タッキーの観てきた!クチコミ一覧

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マイ・ベル

マイ・ベル

演劇ユニット パラレロニズム

d-倉庫(東京都)

2015/06/11 (木) ~ 2015/06/14 (日)公演終了

満足度★★★★

幕上がるまで…
劇団の得意分野(シチュエーション)での公演…上演時間2時間30分(途中休憩)は、少し長い感じもしたが、最後まで飽きずに観られる。それだけ好公演だと思う。
舞台セットで気になることが…。

ネタバレBOX

舞台セットは奥行きを利用し、手前客席側を舞台稽古場、奥は脚本家で兄の家の居間といったところであるが、その設置場所が高すぎる。前から3列位までは見上げるような感じになる。その高さが本当に必要だろうか。

この公演は劇中劇の手法を用いており、その意味ではいつも行っている公演までの起こりそうなエピソードを織り交ぜ、興味深く観せることが出来るだろう。逆にそれだけ観客を引き付ける魅力がなければ”普通”の公演になってしまう。
本公演は、登場人物と劇中劇に選んだ「小さな貴婦人たち」が良かった。まず、登場人物は元女優の立原冴子(池田三千世さん)の立場と内心葛藤、その子 立原みちる(舘内美穂さん)という実親子を中心に、劇団キャスト、スタッフを擬似家族に見立てたハートフルストーリーは、練習(?)を兼ねた稽古日記でその心情を吐露させる。その自然な流れは上手く、また日々の経過は日めくりで示すことで、劇中劇の仕上がり程度(段々良くなる様子)が分かる工夫が面白い。この色々なバックボーンを持った人々(キャラクター)を通して出来上がってくる公演...もちろん、本公演「MY BELLE」のことであるが、観応えがあった。

次回公演も楽しみにしております。
マインドファクトリー~丸める者たち~

マインドファクトリー~丸める者たち~

かわいいコンビニ店員 飯田さん

インディペンデントシアターOji(東京都)

2015/06/10 (水) ~ 2015/06/14 (日)公演終了

満足度★★★★★

嫌悪感がするが、芝居は凄い!
かわいい劇団名とは違う、嫌悪感のする内容である。観客の受け取り方に違いがあるだろうが、それだけ芝居...自分は演出・演技に見応えを感じた。
この芝居から感じるのは、いろいろな柵(しがらみ)、閉塞感から脱却したく、もがく若者がいるという印象である。
この公演の目を背けたくなるような迫力、圧迫感は半端ではない(芝居としては好意的な意味)。

少し気になる所もあるが...。

ネタバレBOX

弱小野球部から強豪校へ変貌してきた、地方の高校野球部が舞台。劇団主宰の池内風 氏の実話のようにも思える。この地方、ナレーションでは人口5,000人程の町で、その希望、誇りがこの高校野球部(存在)である。この強豪校へ育て上げた監督(永田祐一郎役=山森信太郎さん)の嫌らしさが鼻に付く。球児達を力で押さえつけ、屁理屈のような理論を言い、なぜか説得力、納得性ある言葉に聞こえるから不思議である。それだけ台詞が立っているのだろう。この監督の悪辣感ある演技がこの公演の見所の一つといっても過言ではないと思う。まさしく、”ハマッテ”いた。

舞台セットは、野球ネット(もっと粗い)サークル(2m以上の高衝立)のようなものを可動させ、その組み合わせで状況設定をイメージさせる。いわゆる薄暗い中での場面転換をする。その都度、キャストが力仕事をする。この場面転換が頻繁に行われ、始めのうちは違和感を持った。公演全体を通してこのスタイルは続くが、段々と芝居の迫力・強烈さに押され、自然と見入るようになった。

キャストの球児達は全員が坊主頭になっており、役作りへの姿勢も素晴らしい。この監督の理不尽に向かう純粋さと若さゆえの懊悩を上手く表現していた。それも球児達の家庭環境、置かれている立場も絡めながら、丁寧に描いており、キャストはその意を十分現していた。

地域、学校、家族、仲間...その狭い繋がりの中で、それぞれが持つ、または持たされる期待と誇りが当人達をジワッと追い詰めていく。このまとわりつくような嫌悪感、閉塞感が、実際ありそうで、それが表面化しないだけ。そのような危うい問題を内包しているようで、実に上手いシチュエーションである。

先に記載した気になる点...途中で挿入された、”鶏の場面”は何を意味しているのは分からなかった。弱い物(者)苛めのイメージか。
もう一つは、薄暗い中での場面転換が多いこと。状況設定のための場面作りは分かるが、その状況はセットを動かさなくてもイメージができる。それよりも物語の流れやテンポの良さを優先して観せたほうが、という思いである。

公式の2時間20分を越えていたと思うが、最後まで迫力・緊張をもって駆け抜け、その長さが気にならなかった。実に見事であった。

次回公演も楽しみにしております。
組みしだかれてツインテール

組みしだかれてツインテール

劇団子供鉅人

シアター711(東京都)

2015/06/09 (火) ~ 2015/06/16 (火)公演終了

満足度★★★★

組みし抱かれて二つ結
○禁をイメージする場面の幾つか…。妄想が暴走し収拾がつかないように感じたが、芝居でよく使われる収め方であった。その意味では新鮮味はなかった。しかし、上演時間2時間は、長いと感じさせないパワフルストーリー。

ネタバレBOX

一人の女子高生の妄想、その内容を擬人化した人物が登場し、高校3年生における1年間を、いろいろなエピソード、イベントを織り込みアップテンポな展開をする。

タイトル「組みしだかれてツインテール」であるが、チケットは「組し抱かれてツインテール」と直接的な記載になっている。登場人物の女子高生はみなツインテールで、S○Xシーンでは、その髪を振り乱して...。あくまで妄想で、日常の女子高生もそんなことを...こちらが変な想像をしてしまう。

