マリー・ド・ブランヴィリエ侯爵夫人 公演情報 DULL-COLORED POP「マリー・ド・ブランヴィリエ侯爵夫人」の観てきた!クチコミとコメント

  • 毒の品格
    吟味された美しい言葉と、野蛮な色気を満喫。
    エグイようでいて、必ず一筋の品格が漂うという不思議な味わい。
    七味さんの存在感が眩しい。他の俳優も、皆、好演。

    客電落としで流れる、カヴァレリア・ルスティカーナのインテルメッツオ。
    本編とは直接関連ないのだが、カヴァレリア・ルスティカーナというオペラはドロドロの三角関係の仕立てなのに、このインテルメッツォとフォアシュピールの2曲は、泣きたい程の透明感をたたえているのが特徴だった、と、ふと思い出した。
    この相反するものの同居は、この作品にも通ずるものがあるように思った。

    私は最前列で見たのだが、後ろの方の人は床芝居になると殆ど見えなかったらしい・・。劇場の構造とはいえ、この点は残念だ。
    余すところ無く見たい人は、ぜひ前の方で。

    ネタバレBOX

    パリの夕暮れのシーンが、素晴らしい。とても引き込まれた。
    貧民街から、一瞬にして貴族の行き交う町並みに変貌する魔法は演劇ならではの喜びに満ちている。

    気になったことがふたつ。
    ラストの修道女のはしゃぎ方が、完全にいまどきの女の子に見えたこと。
    自分が、6年間修道女と日々を過ごしていたせいもあるが、正直違和感あり。
    貴族チームの佇まいに、ちゃんと時代の説得力があり、かなり感心しただけに残念。

    ぶっとんでいるマリーが、たまに正論で生きているようにも見える瞬間が面白いと思うが、欲望以外の点で何かもうひとつ、一般人の自分にも感情移入できるような鍵があるとより深く楽しめたかも。
    つまり、殺人という手段を選び取ることになった動機みたいのを、いつのまにか求めてしまう自分がいた。
    「皆、罪深く生きているのに、なぜ私だけ命を絶たれるのかしら?」
    に集約されている気もするとはいえ・・・これは本当に個人の趣味。
    たぶん、動機なんてないんだろうけど。

    全体を通して、吟味されつくした言葉の宝石箱のようで、この点だけでもかなり満足できる。説得力のある美しい台詞というのは、選ばれた人の仕事だ。
    構成も、ぎゅっと引き締まっていて一気に見せてくれる。
    この作家が、4年後30代になってどういう作品を展開するかがとても楽しみ。

    0

    2009/08/14 23:25

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大