マガランの観てきた!クチコミ一覧

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テンペスト

テンペスト

劇団山の手事情社

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2015/01/14 (水) ~ 2015/01/18 (日)公演終了

満足度★★★

全てが初めて。
劇団も作品も初見。

ネタバレBOX

オープニングのシーンから、
終始、身体を使い倒す俳優と
彼らを的確に見せる演出が凄いなと思いました。

身一つだけでこれだけ様々なことを見せることができるんだなと。

シェイクスピアの『テンペスト』自体も初見で、
これまで多く舞台や映画化もされ、
「復讐」や「許し」が一般的に知られたテーマのようだが、
今作は「許されない」ことを想起して稽古されたと、
当日パンフレットに書かれていた。

ただ、どういったところが「許されない」のか理解するのが難しかった。
平和な時代に生まれて-終わりなき道の標たち-

平和な時代に生まれて-終わりなき道の標たち-

九十九ジャンクション

小劇場 楽園(東京都)

2016/06/15 (水) ~ 2016/06/19 (日)公演終了

満足度★★★

積極的に求める平和
政治シュミレーション劇、と言う感じでしょうか。

ネタバレBOX

今から約20年後、大学の政治研究系サークルに入ってきた50過ぎの新入生を候補者として担ぎあげ、「軍事介入する・しないことによる無辜の市民の犠牲」というジレンマを考える中から生まれた「積極的平和主義」(現在とは異なる)をマニフェストにしていく。

台詞の印象で固いのかなとも思いながらも聴きやすく、観易かった。

前半の選挙に出馬し、当選。他の学生たちも後を追って議員となり、
「積極的平和主義党」を結党し、マニフェストを広めて行こうとする中で、徴兵制の議論に対し、段階的な徴兵制を提案する。

与党が推す「若い世代に経済的恩恵を与える代わりの徴兵」から、
若い時に訓練し、壮年時に有事が起きた時は徴兵」という
世代間の不公平を減らす徴兵制を提案したのだ。

ここでの与党大物議員と「積極的平和主義党」の面々との
やりとりは現実に即したようなスリリングな展開だった。

ただそれまでの間が盛り上がりに欠ける気もあり、
そして壮年になった主人公たちは徴兵されることとなり、
地雷処理をしているところで終わるのが皮肉なラストだが、
その皮肉っぷりがもう少し効いてくる展開だと
尚、胸に迫ってきたかなと思う。

ただ現実世界でも通じるようなテーマで興味深かった。
量子的な彼女

量子的な彼女

NICE STALKER

王子小劇場(東京都)

2016/11/19 (土) ~ 2016/11/23 (水)公演終了

満足度★★★

科学と非科学のあいだ
色んな要素、要素が面白かったです。

ネタバレBOX

まず冒頭で観客に量子論について語りかけ、
説明するのは素直に面白いなと。
気兼ねのない参加で劇の世界に入って行ける。

劇の途中でも何度か出てくる説明台詞がそんなに苦ではないのは、
俳優の力量だったと思えた。
知っているだけでも達者な方々が揃っているので、
何気ないところでも観るポイントがあったなと。

【良かったところ、好感】
・舞台美術がゴテゴテし過ぎてないけど、なんかワクワクする感じ。

・ヒロイン役の池田萌子さんの設定、面白いこと不思議なことに興味を抱くが
恋愛には興味がないという変わり者で掴めそうで掴みきれない存在というその感じがいい。

・横手慎太郎さんの顧問の先生。面白キャラだけどいい味出すなぁと。小劇場界の高橋一生だと再認識。

・屋上の先輩二人、帯金ゆかりさん、山本光さんコンビが良い。
見た目と言動の印象から不良かと思いきや、NASAを目指しているほどの勉強好きで物理学などに精通しているというギャップ。
二人の息のあった台詞の部分のシンクロ率の高さが凄い。

