角田の観てきた!クチコミ一覧

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街よさらば~満月とバタフライ

街よさらば~満月とバタフライ

劇団AND

ATTIC(北海道)

2008/06/17 (火) ~ 2008/06/21 (土)公演終了

満足度★★★★

(もうちょっと時間をください)
90分の作品にもかかわらず主役級の人物が二人。その人たちの書いた文章の中の出来事が平行して出て来るし、現実のレベルでも展開がある。時間が大きく飛ぶ。恐らく初見では全体像が分らない。しかし、人の心を抉るようなシーンが沢山出て来る(度が過ぎたおふざけも沢山)。

ネタバレBOX

世界の果てにある部屋。実はマンションの踊り場、に勝手に住み着いている青年(とその父?)。階下の部屋の女子高生。
青年が書くその女の子への手紙の中のストーリー(あるいは青年の血の中に巣くっているある女の悪魔の妄想)。
女子高生の父親や学校の実習教師の狂態。彼女の書く妄想日記。それを読んで刺激され、彼女を軟禁する実習教師。彼が身勝手に捨てた女の子が復讐にやってくる。
手紙の創作の中の登場人物たちの悲劇。

唐十郎の孫、ベルナール・マリ = コルテスの札幌の義兄弟。サラ・ケインのプリチーな弟分。フランス語で書いていれば評価は全然違うはずだ。その意味でANDの劇はリージョナル(地方色のある)演劇ではない。たまたま札幌だったということだろう。神の配置の不公平というか神秘的な僥倖というか。

そして、世間でどんな事件があろうとも、芝居の中ではナイフで人が何人も屠られなければならないし、目がえぐられ、首が切り落とされなければならない。社会全体のためにそうしなければならない。

Sui Site~実体の無い透明な犬と彼女

Sui Site~実体の無い透明な犬と彼女

劇団イナダ組

生活支援型文化施設コンカリーニョ(北海道)

2008/06/19 (木) ~ 2008/06/24 (火)公演終了

満足度★★

大味(事実誤認もある)
戸川純はゼルダのメンバーじゃないでしょ。デタラメを書いちゃいけないよ。イナダさんよお。

タッパの高いセット。ゆったりしたテンポ。丁寧に書かれて、伝えたい内容もわかるのだが、どうしてもこの種の題材では大味に感じてしまう作風。
『餃子の正しい作り方』と座組み的に似通っている。イナダ組には女優の一枚看板が居ない。透明な犬があまり効いていない。

ネタバレBOX

自殺サイトでの合意で集まった連中と思い付きに近い強盗一味と消息不明の彼女を探す二人組が山中の廃屋になったラブホ跡でバッティング。自殺志願者たちに主導権を奪われて...。
武田さんは本当に演りたいことは多分ニュアンス的に違うんじゃないかと。
歌劇 ~ 音楽 OTORAKU ~

歌劇 ~ 音楽 OTORAKU ~

夢野カブ一座

吉祥寺シアター(東京都)

2008/06/13 (金) ~ 2008/06/15 (日)公演終了

満足度★★★

多分これは
60年代初め頃まで盛んだったと聞いているレヴューショーの系統のものだろう。それもミュージシャンメインで綺麗処のダンサーが居ない奴か。

ネタバレBOX

“サウンド・ドッグ・システム”という発明品のために音楽家の“魂”を買い漁る悪魔_毒蛇魔太郎(島津栄介)。月から来たアイドル歌手マリア(natsu)。狂言回しのバーテンダー_月島海(辰巳蒼生)。マリアをメジャーデビューさせるためにバンドから追い出されたボーカル_夢野カブ。こういった登場人物たちを軸に、ある種の“アングラ劇”みたいに、ワンポイントで突拍子もない事をやる人物がヒョッと出て来る。ほかには、ソウル歌手持田浩嗣さん。弾語りの函館くん。トランペットと手品の辰巳コ五郎さん。などなど。
ちょこっと出て強烈は印象を残したのは「阿佐ヶ谷バレルハウス」のマスター、ex.ピンクフラミンゴの矢野間健さん。ファーイーストゴスペルシンガーズの森崎ベラさん(横浜)。ミスタースリムカンパニーOBの加賀山伸さん(おそらく薬での妄想を延々と話すサイケな寅さん)。
後半お話が断片化して支離滅裂になってくるのだが、演奏で締めるという感じ。
札幌にはゆるく繋がった歌い手たちの集団が幾つかあるのですよ。福岡にもどうやらあるらしい。仙台は層がごく薄い。夢野カブさんたちは中央線沿線一派かいな。
極個人的には、持田浩嗣、森崎ベラといったシンガーを知ったことが収穫大きかった。
少年の腕 ~Boys Be Umbrella~

