らーらの観てきた!クチコミ一覧

81-100件 / 116件中
犯さん哉

犯さん哉

キューブ

PARCO劇場(東京都)

2007/10/06 (土) ~ 2007/10/28 (日)公演終了

満足度

何故か
二回も観るはめになってしまった(^-^;

本当に馬鹿馬鹿しいナンセンスなケラワールド。



次回は古田さんのパンツ以外の姿が観たいわ。

ネタバレBOX

本気でコレをパルコでやるのは評価すべきなのか?
パルコがナンボのもんじゃいみたいな感覚で受け止めれば良いの?

きっとケラだから(?)沢山の想いの果てのコレだと思いたい。

いや、だからこそ
作り手の沢山の想いなんか全く意に介さず『バカだ~っ』って
指差して笑ってやりたいしソレしか言えない(笑)

★は二回観ても全く同じだったギャグをきちんと遣り通した役者達に。

ゼブラ(再演)

ゼブラ(再演)

ONEOR8

新宿シアタートップス(東京都)

2007/11/02 (金) ~ 2007/11/11 (日)公演終了

満足度★★★★

家族の肖像
四人姉妹それぞれにとっての母(父)
そして姉妹としての四人の間にある「のりしろ」みたいなものが
時空列を行きつ戻りつしながら丁寧に重ねられていくことで
浮かび上がる面白さ。
非日常の出来事をきっかけに
小さなほころびが大きくなるように観せる上手さが好き。
個人的には自分の頑なまでに正直を貫き通す娘に共感したりして。

最初は『?』だったタイトル
面白さが後から沁みて来た。
というか、付けた作者にも見えていないかもしれない
そんなトコロまで感じて面白く思えて来たりした。

岡田利規 新作「ゴーストユース」

岡田利規 新作「ゴーストユース」

桜美林大学パフォーミングアーツプログラム<OPAP>

PRUNUS HALL(桜美林大学内)(神奈川県)

2007/11/20 (火) ~ 2007/11/25 (日)公演終了

満足度★★★

大量の
ミッフィーもどきに思わず顔がほころぶ。

あー岡田さんだなぁと。

今後どうなっていくのか興味がわいた。

テイクフライト

テイクフライト

パルコ・プロデュース

東京国際フォーラム ホールC(東京都)

2007/11/24 (土) ~ 2007/12/09 (日)公演終了

天海姐さん
舞台の上の天海姐さんはやはり素敵だ。
軽やかな所作と優雅な手の動き。
難曲もこなし見栄えも言う事なし。

思いのほか城田くんも好演。
彼はこれからが楽しみと思わせてくれた。

ただ・・・こういうのが観たかったわけじゃなかった。
個人的にはそうとしか言えない。

Get Back!

Get Back!

グリング

ザ・スズナリ(東京都)

2007/11/28 (水) ~ 2007/12/09 (日)公演終了

満足度★★★

まだまだ
手堅いくらいに纏まって面白かった。
客演も馴染んでたし皆さんリアルに息づいていた。

ただ・・・
まだまだこんなもんじゃないだろう。
って、何様だワシ(苦笑)
伏線が多いのに終結していくところがソコ?という感があって
まだ何人もエンディングに辿り着いていないキャラが居たように感じた。
前回は全体が弱い印象で今回は散漫な印象。

話運びも演じる者も総じて巧いが
このままでは例の「ウェルメイド」とかいう
ワシの嫌いな一言でまとめられてしまうじゃないか。

劇場を離れる時に温和な青木さんの笑顔を見たら
もっともっと先を観せて欲しい
なんて、ファンだからこそのワガママを言ってみたくなった。

crossing2

crossing2

風琴工房

ギャラリーLE DECO(東京都)

2007/12/24 (月) ~ 2007/12/30 (日)公演終了

満足度★★★★

Bプロ
本当ならA・B共に観たかったが日程が合わず
何とか『授業』目当てでBプロに駆け込み観劇。

思いがけなくと言っては失礼だが
「命を弄ぶ男ふたり」では演者のバランスの良さと
その場面処理、列車の見せ方が面白く満足。

またお目当てだった、きらり☆ふじみ以来の『授業』。
他のカンパニーと比較出来たのも楽しい体験。
あちこちで賞賛されてる宮嶋さんの艶技もさることながら
個人的に御贔屓役者であるリリーさんのラストの妖演に衝撃。

前作の時にもっと女なリリーさんが観たいと思ったくせに
ファンって勝手なのさ(苦笑)

ネタバレBOX

会場選びって難しいのだろうな。
無機質なギャラリーを巧く使って観せてもらったが
「命を弄ぶ男ふたり」では少し気になったことが・・・。
演者のバランスも良く好演していた男子ふたり、
熱を帯びる場面の多い本なので仕方ないのだが
あの会場では声の反響が気になった。

個人的に音に対して敏感だからかな・・・?

