Dの観てきた!クチコミ一覧

281-300件 / 630件中
その人を知らず

その人を知らず

東京デスロック

こまばアゴラ劇場(東京都)

2008/12/26 (金) ~ 2009/01/05 (月)公演終了

グッバイ2008&ウェルカム2009
海外古典を経て、東京公演最後にこの戯曲を持ってきたのは大正解。
風習化していてみんなすっかり忘れているけれど、新年を迎える事それ自体は何もめでたくはないのです。どうあろうと時間は過ぎるもの。しっかり生きて、これまでの時間を生き抜いて来られた事こそを祝うべき。それこそ昔は生涯を全うする事さえ困難だった時代があった訳で。そんな中で一年を生きた事は何よりも尊い。観ていてそんな事を思いました。

ネタバレBOX

終演後の一発芸大会や振る舞われた料理、楽しませて頂きました。知人に会ったり初対面で御挨拶をしたり。みんな年末年始にこんな場所に来ちゃったお馬鹿さん達です。なんだか不思議な連帯感。演劇に足を突っ込んで良かったなー、とか思った。
Play#2 「ソヴァージュばあさん / 月並みなはなし」

Play#2 「ソヴァージュばあさん / 月並みなはなし」

4x1h project

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2009/01/23 (金) ~ 2009/01/30 (金)公演終了

初めての人にはおススメしません。
「いつもはもっと面白いんだよ?だから、今回は…」って心境です。「あの作品をどういじる?」「いつもと異なる黒澤演出」という挑戦的な実験を押し出した公演ですので、こうなるとマニアックになってそもそもを知ってる人じゃないと楽しめない。こういう演劇もあるんだ、という意味では貴重なサンプル。しかし「演劇ってよく分かんないよね」とも言われかねない。せっかく関係者がいつもはやらないような場所でやったのだから、道行く人がふらっと観に来て「へぇ、演劇ってなんかいいじゃん」とか思わせる公演になって欲しかった。
誰も手を抜いていない気概を感じただけに非常に惜しい。むしろ通り越して、悔しい。なんでこれだけの人々があんな大都会の誰も知らない様なスペースでひっそりとやってるのか。もっと観てもらいたい。けど、この文章の冒頭に戻ると観てもらいたくない。モヤモヤしています。

ネタバレBOX

「月並みなはなし」。4人どころか16人出てくる。キャッチコピーにあった通り、黒澤作品が中屋敷演出で蹂躙されてました。でも、最終的に合意されたレイプみたいな感じ。これ伝わるかなー?「言ってることと思ってる事が必ずしも一致しない。もしくは一致するからこそより思いが強くなる」、そういうものを内包したあの脚本をこう演出するのは実はある意味で正攻法で。中屋敷さんの職業演出家としての手腕は充分に観られたんですが、個人的に面白さはこれまでの中屋敷演出で過去最低。詰め込み過ぎな印象。 彼の作品はもっと、もっと面白い。過剰に期待させて欲しい。
「ソヴァージュばあさん」。リーディングの時のほうが良かった。役者が劇中の人間以外(例えば銃とか)にもなるという演劇ならではの手法だったものの、黒澤演出の骨頂は「人間をきちんと人間として舞台上に乗せる事が出来る」にあると思っています。他、映像を使ったりしたものの効果薄い。目の前でやられている事に違和感が沸いて移入出来ず、視覚に邪魔されてちゃんと観られなかった。 菊地さんの存在感はとても好き。独白も途中まではこっちが飲まれそうになった。のに、うーん。
レドモン

レドモン

カムヰヤッセン

王子小劇場(東京都)

