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純愛、不倫、あるいは単一性の中にあるダイバーシティについて

純愛、不倫、あるいは単一性の中にあるダイバーシティについて

アマヤドリ

シアター風姿花伝(東京都)

2022/02/18 (金) ~ 2022/02/27 (日)公演終了

実演鑑賞

鑑賞日2022/02/20 (日)

価格3,830円

20日16時開演回を拝見。

恒例の人物相関図と睨めっこしつつの103分間。個々の登場人物のバックボーンを承知した上での観劇だったが、ふんわりとした理解のまま、最後の群舞を迎えてしまった。今回ばかりは、自分にはちょい難解でした(作品への理解が届いていないので、今回は☆の格付けは辞退)。

なお、昭和のオッさんの旧守的な道徳観に沿った見方で恐縮だが、パートナーのやまぶきや姉の弓道のように、アロマンティックやポリアモリーといった自己を正当化する概念の盾を持たない、いわば徒手空拳のハイカットのか弱さには大いにシンパシーを感じたことを付記しておきたい。

【追記】
さて、公演を終えたので、遠慮せずに本音を言うと、本作品、万事、設定ありきで、生身の役者が演じているのに、ハイカット、さわやか、ぴけ、微炭酸の4人を除く登場人物が、大変賢い・思想先行(感情の揺らぎゼロ)の機械かロボットみたいに感じられた。
演劇というよりも、ロールプレイングによる”お勉強成果の発表会”という趣きかなぁ。

ネタバレBOX

【配役】
やまぶき(結婚相談所の職員。アロマンティック)…一川幸恵さん
ハイカット(やまぶきの顧客だったが、やがて彼女に惹かれて…)…徳倉マドカさん(アンティークス『星の記憶』ぶりの方)
弓道(ハイカットの、血のつながリの無い姉。ポリアモニー)…榊菜津美さん
絶滅(弓道の”彼氏”。ポリアモニーには懐疑的。浮気をしている)…河原翔太さん
さわやか(亭主持ちだが、絶滅と不倫関係)…相葉るかさん(お姉さんの方)
カヌレ(弓道の”彼氏”。ポリアモニーへの理解はある。ぴけの”彼氏”)…沼田星麻(ぬまた・せいま)さん
ぴけ(ネット配信者。カヌレの”彼女”)…松尾理代(まつお・りよ)さん
微炭酸(絶滅の友人。ぴけの一方的ファン。童貞)…宮川飛鳥さん
てのひらのさかな

てのひらのさかな

しむじゃっく

シアターシャイン(東京都)

2022/02/17 (木) ~ 2022/02/21 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/02/18 (金)

価格3,000円

18日19時半開演回(75分)を拝見。

幼児教育に関するドラマ、ぐらいの認識で観劇に臨んだが…指先ひと摘みぐらいの期待が、両の手のひらでも受け止め切れない程の数々の思慮深いテーマとして返って来た!
手放しでのハッピーエンドではないものの、考え方の異なる二人の先生の間で生まれた、理解と信頼の温もりがラストシーンから伝わって来た75分。

ネタバレBOX

【配役】
あや先生(もみじ幼稚園りす組担任。独身)…串山麻衣さん
ふみえ先生(りす組副担任、バイト)…三葉彩夏(みつば・あやか)さん
中井(もみじ幼稚園送迎バス運転手。実は離婚者で子供たちは妻の側に)…佐藤匡(さとう・まさし)さん
きょうこ先生(もみじ幼稚園新任の園長。子育てが上手くいっていない)…久光真央(ひさみつ・まお)さん
来訪者(児童教育専攻の院生。どこか謎というか陰のある人物)…山下慶祐(やました・けいすけ)さん
二番街の囚人

二番街の囚人

地人会新社

赤坂RED/THEATER(東京都)

2022/02/10 (木) ~ 2022/02/20 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/02/15 (火)

価格7,220円

15日18時半開演回を拝見。

開演前から場内に流れていたオスカーピーターソン・トリオのメロディーで始まった本作は、第一幕50分、途中休憩15分を挟んでの、第二幕85分の上演時間計135分。

最初は、騒がしい旦那に世話を焼く女房の愉快なコメディーだと思っていたら…
詳細は伏せるが、時間を持て余す旦那が陰謀論に取り憑かれたり、度重なる不幸に見舞われた旦那の身の振り方を心配して、旦那の身内の、かしましい姉達やしっかり者の兄がやって来たりと、板の上は、まさに、しっちゃかめっちゃか!

