0号
ゲキバカ
ザ・ポケット(東京都)
2023/08/23 (水) ~ 2023/08/27 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
何度も観た2014年版を思い出しながらの観劇。話を知っているからこそ、もうオープニングから涙が出てしまう笑。
当時と同じ劇伴がまた泣ける。出演者は変わったが老後藤と老千代子を実際の夫婦が演じることが確かな効果を生んでいた。
当時とは劇団員も変わったゲキバカ。解散を発表してからの公演は新作→代表作→代表作という流れでありがたい。「0号」の良さをしっかり感じながら、観客として見納めの心づもりをしていく。
ヨリソウ重力(ENG改定版)
ENG
吉祥寺シアター(東京都)
2023/08/16 (水) ~ 2023/08/20 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
1回の観劇だと人間関係を掴みきれなかった。
ぱっと見て「修吾」が2人いることは分かるのだけど、修吾があんなに身長のびてる=相当時間が経っているはず なのに他のメンバーは変わってない とか、うーん いくつか無理があったように思う。
劇空間は吉祥寺シアターの高さを活かしておりわくわくするもの。売りのパルクールすごいけれど、そうはいってもこれ演劇なので。ご出演者さん怪我だけはしないでほしいと願いながら観てしまった。同時に松藤拓也さんのすごさを実感。だからこその、物語の中での絶望感が分かりやすかった。
大前提である月代町の設定に無理があり(それなりに人が住む場所で重力に違いがあるとは???)、どこまでが設定でどこからが物語なのか考えながら観なくてはならなかったこと、登場人物達にはバックボーンがあって分かっていても観客には説明が無くていまいち分からないことがあること(誠はなぜあんなに日和さんが大切だったのか分からずじまい)、セリフ一言とわずかな身振りだけで血縁関係を推察しなくてはならないこと… 観劇に際しての情報量が多すぎる。登場人物が多ければ当然固有名詞も増え、さらに特殊な設定とくれば単純に見にくい作品になってしまう。
登場人物ひとりひとりには魅力があるし、演じる俳優にも魅力があるのだから、もうすこし演劇向きの人数まで減らせないものか。
『夜行万葉録・戌』『おとぎ夜話・寿』
Jungle Bell Theater
オメガ東京(東京都)
2023/08/09 (水) ~ 2023/08/14 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
劇団の4年ぶり本公演。「おとぎ夜話・寿」は再演、「夜行万葉録・戌」は新作。
どちらもオムニバス風であるが謎解きのような構成で本筋の登場人物が語る話として1話・2話・3話があり1話はコメディ寄り、2話は怪談、3話が答え合わせの様相。ここ数作はこの構成で作品を作っているとのこと。
2話を怪談と評したが民俗学に基づいた作話である。「おとぎ夜話」「夜行万葉録」とも2話を楽しんだが、1話は肌に合わず。1話と3話がリンクする構成なので違いを出すことは必然でそれは全く問題ないこと。ただ肌に合わないだけである。
舞台中央に台があるだけの劇空間に、1話・2話・3話の登場人物はほぼ黒一色の衣装という突き詰めたシンプルさが良い。小道具が最小限でマイムによる表現が多い中、出演者が概ね実力者でよく物語に引き込んでもらえた。重さや固さ、物の大きさ。マイムだけで観ている者に分からせる充分な力を皆さまお持ちだった。「夜行万葉録・戌」1話で岡教寛さん演じる母がボロアパートの床を突き抜けて階下へ落ちていくマイムと福地教光さん演じる面打師(本業は宮司で面打ちは趣味という設定)による鑿と槌のマイムは毎度見事だった。
脚本も(コメディの合わなさはあったものの)良く、基本的には満足した観劇。
ただし、予約開始時刻すぐに予約し即振り込んだのに4列目や5列目の席を指定され「どうしてここになるの?」という座席の不可解さと、劇場の傾斜の足りなさによる見えにくさ(これは劇場のせいで団体さんのせいではないです/知っていたから即予約し即振り込んだのになあという不満はあります)で★を1つマイナス。
★とは関係ないところで、客席案内や物販対応を劇団員・制作さん以外に客演さんも手伝っているのが小劇場あるあるでほっこり。(客演さんが手伝うべきということではなく、客演さんが手伝いたくなる団体とメンバーなのだろうという解釈)
4年ぶりの本公演を喜ぶ劇団のファンのかた達が微笑ましく、また実際に観劇して団体にファンがつくことが納得できる作品と公演であることを実感した。
Blue Bird
TKmeets
ステージカフェ下北沢亭(東京都)
2023/03/29 (水) ~ 2023/04/02 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
2回目の福地教光さんプロデュース公演、今回もとても楽しい。
「太陽にホエール」にあったコント感が薄れ、演劇らしいと感じるのは登場人物達が演劇人だからだけではないはず。中身のしっかり詰まった会話劇なのだ。
登場人物が演劇人の設定だと身内ネタがあったりするのが小劇場あるある…と個人的に認識していたがこの「Blue Bird」にはそれが無い。固有の身内ネタは無いのに演劇人あるあるはあって面白く観られる。二朗松田さん、さすがの脚本。
上演時間は60分弱だが体感ではもっと短い気がする、あっという間。
おすすめ!
