美談殺人
タカハ劇団
駅前劇場(東京都)
2021/12/16 (木) ~ 2021/12/20 (月)公演終了
『水』/『青いポスト』
アマヤドリ
新宿シアタートップス(東京都)
2021/12/16 (木) ~ 2021/12/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
■『青いポスト』鑑賞/約140分■
誰かが何かを為す場合、その動機というものが知りたくなる私のような人間には、隔靴掻痒の感が否めなかったが、逆説的でねじれたストーリー、美しい照明のもとハイセンスないでたちで演技する12人の女優たち、音楽とムーブメントの取り合わせの妙、等々に魅せられ、劇世界に没入。上演時間の告知を見てハァ?となったが、そこまで長くは感じなかった。
『すばらしい日だ金がいる』以来のアマヤドリだったが、豊かな時が過ごせた。
徒花に水やり
千葉雅子×土田英生 舞台製作事業
ザ・スズナリ(東京都)
2021/12/15 (水) ~ 2021/12/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
■約100分■
腑に落ちないところもあったが、相当ワケありな一家のホームドラマとして面白く鑑賞。土田英生作・演出だけあり、笑いを生むような設定が色々と凝らしてあって、楽しく時が過ぎた。
ワクチンの夜
城山羊の会
三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)
2021/12/03 (金) ~ 2021/12/12 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
■115分強■
色欲ムキ出しの祖父、出そうとせずともにじみ出てしまう嫁、ムッツリスケベのその息子、息子と同じ大学に通うフツーに色恋を楽しんでそうな男女…それぞれに色欲の表し方の異なる男女が関わり合って生まれる数々の喜劇的状況を堪能!
ただ、上演時間の過小告示はやめてほしい。約105分と発表されていたのに…。告示を信じて予定を組むので、本当に困る。
Dreamtime
melomys
アトリエ春風舎(東京都)
2021/12/09 (木) ~ 2021/12/12 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
■75分弱■
環境問題に代表される“ヒトと地球の関わり方の問題”を、大上段に構えず、等身大の感覚で捉えているところに好感。正義ポルノになっていないところがいい。
みんなしねばいいのにII
うさぎストライプ
こまばアゴラ劇場(東京都)
2021/11/26 (金) ~ 2021/12/07 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
■85分弱■
頽廃味、不条理味、滑稽味、猟奇性…このカンパニーの持ち味がもれなく盛り込まれた、うさぎストライプの見本市的な一作。Ⅰも観たが、本作のもたらす、不気味な迷路に嵌まり込んで脱け出せずにいるような感覚がより強まって、釣り込まれた。
異常以上ゴミ未満、又は名もなき君へ
good morning N°5
小劇場B1(東京都)
2021/11/25 (木) ~ 2021/12/12 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
■105分弱■
数々のバカ話をとある趣向によって一つにまとめ上げた作品。全体的構成は上出来とは言いがたいが、くだらなすぎて愛おしくなるようなお話が少なくなく、あれだけの美人が飽かずバカ演劇を追究しているという、そのミラクル、その奇跡に嬉しくなった。
ブルー&スカイさんご出演ということで、久方ぶりに観たgm5だったが、女優陣が捨て身でバカをやっている感じがかつてより薄まっているように思えたのは、単なる気のせいか、はたまた意図的にそうしているのか、最後まで判じかねた。
開場から開演までの、ほぼほぼ30分にわたる育子さんの前説は作品同様あいかわらずエネルギッシュで、惹きつける。歯切れのよいトークで場を盛り上げながらも、「周りの方がトイレとかで中座しようとした時、『なんだよ。。』って渋い顔をするのはやめてくださいね。同じ演劇を一緒に楽しむ仲間なんだから、そこは和やかにいきましょう」(大意)と不寛容を諫めたりするあたりには育子さんの平和志向が感じられ、その姿勢は、お客様を笑顔にさせるバカ演劇を長きにわたって続けていることと、通底しているようにも思えた。