1971年、ニクソン大統領の頃に書かれた作品なのに、まるで、昨日か今日、書き下ろしたばかりの新作かと錯覚させられる程、現代にも通じる諸問題が描かれた本戯曲。しかし、ラストを飾るのは…(以下、「ネタバレbox」に続く)

ネタバレBOX

…昔も今も変わらぬ、夫婦の確かな信頼の絆の尊さだった。

【配役】
メル・エディソン…村田雄浩(むらた・たけひろ)さん
エドナ・エディソン…保坂知寿(ほさか・ちず)さん
パール(メルの2番目の姉)…広岡由里子さん
ポーリン(メルの1番上の姉)…山口智恵さん
ジェシイ(メルの3番目の姉)…谷川清美さん
ハリイ・エディソン(メルの兄)…篠田三郎さん

【蛇足】
出演者のうち、名前と顔が一致するのは、広岡さんと村田さん、篠田さん。
そのうち、男優お二方は"ゴジラ役者"で、しかも、うち、お一人はウルトラマンタロウ!
作品とは別に、往年の怪獣ファンとしては、狂喜乱舞する程の組み合わせでしたw
女歌舞伎 さんせう太夫~母恋い地獄めぐり~

女歌舞伎 さんせう太夫~母恋い地獄めぐり~

Project Nyx

ザ・スズナリ(東京都)

2022/02/06 (日) ~ 2022/02/13 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/02/13 (日)

価格5,130円

13日14時開演の千穐楽の舞台を拝見。

初見となるProject Nyx(プロジェクト・ニクス)の女歌舞伎。
泣かせる設定、泣かせるセリフ、泣かせる歌唱に三味線、泣かせる”ヒトカタ”(=等身大の人形)…と、女優陣の艶やかだったり粋だったりな装いが相まって、「安寿と厨子王」のエピソードを知らない若い観客でも理屈抜きに愉しめたのではないか。
140分弱の見世物芝居、大層良いモノを魅せてもらった。

ネタバレBOX

【配役】
安寿とづし王の母親…山崎美貴さん(『劇のことば』vol.1 以来。舞台では初めて)
さんせう太夫…のぐち和美さん(青蛾館他の舞台で拝見)
(づし王が逃げ込んだ寺の)聖…伊藤弘子さん(流山児★事務所の舞台で拝見)
づし王(青年期)…宮菜穂子(みや・なおこ)さん
(母子を売った)山岡太夫/(づし王を救った)梅津の院…山上優さん
奴/乞食1…水嶋カンナさん
(安寿とづし王を何かと助けてくれる)小萩/乞食2…石川詩織さん
安寿…えびねひさよさん
(安寿一家の使用人)うば竹/仙次/佐渡で出逢った子守…清水美帆子さん
づし王(幼年期)・佐渡で出逢った子供…染谷知里(そめや・ちさと)さん
悪徳役人・工藤/関白…本間美彩(ほんま・みさ)さん
(さんせう太夫の残忍な性格の息子)三郎…諸治蘭(もろじ・らん)さん
(さんせう太夫の温厚な性格の息子)太郎…真弥優希(まや・ゆうき)さん
(狂言回し的存在の)説教節/寺男…河西茉祐(かさい・まゆ)さん
宮崎三郎/お六/沢田/乞食3…山田のぞみさん
佐渡二郎/従者/脇村…三輪桂古(みわ・けいこ)さん
”ヒトカタ”(等身大人形)遣い…百鬼ゆめひな(飯田美千香)さん
津軽三味線・唄…駒田早代(こまだ・さよ)さん
宮城野(東京公演)

宮城野(東京公演)

劇団あおきりみかん

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2022/02/11 (金) ~ 2022/02/13 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/02/11 (金)

価格3,500円

シアターグリーン BOX in BOX THEATERでの『ワード・ロープ』(2019年3月)以来となる、劇団あおきりみかんさんの舞台を、11日19時半開演回、山口眞梨さん×近藤彰吾さんのC班で拝見。
岡場所の娼婦・宮城野(演・山口)と、浮世絵師・喜多川歌麿の弟子・矢太郎(同・近藤)との会話劇は、2人の話が"綺麗事"から「実は…」と二転三転・四転・五転!
だが、最後の最後には、情の深さに感銘を受ける70分だった。

