角田の観てきた!クチコミ一覧

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【怪】〜北斎夢幻・外伝〜

【怪】〜北斎夢幻・外伝〜

劇団吉祥じゅん&ワルキューレ

ぽんプラザホール(福岡県)

2007/10/06 (土) ~ 2007/10/08 (月)公演終了

満足度★★★★

いろいろな
舞台劇の考え方、発想があるんやな、と思うてんねん。

ネタバレBOX

別府を拠点とする劇団。関東で今まで見たどのプロダクトとも少し発想が違う。「西山水木+劇団ひまわり」は見ていないが。
まず芸能プロやアクション系の役者を使っている。先入観として放送劇団や何とかプロダクションの作る演劇は別の意味で内輪的で金とって人に見せる内容を持っていないと思っていたが、これは別。オリジナルで充分面白い。『陰陽師』的な魔界との闘争もの。正しいかどうかは分からないが、細部まで明確に磨き上げられている。
そうなると、エンタテインメントの劇であれば客席から舞台が遠いものだが、こちらは正面の観客から30cm位の接近戦。装置はほぼ無い。人間の肉体と装束が舞台の主要なエレメントだよと言っているかのようだ。
演技の質がバラバラかも知れないが、現代と江戸、現世と別世界ということで振り分けているとも言える。
主宰が三本とも扮装を変えて出て来る。やや様式が入った、全身を使うスタイル。体を床に叩き付ける。マイムの技術で、奇怪な、暗黒舞踏的な動きをする。これは、もう一人、子役か少女役の若い女性で出来る役者がいる(矢野真由美)。
幕間の繋ぎやイントロ等はCGで。これは贅沢な様な。DVD化を見越してか。
クライマックスの場面は「H・アール・カオス」を連想。破天荒な部分は少ないが。
アザリアのピノッキオ

アザリアのピノッキオ

パレスチナ・キャラバン

井の頭公園(東京都)

2007/09/27 (木) ~ 2007/10/07 (日)公演終了

満足度★★★★

良質なアングラ
この公演に関わっているのは歴戦のツワモノどもが多いです。

ネタバレBOX

テントを打つ激しい雨音の中、見てきました。
井上ひさしもびっくりの遅筆で台本がないまま稽古突入とか、ビザが間に合わないッとか大変な様子を漏れ聞いていたのですが、蓋を開けてみると...。ラフな仕上がり、一部細部グダグタながら、歌姫を巡る道化の鞘当てに、人形とクグツ女の鞘当てが配置されるなど、美学的にも憎い、精緻な構成の台本。大久保鷹と黒谷郁の場面を筆頭に、絵作りといい、オオッ、来た来た来たッ!という場面がかなり多いです。濡れたロマンチシズムというか。
チャンスがあれば再度見たい。無理ですが。
約2時間半。
散歩する侵略者(再演)

散歩する侵略者(再演)

イキウメ

青山円形劇場(東京都)

2007/09/12 (水) ~ 2007/09/16 (日)公演終了

満足度★★★★

当然、来年も新演出で
おねがいします。岩本さんは固定がいいかな。

ネタバレBOX

人がポツンと佇んでいる演出。前川節というか。なかなかしびれる。
《惑星ソラリス》的内容を古典的侵略SFに落し込んだもの。「言葉なんか覚えるんじゃなかった」ではないが、ペーパーバックSFの極彩色と現代詩のポエジーを隣接させたもの。
シェイクスピア的でさえある古典的ラヴストーリー。日本古典との照応もある。心中ものとか。
ラジカルな有り方を極めて微妙に描いている。愛の観念の無い人間こそが一番過激な改革者になれるというのだろうか。ゲバラとカストロを賛美しているのか諷刺しているのか。
前川知大、野木萌葱、詩森ろば...小劇場にも断続的に何年かかけて公演ができるレパートリー的作品が出現してきたということだと思う。そして極めて優秀な一群の俳優も。しかし演出の力点次第ではいろいろなメッセージが読める(出せる)作品だ。まだ汲み尽くされていないだろう。むしろ、この戯曲(着想)の持つ破壊力、タブーに触れかねない力が発揮されるのはこれからだ。
映画はどうか分からないが(消費材化されるのがオチ?)、小説化され、当然再演されなければならない。
生まれ晒し

生まれ晒し

もしもしガシャ~ン

GalleryOneLIFE(宮城県)

