吉田小夏の観てきた!クチコミ一覧

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「視野」

「視野」

reset-N

アサヒ・アートスクエア(東京都)

2010/06/11 (金) ~ 2010/06/14 (月)公演終了

ガラスの破片が乱反射する透明な時間
フラジャイルな男女の距離感。都市の終末感。生きながらえながらもあらがえない喪失感。それらを、思春期な感性ではなく、大人の孤独感で切り取ったガラスのような断片。今の自分には重なりすぎてグサグサ来た。俳優は、抑制した演劇で言葉と肉体を繊細に扱い、詩的な台詞なのにまるで呼吸するように吐くのが良かった。行って良かった。

変身

変身

THEATRE MOMENTS

シアターX(東京都)

2009/04/29 (水) ~ 2009/05/02 (土)公演終了

20090502S
初見の劇団。
遊園地のようなわくわく感に溢れている。
スタイリッシュさと素朴さとが同居する、不思議な温かさを感じた。
良い意味で、非常に健康的な芝居。
原作の味わいもちゃんと伝わって来る・・。

個人的には、より客席が一体感を味わえるような、フラットなスタジオでの挟み舞台や、ブラックボックス型の小劇場空間でも見てみたいと思った・・。

マリー・ド・ブランヴィリエ侯爵夫人

マリー・ド・ブランヴィリエ侯爵夫人

DULL-COLORED POP

新宿シアターモリエール(東京都)

2009/08/14 (金) ~ 2009/08/17 (月)公演終了

毒の品格
吟味された美しい言葉と、野蛮な色気を満喫。
エグイようでいて、必ず一筋の品格が漂うという不思議な味わい。
七味さんの存在感が眩しい。他の俳優も、皆、好演。

客電落としで流れる、カヴァレリア・ルスティカーナのインテルメッツオ。
本編とは直接関連ないのだが、カヴァレリア・ルスティカーナというオペラはドロドロの三角関係の仕立てなのに、このインテルメッツォとフォアシュピールの2曲は、泣きたい程の透明感をたたえているのが特徴だった、と、ふと思い出した。
この相反するものの同居は、この作品にも通ずるものがあるように思った。

私は最前列で見たのだが、後ろの方の人は床芝居になると殆ど見えなかったらしい・・。劇場の構造とはいえ、この点は残念だ。
余すところ無く見たい人は、ぜひ前の方で。

ネタバレBOX

パリの夕暮れのシーンが、素晴らしい。とても引き込まれた。
貧民街から、一瞬にして貴族の行き交う町並みに変貌する魔法は演劇ならではの喜びに満ちている。

気になったことがふたつ。
ラストの修道女のはしゃぎ方が、完全にいまどきの女の子に見えたこと。
自分が、6年間修道女と日々を過ごしていたせいもあるが、正直違和感あり。
貴族チームの佇まいに、ちゃんと時代の説得力があり、かなり感心しただけに残念。

ぶっとんでいるマリーが、たまに正論で生きているようにも見える瞬間が面白いと思うが、欲望以外の点で何かもうひとつ、一般人の自分にも感情移入できるような鍵があるとより深く楽しめたかも。
つまり、殺人という手段を選び取ることになった動機みたいのを、いつのまにか求めてしまう自分がいた。
「皆、罪深く生きているのに、なぜ私だけ命を絶たれるのかしら?」
に集約されている気もするとはいえ・・・これは本当に個人の趣味。
たぶん、動機なんてないんだろうけど。

全体を通して、吟味されつくした言葉の宝石箱のようで、この点だけでもかなり満足できる。説得力のある美しい台詞というのは、選ばれた人の仕事だ。
構成も、ぎゅっと引き締まっていて一気に見せてくれる。
この作家が、4年後30代になってどういう作品を展開するかがとても楽しみ。
昏睡

昏睡

青年団若手自主企画 山内・兵藤企画

アトリエ春風舎(東京都)

2009/08/17 (月) ~ 2009/08/26 (水)公演終了

コトバとカラダ
好みは別れるかもしれないが、個人的にはとても惹きつけられるものがあった。
久しぶりに、芝居で泣きそうになった。
あと、久しぶりに上演台本を買った。
シーン・7からはじまり、シーン・1で終わるのがたまらない。

潔く力強いコトバ、ほとばしるカラダ、溢れるイマジネーション。

ネタバレBOX

7の先は、再び1なのか、まだ見ぬ8なのか。
たった、7日間で、失踪する世界。

男と女が、灰になってひとつになろうとするくだりに、突きぬかれた。

あと、なぜか、手塚治虫の「火の鳥」を思い出した。
JUMON(反転)/便所の落書き屋さん【満員御礼で終了】『観て来た!』に全レス中!(ただいま1/3)

JUMON(反転)/便所の落書き屋さん【満員御礼で終了】『観て来た!』に全レス中!(ただいま1/3)

MU

ギャラリーLE DECO(東京都)