ところで、雷鳴とか・声を反響させたりとか・心理的動揺を表したりとかの効果音、どこか聞き覚えがあるなぁと思っていたら、演劇企画集団THE・ガジラの舞台でお馴染みの鐘下辰男(かねした・たつお)さんが演出と知り、納得。

APOFES2022

APOFES2022

APOCシアター

APOCシアター(東京都)

2022/01/15 (土) ~ 2022/02/06 (日)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/02/06 (日)

価格1,000円

6日16時開演回、石澤希代子さんの「震える私の心の音」(41分)を動画配信で視聴。

2013年10月、今は無き新宿ゴールデン街劇場での「中野の処女がイクッ」から存じ上げている、石澤希代子という役者さんの集大成というか、一世一代の演技を”魅”せて頂き、感無量…。
嗚呼、それにしても、直に舞台に立ち会えなかったことを百万遍後悔!

ロング・タイム・ノー・シー

ロング・タイム・ノー・シー

ナイーブスカンパニー

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2022/02/02 (水) ~ 2022/02/06 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/02/05 (土)

価格3,800円

5日17時開演の、吉東理…鹿野裕介さん、岩下音…月海舞由さんの回(100分)を拝見。

「ラヴ・レターズ」形式の朗読劇は、二人共、当初は自覚していなかった”秘密”の設定があまりに狙い過ぎかなとも感じたが、お二人の情感こもった語り口がリアルな佇まいをカバー。
おかげで、シンプルな舞台空間から、豊潤な時間を得ることが出来た。

ボクはハナウタをうたう。

ボクはハナウタをうたう。

art18BUNCH企画

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2022/02/03 (木) ~ 2022/02/07 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/02/03 (木)

価格3,500円

3日18時開演回(120分)を拝見。

自分探し…いや、自分見っけ!のおはなしかなぁ?と(自信は無いが)勝手に解釈。
サンテグジュペリのテイストや、(個人的には)ひとむかし前の学生演劇の香りに、勝手に懐かしささえ覚えながら観させてもらった。
まぁ、いずれにせよ、出演者全員、フルスロットルで駆け抜けた120分強の舞台は、観客のカラダを・ココロを、熱くガンガン揺さぶったんではなかろうか。
終演後もなかなか余熱が冷めない、思いの外、魅力に富んだ舞台だった。

ネタバレBOX

観劇前、フライヤーからは殆ど内容の見えないw作品だったが、以前に舞台で拝見したことのある小林桃香さんと田村真帆さんが出演なされていると知り、お二人の出演作への選球眼の良さを信じてチケットを予約したのが功を奏したようだ。

【配役】
枯葉…赤松真治さん
総理大臣…岩崎礼華さん
ネズミ顔の女…小林桃香さん(露と枕)
飛行士…小松弘季さん
女優…田村真帆さん
いろんな男…土屋康平さん(喜劇のヒロイン)
星の王子さま…新田千佳さん
ボクらの主人公…與那城史登さん
おつかれ山さん

おつかれ山さん

ことのはbox

シアター風姿花伝(東京都)

2022/01/26 (水) ~ 2022/02/01 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/01/28 (金)

価格4,200円

28日19時開演のTeam葉の公演(90分)を拝見。

前半
タイトルの暢気な語感通りの、万事全力投球の教師を中心とした日常コメディーだと思っていたら…
後半
まるで別の作品に変わったかのような畳み掛けるような急展開に、度肝を抜かれた。
潔い程に予定調和をトコトン粉砕した結末が滅法面白かった!

ネタバレBOX

前半で観客が思い描いたであろう予定調和をトコトン粉砕したストーリーと同様、往年の大人気番組『8時だョ!全員集合』ばりの屋台崩しには、大いに愉しませてもらった。

【配役(Team葉/箱)】※敬称略
山口先生…﨑山新大 / 佐藤ケンタ
妻・知子…篠田美沙子 / 青木素姫
佐々木先生(心臓が弱い)…沼田天音 / 古瀬太樹
坂本先生(唯一?ごく普通の教師)…杉本玲緒奈 / 平石愛
大山先生(若いが副主任)…安齋彩音 / 三戸いくの
福田先生(体育教師)…竹之内麻里 / 小森かな
岡島先生(少数派の組合員)…堺谷展之 / 西村尚恭
教頭…阿部義久 / 仙石智彬
城之内(クレーマー父兄)…岩堀美紀 / 丸山美樹
野崎(劇団員)…上入佐秀平 / 郡司聡美
宮本(劇団員)…時村雄大 / 時村雄大
上野(劇団員)…神尾りひと / 大橋美紅
菊池(柔道部員)…渋谷有紗 / 佐々木花那
田山(演劇部長)…齋藤舞佳 / 宮武愛実
だからビリーは東京で

