ナイゲン(2017年版)
feblaboプロデュース
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2017/08/11 (金) ~ 2017/08/21 (月)公演終了
満足度★★★★★
13人の高校生が1つの議題について、2時間話し合います。あれですよ、レジナルド・ローズの代表作『十二人の怒れる男たち』を元にしています。でも高校という舞台なら、それをヒントに作られた高校演劇の傑作『七人の部長』(越智優作)を思い出します。全員一致の最終結論。でも、この作品、やはり異なります。大笑いの連続なのですから。
ネタバレはしませんが、「印象操作」「一党独裁」と今の政治の世界の縮図ともとれる言葉が横行、そして「浮気発覚」というどうでも良いような話まで、こりゃ、よく練られた凄い舞台ですよ。学校側が突然、クラスについての演目を規定するという設定、ありがちな話と受け取りました。作者は良く学校のことを知っています。
ナイゲンとは文化祭の「内容限定委員会」の略。出演者が劇中で見ている会議資料が、観客にも配布されるのです。我々は会議も傍聴人のよう。思わず、問題の「高校生」に説教をしたくなりました。完全に劇中に入り込んでしまいました。。。お恥ずかしい。(笑)
卒業式、実行
Aga-risk Entertainment
サンモールスタジオ(東京都)
2018/02/17 (土) ~ 2018/02/25 (日)公演終了
満足度★★★★★
「屁理屈シチュエーションコメディ」と言うのですね。多くの登場人物がごちゃごちゃ理屈をこねたり議論をするコメディ。主宰の冨坂氏の母校、千葉県立国府台高校を題材にした作品。代表作の『ナイゲン』の再来。『ナイゲン』では、開演前に「文化祭実行委員会資料」が配られましたが、今日は「卒業式 式次第」が配られました。それも学校側と生徒側の二通りの物。いや、芸が細かい。
「卒業式での国旗掲揚・国歌斉唱問題」、公立学校では、以前はよく議論された問題でした。若い人には一度は学んでほしいテーマです。そして、もし『君が代』を歌うとすれば、「♪さざれ石の」のフレーズで、「さざれ」で息継ぎをしないでほしいといつも聞くときに思ってしまいます。蛇足でした。
生徒が運営する文化祭実行委員会はどこの学校でもあるのですが、卒業式実行委員会って、実際にある学校もあるのですね。「全校生徒で決めた案の通りに準備する」、国府台高校は生徒の自治活動を大切にする素晴らしい学校なのです。いや、でしたかな? 勿論、このコメディは実際にあった国旗国歌問題を元にした作り話です。『ナイゲン』同様、個性溢れる様々な登場人物が面白い。最後までどんな結論になるかが見通せません。緊迫します。でも最後は上手いまとめ方でした。演劇によっては、若い観客と笑いのタイミングが合わない場合が私にはよくありますが、今日は若者と一緒に大いに笑えました。
ありふれた愛、ありふれた世界
雀組ホエールズ
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2016/06/08 (水) ~ 2016/06/20 (月)公演終了
満足度★★★★★
笑って泣けてほっこりする
重いテーマを「笑い」の中で具体的に考えさせてくれました。また単にハッピーに終わらせるのでない終わり方も感心しました。タイトル「ありふれた愛、ありふれた世界」もうまい。テーマ音楽もあり、意欲的な作品に仕上がってます。
ミュージカル『高松心中』
片肌☆倶利伽羅紋紋一座「ざ☆くりもん」
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2017/08/09 (水) ~ 2017/08/13 (日)公演終了
満足度★★★★★
久々によく出来た和製ミュージカル。最初の15分で引き込まれました。何より、7人のダンサーが生きている。たまに見かける「ラジオ体操」のような振り付けで全員で踊るのは勘弁してほしい。今日は歌もダンスも上手いし、「本」もしっかりしていた。「人は幸せになるために生まれてきた」「終わりの無い旅」など、説得力ある台詞も多く、笑わせるだけで無く、考えさせる芝居であることも良かった。
笑顔。(すまいる)
劇団光希
シアターKASSAI(東京都)
2017/09/06 (水) ~ 2017/09/10 (日)公演終了
満足度★★★★★
先ず、劇場に入って驚いた。うどん屋のお店のセット、丁寧に作られている。小劇場では、ほとんどセットらしいものがない舞台もよくある。そこで「ほっこり」。女主人が認知症を患う、今、現実的な家族の話。詳しいストーリーは観て下さい。個性的な俳優が舞台を盛り上げ、ダンスもあったり、暗い話なのになぜか「ほっこり」。そうか、どこにも「悪人」はいない。このような舞台を作った作者、脚本家の優しさを感じた。今回、劇団のメンバーも大きく替わったらしい。脚本担当も初めての人。色々な意味での再スタート。でもこの「ほっこり」感は劇団の大切な柱だと思った。
