
戯曲冒険小説・歳月よ老いさらばえた姫たちよ
劇団レクラム舎
小劇場B1(東京都)
2014/10/15 (水) ~ 2014/10/19 (日)公演終了
満足度★★★★
難解に挑むが如く
冒険…学生時代にあこがれた言葉。あえて危険に身を置き、成功するかどうかの成否が確実ではないが、”スリル”と”興奮”という刺激を求めて挑戦する。漠然としているが、なんとなくカッコよい。
しかし、そんな思いとは裏腹に現実の生活にどっぷりはまり、数十年が経った。
そして、清水邦夫原作の「戯曲冒険小説」を拝見したが、結構難解かも…。
演出は同様の動作を繰り返さないよう、すでに舞台上の衣装とともに用意(陳列)されていた。原作を知っていれば合点がいくだろう。
演技は、ベテランが行っているので安定感があったが、擬声音(例えばビールの栓抜音等)が頻繁にあり耳障りに思った。実際、小道具もしくは擬飲料を使用したほうが良かった。
見応えのある公演でした。

湯浅桂樹の頭ん中
神田時来組
ART SPOT LADO(東京都)
2014/10/11 (土) ~ 2014/10/19 (日)公演終了
満足度★★★
脳内探訪
本名・岩佐圭二(演出)とペンネーム湯浅桂樹(脚本家)という同一人物の公演である。さて、芝居は湯浅氏が考えていること…脳内探訪といった趣旨で観劇してほしいとの前説があった。また、続けて定番の諸注意があった。人間の3大欲「性欲」「睡眠」「食欲」に絡めて、「場内ではむやみに脱衣しない」「鼾は遠慮して」「飲食禁止」ということ。
さて、内容はオムニバス3話であるが、1話、2話が各15分、3話が60分というバランスの悪い構成である(本人弁)。
自分のイメージは、1話「性欲→妄想」、2話「睡眠→幻想」、3話「食欲→奇想」というもの。

御ゑん祭
バンダ・ラ・コンチャン
青山円形劇場(東京都)
2014/10/09 (木) ~ 2014/10/13 (月)公演終了
満足度★★★★
見事なコラボ
近藤芳正が出ずっぱりというのが謳い文句の公演…共演した劇団との融合した芝居は見事だった。そしてなぜか初初しい少年・童貞役が多かった。ベビーフェイスのため少年から実年齢以上の役まで幅広く演じる器用さ。その特長を如何なく発揮した公演だった。
また、ベテランらしく円形劇場の特殊性(周観客)を熟知し観(魅)せていた。
後日追記

ギンノキヲク FINAL
ラビット番長
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2014/09/19 (金) ~ 2014/09/23 (火)公演終了
満足度★★★★★
問題提起は鋭く、作風はコミカルの妙
人は生まれた時から死ぬ運命にある。人の一生とは何か、まさしく”生まれ出る悩み”である。そして、多くの人は「死」を迎える前に老いという期間を少なからず過ごすことになる。
いずれ人は老いるが、その時にこの芝居にあるような特別養護老人ホームに出会えれば、と思わせるような心温まる物語。
現実には重苦しいテーマであるが、あえて明るく介護の仕事を描き、職員の人たちが遣り甲斐を持ち生き活きと働いていることに安心感を覚える。一方で介護を巡る環境・労働条件の厳しいこともしっかり訴える、という社会派の側面も見せてくれた。介護…それは高齢化社会において行政はもちろん個人の生活においても大きな課題である。それは、家族を介護することは、仕事以上に大変であったと悲哀をもって語ったことに凝縮されている。全体的にコミカルな作風であるが、その底流にある問題提起は鋭く、大変見応えのある公演であった。

一遍
風雲かぼちゃの馬車
相鉄本多劇場(神奈川県)
2014/10/09 (木) ~ 2014/10/14 (火)公演終了
満足度★★★★
踊念仏…持ち味を十分に発揮
一遍上人が武家出身ということは知らなかったが、信仰は踊り念仏を通じてということは授業で教わったような…。ミュージカルらしく仕上げるには格好の題材だったと思う。風雲かぼちゃの馬車という劇団の持ち味が十分発揮できていた。またキャスト陣の有髪の僧姿も魅力的だった。
ちなみに、「一遍上人」は2012年に映画化(主演:ウド鈴木)され、話題になった。

暗転セクロスw
暗転セクロスw 制作委員会
上野ストアハウス(東京都)
2014/10/09 (木) ~ 2014/10/19 (日)公演終了
満足度★★★★★
恋(濃い)芝居
オムニバス風であるが、テーマ(性)とシチュエーション(館)は共通しており、その観せ方は上手い。性欲に絡めた男女の心理描写がデフォルメされてはいるが、本能に近いところを突いていると思う。建前は合縁奇縁、本音は愛執肉欲…といったところだろう(休憩チーム)。

