みくろの観てきた!クチコミ一覧

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悪党

悪党

innocentsphere

座・高円寺1(東京都)

2016/04/13 (水) ~ 2016/04/17 (日)公演終了

満足度★★★★

重みのある演技と題材が調和してました
所属の役者さんはあちこちで拝見してましたが、
InnocentSphereという団体での公演を観るのは初めて。

凶悪犯と「リチャード3世」の重なり具合、
その見せ方がズシンときました。

休憩なし2時間15分。
長いとは思いませんでした。

自分が端で観ていたというのもあるのでしょうが、
全体的に声が小さめだったなという印象です。

ネタバレBOX

途中から、被害者遺族の再生話になっていって、
リチャードと凶悪犯の類似を探っていた悩める演出家という要素が薄くなっていって「あれっ?」と思いました。

家族を喪った遺族たちそれぞれの反応が丁重に描かれていて、
そこに近づいてくる人達の人生も描かれていて、見ごたえありました。

悪のふりをして実は…という人間や、
無自覚に他人の心をえぐる人間、
よかれと思ってしたことが後に毒になったり、
優しい顔で私利私欲のために近づいてくる人もいて、
「悪党」といえる者は作中のあちこちにいるなと思いました。

リチャード(犯人)の、最期の戦のシーンの演出が好みでした。

天晴パラダイス青信号〜ゴールドフィンガー

天晴パラダイス青信号〜ゴールドフィンガー

ブラボーカンパニー

シアター711(東京都)

2016/04/06 (水) ~ 2016/04/10 (日)公演終了

満足度★★★★

からから笑える
初、ブラボーカンパニーでした。

上演時間、1時間半。

勇者ヨシヒコシリーズの、
あの独特な空気感を彷彿とさせるところもあって楽しかったです。

ネタバレBOX


スタイリッシュなチラシと、
作品の内容のギャップにのけぞりました(笑)

ギリギリなパロディや、
一人数役担当(バレバレのもあれば「えっ、そうだったの?」と思うのもあり)など、
楽しく笑えました。


わざとチープに作ってあると思われる武器でも、
タイミングのいい効果音と
役者さんの演技でがっつりと格好いいアクションになっていて驚きでした。

キャラとしては、
警備員さんと暗殺娘ちゃんが特にお気に入りでした(笑)
The Fiend with Twenty Faces 幻燈の獏

The Fiend with Twenty Faces 幻燈の獏

ACRAFT

シアターKASSAI(東京都)

2016/06/08 (水) ~ 2016/06/12 (日)公演終了

満足度★★★★

読みたい乱歩作品が、また増えました
舞台上下手側も座席にした、カギ型の席配置。
マチソワで両面から観劇しました。

江戸川乱歩はここ数か月前にかじりだした者で、
明智小五郎やいくつかの作品タイトルは知っていましたが、
怪人二十面相についてはほぼ無知識でした。

それでも思わずニヤリとさせられる乱歩モチーフの使い方や、
現実的な部分とフィクション全開の仕掛けの組み合わせが絶妙でした。
休憩なし2時間ちょっとの、
映画のようで、かつ、人間の熱を直に感じる時間、楽しかったです。


内容もさることながら、スタッフワークもよかったです。

KASSAIのお手洗いは女2、男1で3つあるのですが、
開演10分前まで男女共用で混雑解消。

また、開場時間には
整理番号付き40名+当日精算で、開場時間は大所帯が移動するので
「入場が落ち着くまで、
空席がわかるよう、着席したままお待ちください」
ってアナウンスも、スムーズに入場できて快適でした。


個人的に、ちょっと…と思ったのは、
有料のパンフレットを買わないと配役一覧が手に入れられなかったこと。

内容的に「何人の人間が出てくるか」、「役の名前は」などは
開演前に知らないほうが楽しめる作品でしたし、
何も知らない状態で観ていても
登場人物の名前などはするっと頭に入ってきました。
ですが、終演後に「あの役の役者さんはなんて名前だったのかな」が
すぐに調べられないのはちょっと不便だなぁと思いました。

終演後に受付付近で配ってくれたらよかったのになぁ、と思いました。

あと、開場中に明滅するの電灯の美しさが、
入場者(舞台下手側)の足元を危うくさせてるのが一長一短な感じでした。

ネタバレBOX


「獏」を、役者3人が演じているのに、機械に見える演出が
特に面白かったです。

あと、すべてを知ってからもう一度見ると何を意味しているのかピンとくる
伏線ちりばめられたオープニングも素晴らしかったです。
(1度目に見た時は美しさに、2度目のときは伏線の張り方に感動しました)