2009/05/26 (火) ~ 2009/05/31 (日)公演終了

20090531千秋楽
拝見しました。
実は、初見でした。

こまごました観想は、追ってまた。

ネタバレBOX

個人的には、2本目の「便所・・」の方がより楽しめた。

ハンバーガーでいうところのバンズ(表現の方法)とミート(モチーフ)のバランスだと思う。
「便所・・」はそのバランスが良く、ポップさが演者ともよくマッチしていて、整合性に突飛さはあるけど「そんなもんなんぼのもんじゃい!」と思わせてくれる効能が十分あり、最後までわくわくと美味しく楽しむことができた。

「JUMON」は、個人的には、ハーレム側も、被害者の会側も、登場人物を終始傍観してしまい、それがニヤニヤとした傍観ではなく、ちょっとおいていかれてしまった感じだった。

あえて、どちらかのグループに視点の重点を置かない、という構成だとは思うのだけど、その分、演技なり、エピソードなり、で「自分にも起こるかも」という細かい共感なり、覗き見しているようなリアリティが欲しかった。
佐々木なふみさんにだけは、不思議なリアリティを感じたのだが、他の人物にはどうも感じることができなかった。

事件を描くことには達しているが、人物(人間)を描くところに達するには、何かが足りなかったのかも。
人間を描くために事件があるのではなく、事件を描く為に人間が出てくるように感じてしまったのだと思う。
こういうモチーフなら、もっと人間を見たい。
60分以下だからこその俯瞰性はあるが、思い切って長編化というのも手段かと思った。

どちらの作品もジャンプ力のあるモチーフで、作者のアンテナとセンスの冴えはしっかり感じられた。
だが、モチーフにジャンプ力がある時ほど、戯曲、演出、演技、などの方法論とのバランスが強く影響すると感じた。

笑いのとり方については、どちらの作品も不思議なくらい同じ感覚で作られていると感じたので、そこを一種の生まれついたカラーとしてとらえるならば、個人的には「便所・・」方向の方法論の方が、作者のセンスを今後より生かすやり方なのではないか、と感じた。

あくまで個人的には、ですが。

上記全て、完全に個人の趣味を前提にフォーカスしています。
生意気をたくさん、申し訳ない。

指摘していることは、自分自身への課題となって、今後自分の首を真綿のように絞めることになるであろうと思います。

でも、あゆむ君が、レビューを重視している姿勢には、とても伝わるものがあったので、真面目に書こうと思って書きました。
初夜と蓮根

初夜と蓮根

演劇集団円

ステージ円(東京都)

2009/05/14 (木) ~ 2009/05/27 (水)公演終了

20090514
拝見しました。

このスタジオ公演のシリーズは、興味深いものが多いです。
役者陣は、生き生きとしていて、全員が作品を楽しんでいる感じがあって、好感をもてました。

でも、もう一声な感じも・・。
残念だった点は、ネタバレで・・。

ネタバレBOX

土田さんの新作とのことで、期待して足を運びました。

やはりさすがで、話の展開や緩急が安定していて安心してみていられます。
着眼点もとても面白い。
笑えるポイントも多くちりばめられていて気持ちよくみられます。
ニコニコしながら見られる作品って、最近は貴重かも。

でも、そこまでわかりやすくしなくてもわかる・・想像だけしていたかった・・という部分も少しだけあり、他劇団への書き下ろしの為か、相当わかりやすさを重視している感じもありました。

また、同世代の30代の演出家の方の割には、かなり会話のテンポの演出がスローです・・。客層の高さを意識してのことなのだろうか??
せっかく若い演出家なので、ガンダム世代にしかだせないテンポを使って欲しかった。
つなぎの音楽も、ちょっととってつけたような印象で残念。

笑いの多い明るい作りは楽しかったけど、よく考えるとすごく皮肉だったり、辛い側面のある戯曲で、個人的な趣味で言うと、もう少しその辺もしっかり味わいたかった・・。
土田さんの本は、そのさりげなく含まれたダークが面白いと思っているので。
あくまで個人の趣味ですが。

奥さん役の女優さんの台詞の言い方が、かなり明瞭さに重きを置いていて、声のボリュームと声の方向性や距離感のパターンが非常にすくなくて、呼吸をあまり感じず、劇団四季の台詞みたいで残念だった。
あの台詞術は、あのキャパにはあわないと思う。
キャラクターは魅力的なのにもったいないです。

全体に男性陣の方が、芝居に抑制がきいててキャパにあった芝居で気持ちよく見れた。

辛口なことも書きましたが、自分が新劇に関わっていたこともあるので、今後への強い期待を込めてです。
桜の園

桜の園

青年団若手自主企画『西村企画』

アトリエ春風舎(東京都)

2009/04/09 (木) ~ 2009/04/15 (水)公演終了

20090515
拝見しました。

呪われたバブルの塔 -アフターサイド- 【舞台写真掲載!】

呪われたバブルの塔 -アフターサイド- 【舞台写真掲載!】

北京蝶々

OFF OFFシアター(東京都)

