宴
たすいち
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2015/04/15 (水) ~ 2015/04/19 (日)公演終了
満足度★★★★
芝居小屋の作品
若々しい明るいコメディだった。雑さは目立つが小劇場の個性として許される範囲内ギリギリと言ったところ。一本一本が短く、笑いはじめると作品が終わってしまう。軽い話のようで、人の性を実は描いている?ような不思議な後味がひく作品群だと思った。役者もなかなか個性的だ。永渕、葦田、末永全、みやでらみほ、倉持陽一が大変印象に残った。
芝居小屋で暇潰しに楽しい時間を過ごしたい人に最適。他方で、この作演出は何を芝居でやりたいのかと思った。ただ大笑いさせて帰したいだけなら、笑いの技術が中途半端で個別の役者の魅力やキャラ造形に頼り過ぎだ。もしより考えさせる、演出の考えを乗せる芝居をしたいなら、あと少し人生や人に対する毒があればと思う。世界が狭い芝居だ。カツラをつけない大衆演劇をやりたいならそれでも良いが、とにかくこの団体の方向性が見えなかった。輝きが見え隠れする作品なのだが、個性が薄い。星で言えば3.5だが、役者の魅力に免じて4をつける。
幻書奇譚
ロデオ★座★ヘヴン
新宿眼科画廊(東京都)
2014/09/19 (金) ~ 2014/09/24 (水)公演終了
満足度★★★★★
秀作。これは面白い。
Twitterでの評判もあり、観劇。久々に物語自体の上手さを感じる作品だった。ナノ文書なる世界最古の書物をめぐる物語がミステリー仕立てに進行し、少しずつ文書の謎が明かされ、その中で次から次に暴露される人々の秘密。結末は意外や意外。
役者の演技は悪くない。ただ惜しいところが多い。微妙に外している部分が多かった。脚本がしっかりしているので、役者の微細なミスが目立たないとは思ったが、演出自体に「演技」へのこだわりを感じない、そんな印象があった。だが、非常に面白い作品であり、満足はした。
ブラック西遊記~ステッピン・イントゥ・ユア・ダークサイド・ワールド
X-QUEST
王子小劇場(東京都)
2014/02/05 (水) ~ 2014/02/16 (日)公演終了
良い作品
久々にパワーのあるエンタメが観たくなり、観劇。演技のキメを気持ち良いくらいに外さない役者陣の立ち回りをみてスッキリした。殺陣ダンスの水準も高く、大変楽しめた。
(追記予定)
呼吸
白米少女
小劇場 楽園(東京都)
2013/12/26 (木) ~ 2013/12/30 (月)公演終了
満足度★★★★★
不思議な美しさとエグさと暖かさ
残酷で、暖かく、そして美しいクロニクルだった。主張し過ぎない脚本と短い上演時間、そして役者達の強過ぎない芝居と鮮やかな表情が、この作品を忘れ難いものにしている。また途中に挟まるダンスでは、人間の肉体の美しさを感じた。照明、音響も素晴らしい。写真やサントラが欲しい。好きな作風であり、総じて素晴らしかった。
詳しくはネタバレボックスで。
冬のグアムは空のまち
One Bill Bandit
池袋GEKIBA(東京都)
2013/12/07 (土) ~ 2013/12/08 (日)公演終了
久しぶりに笑った
演出・脚本が面白かった。明るくてズレてて面白い、キャラ造形はベッタベタ。でも前回よりストーリーに深みがあったように思う。生きづらい世の中だが、案外人生とは心持ち次第で違って見えるものだ、という使い古されたテーマを上手く笑いに昇華していると思った。楽しい時間を過ごしたと思う。
ダンサーズは造形は本当に面白いが、役者がイマイチ。宴会芸の延長のような雑さがあった。太った女性が特に、時々表情が弛緩していたし、パワーが足りない。いつもなら、錦織・葦田ペアがやる役どころかと思ったが、今回はこの二人が作品内で「ストーリーテラー」「抑え」に回った感じがあり、個人的にはもっと押して欲しかったので残念。