女優さんが少年役を演じるのは何度か見ましたが、
今回は「少女か、少年か」っていう言葉がキーになってたので
そんなに違和感はなかったです。
(有料パンフレットの対談部分に意図も書いてあって納得)

妖しさと繊細さを備えた役者さん揃いで、
乱歩の小説を読んでいるときに感じるゾクゾクした感触が感じられて、
観に行ってよかったと思いました。
アンケート項目にあったスピンオフ作品、実現楽しみにしています。


『シェリングフォード・ホームズの論理的推論~第二楽章 who is ripper?~』

『シェリングフォード・ホームズの論理的推論~第二楽章 who is ripper?~』

黒雪構想

APOCシアター(東京都)

2016/07/21 (木) ~ 2016/07/25 (月)公演終了

満足度★★★★

黒雪構想を感じつつ、単体推理モノでも楽しめました。
旗揚げ公演の『蝶(キミ)が夢で~』以来の観劇。
上演時間も90分と

今回は前作と時間軸が同じということで、
「途中参加にはハードル高いかな」とドキドキしてましたが、
劇団サイトや団体公式ツイッター、
開演前にスクリーン(壁)に映っている文字、
開演直前のダイジェスト映像などで予備知識は得られました。

上演時間も90分程度で気楽だし、
推理もののポイントを押さえつつ
(イイ感じに全員あやしい・笑)
そこにこの団体独特の世界観「黒雪構想」が絡んでいて、
面白かったです。

犯人が複数の女性を殺害するに至るまでの動機(重なるところ)や
最初の殺人シーンの演出(逆光)、
舞台全面をセピア色に染めて
リアルなのに映像のように見せる技術などもきれいでした。

ネタバレBOX


黒い雪が降って世界が滅亡して、
生命が消えたあとに
また同じ星で新たな進化が起きて文明が発達する…
という「世代」論および器と魂の云々は、
文字ではピンと来ませんでしたが
作中の作家夫婦や探偵兄弟などを観ていたらなんとなく理解できました。

ロンドンといいつつも、
私が知っている「シャーロック・ホームズのロンドン」ではないというのが、
(小型通信機やビデオ、デジタル時計がある)
最初は思考を混乱させましたが、
「そういう世界なのだ」と落ち着いたところで
もう一度観たかったなぁと思いました。

『蝶夢』から急にホームズの世界観になったので戸惑って、
シェリング第一作目を見逃してしまったのを口惜しく思っています。
(今では「そういうことか!」と繋がりがわかるだけに)


開場時間から「開演時間=霧の出る時間」として
登場人物が一人アクトエリアに居る演出も、
世界観が感じられて良かったです。

ハロウザディップ

ハロウザディップ

演劇組織KIMYO

王子小劇場(東京都)

2016/09/08 (木) ~ 2016/09/11 (日)公演終了

満足度★★★★

にぎやかな茶番劇。ネーミングセンス超好み!
上演時間は休憩なしの2時間。
内容的に、
休憩がもし入るならここかな~、
というポイントは有りましたが、
勢いがある話なので休憩なくても
「長いなぁ」とは思いませんでした。
(むしろ休憩が入るとあの疾走感が損なわれそう)

鮮やかなダンスや大量の衣装も豪華で
舞台空間を全部使う演出もあって目が楽しかったです。

展開全部を知ってから、
「ある登場人物」の人生を追いたくなったので、
リピート割引にも背中押される形で
明日も観ることにしました。


こりっちの予約確認メールに
開場は45分前と書いてあったのに、
劇場に行ったら30分前に受付開始でした。
私が行った回だけだったのかなぁ…

パイプ椅子に劇団オリジナルの座布団が敷いてあったのも、
親切でよかったです。

ネタバレBOX


当日配布パンフレットに書いてある役名の読みが、
全部食べ物系のものをもじった名前。
(カツカレー、中落ちカルビに大トロサーモン…などなど)
開演前から飯テロでした(笑

まさに人を人とも思わない「国民」としての視点で見ていたので、
鬼木さんの言葉にギクッとしました。

ラストの景色の荒涼とした空気間と、
その数秒後に起きた出来事に「やられたー!」と思いました。

キャラクター一人一人のアクが強く、
最初のうちはそれがあちこちに乱射されてるように見えて
正直胸焼けしそうだったのですが、
お互いの関係性が密になっていくにつれて
彼らの生き方(目的や欲望など)がぶつかりあって、
大きな流れになっていくのが見えて面白かったです。
紙の方舟

紙の方舟

シアターノーチラス

小劇場 楽園(東京都)

