コナンの観てきた!クチコミ一覧

581-600件 / 908件中
いる

いる

劇団冷たいかぼちゃスープ

APOCシアター(東京都)

2018/09/15 (土) ~ 2018/09/17 (月)公演終了

満足度★★★★

現実世界と比べて、ほんのちょっと時空が歪んでしまった社会生活の営みを観ているような感覚アリ。
そのちょっとだけズレてできたスキマから、ひょっこり奇怪なモノが顔をのぞかせることも。
私には2度目の冷たいかぼちゃスープさんですが、認識としてはAPOCシアターに棲む怪人ならぬ怪劇団といった感じ。

作中では欠陥商品が発見されたトラブル真っ只中のメーカー業界を中心に「転職斡旋会社」や「ライブもやったりする飲食店」で働く(もしくは働きたい)人々が続々登場。
沢山のワークマンが出てくる中、個人的には容赦なきトラブル対応に追われるメーカー営業マンの辛い立場や心情が(ちょっと意地悪いデフォルメでブラックな笑いを誘いつつ)的確に表現されているのが味わい深かったです。

いろんな登場人物たちの「働く顔」と「プライベートな顔」が巧みに交差して、味わい深く感じる人は他にも沢山いるのですが、それがために情報過多ぎみに感じてしまうのは一長一短、それでも もっとじ~っくり一人ひとり咀嚼してみたいとも思えました。

「日本の労働者」 立場はいろいろで、なんか凄く大変だけど、なんか凄くイイ。
時には職責の曖昧さにヤキモキしたり、投げ出したくなって然りなことがあったとしても、やっぱり日本の会社。
「労働」からの「人生」「生活」「家族」「結婚」いろいろと噛みしめることができました。

ネタバレBOX

終盤で一気にほんのり人の体温を感じさせる世界観へと収束。
テクニックありますね~
そこには音楽の持つ力も絶妙に発揮されていました。
¡ Amor Amor Amor ! ~愛こそすべて・2~

¡ Amor Amor Amor ! ~愛こそすべて・2~

ARTE Y SOLERA 鍵田真由美・佐藤浩希フラメンコ舞踊団

よみうり大手町ホール(東京都)

2018/09/14 (金) ~ 2018/09/15 (土)公演終了

スペイン歌謡、いただいたパンフで訳された歌詞を読んでみると、案外日本の昭和歌謡と通じるものがあって面白いと思ったものの、幕が上がってみればやはりスペイン情緒たっぷりの世界が。
突き刺さるようなステップ音と手拍子、舞台いっぱいに広がる群像美や、愛の駆け引きがドラマチックな男女パート、一番個性が出るソロパート等、本物のフラメンコをこんなに手変え品替えタップリ満喫できたのは初めてでした。
生演奏はもちろん、豊富なボーカル陣、衣装も毎回チェンジされ見どころのひとつに。

めちゃくちゃ情感溢れるちょっと長めのギターソロのあと、ダンステクニックの知識などなくても、迫りくる気迫とステップに「これがホンモノの醍醐味か!」と身体で感じ取れる時間がやってくること必至。
観てきたホヤホヤの感想でした。

ステイ・ヤングとか言われても

ステイ・ヤングとか言われても

GORE GORE GIRLS

シアター711(東京都)

2018/09/11 (火) ~ 2018/09/17 (月)公演終了

満足度★★★★

厄介なるこじらせオジサンと、このオジサンを取り巻く若者たちの物語。
そして彼らが深刻になればなるほど可笑し味も増していく文系コメディー。

奇妙な集団シチュエーションをこれでもかとねぶり倒し、よくもまぁここまで色んな味を引き出せるものだな~と。
深刻にして平和。

ネタバレBOX

厄介なるこじらせオバサンも登場(別の意味でこちらも強烈)

オジサンやオバサンだって思いっきり駄々をこねてみたい!
そして若者たちがそれに対して四苦八苦してくれる。
これってオジサンやオバサンにとっては夢のようなシチュエーションなのでは?
なんかい~なぁ~、ファンタジーですね(笑)
LIMIT

