タッキーの観てきた!クチコミ一覧

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【全公演終了しました。ありがとうございました】カムバック!矢板のガールズ♪

【全公演終了しました。ありがとうございました】カムバック!矢板のガールズ♪

らちゃかん

小劇場B1(東京都)

2014/09/10 (水) ~ 2014/09/14 (日)公演終了

満足度★★★★

下北沢公演…さすがです
らちゃかん の下北沢初の公演…素晴らしかった。
地元・矢板の女子高生がアイドルを目指し、その後、紆余曲折を経て20年振りに再会した。さらに…。

さて、らちゃかんらしいハートフルコメディだったが、今まで観てきた芝居と少し違うような気がした。
それはそれで面白かった。

ネタバレBOX

今までのらちゃかんは、ドタバタの疾風感があった。コメディと言うことを前面に出し強調していたようだ。しかし今回の公演は、少し抑制した落ち着いた感じがした。より自然体なコメディになった。
もう一つ、以前は被りものがあったと思うが、本公演ではキジの剥製オブジェこそ登場したが、無理やり感は気にならなかった。

本当に観ていて”笑い笑い“の連続で楽しませてもらった。
次回公演も期待しております。
ギンノキヲク 2.5 (第25回池袋演劇祭【豊島区長賞】受賞記念公演)

ギンノキヲク 2.5 (第25回池袋演劇祭【豊島区長賞】受賞記念公演)

ラビット番長

コア・いけぶくろ(旧豊島区民センタ-)(東京都)

2014/09/06 (土) ~ 2014/09/07 (日)公演終了

満足度★★★★

シリーズもの…面白い
ラビット番長の人気作品で、今回は第25回池袋演劇祭_豊島区長賞受賞の記念公演(本作はGREEN FEST2013 BASE THEATER賞を受賞+α)である。

舞台は特別擁護老人ホーム「紀陽の里」の入所者、そこに働く職員およびその家族のほのぼのとした”ホーム”ドラマである。芝居は暗くならず、あくまで前向きな展開で、生きる活力を感じさせる。いわゆる”生きる”とは、という深刻な命題を描くのではなく、観て楽しめる娯楽を追及したような芝居である。

さて、近々「ギンノキヲクFINAL」が上演される予定であるから、シリーズものもお終いか?
このシリーズ公演を観ると、なぜか映画「男はつらいよ」を思い出す。こちらは相当長く続いた国民的映画だが、それに通じるところがあっただけに、FINALは残念である。パターンは同じだが、泣き、笑いがあり、最後は感動させる。

先に深刻な命題…云々を書いたが、そうは言っても社会問題(例えば労働環境、介護現場の大変さ)をチクリ!この大上段に構えず、サラリと描きたいことをしっかり伝えるあたりは流石である。

今後の公演を楽しみにしております。

ほだす -刻み続ける時計-

ほだす -刻み続ける時計-

劇団いまそかり。

シアター711(東京都)

2014/09/04 (木) ~ 2014/09/08 (月)公演終了

満足度★★★

説明不足かも…
古書店が舞台で、そこの主人と間借人が織り成す話。
そして冒頭から公演のキーとなる「鍵」が役者の手に握られている。
公演のキーとなるのが、二つあるドアのうち一方だけ選択(開けられる)できるということ。
さしずめ“人生は一度だけ”、ということだろう。
絆す(ほだす)という言葉は、人からの愛情なりでヤンワリ束縛されることらしい。
しかし、本公演は“運命”または“宿命”という言葉が合うような印象を受けた。

どちらにしても人間の渦巻く欲望、エゴ、そして厭世的な面も垣間見えて面白かった。

ネタバレBOX

古書店は親の代から受け継いでいるが、今の時代に流行らなく経営は苦しい。その古書店には売れない(書けない)作家、写真家の卵など、夢を捨てきれない住人が住んでいる。また、親の代からの駄目使用人も…。そんなゆるーい環境に、以前住んでいた男が立ち退きの交渉人として現れ、自分は成功者だと吹聴する。

