趣向のワーク・イン・プログレス 〈みえないこどもたち〉vol.1 『屋根裏部屋のこどもたち』
趣向
シアター風姿花伝(東京都)
2019/05/06 (月) ~ 2019/05/09 (木)公演終了
満足度★★★★
同じ脚本を3バージョン上演するワークインプログレス
時間軸が順になっているノーマル版のAと
場面の順番や母親役が増えているシャッフル版のCを続けて観劇
同じ場面の同じ台詞でも役者や見る順番、演出が異なると受ける印象が全然違うのは面白い
屋根裏部屋の大人になりたくない子どもたち
大人たちも世界もおかしく見えて、自分の重さを見失ってしまうその歳
身体が浮いて開いた窓から出ていこうとするけど
自由を教えてくれるピーターパンのいないピーターパンの物語のようで
妹とりんごは2人で1人のウェンディのようだった
先日のStraw&Berryでは中学男子の初恋の化身みたいだった波多野伶奈さん
本作でも重さのない世界の中学生役で浮かぶ雲のような存在感
ますますこの役者さんの本性がよくわからなくなって
なんだかわからない、まだなにかありそうな役者さん
底に手を伸ばしたい存在
不幸探偵
劇団ベイビーベイビーベイベー
ザ・ポケット(東京都)
2019/05/01 (水) ~ 2019/05/05 (日)公演終了
満足度★★★
普段見ないタイプのお芝居で
セリフ量と速さが凄く、分厚い小説を舞台上に展開している感じ
座組としての演技も統一されていて、作品性が全面に出ている感触
頼りない探偵が助けられながら解決していくという王道は川口知夏さんにピッタリだったなと
一方で演劇を観たという感覚はちょっと薄かった。どちらかというと小説を読んだ感覚
「舞い上がれ、レジャーシート」「ばいびー、23区の恋人」
マチルダアパルトマン
すむぞう外苑前スタジオ(東京都)
2019/04/12 (金) ~ 2019/05/12 (日)公演終了
満足度★★★★★
舞い上がれレジャーシート
ツッコミ役もボケ役もいるけど
両者の足元の大地自体がボケをかましている世界
基本的に道理が通らないことによる面白さがメインだけど
ぼそっと呟く影ツッコミのような部分が実は唯一正気な台詞であり
正気であるがゆえの面白さというのが好き
ユニットの旗揚げ公演ということで実際に劇団員たちを見ると
ある意味でのダサさというのがあるなと
おかしな人物がおかしな言動をするだけだとコントだけど
池亀さんの作品はそれを柔らかい布のようなものでふわっと覆っている
その柄がよく見えた
ばいびー23区の恋人
なんというか舞台上で松本みゆきさんが醸し出すフェロモンってのは本当になんなんだろうね
僕は町子に出会ったらきっと惚れてしまう
狭い部屋で織りなされるロードムービー
そこにしかない面白さがそこにある作品
人と言葉と音楽、物語→楽しい演劇
そりゃあ、まあ、ええ、
なかないで、毒きのこちゃん
駅前劇場(東京都)
2019/05/02 (木) ~ 2019/05/04 (土)公演終了
満足度★★★★
これは良い作品
シンクロ少女の「LOVE」シリーズのようなラブ&コメディ感があって
鳥皮さんはこういったアプローチも出来るんだなと引き出しの広さを感じる
あと田村優依さんはあれだね、童貞を殺す服ならぬ童貞を殺す役者的存在感が凄い
無教訓意味なし演劇vol.10「純喫茶"味噌夢"~蜘蛛でもわかるアクリル製色即是空~」
劇団「地蔵中毒」
千本桜ホール(東京都)
2019/05/02 (木) ~ 2019/05/05 (日)公演終了
満足度★★★★★
今村さんや徳橋さんという強い役者さんが出ても中和さえもされない
言語も背景も飲み込まれる地蔵中毒の強力な世界
まぁただラストを徳橋さんにして良い芝居っぽくするのは反則気味w
全体的に定番の形ではあったのだけど、どこか物語の臭いを感じた
今回は無茶苦茶な小道具が少なめで
人と会話での不条理な笑いが多く感じた
てか頭のおかしい群像劇って感じ
今回はがじらさんや礒村さんがいなかったので