だからビリーは東京で

モダンスイマーズ

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2022/01/08 (土) ~ 2022/01/30 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2022/01/26 (水)

価格3,220円

26日18時半開演回(105分)を拝見。

評判の良さに惹かれて、東京芸術劇場シアターイーストへ足を運んだが、ここ2、3年のコロナ禍で、雌伏を強いられ、あるいは、途半ばで夢破れた演劇人の無念の思いを、笑いと熱情とで表現した105分は、評判をはるかに超えた出来栄えだった。
それにしても、作者は、作品中の劇団と同じく、私たち観客にではなく、自身等を含めた、演劇に関わる・かって関わったことのある”同志”に向けての
懐かしい思い出を蘇らせる牧歌として
打ちのめされた魂を安らげるレクイエムとして
この脚本を書かれたのかな?
その調べは劇場からの帰路、永らく胸に響き続けた。

ネタバレBOX

【配役】
石田凛太朗(ミュージカル『ビリーエリオット』を観て、主人公の生き方に自分を投影し…)
…名村辰(なむら・しん)さん
住吉加恵(凛太朗が入った劇団の劇団員。韓国人の彼氏がいるが…)
…生越千晴(おごし・ちはる)さん
能見洋一(劇団の主宰、作・演。演劇でしか、自身を肯定的にとらえられない)
…津村知与支(つむら・のりよし)さん
長井進(劇団員。コロナ禍で生活の糧を得るために始めた家庭教師の仕事が…)
…古山憲太郎(ふるやま・けんたろう)さん
山路真美子(劇団員。乃莉美とは昔からの付き合いだったが、彼女の…)
…伊東沙保(いとう・さほ)さん
久保乃莉美(劇団員。コロナ禍の中、自宅に籠っているうちにLINEを通して…)
…成田亜佑美(なりた・あゆみ)さん
石田恒久(凛太朗の父親。酒が原因で妻と別居。かって凛太朗に暴力を振るっていた)
…西條義将(にしじょう・よしまさ)さん
セミへブン

セミへブン

劇団しようよ

小劇場 楽園(東京都)

2022/01/21 (金) ~ 2022/01/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/01/22 (土)

価格3,500円

22日17時開演回(98分)を拝見。

人生は泥濘(ぬかるみ)の途。
屑人間にも三分の理どころか、胸の奥底から湧き上がって来る程の情の温かさ…
昔、聴いていた、関西ローカルの深夜ラジオみたいな味わいの舞台。
決して万人ウケする作品じゃないが、心に沁みたのは、自分の年齢のせいかなぁ?
終演後、かけそばでも食べに寄りたくなりましたw

ネタバレBOX

【配役】
男:コサカイ・マコト(問題を起こして懲戒免職された元・高校教師。現在、無職)
…夏目慎也さん(精神的に負荷の高そうな役柄を熱演)
男の妹サトミ(兄の事件のせいで職を失う)…西村花織さん
妹の旦那…大柿友哉さん
レイコ先生(「セミヘブン」の運用者)…南波圭さん
女子生徒カヨ…波多野伶奈さん(この作品を選んだ彼女の感性に敬服)
トム君…前田隆成さん

【追記】
先行の京都公演で、劇中の一部描写につき「性暴力」とのクレームを受けたことを踏まえ
劇団側では、東京公演の開演前に
「そう捉えられ得る表現が劇中内に存在することの告知」
「同表現を確認できるように台本を公開」
の2つの方策を取られた。

でっ、本日、実際に当該シーンを拝見したところ…
◆更衣室での「男」の行動
◆教え子の子宮回帰という異常な願望で現実逃避を図ろうとした「男」の思考
確かに、不意打ちで観られた方の中には、恐怖や強い嫌悪感を抱かれる方もおられるだろうな、と感じさせられた。
劇中の個別具体的描写を事前に知ることが困難だという演劇の実情を鑑み、やはり、必要(何らかの危惧)があれば、適切な事前告知を発するべきなんだろうな、と。
この点で、今回の劇団側の2つの方策の実施は、極めてフェアな対応だったと、改めて評価したい。
ガラテアの審判