夢をあきらめ現実路線へ、または夢を追い続けるのか、揺れる気持ちの住人達の右往左往が面白く描かれている。

そして今後、人生はどう生きていくか。どのドアの「鍵」を選択するのだろうか。示唆に富む内容の公演だった。
しかし、その面白さが十分伝わらない、というか印象が薄い。印象にあるのが、役者のパントマイムだけではさみしい。
今後の公演に期待しております。
Unbreakable-アンブレイカブル

Unbreakable-アンブレイカブル

演劇レーベルBo″-tanz

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2014/09/04 (木) ~ 2014/09/09 (火)公演終了

満足度★★★★

壮大な話
パンフに「この作品はあからさまにフィクションです」との注釈が・・・、切実感があるのは、現在の日本が抱える発電エネルギーを確保するため、そのあり方を模索する姿が見て取れるからだろう。
その現実に天使というファンタジー性を持たせ、リアリティ感を和らげている。

それでも本公演は、壮大な人類の未来への考察を描いた叙情詩のように見えるのは自分だけだろうか。

ネタバレBOX

本公演によれば、洪水は 「天界」に背いて降臨した堕天使(グリゴリ)を殲滅する目的で行われたという。
そのグリゴリは人間の娘と交わり子を宿すだけでなく、魔術の恩恵で人間界を豊かにした。その一方、富をめぐる争いが生じ、貧困・飢餓が生まれた。

また人間には御せないエネルギー創性技術(ネフィリム)までもその魔術に含まれていた。ここにグリゴリを抹殺する暗殺天使が送り込まれ戦いが始まる、というもの。

ダークファンタジーという謳いは大げさではない。しかし、芝居中で脱力するような場面もあるが、洒落だろうか。
ダークを貫いた方が良かったと思う。2時間を超える公演は観客が飽きる?ということへの配慮・サービスであれば不要である。

脚本に込められた力・メッセージは、いかにフィクションと力説しても現在の日本を見てしまう。その想像性を掻き立てるに十分な演出もしている。

そして、役者はその脚本の持つ意味、演出の絶妙な効果(例えば、ポスト・レコーディングなど)を十分伝えてくれた。芝居の全体的なレベルは高く、秀作だと思う。

今後の公演にも期待しております。
HOTEL CALL AT

HOTEL CALL AT

メガバックスコレクション

南大塚ホール(東京都)

2014/09/06 (土) ~ 2014/09/07 (日)公演終了

満足度★★★★★

深淵なるかな
[HOTEL_CALL AT] という古城風のホテルに宿泊した人達の話。
南大塚ホールにセットしたホテルロビーを模した舞台セットは見事である。メガバックスコレクションはいつも素晴らしい舞台美術を見せてくれる。

さて、公演はテンポよく展開するが、実際は時間が止まっているような錯覚を起こさせる。そして、このホテルの宿泊客は、現在の生活環境を語るだけで、その生い立ちや人間性を深堀しない描き方である。

そもそもこの客達は・・・

ネタバレBOX

既に死んでいる。
このホテルは死者が持っていた「未練」「後悔」「罪悪感」「憎しみ」等の思いを全て置いていく場所らしい。
その思いが遂げられた者から、その先にある川(河)を渡り、あの世へ旅立つという。そういう状況であることを知らされながらも、まだ生きたいと願う人たち。
その生きたい理由は様々であるが、その人にとっては切実なもの。

ここで意地悪なゲームが支配人によって提案される。
宿泊客の中で一人だけ生き返らせるという。
その選出方法は多数決というもの。
いかに生きたいかを猛烈にアピールする…最終的には、駆け落ちした二人(現世では三人か)が生き返ることになる。
なぜ二人に…今後再演されるであろう秀作だから、観てのお楽しみとします。

因みに自分は、ホテルの従業員になりその先には行きたくないかも。
今後の公演にも期待しております。
お披露目~浮気編~

お披露目~浮気編~

日本コメディ協会

駅前劇場(東京都)

2014/09/06 (土) ~ 2014/09/08 (月)公演終了

満足度★★★★

笑った~
各30分のオムニバス4話。
短編であるが、どの話も「起・承・転・結」という流れを踏まえているから分かりやすい。
コメディの常套であるすれ違い、狼狽、誤解がドタバタとしっかり描かれ、笑い笑いの連続であった。と同時に男性目線で見ていたから、自分がその場(立場)に居るようなドキドキ感があった。
まさしく感情移入していた。