ウブスナvol.1
アメツチ
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2023/02/01 (水) ~ 2023/02/05 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
バンタムクラスステージ細川博司さんが近年目をかけている若手作家の作品を手練れ俳優に演じさせる企画の1回目。
モンコックハウス主宰鈴木佑輔さん作「ナラティブ・アプローチ」、劇団中馬式主宰中馬真弥さん作「ミッドナイト・ホットスナック」いずれも自団体で上演済みの作品だがわたし自身は未見の状態で観劇。
「ナラティブ・アプローチ」
静かに淡々と物語が流れていく。起承転結を追ってみるとたしかに起承転結があるのだけど、悪く言うなら"メリハリが無い"。そして場面転換や暗転が多く、さらに暗転明けが電話の着信音ということが多い印象で、これは今後技術的に洗練できるものと断言する。
個人的には淡々とした作品は好きで今作も好感。しかし中だるみを感じた観客はいたと思う。
不要なんじゃないかというエピソードもあるし、電話で済ませられる内容で直接会いに行ったり、いくら40年経っているとはいえそんなにうまく行くかなという感覚もあり。
とまあ、悪いことを書いてしまったが。
手練れの俳優陣は全員が素晴らしかった。
小沢和之さん演じる52歳のアレンには塀の中にいた時間を感じさせてもらったし、中川むっくさんのハリー・佐藤圭右さんのブレイク・土矢兼久さんのビリーも繊細かつ納得のいく演技で実在感があった。ストーリーテラーでもあった弁護士ジェームズ役の土田卓さん、アレンを厄介に感じる冒頭からお人好しの本領発揮で見事な準主役。ジェームズの家にしょっちゅうやってくる殺し屋にして組織からの連絡役なリアム役福地教光さん、ジェームズの"兄"としてたくさんかわいい表情を見せてくれた。冷徹なようでいて弟には甘く、弟同様のお人好しであることが分かる物語の流れが心地よかった。作中で異質な存在である少年アレン役佐藤智広さん、要所で良い芝居。
良いお話だし、演出も好きです。伸びしろがまだまだある。まずは「アナザーエンディング」がんばってください!
「ミッドナイト・ホットスナック」
なかなかに解釈を観る者に委ねる作品。とてもアリです。
しかし観ながらしんどかった苦笑。
生身で演じられる舞台ですから、登場人物がしんどい思いをしてると観てるほうもしんどくなってしまう。「ナラティブ・アプローチ」が米国の話で外側から見る安心感ある話なのに対し、こちらは自分がまるで物語の内側に入りこんでしまうような感じ。
それだけリアルな感じがしたということだし、特に森岡悠さんの咲良ちゃん、良かったです。時間をかけてコミュ障を脱する姿は正直言ってまぶしい。なかなか変われないものなのに。
馬渡直子さんと緒方ちかさんの、味方なのか敵なのか、良いひとなのか悪いひとなのかを読ませないお芝居さすがでした。そういうところに深みを感じるんですよね。
難しいのは鶴田葵さん。ゆきちゃんはしたたかで、強い。それをあの透明感が覆って隠していた印象。面白く観させていただきました。
最後をどう解釈するかは本当にひとそれぞれで、Twitterの感想には自分の中にはまったく浮かばなかったものもあり興味深かった。正解の無いえがきかたは細川さん好みですよね笑。
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作品とは別のところで。
パンフレット、もうちょっと良い紙を使ってください……ペラペラが過ぎます。。。
それから、対談ページのデザインがひどすぎます。
収益を出すことは大事なことと理解してますが、せめて、対談のタイトルとか、参加メンバーの一覧とか、写真とかを入れて見やすくして、ページ数を4ページ増やしてもよかったんではないでしょうか。。ビジュアル写真の画質(解像度)も、もっとちゃんとしていたはずなのでは。
美術もね、そろそろ見飽きてきましたね……素舞台でも、いいんですよ?