なお、劇中のセリフのほとんどは早口かつ絶叫調で繰り出され、澤田演劇ならではの諧謔と文学味が、セリフの聴き取りづらさ故に十全には汲み取りきれず、もったいなく思えてしまう。前説で「人間の集中力が続くのはせいぜい90分。だからあんまり長くはしたくない」と演劇の尺について持論を述べておられたが、時間短縮のための早ゼリフなら、少し尺を伸ばしてでも、発話の速度を落とすべき。尺を伸ばすのが嫌ならば、いくつかのシーンを割愛するのも選択肢。絶叫調の早ゼリフは劇に勢いをつけるためなのかもしれないが、釈迦に説法を重々承知で言わせてもらえば、笑いは緩急。じっくり魅せるシーンも増やしたほうが、全体的な笑いの量は増えると思う。
Gardenでは目を閉じて
毛皮族
ザ・スズナリ(東京都)
2021/11/20 (土) ~ 2021/11/28 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
■約130分■
討議あり、ダンスあり、時事をたくさん詰め込んだ世間話のようなやり取りあり、その混沌が楽しい一作。全体的に、トガった大学生集団がやっているような青臭さがあるが、その青さが中年の自分の中にも眠っていた青臭さを覚醒させてくれる。
こういう演劇をやる若手が現れないのは嘆かわしい。
イモンドの勝負
キューブ
本多劇場(東京都)
2021/11/20 (土) ~ 2021/12/12 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
■約200分(途中休憩込み)■
徐々にシリアス味を帯びてきたシーンに没入しかけてはナンセンスギャグで蹴飛ばされ、徐々にシリアス味を帯びてきたシーンに没入しかけてはナンセンスギャグで蹴飛ばされ…の繰り返し。
たまにはこういうのもいいな。
まだそこまで取っ散らかってはいない前半が好き。後半はいくらナンセンスコメディったって取っ散らかりすぎか(笑)。
謎の動物は、見てくれがもうひとつ。もっと、ありえねぇ、って外見をしていれば、いや、ありそうなのにありえねぇ、って外見をしていれば、一層笑えたはず。現存するおかしな見てくれの奇獣が次々紹介されている今、あの見てくれではやや弱い。
本作、政府高官の4つのお願いとか、いいネタがたくさん仕込まれているが、それらがどう展開するかは観てご確認を。
どうしよう 孤独だ 困ったな
第27班
王子小劇場(東京都)
2021/11/18 (木) ~ 2021/11/23 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
■約140分■
力作。人生のままならなさを描いた極めて王道的な演劇ながら、ちゃんと書き、きちんと演出し、しっかり演じれば、ここまでのものが出来上がるんだなぁ。。
カナリヤ
日本のラジオ
こまばアゴラ劇場(東京都)
2021/11/18 (木) ~ 2021/11/23 (火)公演終了
とりわけ眺めの悪い部屋
ピンク・リバティ
浅草九劇(東京都)
2021/11/10 (水) ~ 2021/11/14 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
■約120分■
若くて美しい地縛霊が住み着いているマンションの一室を舞台に、家主である映画青年と部屋に出入りする二、三十代の男女七人が織り成す群像劇。主人公の映画青年が女幽霊と同居しているという設定があまり生かされていない気がしたものの、劇中人物たちのキャラクターの切り分けがとても上手くなされているため、痴情が複雑にもつれ合う男女群像劇としての面白味は十二分。
ベンバー・ノー その意味は?
はえぎわ
新宿シアタートップス(東京都)
2021/11/03 (水) ~ 2021/11/14 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
■約110分■
はえぎわ約3年ぶりの新作公演。
シンプルな舞台の上で次々と演じられる断片的シーンが脈絡を生んだり生まなかったり、笑いを生んだり生まなかったり、哲学を生んだり生まなかったり…。こうした“はえぎわのような演劇”は他に類がなく、はえぎわ公演でしか味わえないことを強く強く再認識し、急な公演だったために参加できないメンバーもいたものの、この稀有な演劇集団が久々に揃ってじつに“らしい”公演を打ってくれた、そのことにまず感動。
なくなることをテーマにするあたりがまず“らしい”し、そこから“ない”と“ある”の弁証法を展開し、それが、ないことをあることに、あることをないことにすることで成立するこのジャンルを自己言及的に語った演劇論にもなっていて、こうしたメタ構造もじつにはえぎわらしく、その相変わらずっぷりに嬉しくなった。
ただひとり客演として参加した内田健司さんはイキのいい演技で作品を活気づけて、本作の見応えを倍加。劇団員になっちまえ!