東京裁判

東京裁判

パラドックス定数

pit北/区域(東京都)

2007/11/29 (木) ~ 2007/12/02 (日)公演終了

満足度★★★★★

見えないもの
今回も独自の切り口で
見事にコンパクトに
モンスターを捻じ伏せて観せてくれた。

見えないものも見えた(気がした)面白い体験。

彼らがいったい何と闘っていたのか
もしかしたら
実際の当事者だった人達が感じていたかもしれない
そんな空気まで感じられて感慨深かった。

ネタバレBOX

毎回アンケートにある『眼鏡』に○印をして提出(笑)



わが闇

わが闇

ナイロン100℃

本多劇場(東京都)

2007/12/08 (土) ~ 2007/12/30 (日)公演終了

満足度★★★★★

闇の向こう
長時間の上演にも集中力が途切れることなく観劇。
かなりかなり好きな世界だった。
丹念な描写により人生の厚みが層を成し
主要キャラが見事に立ち上がってきて面白かった。

いやもう、渋谷で大枚叩いてバカに付き合った後だけに感慨もヒトシオ(笑)

もう一度観たかったが日程の都合がつかず断念。

ネタバレBOX

どちらかというと「硬」担当の三姉妹。
イヌちゃんもリエちゃんも客演のマキちゃんも良かった。
「軟」担当の大倉さんは今回も飛び道具的なキャラ。
手堅く笑かしてくれて満足。

柔軟でいてストレート。
やっぱケラさんの世界は面白い。

偏路

偏路

劇団、本谷有希子

紀伊國屋ホール(東京都)

2007/12/14 (金) ~ 2007/12/23 (日)公演終了

チカラわざ
すごく稚拙な人間の地団駄踏む様子を懇切丁寧に見せてくれた。

結局年齢的なものとか好みの問題なんだけど
自分でも珍しく上演時間がかなり長く感じ
ついには席を離れたくなったが位置的に難しく辛かった。

・・・『遭難』の方がスキだった。

ネタバレBOX

グロテクスというほど大してグロテクスでも無いと思った。
それはワシの方がもっとグロいから(!?)、
それともそんな季節をすっかり過ぎてしまったからか・・・。
ビューティ・クイーン オブ・リナーン

ビューティ・クイーン オブ・リナーン

パルコ・プロデュース

PARCO劇場(東京都)

2007/12/07 (金) ~ 2007/12/30 (日)公演終了

ビューティーか・・・
演出家としての長塚さん、マクドナーではピローマンが好き。
(ウィー・トーマスはいかにもって感じで個人的にはダメなんだけど)
今回も湿った寒々しいアイルランドの空気が感じられる舞台で良かった。

妖気がゆらめきそうな二人の女優を劇場の中央付近から堪能。
予想通りといえばそうだけど、やはり流石。

ネタバレBOX

大竹さんは例によって大竹しのぶだった。
巧いのかもしれないけど・・・。
大竹さんが演じると『ビューティー』という言葉が
本当にその通りなのか、それとも・・・と考えてしまった。

本当にビューティーということなら
毬谷さんあたりのキャスティングで観てみたい気も・・・。

とにかく大竹さんの芝居にそろそろ(いや大分?)
飽きている自分に気づいた舞台だった。

とはいえ、大竹さんは面白そうな演目
ワシ好みの演目に出られるからこの先も観るんだろうなぁ。
朱雀家の滅亡

朱雀家の滅亡

あうるすぽっと

あうるすぽっと(東京都)

