コナンの観てきた!クチコミ一覧

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ラーメン

ラーメン

宇宙論☆講座

スタジオ空洞(東京都)

2018/04/27 (金) ~ 2018/04/30 (月)公演終了

満足度★★★★

「飲酒上演」の回を拝見。
ホントに酔っぱらっていたみたいですね、スゴイ。
これで客席全体も酒に酔っていたら、とんでもない事になりそう(笑)
通常の回は観ていないのですが、恐らく群を抜いてハチャメチャだったのでは。
もはや本当のトラブルも普通に溶け込んでいました。

ストーリー的には過去に拝見した作品とかぶっている様なところもあってかトキメキに欠けた反面、いくつも新しい試みが。
その中には確実に不快と感じる人もいて然りなモノもありましたが、チャレンジ精神が素敵だと思います。

帰宅途中「あのぐちゃぐちゃになった会場を誰が片付けるんだろう」という心配が。
終演後、片付けボランティアを募集するのも一案だったかもと(人によってはそれもエンターテインメント)

ネタバレBOX

客席にまでなだれ込み、キャベツ太郎を口にねじ込まれたのは、やはりこの回だけ?
さすが「飲酒上演」の勢いというべきか「こういう事もあるよねー」と納得してしまいました(笑)

未だ疑問なのが、火災報知器がスモークに反応してしまったのはネタ??
もはや本物のトラブルとの境目がわからない!!
じぶんさがし

じぶんさがし

RISU PRODUCE

赤坂RED/THEATER(東京都)

2018/04/25 (水) ~ 2018/04/30 (月)公演終了

満足度★★★★★

多くの小劇団さんの作品を拝見していると、一体稽古場ではどの様な時間が流れ、作品創りをされているのか俄然知りたくなってきます。
出来れば茶化したものでなく、リアルな姿を。
そんな私にとって本作はもろストライクな作品で、本当にこういうのをずっと観たかった!!です。

出番の多い少ないに関わらず登場人物の劇団員の皆さんは、まさにそこに「生きて」いました。
とても自分にはできる職業ではないなーと思いながらも共感できるところは沢山あり、笑い観進んでいくほどに目の周りが熱くなってきます。
日々東京だけでも数えきれない程の公演が打たれていますが、その1~2時間半の作品の裏に、一体どれだけの人間ドラマが息づいているのだろうと思いは巡ります。

その一方で私なんかの感想よりも、実際に劇団をされている方、目指そうと思っている方々がこの作品を観てどう感じられるのか是非聞いてみたいと思える作品でした。

美愁

美愁

The Vanity's

APOCシアター(東京都)

2018/04/24 (火) ~ 2018/04/28 (土)公演終了

満足度★★★★★

稀にですが観客“全体”の集中力が結集し、舞台と完全に繋がる奇跡の瞬間を感じる事があります。
私の拝見した回では、その醜くも美しい作品の吸引力が、ほぼ観客全体を魅了し、愛情の渇望渦巻く世界へと一気に飲み込んでいく、まさに奇跡の様な時間でした。
座った席がサイドブロックだったので意図的でない限り視界には入ってこないのですが、メインブロックからの圧は感覚として伝わってきます。
この客席からのエネルギーは役者さん達にも伝わったと思うのですが・・・もちろん源である舞台からの上質なパワー、凄かったです。

本作は一言でいえばダークファンタジー作品なのかもしれませんが、グリム童話の様な完成度と残酷さ、少女漫画の様な華やかさと悲劇性、歴史ドラマの様な強い生命力と因縁絡み合う重厚さ、とても一言では言い表せるものではありません。
哀しくも美しい音楽と共に劇場全体が「美愁」の世界でした。

空観

空観

ヒンドゥー五千回

座・高円寺2(東京都)

2018/04/25 (水) ~ 2018/04/26 (木)公演終了

満足度★★★★

ガーーン 台詞が何を言っているのか全然わからな~い(笑)
登場人物が使用するのはスペイン語風言語(タモリが、よくなんちゃって中国語をネタにしていたスペイン語版的?な)なので一体目の前でどういう会話が取り交わされているのか具体的には全く分からないのです。
たまに日本語に切り替わったりしてドキッとしますが、その部分で他を全てカバーしているという訳でもなく、ヒンドゥー五千回さんは正攻法でこないと覚悟はしていましたが、まさかこう来るとは。
そうなるとストーリーを読み解くには彼らの態度や口調、表情、リアクションが頼り。
外国映画をあえて字幕なしで鑑賞しているのにも似ています。

