紛争地域から生まれた演劇5 -アラブ・イスラム世界の現代戯曲- リーディング&ラウンドテ-ブル
公益社団法人 国際演劇協会 日本センター
東京芸術劇場アトリエウエスト(東京都)
2013/12/19 (木) ~ 2013/12/23 (月)公演終了
満足度★★★★
包囲された屍体
アルジェリアの作家の書いた戯曲を朗読劇として上演。
冒頭のト書きから詩的…どころか抽象的で一般的な芝居としての上演はどうするのだろう?などと考えながら観る。
結局、具体的に内容をイメージすることはできなかったが、漠然とした空気のようなものは受け取った気になる。
また、同じく詩人でもあり劇作家でもある寺山修司作品を連想したりも。
さらに、戯曲には一般的な上演を前提としたものとそうでないもの(たとえば朗読劇として上演されることが前提のものとか)があるのではないか?とも考える。
もしも僕がイラク人だったら
カムヰヤッセン
東京芸術劇場アトリエイースト(東京都)
2013/10/03 (木) ~ 2013/10/06 (日)公演終了
満足度★★★★
窮状が胸に迫る
二人芝居と言うよりは変型一人芝居的スタイルで語られる10年ほど前のイラクの一般市民。
当時、リアルタイムで報道を見ていたこともあり、「想像上のこと」とはいえ窮状が胸に迫る。
また、「ある話芸」を思わせる導入部も巧み。
フェイク
劇団Ya-taro
参宮橋TRANCE MISSION(東京都)
2014/04/03 (木) ~ 2014/04/06 (日)公演終了
満足度★★★★
芝居を続ける決意表明?
相撲や野球の賭博が横行した2010年、ある殺人と渦中のプロ野球選手、捜査を進める刑事を描いた130分。
2時間サスペンスのように展開した終盤、ある工夫によって舞台を現実に引き寄せ、芝居を続ける決意表明ともとれるラストに繋ぐのがイイ。
また、あるシーンを間をあけて違う視点で2度見せるのも効果的。
【沢山のご来場、誠にありがとうございました!】「面影橋で逢いましょう」「それではみなさん、さようなら」
ラフメーカー
JOY JOY THEATRE(東京都)
2013/09/05 (木) ~ 2013/09/16 (月)公演終了
満足度★★★★
それではみなさん、さようなら
好きな状況設定の1つである「踊り場タイプ」またの名を「待合室タイプ」、この世とあの世の合間でのオハナシ。
キャラ合戦の如き前世での行動吟味を経ての「判決」に「自殺ならともかく重過ぎないか?」と思うもその内容を聞いて納得。
それどころか、病死や事故死も含めて親よりも先に逝くのは不孝であると気付かされる。生きねば!
記者会見+爆音上映会
ツリメラ
サンモールスタジオ(東京都)
2014/04/01 (火) ~ 2014/04/01 (火)公演終了
満足度★★★★
オトナの「ホンキの冗談」
ある意味でウルトラマンにおける偽ウルトラマンの回、的な NICONICO 登場編て、「ホンキの冗談」が楽しい。
また、上映会は音質・画質とも大変良いことにビックリ。2m×3mくらいのスクリーンに映写しても非常にクリアだもんなぁ。
なお、受付で香典袋を用意して来なかったことを悔いたのは言うまでもない。
ドッグウェイ
サッソク
nakano f(東京都)
2014/03/31 (月) ~ 2014/04/02 (水)公演終了
満足度★★★★
小劇場系団体主宰えれじぃ
とある二次会が進行する中、長期間公演していない劇団の主宰でもある店長は過去を回想し…な物語。小劇場系役者裏話として「ありそー」や「さすがにそこまでは…」なネタ満載で終始ニヤニヤ。
そして冒頭のリプライズかと思わせてのラストに「そう言えば…」と気付かされる。
なお、トップシーンで階下から聞こえる山手線ゲームの「エロく聞こえる言葉」が、河西さんのツイートと関連していてワロタ。
硝子の方舟
形態ZERO
サブテレニアン(東京都)
2014/03/28 (金) ~ 2014/03/30 (日)公演終了
満足度★★★★
カルト教団っぽさに説得力あり
カルト教団に入信した恋人を救おうとする(?)男の物語。
懐かしきアングラ芝居風の台詞回しが如何にもカルト教団の修行っぽくてサブテレニアンにいるんだかサティアンにいるんだかワカらなくなりそう、的な…。
また、教祖や信者が振り回す理屈も、教団関係者が一般人を煙に巻く時に使いそうで説得力(!)があった。
