
東京学生演劇祭2015
東京学生演劇祭
インディペンデントシアターOji(東京都)
2015/09/19 (土) ~ 2015/09/23 (水)公演終了
満足度★★★★
the pillow talk「砂」
いかにもいそうなキャラをやや誇張した高校生たちの部活予算確認会議を描いた50分。
マンガチックとも思える個性的な面々のぐだぐだっとした討論(?)は、アガリスク・エンターテイメントの「ナイゲン」と対照的で、また別の味わいが。
喩えて言えば理詰めの「ナイゲン」は「怒れる男」で、なあなあ(?)のこちらは「優しい日本人」、みたいな。
後半で最後の1人が出てくることで流れが大きく変わる構成や前説アナウンスまで取り込むイントロ的な部分も愉しい。
あまり出てこない先生なども巻き込んだ長編版も機会があれば観てみたい。

時々は、水辺の家で。
monophonic orchestra
小劇場 楽園(東京都)
2015/07/29 (水) ~ 2015/08/02 (日)公演終了
満足度★★★★★
「デッサンから油彩へ」よりは「小説の実写化」な印象
今まで観てきたリーディングから一般的な芝居にしたものや、ひつじ座やRAFTなどの小会場から普通の劇場へスケールアップしたものは、謂わば「デッサンから油彩へ」という印象だったが、本作はその範囲を逸脱。
リーディングで(勝手に)思い描いたイメージと異なり「あ、そこはそういう風になるんだぁ」という部分があり、それはたとえば小説やマンガを実写化されたものを観た時のような感覚で、これが演劇では初めてだったので新鮮。
もちろんイメージ通りだった部分もあるし、観ながら記憶が蘇ったりもしたし、何より須貝作品の特色と言って過言ではない優しさが漂っているし、なのですっかり引き込まれる。
それにしてもあの学芸員、出番が少ないくせに終盤でオイシイところをさらって行くよなぁ…(笑)
あと、どちらかと言えば淡々と進行するのに不思議と引き付けられるのは単館レイト上映される映画に近い味わい?

ヘルメスの媚薬
BELGANAL
新宿眼科画廊(東京都)
2015/07/31 (金) ~ 2015/08/05 (水)公演終了
満足度★★★★
独特な舞台美術により印象を操作された?(笑)
老齢患者が同じ症状で相次いで死亡した病院に遣わされた医療危機管理センターのコンサルタントは院長の友人でありかつては医師で…な物語。
序盤で語られる症状は十七戦地の初期作品にして代表作でもある「花と魚」を想起させるリアルSF的な味わい、過去の事実も絡めて真相が浮かび上がる後半は近年の十七戦地作品風で、柳井脚本ファンにとって「一粒で二度オイシイ」作品。
また、明かされる真相がホラー(心霊系ではなく心理系)っぽくもあり、夏向きだなぁ、とも(笑)。
ホラーと言えば、独特な舞台美術が第一印象で廃墟を思わせ、観ているうちに実は登場人物は全員死んでおり、その亡霊が廃病院に夜な夜な現れて同じ会話を繰り返しているのでは?な妄想も。
リアルな病院的な装置だったら印象もかなり違ったろうなぁ…。
なのでアンケートにあった「本作が映画化されるとしたら?」という設問に対して「思いっきり写実的に、また、回想場面も見たい」と回答。

MonkeyMagic
TEAM空想笑年
中目黒キンケロ・シアター(東京都)
2015/08/20 (木) ~ 2015/08/23 (日)公演終了
満足度★★★★★
上出来娯楽アクションに感服
お釈迦さまから「4つの物語を完結させる」ことを条件に五行山から解放され西遊記と桃太郎の世界を往き来する孫悟空にさらに他の物語の主人公も絡み…な娯楽作品。
2本の大きな柱にコメディリリーフ的な挿話を配し更に他の物語の主人公には「俺の物語は完結している」と言わせて4つ目の物語がなかなか判明しない構成が巧みだし、その人物が敵側にいるという設定(理由含む)も上手い。
そのあたりはスーパー戦隊の対戦ものなどを想起させて愉しい。
また、擬闘もキャラクター毎に技の特徴があり、傀儡として操られた者が人形振りで殺陣を見せるなど工夫が凝らされ、さらに分身の術もお面をつけるようなありふれたものでなく、それでいてちゃんと“分身させる”のが見事。
なお、誰かを救う、または援護するために別の誰かが命を落とすパターンには批判的なσ(^-^)だが、本作のそれは「4つめの物語」への伏線となるので容認。
そんなこんなで上出来娯楽アクションに感服♪
来年はハートウォーミングな新作とバックステージものの秀作の再演とのことで、これまた楽しみ♪♪