内容的には群像劇の様相で、どこの国だか分かりませんが生活水準や文化水準はそう高くなくてガサツな人が多く、村社会的な繋がりが強そうです。
そして集団の中でも、ちょっと特別に扱われている人物や、何かしでかしたらしい嫌われ者もいるようで・・・あれっ、彼らのコミュニティーや事の流れがそれとなく伝わってくるではありませんか。
更に面白いのは、描かれる内容がストレートプレイの域にとどまらず、パントマイムの技術を取り入れた不思議な感覚へといざなってくれる世界観でしょうか。時には呪術的でもあります。

こうして言葉の概要を取り払ったカタチで人間社会を観ていると、虫も動物も人間も大した違いは無く、そこに意味が本当にあるんだか無いんだかワサワサと生きているなーと、どこか達観した様な気になってきます。
ひょっとしてこれは神の立ち位置から見た作品?・・・解釈は自由な作品だと思います。
演劇でありながらダンスパフォーマンの様に、どこの国の人が観てもほぼ条件は一緒というのも面白いです。

げんせんじゃ~2018

げんせんじゃ~2018

劇団たいしゅう小説家

萬劇場(東京都)

2018/04/18 (水) ~ 2018/04/22 (日)公演終了

満足度★★★★

愛と情熱の旅館「宝や」
新番組『崖っぷちホテル』ならぬ『崖っぷち老舗旅館』は若社長と個性ある従業員による経営立て直し奮闘記。
何年かぶりのたいしゅう小説家さんでしたが、すっとぼけた笑いは健在。というか益々磨きがかかっていた様な気が。

王道のハートフルコメディーに加え、再演を重ねてじっくり煮込まれた安定の味わい。
笑いは緩めですがキャラクターへの入り込みはガッチリで、役者さん達にも味がよ~く浸み込んでいました。
演出に応えた全くブレの無い演技は観ていて、とても清々しいものです。

2018「月いち座布団劇場 四月篇」

2018「月いち座布団劇場 四月篇」

占子の兎

阿佐ヶ谷アートスペース・プロット(東京都)

2018/04/20 (金) ~ 2018/04/21 (土)公演終了

満足度★★★★

落語と芝居の良いとこ取りみたいで面白いスタイルですね「座布団劇場」
人の情けと業の深さがミックスされた純ジャパニーズコメディーは、もう鉄板の面白さ。
笑いの沸点が100℃として、常に90℃から100℃を行ったり来たりの愉快痛快な時間でした。笑ったーっ。
暗転ごとに次はどんな配置に変わって、どんな展開が待っているのかとワクワクします。

ラストの作品は人情モノで登場人物がとても多い力作でしたが、それ故に場面転換のバランスがちょっと気になるところ。
かえってそこから、いかにテンポやバランス、その他全てが完璧になっていないと、ほんのちょっとした事でさえ気になってしまう落語の厳しさをうかがい知る事ができました。

逃げぬれて、夜

逃げぬれて、夜

くちびるの会

調布市せんがわ劇場(東京都)

2018/04/19 (木) ~ 2018/04/23 (月)公演終了

満足度★★★★★

世にも奇妙で切ないラブストーリー。
世知辛い東京の片隅で、涙ちょちょぎれるくらいセッコい人間関係に翻弄されながら、煤けた風呂無しアパートで暮らす主人公女性。
ジメジメした雨模様が良く似合う日常でありながらも、何故か陰湿な印象を受けない不思議な作品。
その理由は人間のふてぶてしさ、もとい逞しさにあると思われ、加えて会話の端々からほとばしる余りのトホホぶりにはヤバい、笑ってしまいます。

恋の行方はリアルすぎる現実を歪めていく勢いをもって、どこに転がっていくのか全く予測不能。
あぁそこに着地したのかと思ったら、更に転がっていくので気が抜けません。
まだ舞台の残り香があるうちに二人の恋の軌跡と、取り巻く輩(やから)達の生き様を今一度よーく噛みしめてみたく、台本をじっくり読み込んでみたいと思います。

【補足】見てきた様なスーパーや深夜コンビニのバックヤードの生々しさは、ぜったい作者さん経験者だな!と

Life pathfinder 4th WALL

Life pathfinder 4th WALL

パスファインダ制作室

吉祥寺シアター(東京都)