2人の味による突飛な混迷感が少ないことが影響があったかも
でもフルサワさんは相変わらずエロばばあで好きだった
地蔵中毒という団体の分岐点なのかもしれない
生ビールミュージカル
宇宙論☆講座
スタジオ空洞(東京都)
2019/05/01 (水) ~ 2019/05/05 (日)公演終了
満足度★★★
上演前、上演中と役者が飲酒をして泥酔した状態で行う公演
※観客も生ビール飲み放題
以前の公演でも泥酔回が用意されていたが今回は基本がこの泥酔回(1日だけシラフ回有り)
ぺけさんは毎回凄い印象的
新名さんが進めようとする姿自体が面白かった
どこが泥酔で滞ったのかわかりにくい部分も多かったが
諸々のトラブルでそもそも作品が全く成立しなかったのでこれはこれで一つの成功だなと思った
ただ元の脚本はもっと普通で良いのでは
酔ってるからと言って余計なことをするのを見るのは愉快じゃないなと思った
泥酔公演というものを考えた時
・やっぱり通常回があってこその泥酔回
→何が壊されているのかわかりづらいのでせめて観客に台本とか配るべき
・作中のキャラに狂気的な人を配置すると、酔ってるせいか元々なのかわかりづらくて良くない
・下ネタとの相性は良い
・演者側に一人はちゃんと進行させる役割の人間が必要
・泥酔により作品が成立しないほどの状態になって初めて泥酔公演は成立する
・観客側の覚悟が必要なので、どれだけ上手く共犯者に出来るかが重要
・機材系のトラブルにはもっと回避策を用意しておくべき
H&ERO
Peachboys
シアター711(東京都)
2019/04/23 (火) ~ 2019/05/06 (月)公演終了
満足度★★★★★
毎回同じ様な役割のキャラが同じ様な展開で同じ様なネタを繰り広げるのに
なんで毎回こんなに爆笑してしまうのだろう
もはやこれは様式美なのかもしれない
最初はくだらないと笑いつつもいつの間にか物語世界にとりこまれて
一大スペクタクルを見たような気になる作品
くだらない下ネタばっかりやっているようにみえてキャラとか設定できちんと伏線張っていたり
パロディとしての大事なキメはしっかり取りこぼしてなかったり
キャラをしっかり使い切る本当にしっかりとした作品なのが逆に怖い
あと高橋さんのDBキャラの似合いっぷりったらなかった
私の娘でいて欲しい
劇団皇帝ケチャップ
浅草九劇(東京都)
2019/04/27 (土) ~ 2019/04/29 (月)公演終了
満足度★★★
コメディと銘打ってたけど、会話のテンポや芝居の大きさは完全に会話劇で笑いのポイントが結構流れてしまっていたのはもったいなかったけど、シチュエーションや話の内容は良い要素を使っていて、会話劇としてみれば良い作品だった
コメディとして成立させるならもっと演技としての振りをしっかり幅と間を持ってる方がわかりやすく笑えるなぁと
人と時間の見せ方もややわかり難かった
細田こはるさんはそこ辺り上手くてキャラをわかりやすくしてた
いつもの致死量
こわっぱちゃん家
王子小劇場(東京都)
2019/04/24 (水) ~ 2019/04/28 (日)公演終了
満足度★★★★
序盤の幸せの重ね方が上手くて、これをこれから一度崩すなんて、凄いドSだよなぁと思ったり
瀧さんの予備プロポシーンで真ん前の位置に座ってて、俺男なのに完全にキュンときてしまって危うく結婚するとこだった。さすが爽やかさの結晶というか煮こごり役者
王子のバルコニーをなるほどああ使うかと
ピンスポットでハイライトに進むこの作品には今回のような舞台美術が上手くハマってたなとシンクロ少女や埋れ木の舞台を思い出した
物語構成が相変わらず上手くてバレエの展開のように一つ一つの場面が浮かび上がる
ミラクル祭’19(ミラフェス’19)
新宿シアター・ミラクル
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2019/04/20 (土) ~ 2019/04/29 (月)公演終了
満足度★★★★★
たすいち「ペルソナ・サークル」
個性とはなんなのか?