2009/01/16 (金) ~ 2009/01/19 (月)公演終了

ヰ。
主宰があちこちで演出助手をしている成果か、あちこちの団体の色が見え隠れ。上手い事そこから独自の色を出せたら良いものの、今はまだ表現ツールを借りている域か。更なる成熟が課題。
脚本の出来も気になるところ。よくあるっちゃあ、よくある。とはいえ、目新しくないけどシェフの腕次第でいくらでも味の良くなるメニュー。しかしそれを見越して勝負する為に選んだ気がしなくて、作れると思ったから作ってみたらどうも一味足りなくなったみたいな。その一味こそが重要。むしろそれさえあったらメニュー自体が何であろうと固定ファンは付いて来る。
公演とは『私達はこういう覚悟でこういう作品をやる者です』という、外部への見せ場です。そういう意味では初日は完全に躓いてしまった感。正直、不満。だからこそ二日目以降はまだ良くなるはずとも思うのです。期待でもあるし、「まさかこれ以下になる訳ないよな?世の中につまらん芝居を増やすなよ?頼むぜ」という心境でもあります。やりたい事は伝わって来たので、もっと慎重さをもった上で挑んで欲しい。若さで容赦する気はないし、これで真摯さがなかったら自分はめちゃめちゃに叩いていたでしょう。頑張れ。まだいくらでも頑張れる。

ネタバレBOX

言われている照明トラブルはスタッフが素人だったのが唯一の理由。じゃなきゃ上演中にあんなに客席に聞こえる様な声で喋らないし、他スタッフに注意されてからも台本の捲る音がうるさいとか手元を照らすライトが客席に漏れてしまうとか台本にチェックを記すペンの音がうるさいだなんて起き得ません。個人的にはまずもって地明かりの汚さがどうにも気に掛かりました。あれは、ない。自分は今回のチケット料金の内訳に彼らの仕事へ割り当てる分はないと思っています。それだけの仕事をしていないので。あと、トラブルで開演が押すのは×ですが、起きたら対処するしかないんだから仕方がない。でもせめて客席でそれに関するアナウンスがされてから騒々しくしてください。待たされている側に断りなしで騒々しくなってからアナウンスをするのではまるで順番が違います。
脚本・演出。頭は良いが、センスが悪い。失礼な言い方ですがそういう印象。感情を見せて雰囲気を保つシーンが冗長だったり、音の入りや素材がミスしてる感じだったり。人物の立ち位置の距離感が微妙に気持ち悪い。その遣り取りをするには近くて相手を受け入れ過ぎだろとか、その逆とか。もっとフィーリングで訴えて来て欲しかったです。なんとなくではなく、ツボを突いた確かなフィーリングで。
最後の最後できっちり締められてませんでした。途中で気付いたんですけどね。これは明確な終わりに辿り着かないだろうなと。登場人物達が物語のその後にどうなったのか想像が付かないのです。観る側にとって彼らの人生が息づかなかった。SFといえど人の温もりに焦点があったのだから非常に残念。観終えても残る温もりがあれば。
キミは癌

キミは癌

ろりえ

早稲田大学学生会館(東京都)

2008/12/11 (木) ~ 2008/12/15 (月)公演終了

なんでだ?
なんで「観たい!」にコメントし忘れちゃったのかな?ビックリしています。
汚い話をしますけど、誰だって思い当たるはずなんで許してください。う●こをですね、めちゃくちゃたくさんしたとします。あぁ、もう無理だな。これ以上は何も出ないなって思ってそれでも更に捻り出したら、よく分かんないけど透明な物体が出る様な気がするんです。それが今回のろりえ。

ネタバレBOX

冒頭3分くらいが正に今までのろりえの印象。よく分かんないけど女の子達がなんか楽しそうな感じ。でも今回は終盤になると男の子達がそうなってた気がする。
あ、宇宙船が出た辺りでわーってなるのは前回と一緒でしたね。ろりえ方式と呼ぼう。ああなると「これホントに終われるの?」って心配になる。あのオッサンが例のエンクラ新人の40代か。ファンキーでカッコイイじゃん。
ちん毛が裸の尻を掴んでた。
今日も、ふつう。

今日も、ふつう。

アロッタファジャイナ

新宿シアターモリエール(東京都)