2009/10/01 (木) ~ 2009/10/12 (月)公演終了

フライヤーのイメージとは違い・・
劇団初見。フライヤーから想像していたよりも、ずっとウェルメイドな感じでありました。

ネタバレBOX

奥さん役の人の抑制した演技が好感があった。
元お水、でも今はしっかりもの、というキャラクターもすごく自然にマッチしていた。

いつもホラーではないそうなので、他の作品はどんななのか興味を持った。
学芸会レーベル♥KR-14【中屋敷法仁】

学芸会レーベル♥KR-14【中屋敷法仁】

キレなかった14才♥りたーんず

こまばアゴラ劇場(東京都)

2009/04/20 (月) ~ 2009/05/05 (火)公演終了

拝見しました
飛躍感が、楽しかった。
笑いが多いが、なぜか、泣きそうになる瞬間もあった。
俳優も、十分に魅力が引き出されていた。

7歳の孫にジンを2杯飲ませた祖母

7歳の孫にジンを2杯飲ませた祖母

うさぎ庵

アトリエ春風舎(東京都)

2009/04/02 (木) ~ 2009/04/06 (月)公演終了

20090406
拝見いたしました。

ネタバレBOX

好みもあると思うが、個人的には、後半一気に現代的な日本の視点に物語がうねってゆくところがドキドキできた。
愛の渦

愛の渦

ポツドール

新宿シアタートップス(東京都)

2009/02/19 (木) ~ 2009/03/15 (日)公演終了

観終わるとなお*0304S
3月4日ソワレで拝見いたしました。

観終わって観るとなお、
・・このタイトル、なかなか凄いなぁ、と。

女の平和

女の平和

JAM SESSION

「劇」小劇場(東京都)

2009/02/13 (金) ~ 2009/02/22 (日)公演終了

爽快!*0220S
2月20日のソワレで拝見しました。

帰路がなんとも爽快・・!この感覚は久しぶり。
そういう意味でも、貴重なカンパニー。

今年の本公演はこれ一本とのこと・・。
来年を待ちます。

smallworld'send

smallworld'send

時間堂

王子スタジオ1(東京都)

2009/10/21 (水) ~ 2009/11/03 (火)公演終了

4時間は苦にはならず
休憩時間ごとの気遣いが嬉しく、その休憩が逆にフェスティバル感生んでいる。内容の感想はブログに記載。ガラスの会場だから、寒がりさんは防寒対策に注意すると、ますますのんびり楽しめるよ。

朝霞と夕霞と夜のおやすみ(ご来場ありがとうございました)

朝霞と夕霞と夜のおやすみ(ご来場ありがとうございました)

FUKAIPRODUCE羽衣

こまばアゴラ劇場(東京都)

2009/05/09 (土) ~ 2009/05/20 (水)公演終了

20090520
拝見しました。

今回で3回目の観劇。

ネタバレBOX

いまさらながら、登場人物にはっきりした役名が無いことを強く認識。

男、女、という究極にそぎ落とされた役名が、ある種の強い普遍性に繋がっていることを改めて感じた。
いつも深いところで染みてくるのは、自分の場合はそのあたりなのかも。

今までにないリフトのシーンが、妙にぐっときた。
極めて美しいお世辞

極めて美しいお世辞

箱庭円舞曲

OFF OFFシアター(東京都)

2009/09/11 (金) ~ 2009/09/22 (火)公演終了

劇団初見
一幕物を、きっちりと・・。アシスタントの子が、本物の美容室のアシスタントに見えて好きだった。

ネタバレBOX

構成や台詞の持ち味として、少しシナリオっぽい要素もあり、ドラマ業界とかに一本釣りされてゆくんではないか?と、いう想像もしたり。
現代能楽集Ⅵ 『奇ッ怪 其ノ弐』

現代能楽集Ⅵ 『奇ッ怪 其ノ弐』

世田谷パブリックシアター

世田谷パブリックシアター(東京都)

2011/08/19 (金) ~ 2011/09/01 (木)公演終了

本当に怖いものは
『奇ッ怪』其の壱に圧巻されて、其の弐も期待して拝見しました。
其の壱では、小泉八雲の原作を時代劇的な感じで取り入れた着物でのシーンがあったり、エンターテイメント感の強い中で怖さを感じていたのですが、其の弐はぐぐっと現代にフォーカスされていて、新鮮な気持ちで見ました。
語りからテンポよくシーンが移り変わり重なっていく手腕はやはり見事で、楽しい。
笑いもったぷりあって思わず吹きだすシーンもたくさんあったけど、終幕に向けて、壱とは違う角度の怖さがじわじわと少しづつ積もってゆきました・・。
無念さ、無常感、という意味では、今回いっそう怖かった気がする。

ネタバレBOX

現代にフォーカスがあたっている分、生霊などの能を思わせる現象そのものより、人間の心の中の闇や狂気、現代社会の構造や人間関係のかかえる闇、といったものがじわじわとボディブローのように効いてくるようでした。

其の壱との印象の違いに最初はちょっとだけ戸惑う感じもあったのですが、終わって見ると「一番怖いものは、逃れようのない時代、この現代社会そのものかもしれない」と、ぞくっと背筋が凍って震えたのでした。

俳優はみなさすがの好演だったけど、私は特に岩本幸子さんの好演が印象的でした。
これからも彼女の出る舞台を見たいなぁ、と素直に思ってしまいました。

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