byassistの観てきた!クチコミ一覧

641-660件 / 841件中
『黒船』、 『ウインドミルバレー 最後の三日間』

『黒船』、 『ウインドミルバレー 最後の三日間』

劇団ショウダウン

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2016/06/29 (水) ~ 2016/07/03 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2016/07/03 (日)

7月3日の夕刻、『黒船』(110分)観て来ました。

ネタバレBOX

無敵を誇る1万の帝国騎士団を乗せた、200艘の黒船の大船団。
目指すは、東の海に点在する蛮族の小国家。
騎士団の面々の士気は高く、蛮族たちの制圧なぞ容易だと思われていたが…
100名の先遣隊が、たった1人の「呪いの戦士」の前に全滅!
陣形を固めたはずの本隊も「呪いの戦士」たちの奇襲を受け、不名誉な撤退を!
そして思わぬ大苦戦の最中、隊長のラッシュは、不自然なまでに攻め急ごうとする
騎士団の団長と軍師の様子に不審の念を抱いたのだが…
7月3日の夕刻、『黒船』(110分)観て来ました。

劇団ショウダウンさんは、京都の団体さん。東京には2014年から、毎年、帝都東京に「遠征」して来られます。
でぇ、今回は、個人的都合(☜腰痛、苦笑)でダブルヘッダーは残念ながら断念!
集団劇の『黒船』のみの観劇と相成りました。

ということで、早速、観終わっての感想なんですが
東京公演の過去の作品と比べると、やや大人しめな印象ながら、コンパクトな舞台を充分に使いこなしていた♪
途中、ダレたところもなく、首尾一貫、テンポ良く進行♪
むくつけき(笑)熱演の男性陣に囲まれながらも、小柄な女優さんたちが拍手喝采モノの大奮戦♪
と、ここまで褒めたところでぇ…
観たのが千秋楽の舞台だったせいか、その「熱演の男性陣」、連日の死闘(=舞台)のせいか、満身創痍! 声が枯れていたり(☜でも、途中から声に力が蘇ったのは流石!)、セリフの噛みもちらほらと。
あの熱演を続けてりゃ仕方あんめぃ、と同情しつつも、ちょい残念ではありました。

ビジターの東京くんだりではなく、団体さんのホームグラウンドである関西で、役者さんベストコンディションの『黒船』、是非、観てみたいなあ!と帰り道、ずっと思っていました、とさ♪
錆色の瞳、黄金の海 2016

錆色の瞳、黄金の海 2016

劇団ショウダウン

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2016/01/21 (木) ~ 2016/01/24 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2016/01/21 (木)

『錆色の瞳、黄金の海』(1時間45分)、21日の回を拝見。

ネタバレBOX

錬金術師によって生み出された、人造人間・ゴーレム。
自らの意思は持たず、人間の命令のみで動く、身長5mの木の人形は、人々の暮らしを守るようにと、王国全土の町村に配備された。
北方の辺境、豪雪地帯にあるジェミの村に送られた…村人から「イハナ」と名付けられた、そのゴーレムも、自然の猛威や盗賊たちから90年間、村を守り、やがて、いずことなく姿を消して、長い眠りについた…
30年後。イハナの活躍を知る者が殆どいなくなったジェミの村で、ただ一人、イハナの伝説を目を輝かせながら聞いている少年がいた。
大きなカラダを活かして、ただ黙々と村の人たちのために尽す…ミルキ少年は自分でも気づかないうちに、イハナのイメージにまだ見ぬ父親の姿を重ねていた…

この後、お話は30年ぶりに目覚めたイハナが意味不明な行動を始め、壊れた?!と考えたオトナたちがイハナを破壊しようとするのを、ミルキ少年等が必死になって守ろうとする…といった展開になります。

関西の劇団ショウダウンさんの東京公演を観るのも、これで4作品目。過去作は、大ホームランもあれば・ゲッツーもあり、だったんですが、では、今回の作品はといえば、イハナ少年の夢と冒険を通しての失敗と成長のものがたり…まさに「良質のファンタジー」♪ といった印象です。