いつもいつも君を憶ふ
劇団俳優座
俳優座劇場(東京都)
2018/01/11 (木) ~ 2018/01/21 (日)公演終了
満足度★★★★★
100年というのは長い。100年経てば、全てが変わる。少なくとも、最初から三代目の時代になっています。時代は大きく変化しているはずです。100年経てば、その100年前を知っている人はいなくなるのです。
その100年という長い時代を描く上で、この家族を見守る客観的な物がほしい。作者は、それを「大きな古時計」で表しました。しかもそれを小笠原良知、84歳に演じさせました。これがこの作品に「命」を与えたのだと思います。
老舗、劇団俳優座の俳優陣、層の厚さを感じます。骨太な作風の文学座・山谷典子が俳優座に所属する全世代の俳優陣にあて書きした新作。そして今、最も勢いのある深作健太が演出。年齢層の高い観客が多い俳優座の舞台ですが、この意欲作、是非、多くの若い人にも観て、社会を、日本を、世界を考えてほしいと思いました。
キャッシュ・オン・デリバリー ~Cash on Delivery~
ファルスシアター
駅前劇場(東京都)
2016/06/24 (金) ~ 2016/06/28 (火)公演終了
満足度★★★★★
「ドア」がポイント
面白かった。原作が良い! 翻訳が良い! 演出が良い! 俳優が良い! この作品は「ドア」がポイント。登場人物がドアから現れたり消えたりして、嘘と勘違い、すれ違いが積み重なる。舞台だからこそ味わえる面白さ。イギリスらしいウィットと日本語のジョークが重なり、脚本と演出の力を感じました。気絶した人を死体と勘違いし葬儀屋を呼ぶなど現実離れの場面も多々ありますが、そんな不自然さより展開の面白さが圧倒的に超えていました。こんな犯罪ストーリーを最後はハッピィーエンド、うまくまとめました。
優しい嘘
劇団俳協
TACCS1179(東京都)
2016/05/26 (木) ~ 2016/05/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
面白い!今日までですよ・・・
良い芝居でした。舞台は小さなカラオケスナック、そこのママの3姉妹を中心に、スナックに集まるダメな男や女の話です。本日まで上演ですので、「ネタバレ」はしません。何と言っても青田ひできの脚本が良い。カラオケで始まりカラオケで終わる。芝居ですから、多少の誇張表現があるにしろ、登場人物が面白い。最終的には穏やかな話になるのですが、私の好きな「笑わせ、泣かせ、考えさせる」舞台でした。もちろん俳優さんも熱演、近所にいるような人物をうまく描いていて、とても楽しい芝居でした。優しい嘘、必要ですね。
morning sun 晩夏/初春
第27班
テアトルBONBON(東京都)
2017/05/10 (水) ~ 2017/05/14 (日)公演終了
満足度★★★★★
大学4年の春。まもなく卒業。色々なことがあった。様々な大学生の生活を描いた恋愛群像劇でした。先ずは舞台セットが面白い。それほど大きいとは言えない舞台に、いろいろな「場所」が丁寧に作られている。従って場面転換が速い。数カ所の出来事がライトの当て方で替わる。上手い、上手すぎる。話は非現実的ものもあるが、面白い。2時間を超える舞台だが、中間部の擬人化した動植物の話、脚本のバランス感覚が素晴らしい。
怪談 牡丹燈籠
オフィスコットーネ
すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)
2017/07/14 (金) ~ 2017/07/30 (日)公演終了
満足度★★★★★
フライヤーの大きさが2倍のA3。これが目立たぬ訳が無い。俳優陣は豪華。演出は森新太郎。「これは観なきゃ!」。予想通りの素晴らしい作品でした。舞台は暗い。大きな布が回っているだけ。現代人の服装。刀や槍を持っている人も。話は知っている人も多いでしょう。ここでどのように話が展開するのか? 初めて観ても、何回目かでも、演劇の醍醐味を感じる舞台です。
さよなら、先生
おおのの
シアター711(東京都)
2016/04/20 (水) ~ 2016/04/24 (日)公演終了
満足度★★★★★
お薦めです!
「さよなら、先生」とは、未完の小説『グッド・バイ』の話と太宰治の生き方を重ね合わせた舞台です。個性溢れる俳優を、90分の中で生き生きと活躍させる演出も見事。「I Love ダザイ」と言うか、「I miss you, ダザイ」というか、太宰「愛」を感じる作品でした。
明日は風のない日
劇団文化座
文化座アトリエ(東京都)
2014/04/26 (土) ~ 2014/04/30 (水)公演終了
満足度★★★★★
何て素晴らしい舞台なのだろう!
