
1
夏の嘘×2
ここ風
何気ない日常のひとコマを切り取ったようなテンポで物語は進みますが、その中には切なさと人の優しさがたっぷりと詰まっている物語でした。
テーマ的には重くなりがちな部分もありますが、関西弁の軽妙なやり取りや笑いの要素が程よく入り、心地よいバランスで最後まで引き込まれます。
登場人物は多いものの、一人ひとりがしっかりとキャラ立ちしており、キャスト陣の巧みな演技が光りました。さすが20年のキャリアを誇る劇団さんだと感じました。
観劇後に「本当に良い舞台を観たな」と素直に思える作品でした。
タイトルの通り、「嘘」が一つのキーワードになっていますが、それはとても優しい「嘘」で、涙腺が緩みました。

2
メモリーがいっぱい
ラゾーナ川崎プラザソル
観劇前は少し違和感のある設定かと思っていましたが、実際に観てみると笑いあり涙ありの素晴らしい舞台でした。笑いのシーンでは言葉選びも楽しく、役者さんの熱演もあり、気づけば違和感なく、物語に引き込まれていました。観劇後は、優しく温かい気持ちになれるタイトル通りの舞台でした。

3
籠鳥ーCAGOTORIー
ショーGEKI
ショーGEKIさんらしい、エンタメ感たっぷりの舞台でした。生バンドによる歌とダンスは迫力満点で、コメディ要素にハートフルさも加わり、とても贅沢な2時間でした。
楽曲もどれも耳に残り、歌詞に共感できる場面が多く、キャストの歌唱力にも驚かされました。キャスト陣の熱演が光る中、やはり廣田さんとひらはらさんの存在感は際立っていました。
久しぶりのショーGEKI作品でしたが、存分に楽しませていただきました。

4
TEXAS KILLERS FOURTEEN
大統領師匠
15周年記念の舞台。初めて観る劇団さんでしたが、もっと前から観ていたらと、悔やまれるほど面白かったです。基本はコメディなのですが、笑いの中に人間性やメッセージ性が織り込まれていて、ただ楽しいだけでは終わらない骨太な脚本に惹き込まれました。
キャストの皆さんも個性豊かで、それぞれのキャラクターを魅力的に演じていて、場面ごとに印象が残ります。テンポの良さもあり、あっという間の時間でした。
また別の舞台もぜひ観てみたいと思わせてくれる作品でした。

5
再生ミセスフィクションズ3
Mrs.fictions
5本の短編集。いずれもコメディではあるが、なぜか切なく観劇後に心に残る作品群。
役者さんの熱演もあり、どの作品も見応えがあります。
以下公演中なのでネタバレで。
私があなたを好きなのは、生きてることが理由じゃないし:指をならした後の余韻がたまらなく切ない。今回の中で一番胸に残った作品。
Yankee Go Home(ヤンキー母星に帰る):キャラが全員クセ強で、純粋に楽しめるコメディ。関係性の掛け合いが面白い。
ミセスフィクションズの祭りの準備:今の時代的にはアウトな作品に映るが、短編なのに展開の濃さと切なさが同居している。
ミセスフィクションズのメリークリスマス(仮):個人的には今回の中で一番好きな作品。3人の掛け合いが楽しくもっと観ていたい。
ハネムーン(仮):衝撃作(笑) 岡野さんだから成立する作品だと思う。巨大ロボの 腕 は見たかった。

6
「軽い重箱」
殿様ランチ
初観劇の劇団さんでしたが、今まで観たことが無いのが悔やまれる面白さでした。大爆笑というよりは、シュールでじわじわくるタイプの笑いが心地よいです。独特の言葉選びと絶妙な “間” がクセになります。今回は短編集でしたが、次は長編もぜひ観てみたくなりました。
特に最初の短編の「おんがえし」は秀逸ですね!この短編だけでも、観た甲斐がありました。各短編が少しづつ繋がっているのも面白かったです。

7
フルモデルチェンジ
劇団フルタ丸
フルタ丸講談は今回で2回目の観劇でしたが、やっぱり面白かったです。
3人のキャストが役柄とは別にテンポよく講談師役を交代しながら物語を紡いでいくスタイルは、もはや完成された安心感がありますね。
講談師による状況説明や心情描写も分かりやすく、気づけば物語にぐっと引き込まれていました。
それぞれの役に、見せ場があり、共感できるポイントも随所にありました。
そしてラストはひねりの効いた締め方で、観終わったあとも心に余韻が残る満足度の高い舞台でした。
次回公演?マイナーチェンジも楽しみです(笑)

8
劇場版 ツインルームス
丸福ボンバーズ
ライブ演奏とお芝居が心地よく溶け合う、独特のスタイルの舞台でした。生演奏と生歌の迫力に、やわらかく心に寄り添う物語が重なり、とても素敵な舞台でした。
以下、公演中なのでネタバレで。
ホテルの部屋を舞台に、3つのエピソードが少しずつ切り替わりながら進んでいく構成。
「少し見ては別のエピソードへ」→「一巡して最初の続きへ」というリレー形式で、断片がつながっていく過程が楽しく、伏線がきれいに回収されていきます。さらに、全体を通してのエピソードもそっと隠されていました。(分かりやすかったですが(笑))
そしてどのエピソードにも“誰かを思う優しさ”が溢れており、観終わるころには優しく温かい余韻に包まれる作品でした。

9
ボンゴレロッソ 2025
A.R.P
女子高の同窓会を舞台にした、女性キャスト15人による公演。登場人物が多いものの、自己紹介シーンがあり、それぞれのキャラクターがしっかり立っているので混乱することなく楽しめました。
展開はある程度予想しやすい部分もありつつ、伏線の張り方や回収が巧みで、最後まで飽きさせません。
何より、言葉選びが楽しく、テンポよく進むストーリーが心地よかったです。
コメディ色が強く笑いどころ満載ですが、意外と(?)感動的な場面もあり、バランスの良さが光る舞台でした。
さらに、ダンスに歌、演奏シーンも盛り込まれ、エンタメ性たっぷりの華やかな公演でした。

10
草創記「金鶏 一番花」
あやめ十八番
【満月】観劇。あやめ十八番さんを観劇するのは初めてでしたが、開始早々に引き込まれ、最後まで一気に魅せられました。脚本、演出、役者さんの熱量、そして舞台美術のすべてが噛み合い、2時間45分(途中休憩10分)という長さを全く感じさせない濃密な時間。
「テレビジョンの夢」と「歌舞伎」、そして「戦争」という大きな時代背景が巧みに絡み合い、いくつもの伏線回収に驚かされました。
終演後、キャストさんを調べながら、前作「音楽劇 金鶏 二番花」を観られなかったのが悔やまれます。
初観劇でここまで心を揺さぶられるとは、まさに嬉しい誤算でした。
次回作にもぜひ足を運びたい、と思わせてくれる舞台でした。