2008/12/10 (水) ~ 2008/12/14 (日)公演終了

アロッタファジャってきた。
誰が被害者で加害者だったのか。全員が当てはまった様にも思えるし一人もいなかった様にも思える。辿り着いた結果は一つでも、それに至った経緯を誰の目線で観るのかによって意味は変わる。愛し愛されるのは幸せな事か?死は悲しい事か?ふつうって、なんだ?
名前はよく見聞きしたものの、自分含め周囲に観た人がいなくて気になっていた団体。ふつうに面白いと思いました。しかし普段はふつうじゃない題材を扱っているらしいので、そっちも気掛かり。今回初見だった自分にとってはこれが現状でのアロッタファジャイナのふつう。
やる側がやりたい事をやれている芝居。尚且つ客席は何処に座っても観易いし、スタッフワークもナイス。アンケートの作りにも加点。ボードを付けて、名前などの記入欄を上にした様式。記入率を上げる為の工夫がされていました。公演として質が高いですね。140分という長尺ながら落ち着いて観ていられました。個人的には場転及び暗転の多さはあんまり気にならなかったです。最初から最後までを通して一つの集中力で観たらそれは確かに疲れると思う。自分の場合はこういう作りの芝居を観る時、場転であえて一度冷静になって次の場面で新たに集中する様にしています。ちゃんと作られていれば、その内に流れで観て自然と移入出来る構成になっているはずなので。

ネタバレBOX

ブリッジの音量が大きめだったのがどちらの意図だったかは気になる部分。場転の雑音を消しつつ客の聴覚を奪って、完全でない暗転の中での場転に気を向けている内に次の場面を始めたかったのか。それともハッキリした区切りとして受け取って良かったのか。もしくは、どちらにするかは個々に任せていたのか。台詞的にスパッと終わって場転になる時が多かったから自分は区切りに思えたんですが。そんな中、余韻を残して欲しい時には暗転してから役者の動き出しまでに間があったのは良かった。
演技としては、高まった感情の表現がどうもディフォルメっぽいというか。テンション系の人物は滑ってました。ボーズやサインとしては受け取りやすいけど、真実味が薄い。でも今回はそれでも許容出来ました。脚本に助けられたと思う。これがファンタジーとか架空の世界観の芝居だったら、人物への共感のしにくさを生んだかもしれない。

以下、箇条書き。
・国民的な子達よりも安川さんがタイプでした。
・クロをやった方がフライヤーにいないのも仕掛けかと思った(←オガミの間違い。出演者告知を読んで何者か分かりました)。
・転の頃に携帯が「不通」。
・芝居でホントにキスさせるのは好きじゃないけど、した後に「帰ったほうがいい?」って聞くあれは嫌いじゃない。聞かれたい。
・ところどころ非対象物演技になるのが気になる。
・終盤に回想で台詞を分ける部分。二階からの声がもうちょっと欲しい。
・電車に飛び込み自殺。今日あったなー。
・幼児に惹かれて行動を起こしたダイに対して自分は純粋で可哀想な人に思えたんだけど、ふつうはどう感じるんだろう。
プリンで乾杯

プリンで乾杯

劇団競泳水着

王子小劇場(東京都)

2008/12/10 (水) ~ 2008/12/16 (火)公演終了

水準をちゃんとクリア。
ルームシェアをする男女。部屋を出て行く人がいれば、新たに入って来る人もいる。時の経過はそれぞれに新たな出来事をもたらし、変わっていく身辺と心境。そしてようやく気付いた事。
最近の競泳が好きだった人なら裏切られないと思います。三部作の中では最も笑いの要素が強かったかな。それに関しては永山さん&辻沢さんの功績が多大。個人的にもお二人の好感度が一気に上がりました。
劇団化してからは別のジャンルめやるそうで、それからどうなるかが気になる部分。劇団員になるんじゃないかと予想の立つ人もいるのですが、さて。

ネタバレBOX

正直、プリンで乾杯する意義はあんまりなかったかな。妙なタイトルだった分、落としどころに期待していたのでちょっと残念。「え?出番これだけなの?」と思える人がいるものの、それもまたある意味でトレンディードラマっぽい。映像じゃないからカメオ出演なんて効率が悪いんだけども。
最初に作ったテンプレートがミスっていたのか、色々な所で表記が「第三期トレンディドラマ三部作」になってるんですよね。映像とか当パンとか。前回はチケットがそうなってた覚えが。正しくは「第二期」。
飴をあげる

飴をあげる

こゆび侍

ギャラリーLE DECO(東京都)

2008/12/09 (火) ~ 2008/12/14 (日)公演終了

多分、未完成。
流れよりも描写に比重があって、線というよりは点になっている印象。前回もそうでした。作・演出の成島さんにはきっと更に綺麗で美しいものが見えているに違いないと思うのです。しかしそれが舞台上でまだ完全に具現化されていない気が。内包した要素は充分に興味深いのに、眼前に提示されたものは浅く感じる。勿体無い。勿体無さ過ぎる。
背客席は半分が桟敷。確実に椅子に座りたいなら開場と同時に入るくらいのタイミングで向かうのが吉。