学園では”妄想彼氏”を引き連れ、春の花見、夏の体育祭、秋の文化祭、そして冬の卒業式における学園内の苛め集団との対立を通して、仲間との絆を深めていく。楽しい学園生活を送りたい、そんな普通の高校生の妄想が、姿見の中に反意のように浮き彫りになってくる。

キャストは生き活きと舞台を駆け回り、その熱量は半端ではない。一人ひとりのキャラが立ち、みんな愛らしく見える。その彼女達にも妄想彼氏が付いており、この繋がりが後々重要になってくる。
一年間を通した苛めグループとの服従と対決は、最終局面(処女寺)以降の戦闘シーンで妄想彼氏が死(消滅)していく。この場面は、それまでの笑い笑いの連続から、少し悲哀が感じられる感動シーン。この観(魅)せる演出...自分は好きである。

公演全体を通じて、序盤は”身の下軽薄な物語”と思っていたが、認識違いをしていた。しっかり観させる脚本・演出、その意を汲んだキャストの演技が上手くかみ合った好芝居であった。
大事なことは2回書くが、登場人物は多いが、すべて一人の女子高生の妄想の世界である。暴走の収拾は妄想であった。

次回公演(2016年初めまでは、既に3回公演予定あり)を楽しみにしております。

PRESIDENT SURROUND

PRESIDENT SURROUND

劇団スクランブル

シアター711(東京都)

2015/06/03 (水) ~ 2015/06/07 (日)公演終了

満足度★★★★

個性…いや我…
会話は面白いが、そもそものシチュエーションが…。
少し切り口は違うが、定年間近い男が、一日社長に就任するが、その日に限って重大事件が発生し、てんやわんやの騒動が...。その時、誰が責任を取るの、という場面を思い出した。
権力は得たいが、責任は取りたくない、という身勝手(それが理想?)な思いが社長選びの随所に見られる。人間...いや立場や思惑のぶつかり合いが面白かった。

ネタバレBOX

まず、いくらITベンチャー企業という自由度(偏見か)がありそうな会社でも、正式に採用されていない、またアルバイトの人間を交えた社長選びはあり得るのか、堅い事を言えばそうなる。まぁ芝居だからそのシチュエーションもありだとして、全員(さすがに正式採用者されていない者は除くが)が社長就任を狙っている。その社長選びの基準は...リーダーシップから家庭を大事にする人柄まで、ビジョン、職場状況の変化等という自分の立場や環境を主張する、そんな利益代表が話し合いをしているようであった。その項目をホワイトボードに書き出し、名前を挙げる。一見、民主主義のようであるが、社長の”器”というよりは、今まで世話(奢ってもらうなど)になったことも反映される。
社長選びを為政者選びに重ねると、そこは身近な、それこそ仲良し友達が側近になるのだろうか。芝居としての面白さとは別次元で、少し考える内容であった。
なお公演は、会議室という特定場所における、軽妙な会話劇。それは面白楽しい時間で、キャストの素晴らしい演技によるもの。

次回公演も楽しみにしております。
セイサン

セイサン

カテナチオバッカーノ

シアターシャイン(東京都)

2015/06/04 (木) ~ 2015/06/07 (日)公演終了

満足度★★★

エピソードの収斂が…
旗揚げ公演おめでとうございます。

さて、本公演の感想は少し難しく、書き直しをした。
まず第一印象は、幾つかの挿話があり、それらが関連または紡がれ太い流れになると思ったが…。自分の感性が乏しいのか、纏まりが感じられなかったのが残念である。

挿話は、宗教をバックグラウンドにしたものか…例えば「七つの大罪」のようにも感じたが、そこから導かれる全体の物語性が見えてこない。

ネタバレBOX

全キャストが兵士に扮し物々しく登場…このプロローグから、オカマバー、不倫現場などの場面が次々と展開していく。これらの挿話だけを見れば面白い。脚本・演出家の岡村尚隆 氏は、描きたい話が沢山あったと思う。場面の切り出しは観せるが、公演全体を通して観た時、何を描き主張したかったのか、そこが曖昧なように感じた。想いだけが空回り…芝居は、劇団と観客のキャッチボールのようなもので、観る人がある程度分かる(全部説明すると余韻がないと思われる…感覚が難しい)ことが必要ではないだろうか。
芝居であるが、オカマバーのシーンは傲慢、嫉妬、憤怒が、ラブホテル(不倫現場)では、強欲、色欲などが観てとれる。また演出構図としては、最後の晩餐会、十字架を背負いゴルゴダの丘へ…その挿話イメージを演出する力量は見事である。
これだけの話がバラバラで纏まらない、収斂しないのは残念である。まず何を伝えたいのか、そのための挿話と構成があると…。
キャストは、総じて若いと思われるが一生懸命であり好感が持てた。

次回公演を楽しみにしております。
シューキン演劇大学劇団「イワーノフ」

シューキン演劇大学劇団「イワーノフ」

ロシア文化フェスティバル

シアターX(東京都)

2015/06/02 (火) ~ 2015/06/02 (火)公演終了

満足度★★★★

流れる気持…
ロシア文化フェスティバル2015 IN JYAPNの一環としてワブタンゴフ記念国立アカデミー劇場付属 B・シューキン記念演劇大学劇団による日本公演である。
「イワーノフ」(アントン・チェーホフ作)は、1888年の初演の時には激しい議論を引き起こしたらしいが、、生活的な真実とありきたりではない人物像とストーリーが高く評価されたそうである。今回の2幕:2時間15分(途中休憩)では、気持の有り様を求める会話のぶつかり合いが素晴らしかった。 