まあ、さすがに4作品も観ていると、背景等の説明セリフの多用・舞台上でのヒトの動かし方・劇伴の傾向…などなど、まさに「馴染みの洋食屋さんの、いつものランチの味」といった印象はぬぐえないのですが、幸いなことに、この「ショウダウン」というお店、あと味の良い料理を出してくれるようです。
自分の狭い観劇経験で、なんですけど、関東では見かけないテイストの芝居、未見の方も・体験済みの方にも、どうやら今回はお勧めしても、いいかなっと♪
パイドパイパー と、千年のセピラ

パイドパイパー と、千年のセピラ

劇団ショウダウン

あうるすぽっと(東京都)

2015/09/04 (金) ~ 2015/09/06 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2015/09/06 (日)

『パイドパイパー』(2時間30分)、6日(日)千秋楽の舞台を拝見。



ネタバレBOX

名もなきパイドパイパー(笛吹き)の女(演・林遊眠)が、一人の「運命の少女」を守るべく、「十字軍vsイスラム教徒の激戦続く13世紀後半」「第二次世界大戦終結期の1945年」と時空を越えて活躍するさまを描いた、冒険・浪漫活劇です。

他の劇団やフリーの役者さんも含めた「関西演劇界の精鋭」19名を揃えたチーム・劇団ショウダウン…気合いの入り方が半端ない!
場面の時間軸が錯綜したり、一人二役の役者さんが多かったりで、ストーリーを追うのに少々忙しなかった(汗)…んですけど、途中休憩無し・2時間30分の上演時間も長く感じさせませんでした。

音楽・舞台美術も合わせて、劇団ショウダウンさんの「物語にグイグイ引き込むチカラ」、最前列の席で十二分に味わせて頂きました♪
パイドパイパー と、千年のセピラ

パイドパイパー と、千年のセピラ

劇団ショウダウン

あうるすぽっと(東京都)

2015/09/04 (金) ~ 2015/09/06 (日)公演終了

満足度★★

鑑賞日2015/09/05 (土)

『千年のセピラ』5日のソワレを拝見。

ネタバレBOX

正味1時間半の上演時間。19名の役者が出演した『パイドパイパー』と同じ、広いアクティングエリアの隅々を、9人の役柄を演じ分ける林遊眠さんが駆け回り・たちどまり・また駆け回り…と文字通り「奮戦」します。
その熱気といったら、彼女の一人芝居、二度目の観劇となるオイラでさえ、息を飲むほどなんですから、初めて観られた観客はもうぉ!!!…とはいいつつも、実は私の観た回、率直に言って、お客様からおカネを頂戴してはいけない出来でした。

『パイドパイパー』との掛け持ちやら、興行上の都合?で恐らく無理を承知で公演を強行されたのかは知りませんけど、前半は特に、台詞の抜けや噛み…演じ手が気の毒に思える程、頻繁に見受けられました。

前回の一人芝居『マナナン・マクリルの羅針盤』を「目撃」しているので、林さんの力量は存じ上げています。今回の不出来、問題が彼女にあるとは思いません。
何らかの事情はあるんでしょうが、劇団の至宝とも言うべき看板女優を、関係者の皆さん、もっと・もっと大切に処遇して欲しいものです。
そして、もし許されるのならば、もっと緩急のついた脚本で、もっときっちり稽古の時間を取って、もっと余裕のあるスケジュールで、『千年のセピラ』名誉挽回の公演を打って欲しいものだと思いました。
マナナン・マクリルの羅針盤 再演 2015

マナナン・マクリルの羅針盤 再演 2015

劇団ショウダウン

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2015/01/15 (木) ~ 2015/01/18 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2015/01/18 (日)

18日ソワレの回を拝見。

ネタバレBOX

大英帝国の軍艦に荷役にかり出された黒人の少年アジグが、無実の罪で処刑される!
同じ荷役労働者仲間のベラミーは、親友ピエトロと共に、アジグを監獄から救い出します。
追って来る兵士たち…ベラミーらは勢いで(笑)解放した他の囚人たちと一緒に応戦し、ついには軍艦1隻(せき)奪い取って逃走します。
しかし、その軍艦に、神の不思議な力を秘めたマナナン・マクリルの羅針盤が保管されていたため、ベラミーたちは大英帝国の海軍に追われる身となったのです。
逃げのびた囚人たちの投票で、船長に推されたベラミーは宣言します。
この船の上では、生まれも身分も肌の色も関係無く、みんな自由だ、と。
ベラミーがまだ幼い頃、密かに恋心を抱いていた養育役の黒人奴隷の女性との悲しい別れが、彼にそう叫ばせたのかもしれません…