今後の公演が楽しみである。

グレーテルの妹

グレーテルの妹

シアターノーチラス

OFF OFFシアター(東京都)

2014/09/03 (水) ~ 2014/09/07 (日)公演終了

満足度★★★★

少し中途半端かも
結婚をまじかに控えた女性宅に謎の女性が…。
女3人の黒い思惑が透けて見え、そのキッカケを作ったのも謎の女

という設定だから、女性は怖い。芝居は、女性達の思惑・誤解・食い違いによって炙り出される本性・・・、厭らしいブラック・コメディのようで面白かった。
 また別の筋として“家族とは” という恒久的な問いかけも描かれていると思うが、車の両輪のごとく、何時まで経っても“女性の思惑” と “家族とは” が明確な意思をもって交わらず、中途半端な演出になった感がある。

ネタバレBOX

結婚を控えた女性宅。
そこに兄夫婦、ウエディングドレスを作ってくれる親友女性とその主人。
そこに謎の女性がスルッと入り込み、とめどのない話を始めた。
そのうち、今度結婚する女性のフィアンセがストーカーだと言い始める。

知り合ったキッカケ、付き合いだした経過、ストーカーされて怖い思いをしている現状を説明する。この闖入者(ちんにゅうしゃ)のごとき謎の女性の言葉に狼狽え、フィアンセに対する疑心暗鬼が生まれる。一方、義姉は自分が年下ということもあり、小姑に家を出て欲しい。親友女性は、夫がかつて主人公と付き合っていたことを知っており、早く結婚してくれないと安心できない。そして、謎の女の目的は・・・分からない。

 一方、認知症を患っていると思われる主人公の父親の存在。街中を散策(その昔は森であったようだが)し、独り言をポツリポツリ。この徘徊のような行動の直接的な意味はなにか。

 結局、フィアンセに問いただすが、ストーカーの認識はなく、自殺しようとした(謎)女性を見守るうちにストーカーと勘違いされたと・・・。ストーカーの被害者と行為者の意識の違い、そして 「許嫁(いいなずけ)を本当に愛しているのか?」という問いに対する答えが 「分からない」 という虚しさ。その分からない感覚が自分にも伝染したのだろうか、実に不思議な公演であった。
少年口伝隊一九四五

少年口伝隊一九四五

劇団天動虫

pit北/区域(東京都)

2014/09/01 (月) ~ 2014/09/02 (火)公演終了

満足度★★★★

朗読劇から…
井上ひさし氏が、新国立劇場研修所の研修生のために書き下ろしたのが「少年口伝隊一九四五」である。

この芝居は朗読劇であるが、今回は女性6名による動きも取り入れた公演に仕上げていた。自分が見た回は、会場が狭いこともあるが満席でトラブル席も使用したと思われる。その観客に応えるため汗を滴り落としながら熱演していたのが印象的である。

なにより自分が感動したのは、若い女優がこの題材を選んだこと。そして、役者を代表してジョニーさんが、
「この舞台のため広島原爆投下の8月6日、長崎原爆投下の8月8日、そして15日も稽古に励み、覚悟をもって公演した」 と述べたことには感動した。

芝居に関してはいくつか・・・

ネタバレBOX

大きくは次の2点が気になった。

第一点は、その衣装である。戦時中であればそれらしい舞台衣装で演じて欲しかった。

第二点は、舞台セットである。大脚立は演出上必要だったと思うが、舞台空間に張り巡らせた三角旗は何を意味するのだろうか。まるで運動会かお祭りの飾り付けのようで違和感があった。

上記のことは、単にビジュアル的なことだけではない。
この台本は、俳優、観客を含め、その舞台空間にいる全ての人に戦争の恐ろしさ、無残さを知らしめる“力”があるのだから、その威力を見せつけて欲しい。
CHANGE

CHANGE

f.tプロデュース

Geki地下Liberty(東京都)