ガラテアの審判

feblaboプロデュース

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2022/01/20 (木) ~ 2022/01/26 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2022/01/21 (金)

価格3,300円

21日20時開演回(115分)を拝見。

AI技術の発達により人間同等の知性・感情を有するようになったアンドロイドが犯した世界初の殺害事件。
被告となったアンドロイドの処遇を巡って、擁護・糾弾の対立が過熱する世論を背景に、公判前整理手続の段階から丁寧に描いた法廷劇は、まさしく、重厚な"人間"ドラマ。
2時間弱の上演時間中、あますところなく、これこそ演劇だ!という舞台を堪能させてもらった。
感謝!

ネタバレBOX

法廷劇なので、法曹三者(裁判官,検事,弁護士)と被告を演じた4人の役者さん達のパフォーマンスは、勿論、称賛に値するものであったが、個人的には、更に、役柄上、注目しないと気づかない程のささやかな演技を続けておられた、アンドロイドの庶務官役・ニュームラマツさんを高く評価したい。

【配役】
弁護士フルカワ・バンリ(ヤメ検)…坂本七秋さん
検事キリシマ・ヨーコ…陽向さとこ(ひなた・さとこ)さん
被告ジャック…新井裕士さん
裁判官ケンザキ・アスミ(フルカワと法曹同期)…坪和あさ美さん
証人1(ジャックを制作した会社の技術主任)ウダガワ・コウタロウ…阿部遊劇手さん
証人2(ジャックの派遣先家庭の夫)オオサキ・シノブ…神野剛志さん
証人3(殺された少女アンナの母親)ココノエ・ミナミ…佐神寿歩(さがみ・ひさほ)さん
証人4(アンナのベビーシッター)ヤシロ・フユ…長門佳歩さん
(レポーター)ワタナベ・レオナ…久保田伶奈さん
裁判所庶務官(アンドロイド)…ニュームラマツさん
カミノヒダリテ

カミノヒダリテ

劇団俳優座

俳優座スタジオ(東京都)

2022/01/07 (金) ~ 2022/01/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/01/08 (土)

価格5,000円

8日19時開演回を拝見(80分)。

米国南部の伝統的な宗教観・道徳観を「これでもカッ!」という程、おちょくった怪作だが、私たち日本人にはピンと来ない背景ゆえ、翻訳の田中荘太郎さんが、ラスト一つ手前に”ジーンとさせるシーン”を設定。
パペット「タイロン」が暴走する、映画『エクソシスト』もどきのダークファンタジー(怖い!と受け止めたご婦人の観客もおられた)が、最後の最後で、感動作に大転換!
まぁ、「よくも俳優座さんが上演を許可したよなぁ」と苦笑いしながら観ていたが、たまには、こうしたヤンチャで元気な演劇もいいんじゃないかなぁ。素直に面白かった!
個人的にはお勧めです♪

ネタバレBOX

演じ手では(記憶が確かならば、ラストで、舞台一面を出演者が駆け回っていた⁉︎)シアタートラムでの『とりつくしま』(2013)以来の福原まゆみさんを、懐かしく拝見させてもらった。

【配役】
マージェリー…福原まゆみさん
ジェイソン/タイロン…森山智寛さん(上演中はナイーブと狂気の行き交うはざまで苦悩する青年。でも、終演後のアフタートークでは、ご近所にいそうな、気のいい兄ちゃんに♪)
ティモシー…小泉将臣さん
ジェシカ…後藤佑里奈さん(『戒厳令』の「カサドの娘」さんだっ!)
グレッグ牧師…渡辺聡さん(『火の殉難』の「神田記者」役)
「ストロング」

「ストロング」

坂井水産

RAFT(東京都)

2021/12/29 (水) ~ 2021/12/30 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/12/30 (木)

価格3,000円

30日18時開演の大千穐楽(75分)を拝見。

ゴジラ好きの赤井…赤澤涼太さん
”ヘドラ”中山…加藤なぎささん
赤井の友人・坂井…家田三成さん
ト書き…浅倉洋介さん
の陣容。
脚本・演出で綿密に設定された演劇もいいけど、役者が自由に振舞える”ハンドルの遊び”がある演劇もいいもんだなぁ、と大笑いしながら観させてもらった。
東中野RAFTでの、坂井水産『坂井水産Presents 稽古初日VOL.1「ストロング」』で、今年の観劇締めくくりが出来てヨカッタ・良かった♪の2021年。

