とうやの観てきた!クチコミ一覧

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関数ドミノ

関数ドミノ

ワタナベエンターテインメント

兵庫県立芸術文化センター 中ホール(兵庫県)

2017/11/10 (金) ~ 2017/11/12 (日)公演終了

満足度★★★★★

Dステ『関数ドミノ』
あっという間の二時間。境界のない美術とそれにあたる光も美しく。それがあたかも「ある」説得力があるお話、というのがイキウメの印象なのだけど、今回の面子でもそれを感じられたのもとても嬉しかった。無意識、願望、顛末、そこに何があると信じるか。面白かった。

散歩する侵略者

散歩する侵略者

イキウメ

ABCホール (大阪府)

2017/11/23 (木) ~ 2017/11/26 (日)公演終了

満足度★★★★★

イキウメ『散歩する侵略者』
侵略、それはどれも、足音もなく、すりよるように、なじむように。
わたしの目の前にあるもの、ふれるもの、奪われかけているかもしれないもの、を改めて考える。やっぱり会話のテンポと言葉のチョイスがも心地良い。画がきれいでとても好き。

友達

友達

sunday

AI・HALL(兵庫県)

2014/07/11 (金) ~ 2014/07/14 (月)公演終了

満足度★★★★★

うつくしくて、こわい。
一日目は全く予習なしで。二日目は戯曲本を読んで改めて。

初見も度肝を抜かれたけれど、改めて観てもあの表現が色がどの行間から湧きこぼれ落ちたのか不思議でした。
光と影と色彩と、生音、吐息、セリフのテンポ。それらと役者さんのパフォーマンスが組み合わさって美しく、美しいがゆえに恐ろしかったです。

別所にも書きましたが、はじめは男とともにあの家族たちに気味悪さを感じていたはずなのに、あの柔らかな囲い込みに呑まれて、そこまで拒絶しなくてもいいじゃないか、と意識・立場が入れ替えられている、と気づいた時が一番ぞっとしました。
おそらく「檻の準備を」のところだったように思います。


内容について少しメモを失礼します。
題名の『友達』。『家族』じゃないんだな、と思ったけれど、そういえば、家族になろうよ、の体ではなかったなと。
隣人。共同体。友人。
『友達』は他人だけれど、完全な他人じゃない。でも他人。強くて希薄な言葉。
携帯電話もスマートフォンもパソコンもないダイヤル電話の時代がそのままそこにあったけれど、ある今でもこういう関係性の怖さみたいなのは、一緒なように思います。

「おまえ、またやってしまったのか!」
またきっとどこかで繰り返している。今度は自分の後ろにあの家族が立ってはいないか?
部屋にあのポスター大のチラシを貼っていますが、奇妙さが観了後より増してすこし怖いのでした。


アフタートークも大変聴きごたえがあって、総合でとても満足した観劇体験でした。

心踏音 -Shintouon-

心踏音 -Shintouon-

壱劇屋

HEP HALL(大阪府)

2017/10/27 (金) ~ 2017/10/30 (月)公演終了

満足度★★★★★

壱劇屋『五彩の神楽「心踏音」』
殺陣の面白さは相変わらず、そのカッコよさが今月も違う。足音がときに楽しげに、悲しげに、二人が分かり合うように、気持ちがこちらにも流れてくるようで。明から暗への急降下に抱く「何故」が、リフレインするたびに解かれていくのが気持ちいい。が、哀しい…
吉田さんの殺陣や体の動き、スイッチ…跳ねて伸びて戻ってがそれぞれピタッとキマる…のがカッケーなー!と思うのだけど、それに流動的な奇っ怪さが合わさってすごい。
坂口さんは俊敏&重い。こわい…(よい) 坂口さんは持ち前のボディランゲージでもわかしてくれたな…周辺みな笑ってた。あと私だけかもしらんが、タップって音が聞こえてくるのと目で見えてる「地面と触れているはずのタイミング」がずれて感じるので、魔法みたいで面白いなー、と、あらためて。
個人的に、心踏音の繰り返しぶりは、赤坂Equalがお好きな方にも刺さるのではないかな〜など、思う…繰り返しの意味とかは違うけど、見せ方というか……個人的にね。

賊義賊 -Zokugizoku-

賊義賊 -Zokugizoku-

壱劇屋

HEP HALL(大阪府)