ひまわり~日はまた昇る~
ThreeQuarter
中野スタジオあくとれ(東京都)
2014/10/11 (土) ~ 2014/10/13 (月)公演終了
満足度★★★★
丁寧な芝居
細部まで説明した丁寧な脚本・演出という印象である。冒頭は裁判シーンおよび人質立て篭もり事件があり、シリアスなドラマをイメージしたが…。
物語はご都合的なところや強引な展開もあるが、それ以上に観せる”力”があり面白かった。なにより散りばめたネタもしくは張巡らせた伏線をすべて回収し納得してもらうよう努めているところに好感を持った。約2時間の公演は見応えがあった。

俺たちの劇 ~東京編~
ENBUゼミナール
新宿ゴールデン街劇場(東京都)
2014/10/04 (土) ~ 2014/10/05 (日)公演終了
満足度★★★
もう少し膨らませてほしい
台風の影響で雨が激しく降っているにもかかわらず、立ち見まででる盛況ぶりだった。結構仲間内だったかもしれないが、劇団側は嬉しかっただろう。
さて、公演であるが大きく二つの流れのある話だが、その関連性は薄い。できれば説明にある”劇団”をメインにしたストーリーを膨らませてほしかった。
居酒屋の件は、ストーリーテラー的な役どころの「ちひろさん=南帆子サン」だけでよかった。

本間さんはころばない
九十九ジャンクション
小劇場B1(東京都)
2014/09/30 (火) ~ 2014/10/05 (日)公演終了
満足度★★★★★
面白い!
脚本はわかり易く、演出は丁寧で、それに応えた演技は見応えがあった。また、舞台セットは随分と造り込んでいた。
さて、水難事故を通して救助された本人と救助し命を落とした人の遺族が向き合ったことで明らかになった事実・真実は…。
人は色々な側面を持っており、だから一概に決めることが出来ない。そんな当たり前の事だが、改めて感じ入った。
登場人物は、立場による建前・本音をしっかり表現し、人間臭さを見せることで観客の共感を誘う。この流れとテンポの良さが心地よい。
そして内容は、日常生活に近いところを描くが、その心情や懊悩が見事に表現されていた。とても秀逸な芝居だと思う。
次回公演も期待しております。

The World is Yours
トランス☆プロジェクト
テアトルBONBON(東京都)
2014/10/01 (水) ~ 2014/10/05 (日)公演終了
満足度★★★★
自分探し
インターネットというバーチャルな世界の方が自分自身を曝け出せるという、逆説的な話。説明にあるあらすじ「主人公マキトが訪れたインターネット上の世界『ミラーワールド』。 そこでは誰もが自分の分身『アバター』を作って生活を送っていた。 そこでマキトは『人を探している』と語る男性と出会う」ことになる。虚構の中の真実は継続できるのか。そもそも虚の中に実は存在するのか、という疑問が生じる。
バーチャルな世界では、自分の性別・年齢・容姿について事実を登録していない。第三者に成りすまし、自分の本当に行いたいこと、言いたいことを実行している。それは本当の自分を相手に見せることなく、嘘のままだから可能ということらしい。自分らしさとは…実に興味深い公演であった。
最後はそうなるであろう展開に胸を撫で下ろした。
今後の公演にも期待しております。

第三帝国の恐怖と貧困
劇団わらく
【閉館】SPACE 雑遊(東京都)
2014/10/02 (木) ~ 2014/10/06 (月)公演終了
満足度★★★
物足りない
ブレヒトの「第三帝国の恐怖と貧困(悲惨)」は、当初そのパロディ「第三定食と豆腐と蓮根」として上演される予定であったが、事情により変更したもの。
さて、本作は20世紀を代表する劇作家ブレヒトの記念碑的な大作であり、全編を上演すると4時間を超えるらしい。ナチス統制下における小市民の不安な日常を描いた情景のうち、「白墨の十字」「黒い靴」など10景を上演した。もともと色々な劇団で上演されるほど魅力のある作品だからストーリーは面白いが、演技でその面白さを現し切れなかったと思う。もっと言えば役者間の演技力に差があり、バランスを欠いていたと思う。
何気なく見逃してしまいそうな新制度の中に、将来を危惧させる重要な決め事が…どんな時代でも真を見誤らないよう心したいと思わせる芝居であった。
そして何より、無関心が将来に悪影響を及ぼすということを示唆しているようであった。
今後の公演に期待しております。

ヨロタミュージカル2 Ready Go ~あいのままで~
劇団ヨロタミ
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2014/09/25 (木) ~ 2014/09/28 (日)公演終了
満足度★★★★
心温まる
ヨロタミらしい。ふんわりした気持ちになる公演だった。
今回はミュージカルであったが、残念ながら「歌」は厳しいのでは…。それとも狙いだったんでしょうか?

