満足度★★★★★
うつくしくて、こわい。
一日目は全く予習なしで。二日目は戯曲本を読んで改めて。
初見も度肝を抜かれたけれど、改めて観てもあの表現が色がどの行間から湧きこぼれ落ちたのか不思議でした。
光と影と色彩と、生音、吐息、セリフのテンポ。それらと役者さんのパフォーマンスが組み合わさって美しく、美しいがゆえに恐ろしかったです。
別所にも書きましたが、はじめは男とともにあの家族たちに気味悪さを感じていたはずなのに、あの柔らかな囲い込みに呑まれて、そこまで拒絶しなくてもいいじゃないか、と意識・立場が入れ替えられている、と気づいた時が一番ぞっとしました。
おそらく「檻の準備を」のところだったように思います。
内容について少しメモを失礼します。
題名の『友達』。『家族』じゃないんだな、と思ったけれど、そういえば、家族になろうよ、の体ではなかったなと。
隣人。共同体。友人。
『友達』は他人だけれど、完全な他人じゃない。でも他人。強くて希薄な言葉。
携帯電話もスマートフォンもパソコンもないダイヤル電話の時代がそのままそこにあったけれど、ある今でもこういう関係性の怖さみたいなのは、一緒なように思います。
「おまえ、またやってしまったのか!」
またきっとどこかで繰り返している。今度は自分の後ろにあの家族が立ってはいないか?
部屋にあのポスター大のチラシを貼っていますが、奇妙さが観了後より増してすこし怖いのでした。
アフタートークも大変聴きごたえがあって、総合でとても満足した観劇体験でした。