りいちろが投票した舞台芸術アワード!

2014年度 1-10位と総評
逐電100W・ロード100Mile(ヴァージン)

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逐電100W・ロード100Mile(ヴァージン)

劇団子供鉅人

あうるすぽっと版を観ました。アイデアも面白いし、美術にも創意があり、なにより役者たちの切れが、舞台に設えらえた客席から見た本来の客席スペースを海原となし、その先のマクベスの物語を観る側にしなやかに渡していました。ここのシーンのクオリティをしっかりと持った舞台でもありました。

紙風船文様5

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紙風船文様5

カトリ企画UR

西洋便器一つの美術から、岸田國士の世界が見事に描き出されていくことに驚愕。
演出の発想にも、そのアイデアを見事に歩ませた役者たちの力量にも舌を巻きました

最高の夏にしようねノイローゼ

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最高の夏にしようねノイローゼ

体にやさしいパンク

下北沢のリーディングカフェ、ピカイチでの公演。
全部の演目を観ることはできませんでしたが、それでも、澁谷桂一が紡ぐ世界の不思議な透明感と、それがこれまでにない
新しいエンジンでの語り口から生まれていることに
強く心を捉われました。

今後、彼がどのような創作を重ねていくのかが実に楽しみです。

漏れて100年

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漏れて100年

突劇金魚

語られるものが見えてきた中盤あたりから、作り手の視座の置き方や語り口のしたたかさに感心、惹きこまれました。
作り手の描くものの解け方やそこからの歩みのブレのなさ、そこに織り入れられる様々な寓意にガッツリと取り込まれてしまいました。

痕跡 〈あとあと〉

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痕跡 〈あとあと〉

KAKUTA

この作り手と、青山円形劇場の空間だからこそ生まれた
物語の充足感にガッツリ浸されました。

劇場閉鎖ということで
あの物語の織り上がりがもう二度と観られないのは残念でなりません。

カズオ/斜めから見ても真っ直ぐ見てもなんだかんだ嫌いじゃないもの

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カズオ/斜めから見ても真っ直ぐ見てもなんだかんだ嫌いじゃないもの

オーストラ・マコンドー

役者二人の観る側までも巻き込み
更にはぶっちぎるような刹那の立ちあげと
疾走感と、その中に組み上げられていく世界の精緻さに
只々目を瞠りました。
タイプこそ違いますが、二人の女優たちの力量にわくわくしてしまいました。
オーストラマコンドーについては2月の吉祥寺、さらにはLe Decoでのリーディング公演と秀逸な公演を継続して行う地力を感じた1年でした。

緑子の部屋

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緑子の部屋

鳥公園

冒頭の語り口からは想像もできないような、でも観る側の意識しない部分が共振するような作品でした。

鳥公園については、主宰の外部での活動を含めて着実に新たな研がれ方をしていると感じる一年でした

WATAC I

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WATAC I

Hula-Hooper

描き出すものを身体で表現するのですが、そのメソッドにはこれまでにないあらたな方向性がありました。

今後、作り手のこのシリーズでの表現がどのように進化していくのか、実に楽しみです。

デジタル

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デジタル

うさぎストライプ

熱を失うことなく淡々と醒めた世界観と木皮成振付の交わりが、不思議な質量をもった空間を編み上げていました。

観ているときには軽質な感覚でありながら、観終わっても霧散していかないものがあることに驚きました。

うさぎストライプについては12月の公演でも新たな踏み出しがあって、表現のバリエーションがさらに広がった印象を受けました

ヘナレイデー

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ヘナレイデー

AnK

不思議な心風景のリアリティを感じる作品でした。

おもしろかったです。

総評

演劇で「良い」というベクトルは多岐にわたっていて、何かの枠をはめないと順位付けなどできないので、今年は特に面白いと思えた数十本がら予想外の印象が訪れたものという条件で作品を選びました。

これ以外にも「ワワフラミンゴ」のいくつかの公演、「池亀さん、他」の多くの作品、「なかないで、毒キノコちゃん」、佐藤佐吉演劇祭の作品たち、「玉田企画」、「水素74%」、同ほぼ時期に2劇団による『Proof』の公演、「月刊根本宗子」や「劇団競泳水着」の更なる進化、アマヤドリの雨天決行シリーズ、「Dull Colored Pop」、「キ上の空論」、「ラフメーカー」、「ロ字ック」などの公演も面白かった。

その他、惹きつけられた舞台には列挙の暇がなくて、それはとても豊かなことだと感じています。

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