個性的な役者たちがあえて形而上にシンボリックに表され
小道具に個性を見出すように目を逸らされて
それでいてその人はその人だと手のひらを返されて
加速度を増す舞台上の世界に翻弄されまくる
みんなで茶番の共有をしあう作品
feblabo「海月は溶けて泡になる」
裃-這々の加糖熱量さんの脚本を池田さんが演出
これはバランスのとり方がかなり難しい作品
一方的に悪者になってもいけないし
その主張や人格が正しくぶつからなければ意味がない
個人的にはちょっとエリが強すぎかなとも思ったけど
役者陣のバランスが良いので全体的な重心は上手くとれていたなと
キャスティングであんつくんが見つかって本当に良かったなって思う。彼じゃなきゃなかなかあの役はハマらない
座組によって全然印象が変わるだろう面白い脚本で
カロリーさんの脚本の中でもかなり好き
ミクドク「名前の無い名前を呼ぶ冒険」
自分はたすいちの初演を見ているのだけれど
コメディさが薄くストーリーチックにミクドク味になっていて
テーマ性がだいぶ表に出てた
幾世さんと伊藤さんで桃子さん小太刀さんは別味に上書けるけど
肉丸さんはどうしようもないのが肝だよなぁと
feblabo「ルージュド・ガールと落下傘」
こちらも初演を見てたけど居酒屋公演だったので
ちゃんと舞台の面での上演だと深く読み解くことができた
凹凸というのは補い合えるのかもしれないけれど
決して同じ姿にはなれない
個を出すということは違う方向を向かなければいけない場合もある
ずっとある先輩の姿というのは、僕の視点であって虚像であるから
現実感を求めると生理的におかしな部分を感じさせていて
その扱いとラストの現実感との対比の出し方が肝だなと感じた
僕(武島さん)と先輩(猫多さん)の衝突場面はとても良かった
オヤジギャル
順風男女
しもきた空間リバティ(東京都)
2019/04/17 (水) ~ 2019/04/21 (日)公演終了
満足度★★★★★
大人しめに始まって中盤盛り上がってというコントの構成も良くて
伊藤美穂さんの女医のキャラがめちゃめちゃツボだった
原田さんの平成感をよく活かしてて、昭和~平成を笑いながら駆け抜ける作品
ちなみに菅野さんのロリータ姿が僕の心に直撃だった
息つぎがうまくできない。
劇団鋼鉄村松
テアトルBONBON(東京都)
2019/04/10 (水) ~ 2019/04/14 (日)公演終了
満足度★★★★
コメディであり真っ直ぐなラブストーリ
タツオの容姿や性格、境遇や行動などはコメディとなり笑いにされるし笑えるものだけどタツオに石は投げられない
タツオの抱く思いを一辺たりとも持ったことのない人だけ石を投げなさい
タツオの裏返しの告白は良い場面
ピール・スロウリー(アンド・シー)
サムゴーギャットモンテイプ
スタジオ空洞(東京都)
2019/04/10 (水) ~ 2019/04/14 (日)公演終了
満足度★★★★
喜怒哀楽のどこかに体重が乗っている感じじゃなくて
これは良い演劇を観たなと思わされる全身で感じる作品
常に何かが起きていて呼吸をしていて高鳴ってぐらつかされる不安定さが心地よい芝居
黒澤さんが凄い良かった。紗綾さんとのテトリスが最高笑
『妥協点P』『みんなのへや・改』
しむじゃっく
東中野バニラスタジオ(Vanilla Studio)(東京都)
2019/04/09 (火) ~ 2019/04/21 (日)公演終了
満足度★★★★★
みんなのへや・改
60分にシチュエーションコメディの技法
勘違い・すれ違い・シンクロ・ドタバタをギュッと詰め込んで異常進化した脚本はやはり凄いし面白い
ただ、期間の近い別座組での再演なのでどうしても比べながら見てしまう
妥協点P
これは良くできた戯曲だなと
構造と展開の面白さが抜群で役者さんの演り方によってだいぶ色が変わってきそう
「妥協」という言葉は良くない意味で使われがちだけど
この作品では本来の意味の「妥協」が示されていて
それでいてあくまで演劇としての面白さを答えにしてた
杏奈さんは「草苅事件」を経て貫禄がついたというかもう圧巻。何も言うことがないレベル
あとチカナガチサトさん、みんな一度この人を見るためにこの作品観に来ておいたほうが良いよマジで
本当に良い悪い顔(?)をするし、台詞がない時の存在感が半端ない
現実とフィクションというのがあって
演劇はそのどちらかに端が着いているのではなく
傾き方や混ざり具合によって様々な作品が出来上がっている気がして
この作品では宮武がフィクションを山縣先生が現実を表す存在となり
2人がぶつかりあい混ざり合うことで3人の先生も取り込まれた演劇が
行われる。そして5人で作るフィクションと現実の客席がぶつかって
また作品を生み出す入れ子の構造になる
現実の僕らが少しフィクションに歩み寄れば演劇が生まれる
僕らが現実にいる限り演劇はどこにでも現れる
夢のある話のようだけど、僕ら観客は演劇を見るために現実を生きなければいけない
1つの部屋のいくつかの生活
オフィス上の空
吉祥寺シアター(東京都)
2019/04/06 (土) ~ 2019/04/14 (日)公演終了
満足度★★★★★
シンクロ少女「メグThe Monster」
シンクロのお得意パターンを上手く60分にまとめあげていた
それにしても加藤さんめちゃめちゃ受けてたなぁ
役者さんのそれぞれのいつもの役割はやっぱり鉄板
ただいるだけじゃ在るだけじゃ壊れていくものもある
mizhen「小町花伝」
女の一生は、演じて歌って笑って思い出して
うつりにけりな いたづらに
そうして老いて振り返る
世の中は人が言うほど良いものでも悪いものでもない。と
アガリスク「エクストリームkcal」
久々に頭のおかしいアガリスクを見た気がする
「君となら」を知ってる人、アガリスク作品を知ってる人、どちらも知らない人、それぞれの見え方があるだろう作品
両方知ってる身としては前半の小道具一つ、台詞一つから笑ったうえに後半のらしさにまた笑った
前半はベタなシチュエーションコメディなだけに役者のコメディ力というか力がもろに問われる作品
それにしてもシチュエーションコメディの教科書的要素を全部詰め込んだうえでそれらをエクストリームするバカバカしさは他の誰にもできない白眉な芸当
Straw&Berry「サイケデリック」
いやこれめっちゃ好き!