胸のすくような、スケールの大きい冒険活劇です。
登場する人物も、役名のある者から無名の戦士まで、両手の指を総動員しても間に合わないほどです。
ですが、演じているのは、林遊眠(りん・ゆうみん)さん、ただ一人!
身振り手振りを交えた講談師よろしく立て板に水のセリフ回しで、舞台の四方八方、小柄なカラダが躍動する、上演時間、なんと2時間!
途中10分間の休憩を除けば、後半、船上での大宴会のシーンに便乗して(笑)舞台上で水とウイダーインゼリーの補給をしてても、喋りっぱなし! なんて女優さんだぁ(感嘆)!
そんな彼女をサポートする照明・音響も、場面に応じてジャスト・イン・タイムのタイミング!
さっきから「!」連発ですけど(苦笑)それだけ凄い舞台でした。
ちょっと大げさですけど、自分の演劇体験にとってエポックメイキングになった程の、得難い財産となった舞台でした。

ここから先は、私個人が抱いた感慨です。
脚本家の意図がそこにあるかどうかは判りませんが、この芝居、昨今、世情を騒がす不合理な偏見・差別に向けた、爽やかで高らかなアンチテーゼにも感じられました。
東京・大阪のみの公演ですが、もっともっと多くのヒトに! 観てもらい作品だと思います。
最愛の慈泣き

最愛の慈泣き

TYPES - タイプス -

studio applause (スタジオアプローズ)(東京都)

2017/09/20 (水) ~ 2017/09/24 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2017/09/21 (木)

『最愛の慈泣き(もあのじなき)』(90分)、21日19時の回を拝見。

ネタバレBOX

オトナ達の思惑で「消費」されたり(前半のアイドル編)・「絶滅」させられたり(後半の鳥類編)した者たちへのレクイエムなストーリー。
でっ、前半と後半、それぞれ、別の「作品」として上演した方が、観客にも理解しやすかったのでは?と思わざるを得ない、ある意味、確かに「野心作」。

個人的には
前半のアイドル編は、群舞などで「魅」せたものの、エンディングが消化不良気味に感じた。
後半の鳥類編は、愚直なまでのストレートな「訴え」は嫌いじゃなかった。こちらのストーリーを膨らませて、独立した公演を打って欲しいと願う。
光、さえも

光、さえも

Ammo

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2017/09/15 (金) ~ 2017/09/20 (水)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/09/18 (月)

18日14:00の回を拝見。

ネタバレBOX

無名の作家から送られてきた「作品?」の芸術性に関して、画家や版画家・彫刻家に、美術評論家、パトロンといった協会の理事たちが白熱した討議を行う、という設定なのですが、本作の作者は更に二つの要素を追加しています。

【その1】
偽名で「作品?」を提出したことにして、マルセル(演・津田修平さん☜声がいい!)自身を、この会議に参加させてみる

【その2】
理事会の雇われ幹事長である画家(西川康太郎さん☜熱演!)と、その妹(土佐まりなさん☜声もいい!)との、南部の父権主義を背景とした対立、そして和解

そのうえで、理事の各々に象徴される、文化・宗教・社会倫理、ひいては各自の人生観をぶつけ合うガチ・バトルが展開されます。
たとえるならば、この「11人の怒れる男女」の密室劇は、知的興奮を呼び起こすだけでなく、1920年代米国の爛熟期における、価値観のパラダイムシフトの波を・その軋轢を、肌感覚で体感させてもらいました。

なお、「1920年代米国の爛熟期」を舞台にするため、更には、従来からの宗教倫理的価値観を体現するフィル(前園あかりさん)の発言に、前線での従軍看護婦体験という重みを与えるため、実際は第一次大戦中の1917年に起きたエピソードを4年、後ろにズラしています。

ということで、脚本・演じ手の熱演のみならず、照明・衣装・音楽をも相まって、恐らくは今年一番の観劇体験になるだろうと思われる程、充実した時間を過ごせました、とさ♪
SHERLOCKIAN Aの項目

SHERLOCKIAN Aの項目

Project S.H

ワーサルシアター(東京都)

2017/09/13 (水) ~ 2017/09/18 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/09/17 (日)