2014/09/03 (水) ~ 2014/09/08 (月)公演終了

満足度★★★★

恋愛シチュエーション
ありそうな恋愛シチュエーションの三様態を別々に描き、微妙に交錯しながら展開する物語。

脚本・演出は藤原珠恵氏で、だからなのか女性の立場・視点による描き方だと思う。そこに登場する女性は精神的に強く、またしたたかである。
しかし、心底は優しくどこか愛らしい。やはり女性演出家の応援メッセージが込められている、そんな印象を受けた。

 さて、公演の舞台セットには驚いた。舞台はBarの店内であるが、その装飾は見事であった。上手がカウンター、中央にテーブルセット、下手は自由空間という配置で、場面状況に応じて利用する場所を変えるが、その演出は妙である。

 そこで繰り広げられる恋愛とは・・・。

ネタバレBOX

オムニバスではないが、ストーリーを整理する上で三話を区別してみた。

1.脚本家の女性と劇団の男優は恋人同士だが、最近その男が劇団の後輩女優と付き合いだし、その女優から言い寄られ二股交際をしている。脚本家の女性はそれに気づき、3人で話し合い(脚本家は別れる覚悟)をし、恋人関係は解消。

2.会社上司と不倫関係にある女性が、後輩社員に上司の動向を聞きながら、上司の離婚を心待ちにする。しかし、その上司の妻が妊娠し別れるつもりがないことを知らされる。Barでの愁嘆場がすごい(因みに上司も妻も登場しない)。

3.九州から上京してきた、男女4人のうち2人は恋人同士。女性は舞台となるBarで働き出すが、実父が病に倒れ、その資金援助のため風俗店へも・・・。その事情を知らない男は友達から風俗話を聞き、別れる決意をし、女性は九州へ帰った。


この話を中心に、Barのママの娘、ママに言い寄る男などが絶妙なタイミングで会話に加わり、面白おかしく、またペーソスある仕上げにしている。

結末だが、脚本家は劇団を辞め、テレビ業界へ転職しバリバリ。 不倫女性は動向を探らせていた後輩男性と結ばれ、懐妊した様子。 九州へ帰っていた女性は、用事があってBarへ姿を現し、そのころ別れた男が売れっ子芸人になり、その声がラジオから流れ・・・。ハッピーエンドの雰囲気である。

これらを見守るママの態度がシニカルだが、ちょっとした仕草、言葉の投げかけが優しい。女性の逞しい生き方、一方、優しさ、寂しさが垣間見える好公演でした。
マナナン・マクリルの羅針盤

マナナン・マクリルの羅針盤

劇団ショウダウン

シアター風姿花伝(東京都)

2014/09/05 (金) ~ 2014/09/07 (日)公演終了

満足度★★★★★

群像劇ではない
京都生まれの大阪育ちの劇団が、その大輪を咲かせようと東京・池袋演劇祭に参加した公演である。

実質2時間10分(途中休憩10分)の一人芝居を二日間7公演行うという。自分が観た回の公演時には、観客がお揃いのTシャツを着、客席中央に陣取っていた。
それだけ愛された劇団の公演は見応え十分であった。

ネタバレBOX

18世紀初頭に実在した海賊の海洋冒険浪漫活劇。当日配布のパンフによれば登場人物は10名、それに加えト書き、状況説明など全てを一人で担う。
しかし、その演じ方は一様ではなく、登場人物が想像できるような情感溢れる演技であった。
要所に説明が加えられるからストーリーは分かりやすい。大衆に楽しんでもらう、そんなサービス精神が底流にあるような気がした。

さて、舞台セットは、上手がフリースペース、下手に帆船デッキを模した木組みが置かれている。雰囲気は海洋物語に相応しい。また物語の臨場感を持たせるため、音響・照明などの技術も効果的な役割を果たしていた。大阪公演の舞台は、このシアター風姿花伝より狭かったようである。
それだけ林遊眠さんが動き回る範囲が広くなったということ。
観客にしてみれば迫力ある立ち回りのある活劇が見られたが、役者は大変だったと思う。本来、群像劇であるような内容であるが、一人芝居でもその魅力は十分魅せた。