2016/05/18 (水) ~ 2016/05/22 (日)公演終了

満足度★★★★

観られた部分だけでも惹かれました
元ネタになったという事件(?)について少しだけ調べてからの観劇。

上演時間は1時間40分程度との事前告知。

観れた範囲では公演ページに記載の通り、再現ではなかったし、
事件の是非を問うものではありませんでした。

「家族」という不思議な関係について色々な角度から描いているなぁ、
この登場人物の言う感覚わかるなぁ、
など、
観ながら
「あなたの正しさはどこにある?」と
問いを投げかけられている気がしました。

ネタバレBOX


上に「観れた範囲」と書いたのは、
私が観た回は、
金魚の死体を埋めようとするあたりで
やむを得ない事情により
上演が中止になってしまったからです。

それでも、
その内容だけでも心に残るものでしたし、
役者さんも、
表情や身体の動きなど
とても細かく演技しているのに自然で「どこにでもいる人間」だったので入り込めました。

家族間で話さなくてもわかるのはなんか嫌だなと思うのに、
疑似家族(他人)に対して「あなたをわかりたい」というような発言をする登場人物がいて、
人間って面白いなと思いました。


こちらの団体は、以前観た作品が
なんとなくざらりとした質感の会話で、
乾いたお芝居だったという記憶があり、
今回も始まりがそんな感じだったので
「劇団色がこういうのなのかな」
と思っていたら、
その後からどんどん
温度や臭いを感じられる芝居になっていって、面白かったです。
(笑いのシーンはあまりない)


上演中止について、
当日の判断、その後の団体の対応も納得のいくものでした。
ただ、それについて団体側から
(劇場で謝罪などはあったものの)
ネット上で言及がなく、
観劇当日はここにこの話を書いていいものか悩みました。
でも公演を拝見して
とても身になるものだったし、
なんというか、口をつぐんでいられず…
投稿してしまいました。

自分の予定上、
公演期間中にまたうかがえないのがとても残念です。
家族円満な人、不和がある人、
どちらの人にもなにか刺さるものがあるんじゃないかな、と思う作品だと思います。

東益平7丁目団地防衛隊

東益平7丁目団地防衛隊

キリンバズウカ

【閉館】SPACE 梟門(東京都)

2016/05/14 (土) ~ 2016/05/22 (日)公演終了

満足度★★★★

想像以上に重めで笑えて面白かったです
上演時間80分。
マチネでA組、ソワレでB組を観ました。
開場時間は開演の30分前。
セット券の片方などの、
チケットを先に持っている人から記載の整理番号順で入場。

一度上演された作品とのことですが、
チラシに書いてあるあらすじがふわっとしていて、
公式ツイッター等でもあまり内容にはふれられて無かったので、
特に下調べもせずに観劇。

思ってた以上にガッツリと心にクる作品でした。

ネタバレBOX


途中の「教育的指導」シーンの
ダイジェスト的な見せ方が面白かったです。
あと、マッキーの部屋での衝撃体験のくだりも
奥のワタワタ具合など楽しかったです。

Aチームは全体的に若めなキャスト、
Bチームは少しオトナなキャストで、
衣装替えで幅広い年代を演じる部分で面白さの種類が違っていて、両方楽しかったです。

同じ役者が違う役をやることについても、そうした理由が(特にヤスダ&ヤスオ)わかって納得しました。

あと、役者も変われば役の人生も変わるということでしょうか…
同じストーリー展開、同じ言葉でも、
違う表情や口調で言ったりしていてそこも楽しめました。


奇跡のシーンは、
彼が報われたのが嬉しかったという思いと、
その後の彼が悪い意味で変わらずにいる要因のひとつになってしまったなぁという
すこし苦い思いを感じました。
わりとビックリな展開でしたが、
「すこしだけファンタジックな奇跡」は好きなので、泣けました。


ラストのダンスは、
あの時できなかった事を今やっているんだろうなーという解釈をしましたが
同時に彼らの表情を見て、
今までの生き方も表しているんだろうなぁと思いました。

舞台美術も一見では団地の話には感じられなかったけど、
「ちゃぶ台に見えるけど、
 あえてデザインっぽい色を塗って
 別のシーンで色々なものに見せる」
という技で魅せているのだなと思いました。

上演時間は短めでしたが、
開演が両チームとも説明無くおしたのがすこし残念でした…
傷つくな、鮮やかに浮遊せよ

傷つくな、鮮やかに浮遊せよ

チョコレイト旅団

小劇場てあとるらぽう(東京都)