【追記】
なお、料金は投げ銭(カンパ制)だったので、野暮は承知で?自分が包んだ額を表示。

毒の島には近づかない

毒の島には近づかない

ハトノス

現代座会館(東京都)

2021/12/23 (木) ~ 2021/12/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/12/26 (日)

価格3,000円

26日15時開演の大千穐楽の回を拝見。

>竹原市の忠海港から船で約15分。周囲約4kmの大久野島(おおくのしま)は、かつて毒ガス工場があったことから「地図から消された島」と呼ばれていました。現在は国立公園に指定され、約500~600羽ものうさぎが棲息することで知られており、国内外を問わず多くの観光客が癒しを求めて訪れています(観光スポット紹介より)。

戦争の痕跡が残る”平和な島”を舞台に、過度な熱情や主義主張の押しつけではなく、眼前に広がる、ありのままの歴史・光景・心情を、努めて穏やかな視線で見つめ続けた90分。
あくまでも私個人の話だが、都内の演劇ではついぞ体験したことの無い、静かな迫力が伝わって来る舞台だった。

ネタバレBOX

【配役】
大野…村山新さん(しあわせ学級崩壊)
市田…経塚祐弘(きょうづか・よしひろ)さん
安井…渡邉守さん
奥…野田詩(のだ・しおり)さん
佐藤…小島きらりさん
津丸…藤原朋香さん(劇団コギト)
彼(うさぎ)…遠藤瑞季さん
彼女(うさぎ)…林揚羽さん(しあわせ学級崩壊)
江戸川縄歩Ⅱ

江戸川縄歩Ⅱ

美貴ヲの劇

映像配信/ダウンロード(東京都)

2021/12/25 (土) ~ 2022/01/11 (火)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/12/26 (日)

価格2,000円

26日に動画配信(1°24′23″)を視聴。

本作、テレビ朝日系「土曜ワイド劇場」の枠で放送されていた、故・天知茂主演の『江戸川乱歩の美女シリーズ』(1977~1985年)をリスペクトした演出、新たな嘘、新たな謎の新作短編集とのこと。
内容は、役者全員による前説の後、百々ともこさん演ずる、実に愛くるしい小林少年が狂言回しの
「煙の中の美女~黒蜥蜴~」
「額縁の中の美女~心理試験~」
「記憶の中の女~赤い部屋~」
「煙の中の女、再び~黒蜥蜴~」
の4部構成。
でっ、その胡散臭く・仰々しく・わざとらしい、昭和の空気感満載のテイストは、リアルタイムで視ていた私もニヤニヤ頷く、まさしく天知茂版『美女シリーズ』の再来のような出来映えだった(特に「記憶の中の女~赤い部屋~」で、小林少年を除く全員が…のラストシーンは大爆笑させてもらった)。
歳末の慌ただしい時期に、とてつもなく懐かしいモノを視せて頂き、昭和のオジサンは大感謝!
心からお礼を申し上げたいひとときを過ごせた。

ネタバレBOX

【配役】
浪越警部/地主/異形の者(風呂の栓)…亜カリ友洋(あかり・ともひろ)さん
老婆/黒蜥蜴/マダム…あべあゆみさん
斎藤勇/旅芸人…浦田大地(うらた・だいち)さん
明智小五郎…杉井キレさん
蕗屋清一郎/商人/異形の者(ペストマスク)…瀬川圭介さん
森宮雪絵/藤村千代/踊り子1/異形の者(顔ナシ)…三森あかねさん
小林少年(踊り子2)…百々ともこさん
セーラー服を溶かさないで

セーラー服を溶かさないで

CACHU!NUTS

イズモギャラリー(東京都)

2021/12/22 (水) ~ 2021/12/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/12/24 (金)

価格3,000円

24日19時開演回(69分)を拝見。

26日までやっているので詳細は伏せるが、バカバカしさ全開で、決して"いいハナシ"ではないはずなのに、何故か、ノスタルジーと今の生活へのほろ苦さをペーソスをもって痛感させられる"いいハナシ風?"演劇を観た錯覚に囚われた。
ただ、そのおかげで、ニコニコ顔で夏目坂を下っていける、良い時間を過ごせたことには、とっても感謝!