2018/04/20 (金) ~ 2018/04/22 (日)公演終了

満足度★★★★

オフ・ブロードウェイの香りがする観客も一緒に参加意識型の公演。
『主役』は何と1名の観客代表。(事前に公募されていた様です)
『主役』は参加意識のみならず正真正銘舞台上に立ち(というか可動式特製椅子に座り)作中に取り込まれます。
結構いじられつつも、普通一生こんな事無いくらいの臨場感最大MAXのステージを体験する『主役』を我々は見守る様な形態でもありました。

吉祥寺シアターの会場はいつもの段々席が一切合切撤去され、まるでバレーコート1面分くらいの広さの体育館の様。
「模索」をテーマにしたストーリー(?)とミュージックナンバーは『主役』や外周を取り囲む客席に、もろダイレクトに向けられ、これは小劇場でしかあり得ない親近感と迫力。
役者さんと目が合う度にドキドキします。(『主役』のドキドキ感は一体これの何倍なんだろうか)
できれば「模索」する対象が自分にとって、もっと身近なものであれば、より強く入り込みやすかったかも。

青春超特急

青春超特急

20歳の国

サンモールスタジオ(東京都)

2018/04/19 (木) ~ 2018/04/29 (日)公演終了

満足度★★★★

演じられる学園生活の卒業と、ずっとこだわり続けた『青春作品』とのダブルの卒業が重なって、ちょっと切ない。
本作への想いの反映でしょうか、台詞が洗練されていた気がします。

彼等の高校生活の断片を観ていると、否が応でも自身の記憶の断片まで浮上してきて、そのまま自分の世界に浸ってしまいそうになるので振り払うのに大変でした。
それにしても大学受験の悩みを持つ人は、相変わらず少なかったです(笑)
20歳の国マイベスト「花園」がもう再演されないのかと思うと、やっぱり寂しい。

組曲~touch 2 you~

組曲~touch 2 you~

touch my brassiere? company

上野ストアハウス(東京都)

2018/04/13 (金) ~ 2018/04/15 (日)公演終了

満足度★★★★

初めての劇団さんでしたが初対面の人に例えるなら、とにかくサービス精神旺盛、
沢山の事を語ってくれるのだけれど感情が先走りして中々要領を得た内容が伝わってこないのでちょっと付き合いづらいかなーと思うものの、すごくいい奴だという事はとにかく伝わってきて・・・最終的には、そういう事だったのか~っと思わず抱きしめたくなる、そんな劇団さんでした。

根無し草のように生きる歌舞伎町の人々。軽快に色んな側面を見せてくれるものの、まだバックボーンを把握しきれていないうちから溢れ出る各々の感情は、どう受け取ってよいものか持て余し気味。
せっかくの熱のこもった演技は、ストーリーと巧くリンクすればもっと効率よく生かされたのでは、と勿体なかった気持ちは残るのですが、それでも徐々に見えてくる各々が抱え込んだ哀しみの呪縛。
溜まりに溜まった感情がぶちまけられる頃には、いろんなモヤモヤが浄化されていく爽快感と共に、その感情のうねりに激しく心揺さぶられ、熱いものがこみ上げてくる力強い公演でした。

世界で一番幸せになるためのメソッド

世界で一番幸せになるためのメソッド

劇団ボンボヤージュ!

APOCシアター(東京都)

2018/04/07 (土) ~ 2018/04/08 (日)公演終了

満足度★★★★★

独自のカラーが確立されていて、気楽に楽しめるような空気が巧~くコントロールされた公演でした。
独自のカラーとは、思わず笑ってしまうツボを押さえたバカバカしさで、隠し味は大人の哀愁。
濃口、中口、薄口、色とりどりな役者さんたちの熱い演技は“強引に笑わせる”ではなく“思わず笑ってしまう”がポイントです。

短くてもインパクトあるパートや、たっぷり見応えのあるパート、各パートをまたいで成長していくパートもあり、気が付くと全てがひとつに繋がっていくような収束感。
焼肉エピソードと絡み合うのも、男女間だけで純愛・風俗・パワハラ・三角関係などバラエティー豊か。
そこにビジネスやタイムリーな時事ネタまで入っていたりするので楽しめる味わいの種類は実に盛り沢山でした。

劇団ボンボヤージュ!アットホームな小さい港(劇場)から何気にスゴいユニットの出航(旗上げ公演)に立ち会えたようで嬉しいです。

僕をみつけて/生きている

僕をみつけて/生きている

かわいいコンビニ店員 飯田さん

OFF OFFシアター(東京都)