・藤本海咲さん、吉田ちひろさんは双子!?と思うくらい初めパッと見が似ていた印象だったけれど性格が真逆で良いコントラストだなと。

・量子論や物理学を始めとした話の例えがいい。勝負パンツとかラブレターの縦横書きとか。

・科学と非科学という捉え方について考えさせられた。


それらを踏まえていくつか思ったことは、

・藤本紗也香さん、池田萌子さん、藤本海咲さん、吉田ちひろさんの
オカルト研究部の4人での絡みがもっと観たかった。
宇宙人と池田さんを巡る話(藤本紗也香さんと池田萌子さん)と、
吉田さんの正体と横手先生を巡る話(藤本海咲さんと吉田ちひろさん)の二つに分かれるのでこの両方が入り組んできたらもっと面白かったかなと。

・主に前半で場転の際に椅子の出し入れが頻繁に行われるので、
舞台上で移動させるとかの方が良いかなと思った。

・神宮寺先輩と藤田さんのSF研究部との関わり(協力or対立など)を効果的に使ったら、彩りが増すような気がした。

・宇宙人(?)役の石澤希代子さんをもっと冒頭から絡めてくるといいなと。
キスミー・イエローママ

キスミー・イエローママ

ゲンパビ

OFF OFFシアター(東京都)

2014/08/27 (水) ~ 2014/08/31 (日)公演終了

満足度★★★

もっと引きつける何か。
チケットプレゼントにて鑑賞させていただきました。

ネタバレBOX

ある町で電器屋を営むエッジ兄弟。
幼い頃に両親を亡くし、二人で支えあって生きてきた。
無愛想な職人気質で腕の良い修理担当の兄ケイ(泉政宏)と
社交的で店の経営をしていく弟ユウキ(山本恵太郎)。

ユウキは昔からの友人ダニー(深井敬哲)とともに無事大学に合格、
そこで将来の結婚相手カレン(宍泥美)と出会う。

町にある拘置所の職員ジョージ(蓮根わたる)と
新人職員のリー(井上ほたてひも)は
ハナ(三澤さき)の営む近くのバーに通っていた。
その頃、ハナは雨の日に店の前にいた捨て子のスズ(篠原彩)を見つける。

時が経ち、公務員となり選挙出馬を目指すダニーが
店の経営が思わしくなく悩んでいたユウキにある話を持ちかける。

それは拘置所で新しく導入される死刑執行の道具、
「電気椅子」の整備の仕事だった・・・。


(※以下、まとまりのない文章で申し訳ありません。)

アラバマ州で使われる電気椅子のニックネームが
「イエローママ」と言うらしい。
そうすると、そのあたりをモデルにしているのかな。
終盤に「温泉」というワードが出てくるのが違和感だった。
人物の名前等から欧米的な世界を想起していたので。

劇中の台詞にも出てくる「幸せの総量」とか、
電気椅子にちなんだ「人生は椅子取りゲーム」だというのは
まぁ理解できる。

良いことの後には悪いことがある。逆も然り。
幸運と不運は表裏一体、
誰かが幸運なら、別の誰かが不運になっている。

物語としても全体的に淡々と進んでいき、
劇中の時間も急に進んだりするものの、
展開に置いていかれるということはなかった。

ただ物語や登場人物に感情移入する前に
次へ展開していくように思えたので、
もう少し引き付ける何かが欲しかったと思った。

ケイが電気椅子にこだわる(魅せられる)様子、
スズが電気椅子の廃止運動にのめり込んでいく様子、等々。

誰かが幸運なら、別の誰かは不運であるというテーマなら
そうなってしまう「もどかしさ」をもっと感じたかった。

ラストもおそらく作家の挨拶文にあった、
「幸せが具体的にどんなものかわからないけれど、
とにかく幸せになりたい」というのを
表していたように感じ取れたので、
もっと各キャラクターに入り込めれば尚良かったな、と。

この群像劇の中ではジョージが良かった。
友人のケイ、部下のリー、通っているバーのハナらと繋がっており、
時に悩む者の背中を押したり、話を聞いたり
物語をも繋ぐ役目になっていた。
加えて一番まともで現実的に共感しやすい存在なので、
欲を言えば彼がもっと現実的な厳しさを明確に伝えれば
更に印象が深くなるんじゃないかと思った。

全体の空気感とか舞台美術とか好みだったので、
また次回を楽しみにしたいと思います。
Béranger

Béranger

EgofiLter

シアター711(東京都)