2007/12/04 (火) ~ 2007/12/16 (日)公演終了

なんともいえない・・・
美しい言葉を求めての観劇。
ホワイエには三島直筆の書などの展示もあり
その美しい筆跡を直に拝観し楽しくも興味深い趣向。


タイトルから想像出来る通り華族一門の墜ちていく様が描かれる。
人間の生に対する芝居だとチラシにあったので期待したが
意外とあっさりした仕上がり。

それにしても、
観客の年齢層が非常に高く、始まる前から少し不安だったが
案の定、年輩の女性による携帯着信音のタレ流しが発生。

それがクライマックスに、1回ならずも4回も!
ラストの見せ場とあって注意する事すら抑えていた周囲からも
「出ていけ」「いい加減にしろ」の怒声まで上がる始末。
役者が気の毒だし、前方のど真ん中に座っていたその女性の
あまりの無神経さに呆れて何とも言えない後味の観劇に。


いろんな意味で残念な舞台になってしまった。

ネタバレBOX

板の上の装置が実に質素というか簡素というか・・・。

場面は当時の時代的にも珍しい上流階級ならではの豪邸のはずだが
そのテラスかサンルームなのだろうが、残念な事に単なる間仕切り程度。
調度品なども省かれたような印象で実に寂しい感じさえした。

その装置から大きくはみ出すようなオーラを放つ佐久間は流石。
ただ、役としては女中というか使用人なのに
公爵の殿様よりもご立派感ありそれはそれでどうなのか・・・。

爵位を持つ名家の生まれにしては、そう見えにくい兄弟。
雄弁なのが単なる饒舌となり品を感じさせない弟。
身を呈して皇室、御上に使え奉る兄は初めから
静か=貧相になってしまった為に墜ちて後との落差が見えにくい。

若手ふたりは美麗な言葉に翻弄されないよう組み敷こうと頑張っていた。
だが、感情をのせようとすればするほど
三島の言葉に振り回されてしまいそうになり
観ているコチラの意識も醒めてしまいそうに。
おそらく日々我々同様
今の言葉を浴び続けているのだから難しいのだろう。

世界の涯て Lands End

世界の涯て Lands End

パルコ・プロデュース

PARCO劇場(東京都)

2007/11/21 (水) ~ 2007/12/02 (日)公演終了

満足度★★★★★

目眩くとはこういコト◎
想像した通りといって良いのか、
チラシを手にして直感的に観劇を決めた自分としては
チラシから受ける印象のままスタイリッシュで面白かった。

次から次へとイメージが具象化されて夢か悪夢のように
舞台上に立ちあがっては消え、縺れては解れ
途切れることなく繋がって行く90分。

手仕事、職人技の域かと思われるアナログな演出を多用しつつ
表現として提示されるものは実にクールで先鋭的。
人間の肉体表現と人形とが舞台という異空間で優雅に添いながら
観る者の視線を絡め取っていく。

以前観た「アンデルセンプロジェクト」といい、
表現者、創造者としての心意気を堪能した。

ネタバレBOX

オープニングの観客を欺くような演出で掴みはOK(^-^*)
全編セリフの無い無言劇だが、時折り舞台上の役者が謳う歌が◎

鮮やかな背景色に浮かび上がる物言わぬ影絵のような人間、
次々入れ替わる人の目には見えない不確かな感覚。
全身から靄のように滲む感情のような・・・。
まるで雲の上を歩いているかのような情景といった
夢の中でしか観ないような『絵』が舞台上から溢れんばかり。


ただ大きな人形のトコロで使われた音楽だけが突出していたようで
少しだけ違和感を感じた。

それと・・・
人形で蚊のような虫(?)が出てきて虫嫌いの自分は参った(-_ー;
更にその虫、顔がリアルな人間顔でキモさ倍増!!
なのに登場時間が結構長かったのでツラかった。



欲望という名の電車

欲望という名の電車

アトリエ・ダンカン

東京グローブ座(東京都)

2007/11/16 (金) ~ 2007/11/25 (日)公演終了

満足度★★★★

哀しくも気高く
子供の頃荒い画質の映画版を深夜に観て以来
ずっと「何とかならなかったのか」と思ってきた。
ソレくらい自分にとっては或る意味魅かれる戯曲。

篠井ブランチに対し他のキャスト
特に男性陣の線が細い気がして少しバランスが悪い印象が残ったが
それでも今回は観て良かったと思わせてくれた。

ネタバレBOX

ラストのブランチにはやはり胸が痛む。

迎えに来た施設(病院?)の人の腕に手を添えながら
誰にともなくつぶやく言葉。
美しく身支度をしたドレスの白は
辿り着く先であろう「籠」の壁を思わせ一層哀しさを増す。
エスコートされながら去る時の穏やかなブランチ横顔に
彼女の行く末を想い泣きそうになる。