松田正隆作「明日は風のない日」劇団文化座アトリエ公演。
本公演でなくても決して手を抜かない劇団。舞台のセットもしっかりしている。
地味な俳優が多い中、最近、Project Nyx「宝島」に客演した小谷佳加がいる。「宝島」では海坊主キムで、個性的というか、美人さんにはもったいない。
この舞台では原爆症の不安で結婚を躊躇う難しい役どころ。とても同一人物には思えない演技力。小さな舞台だが、心に響く芝居だった。劇団文化座、佐々木愛さんだけでなく、素晴らしいアーティストがたくさんいる劇団です。
死神と9月のベランダ
東京カンカンブラザーズ
ザ・ポケット(東京都)
2017/10/11 (水) ~ 2017/10/15 (日)公演終了
満足度★★★★★
1997年から現在まで時代が進みます。スーパーマーケットの娘・若葉が、幼稚園生から大人になるまでの物語。舞台セットも素晴らしく、きちんと練られた脚本。人生を感じるドラマでした。笑いを散りばめらながら、愛情溢れる展開、この劇団のファンになりました。
レンジャー
ミュージカル座
光が丘IMAホール(東京都)
2017/12/07 (木) ~ 2017/12/10 (日)公演終了
満足度★★★★★
1970年代の、とある特撮番組の制作舞台裏。いきなり「ゴレンジャー」のアクションシーン。「子供番組」の話? そんな雰囲気から始まりました。主役俳優が降板されるあたりから話が面白くなります。スタッフ・俳優たちの人生がその作品のストーリーと重なり合うのです。オリジナルミュージカル、やりますね。藤倉梓作品、期待通りでした。
宝島
Project Nyx
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2014/02/07 (金) ~ 2014/02/16 (日)公演終了
満足度★★★★★
夢のような美女劇
ザムザ阿佐ヶ谷の「星の王子さま」からのファン。毎回「濃い」芝居に酔っている。今回は未唯mieの主役が話題だが、「もう1人の主役」、佐藤梟のおしゃべりが良い。以前も出演しているが、今回は本領発揮。劇団文化座の小谷佳加、有賀ひろみが脇で支えているのも安心して観られる。そして代表の水島カンナ、いつもの味わい、おいしい役割を演じている。「かもめ…」では4バージョン、最近では3回は観ることにしている。そして私はNyx 版寺山修司になくてはならない音楽担当、黒色すみれの大ファンなのである。
朝食まで居たら?
劇団青年座
俳優座劇場(東京都)
2016/09/08 (木) ~ 2016/09/11 (日)公演終了
満足度★★★★★
想像通りの…
青年座の舞台を観たのは久しぶり。ただでさえ増えすぎている舞台。抑えなければ…でも、予想通りの良い舞台だった。津嘉山正種を初めて観たのは、新国立劇場の『野望と夏草』、存在感に圧倒された。今日は全く異なるキャラクターだったが、さすがの俳優。立派な舞台装置の中での卓越した演技の3人芝居、2時間半、十分、楽しめた。
泳ぐ機関車
劇団桟敷童子
すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)
2015/12/05 (土) ~ 2015/12/15 (火)公演終了
満足度★★★★★
期待通り!
良かった!
炭鉱の町の少年の成長物語。炭鉱?明るい話の筈はない。でも、笑わせ、悲しませ、考えさせる。脚本、演技、美術、演出、全てが良い。
テーマ音楽のユーモレスク、とても切なく心に響くメロディだ。
イチエフ・プレイズ
ワンツーワークス
ザ・ポケット(東京都)
2015/07/17 (金) ~ 2015/07/26 (日)公演終了
満足度★★★★★
【恐怖が始まる】を観ました!
良い芝居でした。家族の会話の中で、ストレートに原発の恐ろしさが伝わってきました。と言っても、笑いもあるのです。そこが脚本のうまさなのでしょう。俳優陣も素晴らしかったです。
『ラクゴ萌エ』
ラチェットレンチ
d-倉庫(東京都)
2017/04/13 (木) ~ 2017/04/16 (日)公演終了
満足度★★★★★
『ラクゴ萌エ』、タイトルから「落語家を志す少女の面白可笑しい話」程度に考えて観に行きました。前説で、普段はサスペンスをやる劇団、ふと不安が…、落語を上手く出来るのかなあ? いや不安に反して、面白かった。内容もあった。話の落ちは述べませんが、最後の桜舞うエンディングまで十分楽しませてもらいました。落語のしゃべりをすべて落語としてやるのでは無く、複数の役者が立体的に演じるのが上手くいった理由の1つだと思います。勿論その場合も、扇子と手拭いを小道具として使ってました。それにしても俳優さんが良い。特に、「だんまり」役の井上賢吏さんの身体を張った熱演が印象に残りました。
奴碑訓
Project Nyx
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2018/03/09 (金) ~ 2018/03/18 (日)公演終了
満足度★★★★★
いや、美女、美魔女、女装の林勇輔ANGELA、凄い、凄すぎる。よくこれだけの個性派を集めたものです。プロデューサー=水嶋カンナの力量です。作品の内容をあれこれ言う教養は私にはありませんが、いつもの「寺山語録」のみならず、「宮澤賢治の世界」も登場。『伯爵令嬢小鷹狩掬子の七つの大罪』の延長上の作品のよう。そしてジャン・ジュネの『女中たち』が出発点であることは分かりましたが、舞台は「演劇」と言うより「個性のパフォーマンスの爆発」でした。
今回は、今までのような童話を元にした作品ではなく、妖艶な大人向きの作品。美女が脱ぎまくっていました。でも決して下品なものではなく、幻想的な雰囲気。黒色すみれの歌がこの独特な世界を作り出しているのです。クラシックの名曲がいつもより多く流れます。特に、カッチーニ「アベマリア」、『魔笛』の夜の女王のアリア「復讐の炎は地獄のように我が心に燃え」、これを聴けるだけでも満足ですよ。