17日ソワレ(2時間)を拝見。

ネタバレBOX

シャーロック・ホームズに相棒のワトスン博士、レストレード警部…コナン・ドイルの古典的探偵小説のキャラクター達が活躍する、新作の推理劇です。
でっ、この推理劇、登場人物の大半に「裏の顔」や「隠れたる目的」が設定されているなど、多岐にわたる伏線が作中に張られています。
にもかかわらず…なんですが、それらの伏線は全て、エンディングまでにスムーズに・何の論理的破綻も生じさせずに回収されていきます。演じ手は若い役者さん達でしたが、オトナの鑑賞に充分耐え得る、良質の作品でした。

役者陣。ホームズ役の下田修平さん。登場時は「若過ぎるかなぁ?」と感じましたが、話が進むにつれて、どうしてどうして! 「変人だけど観察力と推理力に秀でた稀代の名探偵」をスケールの大きな演技で演じ切っておられました。
他の役者さん達も、面識のある石戸貞義さんやこいけさんを初め、皆さん好演。とりわけ、個人的には本作のヒロイン役・林真由美さんの真っすぐな演技が印象に残りました。
しろつめくさ の、はなかんむり

しろつめくさ の、はなかんむり

teamキーチェーン

シアター711(東京都)

2017/09/14 (木) ~ 2017/09/18 (月)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2017/09/14 (木)

初日14日のソワレ(90分)を拝見。

ネタバレBOX

当日パンフにさえ、あらすじを掲載しないという団体さんの意図を尊重して、雑感として述べます。

過去、何作か拝見してきたおかげで、この団体さんの作劇上の「癖」は承知しています。
今回も、ある人物を通して伏線が張られ、「ああ、最後に何か仕出かすな」とは思っていました。
悲劇→希望の光→再生、なラストでも構わないんです。ですが、終演時、(あくまでも推測だが)作者が期待しただろう、初めは静かな、でも、やがて熱く会場内に響き渡る万雷のアプローズ、とはならず、あまりにも「唐突な展開」に、終演のアナウンスが流れても、観客席は呆気に取られて拍手は無いまま。
「観客が置いてきぼりになるようなホンは書いちゃアカンがな」「それまで丁寧に描かれてきたおはなしが台無しじゃん!」…スイマセンけど、そう思わざるを得ないくらい、終盤の拙速な筋運びが悔やまれます。

役者陣。
ヒロイン役・田中愛実さんは、当て書きかと思うくらい、役にハマっておられました。
難しい役柄をこなされたマナベペンギンさん、(かなり正確に、実態・心理が描かれていた)ホームレス役の皆さん、何気に印象に残った中川えりかさん…わぁ~、役者さんたちはどなたも好演だったのになぁ。
帰郷

帰郷

劇団普通

スタジオ空洞(東京都)

2017/09/08 (金) ~ 2017/09/12 (火)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/09/08 (金)

9月8日ソワレ(75分)を拝見。

ネタバレBOX

文庫本をイメージしたらしい当日パンフに書かれた
「姉妹の住む一軒家に、姉妹の子供時代からの友人・咲紀やら、姉の幼馴染やら、次々と同居人が増えていき…」の「あらすじ」
(実際に芝居には出て来ない咲紀を除いて)「女1」「男2」と抽象化された登場人物たちの「相関図」
そして、一軒家の「間取り」。
これだけが観客が知り得る、本作品のアウトライン。
でっ、実際、芝居が始まってみても、登場人物たちは、会話…というより、ほぼワンウェイな語りかけや、相手がいるのかどうかもわからない独白に終始します。
観客にとって、不親切この上ない(苦笑)、「おはなしの具体的な説明」を削ぎ取った作品です。

しかしながら、アクティングエリアの背後に展開された鏡面に映し出される姿との二重写しや、意思疎通に欠ける「会話」がもたらす、ヒリヒリした空気感は、観客の神経に常ならぬ集中を強いるのです。

何か重篤な事情が女1(姉妹の妹の方)に生じた後、周囲の同居人たちも(いつの間にか、ごく自然に)感情を殺して互いに接するようになった…そんなシチュエーションを勝手に想像しながら、拝見させてもらいました。

芝居という虚構の空間に居ながら、とってもリアルな居心地の悪さを感じ続ける「日常」に放り込まれたような75分…作者の意図、理解は遠く及ばぬまでも、どことなく癖になりそうな芝居でした、とさ♪
「売春捜査官〜ギャランドゥ」「熱海殺人事件」

