実演鑑賞
満足度★★★
■約90分■
方言からして山陽地方の一家? それぞれに悩みを抱える家族の面々のエピソードが同じウェイトで描かれるばかりで、重心となる物語がなく、また、それは意図的なものなのかもしれないが、話同士が互いに深くは交わらず、それがために劇がうねってゆかず、物足りなかった。タイトルがタイトルだし、観る者の感情をそっと、かすかに揺さぶるような、派手さはなくともほんのり胸に残るような静かでささやかな劇をハナっから志向していたのかもしれないが。
観た人は言うかもしれない。家長たる父の死がこの劇の重心であろう、と。しかし、残された家族の会話からは父の人となりがいまひとつ伝わってこず、また、父の死は劇全体にそこまで大きな影を落としてはいない。その死が謎めいていることと、残された家族それぞれのエピソードとの間にもそこまで強い連関は感じられず、劇としては不体裁だと感じた。
一言で言えば、父の死というものが劇全体をくるみきれていない。
2021/11/08 14:09
https://stage.corich.jp/contact/new?type=stage