ネタバレBOX

「亡骸をめぐる冒険」
最初の人類の声が声に成り過ぎ。己の肉体から発する音を疎通手段として進化させたのが声。しかしこれにおいては、そもそもちゃんとした声の出せる人間が茶化している様に見えました。演じているのだから事実そうなんですが、嘘くさく見えるのは別の事。

「幕間」
「飴をあげる」というタイトルの演目があるのにこれを作った理由は?次の演目開始までの時間稼ぎだったのかな。
「亡骸〜」には果実が出るし、「うつせみ」には樹液が。全てに飴に通ずる甘い何かが登場しましたね。かといってそこに意図的な采配が見えず。

「飴をあげる」
柿喰う客っぽいという意見には賛同。しかしながら佐藤みゆきさんの能力を見せるには適した作品だったとも思えて、妙な安心感がありました。もっとぶっ飛んだ内容にしても良かった気もしつつ。

「うつせみ」
発想はとても良いのです。しかし世界観を壊す言葉や情報がいくつもある。ただでさえ繊細な世界観。危うい説得力の中で何を信じられるかとなれば、それは役者の存在に他なりません。しかしその台詞に違和感があるとなると・・・。

構成的に「幕間(タイトルを変えないとならないけど)」→「飴をあげる」→「亡骸〜」→「うつせみ」のほうが流れとしては見易かったかも。

最後に、今回の公演で私的に非常に腹の立った事を記します。「飴をあげる」と「うつせみ」との間で、客席後方ろから「はい、今は伸びの為の時間です!同じ体勢でいたら辛いですよね。どうぞ、伸びをしてください!」と言いながら男性が舞台に上がりました。面識がないのですが、あれが成島さんだったのでしょうか?公演の雰囲気をぶち壊す最低のパフォーマンスでした。帰ろうかと思った。ホントは「オススメしない」にチェックを付けたかったけど、他のキャスト・スタッフに罪はないので。
大クリスマス

大クリスマス

新劇団松葉ステッキ

アミュゼ柏(千葉県)

2008/12/05 (金) ~ 2008/12/07 (日)公演終了

大ノス。
千葉県柏市に拠点を置く団体。演劇公演が月に一度あるかないかの柏市にて三ヶ月ペースで公演を行う積極的な姿勢に対しては素直にエールを送りたい。また同時に、それを公式HPで活動概要として掲げるからには絶対的に維持せよとも思う。
都内なら万遍なくどの団体でもクリアしている課題かと言えばそうでもないしむしろダメな所はホント話にならないくらいにダメなんだけど、「公演を成り立たせる」という点でのマイナスポイントが目立ちました。客席から芝居が見にくかったり、スタッフワークに粗があったのが残念。稽古で作って来たものを商品として客前に出すのが公演です。芝居そのもの以外は、お店だったら包み紙などのパッケージや顧客対応サービスに当たる部分。そこでマイナスを生むのは非常に勿体無い。損。
ついで、これも損をしている点。チラシの時点で『実はギャグも複線です!』と記していたり、記載されている役名でネタバレしたり。芝居を見慣れた人ほどに期待値を下げるやり方。客に想像をさせて興味を持たせるのは良い。しかし客の想像のほうが上回ってしまったら、期待外れという結果になってしまいます。だから自分は始めから期待をしなかったのです。その手を使うなら、この世の全ての人間の想像の上を行く確信の元にやらなければ。
脚本に関しては個人的に「どちらかと言えばそんなに悪くはないと思う」、かなり微妙な線。柏市周辺でオリジナル戯曲をやっている団体では安泰なほうだけど、それこそ相対評価だからこの団体自体の評価にはならない。開始30分頃に改めて複線を張ろうとした辺りで、人物が明言しないまま匂わせる様な台詞を口にする現象が起きた。これは完全に作家の都合に寄った台詞選び。登場人物にとっては明言しない理由がないので、急に気持ちのこもらない探り探りな言葉を口にした様に見えた。劇中人物を人物として扱うか、それとも記号として扱うか。
彼らが最も恵まれているのは、客が温かいという事。だからといって今の質のまま作品を提供して行くのは許されない。身内しか観に来なくて成長もなかったとしたら、それは発表会以下。そんなものを有料で何年も続けるのは蛮行に値する。役者の芝居が下手なのは致命的だが、彼らの場合はやり方を分かっていないだけだと思う。まだまだこれからである。