ネタバレBOX

出演者のうち
川口知夏さんこそ、先だって「スナック墓場」で観たばかりだが
熊谷有芳さん(と、客席におられたアノ方)は、「かげきはたちのいるところ」
浅利ねこさんは、「お湯で流して」
秋本雄基さんに至っては、アノ「みのほど」以来!
…と懐かしく⁈拝見させてもらった。

【配役】
温水とまる…熊谷有芳さん
野鶴しおり(とまるの女学校時代の後輩)…川口知夏さん
温水ビデ夫(とまるの職場の後輩で夫)…秋本雄基さん
水勢やわらか(温水家の新居を紹介した、住宅会社の営業)…浅利ねこさん
『水』/『青いポスト』

『水』/『青いポスト』

アマヤドリ

新宿シアタートップス(東京都)

2021/12/16 (木) ~ 2021/12/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2021/12/17 (金)

価格3,500円

『青いポスト』17日19時半開演回(139分)を拝見。

2017年の初演舞台を観ているのに…
ストーリー、大方覚えていたのに…
初演の王子小劇場より、はるかに客席から間近な新宿シアタートップスの舞台のせいか、伝わってくる熱量が半端なく、とりわけ、ラストの群舞⁈には震える程、感動した。

ネタバレBOX

【配役】
ハンナ(妹。意外にも悪人選挙・予備選挙1位)…相葉るかさん
ゆき(姉。予備選挙1位の本命だったはずが僅差の2位)…相葉りこさん
ミーア(”消された”らしい姉妹の親の妹。姉妹の育ての親)…一川幸恵さん
ヤヨイ(ミーアの姉)…中村早香(なかむら・さやか)さん(舞台と客席とのつなぎ役も兼務)
リオ(双子姉妹の文通相手。アン、ロアとは友人関係)…榊菜津美さん
エリカ(リオの妹。双子姉妹と同級生。悪人選挙・管理員会の委員)…村山恵美さん
刈谷(悪人選挙・管理員会の委員。匿名作家)…菊地音々子さん
サリ(悪人選挙・管理員会の委員。スーの後輩)…星野李奈さん
スー(悪人選挙・管理員会の委員。ユキの店で働いていた)…佐藤美輝さん
ロア(悪人選挙・管理員会の委員長。町長の娘。アンとはパートナー)…さんなぎさん
アン(郵便屋さんの管理職。娘がいる)…大塚由祈子さん
パム(郵便屋さんの新人。容量が悪く、お人好し)…ばばゆりなさん
海王星

海王星

パルコ・プロデュース

PARCO劇場(東京都)

2021/12/06 (月) ~ 2021/12/30 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2021/12/16 (木)

価格13,000円

16日18時開演回(途中休憩20分)175分の舞台を拝見。
終演後、少なからぬ観客のスタンディングオベーション、席に腰を降ろして首を傾げながら眺めるという、実に貴重な体験をさせてもらった。

出演者は皆さん好演。
個人的には、清水くるみさん、伊原六花さんの若いお二人が強く印象に残った。
あと、久しぶりに聴いた中尾ミエさんの歌唱には目元ウルウルw(ところで、大谷亮介さん、ノドの具合が少しお悪いのかな?杞憂ならいいのだが…)。

役者さん達の他、演出・劇伴・セット・照明もすべからく熱がこもっていたとは思うも、なんせ原作の戯曲の感覚が古い・中身が薄い。
いくら新鮮な酒であっても、朽ち果てた革袋に入れたのでは勿体ないなと感じた。

