1
ホテル・ミラクル6
feblaboプロデュース
この中の「最後の奇蹟」がとにかく今年一番好きな作品だった
世界の終わりの日にラブホテルで過ごす見知らぬ同士の男と女子高生
男はそれを待っているし、女子高生は逃げて諦めて何もかもが嫌いな自分が一番キライ
ホテルの1室なのに外に広がる世界と物語がいくらでも胸の中に浮かび入ってきて
観客の自分も大きな大きな月を見ることができた作品だった
綺麗に夢見る事を許さない物語
2
「アイドルスター☆トール!」「OLと課長さん」
関村と浅野
やっぱアイドルってのは特別なんだよ!神であり人であり自分自身の血肉なんだよ!
渡辺さんのファン姿も佐藤さんのアイドル姿もそれ自体は面白さを含んでるんだけど
どんなアイドルtoファンもその関係性は滑稽で、だからこそ素晴らしいんだよ!
大爆笑しつつ、いつの間にか泣いていた、、、
3
『LOVE』Chapter2
シンクロ少女
歳をとると何かにつけてエネルギーが無くなって
恋愛だって面倒くささが上回って、表面上の優しさしか与えられなくなって
それでも舞台上の2人をヒーローショーを観る子供のように身を乗り出して髪かきむしって見守って
この作品は信じてさせてくれる、人を好きになる事の意味を
自分は舞台上に自分がいると思える作品がとにかく好きなんだけど
この歳でこのタイミングでこの芝居を観られたことをみんなに自慢したいし、
性別とか年齢とか楽しめるレンジは広い作品ではあるけど、自分こそが一番この作品にクリティカルヒットされたんだって言い張りたくなる作品だった
4
ナイゲン(2018年版)
feblaboプロデュース
会議を通してほんのちょっとだけ成長した登場人物たちのように
出演した若手の役者さんたちが日を追うごとに成長していく姿を見ていて
千秋楽でガンガン笑いを取っていく姿は頼もしくもあり、夏が終わっていく寂しさもあった
チームプレイが強く、各キャラの操縦も上手い座組で本当に面白い作品だった
5
キャンプ荼毘
ひとりぼっちのみんな
75分間にギッシリと無駄を詰め込みまくった作品
やらいでよいこと無駄な事をやってしまうのが人生で
それと同時にやらんといかんことをやれないのも人生
対極に有るようでいて、多分本質は同じこの2つが舞台上に良いバランスで撒き散らかされていた
舞台装置はほぼ無くて、客席との距離も凄い近い狭い劇場
表情の作品と言っても良いほど役者さんの表情が印象に残る作品で
そこで起こし得る最高のエンタメがそこにあった
6
消える
中野坂上デーモンズ
泣くような作品じゃないのに途中ぼろぼろと泣いてしまった
たぶんそこに演劇が無かったから、そして僕のいないところに演劇があったから
2年前に初めてこの劇団を見た時僕は「精錬されていない剥き出しの不条理」という感想を抱いた
時がたって今、彼らは精錬しないさまを表現として人に衝動を起こさせるまでに高めてしまった
完全に僕は打ちのめされた、こんなにも僕の心を叩きのめす演劇は他にない
演劇は自分を表してる気がしたり、人生がわかった気になれたりするもので、それはすがりついている藁の様なもので
この作品は舞台にあげられた自分がその演劇に実は何もないことを見せられて、なのにそれでも好きだと思ってしまって
そんな自分への笑い泣きだったのかもと
7
あゆみ
feblaboプロデュース
「視線」と「景色」が役者の表現によって観客のものになっていって
舞台上の主人公に感情移入し、いつしかそれが自分になっていく
言葉や動きに意味をもたせることを演技というのなら
舞台上には素晴らしい演技があった
一緒に笑えるから一緒に泣ける、そういったことを体現した作品だった
役者さんが全力で振り切って演じて、一人の人間を紡ぎ出して
その姿を見て笑って泣いて、優しい雰囲気が会場に満ちてて
幸せを感じられる舞台だった
本当に好きで、ずっと客席にいたいと思った
8
空想科学II
うさぎストライプ
他にはない独特な空気、それがとても穏やかで心地よくて、観ているこちらもいつの間にか夢の中に組み込まれていたようだった
序盤の坂本慎太郎の「幽霊の気分で」に合わせて社交ダンスしている幸せな光景が
楽しそうであればあるほど、それが全てであってたまらなく泣いてしまうし
椎名林檎の「愛妻家の朝食」が流れる中で歳をとっていく場面もたまらなく好きだった
9
卒業式、実行
Aga-risk Entertainment
ジャンルとしては完璧に「ショー・マスト・ゴー・オン」モノであり、王道のシチュエーションコメディなのだが
今や出がらしにもなりかけているこのジャンルを見事にリユースしてリバースしている作品
登場人物のキャラクターがくっきりはっきりとしているので、それぞれがぶつかることがしっかりコメディとして機能している
特に中心人物である榎並さんと生徒会長役の熊谷さんの二人が素晴らしく
榎並さんは状況に翻弄されつつもきちんと主体のある主人公としての存在感が抜群。(物語の印象というのは主役にかかる部分が大きいと思うが、印象を残す主役感)
熊谷さんは完全に振り切ったキャラクターとなっていることでそこに関わる全てが面白くなる存在を熱演。しかもそれだけじゃなく終盤にかけてはしっかりとした物語を持つキャラクターともなっている
その他の登場人物もそれぞれに鉄板のネタを持っており(淺越さんや中田さん前田友里子さんなどは振ったら全部ホームランのような面白さ)、これだけの登場人物をしっかり使い切っていること自体の凄さ!
これだけ完成度が高くて笑えて面白いコメディは他ではなかなか観られない
10
おひなさま、下から見るか横から見るかYouTubeで見るか
愛伝一家
漫才のようなワードとテンポ、フリースタイルのようなリズムと掛け合いでみせる物語のストリーム
ネットジャンキー御用達の知識とネタが散りばめられ、鮮度は無いけど役者のキャラで面白く見せるエクストリームコメディ
構成もよく練られていて、役者のキャラ芝居に落ち込まないバランスが良かった
手法に好き嫌いはあるかもしれないけど、思考を麻痺させるパワーとスピードを持った作品
とにかく藤代さんの挙動と言い回しが全部面白くて好きだったし
登場人物同士の掛け合い台詞のフローが心地よく言葉が頭を埋め尽くしていく快感
最後の心情スポットライトの時間も待機中の動きまで面白かった