終演後、観客の見送りに出てきた彼女と話をしたが、その小柄さに驚いた。いかに舞台ではその存在の大きさを見せつけたか。

さて、蛇足になるかもしれないが、次の2点が気になった。
第1に、一人芝居の宿命であるが、途中で声が掠れて心配したこと。
第2に、演出だと思うが、途中で水分、栄養ドリンクを補給するところがあった。帆船ウィーダ号のデッキに腰掛け、手にしたものは・・・観客から「○○ーゼリー」 という“ツッコミ”が入る。林遊眠さんが苦笑していた。
今後、東京公演では仕込み演出は通じなくなるだろう。もう一段高い工夫が必要だと思われる(この場面が偶然であれば杞憂であるが)。
UNKNOWN HOSPITAL

UNKNOWN HOSPITAL

壱劇屋

Route Theater/ルートシアター(東京都)

2014/08/30 (土) ~ 2014/09/02 (火)公演終了

満足度★★★★

難解かも
舞台の雰囲気はオドロおどろした感じで掴みは上々だったと思う。
しかし、その後の展開は難しく、混乱してしまった。

また、関西の劇団ということから公演途中で“笑い”をとる場面があったが・・・公演の流れが滞ったように思える。

ネタバレBOX

精神病院での“虚構”または“虚実綯い交ぜ”の世界観を描いたストーリーだろうか。

当日配布パンフから
「『病院』をテーマに劇団員全員でアイデアを出し合い、纏めて、形にしました。・・・そしてエンターテイメント作品へと進化させたつもりです」 
とある。

登場人物が代わる代わる医者、看護師、患者と立場を変え、誰が本当の役柄か分からなくなる。
公演途中で、その立場・役割を整理する“作業”を行った。
この作業こそが”笑い”をとる場面である。あくまで自己申告(思い込みも含め)だが、医師、看護師だと思うものがそれぞれ上手・下手に分かれる、そう幼い頃の遊戯をみているようだ。

“洒落がわからない”、と思われるかもしれないが、最初の掴んだ雰囲気を最後まで大切にして欲しかった。
ブラックジャックによろしく

ブラックジャックによろしく

トウキョウ演劇倶楽部(活動終了)

六行会ホール(東京都)

2014/09/03 (水) ~ 2014/09/08 (月)公演終了

満足度★★★★★

骨太な熱血ドラマ
研修医が困難を乗り越えながら成長していく熱血ドラマ。

六行会ホールという広い舞台だが、敢えてシンプルなセットにし、その立ち振る舞いには 「動」 「静」 のメリハリを効かせた素晴らしい演出だった。
照明は薄暗く、台詞を言う役者ヘライトを当てることで観客の目を集める。
それゆえ役者の演技の善し悪しが舞台の出来・不出来に直結する。

本公演は、人間の尊厳を内容とした重厚な脚本であるが、それを見事に表現していた。

ネタバレBOX

10年前の医療現場の状況が緊迫感をもって描かれていた。と同時に医療に携わる者の過酷な労働環境に対する痛烈な批判。

フライヤーには、「超一流の永禄大学附属病院の研修医・斉藤英二郎、月収わずか3万8千円。同大学医学部卒業後、3ヶ月で初めて患者を持つ。研修医・斉藤は理想とかけ離れた日本の医療の矛盾に苦悩しつつも、懸命に日々を送る!」 
と書かれているが、さらに大学病院の封建的・閉鎖的な体制への疑問も描き込まれる。

 さて、仮に 「生・死」 に 「勝・負」 という概念を持ち込んでもそれは意味がないことだと思う。人は必ず死ぬから、初めから負けは決まっている。
それでも生きている、生きたいと思う。その思い、願いが十分伝わる芝居である。
書くことは簡単だが、その状況に直面したら・・・。

 結論は決まっている終末医療にどう決着をつけるか、医師という立場だからこそ悩み苦しみ、その先にある苦渋の選択・・・見事に結実させた“緩和ケア科” に感動した。
=侠= 君、逃げたもうことなかれ

=侠= 君、逃げたもうことなかれ

サンハロンシアター

「劇」小劇場(東京都)

2014/09/02 (火) ~ 2014/09/07 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

タイトル「侠」とは…。
タイトルだけ見たら義理人情の世界かと思わせるが、その想定は良い意味で裏切られた。
話は、デパートのお客様苦情専門部署での出来事だ。

話の展開は違うが、映画 「ミンボーの女」 (1992年公開 伊丹十三監督)とオーバーラップした。さて、反社会的勢力に対する姿勢が厳しくなっている昨今、時代背景・状況も透けて見えて面白かった。

