
奴碑訓
Project Nyx
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2018/03/09 (金) ~ 2018/03/18 (日)公演終了
満足度★★★★★
いや、美女、美魔女、女装の林勇輔ANGELA、凄い、凄すぎる。よくこれだけの個性派を集めたものです。プロデューサー=水嶋カンナの力量です。作品の内容をあれこれ言う教養は私にはありませんが、いつもの「寺山語録」のみならず、「宮澤賢治の世界」も登場。『伯爵令嬢小鷹狩掬子の七つの大罪』の延長上の作品のよう。そしてジャン・ジュネの『女中たち』が出発点であることは分かりましたが、舞台は「演劇」と言うより「個性のパフォーマンスの爆発」でした。
今回は、今までのような童話を元にした作品ではなく、妖艶な大人向きの作品。美女が脱ぎまくっていました。でも決して下品なものではなく、幻想的な雰囲気。黒色すみれの歌がこの独特な世界を作り出しているのです。クラシックの名曲がいつもより多く流れます。特に、カッチーニ「アベマリア」、『魔笛』の夜の女王のアリア「復讐の炎は地獄のように我が心に燃え」、これを聴けるだけでも満足ですよ。

カチナシ!
ラビット番長
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2018/03/01 (木) ~ 2018/03/05 (月)公演終了
満足度★★★★
「介護×将棋」がテーマの作品。将棋界は藤井聡太で盛り上がっています。そして介護も大切な現実的な問題。それを繋げてレベルの高い作品を作り出しました。私が何より感心したのは、小さな舞台なのに、舞台上に3つ場面を作り、それを瞬時に展開しているところです。展開の速さが作品にリズム感を与えています。劇団のスタッフさんもとても丁寧な対応、良い劇団だと思います。

真実
文学座
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2018/02/24 (土) ~ 2018/03/05 (月)公演終了
満足度★★★★
今回は文学座では珍しいダブルキャスト、私は「ボルドーチーム」を観ました。そしてさらに珍しいことに、小劇場的な作品。シャンソンが流れる雰囲気は、歌手でもある古坂るみ子に合っています。なぜかいつもより大人しい演技に見える斎藤志郎。郡山冬果は私には初めてかな、主演の渡辺徹の演技の上での慌てぶり。対照的に、一見落ち着いて見える女性たち。やはり女性の方が「役者が一枚上」というのは世の常かと思ってしまいました。
日々の生活の中で、人は「嘘をつくこと」があります。他人との関係を上手くやるには必要なテクニックでもあります。この作品は、そのことを不倫を通して面白可笑しく舞台化しました。主人公の焦る気持ち、男なら分かるでしょう。そして女性の発言や行動も、女性なら心当たりがあるかも知れません。今日は私と年令の近い熟年チーム。身近な感じがします。ぐっと若い「シャンパーニュチーム」の舞台、多分「違う味わい」を楽しめると思います。観たくなりました。

疫病神
ピヨピヨレボリューション
北とぴあ つつじホール(東京都)
2018/02/21 (水) ~ 2018/02/25 (日)公演終了
満足度★★★
テーマは分かります。歌、ダンス、台詞にのせての表現。音楽ライブのような雰囲気。なかなか面白い。単なる私の趣味で申し訳ないのですが、ペンライトを振りながらの観劇は初めての経験、どうも私には合わないのです。