梗概は、新しい社会を実現するために理想と奉仕に燃えるロシア中産階級の知識人イワーノフは、ユダヤ人のアンナと結婚する。そして5年の歳月が経った今、イワーノフは仕事や結婚への理想が破れ、自分の人生が失敗であったと思い始めた。彼は借金を抱え、彼の妻は胸(肺炎)を病み、死を間近にしている。隣人たちはそんなイワーノフの家庭を悪しざまに噂するが、若い娘サーシャだけは、彼を愛し彼との結婚を望んでいる。イワーノフはサーシャに新しい人生への希望を託そうとするのだが……。

ネタバレBOX

イワーノフは、彼の生きている社会情勢に絶望感を抱いている。自分を取り巻くすべてのものが自分を非難していると思っている。イワーノフは言葉をいくら尽くしても、誰も自分を救ってくれないし、新たな理想へ向かって行動することもできないと思っている。そして、自分が誰からも理解されないという強迫観念にとらわれ、ついには妄想の世界に逃避し、狂気の世界に落ちていく。

その原因は、金持ちの娘であるアンナと結婚したが持参金を得ることができなかったからだと言うが、最大の原因は、彼女がユダヤ人であったからである。イワーノフは理想主義者として社会変革に身を捧げる一方、人種差別という壁を乗り越えなければならないと考え、アンナと結婚する。そのようにして理想を実践しようとしたが、失敗する。彼はアンナへの愛情が醒めた理由を他の女との愛のためだと非難されると、「黙れ、ユダヤ人」とアンナに叫んでしまう。それまで懸命に否定してきた差別意識を、もっとも深く持っていたのが自分自身であったことに気づく。彼は自分の生き方を決定してきた基準がいっさい崩れたことを知り、廃人のようになる。どんなに言葉を費やしても自己正当化の物語を作ることのできなかった男の虚ろな内面が谺している。
イワーノフは隣人達との意思の疎通ができない絶望感に陥る。自分と他人同じ人間ではないと強弁する心理の反映物です。

社会的に挫折した一人の男がどのように自分自身を疑ったり励ましたり、あるいはどのように外の世界を見たり感じたりしたのか。チェーホフの作品の民族・国境を超えたメッセージの普遍性、民族・国境を超えて人を惹きつけるチェーホフという人の偉大さを現している。

次回公演を楽しみにしております。



この素晴らしい世界は〜another perfect world〜

この素晴らしい世界は〜another perfect world〜

マニンゲンプロジェクト

「劇」小劇場(東京都)

2015/06/03 (水) ~ 2015/06/07 (日)公演終了

満足度★★★★

ざわざわ感…
マニンゲンプロジェクトが描く非真人間の集合体の物語。幸せの捉え方、尺度は人それぞれであり、そんな当たり前の事が情感たっぷりに描かれる。
人間の…それも身内の醜悪な側面を抉り出しコメディタッチで観(魅)せながらである。しかし、その面白さの中にある、脚本・演出家:町田一則 氏の醒めた目が怖い。

ネタバレBOX

生まれながらの肢体不自由な主人公(下田修平さん)を中心に、母違いの姉との対話から物語が始まる。体は不自由であっても意思はしっかりしている。しかし会話が出来ないから意思表示も出来ない。その状態が幸せか否かという、姉との精神的な会話が心に沁みる。一方、父親の七回忌で集まった親族の我が儘極まりない醜聞が鼻につく。自由であることは、それだけ色々なことを考え悩みもする。逆に不自由であれば、受容するという解放感も生まれる。不自由=可哀想という構図ではない。その視点、発想の転換を問う。このテーマと言える問いは、観客に投げかけられた。芝居としては、テンポよく、自分勝手な身内の面白動作や台詞を見聞きして楽しむ、その魅力を感じることが出来た。

個人的には次男(家督を継いだ、主人公の父親)の独白シーン…案外本音であるから迫力があった。また問いは、やはり人間が生きることは、摩擦も含め能動的なことだと思っている(きれいごとか?)。
演技は、芸達者なキャストのバランスある掛け合いと迫力ある動きが見事であった。

次回公演も楽しみにしております。
いしだ壱成主演「俺の兄貴はブラームス」

いしだ壱成主演「俺の兄貴はブラームス」

劇団東京イボンヌ

スクエア荏原・ひらつかホール(東京都)

2015/06/03 (水) ~ 2015/06/05 (金)公演終了

満足度★★★★★

素晴らしいの一言
この公演の最大の魅力は、観客に「芝居と音楽を融合」させたファンタスティックな世界を楽しんでもらう、そんな思いやりが感じられるところである。
舞台後方を少し高くし、そこにオーケストラ(17名編成)を配置し、客席の全方位に楽曲が聴き取れる工夫をしている。通常であれば、ピットでの演奏になるが、会場(スクエア荏原ひらつかホール)はオペラ等の専用劇場ではないため、芝居と融合させるには難しいと思う。演奏者は少し高いところから、芝居だけではなく、客席まで見えてしまい集中力を保つのが大変であったと思うが、見事に演奏していた。逆に観客としては、クラシック音楽と芝居の両方が楽しめた。

