FUTURE
ブラジル
駅前劇場(東京都)
2009/12/16 (水) ~ 2009/12/21 (月)公演終了
満足度★★★★
色気と狂気
辰巳さんとは面識があったが、生ブラジルは初めて。
作劇はふつうにうまい。役者はみんな素晴らしい。とくに堀川さん。これまでほかの舞台で見てたけど、こんなに女っぽい人だっけ。キーマンとなるにふさわしい色っぽさと狂気。堪能させていただきました。
モンキー・チョップ・ブルックナー!!
アマヤドリ
シアタートラム(東京都)
2009/12/15 (火) ~ 2009/12/23 (水)公演終了
満足度★★★★★
80年代と90年代の幸福な融合、0年代の集大成
僕が観たのは初日なので、それから改善や変更などあるだろうから、僕の感想はそういう感想にすぎないのだけど、よかったです。ひょっとこ乱舞という形式が、より洗練され、より固まってきたという印象。そしてどの役者もうまい、キャラがたっている。あんだけキャラだちする役者がそろってる劇団もなかなかないんじゃないか?構成、セリフ、転換、すべてが小気味良く、音楽のようだった。
『プルーフ/証明』 『心が目を覚ます瞬間~4.48サイコシスより~』
DULL-COLORED POP
サンモールスタジオ(東京都)
2009/10/07 (水) ~ 2009/10/13 (火)公演終了
満足度★★★★★
瞬間の芝居
『プルーフ/証明』はわかりやすい。ストーリーがもう評価の確定した本である。とはいうものの誰がやっても面白いわけではなく、あの水準に、持っていった谷賢一は当然評価されるべきだ。だが、それよりも何よりも、『心が目を覚ます瞬間~4.48サイコシスより~』にこそ注目すべきである。
『プルーフ/証明』 『心が目を覚ます瞬間~4.48サイコシスより~』
DULL-COLORED POP
サンモールスタジオ(東京都)
2009/10/07 (水) ~ 2009/10/13 (火)公演終了
満足度★★★★★
祝福されたる未来の証明
ほとんどイスとテーブルぐらいしか何もない舞台で4人芝居。2時間半。音楽の使用も最小限だ(というかあったか?思い出せない)。そんなんじゃ、ふつうはもたない。空間的にも時間的にももたない。もちろん出演者が、寺島しのぶとかなら別だが、小劇場程度の人間がいくら出てもふつうはもたない。が、もたせた。そこがすごい。そして、あの世界がもった理由。それは、ひとえに、清水那保。そこにつきる。
僕は「小部屋の中のマリー」からしか谷さんの芝居を観ていない・・・あ、柏でやったロミジュリが一番最初か・・・まあダルカラを観たのは「小部屋の中のマリー」からなので、清水さんを観たのもそれからなのだが、僕は不思議な感慨をもっていた。
・・・谷さんは劇団の主演女優・清水那保をうまく使えていないんじゃないか・・・という感慨。
「小部屋の中のマリー」のマリーはハマリ役のように見えるが作りものな感じがどこかある。それはブランヴィリエ侯爵夫人も同じ。清水さんの芝居には常に作りものの感覚があった。谷賢一の要求水準(演技の要求水準ではなく物語にかかわる「存在」としての要求水準)があまりにも高いため、清水那保ががんばって背伸びをしているという感じが常にあった。
しかし、『プルーフ/証明』のキャサリン役。
今回はどんぴしゃりと過不足のないハマリ役になったと言っていい。
数式でいえば「キャサリン=清水那保」だ。
世田谷カフカ
ナイロン100℃
本多劇場(東京都)
2009/09/28 (月) ~ 2009/10/12 (月)公演終了
満足度★★★★★
言うまでもなく素晴らしいが…
ケラさんはすごい。僕が言うまでもなくすごい。で、今回の「世田谷カフカ」もぎゃふんと言わされるぐらいすごい。だが、もっと違うものが見たくなったのも事実。その理由は、三宅弘城さんの好演。
魂℃OUT~ソウルドアウト~
劇団ナグラチーム
池袋GEKIBA(東京都)
2009/05/14 (木) ~ 2009/05/18 (月)公演終了
満足度★★★★
参加型エンターテイメント
・構想はすばらしい。