卒業式、実行
アガリスクエンターテイメント
サンモールスタジオ(東京都)
2018/02/17 (土) ~ 2018/02/25 (日)公演終了
満足度★★★★★
「屁理屈シチュエーションコメディ」と言うのですね。多くの登場人物がごちゃごちゃ理屈をこねたり議論をするコメディ。主宰の冨坂氏の母校、千葉県立国府台高校を題材にした作品。代表作の『ナイゲン』の再来。『ナイゲン』では、開演前に「文化祭実行委員会資料」が配られましたが、今日は「卒業式 式次第」が配られました。それも学校側と生徒側の二通りの物。いや、芸が細かい。
「卒業式での国旗掲揚・国歌斉唱問題」、公立学校では、以前はよく議論された問題でした。若い人には一度は学んでほしいテーマです。そして、もし『君が代』を歌うとすれば、「♪さざれ石の」のフレーズで、「さざれ」で息継ぎをしないでほしいといつも聞くときに思ってしまいます。蛇足でした。
生徒が運営する文化祭実行委員会はどこの学校でもあるのですが、卒業式実行委員会って、実際にある学校もあるのですね。「全校生徒で決めた案の通りに準備する」、国府台高校は生徒の自治活動を大切にする素晴らしい学校なのです。いや、でしたかな? 勿論、このコメディは実際にあった国旗国歌問題を元にした作り話です。『ナイゲン』同様、個性溢れる様々な登場人物が面白い。最後までどんな結論になるかが見通せません。緊迫します。でも最後は上手いまとめ方でした。演劇によっては、若い観客と笑いのタイミングが合わない場合が私にはよくありますが、今日は若者と一緒に大いに笑えました。

見よ、飛行機の高く飛べるを
ことのはbox
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2018/02/14 (水) ~ 2018/02/18 (日)公演終了
満足度★★★★
私はこの作品を何回か観ています。もちろん劇団青年座の舞台が最初でしたが、前回のことのはbox、他の劇団、高校演劇なども観ました。今日の芝居を含め、概ね、どの舞台も満足できるものでした。良い脚本だからこそ、何回観ても面白い。そして新たな発見があります。一方、今日感じたのですが、何回か観ていることによって、「役」に対する私の思い込みが出てきました。別にその俳優が下手な演技をしているのではないのですが、自分には合わないと思うことも気になるようになったのです。杉原の雰囲気はOK。光島は人気者に見えましたが、優等生には見えませんでした。中村先生、良いですね。この作品の最大の見せ場は、「聞こえない飛行機が飛んでいる騒音」が、杉原には聞こえる場面です。ここで観客が「その音」を感じることが出来るかどうかです。私はこの重要な布石は、北川操だと思っています。彼女が最後の二人の同調者。1年生ですよね。悩んで運動会に行く場面、とても重要だと思っています。3時間の作品を2時間半でまとめた舞台、長く感じさせませんでした。丁寧に作った良い舞台でしたよ。

人狼TLPT S『未来への十字架』
私立ルドビコ女学院
新宿村LIVE(東京都)
2018/02/07 (水) ~ 2018/02/12 (月)公演終了
満足度★★★
それにしても舞台は色々あるものです。気をつけないと「ネタバレ」になってしまうので概略だけをお話します。話のメインは、ルドビコ女学院の登場人物が「人狼ゲーム」に挑むというもので、これに観客が推理ゲームとして参加します。脚本があるようだけれど、その場の流れで演技をしなくてはいけない場面もあります。出演者は大変ですけど、女優陣のファンにはたまらない面白さ。毎回同じではない展開。毎日、毎回観劇する「濃いファン」はいるのでしょうね。私ですか? 女優陣の区別が付かない。推理に出遅れてしまいました。

iaku+小松台東「目頭を押さえた」
iaku
サンモールスタジオ(東京都)
2018/01/30 (火) ~ 2018/02/04 (日)公演終了
満足度★★★★
とある山間の集落に残る葬送の因習と、ここで育った従姉妹同士の2人の女子高生を中心とした話。最後の事故以外、特に大きな出来事があるわけでは無いのですが、何かとても雰囲気がある芝居でした。このような因習については全く無知なのですが、宮崎弁という方言の舞台が、妙なリアリティを感じました。松本哲也については、「明るい家族、楽しいプロレス」という作品を観たことがあります。この作品と何か共通性を感じました。5月の劇団俳優座の舞台、横山拓也脚本の「首のないカマキリ」にも関心があります。