シアターKASSAIの下手4席を着席不可にするの、やめていただきたかった。あそこが好きなひとたくさんいますよ。後から来たひとはその外側でもじゅうぶん観られます。
戰御史 -Ikusaonshi-
壱劇屋
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2022/11/23 (水) ~ 2022/11/29 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
主人公2人、武器のかつての持ち主4人、とにかく戦う。戦闘戦闘戦闘戦闘の繰り返しでまさにタイトル通り。
みんなすごかったですが個人的に日南田顕久さんは殺陣の無いお芝居で出会った俳優さんなので驚嘆の一言でした。
ろうそく男・小林嵩平さんのミステリアスさと凶暴さの振り幅よ!楽しい時間でした!
火消しの辰と瓦版屋の娘【一部公演中止】
劇団6番シード
ブディストホール(東京都)
2022/11/30 (水) ~ 2022/12/04 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
どんどん話の変わる飽きさせない展開。話の筋は場面の変わる前半と後半でまったくちがう。ワンシチュエーションが2つあり、ときどき交差する。楽しい経験でした。
心踏音 -Shintouon-
壱劇屋
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2022/10/19 (水) ~ 2022/10/25 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
大阪での初演を見ており、吉田青弘さんの主人公をもう一度みたくて観劇。
やっぱり吉田青弘さん素敵でした。
身体が効かないシーンもしっかりあって、ものすごい達人になったり、時が戻ってまた下手くそになったり。いやあすごい。観客は目の前で起こることを真実だと思って見てしまうわけです、ほんとはできるのにしないっていうのがいかに難しいか。気持ちよくだまされる観劇でした。
もちろん作品としてそれだけじゃない。
今回はたらればを考えたくなるお話。悲しかった。
途中で得物が変わるの、ほんとうにかなしい。
悪を以って愛と成す
eeo Stage
CBGKシブゲキ!!(東京都)
2022/10/26 (水) ~ 2022/10/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
こんなふわっとしたお話は久しぶり笑。
でも、凝りに凝ったビジュアル!それに、プロの歌!殺陣!いやいやもう、それを見に来たんですという気持ち。
宣伝文句に偽り無し。たまにはこういうのもいいです。
江戸川乱歩の世界 朗読劇・幻燈の獏
アメツチ
イイノホール(東京都)
2022/08/13 (土) ~ 2022/08/14 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
過去に観劇した作品が朗読劇になるというのはコロナ禍でままあることではあったけれどまさかこの作品が、しかもこの出演者で…?!!となったのが本当に正直なところ。
びびりました。
そして贅沢な時間でした。
生演奏もとても良かったし、声優さんたちの朗読がそりゃあ良いに決まってます。
良かったなあ。
お名前を存じ上げない若い声優さんもいらっしゃいましたがすごく良かったです。
サブスクリプション
Fockers
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2022/11/09 (水) ~ 2022/11/13 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
アリスインアリス「魔銃ドナー」の流れをくむ作品。この世界観に浸れる時間を過ごせたことがありがたい。
舞台を中央に、客席は3面に。舞台は床で客席が上にあるので見逃す一瞬が無いのが嬉しい。
当然座る場所によって見える表情が異なるので「次はあそこから観てみたい」ってなりますね。
『OH!Myゴ-スト』
東京ハイビーム
あうるすぽっと(東京都)
2022/08/31 (水) ~ 2022/09/04 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★