2018/04/04 (水) ~ 2018/04/08 (日)公演終了

満足度★★★★

「僕をみつけて」を観劇。
作中では象徴的な人狼ゲームは駆け引きがえげつなく面白い存在ではありましたが、何だか無駄に人間不信になりそうで、自分からは決して参加したくないゲーム。
こんなに「勝ちたい!」という気持ちが湧き起らないゲームも珍しい。

本作のグループ中では財産家のお祖父さんをもつ年長男性がヒエラルキートップに君臨している様子。
しかし俯瞰で観ていると小さな流動コミュニティーの中、何とも儚い。
同年代の若い男女がこれだけ集まれば、あちこちで怪しい関係が生まれるのも必然で、同時にモテと非モテが生まれるのも必然。
どのポジションでいるにしても自己承認が揺れ動く、ちょっとだけ残酷な人間模様が描かれていました。
“若い”という事はキラキラしている様でいて中々大変!
ハァ~ッとついて出るのは何のため息だ(笑)

『あんな時代もあったねと~♪』といつか笑って話せる日が来るといいね・・・という思いを投げかける様にして劇場を後にしました。

笑う巨塔

笑う巨塔

タクフェス

東京グローブ座(東京都)

2018/03/29 (木) ~ 2018/04/08 (日)公演終了

満足度★★★★★

病院を舞台にしたコメディーとしてベタの連続だけれど、各業界から結集した馴染み深い面々の役者力・タレント力がグ~ンと作品を盛り上げ、もう見どころ満載。
いつもおいしいとこ取りの宅間さんが「あれっ?今回はゲストの方々に花を持たせる内容」と思って観ていましたが、あーやっぱりか~自己プロデュースの巧さが冴えまくっていました。
特にベテラン陣をイジる容赦のなさには大爆笑で、可笑しいのと同時に共演者間の信頼関係の強さが伝わってきます。
祭りの名に相応しく、豪華で面白くて何より楽しい!!

徒花

徒花

teamキーチェーン

d-倉庫(東京都)

2018/03/28 (水) ~ 2018/04/01 (日)公演終了

満足度★★★★★

「笑い」や「デフォルメ」には一切頼らないドラマ“力”。
水が高い所から低い所へと流れるが如く、主人公達の抗えない運命が徐々に見えてきたとしても、この目で彼らの行く末をしっかりと見届けたい!と強く思いながらの観劇でした。
私にとっては1年チョイぶりのteamキーチェーンさんですが、その進化ぶりは目ざましく、若くしてここまで円熟した公演を打つまでに達していたとは・・・驚きです。

事件勃発前、和やかな日常シーンからもう既に漂う哀しい予感・・・その理由は舞台上手にもあるのですが、それ以外でも何かあったはず・・・一体何が隠し味なのか、後々まで残る不思議感・・・以前の公演でも似たような感覚になった記憶が蘇りました。
その後の展開は、もう一気にストーリーの波に飲み込まれるしかなく・・・
主演以外の役者さんの存在感もどんどん肉付けされ、作品がより大きく、より豊かなものへと成長していく醍醐味。
これだけの豊富な人材は劇団の財産であり、見事に活かしきったのは劇団の力量があっての事。

東野圭吾張りの面白さだったなーと思いつつも、仮にその小説をそのまま表現したからといって同等の面白さが保証されるものではないのが舞台の難しさ。
やはり良質なストーリーがあって、更にそれを最大限に引き出す演出と演技力が伴わなければ中々到達できない生舞台の底意地悪さを見事にクリアーしていたのだなーと納得しつつ、今夜は回想に浸りたいです。

漂流

漂流

HitoYasuMi

ワーサルシアター(東京都)

2018/03/28 (水) ~ 2018/04/01 (日)公演終了

満足度★★★★★

地下小劇場で無人島を舞台にした公演。
フライヤーと同じ衣装、シチュエーションもそのままに海辺に流れ着いた新婦。
彼女が激しい波風の音で目を覚ますシーンで「おっ!これはっ」という強い手ごたえを感じました。
ここから始まる漂流ドラマを真正面から直球芝居で魅せる覚悟がある事をハッキリ見せてくれたからです。