2017/09/22 (金) ~ 2017/09/25 (月)公演終了

満足度★★★★★

壱劇屋『五彩の神楽「賊義賊」』
軽快で楽しい!華やかなブロークン時代劇感!表情も豊かで笑っちゃうし、戦いはワクワクドキドキ、かっこいい!始めは義賊の動機とか、ちょいちょい出る黒いのは誰やとか、世界観やキャラを探り探りなとこもあったけど、あっというまに解かれて、じわりと沁みた。
ご主人と師匠の着物が反転ニコイチで激アツ。憫笑姫でもそやったんですが、いないはずのだれか、を感じるシーン、想いが継がれてるとか、そういう感じ、好きです。

戰御史 -Ikusaonsi-

戰御史 -Ikusaonsi-

壱劇屋

HEP HALL(大阪府)

2017/11/24 (金) ~ 2017/11/27 (月)公演終了

満足度★★★★★

壱劇屋『五彩の神楽「戰御史」』
カッコよさの濁流、アガるし妄想も捗る…大熊さんの不気味マイムと赤星さんの狂気の殺陣のタッグ…そこにゲスト勢の多様さもノッてアガらない理由がない。殺陣はもちろん、謎と鳥肌を召喚するお話、演出、お芝居が私を突く。混乱に継ぐ混乱だが…最後もはや爽快。
アクションモブの方達が入れ代わり立ち代わり戦い、無になり、戦い…というシーンもめちゃくちゃかっこ良くて、改めて五彩の神楽3ヶ月分、そして前2作の積み重ねを感じる。稽古場動画で見てたけど、やっぱり衣装で照明入って音楽に合わせて動かれるこのナマの圧倒感はいい、楽しい!殺陣もいいけど、目線が、意志が交わされる芝居もいいんじゃ…ゾッとするんじゃ…その静があるからの殺陣乱舞が圧倒的なんじゃ……

MANGA Performance W3(ワンダースリー)

MANGA Performance W3(ワンダースリー)

Amazing Performance W3(ワンダースリー)実行委員会

DDD AOYAMA CROSS THEATER(東京都)

2017/11/03 (金) ~ 2017/12/22 (金)公演終了

満足度★★★★★

W3(ワンダースリー)、観了!
夏にも見たけど、新鮮な気持ちでワクワク出来た!変わってるところもあるし、相変わらず役者さんは流れるように美しく滑らかに動くし、それと舞台の仕組みと影と光で魔法みたいな驚きを味わえるし。楽しい。想像力と遊ぶ。

サヨウナラバ

サヨウナラバ

玉造小劇店

山本能楽堂(大阪府)

2022/02/22 (火) ~ 2022/02/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

芝居バージョン:とにかく芝居が丁寧でうまい。あっという間の2時間。時間経過、人物の関係性や背景の描き方がスムーズで、現代の話ではないのにすっと頭に入ってくる。偶然や縁の面白さに笑ったり、したたかさや図太さ、粋さにグッとくる。能楽堂のつくりを生かした演出もよかった。お話の内容も、その表現も「豊か」で、エネルギーをもらった。
狂言バージョン:狂言、と言えば伝統芸能で、こんな事前知識ないままに観に行っても分かるかな、という思いは杞憂に終わった。もちろん演目ややり方によって違うんだろうけども、こんなのアリなんだ!?という演出に大いに笑い楽しんだ。定型ならではの美しさで目も楽しめた。
芝居・狂言バージョン両方を観たが故の面白さもあり、両方を観ることが出来て良かったと思う。

リーディングRAMO

リーディングRAMO

ライトアイ

HEP HALL(大阪府)

2014/07/23 (水) ~ 2014/07/23 (水)公演終了

満足度★★★★★

内容も、リーディングとしてもおもしろい
初・中島らもさん作品。
気にはなっていたものの、触れる機会がなかったのでこの機会に。

3作品とエッセイ含めたショートを読んでいただいたが、まず内容の幅広さに感心。
それを読んでいただく…いや演じていただくというのだから大変贅沢。ときどき目を閉じて聴いたりもした。
登場人物や情景が難なく頭の中に展開され、また、皆様の声が大変聴き心地がよく、耳も頭も幸せで満たされた。

今回聴いて、言葉流れなど好みだなあと思ったので、今度らもさん小説をいくつか読んでみたいと思った。

ハミンンンンンング

ハミンンンンンング

劇団子供鉅人

CCO クリエイティブセンター大阪(大阪府)