少年の腕 ~Boys Be Umbrella~

TheatreGroup“OCT/PASS”

せんだい演劇工房10-BOX(宮城県)

2008/05/28 (水) ~ 2008/06/07 (土)公演終了

満足度★★★

本領発揮。
『ザウェル』は、ペット屠殺が題材。大げさだなと思った。『バビロン・バタフライ・バーレスク』は、求心力不足か。そして今回。これが本来の持ち味か。

ネタバレBOX

“アングラ演劇”is_not_dead.と言いたいが定義にもよる。「十月劇場」も「超十月劇場」も多分はっきりした敵を標的にもっていないだろう。一般的な世相を題材にしたリベラル系。だから、野戦の月なんかと比較するとヌルイ。
ただ今回のはとてもいい。客演の年配の大山健治さん(マッドな医学者)、真田鰯さん(幽閉されていた異常な暴力少年)が厚みを作っている。
客演の男優二人がエキセントリックな役を一手に引受ける形(高橋美峰子さんもだが)になっている分、他の劇団メンバーは思う様遊べ、何だか非常にいい感じ。
40年遅れの終末論SF、というか特撮黎明期のSFっぽい。幕間にラウンジミュージックなんか流れて、優雅な雰囲気も。大の大人が余裕で書いている。実は都内の喜劇系の演劇でもこんな感じは出せない。副題は植木等のギャグかららしい。
しかし自分の頭の中の様子を描写するんですよ。こういう劇を無くしちゃいけないでしょう。リアル系には逆立ちしても出来ないことがある。

今回、帰りのタクシー料金一部負担という企画もある。卸町ならでは。

寛とふきたの北枕ツアー

寛とふきたの北枕ツアー

オドラデク道路劇場(福士正一)

音蔵こみせん(青森県)

2008/05/24 (土) ~ 2008/05/24 (土)公演終了

満足度★★★

津軽パッション炸裂
青森の舞踏の福士正一さんとご存じ三上寛氏を招き、弘前周辺で活動するミュージシャン、アーティストが集ったイベント。主催のふきたさん。パッショネイトなラブソング。コスモス。「危ない人」キャラで大暴れだが、手品を応用するなど芸が細かい。NONさん。日本のパンク/NW創世期の女性ボーカリストの一人。ベースぶんぶんさせて歌う。
福士さんは鼻が高く、黒子、口髭、顎鬚というマスクがいかにも太宰治的な没落富豪みたいな雰囲気を漂わせる。エビ足ですっと立上ったり、反り返って頭の位置を体の軸線から後ろに置いたままずっと立っていたり、女になったり、獣になったり、暗黒舞踏の正統派です。技と見せ場をつくる人か。
三上寛さん、札幌のねこやなぎツアーとほぼ同じセット。エコーが効きすぎるのか、機材の不調か始めのころはいまいち。後半ねばって盛り返す。津軽弁が出て来る歌に絡んで福士さん登場で締める。3時間を優に超える。多分青森の人はテンションが他の地域の1.5倍高い。ボルビックのレモン味を口に含んでギョッとする三上寛さん。

メルヘンさん

メルヘンさん

演劇集団嘘憑堂

いわき市文化センター(いわき市中央公民館)(福島県)