2015/05/13 (水) ~ 2015/05/17 (日)公演終了

満足度★★★

Bérangerに出会った作家は。
ネタバレにて。

ネタバレBOX

第二次世界大戦の初期に
ルーマニアで起こった反ユダヤ主義民族運動、
それを推し進めた鉄衛団。
その時代背景と若きイヨネスコ、
今も正式に認可される「魔女」などが入り混じる。

イヨネスコが不条理劇で有名となったということだけは
知っていたが、まさにその劇世界が入り混じるような
不思議な空間だった。

70年ほど前の話なのに中世のような。
魔女の力を信じるルーマニアの人々が
ファシズムや鉄衛団の反ユダヤ主義の伝播と
クロスオーバーするような。

少年たちの一人がユダヤ人だったり、
情けない若きイヨネスコの成長、
魔女に対するルーマニアの人々の変化など
色々と面白い要素があるので、
もう少し1本、筋が通った形にまとまると
さらに面白くなったのでは。

女優陣が良かった。
特に高橋紗綾さん、逢川じゅんさん、あべあゆみさん素敵でした!
もっと超越した所へ。

もっと超越した所へ。

月刊「根本宗子」

ザ・スズナリ(東京都)

2015/05/09 (土) ~ 2015/05/17 (日)公演終了

満足度★★★

超越した所とは?
ネタバレに感想を書きます。

ネタバレBOX

見方が甘いのもありますが、
ここまでの絶賛について
正直私はあまり理解できませんでした。

私が男であるが故に、
男が批判されるのは駄目とかではなく、
例えばそこに共感へ喚起させたり、
または共感をも「超越」した何かがあれば、
めったくそに男をぶっ叩いてくれて構わないし、
楽しくなったんだろうなと。
そこが見落としてしまったところだったのでしょうか。

笑えるポイントは色々あったけれど、
あそこまでの客席の高揚に繋がっていくほど面白いのかな、
と思ってしまいました。

逆にあそこまで屑なダメンズ達すら見限らないところが
「超越」していたところだったのでしょうか。

風俗嬢を演じた梨木さんが素敵でした。
台詞がない場面でもあれだけ楽しくさせてくれると
つい目がいってしまいます。

小沢さんはあの爽やかなイメージを損なわずに
ゲイのオカマを演じられるのはさすがだなと。
正しい時間

正しい時間

遊劇社ねこ印工務店

小劇場 楽園(東京都)

2016/06/01 (水) ~ 2016/06/05 (日)公演終了

満足度

合いませんでした。
初観劇でしたが、正直合いませんでした。

ネタバレBOX

主人公の中年の男が、
自分の生まれる過去にタイムスリップして
両親の結婚をなかったことにしようとする話。

普通両親を結婚させない時点で自分が消えてしまうことは
ほぼ明白だと思うけれど、逆にそれに本人が気づいていないという
「オチ」のようになっていたと思ったのですが、
それをラストの「オチ」に使わずに、中盤で提示してしまった時点で
主人公の行動の目的や動機が見えなくなったように思えました。

中盤で若かれし主人公の母が唐突にダンスするシーンの
意図が全く不明でした。

著名な映画音楽を多数引用するのは「分かりやすさ」ではありですが、
正直引用する意図とかが浅い印象で、
あえてパロディっぽくするとかもなく、ちょっと食傷気味でした。

あとこれは観客側の話ですが、ちょうど観た回がほぼ満席で
全体としてお客さんの平均年齢が高かった(高齢の方が多かった)。
それは良いとして劇の終盤(→ラストではない)で、
主人公が劇中の一連の出来事を経て
自分の心情を吐露する大事なところで、
台詞を言った後に「よく言った!」という合いの手が入り、
数人が大きめの拍手をしていました。

観劇の態度は、
劇場内の決まり事や秩序を乱さなければ自由だと思うけれど、
何をやっても良いわけでもないし、
正直その場にいてフリーズしてしまいました。
歌舞伎座かなと思ってついていけなくなってしまいました。

俳優は劇団員の女優さんが良い印象に残りました。

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