LIMIT

劇団ベイビーベイビーベイベー

シアター風姿花伝(東京都)

2018/09/12 (水) ~ 2018/09/17 (月)公演終了

キレッキレのアクションシーン。
やりすぎ女刑事(交渉人)が“べらんめえ”でかっけー!
対決相手はサイコパスな愉快犯。
全体の流れが刑事ドラマ(主演は篠原涼子あたり)の映画版といった雰囲気で、カット割りの様なシーン切り替えや、迫力あるサウンドもなかなかの煽り上手。

外国が舞台なので、ここに洋風テイストが入ってくるのですが、個人的には完全に日本の刑事モノとした方が好みだったかも。
これは自慢ではありませんが、謎めいた犯人の正体がズバリ的中していて思わずガッツポーズ(心の中で)

覆面

覆面

MICOSHI COMPLEX

池袋GEKIBA(東京都)

2018/09/05 (水) ~ 2018/09/09 (日)公演終了

満足度★★★★

インテリジェンスとエロとバカバカしさがごちゃ混ぜになった勢いある展開。
あれっミステリー要素は?
事前に抱いていたイメージとは異なる冒頭での作品カラーに驚きながらも、とりあえずは絶えずクスクス笑いを引き起こす
ハイテンポな台詞の応酬
覆面作家「向田國夫」の絶好調ぶり
を存分に堪能。

4人の個性バランスから成り立つ覆面作家「向田國夫」
4人の若さと各自の偏りっぷりが絶妙。
彼等の活躍に水を差すが如く現れたのは「ニセ向田國夫」
両者の対決をこのまま笑って楽しんでいればいいのかと思いきや、やはり裏があったのですね。

ネタバレBOX

インパクトあるスタートに飲み込まれ、全ての設定を無条件に受け入れていましたが、そのルーツに遡ることでミステリー色が加わってくるのですね。
4人の覆面作家の“闇”と来たるべき落差はとても巧く描かれていましたが、せっかくの華麗なる復讐劇。
ニセ覆面作家を突き動かす源である事件内容はもっとショッキング(罪深い)であった方が、より響いたのではないかと思いました。
彼女が背負い込んだものは余りにも大きい。
OPTIMISM

OPTIMISM

アブラクサス

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2018/09/05 (水) ~ 2018/09/09 (日)公演終了

満足度★★★★★

ヘレンケラーとサリバン先生の出逢いから約50年にわたるライフストーリー。
冒頭からのお馴染み「ウォーター」を認識するまでの格闘記もさることながら、言葉を得た後のヘレンケラーの人生は“更に”といってよいほど興味深く、「楽天主義」という意味のタイトルだそうですが、苦難が続く運命、彼女がそれに打ち勝てる“精神力の源”に感じ触れることが出来たのは鳥肌が立つほどに感動的でした。

奇跡的に言葉を認識できるようになった後、今度は実家が没落する等、悲劇的な状況には事欠きませんが、ヘレンやサリバン先生、その他の人物がさり気なく醸し出すユーモラスな部分が、作品をより豊かで親しみやすいものにしていたと思います。

ネタバレBOX

とても人の良さそうなヘレンの母親でさえ黒人への差別意識は絶対的。
身障者に対しての偏見が全くない人だけに根深さを感じさせます。
しかしヘレンケラーの訴えは、ただひたすら心からの希望が切々と語られており、とても美しいと思えました。

彼女とサリバン先生、ピーターと黒人少年の4人チームでの生活期が一番好きだったなーと。
1/2error〜きみの棲む街〜

1/2error〜きみの棲む街〜

Nuts Grooove!