夜を治める者(ナイトドミナント)ワーク・イン・プログレス
お布団
アトリエ春風舎(東京都)
2021/11/12 (金) ~ 2021/11/14 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
■90分弱■
話がぶっ飛びすぎていて、最後まで戸惑いを抱えたまま鑑賞。
ワーク・イン・プログレスとは言うものの、今回、戯曲を余さず上演し、これで話は完結しているらしいが、謎を明かしながらも増幅させるような、あんなラストじゃ得心がいかない。
The Kitchen
TABACCHI
駅前劇場(東京都)
2021/11/10 (水) ~ 2021/11/15 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★
■85分強■
じつに深みのない劇。締まりも悪く、まだ続きがあるのだろうと思ったら、そこでまさかのジ・エンド。アーノルド・ウェスカーというイギリス人の原作戯曲は未読だが、原作もあれで終わるのか、それとも時間短縮のために続きをカットしたのか?
それ以前に、なぜこんな薄っぺらい作品を選んで上演しようと考えたのか、理解に苦しむ。
これで前売4500円、当日5000円とは…。
ジャンガリアン
文学座
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)
2021/11/12 (金) ~ 2021/11/20 (土)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
■約140分(途中休憩込み)■
iakuの横山拓也が文学座に脚本提供。横山作品らしくたくさんの笑いを孕みながらも、寛容と不寛容をめぐる素晴らしい人間ドラマに仕上がっていた。
柔らかく搖れる
ぱぷりか
こまばアゴラ劇場(東京都)
2021/11/04 (木) ~ 2021/11/15 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
■約90分■
方言からして山陽地方の一家? それぞれに悩みを抱える家族の面々のエピソードが同じウェイトで描かれるばかりで、重心となる物語がなく、また、それは意図的なものなのかもしれないが、話同士が互いに深くは交わらず、それがために劇がうねってゆかず、物足りなかった。タイトルがタイトルだし、観る者の感情をそっと、かすかに揺さぶるような、派手さはなくともほんのり胸に残るような静かでささやかな劇をハナっから志向していたのかもしれないが。
観た人は言うかもしれない。家長たる父の死がこの劇の重心であろう、と。しかし、残された家族の会話からは父の人となりがいまひとつ伝わってこず、また、父の死は劇全体にそこまで大きな影を落としてはいない。その死が謎めいていることと、残された家族それぞれのエピソードとの間にもそこまで強い連関は感じられず、劇としては不体裁だと感じた。
一言で言えば、父の死というものが劇全体をくるみきれていない。
ぼんやりブルース
ヌトミック
こまばアゴラ劇場(東京都)
2021/10/22 (金) ~ 2021/10/31 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
■90分弱■
筋らしい筋がなく、パフォーマンス色の強い、抽象的な一作。大震災を経験し、今はパンデミックに翻弄される日本において、人々が離散していく心細さと、つながり合いたいという強い思いが、音声、音響、身体、美術などをフィーチャーした、言語に大きく依存しない演出により切実に表現されており、五感ごと掴まれた。
フタマツヅキ
iaku
シアタートラム(東京都)
2021/10/28 (木) ~ 2021/11/07 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
■約115分■
大好きだったお笑いから遠ざかってほぼ何もせず、献身的な母に甘えてばかりの父のことが大嫌いなはずの花楽君。その感情の軌跡に、不自然というか、劇をイイ話に持っていかんがためのご都合主義的なバイアスがかかっているのを感じはしたが、あのラストシーンには高ぶった。
『動ける/動けない 言える/言えない』を考えるWS 試演会
升味企画
アトリエ春風舎(東京都)
2021/10/24 (日) ~ 2021/10/24 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
■約65分■
ワークショップのテーマである「『動ける/動けない 言える/言えない』を考える」と、上演された3作品がどう繋がるのか、解説が欲しかった。
それはそれとして、単純に作品として興味を惹かれたのは、中島梓織脚本・升味加耀演出の一編目『けんかできない』。“喧嘩すること”“泣くこと”を演劇を使って哲学していて、胸に留まる、箴言めいた名ゼリフが多々あった。
二編目『温気』は、ありがちな幽霊譚。もっと尺を取って当然の内容を無理やり25分ほどに収めてあるため、状況説明の省略が多すぎてとても分かりづらかった。