満ち足りた散歩者
劇団B級遊撃隊
愛知県芸術劇場 小ホール(愛知県)
2016/06/24 (金) ~ 2016/06/26 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2016/06/26 (日)
なんとも言えぬ日常的な空気感の中、繰り広げられるトンチンカンな佃・神谷両氏の会話が絶妙。特に前半の「第一の手段」がものすごいツボですわ。長嶋さんの怒りゲージが上がっていく表情が痛快。予想できても笑わずにはいられない演出の魔力ですね~。
後、ぱんださんへの仕打ちも最高やった。暗転の後の空気は最高でした。
… 全編そんなマイペースで進んで、どう結末させるのかと思いきや、不意に訪れた最後の神がかりな瞬間が粋でした。この展開で最後に神々しさを感じられるとは思わなかった。あの雨は「間抜けのから」での驚きを思い起こさせる大仕掛けでしたね。「お稲荷さんになった男」の極めて身近で庶民的な振る舞いと神々しいエンディングの大きな格差が、単なるコメディに終わらない不思議な後味を残してくれました。
眠レ、巴里 三ツ星心中姉妹
舞台研究ユニット「マイルラン」
津あけぼの座(三重県)
2016/06/18 (土) ~ 2016/06/19 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2016/06/19 (日)
津あけぼの座「育てる劇場」施策。途中の試演も観せてダメ出しを貰うことも含め、三重若手の演出・役者に作品作りを課す企画。本作の特徴である「セリフから説明される状況と空気感(現実)との乖離」が演出・役者ともに上手く表現されていた。初見の私も、その乖離で程よく迷いながら作品を楽しむことができました。川田さんと小関さんの喧嘩ですら活き活きと楽しげなセリフの応酬の合間から、ジワジワ滲み出て明らかになっていく「事態の異常性」へのギャップが堪りません。
門脇演出の技として、複雑な人間関係を食卓の調味料瓶を人に見立てて話を進めるシーンが好みで、言葉での説明を視覚化する効果が顕著でした。最後に締める はしぐちさんの芝居も迫真で、あんなに壮絶な喰いざまを間近に観れて幸せでした。
なお、初日の観客コメントで演出を少し変えたらしく、生き物である舞台演劇の"らしさ"に溢れていますが、一回しか観れずにソコまで体感できないのが残念。でも感想会のトークでその一端を楽しめました。若手3人、すごく周囲に愛されてる感ある。
かぐや姫を口説いてください
つねプロデュース
ナビロフト(愛知県)
2016/06/16 (木) ~ 2016/06/19 (日)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2016/06/18 (土)
お題付きの"劇作家"競作というのは魅力的な企画。一方で、なんか特異キャラで魅せる感の芝居に片寄った結果はちょっと意外でした。まるで飲み会のノリの延長線上で作られたかの様。それはそれで面白いんだけどね。
ネタバレBoxに個別感想を書きました。
ダブルビル
afterimage
愛知県芸術劇場 小ホール(愛知県)
2016/06/10 (金) ~ 2016/06/12 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2016/06/11 (土)
まず前置きすると、モノの解釈を言葉に依存する私はダンスの意図を理解するのが苦手です。物理的な運動の力強さ、速さ、美しさ、ユニゾンの見事さ...に感心するぐらいが関の山なので、意味が理解できない状態で長く続くと飽きちゃうんです。ところがエクストラビターの序盤、人のコミュニケーションからダンスが始まるくだりで、各々のアクションの意味を具体的に噛み砕いて与えてもらった気がして、とっつき易くなりました。Vも中盤以降、コミカルな...ほぼコントとも呼べる内容も入ってきて、なんとも馴染みやすい。それに乗せられて後半も集中力が続いた感があり、ダンス趣味の方には余計なパーツだったかもしれませんが、私には嬉しい構成でした。大人数のダンスには素人でも分かり易い迫力がありますし、迷ったけど観にいって良かった。なお、分からなくなる部分、唐津さんの言で「分かる人はそう読み取るのか」と気付くと、高橋さんが嘆かれる「多くの人が楽しめる娯楽になっていない」とは、ダンスを娯楽たらしめるほどの「観客側の理解の素地」が容易には養えないからかな・・・と思う。
ゴジラ
リブレセン 劇団離風霊船
愛知県芸術劇場 小ホール(愛知県)
2016/06/04 (土) ~ 2016/06/05 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2016/06/05 (日)
ゴジラをいったいどう料理するのか予備知識なしで臨みましたが、展開に唖然。生身の人間でゴジラのスケール感を表現する照明と音響、そして役者達の視線の威力は圧巻。役者の芝居はなんか吉本新喜劇的?で安定して面白かったです。怪獣ネタも現代の話題まで取り込まれていて色々楽しめましたよ。終盤のゴジラの心境の変化だけ、ちょっと読みきれないところがあって展開に唐突さを感じたけど、背景知識がもう少し深くあれば、もっと味わうべきものがあったのかもしれない。
ふたり、目玉焼き、その他のささいな日常
