルの恋愛劇です!と言わんばかりにホントのリアルを突き付けられたかの様でした。
役者さんは全員巧いし、流れるようなテンポや場面の表現力、足音が響くフローリングを逆手にとった演出も見事です。
観にいくと、ひょっとすれば舞台上に自分の姿があったりするかも。

ネタバレBOX

ラストシーンにビックリ。
もう一つ手前の正にピッタリのところで終わった方がしっくりきたのにな~女心って複雑・・・と観劇直後には思ったものの、しばらくしてナルホドっと。
救いを求めて彷徨う人の心の動きは予想もつかなくて本当に面白い!
参りました。
安楽病棟

安楽病棟

劇団青年座

本多劇場(東京都)

2018/06/22 (金) ~ 2018/07/01 (日)公演終了

満足度★★★★★

通常の病院よりも明るめの内装や、その調度品に至るまで私の認識しているものと寸分の違いもない終末期医療病棟が舞台上にありました。
その病棟で生活を送るのは様々な症状を抱えた認知症患者。
舞台を降りれば皆さんしっかりお元気な役者さん達なのでしょうが、それは最前列で観てもイメージに歩み寄る努力は全く必要のない年老いた認知症患者さんでした。

前半は病棟での何気ない日常が、看護師さんには本当に目まぐるしく、患者さんにはゆったりとした日々がとても丁寧に描かれており、ごく自然な可笑し味と「老い」が突き付ける各々の哀愁がしっかり感じ取られます。
休憩を挟んだ後半はドラマが大きく回りだし緊張感が生まれる中、認知症と終末のあり方について、もうとことん考えさせられました。
突き刺さる様な台詞のひとつひとつを噛みしめながら帰路につき、そのまま本作の内容を家族に報告して話し合ったりしました。

「老後」や「認知症」についてはラビット番長・光希・ハグハグ共和国さんも作品で扱われていますが、どの劇団さんも真摯にテーマと向き合われており、毎回考えさせられます。
認知症には将来なるかもしれないし、ならないかもしれない。
青年座さんの本作もしっかりした演技・演出で、とても長編小説の舞台化とは思えないほどの自然な流れと、舞台ならではの圧倒さでこちらに問いかけてきます。

ネタバレBOX

観終わった直後、冒頭でおじいちゃん、おばあちゃんが独白していた“こんな風に死ねたらいいのに・・・”の内容が蘇り、決して悲しいだけではない感情が湧きあがりました。
コーラボトルベイビーズ

コーラボトルベイビーズ

第27班

駅前劇場(東京都)

2018/06/22 (金) ~ 2018/06/27 (水)公演終了

満足度★★★★★

一言でいってしまえば「家族」の物語という事になるのでしょうが、あまりにもいろんな感情が染み出してくる深い味わいに驚きました。
現在進行している2方向からの描写や過去の情景等々、演劇テクニック的に何という手法が施されていたのかよく分かりませんが、料理なら「うまッ、コレいったいどうやって作ってんの?こんなの家じゃ絶対できないわー」的な感じ。(う~ん、伝わるのか、この表現で)
作中では家族の歴史とは全く関係のない、おバカな男3人衆がスゴくいいスパイスになっていたのは確かだと思うのですが。

幸いにも自分の父親は本作の様なダメ親父ではないし、家族構成的にも全く異なるので、共感するには遠く離れているはずなのに、だからといってよその変わった家族をただ鑑賞してきたというには、あまりにも心打たれる感触が生々しい。
悩み多き思春期の甘酸っぱさや苦みがたっぷり染み込んだ「家族時代」に培われたものが、親元を遠く離れた現在に、良くも悪くもしっかり繋がっている事をしみじみと噛みしめてしまうからでしょうか。

二代目はクリスチャン

二代目はクリスチャン

★☆北区AKT STAGE

北とぴあ つつじホール(東京都)

2018/06/21 (木) ~ 2018/06/24 (日)公演終了

満足度★★★★

「蒲田行進曲」同様に大きい劇場じゃなければとても納まりきれない弾けた作品。
昔観た映画版の記憶はおぼろげですが、多くの仲間がいたはずの教会陣営に舞台版ではシスターが一人だけで活動しており、自身の意志をそのままストレートに出せる環境の違いがポイントでした。
何より生の芝居、飛び散る迫力、エンターテインメント色の強さに加えて心の内を絞り出す様な台詞の応酬。
役者さんだけでなく、音響・照明さんの仕事量・内容のハードさは通常の舞台の一体何倍?
「愛と憎しみ」「友情と嫉妬」が入り乱れ、繋がり合ったり、敵対したりと関係性の変化を追うのになかなか苦労しましたが、そんな泣き言をいうと「ナ~ニが関係性じゃ!」とたたっ斬られそう。

おそらく真っ新な一度目の観劇よりも、程よく要点をおさえた二度目、三度目の方が、より味わい深く楽しめるのではないかと。
演じる方も観る方も一筋縄ではいかない感じが、つかこうへい作品。パワーの塊です。

白石邸~誘引速度アップアップ!!

白石邸~誘引速度アップアップ!!

劇団だっしゅ

北池袋 新生館シアター(東京都)

2018/06/22 (金) ~ 2018/06/24 (日)公演終了

満足度★★★★★

さすが25周年劇団の貫禄。
場内の空気を自在に操る小劇場コメディーとして、そしてストーリーものとして最上級の面白さでした。
貫禄はあっても皆さん何故か若々しいのはどーゆう事?

