
アワード
ミュージカル座
THEATRE1010(東京都)
2018/10/31 (水) ~ 2018/11/04 (日)公演終了
満足度★★★★
時は5年先、ブロードウェイ トニー賞の最終候補は
『キングペンギン』
『グッバイ・ドーリー!』
『名作誕生』
『ミスター・プレジデント』
の4作品。
毛色の違ったこの4作品の制作秘話や練習風景、最終プレゼンショーが次から次へと繰り広げられる中、何と言っても本作が異色なのは、あたかもトニー賞授賞式に観客が参加しているような演出。
全編にわたってミュージカルナンバーづくし、それぞれの作品が盛り上がってくれば一体どの作品が最優秀賞を受賞するのか気になってくるところ。
ですが何といっても授賞式が放つ華やかなサクセスの香り。これが一番のご馳走な公演でした。

ゴレンジャー 他
成城大学演劇部コメディー班
成城大学5号館521教室(東京都)
2018/11/02 (金) ~ 2018/11/03 (土)公演終了
勢いだけでなく、ちゃんと演技で笑わせてくれるオムニバスコメディー。
めちゃくちゃおもろい人が在籍されているのですね。
メイン作であるヒーローの微妙なポジション関係も面白かったけれど赤血球を擬人化したパートが最高!
ところでショッカーが身につけていた衣装は話題のZOZOスーツ?
成城大学での4連続公演。『三月の5日間』だけコンプリート出来なかったのがめちゃ残念。
観てきた友人いわく演者さんのテンションが見事に均一化され台詞が活かされた作品だったそう。

十代に共感する奴はみんな嘘つき
成城大学 演劇部
成城大学5号館521教室(東京都)
2018/11/02 (金) ~ 2018/11/03 (土)公演終了
シュッとした印象を受けた公演。
怒りと不安と知性に溢れた女子高生の心の内が膨大な台詞となって放出。
その冷めたようで熱く激しい内面は、ちょっと変わった娘のようでありながらもどこか現代的。
何だか無性に橋本治著書の『桃尻娘』を読み返してみたくなりました。

B・HAPPY
成城大学 演劇部
成城大学5号館521教室 (東京都)
2018/11/02 (金) ~ 2018/11/03 (土)公演終了
亡き妻の幽霊VS後妻候補
三谷幸喜を彷彿させるシチュエーションコメディー。
ゆる~い感じで初々しい演技。
笑いのピントはしっかり合っているのでなかなかどうしてキッチリ楽しめました。
学生演劇ではあるけれど「一般客も一緒に楽しみましょうね」といったウェルカム感ある公演。

第23回公演 『福笑いふく子ちゃん』 第24回公演 『cmd+z(リトライ)ダイアリー』
劇団天然ポリエステル
シアター711(東京都)
2018/10/24 (水) ~ 2018/11/04 (日)公演終了
満足度★★★★★
『cmd+z(リトライ)ダイアリー』 を観劇。
同時公演『福笑いふく子ちゃん』とは全く違うテイスト。
『ふく子ちゃん』が映画っぽい感じだったとすれば、本作は深夜ドラマ、大人も楽しめる学園モノといった印象。
スルスルっと物語の中に入りやすく、観進めていくほどに演じる側とそれを観ているこちら側にも自然と“熱”が入っていく感じがイイ。

第23回公演 『福笑いふく子ちゃん』 第24回公演 『cmd+z(リトライ)ダイアリー』
劇団天然ポリエステル
シアター711(東京都)
2018/10/24 (水) ~ 2018/11/04 (日)公演終了
満足度★★★★★
『福笑いふく子ちゃん』を観劇
見た目のコンプレックスとトラウマから逃れる為に、鼻息荒く上京してきたふく子ちゃん。
整形後の彼女の運命は・・・あぁ~何を書いてもネタバレになりそうで書けないっ
ただ日常でも、大した問題はなさそうなのにどこそこを直したいなどと発言する女性は意外と多いのと、程度こそあれ似たエピソードを身近で聞いた事もあるので、整形を本気で考えている(考えた事がある)人は観てきっと損はないと思える作品。
タイトルとそれに準じたノリで可笑しく油断させおきながら、結構深いところまで切り込んでいます。
もはや兵器といって良いくらいに強力な客演さんも世界観に華を添えており、劇団ポリエステルさんは名物の寂し部シリーズしか行ったことがありませんでしたが、かなり意外な一面を観ることができました。