空宙空地
津あけぼの座(三重県)
2016/05/28 (土) ~ 2016/05/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2016/05/29 (日)
関戸哲也・おぐりまさこの向こうを張れる実力派俳優 熊川ふみ・伊吹卓光を招き、二人芝居Wキャストまでラインナップとしたことで、実質"通し"でこそ楽しめて芝居の理解も深まる好企画。空宙空地の強みは芝居だけでなく、この企画力にあるなと実感。
以下、ネタバレBOXに個別の感想を書きます。
義経千本桜—渡海屋・大物浦—
木ノ下歌舞伎
愛知県芸術劇場 小ホール(愛知県)
2016/05/27 (金) ~ 2016/05/30 (月)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2016/05/28 (土)
一つのシーン、セリフを様々な切り口で描き、語り、伝える。ある時は現代の若者の…しかも敢えてチャラい語り口で軽く分かりやすく、ある時は歌舞伎に忠実に即して威厳を漂わせる。多彩な楽しみを与えるだけでなく、多視点でより深い理解を誘う…現代人により大きな共感を生む、そんなマジックのような舞台でした。
演出では、衣の使い方なんて極めて印象的で、目に美しいだけでなく、その意味を考えるとあまりにも切ない、哀しい。
音響の使い方も痺れたな…安徳帝の詩が心に響く。選曲も大胆で、トークでの選曲意図の回答は割と安直なものでしたが、現代の人が同様な感情を想起できる曲が背景なのかな…と感じていて、「媒体を身近なものに差し替えることによる理解と共感の促進」が本作の演出全般に言えるなぁ。大満足。
四月になれば彼女は彼は
弦巻楽団
津あけぼの座(三重県)
2016/05/21 (土) ~ 2016/05/22 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2016/05/21 (土)
紙風船の戯曲に役者でオリジナルの人間関係を重ね、芝居を繰り返し演出を変えていくことで男女の想いの機微を表現している風。とても繊細。特に棒読みを多様に使っている印象で心地よく混乱した。欲言えば演出パターンはお遊びでもう少し追加が欲しいな。役者の人間関係を色々想像させつつも、最後に意外なオチが用意されていて、幕引きも良かった。
実は紙風船自体は観たことがないので、終盤はどこからオリジナルになっているのか戸惑いもあったが、こんな経験、中々出来ないね。面白かった。
トゥルムホッホ
星の女子さん
ナビロフト(愛知県)
2016/05/12 (木) ~ 2016/05/15 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2016/05/14 (土)
メルヘンを現代に馴染ませ、かつ未来を見通しているかのような作り。突拍子もない思惑がトントンと進んでいく辺り、やはり根幹はメルヘンなのかな。悲愴な時代を背景に、それを嘆きはするけど恨むでなく、朴訥に生きる者達の不思議な空気感が心地良い。岡本さんの感情があるんだか無いんだか分からない微妙なバランスの芝居がそれを作ってる印象。一方、鈴木さんの役どころはコミカルでシニカルでダーク・・・表情で場の空気を変える。劇団両女優が良いバランスで芝居を引っ張ってたな~。もはや定番となった二宮さんの芝居は安定して面白く(照れる芝居好きやわ~)、客演陣も新しい空気注ぎ込んでる感じ。ビンタ封じられた(?)元山さんの渾身の照れ隠しが宿る右拳w、平手さんは個性を活かされた感のある配役がハマってた。
しずかなごはん
劇団ジャブジャブサーキット
三重県文化会館(三重県)
2016/05/07 (土) ~ 2016/05/08 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2016/05/07 (土)
やっぱ再演で観れて本当に良かった。専門家の全面協力を受けているだけあって、丁寧に、緻密に練られている会話の端々に、リアリティはもちろん、苦しむ患者と医療・支援関係者への愛と敬意に溢れてた。
もう、本当に会話がいいよ。特に会話の片方の声しか聞こえない電話でのコヤマさんの演技とか痺れたなぁ。
なお、全編の中で一つだけ認めたくない"割とありふれた台詞"があるんだけど、そう言う引っかかりも含めてリアリティかな。
ミステリーの、特に謎解きはちょっと遊びが過ぎる気もするけど、アレがないと話が重くなる一方だから、バランスとしての効果を担うのかな〜とか、つらつら後味お楽しみ中。本当、観れて良かった。
観客
劇団クセックACT
愛知県芸術劇場 小ホール(愛知県)
2016/04/28 (木) ~ 2016/05/01 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2016/05/01 (日)
自身の知識不足も甚だしく、現代の一般知識ではリカバリィ不能なので最初からそこは捨てて身体表現に集中。顔面の隅々含めた身体全体での表現が集団で行われる様に圧倒された。部分はなんとなく伝わって、観客というものの滑稽さも我が身になぞらえて楽しかった。
ツイタモチヨリ、ココロモチ
順風男女
G/Pit(愛知県)