うーーん、、終盤は良いし物語の冒頭はシチュエーションコメディのセオリーを踏んでるとは思うのだけど、、グダグダ感が強かったし、ここにそれいる?みたいなこともありましたし。あとテンポですかね。全体的に合わなかった。単に好みの問題です。
それでも良い話のところではちょっとうるっとしました。死んでしまったら終わりなのよ、生きてる人間がうまくいきますように。
空蝉
あやめ十八番
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2022/09/01 (木) ~ 2022/09/04 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
あやめ十八番、初見。いつもこういう作品では無いそうでよかったのか悪かったのか分からないが、今回はエンタメということで大いに楽しませてもらった。
前半は楽しい歌唱シーンもありつつ世界観を飲み込ませてもらい、後半は落語の話を思い出させる進行で物語は進む。登場人物が多くてごちゃっとはしつつも、死んだ人間もあっちで元気にしているよとか、夭折した子も成長しているよとか、面白くするための話に救われる手合いもいっぱいいるだろうと思えた。
温室の前
Lilas
RAFT(東京都)
2022/09/22 (木) ~ 2022/09/25 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
初めての岸田國士戯曲でした。余韻がじんわりと長く残る。
二人きりの兄と妹、生きるのにじゅうぶんな金はある、病気がちだった身体が健康を得た、雑貨屋のような店をやり温室で植物が花をつけるのを楽しみにしながらそれでもどうにも閉塞的になるふたり。
そこへやってくる妹の同級生と兄の同級生。閉塞が終わったかのように見えたのは束の間、「やっぱりね」という展開に。
100年前に書かれた戯曲だけれど、なんというか「そういうとこやぞ」って言いたくなる登場人物をみてると人の営みは変わらないって思いますね。
控えめな照明と凝った美術、ちゃんと着替える登場人物。いろいろと好感を持ったお芝居でした。
笑顔の砦
庭劇団ペニノ
吉祥寺シアター(東京都)
2022/09/10 (土) ~ 2022/09/19 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
この規模だと最近は全席指定となるものだが珍しく全席自由で幸運にも最前列の中央付近で観劇。心に沁みる緒方晋さんの在り方が良い。時代錯誤的なところもあるけれど。
淡々と2つの部屋にある日常を追うことになる観客。なんとも不思議な観劇体験。
しょっぱなから食事の支度、ほんとうに食べている、ごはんを噴き出すシーンに一瞬はらはらしてしまいコロナ憎しの気持ちに。そういう雑音が心底いやになるほど素晴らしいお芝居。
生活感のある素晴らしく作り込まれた美術、それが2つあり、しかも片方は時間の経過とともに変化がある。観客はそれを観察するのも楽しみのひとつになるがしかしまあ、暗転の中でよくあれを毎回正しく設置できるものだと内心舌を巻く気持ち。
漁師たちの言葉が絶妙にバラバラなのも良い、ちゃんと配役表にその人の出身地が書いてあり、なんのつながりもなかった人たちが仕事を通じて仲間になったのだというのが分かる。良いなあ。
人にはそれぞれ背景があり、集ったり、別れたり。そういうものだと教えてくれる。
賊義賊 -Zokugizoku-
壱劇屋
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2022/09/21 (水) ~ 2022/09/27 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
ちゃんと台詞のあるお芝居も出来る人たちが、あえて台詞を排除して殺陣と表情とパフォーマンスで魅せてくれるシリーズ。観るほうは想像力をフル回転するからかものすごく作品に没入できる。あるシーンで涙があふれたし(お芝居であまり泣かないのだけれど)そのとき両隣の観客が手で口(マスク)を覆っていたの、「わかる」しかなかった。
シリーズはすでに大阪で上演済みながら、「賊義賊」は観ていなかったので楽しく拝見した。
主演・小玉百夏さんと竹村さんが旧知の仲なのは知っていたのでようやく主演で観られたのが観客としても嬉しいし梅棒の伊藤今人さんがご出演というのも個人的に胸アツ。
楽しかった!
次の「心踏音」は大阪で初演を観ているがとても良かったのでまた観られるのが嬉しい!観に行きます!