Dirty grace

Dirty grace

早稲田大学演劇倶楽部

早稲田小劇場どらま館(東京都)

2008/11/29 (土) ~ 2008/12/01 (月)公演終了

武器はセンス。
エンクラ界隈のチラシデザインでよく名前を目にした、だり子さん。個人的にはそれらのチラシが好きだったし、今回のは特に。今回は彼女が作・演出も担当。結果、内容もチラシデザインから予想した通りでした。惹かれていた人はそのインプレッションを信じて観に行ってみてはどうでしょうか。
開演前に流れていた曲からして「あ、センスいいな」と思って安心。役者の入退場も視覚的に意義を持っていました。動かし方をよく分かっているな、と。いじりにくいポイントだからこそセンスが出る部分。話の流れとしては起承転結の転を過ぎてからがちょっと長く感じましたが、セオリーを考えたらそうなるというだけ。ナシではない。場面の切り方・繋げ方はスマート。なんかね、峰倉かずやさんが芝居を作ったらこうなるんじゃないかなーとか思った。
舞台美術の作りからして、座る位置で見え方に相当な違いがある気がします。自分がもう一度観るなら舞台面を前にして左手側上段を選びたい。

ネタバレBOX

役者は粒揃い。個人的な収穫は、未見ながらギャグ団体だと思っていたサイバー∴サイコロジックの平平平平さんが上手く脇を締めていた点。それを別に、全く何て読むんだ彼の名前は。「へいだいらぺいぺい」?「よんぺい」?「よへい」?
何ちゅう奇跡

何ちゅう奇跡

劇団てあとろ50’

早稲田大学学生会館(東京都)

2008/11/28 (金) ~ 2008/11/30 (日)公演終了

あら、いいじゃない。
同人誌の締め切りが迫り、描く場所と食料を求めて友人宅に転がり込んだ三人。彼らにも家主にもそこに訪れる人々にも悩みや抱え込んだ何かがあって・・・。
正直あんまり期待してませんでした。始まってしばらくはそういう心持ちで観ていたし。しかしながら30分くらい経過したら芝居の色が変わり出した。ドタバタ劇から心情を見せる方向へとシフト。このまま続くと静かになった為に客が寝るんじゃないかと思ったものの、変化が同化に移っていった。序盤で単なるドタバタ劇だと思っていたからこそ響いた、それ以降の人間模様。上手い見せ方だったと思います。
この値段だから気軽にオススメ出来るし、特に学生演劇をやっている人に観て欲しいです。

ネタバレBOX

始めは役者の能力差が気になった。とはいえ好きになれない人物はいなかった。最後まで観たら頑張ってたのは分かったし、せめて冒頭に垣間見えた台詞とちりは改善を願うところ。あと、舞台奥にいる時は声量をもう少しプラスで。
姉弟の遣り取りが良かった。客席から鼻をすする音がしていました。嘘泣きで終わらずに涙を流せる役者(しかも男性)を学生会館の公演で見られるとは嬉しいサプライズ。
アイツなら哀しくないわ

アイツなら哀しくないわ

バナナ学園純情乙女組

ART THEATER かもめ座(東京都)

2008/11/26 (水) ~ 2008/12/02 (火)公演終了

純情過ぎて濃厚。
感想に困る団体である。評価基準を何処に置くべきかで判断をしかねる。演劇として観るべきか、パフォーマンスとして観るべきか。
突拍子のなさや猥雑さが公演ごとに増している印象。それによって観にくくなってもいるのだけれど、そこが「らしさ」に繋がろうとしているとも思います。役者の能力で見たら全体的に結構高いほうだし、見た目にポイントの高い人も多い。綺麗な部類でも、それ以外の部類でも。そんな人々があえて暴挙に出ている様な内容。そういう意味ではあとちょっとカスタマイズされたら充分ウリになるはず。チケットは学生料金で比較すると早稲田・明治・慶應の辺りと同じかちょっと高いくらい。外小屋でやってるのを考えたら適正じゃないかな。気に入る役者を発見出来そうな率からしたらお得かも。