ビシバシと 叩いて渡る イシバシ君
劇団ジャブジャブサーキット
ザ・スズナリ(東京都)
2018/10/26 (金) ~ 2018/10/28 (日)公演終了
満足度★★★★
もっと不便な場所が舞台かと思っていたら意外にもキレイなセットが目の前にあって、ちょっとビックリ。
自然災害の脅威に巻き込まれたとはいえ、命に別状はなく、設備の整った場所に身を寄せることができたならば、案外人って落ち着いていられるものだなぁと。
とはいえ、この状況下でのやり取りや行動には、どこか人間臭い面白味があり、怪しい輩も出現したりで、ふんわりと楽しめました。
「イシバシ君」のエピソードは、ちょっと自分にはピンとこず、ストレートにシチュエーションを掘り下げてもらった方が好みだったかもしれません。
独特のテンポでもって台詞の面白い作品でしたが、全体的にもう何割か演技力がUPすると説得力が増して更に面白味が生かされたのではないかと思えました。

男の純情
トム・プロジェクト
紀伊國屋ホール(東京都)
2018/10/25 (木) ~ 2018/11/01 (木)公演終了
満足度★★★★★
女性の住むマンションて鉢合わせした3人のオジさん。
この何ともショックで気まずい空気の中、繰り広げられる3人の攻防戦。
3人のキャラクターはかなりザックリいうと、のび太・ジャイアン・スネ夫といった感じでしょうか。
しかしそこは濃厚な3人芝居。
オジさんの純情と狡猾が入り混じって、たっぷりダシの効いた男芝居を堪能できました。
終始笑いの絶えない人間喜劇でありましたが、役者さん同志の円熟した芝居バトルとしても楽しめました。
後に当日パンフを読むと16年前、片桐はいり・光浦靖子・山田花子で公演された「乙女の祈り」と同じ原作である事を発見。
あれっ、コレ観てる!
その公演の舞台はもっと安普請なアパートだったと記憶していますが、そう確かに!!
性別の違いもさることながら役者さんが変わると、もう全くの別モノといって良いくらいに味わいが変わっていて、演劇って本当に面白いです。

足枷
ぽんず単独企画
こった創作空間(東京都)
2018/10/25 (木) ~ 2018/10/28 (日)公演終了
満足度★★★★★
怒涛の70分は思わず時計を確認するほどアッというまでした。
ストーリーはスキャンダルをマスコミに暴露された野球選手のその後の人生。
野球選手役はゲストの伊藤明賢さん
渋い大人の雰囲気と崩れゆく感じのギャップがめちゃいい感じです。
そしてぽんずさんはその野球選手に関わる全ての人物を1人だけで大熱演。
どのキャラクターもパンチが効きまくり怪演技にて名演技。
そしてぽんずさんが演じるほどにストーリーと堕ちた野球選手の人物像に肉付けがされ、何より可笑しい!
沢山笑って観終わったあと大人の哀愁が濃厚に漂う、本当に良い公演でした。

エトセトラ
PROJECT BEE
Geki地下Liberty(東京都)
2018/10/24 (水) ~ 2018/10/28 (日)公演終了
満足度★★★★
ジャンルとしては青春モノになるのでしょうが、各自がアバターを介して面倒臭いことになっているからか不思議なほど爽やかな印象がない!(笑)
このどこか摩訶不思議なバーチャルコミュニケーションの空気感こそが本作の“肝”なのでしょう。
虚像の世界、居心地が良いのであれば、そのバーチャルの中で楽しく終わっていればいいものの、よせばいいのにやっちまいましたねオフ会。
案の定、一部の人物には強いしこりを残したまま7年後の現在に至ること・・・
ストレートなやり取りであればあり得ない個々の存在の曖昧さは確かにバーチャルルーム「エトセトラ」の仕業といえ、女子だと思っていたらなんとオジサンだったといったショッキングなトラップこそありませんが、ミステリーとはまたちょっと違った薄気味悪さを感じます。
青を基調とした舞台をはじめ美術にも強いこだわりが伝わってくる公演でした。

イマジナリーライン
タッタタ探検組合
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2018/10/17 (水) ~ 2018/10/21 (日)公演終了
満足度★★★★★
ワンマン監督の下で繰り広げられる映画撮影現場の人間模様は、人の数だけ思惑が入り乱れ、多少盛っていたとしても「こんな状況なんかありそ~」感満載で、もうガッツリ笑わせて頂きました。
案外、映画作品自体がメチャクチャでも(逆にメチャクチャな作品の方が)表に公表されない現場の様子は、とんでもなく面白いのではないかと邪推したくなるくらい。
制作スタッフさんのキャラクターが分かったうえで、その思惑の渦の中、一生懸命役を演じようとする俳優さん達の姿は愛おしく、そして本人の思惑も加わって更に可笑し~ッ。
やがて「ありそ~で可笑し~ッ」だけに留まらず大きくうねっていくストーリー展開に乗って、連れてこられたエンディングは、勢い余って1日だけのお話しに納まりませんでしたが、その着地点も良かったです。
ヘタすればとっ散らかりそうなエゴや信念のぶつかり合いを、順序だててキッチリ観せてくれたのは、さすが20周年を迎える劇団さん!貫禄を感じます。