プレイユニットA→XYZ『200億の客船』/東京カンカンブラザーズ『ラブ・シャーク』
東京カンカンブラザーズ
吉祥寺シアター(東京都)
2018/01/17 (水) ~ 2018/01/28 (日)公演終了
満足度★★★
『ラブシャーク』ですが、舞台は豪華客船『パシフィック・マリン号』。登場人物は多い。乗客たちは問題を抱えている人ばかりで、次々トラブルが起こります。展開は面白い。ただ支配人の女性はしっかりしているのですが、元漁師の船長が頼りない。船長である彼を「笑い」の対象にすると、なぜかテーマである「愛」と「笑い」と「感動」がうまくかみ合わない。シリアスな事件が起きるので、所々に挟む「笑い」がリアリティを損なうものにしてほしくはないと思いました。

いつもいつも君を憶ふ
劇団俳優座
俳優座劇場(東京都)
2018/01/11 (木) ~ 2018/01/21 (日)公演終了
満足度★★★★★
100年というのは長い。100年経てば、全てが変わる。少なくとも、最初から三代目の時代になっています。時代は大きく変化しているはずです。100年経てば、その100年前を知っている人はいなくなるのです。
その100年という長い時代を描く上で、この家族を見守る客観的な物がほしい。作者は、それを「大きな古時計」で表しました。しかもそれを小笠原良知、84歳に演じさせました。これがこの作品に「命」を与えたのだと思います。
老舗、劇団俳優座の俳優陣、層の厚さを感じます。骨太な作風の文学座・山谷典子が俳優座に所属する全世代の俳優陣にあて書きした新作。そして今、最も勢いのある深作健太が演出。年齢層の高い観客が多い俳優座の舞台ですが、この意欲作、是非、多くの若い人にも観て、社会を、日本を、世界を考えてほしいと思いました。

レンジャー
ミュージカル座
光が丘IMAホール(東京都)
2017/12/07 (木) ~ 2017/12/10 (日)公演終了
満足度★★★★★
1970年代の、とある特撮番組の制作舞台裏。いきなり「ゴレンジャー」のアクションシーン。「子供番組」の話? そんな雰囲気から始まりました。主役俳優が降板されるあたりから話が面白くなります。スタッフ・俳優たちの人生がその作品のストーリーと重なり合うのです。オリジナルミュージカル、やりますね。藤倉梓作品、期待通りでした。

~ 上海ラプソディ ~ ミステリアス・ミス・マヌエラ
サンハロンシアター
テアトルBONBON(東京都)
2017/11/29 (水) ~ 2017/12/03 (日)公演終了
満足度★★★★
老人ホームから始まったストーリー。いつ上海に時代が戻るかと期待していました。そして舞台がどのように転換するのかと。なかなか見事だと思いました。しかし、この話が私には分かりにくかった理由は、誰を描いているのかが分からないまま観てしまったことです。フライヤーを飾るベリーダンサー、マヌエラではないのですね。「介護施設での大量殺人事件」についても話題にしていますが、話を複雑にしているだけに感じました。私のもう1つの目的の田宮華苗さんの歌が聴けたことには感謝しています。

「15」
雀組ホエールズ
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2017/11/15 (水) ~ 2017/11/26 (日)公演終了
満足度★★★★
タイトルが「15」、確かに、いろいろ「15」がありました。先ず、15人の役者のキャラが良い。喜劇に登場する人物らしく存在感抜群。でも私は、最初で引っかかってしまいました。銀行強盗の犯行動機。喜劇とは言え、私は未消化のまま、ついて行けなくなりました。嘘でも「リアリティ」がほしい。いろいろ工夫している展開や構成、評価はできます。面白い! うん、もう一皮むければ。。。