2016/04/23 (土) ~ 2016/04/24 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2016/04/24 (日)
全般パワフルでネタも小気味良く、あっと言う間に時間が過ぎた。皆さん、結構ベテランなのか芝居もこなれてて良い。名古屋じゃあまり観れないタイプ。キャスト多いがパンフの役者写真がフルカラーで分かり易くて良かった。若干不満を言えば、本番で各作タイトル言って欲しい&パンフに各作品毎で出演者書いて欲しいってのはある。やや混乱したのと、後から思い返して分からなくなるのが本音。女性は化けるしね~。
以降、ネタバレBOXに個別の感想を書きました。
おとこたち
ハイバイ
三重県文化会館(三重県)
2016/04/23 (土) ~ 2016/04/24 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2016/04/23 (土)
2年前の長久手公演を観ているが、老いにリアルに迫る切れ味は相変わらず。今回は席良くって、ス〜って変わってく表情なども間近で堪能し、刺さるチカラ強し。やっぱ自分の頭ん中が何か壊れてんのを認知する… その瞬間を垣間見る話は怖え。そして、同じ場面でほぼ同じ演出の筈なのに、僅か2年でも自分が歳を経て、家族の環境が変わっていくことで "感じた印象が変わっている" 箇所があるのに自分で驚きを感じた。我が身に迫るリアリティの為せる技かな。もう、そんなに遠くない未来だよ(>_<)
ソウサイノチチル
ぐりむの法則
愛知県芸術劇場 小ホール(愛知県)
2016/04/14 (木) ~ 2016/04/17 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2016/04/16 (土)
トンデモ出来事が矢継早に押し寄せる葬祭コメディ。キャストが質・量ともに充実なので2時間絶え間なく楽しめた。まあ価値観色々あるのは分かるけど、終盤アレで帳消しはないわ…って、泣かすシーンではちょっと冷めてましたが、総じてエンタメとしての質は高し
東京物語
赤星マサノリ×坂口修一
津あけぼの座(三重県)
2016/03/26 (土) ~ 2016/03/27 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2016/03/26 (土)
語りとお芝居をミックスした不思議な構成。映画知識があればもっと楽しめたはずだが、そうでなくとも雰囲気は伝わる。何より二人の芝居が味わい深いので満足。特に坂口さんのオカマ演技が好きだ"ぜ"w
ラス前、二人のクライマックスの演技も痺れたな。
SHIKENKAN TOWN
試験管ベビー
千種文化小劇場(愛知県)
2016/03/18 (金) ~ 2016/03/20 (日)公演終了
満足度★★★★
理屈皆無、安定のコミカル作品。これまで観た中では一番後味が良かった。小学生役2人の"おバカな小学生らしさ"がすごく面白かったな。あとタクシー運転手(車込みw)もイカすw でも、パンフ見ても配役と役者名が繋がらないのは困るな・・・
MOON
長久手市劇団 座☆NAGAKUTE
長久手市文化の家 風のホール(愛知県)
2016/03/19 (土) ~ 2016/03/20 (日)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2016/03/19 (土)
近そうで遠い現代、微妙な距離感による違和感もまた面白し。されど今を的確に予見している"闇"と人の本質の"毒"をふんだんに振りまくお話が良いな。
碓井さん、身体張ってた。自分の弱さと対峙する演技が面白かった。
ババとララも良かったな
河童の雨乞い
演劇組織KIMYO
千種文化小劇場(愛知県)
2016/03/10 (木) ~ 2016/03/13 (日)公演終了
満足度★★★★
舞台の四面活用のみならず、周回するわ、床面転がるわ、櫓も四塔立てて上も使うわ、暴れることへの執着は見事と言う他はない。ダンスの物量も熱量も見事なもので、かつ心象風景でもあり、宮谷演出の真骨頂だなと思う。
以降、ネタバレBOXへ続く
パラドックス・ジャーニー
劇団あおきりみかん
G/PIT 名古屋市中区栄1丁目23-30 中京ビル(愛知県)
2016/03/03 (木) ~ 2016/03/14 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2016/03/05 (土)
大運動会!空間を縦横無尽に使い、重力に逆らう演出好きだな。名も知れぬ男女にじわじわと名が付き、行為に意味が与えられていく過程も堪りません。おそらく観客総ツッコミだった花村さんの最後の行為も、すごく"らしさ"があって良い。
too fast to live,too young to die
room16
得三(TOKUZO)(愛知県)
2016/03/09 (水) ~ 2016/03/10 (木)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2016/03/10 (木)
以下6本のオムニバス公演。
・シチュー
・ビルディング
・妄想族
・公園
・最期の部屋
・ヒーロー
ネタバレBOXに個別の感想を書きました。