父役の役者は非常に技術があるな、と感じた。細やかに笑いを外さない。ああ言う芝居をする役者と派手な役者がうまく噛み合って面白い芝居ができると思う。
もちろん演劇部的センスで上手い役者を観に小劇場に行くというのも1つの醍醐味。でも自分は舞台にパワーと華を求めている。その人物が現れただけで手を叩きたくなる華。思いっきり非日常で良いのだ。一歩劇場から出たら、思いっきり大笑いすることも、驚愕で目を見開くことも、滅多にないのだから。
スマイール
smokers
ザ・ポケット(東京都)
2013/10/30 (水) ~ 2013/11/03 (日)公演終了
満足度★★★
作品だけなら、☆5
大変面白かったです。役者の芝居も巧だし、何より脚本が良く出来ていて、上質のコメディを拝見したと思います。個性の強い役者をふんだんに投入しつつ、主役は立ち過ぎず上手いラインで役割を果たしていたと思います。
ちょっとだけ気になったのが、会場の暑さです。一応アンケートには書きましたが、ポケットのサイズで暑過ぎるのはちょっと・・。後チケットにつき、名前を告げたのですが、「はあ?」と聞き返され、面食らいました。私は声が小さいほうではありますが、気になりました。
BINGO
Rising Tiptoe
ザ・スズナリ(東京都)
2013/10/29 (火) ~ 2013/11/03 (日)公演終了
満足度★
棒読みの応酬
言うのが精一杯の長ゼリフ。役者は相手の演技を受けることなく、機械のような間でただ台詞を言うだけ。
暗転が多く、暗転のたびに時間が大幅に飛び、その間にあったことが説明され、またシーンが始まる。脚本演出の未熟さ以外の何ものでもない。ただ進行上必要だから、ブツッと真っ暗にする。その直前のシーンでキャストが決意したことや考えていたことは、何もなかったように次のシーンが始まる。
個別のシーンでダンスなり、会話になりで楽しませる技量があれば良い。だが、ただ説明台詞を必死に消化する役者の奮闘が手を変え品を変え繰り返される。言葉が生きていない。
あの芝居をスズナリでやる意味はあったんですかね?
Mr. Fujino
世田谷シルク
こまばアゴラ劇場(東京都)
2013/10/31 (木) ~ 2013/11/04 (月)公演終了
満足度★★★
竹藪の中
竹やぶの中を肩が触れ合うような距離で行きかうのに、互いを見ることはなく、ただすれ違っていくだけ。身体表現から、そんな印象を受けた。ただ話があまりに唐突だ。言わずに語る手法にしては、言わずに語る演技が未熟だと感じる。主役の男性の演技が気になった。目線はフラフラ、体もフラフラ、セリフはタイミングが遅れ、言い淀む。初舞台の学生のようだった。其れなりに有名な団体なのに、何でこうなったのか不可思議だ。
彼以外は、基本の役はありつつも色んな人物に器用になり変わりながら、話を進めていく技量があり、特に妹役と下宿の寮長役の芝居に目が惹きつけられた。セリフを身体にちゃんと染み込ませ、役として生きていた。
魯迅が学校を辞めた、その背景にあった事件を日本人が表現する難しさはある。だが、それでも、魯迅にとっての藤野先生をもっと描いて欲しかった。そして魯迅と言う人間に起きた革命を彼の主観のサイズで描いて欲しかった。魯迅の主観が物語中に存在しないから、俯瞰で景色をみせられているうちに終わってしまった感じがするのだ。
イッヒ リーベ ディッヒ【全公演完売の為、当日券の発売を中止いたします】
劇団東京イボンヌ
ワーサルシアター(東京都)
2013/10/01 (火) ~ 2013/10/06 (日)公演終了
満足度★★
人間が描かれていない。
脚本・演出に難がある。愛を表現しているはずの女性側の心理が全く理解できなかった。男性目線の話だからか、非常にご都合主義的で・・人間の心理として理解出来ない飛躍があちこちに見られた。感情移入しようにも、あまりに平面的な描写。女性キャストがこんなにも多いのに、彼女達は脚本上のキャラ以上に何も人間が描かれていない。脚本上の必要に迫られて泣いたり許したりする場面にしか見えなかった。脚本家の貧困な人間観・表現力、演出の合理的に割り切れないウェトな感情を表現するセンスの欠落を感じた。