最初の展開に、あらすじと全然違う話?かと思いきや、しっかりあらすじと合流していき、カオスな登場人物がひとつのストーリーに繋がっていくのがメチャクチャ楽しい!
コメディーとサスペンスのメリハリがバッチリ効いているのと、コメディーが故に事件真相の幅がグ~ンと広がって、誰が犯人か全く予測できません。
もっとも笑い楽しむのに没頭しきって元から犯人探しの方は放棄していましたが。
「前説」に連動しての「中説」もオモシロの加速度をUPさせたまま、いい頃合いで観客に背伸び運動させてくれるのは(『動物電気』さんも取り入れていますが)有難き気配り上手。

私の観た初日一発目で既にエンジン全開、客席は満席に近かったですが、日曜の回にはまだ席に余裕があるそう。
空席なんて絶対勿体ない!!ホント、マジで。

ネタバレBOX

ラストでまさかのシリアス?な展開。
白石邸に関わる二人の目から自然と涙がポロポロとこぼれ落ちていくのを目の当たりにして愕然。
そしてまた一人・・・
劇団さんの骨太な本質がハッキリ見えた瞬間だと思え、感動すら覚えました。
やんちゃんのマス遊び

やんちゃんのマス遊び

シャービィ☆シャービィ

CINEMA BOKAN(BARガリガリ)(東京都)

2018/06/14 (木) ~ 2018/06/20 (水)公演終了

満足度★★★★

頭の中でイメージしていた、ポスターいっぱい老舗の下北沢BARな感じの会場(最寄は下北ではなく池ノ上だけれど)
会場の雰囲気だけでなく、作品を観ていてレトロで懐かしい感覚になるのは昔の演劇大好き“早稲田っ子”の香りがするからじゃないかと思え、帰って見直してみると作・演出家さんはやはり早稲田演劇研究会OGの方で大きく納得、しかしナゼ若い方達ばかりなのに古き良き香りを感じられたのかは謎。
赤川次郎ミステリーっぽい作品もあって、そんな所もちょっとレトロ。

ポップで不思議香辛料の効いた4作品、小さな会場に演劇愛がビシバシ伝わってイイ感じです。
どのパートの主人公も共通して「イケてる」に乗り切れない女子達、その迷える心理描写やリズミカルで分かりやすいストーリーに一番共感しやすいのは、やはり同年代の女性観客ではないかと思えるのですが、今日の会場ではその どストライクな客層が少なかったのは何だか意外でした。

今、小田急のCMでやってる、傷心の若い女性が一人 下北をさまよい小演劇を観て、ほんのり生きてる幸せを取り戻すヤツ。
あのCMが意図する演劇シーン部分にピタッとはまる!そんな感じの公演でした。

The Manpower

The Manpower

劇団スクランブル

シアター711(東京都)

2018/06/13 (水) ~ 2018/06/17 (日)公演終了

満足度★★★★

いわゆる街で見かける喫茶店で会話する人々。
何を話しているのかはうかがい知れないものの会社の愚痴だったり恋愛話だったり十人十色のコミュニケーション活動。
そんなやり取りが次から次へと目の前で生々しく繰り広げられ、ついでに喫茶店の内情まで露わになる、まさに人間ウオッチング満載状態でのスタート。
多彩な人間関係、のっぴきならない迷惑男がその点と点を結んでいったり、勝手に繋がったりしていくも、それらはストーリーというより個と個が接触して必然的に巻き起こる化学反応の様。

あっという間の2時間でしたが10分ほど休憩して、またその先が始まってもおかしくないくらい。
まだまだ彼等の生活は続くのだから物語は死ぬまで終わり無し。

創り手の意地悪な観察眼もなかなかですが、それを観て笑ってしまうごとに「そんな自分も下世話でゴメンなさい」と思ってしまう面白さでした。

希望のホシ2018

希望のホシ2018

ものづくり計画

あうるすぽっと(東京都)

2018/06/13 (水) ~ 2018/06/17 (日)公演終了

満足度★★★★

石原プロモーション&元宝塚男役そして野村宏伸さんが醸し出す商業演劇的華やかさと、ものづくり計画の役者さん達が醸し出す親しみやすい人情味、それぞれダブルの味わいが混在していて、今まで観た事ない新鮮な風が。
主に前者が刑事モノのサスペンステイスト、後者が事件に関わる人物が働く民宿で巻き起こる猥雑なコミカルテイスト、この二層構造でもって未解決殺人事件の謎解きストーリーを大いに盛り上げてくれました。

平和の象徴の様なスマイル顔 池田努さんと、苦悩が表情に張り付いた様なシリアス顔 野村宏伸さん、対極なキャラともいえる役者同士がバチバチぶつかり合う渾身の演技バトルシーンはかなり見応えありです。

ネタバレBOX

遂に辿り着いた真相解明の内容には多少不満があったものの、すかさずハートフルなエンディングシーンでじんわりイイ感じに。
何かうまく誤魔化された様な気もしますが、そこに辿り着くまでの様々なエピソードが大いに楽しめたので結果オーライか。
欲を言えばグッとくる刑事アクションシーンが欲しかった。

このページのQRコードです。

拡大