超高速大回転ロミオ&ジュリエット
イチニノ
pit北/区域(東京都)
2015/09/22 (火) ~ 2015/09/23 (水)公演終了
満足度★★★
ラストに構造上の弱点あり
あの有名作を5人の役者で85分ほどで演じるという一種の挑戦。
各役者が複数の役を演じ同じ役を複数の役者が演じる「複数人複数役」とカジュアルな翻案を柱に本拠地である茨城ネタほか様々なくすぐりをちりばめて楽しいし、スケッチブックをフリップのように使うアイデアなどもイイ。
ただ、タイトル通り超高速で進行してゆくだけにノーマルスピード(?)で演じられる原作通りのクライマックスが間延びしたように感じられてしまうのが構造上の弱点。
いっそ大胆に失速感がない結末にしても良かったのではないか?

ハワイ
INUTOKUSHI
新宿ゴールデン街劇場(東京都)
2015/08/18 (火) ~ 2015/08/26 (水)公演終了
満足度★★★★
によってちゃあんとハワイにして終わるのにはもう口が塞がらず
開演前からタイトルにそぐわない舞台美術だと思っていたが、開演するとタイトルらしからぬどころか犬と串らしからぬ(←偏見(笑))シリアスな内容…。
が、次の場に進んで笑いが増えて「なるほど」と思うもまだタイトルとの関係は思い当たらず。
そうしているうちにσ(^-^)の好きな“あるパターン”になり、それでもハワイとの関連が想像できずにいたら、「まさかのワザ」によってちゃあんとハワイにして終わるのにはもう口が塞がらず(笑)。ヤられたなぁ。
あと、美術も特筆モノ。
なお、第1場のシリアス場面、あのままのカタチで膨らませた中編か長編を機会があれば観てみいとも思う。

OZ♀4♂3
チームジャックちゃん
ザ・ポケット(東京都)
2015/09/23 (水) ~ 2015/09/27 (日)公演終了
満足度★★★★
[靴チーム]
「オズの魔法使い」の13年前を描いたエピソード0、元ネタを知っていると頬が緩みっ放しの前半と終盤の感動との対比が鮮やか。
前半は元ネタの「三人のお伴(?)」にあたる役の設定が名前も含めて特に見事で、それぞれのパートナーと共通の色使いをしている衣装もイイ。
そしてクライマックスでは宰相グリンダと王妃ロシーヌの友情がクローズアップされて感動(そう言えばロシーヌと“もう1人”の名前にも仕掛けが…)。
そんなこんなで「歴史上の事実が語り継がれているうちに変わっていってできたお伽噺」の元となった史実のような物語を堪能すると共に発想に感服。
また、一部が可動式でトランスフォームする装置も効果的。