役者は良い役者が沢山出ている。ベートーベン、マリア、看護婦、犬飼は好演している。楽曲も良し悪しは分からないが生で演奏を聞けるお得感はあった。だが、それだけだ。もしかしたら現代の描写は丸ごと要らないかもしれない。ベートーベンの時代はそれなりに出来ていたので・・
私が来た日、見覚えのある有名劇団の団長などの顔をみかけた。内容とコネの強さは比例しないのだと思った。受付・場内周りのスタッフは見事。超満員にも関わらず全くストレスが無かった。作品を除けば☆4.5。スタッフと役者が可哀想な舞台だった。
狂える星霜
劇団虚幻癖
戸野廣浩司記念劇場(東京都)
2013/08/23 (金) ~ 2013/08/25 (日)公演終了
満足度★★
鬼気迫るラスト(大楽・B組拝見)
やりたい演出と役者の能力が追いついていない感じがした。しかし演出家は、本気で役者にそれを徹底させるつもりはあったのか?という疑問も沸く。台詞過多、役者の体を通して表現する、ということが徹底されていない舞台でした。本を書いておしまい、ではなく、演劇は役者を通して話を伝えるものです。これだったら、朗読劇で十分ではないですか?
役者は、肉体を使えていない役者が多すぎた。無駄にフラフラしない。目線は固定する。発声は滑らかに聞きやすい範囲でコントロールする。台詞を読んでるだけなら、声優をやれと言いたい。(台詞すらまともに読めない役者もいましたが。)また自分が気持ち良いように演技すれば良いのではない。自分が楽しくなって無駄に間延びさせるなんてもってのほか。間の客いじりは本当にうっとおしかった。役者として自分の仕事を果たせていたのは、セリーヌ役、グレイ役、老婆役、ジャンヌ役ぐらいで、後のキャストは役者ではない。もっと演劇というものをイチから考え直したほうがいいと思いました。(セリーヌはダブルキャストのBです。補足します。)
ですが後半の斬り合いからの役者達の好演は良かった。緊張感がどんどん高まっていく感じ、鬼気迫る雰囲気(前のほうに座っていましたが、グレイやセリーヌの殺気でぞわっとしました。)は「芝居」だったと思います。セリーヌさん、本当にお綺麗でした。あの台詞やアクトで違和感が全く無い人は、小劇場の女優ではあまりいないと思います。このお芝居はあなたがいなかったら成立しなかったでしょう。グレイさん、細かい情緒が表現されていて良かったと思います。他のお芝居でも是非拝見したいと思います。
ラジエーター
シアターノーチラス
シアター711(東京都)
2013/07/10 (水) ~ 2013/07/14 (日)公演終了
満足度★
どこにいきたいんだ
思い返すと、ハズレだったなあと思う芝居だった。
話は、リアリティの考証が弱い。バス来ないから、無理くり待たないといけないって、、諦めて帰るか、タクシー乗れよとつっこんでしまった。
話の中で延々人がいがみ合い、色んなエピソードは出るもぶん投げっぱなし。最後で一気に伏線回収してスッキリするのかと思って観たけど、最後まで何もなし。役者も万遍なく普通だったので、楽しみ方が分からず疲れた。久しぶりにガッカリしたので、コメント。
波よせて、果てなき僕らの宝島(ネバーランド)
天幕旅団
ザ・ポケット(東京都)
2013/07/17 (水) ~ 2013/07/21 (日)公演終了
満足度★★★
パターンなのか、作風なのか
毎回良くも悪くも期待は裏切らない、安定したクオリティは流石です。
ただ前身の笑劇時代から観ていますが、だんだんパターン化してきた感がしました。良い脚本演出なのに、役者が微妙なのが残念。
オウムちゃんが何言ってるか全然分からなかったなあ。
あかい壁の家
オフィス3〇〇
本多劇場(東京都)
2013/08/01 (木) ~ 2013/08/11 (日)公演終了
満足度★★★★
さすが!