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2018/08/31 (金) ~ 2018/09/03 (月)公演終了

満足度★★★★★

新宿ゴールデン街標準サイズほどの店内は、ちょっとシックな内装がイイ感じ。
この店に迷い込んだサラリーマン目線の作品かと思いきや、ゲイマスターやお店の常連さん達の日常風景もしっかり描かれた作品でした。
役者さんの感情が自然と役柄に寄り添っているように感じられ、日々面白おかしく生きている姿は、確かに楽しいものであっても、表情や言葉の端々には大人の苦味が滲み出しています。

ひしめく都会のネオンの中だからこそ、ひっそりと賑やかに営まれる小世界に、本来交わる事などなかったはずの若いサラリーマン。
異種なる交流が生み出す酔いの回った楽しき空間から、やがて各々自身を見つめ直す空間へと変わっていく人と人のぶつかり合いには、不器用な愛がいっぱいで、それらは都会に生きる人への応援歌の様に感じられ、心に優しく染み入りました。

ネタバレBOX

もしサラリーマンが己を振り返った電話のシーンで終わっていれば、これまでの壮絶で素敵な一連は夢まぼろしだったかの様な印象となり、それはそれでアリかと思いましたが、しっかりとつづきが。
こういう人達が都会のどこかで逞しく生きているのかもしれません。
白い花を隱す

白い花を隱す

Pカンパニー

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2018/08/31 (金) ~ 2018/09/04 (火)公演終了

満足度★★★★★

キレッキレでエネルギッシュなスタッフの面々は、さすがドキュメンタリー制作会社といった感じで輝きがあって頼もしい。
女社長もなかなかの男前っぷり。
チームワークもフットワークも抜群な会社が政治的圧力によって壊れていく様はそれだけにヒリヒリ感を伴って、凄く勿体ない事をしたなと思えます。

作品では視点をその社員の婚約者(彼女も元制作スタッフ)に据える事で、より登場人物達の輪の中にとけ込みやすく、且つ彼等の人となりが伝わってきやすい内容になっていました。
会社関連以外の登場人物である、家族役の円城寺あやさん、近所のおばあちゃん役の福井裕子さんの存在も印象的。

渾身の思いで制作した映像が、不本意な形に姿を変えて身に降りかかってきた彼等の動揺と無念さは舞台からも強く伝わり、出来る事なら報道で晴らしたかったかもしれませんが、これをちゃんと問題視する人達がいて、現にこうして演劇というカタチで語り継がれるという事は立派に意味があったという事なのだと思います。

ジャッジノット!!審理編&評議編

ジャッジノット!!審理編&評議編

演劇企画アクタージュ

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2018/08/30 (木) ~ 2018/09/02 (日)公演終了

満足度★★★★★

『審理編』からつづけての『評議編』

「評議編」は当然そのまま「審理編」での裁判シーンのつづき。かと思いきや、場面がガラッと変わって裁判所の控室。(つまりセットが入れ替わります)
「審理編」では基本 後方にて傍聴スタイルだった6名の裁判員達の、その後の話し合いが行われ、こちらは暗転無しノンストップのリアルタイムスタイル。

本件の事案に対して「被告人は黒か白か」持論をぶっちゃけ合うこの「評議編」は、「審理編」の時に垣間見えていた裁判員それぞれのキャラクターが炸裂し、これってまさしくアクタージュ版『十二人の怒れる男』
ただし『十二人の怒れる男』と大きく違うのは、前の「審理編」で私も一緒にこの裁判の成り行きをしっかり見届けているところ。
「審理編」で湧き起った「気づき」や「引っ掛かり」をここでは彼等がガンガン発言してくれるので「そう、そこだよ!そこっ」と、完全に吸ってる空気は一緒です。

「審理編」での体験を経ての「評議編」は作品全体をすごく立体的に観せてくれるのでメチャクチャ相乗効果アリまくり!
尚且つ「評議編」を観終わった後になって、またもや「審理編」を観たくなるという自身に湧き起ったまさかの衝動。
ええ観ましたとも、ぶっ続け2度目の「審理編」(笑)

一度目の「審理編」では受け身体制で転がされっぱなしだった私も、二度目では完全なる訳知り体制。
すると同じ作品なのに一度目で見えなかったモノまで逐一見えてくるではありませんか・・・これって快感です。
一気に連続3公演、予定が大きく変わった『ジャッジノット!!』づくしの1日。すっごい疲れましたが、すっごい貴重な体験でした。