ネタバレBOX

この公演は、着想と構成が良かった。まず、着想であるが、バッハ、ベートーヴェンという巨匠...この傑物を超える人物が現れるのか。そんな時、彗星のごとく現れるヨハネス・ブラームス。そして兄の才能とは雲泥の差のある弟フリッツ・ブラームス。本公演ではその弟にフォーカスし、大作曲家ヨハネスとの対比を通して人間的魅力を浮き彫りにする。その姿は、信頼、羨望、時には嫉妬という人間の持つ感情を現しているが、その心底は兄への尊敬...。兄ヨハネスの心情は、弟を持て余しながらも愛し、その心の移ろいが師シューマンとの出会い、その妻クララへの思慕、愛情がわかり易く展開する。
クラシックというと、堅苦しい感じもするが、この公演では、コミカルな場面、悲哀な場面等々、その状況に応じて奏でられるため自然と聴き入る。そして、場面転換が名曲(多くの観客が知っている馴染みのあるものばかり)によってされるのだから贅沢である。この奇を衒わない選曲こそ、観客に親しみと楽しさを持たせ、芝居(物語)の面白さと相まって、この公演の魅力を引き出している。その意味でキャスト(俳優、声楽家、演奏者、バレエダンサー)の演技、演奏、舞踊はもちろんであるが、音楽監督:小松真理 女史の選曲・構成は見事であった。特にシューマンに認められた「ハンガリー舞曲」は、ドイツ各地の演奏旅行での採譜であり、そのリズムは楽しませる。また編曲で名高いリストを登場させ、ヨハネスの古典音楽...当時の音楽をめぐる有り様についても一石を投じる、など幅広い視点が盛り込まれており観応え十分であった。
芝居は、ベートーヴェンの第九交響曲の第十番目ではなく、ヨハネス・ブラームスの第一交響曲として...弟フリッツ・ブラームスの思いは、兄のこの曲によって昇華されたようだ。

また、自分が気に入ったのが、照明技術である。舞台上に芝居スペースと楽団スペースがあり、その照度・照射角度を調整することは難しかったと思われる。それは客席からも分かる多重射光で見事に観(魅)せていた。

最後に、日本ではオペラ等の専用劇場はそれほど多くない。あっても東京を始め大都市が中心であろう。今回の公演スタイルであれば、ある程度の設備を備えた劇場でも上演可能のように思える。演劇・音楽等は文化であり、多くの人に親しみ、楽しんでもらいたい、という姿勢が素晴らしい。
このような試みに果敢にチャレンジしている主宰、脚本、演出の福島真也 氏のご活躍に期待したい。

本当に素晴らしい公演、次回も楽しみにしております。
アイ色バースディ

アイ色バースディ

劇団光希

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2015/06/03 (水) ~ 2015/06/07 (日)公演終了

満足度★★★★

土木女というより、三姉妹。
土木業界で働く姉妹のハートフルドラマ...その根底にある思いは、”従業員も含めた家族愛”である。家族内での思い遣りは、その思いが強ければ、それだけ悩みも深い。そんな気遣いの誤解が招いたことは…。

「劇団光希」の第20回記念公演は、劇風であろうか、優しく人情味たっぷりであった。好公演が前提であるが、土木を謳うのであれば、もう少し社会性を加えた幅広い捉え方でもよかったと思う。

ネタバレBOX

まず、舞台セット・美術や照明の効果がよかった。セットは上手を階段2段分高く設え、事務所居間(敢えての表現)をきり出し、そこに継テーブル、ミニ椅子が数脚。奥壁には台所も見える。下手客席側には2掛ベンチと暖缶、、その奥には、4~5段高くした橋(?)が下手袖に架かる。また、照明は盛上げ場面こそ、当該部分に柔らかさを感じさせる照度にする。その感性は観客(自分)の居心地よくする。
細かい気づきとしては、冒頭の土嚢を運ぶシーンを始め、音響と被り何箇所かで台詞が聞き難いところがあった。また、土木といえば重厚のイメージであるが、本公演ではそのイメージ場面(冒頭の土嚢運搬、中盤の掘削運搬など)に迫力・緊張感があまりない。できれば土嚢には風船か布を詰めた模擬を使用する、ツルハシ、ショベルなどを持ってイメージさせてはどうか。

さて、公演梗概の中で、三姉妹の母親がそれぞれ違うらしいが、弟の母親も違うのだろうか。父親が急逝した時の様子が心配になっているのと同様、母親との関係はどうだったのか。それぞれの母親とは死に別れ、生き別れによる離婚だったのか。そしてこれほど姉妹、弟の家族愛が育まれた家庭環境に興味が惹かれる。そのエピソードがあると、お互いに思い遣る心情に深みが増すような気がする。

この職業(下請け土木会社...時田組)に対する着眼点がよい。2020年の東京オリンピックに向けて土木・建築の需要がある時期であり、一方、東日本大震災の復興もあり、人材不足が言われている。その現況を背景にした社会性が観えれば、物語に幅と深みが出たと思う。その表現として、もう少しストーリーに盛り上がりがあれば...例えば3Kと言われるゆえに、働く人が強いられる課題(安全面・健康面など)への問題提起を多少のトラブル(今回は熱中症であったが、個人的な健康管理として描かれた)を絡めると、ドキドキ感が加わり、さらに観劇の集中力が高まると思う。ちなみに2015年3月期決算、ほとんどの大手ゼネコンは好決算であったが、下請け子会社、孫会社はその恩恵を受けていない、というアイロニーがあっても面白い(公演でもその葛藤が垣間見えたが、直接伝わらない)。実は、この描きがないと「土木」の意味合いが薄れると思う。

公演全体を通じて、テーマ、主張の着眼(女性の視点...男女平等推進施策の奨励時の土木、東京オリンピック・震災復興時の土木、労働者派遣等をめぐる労働法制等々、今日的話題を含んでいるが)は家族愛としての視点でもよかったが...。