2015/09/18 (金) ~ 2015/09/22 (火)公演終了

満足度★★★★

自分の人生でくらい、主役になりたいですよね
【敷金】チーム千秋楽を観劇。
上演時間、1時間50分休憩なし。

劇場の空調が全体に回りづらい、とのことで
開場時間のうちからその旨を何度もアナウンスしていて、
親切だなと思いました。

「うちわを配ってます」
「数多く確保してないので大きめの紙皿も…」のくだりも
ガチなのかウケ狙いで客席をあたためておく意図があったのか
謎でしたが面白かったです(笑

開場時間中から女優さんの数名がが「登場人物」として過ごしていて、
作中で日常描写が少ないところを補完しているようで良かったです。


一人一人に焦点をあけていけば
各々主役になれそうなエピソードを持っていて、
でも実際の人生では決して主役になれてない女子たちの事情が
少しずつ明かされて、からんでいく様子が面白かったです。

「私は今、誰かの脇役として産声をあげた。」
というフレーズが
特定の誰かにずっと焦点を当てるわけじゃない演出と
どこか影を落としている登場人物たちの生き方そのものにかかっていて
ジワジワ染みてきました。



初見の役者さんが多かったので、
できたら当日配布のキャスト表にチームも書いておいてほしかったです。
(劇場を出てサイトと照らし合わせるまで、
名前がわからないままだった方もいてちょっと不便…)

整理番号式での入場は、
開場5分前に劇場前に並ばせる等の対応をしてもよかったんじゃないかな…
と思いました。
通行する町の人が通りづらそうにしてて、ちょっと気まずかったです。


ネタバレBOX


ラジオの音声とシェアハウスの景色がリンクしたり、
突っ込みに使われたりなど、
下手奥側と上手側の使い方も面白かったです。

二つの世界も切り離されたものじゃなく、
ショータがこちらに食い込んでくる感じが違和感なくて、盛り上がりました。
(もくずさんのストーカーに見せて
実はシェアハウス側の人に意識が向いていたところとか)

「グッピーの存在も事件も、むしろ番組そのものが
彼女たちの人生にとっては脇役でしかなかった」というシーンも
刺さりながらどこか痛快でした。


女子トイレに並んでる時の云々とか、
「【来ないで】は【来て】だから」「もういいは、よくないから」等
わかりやすい言い回しで女心を表現する言葉のチョイスが
すごく好きでした。

女子だけのシェアハウスに男子大集合とか、
ナルミの恋愛観にドン引きの女性陣とか
写真を見てのベタな反応とか
どや顔のパンティ泥棒とか、
彼がパンティをつかって喧嘩を仲裁しちゃうとか、
笑えるシーンも多くて「長い」とは思いませんでした。

ラストも光があって良かったです。

アップ・ダディ・ダウン

アップ・ダディ・ダウン

ステージタイガー

近鉄アート館(大阪府)

2016/01/23 (土) ~ 2016/01/24 (日)公演終了

満足度★★★★

ダンスありアクションありの三方囲み舞台。
C側(舞台に向かって右)で、初日を観劇してしてきました。

10分おして、21時終演。
(前説で開演おしたのを謝罪してました)

わかりやすく、ベタだなぁと思うところもありましたが、
登場人物たちのあちこちに自分に重なる思いを見つけることができて
何度か涙がこぼれました。


劇場前に受付が並んで2つあり、
ステタイ扱いと日本写真映像専門学校扱いで分けられているようでしたが
遠目からではどっちがどっちなのかちょっとわからなかったです。
口頭で言っていましたが、プラカード等あるとよかったかな、と思いました。

ネタバレBOX


当日パンフレットの虎本さんの語りかけるような言葉に
まず涙腺が刺激されました。
親って完璧な存在だと思っちゃうけど、
子供が生まれたときにやっと
父親一年生、母親一年生でもあるんだよなぁとか考えちゃいました。

ついたてが出てきたとき「向こう側が見えない!」と一瞬思いましたが
その後の演出で見えるようになったのでホッとしました(笑
床面に浮かぶぐるぐる紋様が、
発散できないモヤモヤ、伝えたいけど感情の集まりのように思えて
効果的だなぁと思いました。

「父と子でバトンをつなぐ」シーンで、
父親が手の位置を高いところからを息子に合わせたところに、
父親の愛を感じ、
ラストシーンで視線の位置が高くなった息子に、今後の成長を感じました。
祖父と父親の親子対話シーン、昇さんの表情で泣きました。
(哲さんと昇さんの行動のシンクロにも泣きながら笑わされました)

観終わってからあらためて親子の名前を見たときに、じわっとしました。
アップダウンだなぁ…。

華さんが宙と会話するシーンで、
すごく真剣なまなざしで彼の質問に答えてたのが見れて、
心が揺さぶられました。
彼女のお店の名前は、友人と自分の名前からとったのかなぁとか考えたら
切なくも温かい気持ちになりました。