咲けよ、酒よ。
ソラカメ
「劇」小劇場(東京都)
2018/10/17 (水) ~ 2018/10/21 (日)公演終了
満足度★★★★★
酔いつぶれてこぼれ出る、普段言わないような言葉の正体は、本音なのか、その場の勢いなのか、それとも無い物ねだりの願望なのか・・・う~ん何だかしみじみしてきます。
全てが思い通りに生きられる人などいる筈もなく、それぞれ社会生活を営む登場人物たちの悲喜こもごもが、私達と同じ日常目線で描かれ、性別・年齢が違っていても思わず共感して笑ってしまったり、自分の胸に手を当てて振り返ってみたり。
平均年齢24歳の女性7人が中心となった劇団さん。
おそらく見事に共感しまくりの同年代女性には面白くてたまらないでしょうが、どっこい全く違う目線からでも大いに楽しめます。
のどごし良くグビグビ飲めてちょっとほろ苦い、そしてちょっと気分よくなる・・・内容そのものがビールみたいな作品でした。
もちろん下戸でも楽しめます。

となりの事件
シアターノーチラス
OFF OFFシアター(東京都)
2018/10/10 (水) ~ 2018/10/14 (日)公演終了
満足度★★★★
“世間”とは実態の見えにくいモノですが、お隣りで事件が起きた並木さんちのご夫婦は紛れもない形ある“世間”の一部だと思って観ていました。
(そういう自分ちも世間の一部ということになるのでしょうが)
そして“世間”からはじき出されてしまった事件当事者のご家族・・・ジワジワと痛々しいです。
共感できる人物がなかなか出てこないのは毎度のことですが、その代わりに“他者”を興味深く堪能できるのがシアターノーチラスさんの作風。
今回、個人的には感情の揺さぶられ度が若干弱かったものの、観る人の立ち位置によって、いろんな感情を呼び起こす作品なのではないかと思います。

夜を、徘徊。
ものづくり計画
萬劇場(東京都)
2018/10/10 (水) ~ 2018/10/14 (日)公演終了
満足度★★★★
中心となる幼馴染女性4人達の人生模様を何層にも重ねるうえで、彼女らの生活を色づける人達(脇を固める人達)が続々と、もう贅沢なほど登場。
その多様性が全体像を分散させていたようにも取れますが、同時に実直な作品だったなぁという印象も残りました。
女4人の中にはリーダー格は存在せず、4人とも精神的にどこかが不健康。
最初のうちこそ、彼女ら自身の気の持ち方次第で全然もっと幸せになれるんじゃないのか?と観ていたものの、それは客観的立場ゆえに何とでも言えること・・・と言い負かされたような気分。
当事者としてはなかなか劇的には変われぬまま、4人がふん詰まっていく様を観るにつけ「安易に都合のいい流れには、もっていきませんから」と聞こえそうな、ビターなリアリティーを貫き通す作者さんの意志が伝わってくるようです。
これが現実の世界だ!と言い切ってしまうと、ちょっと哀しいものがありますし、後味はスッキリ爽やかではありませんが、それも含めて何故か嫌いになれない作品でした。

FACES
the CRAZY ANGEL COMPANY
R's アートコート(東京都)
2018/10/06 (土) ~ 2018/10/08 (月)公演終了
満足度★★★★
第一部でのバックバンドに乗せたダンスパフォーマンスはショートショートの連続でありながら、ドラマ「もう誰も愛さない」のオープニング(例えがめちゃ古い!)のような精神的不安を醸し出すイメージから前向きな方へとシフトチェンジしていく大きな流れがあって、ひとつひとつの作品を楽しんでいるうちに、もうあっという間の時間。
第二部の東西合戦は「ブラスト!」的な要素も入り、手を変え品を替えての大熱演の連続。
「鳴子」は手拍子よりもずっとリズムがとりやすく、なかなか良いアイテムを使わせてもらったと思えました。