ウーララ
マグネシウムリボン
d-倉庫(東京都)
2014/10/01 (水) ~ 2014/10/05 (日)公演終了
満足度★★★★
不思議な世界観
エレベータに閉じ込められた男女の物語。
素舞台にエレベーター内の大きさを示す白地の布テープが貼ってあってあるだけ。
その狭い空間から、広く不思議な世界観を描き出した好公演である。
その状況変化を上手く観客に伝えることができたと思う。

“秋の、死んで貰います祭り!!”地獄の3本同時上演!!!
good morning N°5
OFF・OFFシアター(東京都)
2014/09/26 (金) ~ 2014/10/04 (土)公演終了
満足度★★★★
刺激的…愛欲の乱NEO
女子高における劇中劇…。
実際の高校では絶対演じられることはない毒舌・暴走という言葉がピッタリする刺激的な公演。
ちなみに観劇しながらの飲食は自由であった(役者が売り子になっていた)。

落伍者。
ラチェットレンチF
Route Theater/ルートシアター(東京都)
2014/09/26 (金) ~ 2014/09/30 (火)公演終了
満足度★★★★★
真摯な…
落語という芸を極める噺家の物語。
落語は世相・人情を滑稽な咄(はなし)に仕立て、最後に落ちのあるもの、だと言う。
公演でもその咄を十分取り入れて味わい深く仕上げていた。

あの空の向こうへ
ノーコンタクツ
萬劇場(東京都)
2014/09/26 (金) ~ 2014/09/28 (日)公演終了
満足度★★★★
戦争ゲームごっこではない
戦争シミュレーションソフトの開発に関する芝居と思っていたが、そんな単純なものではなく、人間ドラマであり、社会ドラマでもある。
そこにミステリー要素も加え見応えのある公演に仕上げていた。
いくつかダンスシーンがあるが、ノーコンタクツの公演だから…でしょうね。

ヒョウイズム
爬虫類企画
新宿シアターモリエール(東京都)
2014/09/12 (金) ~ 2014/09/15 (月)公演終了
満足度★★★★
重い内容、ポップな演出
高校時代に苛められ、そのあげく兄まで・・・。
凄惨な過去を持つ男がある事象によって力を得て行う復讐劇。
その描かれている内容はハードで問題提起も鋭い。
しかし、その描き方はコミカルで堅苦しさを感じさせない。
ここで登場する主人公の感情や行動が、普通の人間が持ち得るようなものであるから共感できると思っていたが、終盤は少し教訓じみてきた。

Master Plan ~B~
劇団スクランブル
シアター711(東京都)
2014/09/23 (火) ~ 2014/09/28 (日)公演終了
満足度★★★★
女…会話劇
同僚女性3人が男性1人を巡って…、女性の恋愛感における本音 (男性には「真剣・愛情」な思いを、同性には「虚勢・見栄・嫉妬・侮辱・憎悪」が渦巻くようだ) を聞いているようで面白かった。
その一方で単なる暴露話という感じもする。

騒音と闇 ドイツ凱旋ver.
革命アイドル暴走ちゃん
こまばアゴラ劇場(東京都)
2014/09/25 (木) ~ 2014/09/30 (火)公演終了
満足度★★★
ぶっ飛びだ~
理屈は要らない。ただ「爆音」「投水」「閃光」などのインパクトが凄かった。普通の芝居にあるような脚本・演出は感じられない。そもそもキチンとしたものがあるのか疑わしい(失礼)。逆にシッカリ有れば、ある程度その台本に縛られ、自由に動けないだろう。多分、ゆる~い決め事だけで、弾けた感じである。しかし、不快感はなく、逆に爽快感が残った不思議な公演であった。

おとなげない遺伝子
スマッシュルームズ
シアター711(東京都)
2014/09/17 (水) ~ 2014/09/21 (日)公演終了
満足度★★★
もう少し捻りがあると…
人間一人ひとりが違うように親子であっても少しずつ違う人生を歩むだろう。本公演の眼目として”人生という名の不条理”を謳っているが、三代にわたり同様のシーンを繰り返えすのはどうか…。
確かに遺伝子という”不思議なるもの・こと”の存在は否定できない。鏡の中の顔は、同じ年齢だった頃の父親に似てきた。人としての性格付けや外見は似ているが、生活の歩みは違った。そんなことは当たり前で改めて言うことではないだろう。
この公演では、遺伝子を強調し、その結果人生の不条理を描こうとしたと思われるが、冒頭にも記したが不条理もよしとするような芝居でもよかったのではないか。観客を飽きさせず、集中させるには少しずつ違う観せかたも…。
最終的には、説明文の逆説に落ち着く展開になる。つまり、二度あることは三度あるが、その反対として三度目の正直もある。まさしく人間ドラマであり、人間讃歌の公演でした。
今後の公演にも期待しております。