ネタバレBOX

しっかり自分も裁判員になりきって

・凶器の果物ナイフが、被告の家にあった所有物と証明できないのであれば、明らかな証拠不十分でしょう

・犯行時における声だけの目撃証言「死ね~っ」は犯人が彼女だとすると絶対おかしい。
「(お願い)死んで~っ」ならわかる。

・仮に被告人が有罪と判決されたとして、もしそれが間違っていた場合、被告人に何重もの悲劇をもたらす事となる。

この3点を楯に、「自分は君達みたいにブレないよ!」と鼻息荒く論争に加わって(いるつもりで)観ていました。
変人ですかね(笑)
ジャッジノット!!審理編&評議編

ジャッジノット!!審理編&評議編

演劇企画アクタージュ

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2018/08/30 (木) ~ 2018/09/02 (日)公演終了

満足度★★★★★

『審理編』
入場してみると舞台にはジャ~ンしっかり法廷が。
裁判スタート(開演)で下手に検察団、上手に弁護団、要所々々に事務官、更には奥手の横一列に裁判官をセンターとした裁判員がズラリと並んでもう圧巻の絵面。
あぁこのパターンは発言者以外のリアクションにも是非注意を払いたくなる、どうにも目が忙しいやつ~ッ(笑)

ここまで本格的な裁判モノとなると堅苦しく小難しい内容になる心配があろうものの、そこはさすがのアクタージュさん。
リアルとエンタメを織り交ぜて軽快に観せてくれました。
事件内容は至ってシンプルなものの決定的目撃者が不在で、且つ被告人が犯行を否認してしまうと、もう真相は藪の中。

その藪をかき分けるが如く状況証拠をもとに攻防を繰り広げる検察団と弁護団。
もう最初から双方戦う気満々、タイプは違えど、どちらも攻撃タイプの対決で、それらのやり取りを傍聴しているうちにフムフムナルホド、事件の独特の色合いが段々と見えてくるではありませんか。
とは言っても生ものの裁判は予定調和とはいかないようで、時には阿鼻叫喚。
裁判員と一緒になって、はぁ~(ため息です)いいように転がされてきました。

たまに難しい用語や怒涛の局面があっても、風格ある裁判長が一般人である裁判員に理解を促す体(てい)でしっかり指揮をとってくれるので助かります。

「サギムスメ2018」人生晴れたり曇ったり

「サギムスメ2018」人生晴れたり曇ったり

劇団たいしゅう小説家

ワーサルシアター(東京都)

2018/08/29 (水) ~ 2018/09/02 (日)公演終了

満足度★★★★

客入れ時間の30分。舞台上では大衆演劇の楽屋ならではのちょっとしたパフォーマンスが。
女性には興味深いものらしく、しっかり凝視されている方は多いものの、自分はフ~ンと当日パンフ等のウオッチングタイムに。
しかし15分経過した頃に目をやると「アレっ、へぇ~っ」と思わずシフトチェンジ。
いつしか笑いも起き出します。(パフォーマンスは開演5分前に終了)
その後、突入する本編の冒頭から一気に大衆演劇一座の世界へと引きずり込んでしまう手腕はお見事で、否が応でも雰囲気が盛り上がります。

あらすじだけ読めばコメディーに結構ありがちな設定にも思えますが、実際始まれば演出と演技が持つ力というのでしょうか、とても新鮮。
人と人とのやり取りがめちゃくちゃ可笑しくて、その出来があまりに良かったために「化かし合いストーリー」のどんでん返しがおまけの様に感じてしまうほど。
楽~な気持ちで、たっくさん笑える作品です。

同情するなら金を積め

同情するなら金を積め

怪奇月蝕キヲテラエ

新宿眼科画廊(東京都)

2018/08/24 (金) ~ 2018/08/28 (火)公演終了

満足度★★★★

ショッキングなタイトル。そしてそれに負けず劣らずのショッキングなスタートながら、主人公マドカを筆頭とする登場人物の「意志」がハッキリとブレがないので、観劇前に予想していた悲壮感はかなり少なめ。
ただ、自身の存在のせいで皮肉にも家族の「意志」がバラバラになってしまい、それらが一直線上に並ぶ事はどうにも難しく「もう一度家族みんなで過ごしたい」マドカの奮闘はちょっと痛々しく映ったのもたしか。