いびしない愛
ばぶれるりぐる
こまばアゴラ劇場(東京都)
2022/10/13 (木) ~ 2022/10/17 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
コロナ禍の真っ最中、不振にあえぐ高知県の小さな宗田節製造工場にある事務所。そこに泥棒が忍びこむことから始まる、居場所だとか生き方だとかの物語。
美術が素晴らしい。トタンの壁、建築がそこにある感じ。物語のキーになる扉、妙にリアリティあって好き笑。
皆さまのご感想手厳しいなあ。わたしは「何も事件が起こらない日常」こそが好きなものでこれくらいのゆったりさは全く問題なく楽しく観られました。
幡多弁は分かりませんが何を言ってるかはだいたい分かります。
(この作品、幡多弁の地元・高知県土佐清水市でも上演したというのがすごい)
ご出演者さん皆さま芝居巧者。出色は蟷螂襲さん、さすがの一言。
シリアスな場面と力を抜いて観られる場面、双方のバランスが良かったです。
太陽にホエール
TKmeets
ステージカフェ下北沢亭(東京都)
2022/07/27 (水) ~ 2022/07/31 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
初見時の感想は「二朗松田さんの作品だー!」という感じが強かったが、3ステージ観劇して演出がいかに細かくかっちりきっちり演劇として作り込んだか分かるようになってきた。
戯曲を読むだけで面白さが伝わるのに、そこにこの鉄壁のご出演者と演劇として成立させる演出があることで面白さが増幅している。
ネタは散りばめられすぎて追い付けないレベル。客席が分からないネタ多数で毎ステージ盛り上がる箇所が違うため一観客として客席の盛り上がりも楽しく観察している。
1回きりのリーディングライブは逆にあまり固めずその名の通りの「ライブ」感あるリーディングだった。リーディングライブは福地教光+椎名亜音と福地教光+松木わかは2作品、どちらも作品の選択・パートナーの選択とも大正解かつ素晴らしい完成度! 俳優の実力を見せつけてくれた贅沢な時間だった。
ジャングルジャングル6
アイビス・プラネット
コフレリオ 新宿シアター(東京都)
2021/12/08 (水) ~ 2021/12/13 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
「異界の魚」は前回のピーズラボでも配信で拝見。今回劇場で観られるのを楽しみにしていた。
これまでに配信と実演の違いを何度も肌で感じてきた、今回もしかり。
西田シャトナーさんらしさを感じるパワーあふれる作品であるがそれも演出次第、演出は演じ手・野口オリジナルさんによるらしくこれをよくぞ一人で作り上げたと思うと共に野口オリジナルさんならやると納得もできる(実際にやっているわけだし)。
「尋問」は福地教光さんの6号を劇場で、大神拓哉さん・高田淳さんの6号を配信で拝見。念のためネタバレBOXに記述。
これは書いておきたい、音響さんのタイミングが素晴らしい。
「異界の魚」は一人芝居だから間が微妙にいつも異なるはずだし、「尋問」は登場人物のうち1人が即興でやってるというのに。
絶妙、あるいは絶妙だと思わせてくれる。気持ち良い音響でした。
エレモア・ムーブ
バンタムクラスステージ
王子小劇場(東京都)
2021/10/22 (金) ~ 2021/10/31 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
さすがのバンタムクラスステージ。
新作はハリウッドを舞台にしたコメディと謳い、たしかにコメディなのだが軽すぎない。むしろしばらく重い。笑 ただしその重さを気取られないよう軽妙に見せることはやっていて、それが序盤にあらわれている。ものすごい情報量を一気に観客にぶつけるオープニング、見事である。
「かべぎわのカレンダリオ」でもその一端を感じられた作者の映画好きは今作まさにである。映画ネタが分からなくても作品の面白さは変わらない程度にとどめてある、それでも作者の映画好きが伝わるし、なにより主人公が米国映画界で生きていることのリアリティが出ている。
実在のネタと架空のネタが混ざり合い、かつ俳優陣の演技によりエレモア・ノートンが実在の俳優に見えてくるし「デッド・ディール」が実在の映画に思えてくる。
作中のセリフにある通りの練られた脚本が見事であり、すべての登場人物を好きになり、何度見ても面白い。難点は終わりがあっさりしていることだろうか。今作も登場人物たちのその後を知りたいと思わせてくれる見事な作品を作り上げてくれた。
以下ネタバレBOX。