ネタバレBOX

ある地方都市にあるデパートのお客様苦情部署にいる九条室長が主人公。単に苦情に対処すると言っても、一筋縄でいかない内容ばかり。

ここで描かれたパターンは3つ程(接客態度への難癖→賠償要求)(賞味期限切れ→代替品要求)(単なる嫌がらせ→要求?)だが、実際は千差万別であろう。

自分は業種こそ違えど、その部署に在籍したことがある。
『内容は“苦情”だが、部署名は“お客様サービス部”である。自分の(営業・接客)姿勢は正しいのか、その映す鏡が歪んでいては正しい判断が出来ない。その鏡を磨くのがお客様の“声”だ』 という。
理屈はそうかもしれないが、何時間も不平・不満・苦情を言われる現場の人間からしてみれば、きれいごとの教訓など・・・、と当時は思っていた。
そんな思いが脳裏を過ぎり苦笑した。

公演は苦情を切り口にしながら、人間との関わり、人材教育の厳しさなど、実に示唆に富む内容で好感が持てた。

今後の公演にも期待しております。
蜘蛛女のキス

蜘蛛女のキス

パンダの爪

不思議地底窟 青の奇蹟(東京都)

2014/08/31 (日) ~ 2014/08/31 (日)公演終了

満足度★★★★★

濃密な会話劇
ブエノスアイレスの刑務所に収監されている囚人の会話劇。

基本的には二人芝居で、ストーリーテラーの役割が二人、さらに場面転換と思われる時に出てくる歌い手1名、計5名でストーリーを紡ぐ。上演時間は休憩10分を挟み4時間という長編である。

 また、「不思議地底窟 青の奇蹟」 という劇場は初めてで、地下なのにさらに暗幕で囲っている。地上に出るドアは両開きの綴蓋(とじぶた)で、正に監獄のイメージ・雰囲気だった。

 自分はこの作品を映画(同名、1985年制作)で見たが、その意義深さを感じるには、まだ若すぎたかもしれない。

ネタバレBOX

自分の暮らしと政治を切り離し、未成年との性行為に及んだ罪で収監された、ゲイのモリーナ。一方、過激な反政府思想を持ちゲリラ団に加わり、反政府運動を行った咎で収監されているバレンティン。

堅く言えば、思想・信条が異なる二人が同房で過ごす日々。
その環境は、かたいベッド、粗末な食事、そして不衛生な衣服と劣悪なものばかり。
そんな状況下においてモリーナが好きな映画の話をバレンティンに聞かせ、いつの間にか交情を結ぶ。
この濃密な会話にこそ、当時のアルゼンチンの国情が見て取れる。

そして、実はバレンティンの所属するゲリラ団壊滅を図るため、刑務所長に買収されたモリーナの仕掛け。
こちらは人間の暗部を鋭く抉り・・・、監獄という小窓を通して“人間とは”、“国政とは”という極めて高次元の課題を取り上げていると思う。逆に底辺で蠢く人間だからこそ、その厭らしさが分かるのかもしれない。

今後の公演にも期待しております。
ガチ秘密基地リスト~デルタウロスの野望~

ガチ秘密基地リスト~デルタウロスの野望~

かけっこ角砂糖δ

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2014/08/29 (金) ~ 2014/08/31 (日)公演終了

満足度★★★★

面白かった
あまり学生演劇は観ないほうであるが、本公演はシアターグリーン学生芸術祭参加作品ということで拝見した。約2時間という長編であるが見応えがあった。上演後、学生(たぶん)が考えさせるな~、との感想を漏らしていたが、その通りだと思う。
ストーリーはSF風でありながら、その描く根底は人間賛歌であろう。実に学生演劇、という感じである。
少し気になるところが…

ネタバレBOX

芝居としての観せ方は教訓色が強かったと思う。
その演出はリターンを多くすることでストーリーの流れを丁寧に描いていたが、逆に観る側が楽しむ状況の想像性を奪うことになった。
これは観客の受容性の問題かもしれないが・・・。
上演時間約2時間を考えれば、同一シーンは割愛し、状況説明はある程度観客の想像に委ね、メリハリの効いた公演にしてはどうか。