劇団”光希”の劇風は大事にしつつも、20回記念公演であればこそ、いくつかの話題を盛り込むことができた”好機”だったのでは...。


劇団光希のますますの興起を祈念し、また次回公演も楽しみにしております。
マジカルランナー。

マジカルランナー。

TEAM花時。

阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)

2015/06/03 (水) ~ 2015/06/07 (日)公演終了

満足度★★★★

スタミナ勝負…観応えあり
フルマラソンを人生にたとえれば…そんな思いを脳内で葛藤したパワフルストーリー。脳内で食欲・性欲・睡眠欲の(男)三大欲が駆けめぐる。演出は、阿佐ヶ谷アルシェという小劇場で回転舞台、スクリーン-プロセスを使用して観せる工夫をしていた。
回転舞台で、キャストが何回力仕事をしただろう。それでなくても、スポーツドラマで体力を使うだろう。
また、キャスト1名が舞台転換しても上映時間中(約2時間)は走り続けており、マラソンイメージを観客に持たせる。そのため後向きで舞台袖近くをランイングしている。その熱意は伝わる。

ネタバレBOX

梗概は、高校時代には将来有望な長距離ランナーとして期待されたが、人間(男)の持っている三大欲の影響で、人生に大きな転機(躓き)がきた。その後の人生は平々凡々で、流される人生を送っていた。その契機となったのが、高校時代の駅伝大会前の三大欲、その結果、駅伝の次走者が無理をし大きな事故を起こし、自責の念から自暴自棄になった。そんな人生を送っていたが、ひょんなことから地元フルマラソンを走ることになった。
この現在のフルマラソン(走行中)と、高校時代の回想という現在と過去が交錯する。シチュエーションとしては面白く、演出も観せる工夫をしている。それゆえ分かり易いが、一方、登場人物が多く、その存在(判定者、案内人-ストーリーテラー?)理由が分かり難いし、キャラクターの確立が出来ていないようだ。

本公演の疑問として、高校時代の教師2人(陸上部顧問、副顧問)が登場するが、共に鬼籍だという。その死因が自責の念による遭難死である。脳内回想であれば、死人にする必要もないのでは…。

公演全体は、ポップ・コメディ風のようであり、その雰囲気であれば予定調和かもしれないが、立ち直りを恩師に報告でも良かったと思う。
演技は、安定しており楽しませてもらったが、ただ母親(津田菜都美さん)は、若すぎたかも。
次回公演を楽しみにしております。
Dreams ∞永遠∞

Dreams ∞永遠∞

アブラクサス

調布市せんがわ劇場(東京都)

2015/06/02 (火) ~ 2015/06/03 (水)公演終了

満足度★★★★

脚本は良かったが...
「奇跡の人」を象徴する有名なシーン、それは「万物」には名前があることを認識させる、その代名詞として”worter"が発せられる。その音声は、(歓喜)咆哮のようである。本公演は、これ以降のヘレン・ケラーを描いている。


ネタバレBOX

ほぼ、素舞台(場面に応じて、テーブルと椅子、または井戸をセット)で、客席前のスペースも使用し、場所の違い、時間の経過を現す演出である。
さて、障がい者に関する社会的な取り組みをしていることは知っていたが、労働運動、女性地位向上の運動、さらには体心離脱を経験したことについては知らなかった。

本公演では、前半部分が有名な「奇跡の人」...ヘレン・ケラーと家庭教師アニー・サリバンのぶつかり合いながら、相手を理解したい、自分を理解してほしい、との身体ごとの対話を重ねていく。人間の幸福とは何か、人と人との出会い、交流が持つ力とその可能性を描いていると言えよう。後半が、認識後の歩み...自我の確立とそれに基づいた使命感に従った人生のようである。その気持の現れが労働運動等の広範な活動に繋がっている。

芝居としての前半部分は、身体的(動)なぶつかり合いもあり、表現の激しさとそれに伴う迫力があった。一方、後半部分は精神的な自立(使命感)は、当時の社会情勢に受け入れられない思い、しかし、それでもヘレン・ケラーの思考力(静)は変容しない力強さがあった。その動・静の対比表現は面白かったが、スピリチュアルなシーンは、描く必要性がないと思う。
演技は場面によって良し悪し(かたい)が見られ、安定していなかったようだ(初日のため緊張?)。また暗転時間が長く、集中力を欠いてしまうので注意が必要である。

次回公演を楽しみにしております。


Béranger

Béranger

EgofiLter

シアター711(東京都)

2015/05/13 (水) ~ 2015/05/17 (日)公演終了

満足度★★★★

紡いだ話...
不条理劇の旗手である劇作家イヨネスコの原点を探る旅...。
いくつかの物語を紡ぎ、ひとつの大きな物語を構成していく様は面白い。それが20世紀中頃のルーマニア...その時代・国の特異な事情が盛り込まれ興味深い公演であった。
しかし、2時間の公演の中には...。

ネタバレBOX

丁寧な制作であるが故に、色々なエピソードを挿入しそれを全て説明しようとしている。この物語が進展するにつれ、登場人物のうち誰の目線で描いているのか分からなくなる場面があった。複眼(複数の登場人物の目線)もしくは重層(時間経過と立位場所)した演出は、時として観客の思考が追いつかない。ラストシーンに納得性を得るには、中盤の流れを分かりやすくしてほしい。
モチーフは、ルーマニアの国情と民族問題をイヨネスコという作家の足跡と作品から読み解くように物語は展開し、とても興味を惹いた。国情としては不安定、その状況下における民族や宗教の問題が深淵を覗き込むような、そんな奥深さを感じる。
企画としては面白いが、その背景を理解できるか否かによって評価が分かれるところ。