ネタバレBOX

【配役】
灰上猛夫…山田裕貴(やまだ・ゆうき)さん(10年前のゴーカイブルーがここまで芝居巧くなっているとは! 素直に感情移入できた)
葉山魔子(猛夫の父の婚約者。運命に翻弄される?)…松雪泰子さん(やっぱ華がある役者さんだよなぁ)
そばかす(恋愛に興味津々の女学生)…清水くるみさん(この”小悪魔的”な方、次の舞台も観てみたい!)
来宮邦美(猛夫を慕っていたが…)…伊原六花(いはら・りっか)さん(府立登美丘高・ダンス部のキャプテンが、ここまで辿り着くとは!)
胃薬を売るセールスマン・熊沢太郎1…佐藤誓さん
胃薬を売るセールスマン・熊沢太郎3…冨永竜さん
ホテルのボーイ…山岸門人(やまぎし・もんど)さん(劇団鹿殺しOB)
唖の下男…澤魁士(さわ・かいじ)さん
胃薬を売るセールスマン・熊沢太郎2…眼鏡太郎さん
彌平の上司…野々山貴之さん
8回結婚した女…内田慈(うちだ・ちか)さん
浦園花江(元女優)…坪井木の実さん(俳優座の女優さん)
女学生たちの引率教員…白木原しのぶ(しらきはら・しのぶ)さん(ミュージカル畑の女優さん)
女学生・マリ…小山雲母(おやま・きらら)さん
女学生・鮎子…片桐美穂さん
女学生・なつめ…金井美樹さん
女学生・繭…島ゆいかさん
女学生・ミミ…吉井乃歌(よしい・ののか)さん
教授…大谷亮介さん(座・高円寺1でのリーディング『片づけたい女たち』以来)
ブルースを唄う老婆…中尾ミエさん
灰上彌平(猛夫の父親。男手一つで猛夫を育てた)…ユースケ・サンタマリアさん(説明無用の芸達者)
溺れるように走る街

溺れるように走る街

吉祥寺GORILLA

劇場HOPE(東京都)

2021/12/09 (木) ~ 2021/12/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2021/12/12 (日)

価格3,500円

12日16時開演の大千穐楽の舞台を拝見。

深夜のラジオ番組がメインの舞台だということで、ノスタルジーに寄せた内容かと思いきや、これでもか!という位、作者の繊細な優しい視線に満ち満ちた90分だった。

沙弥加を苦しめる原因である、姉・真理の脳梗塞に
番組のハガキ職人と中堅芸人の妻とが同じ職場だったり
番組のディレクター&真里
構成作家&ミキサー
AD&漫才コンビ「ダブルマインド」の小林
の3組のカップル
などなど
往年の大映テレビドラマも顔負けの設定てんこ盛りには、流石に苦笑せざるを得なかった。
だが、そのてんこ盛りの設定故に「どの役者さんが良かった!」と僭越なことが言えない位、個々の役者の演じた、それぞれのキャラクターに対する思い入れが深まったのかもしれない。

ということで、作者の思惑に素直に乗って観劇させてもらったご褒美に、終演後も永らく、心の琴線でジングルを奏で続ける、余韻たっぷりの作品となった。

【追記】
作品の出来映えとしては、前公演の『誰か決めて』の方が圧倒的に上なんだが、あくまでも個人的好みを優先して、本作を2021年の私的・観劇ベスト10に入れようと思う。

ネタバレBOX

【配役】
沙弥加(姉の脳溢血は自分のせいだと自らを責める女子大生)
… 山下真帆さん(兎に角、独りで佇むときの表情がいい!)
真里(沙弥加の姉。ミュージカル女優だったが、脳溢血で障害が残り…)
… 日下麻彩(くさか・まあや)さん(演じているのではなく、ご自身の"地"で振る舞っているように映った)
田中(ラジオ番組「暴走三輪車」のリスナー。沙弥加姉妹の幼馴染)
… 榎本悟さん(ハガキ職人にしては二枚目過ぎるかなぁw)
櫻井(お笑いコンビ「ダブルマインド」のボケ役)
…川上献心さん(知らない人が見たら、本職の漫才師に映る⁉︎)
小林(「ダブルマインド」のツッコミ役。コンクールで勝ち進めないことを自分のせいだと悩む)
…平井泰成さん(さすがは吉祥寺GORILLAの看板役者)

斎藤(「暴走三輪車」ディレクター。真里の彼氏)
… 岡野優介さん
小川(「暴走三輪車」AD。小林のカノジョ)
…杏奈さん(元気いっぱいフルスロットルな演技に好感)
橋本(番組の構成作家。丸井の彼氏)
…魔都さん
丸井(番組のミキサー。橋本のカノジョ)
… 一嶋琉衣(いちしま・るい)さん
佐伯(「ダブルマインド」のマネージャー)
… 長友美聡さん(声を張り上げている場面、高校の先輩役者さんと同じく、体育会系高校演劇部出身者だなぁ!とニコニコ)
美智子(矢野の妻。元・芸人?)
…髙橋紗綾さん
矢野(売れないピン芸人。ダブルマインドの先輩)
…ヨシケン改さん(個人的に一番シンパシーを感じた役柄)

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