薄着1枚身につけただけの女性1人。
先住漂流者のおかげで、野垂死には避けられたものの、次に待ち受けるのは僅かな人間達とのコミュニケーションという難題。
苛酷な自然の中での生き残りがベースにあるものの、本作のキモは何といってもこの島から逃れられない人達の生き様。
実際なら何日も経てば、髪も肌も衣装もボロボロになるであろうビジュアルには目をつぶるとして(そこをリアルにされてしまうと結構きついですし)それぞれのバックグラウンドを想像しながら観る登場人物の立ち振る舞いや関係性にはグイグイ引き込まれてしまいます。

助け合いと暗鬼。特殊な状況下での人間ドラマが各自個性豊かに描かれ、演技をしっかり堪能するタイプの芝居を観ているぞー!という充足感に満たされていきます。
特に若者には未来を諦める事など絶対できない心からの叫びは、強く胸に突き刺さりました。

ネタバレBOX

ゴツプロ!の塚原さんの容姿、形相が無人島サバイバルの現実味をグッと引き上げてくれます。(いつ拝見しても毎回全然違うキャラクターなのも凄い)
こういった状況下だと男と女の違いが妙に生々しくハッキリ見えるのは、やはり動物的な生活を強いられるからでしょうか。
とは言え同じ男または女であってもやはり人それぞれ、個性的だから面白いです。
荒天~こうてん~

荒天~こうてん~

劇団黒胡椒

上野ストアハウス(東京都)

2018/03/29 (木) ~ 2018/04/01 (日)公演終了

満足度★★★★

しっかり見応えありました、2時間20分。
煌びやかさとドロドロを併せ持った吉原遊廓の世界。
この世界観を時代劇の様式に囚われず、むしろぶっ壊すくらいの勢いで描かれたロックな女達のドラマ。
演技に深みを加えて濃縮すれば公演時間は今より短縮可能なのでしょうが、ひとつひとつのシーンを丁寧に、人物ひとりひとりの心情をしっかり伝えたいという演出意思が強く感じられ好感、結果観劇初心者にはかなり優しい創りになっていたともいえます。

何よりライブハウスさながらの生バンド&パフォーマンスまで満喫でき、本来の小演劇で提供される容量を遥かに超えたそのサービス精神。
艶やかな着物姿での振り付け激しいダンスシーンは、場の盛り上げだけにとどまらずストーリーの意味合いにも深く関わり、作品に大きく貢献する存在。
特にそのダンスシーンでは、前半の活気溢れる花魁の華やかさに、後半では吉原の闇が加わっていく表現変化のテクニックが絶妙でした。
この内容を1日2公演!う~ん、若さと気迫のなせる業としか言いようがないですね。

ネタバレBOX

吉原遊廓サイドの人物は着物、政府サイドはSPっぽい黒コスチューム、闇を暴こうとする記者(!)は私服ルックという一見無茶苦茶な衣装構成は、最初こそ違和感がありましたが、それぞれの棲み分けが一目瞭然という効果を発揮し始め、結果的にナイスアイデア。

観劇初心者には優しい公演と思えた反面、男と女・女と女・親と子の愛憎演技に磨きがかかれば、自ずと表現は濃縮、時間も程よく削ぎ落され、より洗練された作品となり、より多くの観客に、より深い感動を与えられるのでは。という思いが・・・心配せずとも、このままの完全燃焼で作品に向き合う心意気をもってすれば、自然と劇団は円熟の域へと向かっていくものなのかも。
彼女は二度ベルを鳴らす

彼女は二度ベルを鳴らす

空想実現集団TOY'sBOX

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2018/03/28 (水) ~ 2018/04/01 (日)公演終了

満足度★★★★

受付・客入れから始まり、終演後の撮影会や、新参者の私にも優しく温かいハイタッチ会、お土産には全役者さんサイン入りキャスト表の手作り感!
小劇場で出来る“おもてなし”として何が喜ばれるか、幾つも考え出してそれを実践する労を惜しまない体制には、そりゃー人気も上がるでしょうし、もう是非とも上がって欲しいと思うのは至極当然。

中々筆の進まない気弱な小説家と、飛び出した濃ゆいヒーロー感ある小説主人公。
更に、ひょんな形で現れた薄幸ヒロインも加わったキャラ設定バッチリの三つ巴で小説世界は進行。
現実世界と小説世界入り乱れる中、何役もこなしていく役者さん達の演技バランスも非常によく、それ故ストーリー的には楽しみながらも、もっと欲張ってもOKだったのではないかという思いが。
例えば小説家と主人公の意見が対立してバチバチする等、小説主人公にはもっと大暴れしてもらってハチャメチャになれば更によかったなーと考えてみたり。
これは想像ですが、旗揚げ作品がベースという事で、(かなり書き直しもされたでしょうがそれ以上に)当時から比べて演出・役者力が随分とUPした為、余力みたいなものが垣間見えた様に思ったのですがどうでしょう。