小気味よくハイテンポな展開の為、実際の公演時間以上のボリュームを感じます。
しみじみ感情移入するというより、めくるめくストーリー展開を楽しむタイプの作品だと思いました。
それにしても15歳のモデル少女、度胸とお色気ありすぎ。

白雪姫という女

白雪姫という女

ライオン・パーマ

駅前劇場(東京都)

2018/08/23 (木) ~ 2018/08/26 (日)公演終了

満足度★★★★

ハッピーエンドから年月を経た白雪姫の続編には、世間の手垢がいっぱい付きまくりの可笑しくもほろ苦い、もう一つのエンディングが用意されていました。
長い人生は「めでたしめでたし」で簡単に終わるはずも無く、女の業と男の打算が入り乱れて一筋縄ではいかないのですね(笑)
もはや童話の登場人物としては全く相応しくないキャラクターが沢山。
毒りんごの義母もしっかり登場し、場末感あふれる大人の小演劇仕様な作品でした。

二代目なっちゃんの愛人。

二代目なっちゃんの愛人。

なかないで、毒きのこちゃん

OFF OFFシアター(東京都)

2018/08/21 (火) ~ 2018/08/30 (木)公演終了

満足度★★★★

こちらの劇団さんには“毒きのこちゃん”なるモノが棲みついていて、公演中この“毒きのこちゃん”を泣かせたくないらしい。
“毒きのこちゃん”って一体・・・
初見である私が独自に推測させて頂くと、この“毒きのこちゃん”はどうやら退屈が大っ嫌いらしい。
加えてオブラートに包む行為は好まないらしく、剥き出しなものを欲する性質であるらしい。
“毒きのこちゃん”ってば、かなり厄介 おかげで楽しめました。
そして主役のエロ可愛い“なっちゃん”を凌駕する“芝生みどり”の存在は賛否両論必至。

ネタバレBOXに本公演には向かないと思われる人の要件を記しますが、もう観に行かれる心づもりの方は絶対見ないでください。(ネタバレに抵触します。観劇後に確認頂けると幸いです)

あと、やむなく寝不足で公演に向かわれる方、安心してください。ウトウトなど出来ません(笑)

ネタバレBOX

以下の要件に該当した場合、その方は本公演には不向きである可能性があります。

1. あからさまで生々しい性行為の描写が苦手な方
2. 同じく生々しい暴力的シーンが苦手な方
3. 演劇には一定のルールがあってしかるべきと思われる方
4. 落ち着いた気持ちで観劇を楽しみたい方

逆にこれらを気にされない方は“毒きのこちゃん”と一緒に舞台を楽しめる素質アリです。

ちなみに1.2.はいたずらに用意されたシーンではありません。作品力に直結しています。
2.の項目こそありますが後味には影響しません。不思議でしょ


挑戦的な姿勢はとても素晴らしいです!
それこそ息つく暇も無く楽しめましたが、冒頭のままじっくりその先の人間関係を楽しみたかったのも確か。
スマートコミュニティアンドメンタルヘルスケア

スマートコミュニティアンドメンタルヘルスケア

ホエイ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2018/08/18 (土) ~ 2018/08/27 (月)公演終了

満足度★★★★

滑稽にしてショッキング。これが集団ヒステリー状態なのかと。
まだ中学生ゆえに「やっぱり子供だなぁ」という発想でさえ、その微笑ましさは姿を変えて逆にちょっと怖い。
かなりの異常事態だと客観的に傍観できたとて、もし彼等と同年代にして本作と同じ状況と切り口で事が進むとなると、はたして自分はこの渦の中へのみ込まれずにいられるのか、ちょっと自信がないので余計に怖くなってきます。

本作を観ていると同調してしまうというわけではないのですが、「そういえば中学の頃、ノストラダムスの本を一気に読んで、その夜熱を出したなー」とか「あの頃、〇〇先生が偏見に満ちた発言を堂々としていたけど、今もいびつな光景として残っているんだよなー」といった、とりとめのない変な記憶がポロポロこぼれ出してくるから不思議です。