2008/05/25 (日) ~ 2008/05/25 (日)公演終了

満足度★★★

ファンタを飲む様なヤツ
大ホールの舞台をトリプル・ステージに分割使用。席を潰して観客のエリアは狭く。「回転頭」「新鮮組」の他の二劇団のメンバーも集結。

都市伝説めいた話からスタートする壮大な物語。アンデルセンの《人魚姫》に、八百比丘尼の伝説、ある漁村の篤志家の裏話めいた物語を重ねて創作。作中にも幾種類かのヴァリアントが出て来るのが現代的。

役者も個性の強い面々が揃う。特筆モノは、細かいギャグをどんどん入れて来るコミックリリーフ役の遠藤佑紀さん。客演ですが女形(衣装兼任)の小松嗣典さん。

終幕直前に一番劇的な場面が突然出て来るのが何か惜しい。明らかに物語が突っ走るのを抑制している感じがする。

hg

hg

風琴工房

ザ・スズナリ(東京都)

2008/05/09 (金) ~ 2008/05/18 (日)公演終了

満足度★★★★

個人的には
衝撃のラスト(ガクゼンとはしませんが)。松岡洋子さん新境地。

ネタバレBOX

佐藤誓、篠塚祥司両役者の前半後半の配役がキモ(そもそも舞台の設定の変化自体がそうなっているのか)。
災厄を引き起こした側と、被害を受けた側を、同一の「場所」が兼ねる。同じ役者が演じることのもつ意味、伝える意味。
普通のエンタメ系小劇場の雰囲気をもった楽しめる演劇として滑らかに仕上がっている。抒情にくるんでいるし、これみよがしではないのだが(でも前フリはある)、ドキュメント演劇の実験的なシーンが最後の最後に登場(誰某さんが現実にしていることのここでの反復再現)。おそらく小劇場史上初か。日本の演劇史上初かもしれない。
詩森さんの感動、表現のポイント、伝えたかったことがありありと分かる。
今現在、風琴工房の作劇は無茶苦茶尖んがっている。メタドラマ、演技や描写という事についての将来にわたる歴史の中での一つの貴重な例になっていると思うが、大人の作品にもなってます。
「聖なる土地」は生み出すものも違う。水俣にも近いうち必ず行ってみなくては。
ジンジャーに乗って

ジンジャーに乗って

快快

王子小劇場(東京都)

2008/05/15 (木) ~ 2008/05/25 (日)公演終了

満足度★★

『三月の5日間』
ですよね。

ネタバレBOX

チェルフィッチュのフォロワー。特に『三月の5日間』を意識した内容になっている。セックスの代りに飲み会ね。
前半は後半の為の当て馬という構成。セグウェイは話のダシに過ぎず、本当の題材はホームレスの爺さんを見てのあれやこれやだ。
演劇というのはやってみせることだと思っていたのだが、そうだとすれば、これは身体をかなり使っているけれども、相当文学性が勝った演劇なのかなあと。
言葉の描写の「リフ」を別人が別の場面でずらして言うことで、意味を付け替えてゆくという仕掛けを使い、モチーフに迫ってゆく。無関心で冷酷なイマドキの若者のふりをしてマトモな事を言い、客に「聞かせる」というような手法か。
代表的な演技者は、池野拓哉(from パパ・タラフマラ?)。
余談だが、これから、美術畑の人間の習い性でどうしょうもないのだが、手法の可能性の追求・細分化・トリビアリズム・退廃・放棄という様なサイクルを作ってゆくんじゃないでしょうか。
安穏。加害者と夫、その妻とその意志

安穏。加害者と夫、その妻とその意志

錦鯉タッタ

神楽坂die pratze(ディ・プラッツ)(東京都)

2008/05/06 (火) ~ 2008/05/07 (水)公演終了

満足度★★★

万国のプロレタリア団結せよ!
People have the power??
前作、島尾敏雄『死の棘』の二人に、プイグ《蜘蛛女のキス》の設定が重なり...