芝居とは、本来こういうものを指すんだろう。
客の想像力に働きかけながら、舞台上の役者の演技と客の想像力が一体になって、すごいものを見せてくれる。
時空を跳ぶ不可思議感と、時折挟まれるミュージカルシーンのナンセンスでチープな空気が、劇場にも合ってる。
ゲゲゲのげにも出演した中川さんが一番好きでした。
久しぶりの観劇で調子を合わせられるか心配でしたが、良いものを観れて幸せでした。
ウェルカム・ホーム
天才劇団バカバッカ
テアトルBONBON(東京都)
2013/04/18 (木) ~ 2013/04/29 (月)公演終了
満足度★★★★
面白かった
ストーリーのメリハリがあって、起承転結きっちり練られたエンタメだったと思います。キャスト数があまりに多くて驚きましたが、脚本かわきちんとキャラの書き分けが出来ているので、誰も埋没せず楽しく見られました。
ただ多少演技力に差がありました。セリフが喋れてない、口が回ってない役者がちらほら、、でもそれを吹っ飛ばす勢いのある舞台でした!
Candy Box -祭-
映劇企画DropTownCommunity
新宿ゴールデン街劇場(東京都)
2013/04/26 (金) ~ 2013/04/28 (日)公演終了
満足度★★★
演技力には実力差
「あったなあ、自分にもそんな頃」という身近な共感と、ふわっと舞い降りてくる不可思議感と切なさ。人の世の理が沢山つめられた1時間45分でした。
リアルな恋愛ものからファンタジーまで、バラバラのテイスト三本が、「ある神社のお祭り」という世界観を構成しているのは流石。
特に三本目の話は圧倒的な存在感でした。一つ一つのシーンやキャラクターが良く練られており、この話が今回の公演を支配する不思議な世界観や空気感を支えていたと思います。
ただ役者はもっとまともなのを使うべき。
セリフはカミカミ、立ち姿はだらしなく、表情は集中が切れる度に素に戻る。セリフをまともに話せない役者は板の上に立つ資格はありません。錦織、葦田、鈴木の三名はともかく、後は存在感が薄かったです。誰が公演のコアメンバーかすぐ分かってしまう存在感の差がありました。
ロング スロー ディスタンス
日本演劇連盟
中野スタジオあくとれ(東京都)
2013/04/12 (金) ~ 2013/04/14 (日)公演終了
見所が、無い。
何を楽しみにお金を払うのか分からない舞台でした。
脚本と演出だけで2時間持たせられる実力が無いのなら、せめてお金を払う価値がある役者をそろえるべきです。脚本は構成に問題あり、役者は客への訴求力が足りず。結果的にストーリーは置き去り、キャラクターには共感出来ず。そんな印象です。
テーマははっきりしているけど、目の前でだらだら展開される会話が、テーマとの間でどう効いているのか全然分かりません。
この脚本・演出家はちゃんと本を読む人なんですかね?何となく浮かんだ面白そうなシーンをだらだらつなげたような印象なんですが・・。同じ脚本演出家の他の舞台はすごく面白かったけど、この作品と比べてみると、この脚本・演出家の特徴がよく見えてきたように思います。
また役者に魅力・華がないなあとも思いました。演技力は普通だと思うのですが、つるっとしてとっかかりの無い役者ばかりを集めてどうするんですか。こういう役者も芝居には必要ですけど、2時間近く客の集中力を持たせるには、アクセントになる役者が絶対に必要だと思いました。というか、この脚本・演出だとアクセントになる役者がいないと見てて辛いです。(前回の舞台に出演していた役者は、非常にその意味では良かったです。非常に華がある役者が(しかも男女ともに!)いて、その二人を見るだけでもお金を払う価値があると思ったので・・。)笑いやストーリーをガンガン客席に届けてくれる、見ているこっちに強く訴えかけるパワーがある役者を少し期待してたのもあり、残念でした。