「売春捜査官〜ギャランドゥ」「熱海殺人事件」

株式会社STAGE COMPANY

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2017/09/05 (火) ~ 2017/09/10 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/09/05 (火)

『売春捜査官』、5日ソワレ、初日の舞台(1時間55分)を拝見。

ネタバレBOX

2014年1月と同じSPACE雑遊で、あの時と同じ桜田聖子さん演ずる木村伝兵衛の『売春捜査官』を、他の配役を替えての再演です。
チャオ万平・及川いぞうさん、熊田留吉・大石敦士さん、大山金太郎・新原武さん、そして、木村伝兵衛・桜田聖子さんの主要キャストは、初日故の硬さが時折垣間見えたものの、総じて「オトナの演技」。例の絶叫調・早口セリフも、聞き取りやすいだけでなく、観客に訴えかける説得力を充分に帯びていたと思われます。
そのためか、上演中、終盤のヤマ場にさしかかって以降、『売春…』初観劇らしい、隣りの若い男性客の嗚咽が聞こえて来ました。その方の瑞々しい感性にちょいと驚きながらも、ああ成程なあ!と相槌を打ち続けるほどの、迫真の舞台でした。

さて、ストーリーなんですが、前半は色々と「遊び」を加え、終盤は(細部の変更はあれど)オーソドックスな展開。つか芝居のオールドファンの中には、前半部に不満を漏らす方もおられるんじゃないかなぁ、と案じつつも、私個人はといえば、改悪ではなく、更なる前進として、より新鮮な気分で観ることができた、と付記しておきますね。
売春捜査官〜ギャランドゥ〜/熱海殺人事件〜友よ今君は風に吹かれて〜

売春捜査官〜ギャランドゥ〜/熱海殺人事件〜友よ今君は風に吹かれて〜

JJプロモーション

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2014/01/07 (火) ~ 2014/01/12 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2014/01/12 (日)

売春婦、離島出身者、在日朝鮮人、働く女性、ホモ…等々、作者の出自がそうさせたのか、社会的に弱い立場の人達への、慈愛に満ちた芝居です。
でぇ、このホン、セリフが基本、絶叫調で、身振り手振りの大きな演技、求められる芝居なんです。下手すると、気合いがカラ振りしがちな作品。
ですが、今回のヒロイン、往年のアイドル・タッグチームみたいなお名前の女優・桜田聖子さんを初めとする、達者な出演者たち。
そして、つかさんの直弟子の方の演出。
しっかりと受け止めさせて頂きました、皆さんの技量と熱意♪

短編祭

短編祭

劇団11

SOOO dramatic!(東京都)

2017/09/02 (土) ~ 2017/09/03 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/09/03 (日)

4日16:00開演の回を拝見(10分休憩2回をはさむ100分間)。

ネタバレBOX

上演3本のうち、まず最初の『僕とキミの自転車周遊記』は、時代こそ大幅に違えど(大汗)、地方出身者で上京して大学通ってた人間には、共感度の高い作品。
さらに、おはなし自体の(年配者の観客からすれば)エバーグリーンな瑞々しさに加えて、屋内から屋外からだけ丸見えのカーテンのおかげで、路上の光景を借景にできたことは大変効果的だった。

二番手は、上演される頻度の高い、岸田國士作の有名戯曲『紙風船』。
自分の認識では、妻役の女優さんによって印象が大きく異なる、カメレオンな芝居なんだが、編み物をする姿が予想外に(☜おいっ!)似合う依田玲奈さんの「妻」の、ふわりフワリとあらぬ方向に飛ぶ紙風船の趣きは好み。

ラストの『宴​-始発待つ東京、ホームの内側-』。
中西崇将さん、依田玲奈さんという若い演じ手の「今」が投影されているようにも感じられ、また(誠に勝手ながら、汗)大昔の自分の心境も蘇る羽目に陥り、上演3本中、イチバン感慨深いものがありました。

最後に雑感。
2年前の『恋の手本~曽根崎心中~』で知った依田玲奈さん。
頑張ってる女優さん・叫ぶ女優さん、のイメージが強かったんですが、今回、様々な「表情」を目にすることができたのは収穫でした。
これからも注目し続けていきたい役者さんだと再認識させられた晩でした。
お祭りやってるらしいよ