登場人物のほとんどを占める中学生役は、そこそこの大人の役者さんが演じますが、完全になりきった結果、ブラックな可笑し味が染み出し、作品の持ち味となって成立していました。
新任の女教師はとんでもキャラで、超胸糞悪いタイプにも関わらず、あまりに突き抜けているので思わず笑ってしまう事も。
何気に悪酔いしない様、配慮がなされていたのではないかと思えます。

バンブーオブビッグ

バンブーオブビッグ

劇団マリーシア兄弟

Geki地下Liberty(東京都)

2018/08/16 (木) ~ 2018/08/19 (日)公演終了

満足度★★★★★

お笑いライブの舞台裏、楽屋には、期待通り観てみたかったモノが沢山詰まっていました。
私にとって芸人さんをつくづく「スゴイな~」と感じるのはネタを披露しているスポットな部分よりも全体の空気を操る人間力にあります。

たまたまこの前日にヨシモトのイベントを観てきたのですが(ここから先ちょっと長くなりますが申し訳ありません)
大勢の芸人さん達が自身の面白エピソードを競い合うイベント、最終戦まで勝ち残った、ある芸人さんが、まさかここまで勝ち進むとは思っていなかったらしく用意したネタが尽きてしまいました。
これはかなりヤバい状況。
先攻、対戦相手の芸人さんは前回の優勝者でもあり、そつなく面白エピソードを披露して、ますます彼にプレッシャーがかかります。
結局、その芸人さんは心が折れてしまい途中で逃げ出してしまいました(笑)
まさかの「えぇぇぇぇ」です。
そして審査発表。発表前にその芸人さんは、くやしさに泣き出してしまいました(笑)
これらの(笑)は決して馬鹿にした笑いではなく、なんかもう一生懸命に足掻く姿に対して、切なく感情に訴えてくる笑いです。
しかし当然、優勝は前優勝者。
涙が止まらない芸人さんに、周りから「その賞金譲ってやれよ~」といったヤジが飛び交い、優勝者は「え~っ、泣けば賞金もらえるのかよ~」と舞台は大混乱。
ネタを用意していなかったとか、途中で逃げ出すとかいった事はプロとしてどうなのかという見方もあるかもしれませんが、もし接戦レベルのエピソード対決が出来たとしても、決してこんなカオスな笑いは生まれなかったと思います。
何が凄いって、ヘタレた姿をライブに披露してしまう芸人さんの人間味もありますが、それをいじる司会者芸人さん、囃し立てる周りの芸人さん、悪態をつきながらも賞金を彼に差し出す優勝芸人さん(受け取りませんでしたが)
普通なら「失敗」に対して盛り下がるであろう事態を大爆笑に変換してしまう全員の機転が利きまくった見事なチームプレイです。

(本作に戻ります)
楽しく笑えるからといって仲良しこよしの仕事仲間とはまた違った芸人さん達の関係性。
何より自分が目立ちたいでしょうし、ひがみや焦りの感情も常に隣り合わせでしょう。
どうすればこんな関係が生まれるのか、そのヒントがいくつも散らばった作品だったと思います。
本作はヨシモトに比べてずっと小さな事務所のお話しで、舞台ではスベリを笑いに転換できなかったくせに何故か楽屋で笑いをとっちゃったりの、まだこれからの芸人さん達でしたが、この日ライブや楽屋で繰り広げられた出来事を通して確実に何かが変わっていく姿を見る事ができました。
「笑い」に肥料が与えられた瞬間とでもいうのでしょうか。
毎日がプロとしての成長過程。
更に明日からの一日一日が彼等にどう繋がっていくのか楽しみでもあり怖くもあります。
サラリーマンには全く不向きな人ばかりでしたが、こうした日々を送り、「笑い」にハングリーでありつつ低収入や挫折を乗り越え、いずれ成功を掴んでいくような芸人さんには、そりゃもうかなわないと改めて実感する公演でした。

あなたも知らない舞台裏

あなたも知らない舞台裏

バードランドミュージックエンタテインメント

新宿村LIVE(東京都)