・しかし各所で構想がすべっている。
・それを指摘することができる参加型エンターテイメントと考えれば、これほど面白いものはない。
・その代り、この参加型エンターテイメントに参加した人は、今後とも木田友和を追跡し時に褒め時にダメ出しをし育てる義務を負う。
・それをちゃんとやった人には20年後偉くなった木田君から何らかの配当を受けることができる。
・しかし、その配当は「スマイル0円」の可能性が高い。
ムサシ
彩の国さいたま芸術劇場
彩の国さいたま芸術劇場 大ホール(埼玉県)
2009/03/04 (水) ~ 2009/04/19 (日)公演終了
パイパー
NODA・MAP
Bunkamuraシアターコクーン(東京都)
2009/01/04 (日) ~ 2009/02/28 (土)公演終了
満足度★★★★★
帰ってきた野田秀樹
シスカンパニーを離れてのNODA・MAP第一回目の本公演。
そこに現れたのは野田さんが本当にやりたかった今の演劇。
その姿は、始まりの頃の野田秀樹に似て
それでいて、いままでの歴史をすべて包摂する。
ぜひ目撃されんことを。
愛と青春の宝塚~恋よりも生命よりも~
フジテレビジョン
新宿コマ劇場(東京都)
2008/12/02 (火) ~ 2008/12/22 (月)公演終了
満足度★★★★★
死ぬほど舞台が好きで、ほんとうにそこに命をかけた人たちの話です。ぜひ観て欲しい。
ぶっちゃけ舐めてました。
TVドラマの舞台化、そして宝塚・・・
誘われなければ行かないでしょう。
で、観た結果・・・
すごく良かった(T_T)
王道を舐めてはいかんね。
何度も泣くのを我慢したが最後には決壊してしまった。
いろいろ品があるわけですよ。
こういう舞台を僕が作れるとは思わないけど
わかりやすく、しかし苛々せず
長いけど、長さを感じさせず
抑えるところをきっちり抑え
エンターテイメントとして観客を満足させる。
その見本のような芝居がここにあります。
東京は今日が最後ですが
地方公演はこれからまだまだあります。
しかし、コマ劇場って宝塚歌劇の生みの親の小林一三さんが作られたんですね。
そのコマ劇場最後の公演がこの「愛と青春の宝塚~恋よりも生命よりも~」であることはほんとうに素敵なことです。死ぬほど舞台が好きで、ほんとうにそこに命をかけた人たちの話です。ぜひ観て欲しい。
あれから
キューブ
世田谷パブリックシアター(東京都)
2008/12/13 (土) ~ 2008/12/28 (日)公演終了
満足度★★★★★
観るべき☆
爆笑が起こりまくるわけだけど、同時に、激しく泣きたくなる気持ちもあふれてきます。ケラさん、やっぱすごいなあと思わされました。観に行ってない人はぜひ行くべきです。
苛々する大人の絵本
庭劇団ペニノ
はこぶね(劇団アトリエ)(東京都)
2008/04/11 (金) ~ 2008/04/26 (土)公演終了
満足度★★★★★
一本の曲線を生み出す母体としての「場」
タニノさんは、「はこぶね」というアトリエに、ある等高線図のようなうじゃうじゃした磁「場」だけを作り上げており、毎日の「初期値」は、その日の偶然で、ポトリと置かれるものなんじゃないかと想像されるほどのもの、いや実際そうなのかもしれない。もしそうでないとしても、そういう可能性を残してある演劇・・・つまりペニノの表現するものは、物語という「一本の曲線」ではなく、その「一本の曲線」を無数に生み出す母体となる「場」、その「場」のあり方なのである。
顔よ
ポツドール
本多劇場(東京都)
2008/04/04 (金) ~ 2008/04/13 (日)公演終了
春琴(しゅんきん)
世田谷パブリックシアター
世田谷パブリックシアター(東京都)
2008/02/21 (木) ~ 2008/03/05 (水)公演終了
満足度★★★★★
「陰翳礼讃」は必読
「エレファント・バニッシュ」の光、「春琴」の陰。世田谷パブリックシアターの闇の中に、見てはいけないもの、本来あるはずの無い愛、永遠の白い肌をみる。「陰翳礼讃」を読んだうえで観劇することをお勧めします。