なので「ある不安」を抱いた(爆)が、終演後に談笑する役者陣がフツーの若者でひと安心。(笑)
ラフレシア
白昼夢
明石スタジオ(東京都)
2013/10/16 (水) ~ 2013/10/20 (日)公演終了
満足度★★
終盤での牽引力が不足気味
この構成・様式で115分(実測)は長いな…ってか長く感じた。
冒頭の2場面行ったり来たりはクドくてもまだ出だしだから良いとして、終盤で牽引力不足みたいな。
一方、アングラ気味のトーンや会場の使い方(上部使用とか客席のとか)は◎。
さらに/ハイ・クオリティー
ナカゴー
王子小劇場(東京都)
2014/03/25 (火) ~ 2014/04/03 (木)公演終了
さらに/ハイ・クオリティー
ナカゴー
王子小劇場(東京都)
2014/03/25 (火) ~ 2014/04/03 (木)公演終了
満足度★★
さらに
往年のにっかつロマンポルノ、中でもK子S介監督が得意とした(?)ブッ跳び系のものに通ずる内容で「エロ楽しい」が、途中で中だるみし、終盤が(例によって)クドくダレてしまい、体感時間が実時間の95分よりかなり長く思われてしまうのが残念。(敢えてこの順で記述)
良くも悪くもナカゴー丸出しといったところか。
ヘヴン・キャン・ウェイト
劇団ミックスドッグス
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2014/03/29 (土) ~ 2014/03/31 (月)公演終了
満足度★★★★
上出来タイムトラベル学園青春もの
BTF風味のタイムトラベル学園青春もの。
観ながら疑問を抱いた点(タイムパラドックスとか)にことごとくタネがあり、終盤で次々に解明されてスッキリ。
それにしても「アナコムギ症候群」の語源が気になる。アナグラムとかかな?
なお、内容から選曲のセンスまで含めて某人気劇団を想起したが、もちろん真似ということではなく吸収・消化した上でのものなので問題なし。
が、「じゅうよんにち」「深い“りゆう”はない」という言い回しがやや気になった。口語的には「じゅうよっか」「深い“わけ”はない」ではないか?
プラトニック・ギャグ
INUTOKUSHI
駅前劇場(東京都)
2013/12/25 (水) ~ 2013/12/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
なるほど「シーズン2」
「ホントにそれ、好きねぇ」な冒頭に続いての本編はファンタジックな初恋物語と幼馴染みの男女4人の成長・青春記が併行して語られ、笑いの多いそのあたりまでは従来とさほど変わらす。
が、その両編の関連が明かされた時から「真の主人公」の「もう1つの物語」が姿を現す構成で、この3つめのパートの切ないことと言ったら!
世の多くの男性は共感するのではないかしら?
或る夜の出来事
或る夜の出来事
ギャラリーLE DECO(東京都)
2013/12/25 (水) ~ 2013/12/29 (日)公演終了
満足度★★★★
おっさん達の反省会
婚活パーティーで成果をあげられなかった同期入社の四十男4人組の反省会。
もう「同期あるある」満載で、18年にも及ぶ付き合いから来る(無意識的な)甘えややっかみが次々に吐露されて頬が緩みっ放し。
が、観ているうちにそんなおっさん達がたまらなく可愛く見えて来るのは何なんだ一体!(笑)
もちろん紅一点のねもつ嬢も可愛いのでご安心を(爆)。
ただし、おっさん達に比べると出番は少な目なので彼女のファンはそこを覚悟の上で臨むべし。(笑)
遙かなるカトマンズ
暴走乙女ライン
阿佐ヶ谷アートスペース・プロット(東京都)
2014/03/28 (金) ~ 2014/03/30 (日)公演終了
満足度★★★★
修羅場コメディ
昼メロが1クールかけて描く内容から核となる部分を抽出して93分に収めた修羅場コメディ。
いささか暗めに始まり心霊テイストもありつつ、次第に加速してドタバタ系に転じ、「あんなキャラ」が「あんなこと」までするとは!(笑)
また、「あること」をダンスで表現したり、ケンカを3通りの方法で見せたり、見せ方のアイデアが多彩なのもアッパレ。
多少のツッ込みどころがないでもないが、片眼を瞑っておくか。(笑)
ごめんなさいが言えない人々
45歳からのアクターズスタジオ