2018/05/26 (土) ~ 2018/05/27 (日)公演終了

満足度★★★★★

自分とは方向も違う人生の風景なのだけど、ふと触れる言葉にすごく共感する。蛍光灯の冷たい白い光が低い天井の空間と顔を照らして美しい。明暗によるメリハリのある場面の切替りと、緩やかな時間推移。演奏と歌声と混じる外の音にもうっとり。とても気持ちよくて面白かった。

音楽劇『堀川、波のつづみ』

音楽劇『堀川、波のつづみ』

エイチエムピー・シアターカンパニー(一般社団法人HMP)

in→dependent theatre 2nd(大阪府)

2022/03/12 (土) ~ 2022/03/13 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

文学(古典)とアート(音や実演体表現)のかけ合わせがとてもうまく、心地よく、生音・生唄も相まって大変上質な空間だった。
あれだけシンプルで抽象的にも思える美術の中で、家や街並み、波や空を見つめる景色をこちら側に見せてくれる芝居と演出も巧み。
この作品は高安さんの演出だったと思うが、エイチエムピーの、立体でありながら二次元的にも見える美術や演出が美しくて好きなので、それもよく堪能できたと思う。

二ツ巴-Futatsudomoe-<舞台写真公開中!>

二ツ巴-Futatsudomoe-<舞台写真公開中!>

壱劇屋

ABCホール (大阪府)

2018/04/06 (金) ~ 2018/04/08 (日)公演終了

満足度★★★★★

2ヶ月が経とうとしていますが、いまさらながら口コミを書きます。
2ヶ月経って、壱劇屋さんの作品がまた目前に迫ってきても、未だ思い出しては震えるので書きます。
表情やしぐさ、それが見えないこと、剣の振るい方、振るわないこと…一挙一動が物語を伝えるために丁寧に紡がれるワードレス殺陣芝居。もちろん、セリフがないぶんセリフがあるものに比べて受け手による部分も多く、そこは限界も一定あると思うのですが、それでも、それを補ってあまりある熱量、仕掛け、挑戦、etc...何をとっても素晴らしかったです。

まがりなりにも観劇が好きなので、「自分の好きな視点を見つけられる」「目の前の熱を肌で感じられる」「演劇にしかない立体感、生」という演劇自体の特性や良い所は知っているつもりでしたが、それでも、水や群衆など、生ゆえの、その時にしかない風、光の反射、布やビニールの捉えきれないなびき、髪の乱れまでもが、自然で、生きていて、しかし「表現」をするための技法でもあるのだと改めてこの公演で感じました。もちろん映像ならどれだけでもド迫力に綺麗に表現できると思います。しかし、劇場という場で観る演劇でこそ得られる「瞬間の尊さ」を感じられました。

また、NMB48というアイドルグループメンバーを主演に置きつつ、そのメンバーお二人の元ある魅力+「できるもう一歩、二歩先」の殺陣・お芝居を見せてくださることで、その一生懸命さ・挑戦する姿がお芝居にも溢れてきてお二人をより魅力的に見せてくださったように思います。
アクションモブについても、五彩の神楽から引き続きのいわゆるアクションや効果動作のプロのさらなる進化と、二ツ巴から参戦メンバーもそのレベルに到達している完成度、人の成長の仕組みがあるんだなあ、と土台の強さを感じました。

五彩の神楽の時のようなPVが流れることはありませんでしたが、そのぶん竹村さんが少し笑いも交えながら世界観や人物の紹介をしてくださることで、twitterやパンフの事前情報がなくても入り込みやすい心配りがあったり、その解説が終わったあとに響く水音が良い緊張感を劇場にもたらしてくれたり、終演後も衣装のままキャストさんが出てきてくださっていたり、世界観をきちんと構築しながらも身近にお芝居をつくるひとを感じられる取り組みも素晴らしかったです。

正直、五ヶ月連続のお祭りだった五彩の神楽で大分出しきっているのでは…など思うところもあったのですが、全くの杞憂でした。五彩の神楽はもちろん、猩獣や独鬼で積み上げられてきたものも感じ取ることができましたし、混ざったからとて濁ることなく、新しく発色する二ツ巴の色として馴染んでいました。見くびっていた己を心の中で叱咤しました。

悔しくも6回公演、映像化無しとのことで見られる人が限られているのがもったいないなと思っています。劇場に来れない人のために映像化も要望し続けたいなあと思いますし、もちろん体験して欲しいので再演も要望したいです。
シリーズとしての楽しさとはまた違った、一本にぎゅっと詰まった魅力は勧めやすさもあるので、何らかの形で再び二ツ巴に出会える機会があればと強く願う、そんな作品です。