ネタバレBOX

今回観たのは初日だったからか、始まってしばらく地に足が付いてない感じがしました。そもそもが地に足の付いてない連中なので分かりにくかったんだけど。『鳥が左肩に・・・』で食らわされたダメージはデカかった。あれはアドリブだったんだろうか。だったらもう二度とやらないで欲しい。たまたま観られたという至福に酔いたい。
冒険王

冒険王

青年団

こまばアゴラ劇場(東京都)

2008/11/15 (土) ~ 2008/12/08 (月)公演終了

向かうはいずこ?
終わりを決めずに旅をする人々。彼らが集まる安ホテルでのひととき。そこには浪漫の様なものはなく、母国から離れた土地に馴染んで暮らす日常があるのみ。しかしそれはその土地にいるからこその日常。帰る時を決めていない彼らではあるものの、いつかは戻る時が来る。その時まで許された僅かばかりの非日常。
生き様の一部を切り出しているので、それこそ劇的な起承転結を区切りながらの進行ではない。むしろ承がひたすらに続く。しかしながら人物の前後の生き様が見えるので物足りなさはない。そもそも人生なんて大半の時間を承として費やすもの。だからこそまだまだ先がある。
古舘さんを初め、好きな役者ばかりで御馳走様でした。二反田さんはハイバイの「て」に出てましたっけ?あの女子大生コンビはかなり贅沢。堪能。

ネタバレBOX

個人的な失態は開演ギリギリに行った事。それまでの間に既に役者が舞台に出ていたのに見逃す。あー、もう。
鳥人図鑑

鳥人図鑑

劇団 虚仮華紙

BABACHOPシアター(東京都)

2008/11/23 (日) ~ 2008/11/24 (月)公演終了

そうくるのか。
旗揚げ公演で受けた強烈な衝撃は今でもまだ残っている。第二回公演は場所が岐阜だったので断念したものの、念の為に行きの電車を調べていた。そして、今回。当初はタナトスを考慮に入れていたらしく、舞台スペースがそれ相応になるのは初期段階から決まっていた様子。旗揚げがあれだけ広い場所だったので何かしらの理由があるのだろうとは思ったけれど、いざ当日に舞台美術の畳を目にした時点で少し解けました。
今やってくれて良かったというのがまず正直な感想。これが劇団として名も在り方も知られた安定期に入っていたならハイリスクな公演だった気がする。個人的にはそもそも演出の面で評価しているので、成生さんの引き出しの中身を更に観られたのは良かった。しかし残念ながらこれはかなりファン心理に偏った見方。脚本的には散漫な印象があって、物語の到達が何処に向かっているのかよく分からなかった。初見で思い入れのない人からしたら手放しで面白い芝居とは言い難かったかもしれない。そういう自分も神馬さんの脚本は手放しで好きとは言えないけど『鳥人間という言葉が気持ち悪くて好き』なんてセンスには惹かれます。

ネタバレBOX

気になる点は脚本に何処まで指定があったか。フックが台詞を口にする大分前から登場しているのとか、子供を人形にしているのとか、儀式の中身とか。この辺りは演出で作られたと予想しているのだけど。
いまさらキスシーン(玉置玲央一人芝居)

いまさらキスシーン(玉置玲央一人芝居)

柿喰う客

王子小劇場(東京都)

2008/11/19 (水) ~ 2008/11/24 (月)公演終了

やっぱり柿。
「いきなり〜」と合わせて観たほうが良いのは言うまでもなく。しかし金欠で・・・とかの場合はこちらだけでも。単独でも何の問題もなく観られます。
そもそもからして場面展開が早く物語がドンドン進行する柿らしさが全面に。何となく観ていても脳髄にグイグイ割り込んで来ますが、気を抜いたら目の前でやってるのに見逃してしまいそう。集中して堪能するのをオススメします。
「いきなり〜」と比べるとこっちのほうがいい意味で軽いです。あ、軽快と言えばいいのか。でも、途中までね。

ネタバレBOX

七見さん・玉置さんの髪色が赤と青で対比してますが、芝居の色は黒と白だった印象。
いきなりベッドシーン(七味まゆ味一人芝居)

いきなりベッドシーン(七味まゆ味一人芝居)

柿喰う客

王子小劇場(東京都)