「若きキャラメルボックス」という印象が強く残った反面、当然TOYsBOXさんらしさを追求されている部分も見受けられ、特に「笑い」にはこだわろうという姿勢は感じられました。
クセ者な役どころで役者さんでもイケそうな作・演出家さんには、それでもまだ使っていない引き出しがある気がしてなりません。
そのアクの様な強味をいかんなく発揮させ、最強のTOYsBOXへと昇っていかれますよう期待いたします。

ハムレットマシーン

ハムレットマシーン

OM-2

日暮里サニーホール(東京都)

2018/03/22 (木) ~ 2018/03/24 (土)公演終了

満足度★★★★

「戸惑う」という感覚を大いに刺激されました。
舞台をグルッと1周取り囲む客席。
その一つに着席して観劇しているうち、自分が歪んだ時間を刻む時計盤上で、目盛のひとつに配されている様な感覚に。

具体的な確信に手が届かないもどかしさはありましたが、精神世界として捉えるにはあまりにも激しく且つ生々しい光景。
彼はかつて「ハムレット」だった男なのか、それとも「ハムレット」に憑りつかれた男なのか、とにかく神経をフル稼働しているうち、重圧・逃避・倒錯・・・混沌さがみるみる加速。
「目の前はこんな状況、それなのに空気が無臭で普通に美味しいのが不思議」何故かそんな事を思ったり・・・

「ハムレット」といえば藤原竜也がまず頭に浮ぶ私にとって本作を観終わった後、「なれの果て」という言葉がポッカリ浮かんでいました。

Yellow Fever

Yellow Fever

劇団俳小

d-倉庫(東京都)

2018/03/21 (水) ~ 2018/03/25 (日)公演終了

満足度★★★★

ジャズピアノの調べがさり気なく効果音となり、まるでオールドムービーを観ているかの様。

もはや現代においては絶滅してしまったのではないかと思える程 武骨で硬派な私立探偵。
その彼にしっかり食いついてくる女性記者は、まさにオヤジキラー。
じっくり煮込まれた台詞回しと所作のカッコよさ、東洋系移民が中心の物語という事もあり、翻訳モノながらしっくりきて、ハードボイルドの世界観もハマっていました。

カナダ西海岸において日系人達の寄り添う街が「スラム街」として扱われていた時代があったのは非常に哀しい歴史ですが、それはもう昔の事・・・いや、ごく最近聞いた政治発言と同じニュアンスが作中でも語られていたので気味悪い感じがします。

「う~んマンダム。」を真似されていた年代の方には直球なのではと思われる公演。

隣の芝生も。

隣の芝生も。

MONO

座・高円寺1(東京都)

2018/03/15 (木) ~ 2018/03/21 (水)公演終了

満足度★★★★★

それぞれ問題を抱えた2つの会社がお互いの腹を探り合う、ごく日常的なストーリーかと思っていましたが、個人的にはどこか『セーラー服と機関銃』を彷彿させる意外な展開の面白さでした。
勿論ストーリーは完全オリジナルですし「快感ッ」なバイオレンスシーンもありませんが、ユーモラスな空気の中に不穏な匂いが混ざり込んだ独特の味わいは、どことなく共通しているのではないかと。
直接的な描写はなくとも水面下で確実に存在する影、おのずと舞台上にないシーンまでも頭の中で広がっていくところにテクニックを感じます。

前作での「俳優育成講座」出身メンバーが本体作品の中で馴染んでいるどころか、大活躍されていて凄く頼もしい。
既にその時で会話の面白さが際立つ劇団さんである事は重々承知していたのですが、今回更に感じたのは会話を面白おかしく楽しんでいるうちに、登場人物のキャラクターはもちろん、お互いの関係性や心の微妙な変化等がごく自然にスルッと入ってくる絶妙さでした。

隣り合わせの2つの会社は、同じ舞台で左右に分かれたセットではなく、回転舞台による完全入れ替え制。
なので下手・上手の見えづらさとは無縁であり、ほんの数秒で雰囲気がガラッと変わります。

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