プー太郎さんの職業に「たしかにそうだけど!」と笑いました。
内容的にお外では使えないけど、ちょっと使ってみたい言い回し(笑

ダンスもアクションもあって、楽しかったです。
商店街の面々の踊りながらの表情も
(必死な真田先生とか、再開直後の勇さんの笑顔とか)
見たいポイントが多すぎでした。

不良少年のハッチャケ(小芝居面白い)や、
生徒たちのガヤガヤの生き生きとした姿もほほえましかったです。

ダンスチームの面々と宙の関わりももう少し見たかったなぁ…
でも上演時間的に、これくらいがちょうどいいのかなとも思いました。

遠征してきてよかったです。
Dの再審

Dの再審

かはづ書屋

スタジオ空洞(東京都)

2016/03/11 (金) ~ 2016/03/16 (水)公演終了

満足度★★★★

「名探偵」への思惑、入り乱れ。
上演時間はおよそ95分。

当日パンフレットにも、作中にも「D坂の殺人事件」の概要説明があり、
未読者にも親切なつくりでした。
模擬裁判ということで法律用語も出てきますが、
それも作中の一般人に説明するというていで解説されるので
置いて行かれずに観ることができました。

対面客席の奥→手前の順で、2回観劇。
2回目観劇の時は開演がおしましたが、
「3分」とスタッフの方が具体的な時間を言っていたのが好感持てました。

役者さんのスタンバイ位置の関係で
一部が確実に観づらくなる…という席があり、
そこには置きパンフレットの上にその旨が書かれた紙が置いてあったり、
空席に余裕のある段階で見切れそうな席に座ろうとする人に
スタッフさんが個々に「○○なので、見づらいかもしれませんが…?」と
理由を告げて他の席に移る選択肢を提示していて優しいなと思いました。

アンケートがWEB方式なのも、
時間を気にせずゆっくり書けるので良いなと思います。
(スタッフに申し出れば紙のアンケートも用意があるとのことでした)

直球・変化球のセリフが入り乱れる論争劇、楽しかったです。
(今まで観た柳井さん作品の中で、
いちばん役者さんが噛むのが多かったなぁという感想も持ちました)

台本販売に加え、DVDになるというのも、とてもうれしいです♪

ネタバレBOX

実際のところ、全部を見渡せる席は無いのだと思います。
(対面客席である事に限らず、誰の、どの舞台作品もそういうものだと思う)

ちなみに自分が1回目に座った
奥側のパイプ椅子席(3列目、向かって最右)は、
役者が出てくる部分がちょうど見えない位置でした。
登場の瞬間の表情や、
作中のある再現シーンで「部屋の中」にあたる部分が見えづらかったです。

2回目観劇は手前側の席に座って、人物の入場時の表情と
「部屋の中」を見ることができました。
(そうすると、判決時の検事の鳩野さんに対するあの表情が見えないけども)
でも役者さんが常に人間らしく登場人物を演じているので
その瞬間の顔が見えなくても、
彼らがどんな表情をしているかは
見えていた人となりから想像がつくようになっていました。

「明智小五郎が実在している」という設定が面白く、
でも本人の姿は登場させないというのが面白いです。
それによって、各々の中にあるイメージを壊すことのないまま、
作中に出てくる発言たちによって「名探偵・明智小五郎」を崩すことに
成功していると思いました。

蘭子さまがみんなに背を向けて、
一度は崩壊寸前になった模擬裁判の配置が、鳩野さんの発言から
連鎖的に元の位置に戻っていくさまが美しかったです。

判事が服を脱ぐところ、秘書さんが「ふたをする」ところなど、
その行動が行動以上の意味を持っているように見えるシーンとか、
登場時に依頼人と依頼された人が実は目線を交わしている所とか、
なぜ彼女がその単語に反応を示したのか、など
伏線もあって見ごたえありました。

もし最前列に座ったら、格子の布の色実験は目視できたのかなぁ…?
あれは自分の目でも確認してみたかったです(笑

そこにある場所

そこにある場所

崖っぷちウォリアーズ

劇場MOMO(東京都)

2016/03/09 (水) ~ 2016/03/13 (日)公演終了

満足度★★★★

ほのぼの話
上演時間は1時間40分。

受付順に整理番号で入場、
物販のパンフレット(1000円)は終演後に販売でした。

チラシの表面の渋いイメージは、作中ではあまり無かったです(笑


ネタバレBOX


コミカルで、人のいい話だなぁって思ってたら、
刑事のくだりなどやラストで結構ドキッとさせられました。

家族ものなので、キャスト表に同じ名字の役名が並んでるけど、
観てて順番は大体すぐわかるのも良かったです。

娘さんの心情吐露と、母親の姿が涙を誘いました。
そこに入ってくる三男のキャラがいい味出してました。

出ハケはあるものの、舞台は喫茶店の室内のみ。
外を描かないけど、登場人物の服装や台詞で季節を出してて、
そのさりげなさが上手くてほのぼのしました。
おしゃれな人はよく着替えるし、
無頓着そうな人はとことん同じような服で、
キャラが出てるのも面白かったです。