今回は小島さんのステラが良かった。
本当にブランチの「かわいいお星様」だった。

抜け穴の会議室

抜け穴の会議室

Team申

赤坂RED/THEATER(東京都)

2007/11/10 (土) ~ 2007/11/24 (土)公演終了

満足度★★★★

少し救われたきがして
自分としては前川さんの本で初めて
終演後微かに「希望」のようなものを感じて嬉しかった。

佐々木さんと中村さんのバランスも良かったと思う。

ネタバレBOX

ラスト近く、自分達の『縁』を慈しみながらも
来世では声をかけるなと言いつつ舞台上から捌けていく「部長」。
そしてそれを愛おしそう(?)に見送る「先生」。

あの一瞬の通い合う何かを見た時、思わず自分に引き寄せて考えた。
そして彼らのように時にどうしようもない様々なことを繰り返すとしても
それもまた良しという思いになれた。

中村さんの後ろアタマから肩、背中のラインは
まだ少年の匂いが残っていて自分としてはツボでした(苦笑
野鴨

野鴨

メジャーリーグ

THEATRE1010(東京都)

2007/11/01 (木) ~ 2007/11/30 (金)公演終了

満足度★★★★★

未だ混沌として
自分の中で巧く処理出来ない。
舞台上での表現とか観せてくれた世界
それを受取った自分の中に広がった波紋のような感情とか。

イプセンのまっとうな作家の力を
より濃厚なカタチにして差し出してくれた演出家の力に唸った。

ネタバレBOX

役者さんは皆さん素晴らしかった。

役者自身が持っていると思われる色を消し去って
すっかり劇中の人物として目の前に現れた。

そんな当たり前のことがしっかり出来ていたので
あの異空間で生きている人間として違和感無かった。

あ、でもやはり手塚さんはちょっと消しきれていなかったかも。
彼を観ながら劇中にも「手塚さんだ」と感じてしまったことが数回あったから。

自分が観たいと思った石田さんは良かったと思う。
何処までがこの女性の本心なのか・・・
劇中幾度もそう思わされ魅きつけられ掴まれた。

過去が掘り起こされ夫に突きつけられて見せた涙。
娘を亡くした後号泣する夫とは正反対に泣きもせず
亡骸に取りすがることも無く自失するだけの姿と言葉。
例え何度理不尽なことに巻き込まれ、悲しみ・哀しみに遭おうとも
逃げずに対峙してこの先も生きていく、そんな強い業のようなものが
彼女を覆う諦め濃い影の向こうに垣間見えて凄みすら感じた。
レインマン(再演)

レインマン(再演)

TBS

PARCO劇場(東京都)

2007/10/30 (火) ~ 2007/11/18 (日)公演終了

満足度★★★★★

あたたかい^-^
橋爪さんを舞台で観るのはコレで2回目。
そして椎名さんに至っては初めて。

初演と再演共に先に観た方から、
「2人の関係が初演より隔たって見えた」とか
「椎名さんがTV的な演技に感じた」等々、
辛口の話を聞いていたのだが自分は充分楽しめた。

初演に引き続き橋爪さん、お見事でした。
観ていくうちにこちらまでレイモンドが愛おしくなっていく。
あの怪物(笑)相手に椎名さんも他の共演者も素晴らしい。

ラストの暗転寸前まで心惹かれる場面が続き心から満足して手を叩く幸せ。

自分の観た回は客席の空気も良かったようで
カテコでの拍手は本当にあたたかく気持ちが込められていたと思う。

ネタバレBOX

2人でリフティングするシーン、
あと2回、あと1回というトコロで失敗が続き決めることが出来ず、
やっと20回達成した時には客席からも大拍手。

木漏れ日の中のラスト、歩み寄るレイモンド。
暗転寸前、背中だけで魅せた橋爪さんには鳥肌がたった。

スターを観たい為でなく
観客からの感謝のような気持ちがあの拍手になったのだと感じ
久しぶりに本当の意味でのカーテンコールを体験した。
ワールド・トレード・センター