次回公演も楽しみにしております。
2ファミリーホラーハウス

2ファミリーホラーハウス

マグズサムズ

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2015/05/27 (水) ~ 2015/05/31 (日)公演終了

満足度★★★★★

日暮家バージョン…おもしろ~い
まずテンポがよく、上演1時間40分がアッという間だった。「シチュエーションコメディとしての安定感は保ちつつも、お客さんが想像つかないような展開の物語...」は、観客も走りこんでいるような爽快感があった。そして緩い教訓的なことも盛り込み、泣き笑いを誘う公演であった。

ネタバレBOX

まず、登場人物(幽霊)のキャラクターが愛らしい。やはりキャラが立たないとストーリーが面白くてもコメディにならない。
自分にしか見えない幽霊...義理の父親は非科学的なことは嫌い。そんな、もどかしい気持が笑い笑いの中にも少し淋しい。それはやはり”義理”の家族、同居させてもらっている悲哀でしょうか。幽霊を見ているよりも寒いかも。

あえて幽霊が存在している理由とその昇天していく過程を描くことで、主人公への勇気付けと実父(幽霊)としての親心が胸を打つ。わざとらしいシチュエーションのようにも感じられるが、公演全体を包む優しく、また温かい雰囲気は、終演後に大きな余韻を残す。その意味では優れた効果を出しており、見事な脚本・演出だったと思う。

次回公演も楽しみにしております。

追記
最後に残っていた少女の幽霊はどうなったのでしょうか。
Re・BIRTH-南総里見八犬伝異聞-【完結編】

Re・BIRTH-南総里見八犬伝異聞-【完結編】

super Actors team The funny face of a pirate ship 快賊船

ブディストホール(東京都)

2015/05/27 (水) ~ 2015/06/02 (火)公演終了

満足度★★★★

タイトル“異聞”らしい
原作は、江戸後期の「南総里見八犬伝」(曲亭-滝沢馬琴 作)をモチーフに、本公演(奇伝)が描かれている。原作を読むか前編を観ないと分かり難い点...伏姫と八犬(剣)士との関わりなど…。しかし、そこは「異聞」として、単独した公演として楽しむ分には差し支えないと思う。
そして、本公演の最大の見所は殺陣であろう。
上演時間3時間(途中休憩)。一部ダブルキャストの白龍チームを拝見。


ネタバレBOX

「南総里見八犬伝」は、中国の長編奇伝「水滸伝」がモデルになっていることは周知のこと。この完結編は、八犬(剣)士が集う経過と、里見家を関東管領等から守る戦い、の大きく2つの場面が描かれる。そこに怨霊(玉梓)が絡み、八犬士の行く手を阻むという物語に厚みを加える。この梗概は、「水滸伝」にもある(妖術も出てくる)。

「八犬伝」「水滸伝」の魅力は、弱者の奮闘や不利な立場を跳ね返す力強さ、義侠心、そして妖し場面だと思うが、この公演でも痛快な展開が観客(自分)の心をワクワクさせてくれた。正義としての抵抗…時代が違っても、その姿勢は大切であろう。そのヒントが歴史の中にある。妖し…魔物に操られながらも、人道を求める。八犬士…その人物像は知情意がよく現れていた。

この公演は、観客を楽しませることを第一に考えた、娯楽性豊かなものである。その最大の見せ場が殺陣シーンである。舞台セットの作り込みは少なく、大きく確保したスペースで縦横無尽に動く。とても楽しませてもらった。

次回公演も楽しみにしております。
The Mousetrap ーマウストラップー

The Mousetrap ーマウストラップー

ちゅーちゅーず

中野スタジオあくとれ(東京都)

2015/05/29 (金) ~ 2015/05/31 (日)公演終了

満足度★★★★

旗揚げ公演…成功でしょう
2時間15分(途中休憩10分)の上演は、ほとんど原作通りで、その魅力を十分引き出していたと思う。その意味で旗揚げ公演は成功したと思う。
本公演は、その登場人物をどう描くかが課題であろうが、その点、キャストの熱演が素晴らしかった。

当日ハンプで2幕、上演時間および休憩時間を見た時、笑みが零れた。これだけ忠実に展開するとは思わなかった。
この成功したと思う公演だが、少し気になるところが...。

ネタバレBOX

それは、
①絞殺体が椅子を並べた不安定な上で、なおかつ客席に向けた側臥位状態であった。俯せ状態での絞殺は、短時間では難しいだろう。
もっとも、椅子の上でないと、後部座席の観客から死体が見えないので、演出上の工夫であろう。そうであるならば、仰臥位でもよかったのではないか。
②女主人(モリー・ロールストン=原田侑季さん)が、絞殺体を発見した時は、悲鳴を上げただけだったと思う。しかし犯人は、彼女と対峙した時に「人殺し」と叫んだ、と言っていた。犯人にしかわからない状況を夫人と違う表現(台詞)で言っていた。ミステリーは台詞が“命”である。
③この山荘が孤立しているという状況設定が弱い。霏霏の状況があると、もっと緊迫感があった。例えば、窓枠を作り、雪が積もっている様子、宿泊客のマントに雪が付いている等...些細ではあるが、舞台美術もある程度作り込んでいたように思えるので、もう少し臨場感が出せる力があると思っている。

いずれにしても、次の展開が待ち遠しくなるようなスリルと緊張感はあった。
原作を読んだことがあるミステリーファンの自分でもワクワクしながら観られた。本当に好公演であったと思う。

さて原作の背景には、第二次世界大戦直後のイギリス社会の混乱期がある。戦時中のロンドンでは、ドイツ空軍の爆撃で被害を受けた。子供たちは、安全な地方へ疎開させられたらしい。戦時中、疎開先で虐待されて死んだ子供のモデルがあったという。
今後は、原作の背景にある社会性なども描き、更なる高みを目指してほしい。