ネタバレBOX

前作、島尾敏雄『死の棘』の二人に、プイグ《蜘蛛女のキス》の設定が重なり、役者個々が自主的に作り出したパートが監獄の日課に挿入されてゆく。
男にとって妻は死んでおり、女は夫を刺すなどして収監されているらしい。作家である男は、相変わらず、看守に、奇怪な理由でたて突いている。愛情の薄い現代の『死の棘』の後日談か。
劇の次元が移って、今こそ通読してみたいような事が書かれていそうな《共産党宣言》のさわりが読み上げられ、左翼のヴィーナス(?)あるいはミホ(藤島かずみさん)が柩から蘇る。しかし柩ははじめから監獄の中にあるという。
新プロレタリアチックというか、独特なモノの扱い。紐で結わえられた文庫本の束とか、ゴムの靴裏を触るとか。タオルをずらっと干したり(人によって仕上がりの形が違っていたり)。
藤島さんの過去の評判を取ったパフォーマンスが、ちょっと形を変えて、二つとも見られるお得な舞台でもある。全体的にちょっと他人行儀(?!)なダイジェスト版的作りか。
使わなければダメになる

使わなければダメになる

劇団SKグループ

扇谷記念スタジオ・シアターZOO(北海道)

2008/04/26 (土) ~ 2008/05/06 (火)公演終了

満足度★★

ポッキリ
主宰すがの公さん出演のBプロ公開リハ。お得なしぇんえんでした。

ネタバレBOX

年内で休止宣言のSKG。30歳の処女喪失作戦。前半。細部がやけにたっぷり書込まれたシットコム的ドタバタ劇。後半色合いが変わる。札幌にはヒットもした女性人称のニューミュージックがあるし(堀江淳さんとか)、応援ソングというのもあるが、これはそれの演劇版か。構成的でなく、多分モデルになったお話をふくらませて。
客観的な本当らしい物語でなく情緒的な独特の展開。俳優諸氏は良いです。
カラオケビデオや、忌野キヨシローの昔のライブ音源など、フリンジ部分、面白いのは面白いが、宣伝美術も、どんどんバージョンが増えてゆく感じで、まとまらない。そういう感じで来たんでしょうが。
「軽薄」

「軽薄」

unit circa's

演劇専用小劇場BLOCH(北海道)

2008/04/04 (金) ~ 2008/04/09 (水)公演終了

満足度★★★

あ思い出した。けどもう遅いわ。
切なさ、痛さを一枚膜を通した様なニヒルな感覚で描き尽した90分。

ネタバレBOX

中東周辺に派兵している近未来ニポン。ふた親とも亡い姉妹。姉はフリーター。コクった男は徴兵され、キモい先輩に言寄られる。妹はイジメ、淫行を無自覚なまま体験。中退後単体AV女優に。奇怪にデフォルメした演技の男優陣に、だんだんと可愛くなってくる女優陣。切なさ、痛さを一枚膜を通した様なニヒルな感覚で描き尽した90分。

80年代ニューウェーブ映画に近い感覚。ただストーリーとエピソード中心で、演劇にまで落し込みできていたかどうか。
旅行者

旅行者

下鴨車窓

精華小劇場(大阪府)

2008/03/20 (木) ~ 2008/03/23 (日)公演終了

満足度★★★

「お姉さんそこが庭じゃ全然違う家の話になっちゃうよ」「この村で裁判所の話が聞けるなんてねえ」
ベケット《勝負の終り》、安部公房『友達』、別役実に似過ぎた(というか摸作的な)導入部。カフカ的な司法官が姉妹の絆を破壊するが、どっこい病弱だった姉は、という前衛派のパッチワーク的な構想。現実の大きな状況との緊張感が無いので何となく締まらない。いろんなタイプの女優が見られる劇として貴重か。

nest

nest

未知座小劇場

未知座小劇場(大阪府)