ワールド・トレード・センター

燐光群

ザ・スズナリ(東京都)

2007/10/20 (土) ~ 2007/11/06 (火)公演終了

うーーーん;
想像していたのと違った。
自分にとってこのテの演劇って観ていて居心地が悪くなるので、全く別な意味で非常にツライ時間だった。

豚と真珠湾

豚と真珠湾

劇団俳優座

俳優座劇場(東京都)

2007/10/04 (木) ~ 2007/10/14 (日)公演終了

満足度★★★

命を繋げるということ
戦争という苦痛の嵐が過ぎ去っても
こんなふうに人の生活に関わってくるのだということを
静かに淡々と描いて観せてくれた。

市井の、しかも離島で隔絶された人々の
無骨で決して器用ではない「いきかた」。

特に命の方舟である女性達のしなやかさと逞しさが印象的。

観るまでは突拍子の無いタイトルだと思っていたが
人の体温を感じられるエピソードからの引用と知ると頷けた。

ネタバレBOX

エピソードの繋ぎ目(幕間)に語り部として
日系アメリカ人役の方から当時の状況や
歴史的な背景などが端的に挟み込んでくれることで
その空気が非常に解りやすくなっていた。
戦後生まれの当時を知らず教育でも補われていない者達にとって
こういうカタチ、いえ、どんなカタチでも
あの時代の様々な側面を知る事は大切だと思う。
今回の脚本はそういう点でも良く出来ていて
自分の勉強不足を補っていただけて嬉しかった。
PIAF ピアフ

PIAF ピアフ

TPT

ベニサン・ピット(東京都)

2007/09/24 (月) ~ 2007/10/08 (月)公演終了

満足度★★★

歌に包まれる至福
正直にお詫びします。

なめてました、私。

安奈さん、素敵でした。

女優として「ピアフ」を受けたということは演じるだけでなく、
彼女(ピアフ)を丸ごと飲み込んで昇華させるということ。
演者として差し出さなければならないのは
人に夢を見させるようなキレイで伸びやかな歌ではない。
求められているのはライトの中に立つ彼女の影の濃さにも似た孤独と
幾度も繰り返し堕ち、汚れ、降りかかる悲しみに枯渇しひび割れた心。
そういった彼女という人間の奥行きと陰影が集約されたカタチで声に現れなければ。

ストーリー展開としては駆け足で生涯を追った為、
ピアフに関わる人の描かれ方が通り一遍で深み無く、面白みに欠けると感じた。

が、ピアフ=安奈さんがスタンドマイクに向かう時、
今回求められるモノは其処にある・・・そう感じ、
同じあの空間に居る幸せを味わい包まれる喜びに浸ることが出来た。



ネタバレBOX

ピアフとして「生きる」うち、どんどん歌が力強く豊かになっていく。
安奈サン、ホントに素晴らしかったです。
その夜の侍

その夜の侍

THE SHAMPOO HAT

ザ・スズナリ(東京都)

2007/09/29 (土) ~ 2007/10/08 (月)公演終了

満足度★★★★★

怨讐と恩讐の果て
舞台上の場面転換が同時進行のように被せながら行われていくのが実に鮮やか。
赤堀さん演じる被害者の夫、見た目には分かり難いが日常から徐々に浮きズレていて行く感じがリアル。
もともと素養があったにせよ、ひとつのきっかけで拍車が掛かるように常軌を外れ狂っていく加害者の怪物化に嫌悪感を覚えつつ、しかし彼もまた自分と同じ人間なのだと思うたびに人の持つ闇の深さを感じた。
舞台の転換場面、その闇の中から行くあてをも失ったかのように歩いてくる被害者の夫の姿が哀しく痛い。
公演で配られたパンフ(?)の覚悟を体現した良い舞台だった。
今から次回作が楽しみです。

ネタバレBOX

終盤近く、対峙する被害者と加害者。
被害者が見つめ続けた加害者の空虚な生活を羅列するシーン、そうして絞り出すように被害者が叫ぶ「お前は最初からこの物語にいなかった」というようなセリフ。
怨みをはらす為に「殺す」には少なくとも「生きている」者でなければ・・・。
上手く言えないがあの時舞台上の2人は生きているとはいえない者達だったのではないか。
そう思った時、ラストで再び生き始めることを選んだ夫に切なさが増した。

このページのQRコードです。

拡大