次回公演を楽しみにしております。
Without you No life

Without you No life

ラチェットレンチF

シアター風姿花伝(東京都)

2015/05/27 (水) ~ 2015/05/31 (日)公演終了

満足度★★★★★

面白い!!
「ラチェットレンチお得意の、過去と現在の入り乱れる息もつかせぬハイスピード・カットバック・サスペンス。  シリアス成分多めでお送り致します」の説明通り、最後まで飽きさせることなく観(魅)せてくれた。
サスペンスであるから緊張感ある場面展開はもちろんであるが、時々入るコミカルな演出が妙にマッチし、公演全体を通じて圧迫感ではなく娯楽性という媚薬を嗅がされたようだ。
ちなみに劇中にも...。

ネタバレBOX

謎解きの糸口になるのが、犯人がつけている香水。

さて、物語概要は解説に記されているが、警察機構、マスコミの報道姿勢を事件の背景として描き、そこに隠された問題を抉り出す。この物語(娯楽)性と問題(批判)性をうまく融合させた手腕はすばらしい。どちらか一方でも、単にストーリーを追うだけになり、問題の主張ばかりしても面白みに欠けるし、印象がうすい。その点、ストーリーにものめり込めるし、その主張は一面鋭く、かつ人間らしさも含んでおり温かい。

サスペンス&ミステリーの要素が濃い分、舞台から目が離せない。脚本が見事であると同時に、そのストーリーがカット・バックであっても理解しやすい工夫がしてある。多くの場面が設定され、その転換をスムーズにするためキャストの立ち位置や照明によって状況と雰囲気を変える。そしてあまり暗転を利用しないことから、観る集中力が保てたのも嬉しい。

キャストの演技は、昨年(2014年)「落伍者。」(池袋演劇祭優秀賞)を観ており、その力量は知っていた。やはり個々のキャストの力もさることながら、そのバランスのとれた芝居…安定感がこの公演の魅力であろう。

次回公演も期待し、そして楽しみにしております。
 
セーラー服とブルーシート

セーラー服とブルーシート

TOKYOハンバーグ

ワーサルシアター(東京都)

2015/05/27 (水) ~ 2015/06/01 (月)公演終了

満足度★★★★★

メッセージ性が…(ゲネプロ拝見)
とても強い公演である。
セーラー服とブルーシー(青い海)と...のような副題のようでもあった。もちろん女子高内で起こる或る出来事をめぐる話が中心であることには変わりない。一方、その高校や住んでいる環境は、海岸開発が進み、昔のように泳げる海ではなくなった。人も環境も何らかの契機があれば変化していく。それは否応なしにである。

*ネタバレ注意

ネタバレBOX

舞台セットはシンプルで、劇場入り口側にひな壇客席、そしてほぼ素舞台で左右にスタッキングチェアが5脚ずつと舞台中央に1つ。奥壁面に縦に赤い紐(?)も数本と鎖が下がっている。その広く確保した空間での劇は、演出担当の大西弘記 氏の丁寧な演出スタイルが見てとれる。
出だしは、女子高生や教師が一列に、同方向へ行進するような単調な歩み。そのうち、一人二人と左右の椅子に座りだす。その生徒・教師が交錯する様はこれからの出来事の進展を暗示するかのようだ。その単調であるが、それゆえに見える普遍的な人間の心理。この公演ではその深淵が浮かび上がる。

さて、物語は女子高の部活のコーチによるセクハラ...性犯罪に端を発した出来事。そのコーチを放火で殺害した女生徒達と学校側(教頭、顧問、副顧問、殺害されたコーチの甥...理事長の息子で将来の理事長)による真実を明らかにするというサスペンス&ミステリーのような内容は観応えがあった。
その否応なしの状況に立たされた時の錬られた会話...「殺人を犯してならないのは何故」「戦争殺人は許されるのか」という個人と国家の行為の比較論議...その理屈・論理のすり替え、そして生徒と教師の立場の逆転が面白い。そして主張したい世界観は青い海のようにきれいになっていくのだろうか。

一瞬、女子生徒の主張が通り、学校側も事件真相を明らかにしない(警察は事故死の方向)。しかし、最終的には、”良心の呵責にたえきれず”のようになり、ブルーシートに隠され連行される。
場面の中で、女子生徒が自殺を図るシーンがあり、それをイメージする血管(血)と閉塞感が奥壁の赤い紐や鎖に現れているような気もした。

この2団体のコラボは初めてだというが、出演しているB.LET’Sの永島広美さん、土田有希さんは、2014年7月新宿サンモールスタジオでの「愛、あるいは哀、それは相」に出演していたので、演技的には馴染みがあるだろう。
いずれにしても、この合同企画はそれぞれの持ち味が出ており、成功したと思う。

実に観応えのある公演(ゲネプロ)であった。
セーラー服とブルーシート

セーラー服とブルーシート

B.LET’S

ワーサルシアター(東京都)

2015/05/27 (水) ~ 2015/06/01 (月)公演終了

満足度★★★★★

メッセージ性が… (ゲネプロ拝見)
とても強い公演である。
セーラー服とブルーシー(青い海)と...のような副題のようでもあった。もちろん女子高内で起こる或る出来事をめぐる話が中心であることには変わりない。一方、その高校や住んでいる環境は、海岸開発が進み、昔のように泳げる海ではなくなった。人も環境も何らかの契機があれば変化していく。それは否応なしにである。