桃太郎と鬼娘
劇団のの
阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)
2015/10/09 (金) ~ 2015/10/12 (月)公演終了
満足度★★★★
タイムリーなテーマをコンパクトに
鬼退治後、きび団子屋で生計をたてていた桃太郎に復讐を目的に近付く鬼の残党の娘、そして他にも桃太郎を狙っている者が…。
民話やお伽噺の元となったであろう史実をそれに近い形で描くスタイルゆえ「鬼」には角がない…どころか普通の人間として描かれる。
それはそのまま桃太郎の驚きでもあり、正義と思って鬼退治に“参加”して鬼ヶ原に行けば、そこにいたのは鬼などではなくごく普通の人々、とてもそんな相手を討つことはできずに一人戦列を離れたことから「敵前逃亡」の罪で追われる。
そうなんだよ、戦時教育で「鬼畜米英」などと刷り込まれ…というより洗脳されたとしても、相手は鬼でもなければ悪でもない。
キナ臭くなってきた昨今、これを忘れてはいけない。
そう考えると鬼退治系のお伽噺ってけっこう過激なんだな…とも。
ヒロインである鬼の娘もそこに気付くが彼女の鬼…いや兄が復讐を諦めないことで起こる終盤の悲劇には考えさせられる(1年戦争時のエルメスのララァを想起したが、のあ主宰はご存知ないそうで…う、ジェネレーションギャップ(爆))。
そうして迎える最終場は「もしかするとこうだったかもしれない」和やかな平行世界。
後味を悪くしないためと思ったが「こういう世界であって欲しい」という願いや祈りとも受け取れ、そう考えると深い。
80分という尺に巧く収めたなぁ。
それにしても、ここの芝居で殺陣を見ることになるとは…!(笑)
あと、TEAM空想笑年、柿喰う客に続く桃太郎ネタ、この後にはタッタタ探検組合も控えているし、何なの?桃太郎生誕〇年とか没後〇年とかなの?

抑圧の幻影 ~SHADOWS UNDER THE GROUND~
KING CRAZY
萬劇場(東京都)
2015/05/27 (水) ~ 2015/05/31 (日)公演終了
満足度★★★
全体的には良いが細部が杜撰(制作も含む)
下山事件をモデルにした昭和の架空の事件とそれに関連した場所の現在とを併行して描く伝奇サスペンス。
開かずの扉の謎に始まり、現代と過去のつながりなどを次第に紐解きながらの展開が巧みで130分の上演時間をしっかり引っ張るが、それだけにいくつか杜撰な部分があった(ネタバレBOXへ)のが惜しい。
また、当日受付のリストに名前が誤記されていた(予約フォームにはきちんと記入したので転記ミス)が、ここって作品についても制作面でも「細かいことは気にしない」おおらかさが特色なのかな?
ホントもったいない。

夢みるあの子はまだおうちでロンリーガール。
なかないで、毒きのこちゃん
高円寺FIZZ(東京都)
2015/05/29 (金) ~ 2015/05/31 (日)公演終了
満足度★★★★★
鳥皮ささみ、おそろしい子(笑)
強烈なキャラ合戦に始まり、思わぬ方向に展開して迎えるラストは「ガンバレ、負けるな!」だったりもして。
まさしく「イマの鳥皮ささみをまざまざと」見せていただいた感じ。
ラスト2曲の使い方も巧いんだよなぁ、アッパレ!
(文中敬称略ご容赦)

【無事終幕】「私が私でいられた最期の12日間」【多数ご来場大感謝】
JOHNNY TIME
エビス駅前バー(東京都)
2015/05/16 (土) ~ 2015/05/26 (火)公演終了
満足度★★★
JOHNNY TIMEらしい怪異譚
“ヤツラ”こそ出てこないがいかにもJOHNNY TIMEらしい怪異譚。
それだけに読めてしまう部分もあるが、主人公の決断と切なさの漂うラストがイイ。
ただ、「12日間」を75分で描くため、各場が切れ切れな印象が無きにしも非ず。

おわりのはじまりのつづき。
:Aqua mode planning:
レンタルスペース+カフェ 兎亭(東京都)
2015/05/25 (月) ~ 2015/05/25 (月)公演終了
満足度★★★★
作品選定、演出の両面で楽しめた
広田淳一作品2編(「いつかばったり」「まだ、わかんないの。」)に柴幸男作品1編(「ハイパーリンくん」)で構成。
その作品自体は未見だが、他の作品をよく観ているのでそれぞれの特徴がよく出ていることにニヤリ。
また、基本的には二人の会話で成り立っており、元々リーディング用の作品かと思っていたが、あとから原作(?)はもっと多人数であること、それを2人の会話にするに当たっての工夫などを伺って大いに納得。