若く青いやりとりにニヤニヤドキドキジリジリして
それがいつしか自分の中に居ついて
それを持ったまま後半の展開になって
舞台上の彼らと自分が一緒に思いキュッとなる
時間は誰にでも特別な物語を作る
鵺的「修羅」
役者さんそれぞれの凄み強み怖さを感じる作品
特に小西さん、ハマカワさん、川添さんの役が好きだった
わかりやすくそれぞれの役を見せてるのにどこか冷めた目線で世界と人が描かれていて
極端に見える言葉も当たりの良い言葉も実は言ってることは一緒なのが恐ろしい
かわいいコンビニ店員飯田さん「我がために夜は明けぬ」
本当に好き放題やってくれたな!って感じw
でもこれこそが6団体が同じ舞台を使ってやる公演の意義でもあるなと
それに役者も作ってる方もやってて一番楽しそうな作品だった
それにしても鵺的とセットってのが味わい深い
薄い書を捨てよ、町へでよう
男肉 du Soleil
駅前劇場(東京都)
2019/04/05 (金) ~ 2019/04/07 (日)公演終了
ぼくらは生れ変わった木の葉のように / 稽古
中野坂上デーモンズ
新宿ゴールデン街劇場(東京都)
2019/04/05 (金) ~ 2019/04/07 (日)公演終了
満足度★★★★★
廃墟云々の前口上を久々に聞けて嬉しかった
「稽古」は初めてデーモンズを見た時の様な精錬されてない剥き出し感もあり
原点をきちっと踏み込みながら目指す方向に高らかに飛び出した作品
手動でサンプリングを再生し続ける壊れたEDMのような掛け合いに爆ぜる
「ぼくらは生れ変わった木の葉のように」は
デーモンズ、コンプソンズ、にこにこちゃんのぶつかり合い
それぞれの役者が味を消さずにそのままの世界観で殴り合う
宝保さんの凄まじさを改めて確認
また、きずきさんは今回の役柄での美しさがヤバイ(語彙力)
灰かぶりのエラ
ガラ劇
シアターシャイン(東京都)
2019/03/27 (水) ~ 2019/04/07 (日)公演終了
満足度★★★★
Cチーム観劇
ガラ劇らしく社会的な問題を童話に暗喩したり明喩したり
そういった比喩にダブルミーニングや役の入れ替わりを激しく重ねていく作品
それは答えのない問題に対するゴール無き道標を観た人に強烈に打ち込む
人がErrorを起こしているのか、世界がErrorを起こしているのか
主演の幡美優さんは最近の役柄とはだいぶ変わって
重く大きく迫力のある演技で今まで見たことのない表情がたくさんあった
主演に置いて紛れのないこの人は本当にハンサムで良い役者さんだなと
他の役者さんだと原悠里奈さんの動物っぷりが印象に残った
ハイライト
うさぎストライプ
こまばアゴラ劇場(東京都)
2019/04/03 (水) ~ 2019/04/08 (月)公演終了
満足度★★★★
軽やかな可笑しみの人たち
夢と地続きな時間と場所
うさぎストライプのこの雰囲気に心地よい哀しさを感じる
みんな完璧じゃない完全じゃない
誰かを想って泣くし ちょっと意地悪に笑う
そして歌うしバカもやり生きている人・人・人が
舞台に上がって見栄えている作品
とはいうものの。
なかないで、毒きのこちゃん
駅前劇場(東京都)
2019/04/02 (火) ~ 2019/04/04 (木)公演終了
満足度★★★★
第27班とかシンクロ少女を観に来たっけ俺?というテイスト
毒きのこちゃんにこんなに泣かされるとは、、、
本当に何が出てくるかわからない劇団だよな
善人と馬鹿と理不尽と。
笑わせられて泣かされて心揺すられる僕の好きな演劇だった