また、演技は“パワー”、“情熱”という力強さを感じたが、一方“間”、“情感”が乏しく一辺倒な観せ方になったと思う。

公演全体としてみれば、良い所(演出の丁寧さ、熱い演技)が勝った好公演だと思う。
HAPPY END

HAPPY END

劇団ORIGINAL COLOR

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2014/08/28 (木) ~ 2014/08/31 (日)公演終了

満足度★★★

もう少し演出に妙があれば…
芝居の導入部は”ゆるくて、えぇ~”、結末は”ピリッとし、おぉ~”という、最初・最後に違和感のある演出・演技であった。
たぶん脚本は面白く、また考えさせる内容になっていると思わせるが、それを伝えきれていないところが残念であった。

ネタバレBOX

当初、SF・異次元世界の雰囲気を出しつつ、実はバーチャル世界観を見せてくれた。そこには興味深いエピソードがちりばめられており、1つひとつをとって見れば自分の性格的なものに当てはまるかもしれない。たとえば、「シャイで女性と話すのが苦手」、「しっかりサポートする役目を果たす」などである。
脚本は芝居全体をバーチャルで包み、オチをつけて観せてくれた。導入部にあるセリフ「繰り返し」が暗示していた。この”バーチャル・メモリ・システム(仮想記憶方式)を利用したストーリーは面白かった。
一方演出は、その(魅)せ方が足りなかったと思う。場面転換にメリハリがない、もしくはその方法がワンパターンのように思われた。たとえば、舞台上(または舞台裏も使用)をクルクル回るだけで、目先の変化がない。観客へのアプローチに変幻を持たせることで集中力・感情移入を図ってほしい。
また演技は、総じて淡々としており、魅力ある人間像が描けていないように見えた。最後のオチに結びつけるには、もっと人間らしく(見)魅せ、実はバーチャル内の存在というギャップ感を上手く演じて欲しかった。
脚本の書き込みが演出・演技に十分伝わらない、それこそ絵空事になっているようで残念でならない。
次回公演を期待しております。
のらん

のらん

TEAM 54

博品館劇場(東京都)

2014/08/29 (金) ~ 2014/08/31 (日)公演終了

満足度★★★★

大塩平八郎…
“のらん”、だそうだ。シャレたタイトルから推察できるように、ポップ調の楽しい演出である。30人の男優だけの歴史群像劇…時代は江戸・天保8年のこと。当時の大飢饉に際して庶民の側に立った大塩平八郎、その名は日本史教科書に必ず出てくる。
さて、本公演の平八郎はどちらかといえばカッコ悪いが、どこか愛嬌のある人間くさい描かれ方である。時代背景や“乱”を詳細に描くわけでもなく、さりとて人間性を深堀することもない。また、時代劇にある殺陣もない。しかし、しっかり2時間30分程観(魅)せてくれる。娯楽時代劇に徹底した制作だから、歌やダンスをふんだんに取り入れたエンターテイメント作品に仕上がっている。
フライヤーの「実話を元に描くアラフォー全力投球のヒストリック・コメディ!」はウソではない。

ネタバレBOX

主人公は、元・町奉行組与力という侍であるが、その人物像は優柔不断で頼りなく描かれている。しかし、その取り巻きの人々は平八郎を尊敬しており、何くれと世話を焼いている。
多分、実話と違うであろう人物像を前田耕陽が魅力的に演じていた。

フライヤーにある 「総勢30名の男だけで送るどうしようもない失敗ばかりの物語~前田耕陽芸能30周年記念公演」 を十分堪能した。
アムステルダムの朝は早い

アムステルダムの朝は早い

劇団半開き

インディペンデントシアターOji(東京都)