2008/11/19 (水) ~ 2008/11/24 (月)公演終了

一人でも柿。
歌う様な台詞のリズムと忙しないアクション。始まってすぐに「あ、やっぱり柿だな」と再認識。多分ラッパーを見ている気分に近いかも。自分もノらないと損。
バナナ学園といい、中屋敷さんの書く学生モノは狂気面が強く出る印象が。ワハハと笑わされていると一気に訪れるダークサイド。さながらジェットコースター。普段の柿にも含まれる要素ではあるけれど、今回は一人芝居だからか観る側により濃厚に想像させていた感じ。

ネタバレBOX

まずは初日。これが楽日までにどうなるか。
開場時間よりも大分早く行ったのに既に30人待ちでした。すげーな。
接触

接触

世田谷シルク

ギャラリーLE DECO(東京都)

2008/11/15 (土) ~ 2008/11/16 (日)公演終了

品よし。
マッシュアップ的な構成。部分的に毛色が違ったものの、流れですんなり観られました。作家としてのお二人にも興味があったのでお腹いっぱい。御馳走様でした。

ネタバレBOX

脚本:中屋敷法仁×出演:堀越涼。むしろミスりそうな台詞量とテンションの中、汗だくになりながらもこなす姿。ロシアンルーレット不敗の人間を見ている様な心境。勝ち続ければ負けない。不可能ではない。けれど並大抵ではない。
邪沈(ヨコチン)

邪沈(ヨコチン)

乞局

笹塚ファクトリー(東京都)

2008/11/06 (木) ~ 2008/11/10 (月)公演終了

過去三作の中では最も好き。
突発に思える人物の行動に今回は背景や繋がりがよく見えました。その上で迎えたから、嫌気の差す様な場面も「瀬戸際の事態」として受け取れた。
事前にあらすじを読んでおいたほうが補完出来るかも。

ネタバレBOX

アフタートークで収穫。下西さんの変わった題目・人物の命名や作風についての話だけでなく、岩井さんの作品の作り方もチラッと。何より二人の会話そのものが愉快だった。上手かった訳じゃなく、むしろその逆で。
テキサス芝刈機

テキサス芝刈機

クロムモリブデン

青山円形劇場(東京都)

2008/11/06 (木) ~ 2008/11/09 (日)公演終了

楽すぃかった。
クロム流「不思議の国のアリス」って感じがしました。お得意のアニメ的でコミカルな人物造形と描写が印象的。アニメ的というか、うんと、まぁ、あれね、な人物も約一名(笑)。
観たらなんだか元気が出た。

ネタバレBOX

taraさんのコメントで気付きました。確かに奥田さんの涙は席によって見えなかったかも。良かった、オレは見えたぜ。
木村さんを初めて見たのが時間堂だった自分にとって、あのはしゃぎっぷりは抱腹。
『リズム三兄妹』 / 『はやねはやおき朝御飯』

『リズム三兄妹』 / 『はやねはやおき朝御飯』

岡崎藝術座

こまばアゴラ劇場(東京都)

2008/10/30 (木) ~ 2008/11/10 (月)公演終了

あれれれれ?
前回当日券で入れずに物凄く期待しての今回。序盤10分くらいは何処かで面白くなる予感がしてじっと観劇。しかし面白くならず。それぞれの要素が繋がっていない気がした。あと、役者の思い切りが不足。

ネタバレBOX

色んな事をやっているものの、段階を踏む経路がない。やろうとしている事は面白く成り得たのに、具現化の時点で残念な手順を選んでしまったのか。
アゴラにエレベーターがあるのを初めて知った。
トランス

トランス

中野成樹+フランケンズ

【閉館】江古田ストアハウス(東京都)

2008/11/05 (水) ~ 2008/11/06 (木)公演終了

お腹いっぱい大満足。
個人的には今年観た多田さんの演出作品で最も面白かった。以前の手法が踏襲されて、「なんだこれ!?」よりは「そうきたか!?」な心境。そもそもの「トランス」を未見でも楽しめるはず。
今後のフランケンズにも期待。

ネタバレBOX

「倦怠期」の目隠しがベース。表情が見えない分、観る側は余計に読み取る。耳に入る鴻上さんの文体はイメージを沸かせ易い。脚本と演出と役者が「+」ではなく「×」になる、理想的な形式でした。

このページのQRコードです。

拡大