リア王
彩の国さいたま芸術劇場
彩の国さいたま芸術劇場 大ホール(埼玉県)
2008/01/19 (土) ~ 2008/02/05 (火)公演終了
満足度★★★★★
リア王とは彼のことだ。
平幹二郎さんは国宝級の美しさを持っている。
というか
彼の存在は、「富士山」とか「摩周湖」とか「グランドキャニオン」とか、そういう自然の美的造形に匹敵する。
74年の歳月をかけて刻み付けられた、そして彼でしかなしえない演劇的時間、その積み重ね、その皺、その声、その空間支配力、美しき涙・・・。もうそれ自体が息を呑むような「美」である。
そしてその「美」を表現するにふさわしいお題目、それが「リア王」だ。
野鴨
メジャーリーグ
THEATRE1010(東京都)
2007/11/01 (木) ~ 2007/11/30 (金)公演終了
散歩する侵略者(再演)
イキウメ
青山円形劇場(東京都)
2007/09/12 (水) ~ 2007/09/16 (日)公演終了
満足度★★★★★
フィクションがリアルを越えた夜
ある人がいる。
たとえば、そいつが告白する。
「おれ宇宙人なんだ」
そんな言葉がリアリティを持つはずがない。
だが、この芝居はその言葉に背筋の寒くなるような、そして、胸のキュッと切なくなるようなリアリティをもたせた。
アメノクニ/ヤマトブミ~Children Of The Sun~あまてらすうみのこたち
innerchild
吉祥寺シアター(東京都)
2007/08/31 (金) ~ 2007/09/09 (日)公演終了
ドラクル GOD FEARING DRACUL
Bunkamura
Bunkamuraシアターコクーン(東京都)
2007/09/01 (土) ~ 2007/09/26 (水)公演終了
エレンディラ
ホリプロ
彩の国さいたま芸術劇場 大ホール(埼玉県)
2007/08/09 (木) ~ 2007/09/02 (日)公演終了
満足度★★★★★
死にいたるまでホトばしる情熱の恋の物語
死にいたるまでホトばしる情熱の恋の物語。
惜しげもなく披露される恋する裸体。
苦しみも悲しみも恋もすべてを包み込む南国の風。
恋に胸打たれ号泣してしまいました。
THE BEE
NODA・MAP
シアタートラム(東京都)
2007/06/22 (金) ~ 2007/07/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
私小説的な、あるいは批評的な
これはぶっちゃけレイプだ。
僕が・・・すなわち日本的な文化受容体が、独自の世界を言語的な差異で守ろうと言うのに、英国の役者たちは、その豊かな表現で、むりやりに僕らに意味を、物語を、肉体を、その体臭を伝えてくる。
それは客観視され、他人にどのように自分が映るかを知り尽くした計算高い表現だということで、それはそのまま演技を、私小説的なものと真逆にある批評的なものへと昇華する。男が女を演じ、女が男を演じると言うのも、批評的である。(それでは歌舞伎や宝塚が批評的なのかということは、ここでは置いておくとして)
日本版がリアル・・・私小説的・・・女が女を、男が男を演じ・・・肉体的表現が抑制されている・・・抑制されても意味を汲み取れる・・・その分、映像的な処理や理解できる日本語でたすけられてもいるから・・・僕らは日本人だから・・・ということと比較して、英国版は戯画化され、構造化され、客観化され、男女の表現は入れ替わり誇張され無理やり意味を観客の口に押し込める・・・レイプする。それは黒船だ。
しかし、日本人は・・・というか僕は、その客観化された物語を拒絶する。僕は日本人が好きだ。私小説が好きだ。客観性の無いblogの恥ずかしい日記が好きだ。という、なんとも肉体的なところに観客がもどっていかざるをえないというか、はっきり言って、僕は日本バージョンのほうが好きだし心に刺さる。というのは、単純に、世界的な事件で、英国人が死ぬより、日本人が死んだほうが、悲しいと言う、肉体的な親近感に通じる話だろうが、日本人は日本人だから・・・だから日本人なのだ。