二ツ巴 -FUTATSUDOMOE-

二ツ巴 -FUTATSUDOMOE-

壱劇屋

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2021/12/22 (水) ~ 2021/12/26 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

初演よりさらにわかりやすく、ソリッドに仕上げられていて、回重ねの力を感じました。
壱劇屋さんの再演は、再演だからとて同じ事をレベルアップさせて行うだけではなく、その時のキャスト・その時の座組の得意分野・実施する劇場の広さや特性に合わせての変更が本当に効いていて、再演でも意気揚々と劇場に足を運んでしまいます。今回も期待通りの再演で、続投組の殺陣や芝居の厚み盛り、新規キャストの新たな彩りに心躍りました。
舞台美術も、初演の時のあの幅広の感じがどうなるんだろう、と思ったら、なかなかダイナミックなそぎ落としで、でもそのそぎ落としにより生まれた空間でなめらかな視線誘導が生まれていて大変面白かったです。照明と水演出との掛け合わせであの場は本当に「川」でした。
二ツ巴はアクションモブのはたらきが特に好きなのですが、今回も魅せていただきました。
モブとして民衆を演じながら、瞬時に水演出、所狭しと駆け回る矢、あらゆる現象に切り替わる、世界の骨子、アクションモブ…最高の仕事です。
その仕事を見たくて思わずアクションモブを追ってしまうのですが、あまりに「それ」すぎて、のめり込むと見えなくなるんです。いるのに。演劇の魔法を浴びている!と感じる瞬間。たまりません。

栗田さんや日南田さんの圧巻の殺陣をあのサイズ感の中で浴びられたことはもう当然のごとく贅沢なことでぜひまた見せてください…!と思ったのですが、個人的に、今回新しく主演をされていた須藤さんの立ち姿、殺陣がすごくかっこよく、目をひかれてしまい、新たな収穫でした。また壱劇屋殺陣芝居で見たみたい役者さんです。

コマツ大博覧会

コマツ大博覧会

コマツマツリ

ACT cafe(大阪府)

2018/12/29 (土) ~ 2018/12/30 (日)公演終了

満足度★★★★★

サイッッコーです……!!コント師としても役者としても作演出家としても最高面白い。単品でも楽しくて、でもつながりが体を走り抜けてって気持ちいい…!幅広い上に面白い本、うまい芝居、客いじりとそれを本につなげる力…とにかくプロの仕事…それをあんな身近で見られるのは本当に嬉しい。
小松さん、今年もかっこよかったです。元気をありがとうございました…!拠点はこちらではなく、テレビやたくさんの場所で大活躍の小松さんですが、関西で、できればあの空間でまた会えれば嬉しいです!!

クロッシング・クリスマス・クリアランス(完全版)

クロッシング・クリスマス・クリアランス(完全版)

バンタムクラスステージ

新宿村LIVE(東京都)

2018/12/21 (金) ~ 2018/12/25 (火)公演終了

満足度★★★★★

面白かった!張り詰めるハードボイルドの世界と甘酸っぱく寂しく暖かい世界が表裏一体、クロスする。かっこよさに痺れるし、胸も目も熱い。世界観もテンポもしっかりで、あっという間に惹きこまれた。客席まで冬の街の空気。この物語が好きだという人が多いのも納得。

図書館的人生Vol.4 襲ってくるもの

図書館的人生Vol.4 襲ってくるもの

イキウメ

ABCホール (大阪府)

2018/06/07 (木) ~ 2018/06/10 (日)公演終了

満足度★★★★★

「おそってくるもの」は何やろう。運命、不安、優しさ、死とか、それから逃げるのか、受け止めるのか。呼吸のような明滅、吸い込まれるような浮き出るような美術、そこに立つ姿が自然で繊細で美しい。セクションの、ふとした連結部分が見える瞬間に、ゾワリとする。

風当り、宵の葉擦れ。

風当り、宵の葉擦れ。

ライトアイ

ACT cafe(大阪府)

2014/08/02 (土) ~ 2014/08/03 (日)公演終了

満足度★★★★★

まさに職人。
一本筋通す、古風で生真面目でちょっと不器用なまさに職人がそこにいた。
旦那・女房の衣装もイメージぴったりで、工場…工房の一室を覗き見ている感じだった。