2007/09/22 (土) ~ 2007/09/23 (日)公演終了

満足度★★★★

日本の不条理劇の新しいミューズ
「たかはしみちこ」さんを見ませう。

ネタバレBOX

とうとう生れかけているのかも知れない。日本の現実をたっぷり引きずった「次世代不条理演劇」が。
日本の不条理劇の新しいミューズ(と呼んでいいでしょう)「たかはしみちこ」絶好調。
独特な調子で寸断、飛躍、逆ギレする言い回し。大阪の「未知座小劇場」の時は、何か全体の調子を壊しているような感じがしていたのだが、今回は確実に一つの世界(圏)を作っていた。
ベケットに近い感触が奥の奥にずっと流れている。別役の『マッチ売り』をもじり的に悪乗りさせてゆくような箇所もあり。

独創的といってもいいだろう荒々しいナンセンスなやり取り(「どくんご」的ともいえるが)。食べ物がでてくる結節点。
あっと思うような部分や、パワフルな見せ場も、前回に増して用意されている。

前作『生まれ晒し』(2006/12 新宿タイニィアリス版)と比較すると、人物の関係が全面的に書き換えられている。
引きこもりの風俗嬢とそのなじみの客という設定だったと思うが、今回は、オンボロアパートから立ち退きを拒んでいる不法滞在者と不動産業者。何度も通って来ているので顔なじみになっている。

ただ、残念な箇所も無いわけではなく、手垢のついたイメージが出て来るとガッカリ(キリスト教的なイメージ。権力とか威光の風刺。昔の小劇場風に子供時代の思い出がどうだとかこうだとか出てくる箇所)。
ネタに細かい矛盾がある。日本人じゃないはずのに、日本人ならおにぎりとか。

設定を曖昧に取りこぼしてゆくんじゃなく、踏まえるなら踏まえて、カフカ的に(?)途中で逆転させるなら、きっちり掴んで投げを打って欲しい。

素晴らしいところが最期まで貫徹しないが、これから盛岡、新潟へ遠征公演。前半部の仕上がりだけでも見ておいて損は無い。後半の数箇所もすごいです。

初日。しかし観客に演劇関係の人が多い。3分の1位はそんな感じか。ミュージシャンズ、ミュージシャンみたいな支持のされ方をしているのかも。

文月奈緒子作品集『GO!』『ダウン』『スリップ』

文月奈緒子作品集『GO!』『ダウン』『スリップ』

いのちの洗濯劇場

GalleryOneLIFE(宮城県)

2007/09/14 (金) ~ 2007/09/17 (月)公演終了

満足度★★★★

劇都仙台の裏バージョンです
全部がそうではないですが、ダーク、グロテスクです。

ネタバレBOX


(19:35-20:28/20:30-21:04/21:12-22:04)


『スリップ』『GO!』。休憩を挟み『ダウン』の順番に上演。

『スリップ』。舞台上には三人の俳優しかいないのに、戯曲上の登場人物は五人。さあどうなるか。

田島(舞台になる部屋の持ち主)
村上(最初の訪問者)
木村(交通事故を起こした人物)
マサミ(村上の婚約者)
田中(村上の知人)

映画『転校生』の大林宣彦的な仕掛けを、ある種ゲーム的に無制限に適応させた、性と死と暴力の狂騒曲といったところか。
当事者なのか第三者なのか曖昧な「あぶれ者」が瞬間的に生れ、ステージの隅で遊び始める所が面白い。
伝統的な怪談の「憑依」「キツネ憑き」の現代化ともいえる。
「永澤真美」さん改めて認識しました。
しかし時代が変わるのは早い。「性同一障害」は、病気ではないにしても先天的な障害で、保険はまだ利かないにしても「治療」という概念はありえる。
仙台有数のクラシック楽団のメンバーでも、勇気をもって「カミングアウト」した方がおられるそうな。
ただ、人に触れるとある変化が起きる、という仕掛けは、東京の「イキウメ」という劇団の『散歩する侵略者』という戯曲、劇で絶頂を迎えたでしょう。
機会があれば、お読みになってください。