お祭りやってるらしいよ

あひるなんちゃら

駅前劇場(東京都)

2017/08/31 (木) ~ 2017/09/04 (月)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2017/09/02 (土)

2日ソワレ(75分)を拝見。

ネタバレBOX

「悲しみ」とか「怒り」以上に「笑い」の価値判断は個人差の激しい分野だと、以前から認識している。
でぇ、今回、不安になって(汗)、他の皆さんの感想、ひと通り目を通した上で、主観的な印象をつらつらと書き連ねてみると…

トクナガ(演・上松コナンさん)の部屋に居座ったままゲームを続けるコバヤシ(根津茂尚さん)が、さらに得体のしれないミノベ(澤唯さん)を呼び出して…の「204号室」の話は、頭では「笑い」のポイントは理解するも、トクナガの困惑に気持ちがいってしまい、結果、笑えず(汗)。

「202号室」での、お神輿の写真を撮らせたいサナダ(篠本美帆さん)vsなんでワタシが撮らなきゃならないの?のサイトウ(松木美路子さん)
「201号室」での、「お祭りやってる」の偽情報のチラシを配った姉(田代尚子さん)・チラシを作った引きこもりの妹(野村梨々子さん)vs兄(堀靖明さん)
の2つの話では、あひるなんちゃらさんらしい、話の要点をわざと外した・飛躍させた、ちぐはぐなやり取りがもたらす「笑い」に、終始、クスクス。
とりわけ、常識人だったはずの堀靖明さん演ずる「兄」がどんどん常軌を逸していくさまには、大笑いさせてもらった。

さて、本公演で巻頭・巻末にも配置された「203号室」。
何と言っても、オオツキ(園田裕樹さん)を苦笑いさせ続けた、宮本奈津美さん演ずるカワモトのキャラの強烈さ!
オオツキと連れ立って、お祭りに行きたくてたまらないのに、見栄をはって本心を隠している…けど、表情や態度で本音バレバレなカワモトの、童女のような純真さ・可愛らしさを、いつもの宮本スマイルなどなどを増量セールしたような顔芸や声音で表現されたのには…正直、心底まいりました。
良し悪しはさておき、本公演、宮本さんに全部持っていかれたなぁ!というのが、終演後のイチバンの感想でした。
エンれぱ! Vol.1

エンれぱ! Vol.1

しむじゃっく

あさくさ劇亭(東京都)

2017/09/01 (金) ~ 2017/09/03 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2017/09/01 (金)

1日初日の舞台(ソワレ、85分)を拝見。

ネタバレBOX

初日の緊張故か、あるいは、狭いスペースの割に、傾斜が急なため、恐らく舞台からは迫って来る様に見えただろう客席からの圧迫感のせいか、少々、役者さんに「噛みサマ」が宿り過ぎた感あり。
ただ、それは舞台を重ねれば修正されていくだろうし、(あくまで個人的な印象だが)けいこ不足などではなく、それだけ今回の公演への想いが強いのだろうと察せられたので、むしろ好意的に受け取れた。

上演された短編3本のうち、最初の『二人小町』は、芥川龍之介の原作を現代風にアレンジしたもの。3人の役者さんのやり取りの妙に、客席の笑いが絶えない舞台だった。

2本目の柴幸男作『つくりばなし』は、2015年12月、新宿眼科画廊で、いしいまいさん、津和野諒さんのペアで観たことがあったので、ついつい、それと比べながら拝見。
叩き込むような笑いの連打は相変わらずだったが、2015年版の2人に感じた、夫婦間の細やかな気遣いの気配、今回のは希薄だったかなぁ。
あくまで個人的な嗜好だが、このホン、「笑い」に寄り過ぎるだけでは勿体ないように思えた。

最後の太宰治原作『女生徒』は、前2作品と違い、得てして観客に単調に取られがちな、表面上、起伏に乏しいストーリー故、演じ手の力量が問われる舞台。
でっ、今回のお三方、なかなかに健闘。とりわけ「娘」役・出口昌美さんが最後の長台詞で発した「素直で真っ直ぐな声」には、何気にだが、胸アツになった。
スターターピストル!

スターターピストル!

