満足度★★★★★
友達
個人的な感想ですが、とんでもなく好きな作品でした。
社会の奥底に隠蔽されたマイナスをじわじわと感じさせるものでしたが、優しさや繋がりを巧みに利用した内容で、戯曲としての技巧にただただ感心して観劇しました。
何より演出が素晴らしかったです。
安定感のある役者さんたちの演技があってこそでしょうが、舞台美術との親和性が高く、突発で入る狂気的な群衆演技が、良い意味で芝居を不安定にさせていました。
演劇というと、メッセージ性ばかりに気を取られてしまう場合もありますが、この劇団は、芝居をどれだけ「伝えるか」より、芝居をどれだけ「面白く出来るか」という方向で考えているように思えました。
鳥籠や電話でのやり取り等、遊び心満載なのも素敵でした。
一度しか見れなかったのが、非常に残念です。
演出にじっくり目を凝らして、もう一度見たいと思える作品でした。
満足度★★★
世間ってなにかな
戯曲に関してまったく予習なしで観ました。
オープニングから影絵の演出が素敵。白いスクリーン?壁?に映し出される光と影。「sunday」「友達」の影文字も。
様々な大きさの枠がある舞台。点在するそれぞれが部屋のように。夜になればカーテンをかけ、灯りの向こうに各々の影。
カンカン、と枠になにかを当てて叩く効果音以外は、チェロの演奏と歌声のみが音響のすべて。不安を駆り立てるようなチェロの音色に、これ人の声?と思うものもあり、とてもよかった。
突如押し入り居座る「家族」。ここは彼の部屋であり、出て行けというのに、彼らは理不尽な権利をのたまい、いっこうに聞かない。押し入られた彼の方がどんどん染められ、飲み込まれていく。
「ひとりはさみしいでしょう?」それさえ押しつけでしかないのに。彼らは「親切」で部屋に居着く。
立場が強いはずの彼のほうが弱り磨り減っていく。お金の管理のくだりが一番恐ろしかったな。こうやってなにもかも呑まれていくのかと。
弱る彼の口からは、命令がお願いに変わる。「お願いだから出て行ってください。」完全に立場が入れ替わった。
大小交わる枠が中心に集まって彼を閉じ込める。逃げる気力さえ奪っていく。籠の中の、鳥。
鳥籠と指輪の、影絵が素晴らしかったです。
sundayさんの世界を堪能できました。観られてよかったです。
チケットプレゼントありがとうございました。
満足度★★★
わたしは最後まで気持ち悪く観劇(褒め言葉です)
残念ながら戯曲を未読のまま観劇。安部公房とぱっと言われたってイメージわかないわ、という状態…残念ですみません。
開場してすぐに着席。すでに舞台上には役者さんがいらっしゃいます。ほぼ全員揃ってらして、談笑していらっしゃる。お話が始まっても壁際にいらっしゃるようにお見受けしました。
とはいえどこからが「始まる」なのか。オープニングアクト、素晴らしかったです。たくさんある四角い枠、きれいに動いて動いて、背後の大きい白い壁に「影絵」でのタイトル。もしや、と思った鳥かごの演出、最後まで怖かったです。心理的にとらわれたということだったのでしょうか。指輪は大きくなり、用をなさない金属に。すべては光と影の演出。生演奏は聴く者の心を揺らしました。美しい歌声から不気味な歌声まで。お見事です。主人公が弱っていくさまがあまりに真に迫っていて不気味、最後まで気持ち悪く不気味な気分のままで拝見しました。
役者さん皆さんが実力派なのは拝見していればわかります。戯曲はおそらく難しい部類に入るのでしょう。それでも、生き生きとされていました。それがこの気持ちの悪い演劇の救いだったようにさえ思います。
長らくフライヤーとして眺めていたポスター、とても綺麗とおもっていたけれど、観てしまったあとではとても見る気になりません苦笑。いやはやすごかったです。
満足度★★★★
☆★感性が刺激される作品★☆
最初に劇場内に足を踏み入れた時、
舞台の背面の無地の壁を見た時に
何となく今回は壁かなぁ~とニヤリ(^^)
Aiホールの舞台特長である高さを活かした壁への大きな影絵!
群衆の人やモノのシルエットが重なって美しく映し出される♪
時には情緒的に時には感情的に…
今回は主役で振り付けも担当している長谷川寧さん(富士山アネット)の
影響もあるのかなぁと感じつつ観劇♪
私が富士山アネットを初めて見たのも芸術的に美しく影絵を使っていたので⁈
【Wovzeck/W 演劇ver】富士山アネット
http://s.ameblo.jp/hkhk0720/entry-11625159660.html
有名な戯曲らしいのですが何の情報も知識もないままに観劇♪
内容的にはあり得ない出来事でファンタジー的な内容なのか?
それとも恐ろしい話なのか⁈
色々と頭を巡らせながら想像していました
役者さんもベテラン揃い?で
お父さん役の平林之英さん、祖母役の河東けいさん(関西芸術座)、
子供役の森澤国晴さん(スクエア)、赤星マサノリさんなど
皆さん落ち着いた演技で惹きつけられます
そして主役の長谷川さんも雰囲気のある演技と独特の動きで魅せる♪
何とも重々しい余韻を残しながらの終焉
日常ではあり得ない出来事が起こりうる
それを素晴らしい生演奏の音楽をバックに
不思議な世界へと導く演劇ならではの刺激的な作品!
☆印象に残った役者さん
皆さん貫禄の演技だったのですが
普通の主人公役であるはずなのに
ある意味一番異彩を放っていた主役の長谷川さん!
☆印象的なシーン
音楽も影絵も良かったですが舞台のセットを使ったパフォーマンスも良かった♪
満足度★★★★★
うつくしくて、こわい。
一日目は全く予習なしで。二日目は戯曲本を読んで改めて。
初見も度肝を抜かれたけれど、改めて観てもあの表現が色がどの行間から湧きこぼれ落ちたのか不思議でした。
光と影と色彩と、生音、吐息、セリフのテンポ。それらと役者さんのパフォーマンスが組み合わさって美しく、美しいがゆえに恐ろしかったです。
別所にも書きましたが、はじめは男とともにあの家族たちに気味悪さを感じていたはずなのに、あの柔らかな囲い込みに呑まれて、そこまで拒絶しなくてもいいじゃないか、と意識・立場が入れ替えられている、と気づいた時が一番ぞっとしました。
おそらく「檻の準備を」のところだったように思います。
内容について少しメモを失礼します。
題名の『友達』。『家族』じゃないんだな、と思ったけれど、そういえば、家族になろうよ、の体ではなかったなと。
隣人。共同体。友人。
『友達』は他人だけれど、完全な他人じゃない。でも他人。強くて希薄な言葉。
携帯電話もスマートフォンもパソコンもないダイヤル電話の時代がそのままそこにあったけれど、ある今でもこういう関係性の怖さみたいなのは、一緒なように思います。
「おまえ、またやってしまったのか!」
またきっとどこかで繰り返している。今度は自分の後ろにあの家族が立ってはいないか?
部屋にあのポスター大のチラシを貼っていますが、奇妙さが観了後より増してすこし怖いのでした。
アフタートークも大変聴きごたえがあって、総合でとても満足した観劇体験でした。
満足度★★★
sundayさん初観劇。
芝居が始まる前から舞台にキャストの方々。
とっても楽しくて、もっと早く来れば良かったと後悔。
芝居の内容は普通に考えれば怖い事なのに恐怖は感じず。。。
影絵が素晴らしかった。