2018/08/15 (水) ~ 2018/08/19 (日)公演終了

満足度★★★★★

華やかなテレビ、映画等の芸能界と隣接する2.5次元舞台制作内部にスポットを当てた作品。
小劇場演出家からプロデューサーに抜擢された青年のトンデモ奮闘記みたいな出だしから突然、えっそんな言い方しちゃっていいの?!・・・最近の2.5次元舞台に向けての辛辣な表現が飛び出し「ど~もこの舞台は只者ではないぞ」という予感が。
案の定、本作で描かれるショービジネスの世界は、メーカー脳の私にとって、希望、欲望、侮辱、打算、色んな思考が公然と渦巻いて、もう魔性の世界としか言いようがない。
段々何が正しくて何が悪なのかという単純な事すら混沌としてくるのですが、同時に非常に奥深く吸引力のある世界観に魅了されてしまいます。

遊び心ある攻めの演出で業界内部、というかそこで生きる人々の内部に踏み込んだ描写力が、ガツンと胸に響きまくり、初プロデューサー青年をはじめとする多くの舞台人、そして崖っぷち女優の生き様にグッときます。
こんな清濁合わせ持った業界だからこそ、時にはとんでもない名作を生み出し、時には全て裏目の失敗作を輩出する場合もあり得る事なのかと思わず納得。

今回のテーマである2.5次元舞台はこちらの新宿村LIVEでも多数公演されており、実際今回の観客にはファンの方も大勢いらしていたのではないかと思うのですが、本作を観てどんな感想を持たれたのかを想像すると、何だかザワザワしてきます。
恐らくキラキラした2.5の世界観に憧れる中高生ファンにとっては大人の事情がスーパー生々しくエグイ内容。
終演後、呆然と席を立つ姿が浮かんできます。
しかし大人の観客となると、こうした闇の匂いも薄々感じ取っていた部分もあるのではないかと。
闇があって、より輝く光の世界。
そりゃ舞台に魔物が棲むのも当然と思えてきます。

ネタバレBOX

カーテンコールが無かった事で、これまた独特の余韻が・・・
どっちの方が良いのかは自分には分かりませんが、初日にして長い拍手喝采の中「本公演は終了しました」の無常なるアナウンス。
ある意味カッケーと思うし、目の前の役者さんに拍手したかったとも思う。
疑惑の教室にて

疑惑の教室にて

カスタムプロジェクト

調布市せんがわ劇場(東京都)

2018/08/10 (金) ~ 2018/08/12 (日)公演終了

満足度★★★★

謎の校舎に閉じ込められた12人の中に番長(殺し屋)が一人。
初の参加型推理劇に、もう謎を解く気満々です。
登場人物はそれぞれの職種がバラバラで、更に覚えやすい工夫もされていていたので、とりあえずは「人間関係が複雑だったらどうしよう」という心配はあっさりクリアー。
何より頼もしい高校生探偵がいてくれるので、彼の着眼点、発言は要チェックでしょう。

第一夜の犠牲者。高校生探偵の仕掛けを掻い潜ったトリックは、事前に頂いた状況案内パンフに目を通していた甲斐あって何とかイメージできたものの犯人までは分からず。

第二夜では高校生探偵のナイスアイデアも虚しく謎のまま殺人が敢行。
こんな事ができる犯人って誰?

第三夜ではなんと頼りにしていた高校生探偵が死亡、犠牲者に!
マジか~っ、ど~するの、犯人誰?