さひがしジュンペイのゲイジュツ茶飯

新中野ワニズホール ( Waniz Hall )(東京都)

2017/08/25 (金) ~ 2017/08/27 (日)公演終了

満足度★★

鑑賞日2017/08/26 (土)

26日ソワレを拝見(90分)。

ネタバレBOX

3組の二人芝居によるオムニバス。それぞれに人物設定等の前振りを経た後に、2組はチェーホフの『かもめ』、あと1組はイプセンの『人形の家』の一場面を演ずるのがメインの構成。

(おそらく意図的にキャスティングされたのであろう)キャリアも個性も異なる6人の役者陣は好演。特に、井料明里(いりょう・あかり)さん演じるニーナの声質・口調が耳に心地良く響いた。

でっ、観劇中、何度か舞台を拝見したことのある『かもめ』はともかく、『人形の家』は未体験だったことに気づき、機会があれば是非一度は!という思いにさせられた…のが一番の収穫だったかなぁ。
結局、観劇後、24時間以上経っても、『かもめ』や『人形の家』の一場面を引っ張り出して、現代人設定の3組の登場人物達に演じさせる意味合いがわからぬままで、役者さん方はともかく、作品自体には消化不良な感覚が歪めずにいます。
15 Minutes Made Anniversary

15 Minutes Made Anniversary

Mrs.fictions

吉祥寺シアター(東京都)

2017/08/23 (水) ~ 2017/08/27 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/08/25 (金)

25日19:30の回(約2時間、途中休憩10分間)を拝見。

ネタバレBOX

個人的には、2015年7月の『15 Minutes Made Volume12』以来となる、この催し。Mrs.fictionsさんも含めて、出場6団体中5団体が初見だった『12』と違って、16回目の開催となる『Anniversary』では全くのお初は2組のみで、他の4団体は概ね手の内は承知、といった状況での観劇です。

『フランダースの負け犬』~柿喰う客
あの名作アニメの有名なラストシーンをモチーフに、登場人物を第一世界大戦勃発時のドイツの軍人達に置き換えての会話劇。
柿喰う客さんらしいエッセンスが凝縮された、実に手堅い作りの「ドラマ」でした。

『ハルマチスミレ』~吉祥寺シアター演劇部
公募の高校生達が、あやめ十八番・代表の堀越涼さんの指導の下、堀越さんの「追憶の中の高校生像」を、持てる力量の全てを出し切って演じた作品。
感性が摩耗した観劇おじさんには、眩しいほどの初々しさ!
今回の6団体の中で、個人的にイチバン胸打たれた舞台でした。

『BBW』~梅棒(ウメボウ)
ケーキ屋の店主?への想いを打ち明けられずにいる女性をヒロインにしたラブコメディなのに、出演者は全員男性! しかもセリフ無しでストーリーを「語る」、ダンス・ダンス・ダンス!の15分間。
今回、会場をイチバン熱狂させた、パフォーマンス演劇には、大いに刮目させられました。

『ラスト・フィフティーン・ミニッツ』~演劇集団キャラメルボックス
結婚5年目にして初の新婚旅行の旅先から、妻の両親に預けておいた3歳の愛娘に向けて、人生のラストメッセージの動画を送ることになった若い夫婦の最後の15分間を、コミカルに・でも切々と描いた作品です。
でっ、特筆すべきは、10分間の休憩を挟んだとはいえ、梅棒さんのグルーヴ感にすっかり支配された会場の空気を、自分達の世界観に染め直した脚本・役者さんの説得力…さすがは老舗劇団・キャラメルボックスさん、その実力に素直に脱帽です。

『想いをひとつに』~劇団「地蔵中毒」
かねてより評判は耳にしていた地蔵中毒さん。今回の6団体の組み合わせでは、異彩を放つエログロな作風、他人事ながら、大いに心配?!していたんですが…。
吉祥寺シアターという会場の公共性を「忖度」して、エログロのレベル、抑え目にしたのかなぁ? それでも、おいおい!と良心の呵責に苛まれつつ、素直に笑わせてもらいました。

『私があなたを好きなのは、生きてることが理由じゃないし』~Mrs.fictions
トリを務めるMrs.fictionsさんの作品は、亡くなった男の目を通して、残された両親と恋人の歳月の積み重ねを描写していく…シンプルな構成ながら余韻の残る家族モノです。
和洋中ない交ぜな趣きの芝居のフルコースの掉尾を飾るに相応しい、「渋い味わいの珈琲」でした。