*ネタバレ注意

ネタバレBOX

舞台セットはシンプルで、劇場入り口側にひな壇客席、そしてほぼ素舞台で左右にスタッキングチェアが5脚ずつと舞台中央に1つ。奥壁面に縦に赤い紐(?)も数本と鎖が下がっている。その広く確保した空間での濃密な会話劇は、脚本担当の滝本祥生 氏らしい。そして、それは今まで観た公演よりも、さらにテーマを鮮鋭にした。その点において問題提起はシャープになったが、逆に観客自ら考える、その委ねる幅のようなものが狭くなったようにも思う。

さて、物語は女子高の部活のコーチによるセクハラ...性犯罪に端を発した出来事。そのコーチを放火で殺害した女生徒達と学校側(教頭、顧問、副顧問、殺害されたコーチの甥...理事長の息子で将来の理事長)による真実を明らかにするというサスペンス&ミステリーのような内容は観応えがあった。
その否応なしの状況に立たされた時の錬られた会話...「殺人を犯してならないのは何故」「戦争殺人は許されるのか」という個人と国家の行為の比較論議...その理屈・論理のすり替え、そして生徒と教師の立場の逆転が面白い。そして主張したい世界観は青い海のようにきれいになっていくのだろうか。

一瞬、女子生徒の主張が通り、学校側も事件真相を明らかにしない(警察は事故死の方向)。しかし、最終的には、”良心の呵責にたえきれず”のようになり、ブルーシートに隠され連行される。
場面の中で、女子生徒が自殺を図るシーンがあり、それをイメージする血管(血)と閉塞感が奥壁の赤い紐や鎖に現れているような気もした。

この2団体のコラボは初めてだというが、出演しているB.LET’Sの永島広美さん、土田有希さんは、2014年7月新宿サンモールスタジオでの「愛、あるいは哀、それは相」に出演していたので、演技的には馴染みがあるだろう。
いずれにしても、この合同企画はそれぞれの持ち味が出ており、成功したと思う。

実に観応えのある公演(ゲネプロ)であった。
『Idiot~ドストエフスキー白痴より~』『コーカサスの白墨の輪』

『Idiot~ドストエフスキー白痴より~』『コーカサスの白墨の輪』

TOKYO NOVYI・ART

シアターX(東京都)

2015/05/18 (月) ~ 2015/05/19 (火)公演終了

満足度★★★★

コーカサスの白墨の輪
原作ブレヒト...戦争の絶えないコーサカスを舞台に、誇り高くも心根優しい人々が大胆に生き抜く寓話劇。
戦時中の1944年、アメリカ亡命時代の最後の作品に、詩人ブレヒトが希望を託して描いた作品である。その希望を観たく劇場へ...

ネタバレBOX

独特の演出手法のように感じた。上手の和楽器の三奏者(ストーリーテラー、擬音・擬声も担当)の調べに乗り、”良心という誘惑”に導かれた結果、苦難の道を歩むことになる主人公グルシェ...その不条理を悲喜劇にした芝居は観応えがあった。

領主が反乱軍に殺され、領主の子供が置き去りにされた。宮殿使用人・女グルシェは赤ん坊を見殺しにできず抱いて逃げる。そう、善への誘惑に勝てず、領主の赤ん坊を背負い込んでしまう。そして苦難の旅を続ける。やがて内乱が終わり、領主夫人が子供を連れ戻しにやってくる。産みの親と育ての親が対立したとき...
一方、同じ時期に、飲んだくれの下級官吏が裁判官にさせられ、イカサマ判決を下し、貧しい者にも正しき裁きをする彼、アクダツは人々に束の間の奇跡の時代をもたらした。

この二つの話が交差し、子供をめぐって開かれた裁判の行方は...本当に子供のことを思った母親は、育てた苦労が報われた。
そして、心に残る場面 「この子供は領主の子と言えば、苦労なく育つが...」という問いに 「そうすれば、この子は黄金で人の頬を叩くかもしれない」と。
そんな心魂揺さぶる名台詞が素晴らしい。

次回公演にも期待しております。
『Idiot~ドストエフスキー白痴より~』『コーカサスの白墨の輪』

『Idiot~ドストエフスキー白痴より~』『コーカサスの白墨の輪』

TOKYO NOVYI・ART

シアターX(東京都)

2015/05/18 (月) ~ 2015/05/19 (火)公演終了

満足度★★★

白痴
東京ノーヴイ・レパートリーシアター公演「白痴」は、前から観たいと思っていた。原作はドストエフスキー...その描く内容は、善良で美しい心根を持った人間がその純粋であるがゆえに、周りの人々との関係で矛盾が浮き彫りになる。その過程を3時間30分(途中休憩含)で観せたが...

ネタバレBOX

脚本・演出はもちろん舞台美術(衣装・小物など)も良かったが、それに相応しい演技が伴っていなかったようだ。
ワークショップ(途中休憩時の観客の発言、自分も同感)のようで、感情移入が出来なかった。その演技は、大げさで白々しく感じられる。その意味ではキャストは生(活)きていないようだ。

スイスで てんかん の治療をしていたムィシュキン公爵が、数年ぶりにロシアに戻ってきた。その道中で知り合ったロゴージン、彼の運命の女性ナスターシャ、そして公爵に思いを寄せるアグラーヤ、4人の複雑な関係は以外な結末へと進む。
その内容は、現代社会における合理主義に対し、もう少し人間主体という視点で物事を考えられないか。いつの時代にも問われる普遍、そして実存する対象を優しく見守る目を持ちたいと思う。そんな人間本質を鋭く問う芝居と期待したが...。もう少し演劇の力を観せてほしかった。

翻訳本を読み、その皮肉と悲哀がどう描かれるのか楽しみにしていただけに残念であった。

次回公演を楽しみにしております。

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