ヴィア・ドロローサ
劇団セルビシエ‘
荻窪小劇場(東京都)
2015/05/23 (土) ~ 2015/05/24 (日)公演終了
満足度★★★★★
メタフィクション好きにはタマらん
ある朝、荻窪駅の近くで目覚めた記憶のない男をメインに、誰かを待っている仮面の12人をサブにして進む物語。
序盤は多少モタつく感があるが、主人公が自殺しようとする少女と出会ってからは好調、2つの流れをクロスさせながらの進行も巧み。
そうして「主人公は現代の荻窪にタイムスリップした“あの人”か」と思わせておいての主人公が記憶を取り戻すことによるどんでん返しは「ヤられたぁ!」な快感、メタフィクション好きにはタマらん巧妙さ。
しかもそこで仮面の人々が顔をさらし、併せて配役紹介をする(それも劇中の内容に合致して無理がない)のが妙案。
で、劇中劇のオープニングが現実のクロージングとなるのは画竜点睛を打つ、な感じ。
あと、沢山の小さな十字架で大きな十字架を構成させる背景デザインもステキ。
更に舞台上のみならず、スタッフ、観客も含めて美少女(ないし美女)率が高くて眼福。
いやぁ、ええモンみせてもろたわぁ。
なお、「初めてのトコに甘い」σ(^-^)のことなので、評価の星は若干サービスサービス♪(爆)

面影橋で逢いましょう【沢山のご来場、誠にありがとうございました!!】
ラフメーカー
新宿眼科画廊(東京都)
2015/04/21 (火) ~ 2015/04/29 (水)公演終了
満足度★★★★
【昭和チーム】
謂わば基本の平成・応用の昭和でこちらの方がアソビが多い感じ?
そんな中、日記の読み方が片や朗読風に抑揚をつけ、片や敢えて平淡な「音読」にとどめる、などの違い(そう言えばノートも違っていたっけ)があるのも面白い。
ってなワケで進化をし続ける本作、初演から順に西荻→桜台→新宿と来ているので次は江戸川橋の絵空箱が良いのでは?などとも思う。
来年の桜の季節なんかイイんじゃないかな、面影橋もそんなに遠くないし。(ほぼ真顔)
ところで終盤の劇場ロビーの画像で一番手前にあるポスターに見覚えがあるのだけれど、何だっけ?
あと、劇中で使われる登場しない人物の名前、かつて客演した方々だよね。
尾崎さんと高田さんで気付いた。こういうアソビもイイな。

面影橋で逢いましょう【沢山のご来場、誠にありがとうございました!!】
ラフメーカー
新宿眼科画廊(東京都)
2015/04/21 (火) ~ 2015/04/29 (水)公演終了
満足度★★★★
【平成チーム】
要領が悪くミスの多い陽子がつけ始めた日記は期せずして同居する友人との交換日記となるが…な、かつて渋谷シネ・ラ・セットやテアトル池袋でレイト上映していた映画やTBSテレビで深夜に放映していたドラマを想起させる(←私見:ピアノがメインの音楽もその一因?)物語。
初演、再演とも観ているが、演を重ねる度に精度が上がっているように感じ、ちゃんと覚えているラストで今回初めてホロリとしたのはストーリーが呑み込めているからか?(反語的用法)
初めてと言えば、コンビニ店員・斉藤が陽子の前任者だったということにも今回初めて気付く(もっとも初演時にはそれを匂わす台詞はなかったらしいが)。
あと、今回は各場を表す写真を背景的に投影したのも妙案。
で、当日パンフレットに両チームの配役を併記しているので、もう一方を時々脳内に描きながら観ていたりもして。

劇場版 サヨナラワーク
ネリム
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2015/05/21 (木) ~ 2015/05/24 (日)公演終了
満足度★★★★
伊達に「劇場版」を謳っていない
スタジオ版に音と明かりを付けオリジナルの配置をベースにした装置を組んで劇場の空間を活かしたグレードアップ版、両方観ると2倍以上楽しめる、的な。
伊達に「劇場版」を謳っていないよね。
しかしスタジオ版を観た時に「将来的には」と思っていた劇場版が、こんなに早く実現するとは驚愕!