2年前の『15 Minutes Made Volume12』で初めて知って、以後、今でも意識して本公演を観に行っている団体さん、3つあります。
今宵の『Anniversary』だと、お初の2団体のうち、地蔵中毒さんの、遠慮なく本領を発揮した本公演、観に行きたいな、と思いました。
どうせ茗荷谷で降りるくせに

どうせ茗荷谷で降りるくせに

GORE GORE GIRLS

シアター711(東京都)

2017/08/22 (火) ~ 2017/08/27 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/08/22 (火)

22日ソワレ(初日)を拝見。

ネタバレBOX

東京の片隅の、「ホーム」とよばれる場所に集まった人々。
各々がワケありで笑顔を失った彼ら・彼女らが、強制的に顔を「笑顔」にさせる「鼻フック」に頼ることなく、再び自然な笑顔を取り戻すまでのお話です。

ここでいう「鼻フック」とは、ズボンのサスペンダーのように、両の鼻の穴にフックを引っ掛け、後頭部の接続部からゴムのチカラで引っ張り上げる…という仕組み。
ほら、表情が(強制的にでも)「笑顔」になったでしょ!?

でぇ、最初は、顔に「笑顔」を取り戻すための「手段」に過ぎなかった「鼻フック」でしたが、いつしか好事家(こうずか)の間で評判となり、高く売れるようになってからは、ますますゴムのチカラを強める方向でエスカレートしていき…
という訳で、真面目にあらすじを説明していくのがバカバカしくなるような、シュールで不条理なコメディーです。

しかし、そんなバカバカしいコメディーを、(はたから見た印象だと)生真面目な役者さん達が、生真面目に取り組んだからこそ、85分の上演時間中、観客席のクスクス笑いが切れ目なく続く、幸福な時を過ごせたと思われます。

個人的には、王子スタジオでの『脳しんとうのままで』以来、2年ぶりとなるGORE GORE GIRLSさん。
また、今回、この公演を知るきっかけとなった、五十嵐絢美さんの舞台を拝見するのも2年ぶり。

なんで2年も間(ま)を開けたのかなぁ?…首を傾げつつも、とても素直な気持ちで愉しめた公演でした、とさ♪
花嫁は雨の旋律

花嫁は雨の旋律

ILLUMINUS

ザ・ポケット(東京都)

2017/08/16 (水) ~ 2017/08/20 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2017/08/18 (金)

18日のソワレ(2時間)、♭班の舞台を拝見。

ネタバレBOX

セットも演出も振付も、オーソドックスな、きっちり作り込まれた作品。
ストーリーも万人向けのハートウォーミングなもので、上演時間を心地よく過ごさせて頂きました。

役者陣。
北澤早紀さん・内田眞由美さんのお二方は、やはり場数を踏んでいるだけあって、舞台に立った際の存在感が半端なく、他方、相手役の中谷智昭さんは素直に「演技が巧い」と感心。
あと、個人的には、下京慶子さんのキリッとした佇まいと、ファニーフェイスの悪役・まついゆかさんが印象に残りました。
タイタス・アンドロニカス

タイタス・アンドロニカス

Theatre Company カクシンハン/株式会社トゥービー

吉祥寺シアター(東京都)

2017/08/14 (月) ~ 2017/08/20 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/08/15 (火)

15日ソワレ(2時間40分、途中休憩10分間)を拝見。

ネタバレBOX

一般的なシェークスピア劇のイメージとはかけ離れた陰惨な悲劇を、ゴート人の女王タモーラに筋肉質の男優・白倉裕二さんを配役するなど、随所に奇抜な演出を施すことで、ユーモアのまろみを帯びた作品に仕立て上げた手腕は流石。
河内大和さん(役・タイタス・アンドロニカス)、真以美さん(ラヴィニア)、岩崎MARK雄大さん(エアロン)、のぐち和美さん(サターナイナス)等、お馴染みの役者陣の、あるときはシリアス、またあるときは道化た演技も安心して観ていられ、何の戸惑いもなく、舞台に心身を没入することができた。
おかげさまで、2時間40分の長丁場、「こんな魅せ方するんだ!」「あんな表現するんだ!」と只々、観劇ならぬ感激しまくりで過ごせました。有難うございました!

このページのQRコードです。

拡大