真利亜さん女房のかわいさとセクシーさにドキドキしながら、きゅっと変わる表情に笑ってしまったり。
そんな女房をひっぱろうとしつつ、なかなかうまくかみ合わない職人坂口さん、渋くてかっこいいのになんだかかわいい。


危険なものと敬遠されるようになってしまった扇風機、それでも扇風機にかける想いでもってたった一人携わり続ける職人…
扇風機はきっといろんなものに置き換えられると思う。
会話のテンポや挟み込まれるパロディーやネタに笑えるのだけど、最後のどうしようもない感がちょっと切なくなったりした。


京都や名古屋の女房も雰囲気が違うとのことで、そちらも観てみたかった。

【愛知公演】劇団壱劇屋「独鬼〜hitorioni〜」

【愛知公演】劇団壱劇屋「独鬼〜hitorioni〜」

壱劇屋

名古屋市東文化小劇場(愛知県)

2018/07/28 (土) ~ 2018/07/29 (日)公演終了

満足度★★★★★

初演を観ていて、たのしみではありつつ内容は知っていたので正直「五彩の神楽終えて、二ツ巴も終えて、新しい演出がつくかなあ、殺陣がしっかりするんななあ」くらいの気持ちでもあったけれど、衝撃。
脚本の、シンプルながらうつくしい筋はそのままに、各演出が再演らしい安定感と、再演ゆえの磨き上がり。殺陣もアクションも、もちろんお芝居も、新しい刺激がてんこ盛りの、再演される説得力を感じる再演。一面舞台化で迫力が薄れるのではなど杞憂。濃化と変化が素晴らしい。箱に収まった時の美しさ、正面から迫力を浴びられる画作りで気持ちがいい…季節を、経年を、視覚で…光・色・表情・姿勢etc…様々な視覚で感じた。
ツアー公演すべての地で見て、大阪や東京が未完成だったとは決して思わないけれど(そのハコにあった素晴らしい完成形でした)、音の響きと、やはり細かに行われるブラッシュアップの集大成がバッッチリ決まりまくった名古屋公演に口コミを。

壱劇屋さんの色んな人に知ってもらいたい、学生にもその土地の人にも知ってほしい、という様々な取り組みや、ツイッターだけでなく予約者にむけてのメールでの細やかな案内、開始前だけでなく、終演後の興奮冷めやらぬロビーにお疲れだろうに出てきてくださってにこやかにお見送りしてくださる・かつスムーズさも忘れない場作りにもいつもうなります。そういう点も含めて総合的な満足度がとても高いです。

荒人神 -Arabitokami-【2018年6-7月wordless殺陣芝居シリーズで東名阪ツアー決定!】

荒人神 -Arabitokami-【2018年6-7月wordless殺陣芝居シリーズで東名阪ツアー決定!】

壱劇屋

HEP HALL(大阪府)

2017/12/22 (金) ~ 2017/12/25 (月)公演終了

満足度★★★★★

私はこのシリーズの初めからこの荒人神にいたるまでのお話を拝見できたので、それを見た前提での感想しか述べられないのですが、五彩の神楽、集大成にふさわしい、重厚なお話と祝祭のまばゆさが迫る、とてもすばらしい公演でした。
期待は予想よりはるか高く超えました。今までにない多幸感でした。
ありがとうございましたと仰ってくださいますが、追いかけてきてこんなに良かったと思えることもそうそうありません。5か月追いかけてきたことが誇らしいとすら思います。こちらこそありがとうございます、です。

シリーズ通しての話にはなりますが、セリフがない分、比重が他の所に置かれることで、こちらも集中する部分が絞られ、逆に想像は広がり、アクション・殺陣で爽快感も味わえる…新しい気持ちよさと楽しさを改めて感じました。
また、観ているだけで、劇団員さんだけでなく、ゲストの方やアクションモブの方の名前や顔も覚え、どんどん気になる人が増えました。またアクションモブの方々の成長(というとおこがましいかもしれませんが)も見れたのも楽しかったですし、これは下手な殺陣がみれなくなっちゃうな…などと思ってしまうほどでした。

とにかく公演自体だけでなく制作物販何についても、追いかけているものを思ったお知らせや取り組みをしてくださったのもうれしかったです。今後とも楽しみです。

荒人神 -Arabitokami-

荒人神 -Arabitokami-

壱劇屋

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2022/12/21 (水) ~ 2022/12/27 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