1人芝居『てのひらの夜/とみこのむすこ』
浅見臣樹1人企画
風みどり(新中野)(東京都)
2015/05/16 (土) ~ 2015/05/17 (日)公演終了
満足度★★★★
対照的な2編のカップリングを堪能
往年のアナログレコードの17cmシングル盤のように対照的な2編。
前半の「くちびるの夜」は帰宅したサラリーマン1人の台詞だけで構成するスタイルだが対話の相手がミソで、フェチと言おうか江戸川乱歩風味と言おうか独特のアヤしさアリ。
5分ほどの「お召し換え」を挟んでの「とみこのむすこ」は「ある報告」で帰省した男の台詞に客への語りかけや質問も交えて進み、意外(むしろ真っ当なのにそう思わせるのが巧い)なオチまでユーモラス。
ところでこれ、かなり事実に基づいているとのツイートを見た気がするが、ホンマかいな?(笑)

誰がための笛は鳴る
空間交合〈アサンブラージュ〉リジッター企画
吉祥寺シアター(東京都)
2015/05/08 (金) ~ 2015/05/18 (月)公演終了
満足度★★★★★
リジッター企画の真骨頂
試合中に退場処分を受けたアマチュアサッカー選手オオサトはオーナーが用意したチケットで渡米することになるが遭難し島に打ち上げられ…な物語。
「愛と戦争と音楽」三部作の最終作ということで、戦争のいくつかの側面・戦争に至る要因の1つ2つ・戦争の終わらせ方などを暗喩で描いているが、歴史上の一連の流れ全体を見せるのではなく、部分部分をコラージュ的に使って再構成しているのが巧妙。
光の当て方や見る方向で色・形が変わるオブジェのように観る側の知識や解釈によって受けとり方が異なるのではないか?
そしてそれは結果的に様々なことを訴えるのではないか?
例えば舞台となる島は時として日本列島、時として戦闘が繰り広げられた南太平洋の島、あるいはルバング島なグァム島とも受け取れる。
そんなストーリーを彩る歌やムーブメントもここらしいもので、序盤の嵐の表現や後半での脚の負傷の表現はいかにも「森脇スタイル」で印象的。。
そう言えばアマヤドリの身体表現は抽象、空間交合リジッター企画のそれは(時として?)具象…などとも考えた。
そんなこんなでリジッター企画の真骨頂を堪能。

消失点
JACROW
【閉館】SPACE 雑遊(東京都)
2015/05/13 (水) ~ 2015/05/17 (日)公演終了
満足度★★★★★
肩の力は抜けないがグイグイ引き込まれる
娘を放置して死なせた被疑者女性の取り調べを担当する刑事も実は似た境遇で…な物語。
刑事と被疑者、現在と過去を絶妙のバランスでクロスさせる構成と照明を巧みに使った演出が相俟ってグイグイと引き込まれる。
その刑事の揺らぐ(?)心情にクリント・イーストウッド製作・主演の映画「タイトロープ」を思い出したり、子供の泣いているところや不在の表現に舌を巻いたり。
そうして迎えるラスト、被疑者・刑事の双方に小さな安堵があるのが救い。
あと、奇しくも二夜連続で「ダメ男見本市」的になったが、世代差が如実に顕れていたと思う。
また、脚本家と演出家の組み合わせが芝居屋風雷紡と同じではあれ、棲み分けはちゃんとできており…と言うより、問われるまではそんなことを意識しない程にJACROWの色が出ていたとも思う。

いずい熱
the pillow talk
早稲田小劇場どらま館(東京都)
2015/05/14 (木) ~ 2015/05/17 (日)公演終了
満足度★★★★
自然かつユーモラスに描く二浪受験生の1年
東大を目指すも二浪が決まった受験生の1年。
いかにもありそうなエピソードを少し戯画化しているので自然でかつユーモラスなのが巧み。
また、円形ステージにして時が経過すると机・椅子などに見立てた箱を暗転中に120度ずつ回転させたり同じ装置内で異なる空間を交わらせたりする演出や地元組は白で東京モノは色付きという衣装、それに情交の見せ方なども効果的だったり面白かったり。