2008/03/20 (木) ~ 2008/03/23 (日)公演終了

満足度★★★★

「私が来たのは地に平和をもたらすためでなく、斧をもたらすため!」
断乎とした構成にうねるようなドラマの盛上げ。ドスの効いた決め台詞。うさん臭くも詩的なロジック。演劇史的悪ふざけ。難度をあげた自虐的なほど困難な目標の実現をめざす演技法。宝塚っぽいショーマンシップもある。

ネタバレBOX

札幌や盛岡の演劇は地元の産物を出して地域性を出しがちなのだが(お洒落に処理する)、未知座演劇は言葉や話法からして大阪やから。顔つきがちゃうねん。
それにしてもジャン・ジュネの台詞。特定の人たちを魅了するんだろう。
後はあの土地の歴史もある。鶴橋、今里あたりの在日コリアンの長い歴史も陰影を加えている。
曼珠沙華さんは講談、漫才、啖呵的な戦前からの芸能の匂いがする。漫才で言うなら、ツッコミとボケを兼任できる感じ。打上花火さんは聖林映画やレヴュー的なバタくさい雰囲気、タメを作る呼吸。漫才でいえばツッコミ。というか二枚目役。
これが、関西の土壌に有機的に根ェーを生やすことになった前衛演劇の一つの姿ですわ。
花

劇団千年王國

生活支援型文化施設コンカリーニョ(北海道)

2008/03/20 (木) ~ 2008/03/23 (日)公演終了

満足度★★★★

「僕たちはねえ、夢なんかじゃないですよ!」
昭和10年代日本帝国+1930年代ナチスドイツみたいな軍国統制下、あるカフェに匿われている結核感染者の少女。

ネタバレBOX

ある晩逃亡少年が入り込んで来る。実は屋根裏にも去年から居候がいて、という具合に、戦時下難病悲劇のパターンを強引にひっくり返して、カフェは戦前のフラワーチルドレンのアジトみたいな話になってゆく。
戦争が冒険であり、負ければ開放されて終わりというのは作者の認識が甘いのだが、四人の女工コロスや男優陣も面白いし、榮田佳子さん、膝を擦剥いて血が出ても動じない熱演にもしびれます。あいかわらず。

暗転で細かく区切った場面の積み重ね。アストル・ピアソラと、シャンソン、カントリーロックで描く。決めの場面は映画的。
三人姉妹

三人姉妹

あなざ事情団

演研・茶館工房(北海道)

2008/03/15 (土) ~ 2008/03/16 (日)公演終了

満足度★★★

松田さんさあ、お父さんの名前は何ていうの?
手作り小劇場のコケラ落とし公演第2弾(?)。
帯広の演研がいまアツイ!!
六花亭のサクラは満開。

ネタバレBOX

観客巻込型の、倉品淳子、松田弘子+あなざーわーくすダイジェスト版《三人姉妹》。
法螺話混じり。下世話な解釈。
多分地元の役者さんが多数見に来ていたので、妙に良い出来に。
誘導して答を出さないといけないクイズ展開が苦しい。
松田さんのイラストが初期表現主義のカンディンスキーあたりを踏まえているのには驚き。
正しい餃子の作り方

正しい餃子の作り方

北海道舞台塾実行委員会

豊浦町地域交流センターとわにー(北海道)

2008/03/14 (金) ~ 2008/03/15 (土)公演終了

満足度★★★

「餃子作るべし」「失敗は幸せなんです」
餃子研究家?の兄妹が主催する伝説の“チャオズクラブ”に、近所で評判の料理上手の娘“スーパー餃子ガール”が顔を出す。
数年後、日中政治の紛糾で「餃子禁止法」が施行される当日、“クラブ”に旧メンバーと彼らに関わりのある面々が集い、今は亡き主催者の遺した、今まで食べたことの無い餃子の調理を始めるが...。

ネタバレBOX

イナダ組の飯野智行、札幌スーパーギャグメッセンジャーズの黒岩孝康、叙情派演劇協会の武田晋など、クドい位灰汁の強いメンツが揃ったドタバタコメディ。後半はタイムアウトもの、ジェントルゴーストもののパターンを踏まえてそれほどあざとくなく泣かせる。
前向なメッセージ。
破綻していない池袋東京芸術劇場の小ホールの芸能事務所系の劇団の作品みたい。女優陣のキャスティングが検討の余地あり。
体を激しく動かして感動を誘うというのは、以前どこかで良く見た様な。
春の夜想曲 ~ 菖蒲池の団欒