最終的には五日目にして出題パートは終わったのですが、「なんで」「どうやって」の連続でした。
推理パートでは4つの質問に答えなければならないのですが、特に4つめはかなりの難問。
余裕だと思っていた30分がめちゃくちゃ短く感じられました。
結局、資料のある部分をヒントに犯人の目星をつけたものの、犯行過程までは想像がつかず時間切れに。

当然の如く、解決パートはもう食い入るように拝見。
やっぱり引っかかりを感じたところには必ず意味があったのですね。
とはいえ考える時間が倍あったとしても全問正解は無理だったかな、謎解きの大胆さと意外なところにもあったヒントの多さに思わず笑ってしまいました。
私の正解率は4問中2問正解、うち犯人は的中しながらも犯行手口はひとつしか解けなかったのでこれも不完全かなと。

やはり推理モノだけに謎解き場面はとても面白く「そう解釈すれば良かったのか~」と、のたうち回りたい気分です。
同時にこういったタイプの作品はトリックの難易度加減が、観劇後の満足度と大きく関わっている様に思われ、今回は絶妙さの中にもかなり難しめの部分アリといった感じでしょうか。

とはいえ、あまりの大番狂わせにのけぞったり、ニューリーダーの台頭に眉をしかめたりと大いに楽しみ且つ頭を使わせて頂きました。
例えば観客も人質の一員になるといった作中に取り込まれた設定だと、より一層体感度アップになると思えたりもして、今後も参加型推理劇のパイオニアとして頑張って頂きたい劇団さんだと思いました。

千秋楽を迎え情報解禁のお許しが出たのでストーリー部分に言及しましたが思わず長文となってしまい失礼いたしました。

Kanagawa Music REVUE Show

Kanagawa Music REVUE Show

MPinK(ミュージカルプロジェクトin神奈川)

溝ノ口劇場(神奈川県)

2018/08/05 (日) ~ 2018/08/09 (木)公演終了

満足度★★★★★

子役として実績を残してきたプロのミュージカル俳優でもある現役高校生がここに集結!
それだけに歌唱力はもちろん、ミュージカル特有のリズミカルな演技も実にスムーズ。
音響や舞台セット、スペースといった設備的な面では、さすがに大劇場と比べて不利なところはいくつかあったものの、それと引き換えに等身大の高校生役の伸びやかなステージが小劇場ならではの近さ、親しみやすさでもって楽しめてしまう公演でした。

「神奈川について楽しく学べるアットホームなミュージカル」という認識で決して侮っていたわけではありませんが、コミカルな中にも派閥的な対立、社会問題の提示と模索、こそばゆい感じ(⇐ここポイント)の恋愛などミュージカルの大好物がちゃっかりと盛り込まれ、そのすごく巧くできた構成力には驚きです。

ミュージカルナンバーはオリジナルも含めて全18曲。
もう正真正銘のミュージカル作品にしてラストにかけての総勢からなるナンバーの連打は圧巻。
レミゼからの1曲もぐっときました。

ネタバレBOX

言わずと知れた「横浜」と、トレンドの武蔵小杉を引っ提げた「川崎」の自慢合戦が楽しく笑えました。どっちも大好きなんですけどね。
川崎在住の人なら、きっとそのメロディーラインを知っているであろう「好きですかわさき愛の街」はなかなかに良い曲である事を確認。
自爆!

自爆!

劇団 バター猫のパラドックス

「劇」小劇場(東京都)

2018/08/01 (水) ~ 2018/08/06 (月)公演終了

満足度★★★★

総勢21名が織り成す“学園”という小さな国家。
現在平井堅が唄うドラマ主題歌『知らないんでしょ』がテーマ曲として流れてもおかしくないくらいに高校生や教師の闇を映し出した作品でした。
とはいえ暗くジメジメした雰囲気はあまり感じられず、演出、役者共に若さ溢れてむしろエネルギッシュ。
もはや金八先生お手上げ状態の惨状でしたが、これくらい振り切った内容の方が、実際の現役高校生が観ても刺さるモノが大きいのではないかと思えたりもします。
ただし学校を通しての観劇提案の場合、先生サイドからの許可はおりないでしょうが。

ネタバレBOX

観終わった後、場合によってはイジメに対して「爆発」するのも、ひとつの手段として有効ではないかと思えたりしました。
もちろん死や怪我に直結するのはNGですが、本音を爆発させるのも時には必要じゃないかと。
(う~ん、それはやっぱり中学生くらいまでか・・・)
醜態を晒すがごとく心の膿を各々が吐き出していく様な展開に、意外にも爽快感が残ったりしたので、そんな事を思ったりしました。

このページのQRコードです。

拡大