作中に話題になりつつも
本編に直接はかかわってこないエピソード(娘さんの祖父や父親の話)
などの入れかたも適度で、シリーズ化できそうだなと思いました。

本探しの3人がわりとわかりやすかったのと、
サギ医者の顛末が言葉だけだったのが
ちょっとだけ物足りなかったかなぁ、と。

母親の本の仕掛け、
息子さんにはまるで魔法のように感じられたんじゃないかな、と思うと
胸が温まりました。

空は青くて

空は青くて

ソラトビヨリst.

王子小劇場(東京都)

2014/11/20 (木) ~ 2014/11/24 (月)公演終了

満足度★★★★

着眼点と発想が好み
まず入場時に、
下手側のバルコニーを使うことをスタッフさんが説明してくれて、
少しでも見やすい席に座れるよう ギリギリまで配慮してくれてるところに好印象。
リーフレットの人物説明もありがたかったです。
写真もカラーで役者さんの顔も見やすく、
ほぼ衣装姿だったので
舞台上で観たときに悩むことなくて、こちらも助かりました。
リーフレットに世界についての情報があるよ、という旨も
前説で言ってくれるのも親切。

脚本も舞台美術も濱崎さんでしたけど『スモーク』での生々しい、
人間の息づかいを感じた舞台美術とは全然違う雰囲気で、
造られた空々しさ、空虚感、
でもそこにある管理された美しさ…みたいなものを感じました。

公演時間95分で、
現代ものでなく、
教科書で読んだ歴史でもない
オリジナルの世界観を表現したのは見事だと思いました。
役者さんたちも各々の個性があり、
実力も高いところで安定しているので
安心して物語に没頭できました。

ネタバレBOX


「町の活気」表現の限界を登場人物自らツッコんだり、海辺の男や記憶喪失のくだりなど、
まるで世界観を崩すような勢いでぶち込んでくる笑いシーンもありましたが、
漫画好きキャラがいること、世界そのものが我々の遙か未来という事で客席側の「現代」と繋がる部分があり、
その方式は巧いなと思いました。

進化の過程で「悲しみ」が失われたという発想と、
そこに「愛する」という気持ちが絡んでくるっていう設定がとても好きでした。

ただ、あの世界の標準であるクラスタのメイン二人も
最終的にバグ寄りになってしまっていたので、
「悲しみと愛の片鱗がない世界の人々」というものに少し描きたらなさを感じてしまう部分も。
(でも、描いてもらっても公演時間がのびるのもなぁ、という気持ちもある)

快活な笑顔が似合う黒木さんを、
ああいう役柄で観れたのも
すごく貴重だったと思います。
彼の鼻歌、皮肉が効いてるな…と思いました。
next BLUE

next BLUE

7contents

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2014/10/15 (水) ~ 2014/10/20 (月)公演終了

満足度★★★★

キャストの数だけ役がある、を実感
都合つけられたので、昼夜で両チーム観劇してきました。
同じ役でも、
キャストによって言葉の雰囲気が変わっていて面白かったです。

前説や出演者のツイッターで、
劇場の温度設定の説明をしていたのも親切だなぁと。


ところどころで
「あの人どうなった?」
「そこは作中では判明しないのかな?」と思うところがあったので☆4で。

感想は長くなったのでブログに書きました。

すってん×小町

すってん×小町

劇団ようきたなぁ

ワーサルシアター(東京都)

2016/01/23 (土) ~ 2016/01/24 (日)公演終了

満足度★★★★

某登場人物の個性が際立っていました
開場前、劇場付近で役者さんが衣装姿のまま呼び込みしていて
(酢呑、納言、あともう一人…遠目だったので未確認ですが晴明かな?)
その時点で既にカオス感があって面白かったです。

開演前に客席で、
上演時間が長い(休憩なし2時間40分)という話を小耳にはさんで、
ドキドキの観劇。
椅子には団体オリジナルの座布団が敷いてあって、
お尻が痛くなることはありませんでした。
( 客席中央の通路を使うことが多かったので、
それで体をひねって血行が良くなったのもあるのかもしれない・笑)