what's your destination?
遊々団★ヴェール
TACCS1179(東京都)
2018/10/03 (水) ~ 2018/10/07 (日)公演終了
満足度★★★★
エンディングがもたらしてくれる余韻も含めて、若い観劇初心者の方にうってつけではないかと思える作品。
不思議なバスの正体は予想的中だったものの、役者さんそれぞれの身丈に合った演出・演技でキャラクターが活かされ、実に楽な気持で観ごこちの良い作品に仕上がっていました。
各役者さんの見せどころのバランスが程よかった中、前説も勤めた役者さんと自己中女性客役の女優さんは、なにかと笑いを引き起こすムードメーカーとしてちょっと特別な存在感。
今回はサイドシートでの観劇で、本劇場ではこれまで無かったほどに舞台が近く感じられ、これはこれでとても観やすく楽しかったですが、終演後センター正面席から見たセット風景も奥行と広がりがあってなかなかイイ感じでした。

バイバイ・マイホーム
踊る演劇集団 ムツキカっ!!
シアター風姿花伝(東京都)
2018/09/26 (水) ~ 2018/09/30 (日)公演終了
満足度★★★★★
「焼かれてしまえばタダの灰」といいながらも骨壺の収め場所は納骨堂より霊園の方がイイかなぁと思えたり、それこそ「私はそこには居ません」でしょう。といいながらもお墓参りの際には必ず手を合わせてご先祖様に話しかけたりと、こうして向き合ってみれば自分の中にある「お墓」に対しての考えはどこか矛盾だらけだなぁと認識。
人生最後の不動産売買でもあるので、ちゃんと考えなければいけませんね。
そして「お墓」を考えるのはこんなにも「どう生きるか」を考えるのと通ずるところがあるのかと驚きを覚えながらの観劇でした。
「お墓」を売りたい人達と「お墓」を買いたい人達の物語。
この切り口からこんなにもストーリーが広がっていくなんて!
本作のようなお墓の販売説明会だったら是非参加してみたいものです。
もちろん本作に出てくるようなお客さんも込みで。
専属のダンサーさんによる表現は作品の差し色になったり、物語に溶け込んだりと贅沢な存在感。
演出家さんの眉唾モノな前説も面白かったです。

ウソのホント
ふくふくや
駅前劇場(東京都)
2018/09/20 (木) ~ 2018/09/30 (日)公演終了
満足度★★★★
内容確認などしなくても観に行けば必ず面白い抜群の安定感はさすが。
裏街道を生きる人々の狡猾さと違法行為が笑ってしまうほど日常にある風景。
ふくふくやさんへの欲求ハードルが高くなってきているのもありますが、ストーリーの諸々に関してはリアリティーから離れている感も。
真実なんてクソくらえ!の一刀両断、豪快な顛末。面白ければいいっちゃあいいのですが。

グーとパーでチョキを出す
ACT
劇場MOMO(東京都)
2018/09/27 (木) ~ 2018/10/01 (月)公演終了
満足度★★★★
自分だけでなく他者の気持ちも汲み取ってしまう3人だからこそ成立する男ひとりと女二人の奇妙なトライアングル。
どこかマンガチックな3人の関係は、少年漫画よりも少女漫画寄りのキラキラ感があって、何とも微笑ましい。
もともと過去に45分で公演したものを大きく膨らました作品ということで、なるほど3人の関係性の妙が丁寧に面白おかしく描かれていました。
3人に関わる人物が増えるごとに、その無理のある恋愛模様に可笑し味が増していくのがいい。

明日ー1945年8月8日・長崎ー(2018年@シアターKASSAI )
演劇企画イロトリドリノハナ
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2018/09/19 (水) ~ 2018/09/24 (月)公演終了
満足度★★★★★
初日を拝見した時にはしっかりと受け取ることが出来なかった舞台上に渦巻く個々の感情が、2度目の観劇では余りにもグイグイ入ってくるので、ひと作品の観劇としては持て余してしまうくらいのボリュームで圧倒されまくりでした。
最初こそ、その時代を生きるアットホームな家庭の姿がそこにあるのかと思ったものの、すぐに戦争の生傷が誰もの心や生活にそれぞれの形で存在することに気付かされ段々と胸が苦しくなってきます。
それでも皆の命があればこそ.。
明るい方向へと何とか進もうとする幾つもの人々の逞しさや健気さに胸を打たれるのですが・・・
想像を絶する威力を持った爆弾。
忍び寄る危険な匂いだけを察知したとて、一体どれだけの一般人が今の生活を投げ捨ててまで動くことが出来るのか、時代は変われども本作を現在に置き換えてみると空恐ろしくなってきます。