『GO!』は方向音痴のドライバーが主役のコミックリリーフ(書下し)。
小学生に道を聞くエピソードはさすが。

『ダウン』。「春日町あんだあぐらうんど劇場」の再演。
こういう人たちの世界は、宮城野区の古い団地に現にあったりして。
「中産階級」的な仙台の社会(?)に痛烈な一撃、とでも言いましょうか。
人倫に反する、というか、文化的な侵犯がこれでもかと出てくる。
白い“キャニスター”を覗く場面があるのですが、お話しの内容の割りに入れ物が小さいので、いったい中がどんなことになっているのか考え始めると止まらない。
あの姉の嫁ぎ先がどんなことになっているのか、これも考え始めると止まらない。
どうしても江戸時代の南北とか残虐な錦絵を連想してしまう。まさしく日本の芝居だなあと。
この路線は、『東仙台物語』(未見です)の裏バージョンのような感じで推し進めて欲しいものだし、どなたかにも是非引き継いでいただきたい。

blind

blind

シア・トリエ(旧:満塁鳥王一座)

Night Club NEO(福島県)

2007/09/05 (水) ~ 2007/09/08 (土)公演終了

満足度★★★

東北には稀な
力作です。しかし、

ネタバレBOX

まだ若い作家。新しい手法で戦前戦後の(関東軍的な、下山事件的な)謀略が横行した時代を描こうとした力作。昔の超現実主義絵画みたいなイメージの中で進行。だがホラー的場面やラスト近くがキッチュぎりぎり。6人の人物各々のエピソードの錯綜が煩雑。自分のスタイルを完全にはこなせていないか。
文学か映画だったら面白いのに、演劇としてはどうかなーと思ってしまう。悪いけど俳優陣の演技も物足りない。
それに、あの時代の王権に近いものを描くのに「天皇」について一言も触れないのはどう考えても不自然。机上の創作(都内でガキんちょどもがやっている様な安手の)に見えてしまう。かなり危ない。
栞の言によれば、はっきり触れないことで描いているような意味を匂わせているのだが、青森の畑澤聖悟さんもそうだが、そんなのは劇の発想でも、詩の形にふさわしくもないだろ。その場しのぎ。
マジックリアリズムにしては格好良過ぎるんではないのか。人間はそんなんじゃねえだろ、という感想も抱くのでした。
『妖炎犠』

『妖炎犠』

工藤丈輝(東京戯園館)

せんだい演劇工房10-BOX(宮城県)

2007/09/05 (水) ~ 2007/09/05 (水)公演終了

満足度★★★

ハイブリッド舞踏
仙台里帰り企画/舞踏デモンストレーション。炎の精が近代化の波にもまれて散々な目に逢う、という童話風ストーリーになっている。マイム。ヒップホップ系ダンス。歌舞伎の型等いろいろ引用してみせるハイブリッドな舞踏。軽味にびっくり。雨天のため半分室内になってしまったこと。また半端な小雨だったことが演出上くれぐれも残念。
音響:へも。照明:相馬洋子。制作:伊藤文恵。
※雨天の為野外デッキを室内に変更。

#06 平原演劇祭 2007 第二部

#06 平原演劇祭 2007 第二部

みやしろ演劇パーティ/平原演劇祭プロデュース

新しい村(埼玉県)

2007/09/01 (土) ~ 2007/09/01 (土)公演終了

満足度★★★★★

演劇とそうでないもののエッジへ
作品、上演として「常識」はずれ。センスも驚異的。まさしく前衛は死んではいない。もともと東京でチャラチャラ芝居やってるなかに本物がいる可能性の方が少ないんだけどね。

『SURF GREEN ~ ハネムーン in ハワイ』

『SURF GREEN ~ ハネムーン in ハワイ』

劇団アルファー

ウィニングスタジオ(宮城県)

2007/08/31 (金) ~ 2007/09/02 (日)公演終了

満足度★★★★

設計思想がみえる
生活者に受け入れられる劇、仙台で上演する意味、演劇をめぐる状況などに意識をめぐらせた、ユニークなモダン・ウエルメイド。

Frances Barb " Fine Bone China " /東雲舞踏『ハルノ唄』

Frances Barb " Fine Bone China " /東雲舞踏『ハルノ唄』

東雲舞踏

CLUB DROOM(宮城県)

2007/08/30 (木) ~ 2007/08/30 (木)公演終了

満足度★★★★

世界の「Butoh」の今が
海外に進出した「舞踏」がどんな風に定着しつつあるのか。また、舞踏の母国日本でイキのいい世代がどんな状況に立っているか。非常にはっきりと見通せた公演でした。

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