座席に置いてあった当日パンフレットが
大阪公演の舞台写真などを使ったオールカラーで、
歴史的な情報も作中の人物関係図もあって、
予備知識補充&終演後の情報整理に役立ちました。

内容としては予定調和っぽいなぁと思うところもありましたが、
強烈なキャラクターが多くて、退屈することは無かったです。
武士の鎧も軽い素材でできていると伺ったのですが、
そうは見えないクオリティの高さでした。

特別ゲストの催眠術も面白かったです。

ネタバレBOX

感想を書きながら、劇団サイトにある大阪公演映像を見ているのですが、
酢呑の役者さんが東京と違って女性なのですね。
本編映像をまるまる公開するとは、すごい。

何人か声を嗄らしていたのですが、
そこをネタとして使ってしまうあたりも、
ゆるっとした作品の雰囲気と合っていて素直に笑えました。

式神さんの「千秋楽は何してもいいんでしょう?」てな発言が
個人の感覚として「うーん…」と思ったのですが、
千秋楽スペシャルも含めての事前上演時間告知だったので良かったです。

清少納言無双で、印象が今でも強烈に残っています(笑

漏れて100年

漏れて100年

突劇金魚

AI・HALL(兵庫県)

2014/09/26 (金) ~ 2014/09/28 (日)公演終了

満足度★★★★

伊丹公演観てきました
何度か訪れたことがあるAI・HALL。

斜めになったセットだったので、
奥側が見えづらいかなぁと思って段差のある席をチョイスしました。


ネタバレBOX

タイトルの「漏れて」は、
天変地異による滅びの運命から漏れてって意味なのか、
人類の繁栄するサイクルから漏れてって意味なのか、
それとも別の意味があるのか…
他人事になりそうな設定だったので、
最初は傍観スタンスで見ていましたが、
「さち」のかわいらしさと感情の動きに引き込まれ、
途中に挟まれるシーンによって、
彼と自分の距離が一気に縮まり、涙が出ました。


仙人の最期の言葉は、つねひごろではないけど、
ふっと頭をよぎる思いで、ぞくっとしました。
仙人を演じる片桐さんが、
最初に出てきた時から作中で言われるビジュアルに見える演技で、
つくづくすごい方だなぁと。
同じ役と東京ではサリngさんが演じるとのことで、そちらも楽しみです。

シャウトしてる時と、
背を向けてる時の声が聞こえづらかったので4にしました。
『ゲルダ〜Christmas Edition〜』

『ゲルダ〜Christmas Edition〜』

ムーンビームマシン

HEP HALL(大阪府)

2014/12/11 (木) ~ 2014/12/14 (日)公演終了

満足度★★★★

開演前からあたたかかったです
まず、席においてあるチラシ束が入った袋の
一番外側にキャスト一覧があったのがいいなと思いました。
袋から出して、折ってあるのを広げることなく
一目で登場人物の名前、キャラの簡単な説明と役者名が見れます。
開演20分前に
出演者によるミニライブ&パフォーマンスがあって、
それが終わったあと
開演までの間が10分くらいだったので、
登場人物や役者名を頭に入れる際に、この方式は親切です。

ダンスシーンも景色・心情とうまく掛け合わせた演出で、
特に「なのはな色の靴」のくだりの
シューズ&精霊たちの動きと表情が物語的で好きでした。

途中キャストが歌い出すのですが、
それもパンフレットに歌詞が載っていて
(初見ではそこは読まず、2回目観劇の前に読みました)
一部歌詞が聞き取れなかった所があったので助かりました。

ストーリーは細かいところで若干謎が残ってるような…
と思いましたが、
ゲルダとカイのことは解決しているのでいいのかなぁ、と。

試練に立ち向かう少女と、
かつて子供だった者たちを描いていて、
ストーリー展開もクリスマスや年末など
好きな人や家族で過ごすイベントを控えたこの時期にぴったりの
どの世代にも響くものだったと思います。

ネタバレBOX


千秋楽では
劇中でオープニング映像が出ないというトラブルが起きましたが、
カーテンコールの時にその映像を含む前後のシーンを上演して、
しかも終演後だからできる遊び心入りのアクトになっており
役者さんたちの、自分の役と作品に対する愛情を感じました。

おもてなし

おもてなし

玉造小劇店

ザ・スズナリ(東京都)

2014/11/18 (火) ~ 2014/11/26 (水)公演終了

満足度★★★★

もてなしの心を学べました
チラシの絵が艶っぽかったので、
大人っぽい話なのかな…? と思っていたら、
真面目からコミカルまでふれ幅のある、万人向けのお話でした。
全編にわたって大阪弁(商人言葉)なので
最初はとっつきにくかったのですが、聞いているうちに大抵の事はわかりました。