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2014/03/26 (水) ~ 2014/03/30 (日)公演終了
満足度★★★
謝罪会見が釈然としないワケ
製品による肌荒れ被害を出した化粧品会社の謝罪会見直前、社長が謝罪はイヤだと言い始めて…な風刺コメディ。
謝罪会見について、会見をする側・観たり取材したりする側それぞれのホンネ(?)満載で、今まで謝罪会見を見て釈然としないモノを感じていたのはそういうコトだったのか、と得心がいった。
また、一部のキャラの背後に劇団6番シードのメンバーが見え隠れするようで、時々ニヤリとしたりも。(笑)
僕はそれを、青と呼ぼう。
姫君
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2014/03/26 (水) ~ 2014/03/30 (日)公演終了
満足度★★★
REDチーム初日観劇
友人を救いだすべく精神病患者を装い入院した主人公を待っていたのは…な物語。
公表されている内容からケン・キージー原作、デール・ワッサーマン脚本の「カッコーの巣の上を」を連想していたら、やはりいくつかの共通項はあったが、むしろ味わいは「ある小説」(ネタバレBOXに記す)に近いか。
作・演出の高瀬主宰の「結末を知った上でもう一度観るとワカる台詞などを入れた」とのツイートを見ていたので見破ってやろうといろいろ疑って観た結果かなり早い段階で思ったことが当たらずとも遠からず。
こういう見方もアリ、素直に観て騙されるのもアリといったところ?
「40 Minutes」
TABACCHI
スクエア荏原・ひらつかホール(東京都)
2014/03/21 (金) ~ 2014/03/24 (月)公演終了
満足度★★★★
各団体のカラーが如実に
3団体による「サムライ」をテーマにした40分の短編の競作。
劇団チョコレートケーキは訴えるべきことを、JACROWは演劇技法をそれぞれ前面に押し出し、電動夏子安置システムは作品としての面白さを追求した、という印象。
各団体ともよく観ている身として、冒頭部分からそれぞれのカラーが丸出しと言うか、その団体の空気がその場に広がり「そうそう、ここはこの感じだよね」とニヤニヤしたりも。
なお、このような観客投票によって順位を付ける場合、かつて劇団福耳がA-1グランプリで行っていたように「1人2票として同じ団体には2票入れない」方式にすれば、より公平になるのではないか?(投票を監視する必要が生ずるかも知れないが)
晴れ、ときどき束縛、のち解放/アマリリス
santacreep
RAFT(東京都)
2013/12/24 (火) ~ 2013/12/28 (土)公演終了
満足度★★★★
晴れ、ときどき束縛、のち解放
本来ならば緊迫した状況ながら、慣れていない(慣れていよう筈がない)ためにどうしたら良いかワカらず状況をもて余すことから生ずるズレが可笑しいことから「議論の苦手な日本人が「12人の怒れる男」のような状況に置かれたら、と考えた」という三谷幸喜の「12人の優しい日本人」誕生の逸話を思い出す。
また、関係者たちの間柄を活かした落としどころも巧み。
晴れ、ときどき束縛、のち解放/アマリリス
santacreep
RAFT(東京都)
2013/12/24 (火) ~ 2013/12/28 (土)公演終了
満足度★★★★
アマリリス
いかにも女子中学生が言いそうな聞きかじりの言葉やら非論理的な会話やらが巧み。
そして「飛び道具」あーぽん嬢を活かしたメタフィクション的な終わらせ方(←「終わり方」では断じてない)のズルいことと言ったら!(笑)
いやぁ愉快愉快♪
フウン
劇団→ヤコウバス
吉祥寺櫂スタジオ(東京都)
2013/12/19 (木) ~ 2013/12/23 (月)公演終了
満足度★★★★
野田風味アリ
冒頭のスローモーション演技から「ヤるな、こいつら」な漠然とした予感。
そして全体のトーンや序盤の言葉遊びなどは野田風味。
がしかし表面的になぞるのではなく吸収し消化した上で自分の表現として昇華させていることに好感。
また、大小2つの正方形が1つの角を接して並ぶるカタチの四方囲みの舞台(大きい正方形の周囲の焦げ茶色のすのこ的なものの隙間から青空が見えるのもステキ)や渋い色合いの衣裳など美術も良くてなかなかに満足。