グランパと赤い塔
青☆組
吉祥寺シアター(東京都)
2017/11/18 (土) ~ 2017/11/27 (月)公演終了
満足度★★★★
東京タワーが建設中だった頃、私は、あまり覚えていません。そして思い出すのは、映画『三丁目の夕日』。その時代は同じです。ともえが祖父から望遠鏡を買ってもらった。この家族の方がはるかに豊か。特に大きな事件が起こるわけでもありませんが、その時代の人たちの様々な想いを描いています。「良い芝居だ」というイメージなのですが、『三丁目の夕日』同様、やはり「きれい」過ぎる。一部の実業家や商人は別ですが、全体としては、もっと貧しい雰囲気があっても良かったのでは無いかと思いました。

『50ans,j’yvais!(サンコントン ジヴェ!)50歳の私が20代の彼と結婚する方法』
Sky Theater PROJECT
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2017/11/07 (火) ~ 2017/11/12 (日)公演終了
満足度★★★★
嘘と勘違いで次々展開していくコメディー。登場人物がマンガのキャラクターみたいで楽しめました。なんであんな所にダルマがと思ったら、重要な話のポイントになっていました。

アレルギー/日曜日よりの使者
feblaboプロデュース
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2017/11/02 (木) ~ 2017/11/04 (土)公演終了
満足度★★★★
2本立て。1本目は『アレルギー』。若い男女の恋物語なのだが。。。2本目の『日曜日よりの使者』はちょっと難しい。まあ、観て下さい。これぞ演劇でしょうか。演出を観に行ったつもりが、「俳優」の演技力を感じました。わずか4人しかキャストがいないのだが、舞台に立つ役割で顔が変わる、「人」が変わる。彼らの実力を感じました。

青の鳥 レテの森
ハグハグ共和国
萬劇場(東京都)
2017/11/01 (水) ~ 2017/11/05 (日)公演終了
満足度★★★
戦わなければ進めない。目的地はコロニーと呼ばれる地点。参加者は童話の登場人物。いろいろな条件を設定して前半が進みます。出演者が多く、次々、物語が展開する面白さがありました。でも、いろいろ意味のありそうな台詞が、私の中では上手くつながりませんでした。

新~とんびと鷹の捕物帖~『酔いどれムスメとお転婆オヤジ』
劇団岸野組
俳優座劇場(東京都)
2017/10/28 (土) ~ 2017/11/05 (日)公演終了
満足度★★★★
最近、時代劇といっても、普通の衣装や格好で演じる舞台も多く、今ひとつピンときませんでした。その点、きちんと作ってあるのが好感が持てました。場面転換も簡単な背景ですが、上手く流れていました。話の内容ですが、これは好き嫌いがあります。劇団の作品の作り方もあるので良い悪いは言いにくい。歌とダンスでスタート。てっきりミュージカル仕立てだと思いましたが、良い意味で裏切られました。楽しめる舞台を目指しているのよく分かりました。

青い空の下で
貴楽屋
ウッディシアター中目黒(東京都)
2017/10/12 (木) ~ 2017/10/15 (日)公演終了
満足度★★★
私も昭和生まれだが、主人公・貴子は、昭和4年生まれ、かなり上である。やはり戦争が大きな傷になっている。その息子が2010年、50歳を手前に語る母の人生。テーマは良い。うん、気持ちは分かるし、それなりにまとまっている。でも、話が読めてしまうのが残念。居酒屋に集まる人たちも、ありがちなキャラクター、意外性がない。舞台セットも、もう少し工夫がほしい。

死神と9月のベランダ
東京カンカンブラザーズ
ザ・ポケット(東京都)
2017/10/11 (水) ~ 2017/10/15 (日)公演終了
満足度★★★★★
1997年から現在まで時代が進みます。スーパーマーケットの娘・若葉が、幼稚園生から大人になるまでの物語。舞台セットも素晴らしく、きちんと練られた脚本。人生を感じるドラマでした。笑いを散りばめらながら、愛情溢れる展開、この劇団のファンになりました。