実演鑑賞
満足度★★★★★
■約110分■
はえぎわ約3年ぶりの新作公演。
シンプルな舞台の上で次々と演じられる断片的シーンが脈絡を生んだり生まなかったり、笑いを生んだり生まなかったり、哲学を生んだり生まなかったり…。こうした“はえぎわのような演劇”は他に類がなく、はえぎわ公演でしか味わえないことを強く強く再認識し、急な公演だったために参加できないメンバーもいたものの、この稀有な演劇集団が久々に揃ってじつに“らしい”公演を打ってくれた、そのことにまず感動。
なくなることをテーマにするあたりがまず“らしい”し、そこから“ない”と“ある”の弁証法を展開し、それが、ないことをあることに、あることをないことにすることで成立するこのジャンルを自己言及的に語った演劇論にもなっていて、こうしたメタ構造もじつにはえぎわらしく、その相変わらずっぷりに嬉しくなった。
ただひとり客演として参加した内田健司さんはイキのいい演技で作品を活気づけて、本作の見応えを倍加。劇団員になっちまえ!