ネタバレBOX

いわゆる<何でも屋>をしている、
ある過去を持った女性が中心となる話。
彼女のもとに頼みごと・相談事をしにきた人々のエピソードが
ラストできれいに「しまつ」がつくのがすっきりしました。

全編を通して、女性陣の着物の所作がきちんとしていて、
特に主役の「兼」さんを演じた女優さんの
言葉遣いと仕草の美しさには目をみはりました。
彼女が柱に寄りそう月夜のシーンでは、
その柱がなにを意味するのかが
先だってのエピソードで明かされているので、
彼女の想いが見えて、涙が出てきました。

大阪のことばや美しい仕草、「しまつ」の精神など、
観ているだけで勉強になる部分もあり、
物語自体も丁寧に作られていて楽しかったです。



開演前の物販カーテンコール、終演後のサイン会なども、
手際が良いなぁと思いました。

当日配布物の中に、
出演者と配役一覧が無かったのは私だけだったのかな…?
パンフレットを買ったので問題はなかったのですが、
ぱっと、一覧表で見たかったです。
MID騎士(KNIGHT)ミラージュ

MID騎士(KNIGHT)ミラージュ

無頼組合

シアターKASSAI(東京都)

2015/12/11 (金) ~ 2015/12/14 (月)公演終了

満足度★★★★

前作から続けて観劇しました
1時間50分を長いと思わせない、楽しい公演でした。
銃撃戦の演出がとても好きです。

何役も兼ねる方が多いので、
当日パンフレットの中には写真入りで、
裏には身分と役名キャスト名の一覧で掲載されている今回の方式、
とてもいいなぁと思いました。
アンケート書く際にも重宝しました。

あと2つで騎士シリーズ最終回ということで…
今後の展開が気になります。

ネタバレBOX


逃亡中のわりにそんな大声で叫んでたら見つかっちゃうよー! と、
ハラハラしながら見てました。
何もない舞台上に様々な道を作る演出は、
何が出てくるか予想がつかなくてとても楽しいです。

夜景を見て、「あの灯りが、私の国にもほしい」という
ヒラリオくんの言葉に心が動きました。
あと、南雲さんの「この国の情のなさ…」てな言葉にも
皮肉だなぁと、心がずきっとしました。

お約束だと思われるカオスからの1曲や、素になってしまうシーンも
好みがわかれるとは思いますが、
この作品のテンションと座席数の劇場ならアリだなぁと思いました。

オカマは何というかすごく…すごかったです(笑
LINX’S PRIME

LINX’S PRIME

演劇ソリッドアトラクションLINX’S

TORII HALL(大阪府)

2014/09/27 (土) ~ 2014/09/30 (火)公演終了

満足度★★★★

きんのたまごがたくさん
有り余るほどのパワーを秘めた、
若い世代の演劇をいろいろ観ることができました。

各団体への感想は長くなったのでブログに書きました。


各々短時間とはいえ、総上演時間はけっこう長くなるので、
各団体の合間の時間、
席についたままでお水だけでも飲める劇場だったら、
もっと良かったかなってことで★4つにしました。

Only Lonely Rose

Only Lonely Rose

My little Shine

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2015/11/18 (水) ~ 2015/11/23 (月)公演終了

満足度★★★★

年代によって印象変わりそう
開演30分前に受付&開場(自由席)。
受付開始時間のちょい前に行ったら、劇場前に列ができていました。

上演時間は告知通り1時間40分程度。
満席だったので暑くなるかと思いましたが、
冷房強めだったのかな…むしろ涼しいくらいでした。

「星の王子さま」に重なる部分もありましたが、
それを知らなくても話は通じているので
星の王子さまを知らなくても大丈夫だと思いました。

自分は同性だし年代的にも少し重なってるので、
いろいろと身につまされる部分や
理解できる感情、やりとりもあって苦しくもありましたが楽しかったです。

ネタバレBOX

同じ脚本家さんのベイゲニグマシリーズや、
前回公演『キャッチ・ザ・レインボゥ』と少しリンクしているのも
ニヤリとさせられました。

ストーリーは途中で「若干チカラ押しじゃないか?」 と
一瞬思ってしまう部分がありましたが、
役者陣の演技が総じて生命力があり、
よかったので観終わるころには違和感が消えていました。

女友達の態度や懐中電灯おじさんの言葉などが特に印象的です。
「事件」や「親子関係」については、
あまり得意じゃないジャンルだったのですが
序盤からセリフ内でにおわせていたので
心の準備ができていたので正直ほっとしています。

久々に学生時代を思い出して懐かしかったです。

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