春の夜想曲 ~ 菖蒲池の団欒

札幌座

扇谷記念スタジオ・シアターZOO(北海道)

2008/03/14 (金) ~ 2008/03/20 (木)公演終了

満足度★★★

「気の毒な女よ~」
前札響主席チェリストも役者で登場する爆笑しんみり音楽劇。韓国、沖縄、アゴラへのツアーもある劇の初日。金沢碧さん客演。

ネタバレBOX

中味は「中島公園」周辺の文化施設、道内のオタッキーな特産物を織込んだシュールな笑劇の傍らで、何人かの女性の人生が点景描写される、というもの。肩の力を抜いた作劇。
TPSは予約しておかないとあんまりいい扱いはされない。札幌サロン演劇ですな。そのわりに席はいいともいえない。役者衆の周りは今まで何をやってきたんだか。
オフィス巣之雲

オフィス巣之雲

無国籍

エル・パーク仙台 スタジオホール(宮城県)

2008/03/01 (土) ~ 2008/03/03 (月)公演終了

満足度★★★

「ごげ」が飼い猫のはずは無い!
女優陣のタテイト版。男優陣のヨコイト版。男女に置換えた2バージョンということでなく、同じ状況の裏表的な劇。人物同士の関係、事件の因果律はある。ヨコイト版の方がドタバタの要素が入って面白い。

ネタバレBOX

斎木良太、瀧口勇次 フリーランスのお二方、面白い。女性陣も、ものすごい勢いでミストをふりまいたり、がんばっていましたが、いかんせん演技の間が詰められていない。

女子大生アイドル作家の盗作騒動。モラトリアム世代の長い春カップル(死語二重苦?)。溝の出来始めた年の差カップル。転職。悪徳編集者の策謀。虎の血が混じった黒いノラ猫にたびたび襲われる。
かもめ

かもめ

重力/Note

シアター・バビロンの流れのほとりにて(東京都)

2008/02/28 (木) ~ 2008/03/02 (日)公演終了

満足度★★★

豊田可奈子さん
演出/主宰の弁はピンと来ないが、母親役のアルカージナの女優(豊田可奈子さん)が特に良かった。

ネタバレBOX

演出的にはフラワーロックはウケたら片付けても良いか。白い枠は効果的。良くも悪くも安全パイ(ウケたネタ)は繰り返すタイプかも。
狂った生きもの

狂った生きもの

ぼっかめろん

プロト・シアター(東京都)

2008/02/28 (木) ~ 2008/03/02 (日)公演終了

満足度★★

ギリシャ悲劇+ブコウスキその他
《オイディプス王》とその次世代の物語である《アンチゴネ》を繋げたモノを柱に、他の系統の劇団では“自主稽古”と呼びそうな挿話を加えた劇(ブコウスキの短編からの模様)。

ネタバレBOX

賑やかしの部分はあるが、笑いのセンスは、少なくとも実演上はあまり感じられない。暗闇の中でモソモソやるのが好きな劇団でもある。
ベテラン勢は、相当体を悪くした(瀕死の)労務者=クレオン(二役)。盲目の囚人、転じて靴磨き=オイディプス(二役)。
芝居として見られたのは以下。労務者を診ている、妄想に取り付かれた医者。男の妄想の中の、毛布に変身した女。この二人(?)に錯乱気味の労務者が絡むエピソード。ブラックホール行き“銀河鉄道”の、二重人格の駅員と、二重人格の女性客との押し問答。この二つのシークエンスに尽きる。他はもっと削っても良いのでは、というかもっと若い劇団なら出さないと思う。折角作った“変な生き物”をもっと起用してもよかった。ギリシャ悲劇をやる意味はあまり理解できなかった。

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