「人」の物語とはまさに。
「人」を「人」で描いていて、「人」のために作られている。
物語的にも演劇的にもそうで、本当に好きな作品。

今までの4作を思い起こさせる形や表現、人物の関係・状況を少しずつ出してきて、そのうえで主人公たちまで呼び寄せてオマケどころかストーリーの芯にしっかり絡ませる集大成としての壮大さはもちろん素晴らしいが、何より、「荒人神」としての、人の醜さややさしさ、その人が作り上げる世界に対する絶望や希望に関する物語が分厚く存在していて、しっかりと描かれている上で、その集大成・お祭り的要素が無駄ではなくそこに絡んでいることが本当に素晴らしいと思う。
憫笑姫・賊義賊・心踏音・戰御史を観てしまっているため、荒人神だけを観た人の本当の感想や感情はわからないが、4作を観ていなくても置いてけぼりになることはないのではないかと思う。
荒人神は、荒・元・白の、悩み、それでも前を向き歩いていく物語である、と言える。

キャスト的サプライズ面については個人的には「ここまでの4作、もしくはそのうちのどれか、作品を愛してくれている客」を信頼してくれていると感じられる。
あの主人公たちが本当に墨絵から飛び出してきたかのような姿で出てきたときは大興奮したし、それぞれのストーリーや殺陣をなぞりながら、荒の絶望や苦悩を一つずつ晴らしていくように剣を交えるところは、こういう時こそ「尊い」という言葉を使いたいなと思う光景で、
特に憫笑姫の主人公、ミラのシーンが一番好きで、再び相まみえることが出来たというようなほほえみが胸に刺さるし、白い衣装も相まって神々しさすら感じられ、それでも胸をドンドンとたたいて鼓舞するミラ姉さまはあの必死に駆けていたミラ姉さまで、いろんな感情が渦巻いていっぱいいっぱいになってしまう。

あと、個人的に元が目指す姿は賊義賊の主人公の姿に似ているなと思っているので、血しぶき演出が荒人神で再び出てきたことにぞくっとした。
荒人神も、「やむを得ず」命を絶つ、ことを改めて考える作品だと思うので、賊義賊の感想に書いた通り、効く。
更に今回は色変化もあり、工夫や趣向を凝らすこと(さらにそのクオリティを落さないこと)を止めない団体だな…ということも思う。
今回も美しい飛び・舞い・散り、を堪能。
迷いながら振るわれる剣の切っ先から飛ぶ血ごしに見るその表情、呆然とする元の頭上に降る血、闇が吹き飛ばされていくように散る黒、偶然か体に張り付いたそれが返り血や傷のように見える瞬間…どれも演劇でしか味わえない解釈のあるうつくしさで印象に残っている。

皮肉だが、圧倒的な強さはフィクションとしてはとても格好いいので、黒い”何か”の手を取り、闇に心を染めて世界を蹂躙する荒の姿はとても魅力的で、恐ろしさとともに快感を感じるシーンでもあった。
苦悩していた荒とは違い、表情もころころと変わり、ただただ好きなもの以外はどうでもよい様子は幼子のようにも見えて、少し悲しくもあり。
竹村さんの芝居は豊かだなと思う。4作連続で出ているが、どれも性格、年齢までも違うように感じられ、荒人神ひと作品の中でもこんなにも色とりどりに変化する。
その芝居が殺陣にも乗っていて、武器による変化だけではなく、心情や状況によって、切っ先から感じられるものが全く違う。迷い、殺意、決意、etc…
作・演出としての竹村さんももちろん好きだが、役者:竹村晋太朗、好きだな。と改めて思う。

また、竹村さんと同じく、個人としては違うが5作品に共通して存在する「アクションモブ」の存在について改めて度肝を抜かれている。
「モブ」にふさわしく群衆として世界になじみつつ、時にキーとなる存在となり、瞬時にいわゆる「人間CG」を担い現象としての存在に推移する。
「モブ」とは名ばかりの、この人たちがいないと世界が成り立たない骨子としての存在と技術、劇団員も含まれているとはいえ、ひと月ごと、1回1回の座組であそこまでの完成度の仕事をしているのが本当にすごいと思う。
アクションモブが居なければ、あらゆる魅力的なシーンは成り立たない。
観ているその時その最中はそこに意識を割かれ過ぎないように目立ちすぎず、でも印象を残しつつ、の職人たち。
しっかり名前を憶えてしまった。素晴らしかった。


興行としても、独立連作の集大成としても、単独の一つの公演としても、素晴らしい作品だと思う。

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