2014/08/27 (水) ~ 2014/08/31 (日)公演終了

満足度★★★★

興味深い
留置場と拘置所の違いは漠然とわかっていたつもりだが、その施設の間には行政管轄の違いだけではなく、もっと大きな違いがあるようだ。学生の時、民事訴訟法、刑事訴訟法という講義があったが、民訴=眠訴、刑訴にいたっては履修したかも忘れてしまっている。しかし、この公演を観て”驚訴“または”恐訴“した思いだ。
さて、人間「魔が差す」ことはあるだろう。この公演は、普通に生活していた人間の透けた間が生んだ、取り返しのつかない話。そして「真が射す」こともなく、現代日本における法・制度の悪弊、しかし、そこでは常識や道理が通じない恐怖がよく描かれていた。
たぶん、細かい齟齬はあると思うが、先に記載した法制度、行政という枠構造への鋭い批判、一方、自己の曖昧な感覚に基づく道徳感や正義感は、法という枠内では意味を持たない。正義とは、その基準は何か(国によって違う)という主人公の叫びは考えさせられる。とても興味深い公演だった。
最後に、総じて若いキャストだが熱演で見せてくれた。
この公演は、劇団”半開き“以上の“八分開き”で、今後の公演が楽しみである。

赤と黒=RED&BLACK

赤と黒=RED&BLACK

劇団ドガドガプラス

浅草東洋館(浅草フランス座演芸場)(東京都)

2014/08/22 (金) ~ 2014/08/31 (日)公演終了

満足度★★★★

「ピンクと黒」…のような
○○商業高校における歴史認識からの発展話。芝居にダンス・歌を織り交ぜた舞台というところだろうか。その混合舞台の中で2名の玉石が舞台を牽引する。もちろん「中田有紀」と「ゆうき梨菜」である。
スタンダールの「赤と黒」の主人公:青年ジュリアン・ソレルが大女優に成長していく樹里杏 逸涙(中田有紀)になり青春・恋愛・野心・嫉妬という人間ドラマ。そしてフランスの支配階級の腐敗を鋭く批判した小説は、この舞台では日本の満州における映画を通じた文化浸透に関与する樺島芳子(ゆうき梨菜)に置き換わり・・・面白く観せてくれた。
さて、タイトル「赤と黒」ほどに際立ったコントラスト(階級間差)は観られず、むしろ華やかな舞台女優の内なる絶叫のように感じた。その意味では”赤”ではなく、妖しい華=ピンクというイメージであった。
ところで、冒頭書いた○○商業高校は、実在する高校名に酷似しており、その高校の演劇部は某演劇祭に参加することになっている。本公演の出演者に関係あるのだろうか。

空 -SORA-

空 -SORA-

劇団ZAPPA

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2014/08/21 (木) ~ 2014/08/31 (日)公演終了

満足度★★★★

面白い!
「天」チーム観劇。典型的な娯楽時代劇…幕末における勝海舟とその父(小吉)の物語だが、父と子の話を交錯させ、さらに時代背景を絡め物語を紡いでいく。
父子の話が別々に進展するが、終盤それが結びつき見事な結末へ…。また、公演全体がポップな感じであるが、“勝海舟”のエピソードとして有名な場面は、時刻期限を設けた約束事を織り込み緊迫感を持たせた。緩急ある演出は実に見事であった。
最後は、公演タイトル「SORA」という言葉が生きてくる粋な仕上げ。

ネタバレBOX

[SORA」の直接的な音は、長屋の娘の名が「そら」という。その娘は段々と記憶が無くなる病だという。その娘に何か強烈な印象を残そうと”空”に飛ぶことを試みること。そして、弱者としての庶民が下ばかり向いて、の対語として空を見上げろとの激励語。
空を飛ぶ場面は、西郷隆盛との会談時刻に間に合わせるシーンと、娘「そら」が彼女に想いを寄せる青年と一緒に飛ぶシーンの2回である。この時、舞台上には多数の障子が並び、さながら羽ばたくイメージになり印象深い。
さて、海舟は幼いころの記憶から父に嫌悪感を抱いていた。しかし、父の友人から真相を聞きわだかまりが氷解していく。
ラストは、海舟が誕生したシーン。舞台中央で小吉が赤ん坊を高く抱き上げて、周りを多くの人が手を上げて祝福したところで終幕。そこに色々な思いを込めた”SORA”が観える。
自分の勝手な思いであるが、子・海舟を通して政(まつりごと)を、父・小吉は市井の人々の生活を…立場・視点を変えることで、当時の状況・世相を上手く描いたところに好感を持った。

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