銀河旋律
風鈴堂
シアター・バビロンの流れのほとりにて(東京都)
2015/05/01 (金) ~ 2015/05/03 (日)公演終了
満足度★★★★
鬼に金棒状態?
キャラメルボックスが上り調子だった頃(←)の時間ものファンタジーの傑作である脚本に、オオツ、サルマルを筆頭にキャラクター造りがしっかりできた演技が加わって「鬼に金棒」?(個人の感想です)
なお、この場合、どちらが鬼でどちらが金棒かは問わないものとする。(爆)
それにしてもあの頃のキャラメルは…いや、何でもないです。
舞首ー三つ巴の里ー
鬼の居ぬ間に
シアター711(東京都)
2015/05/06 (水) ~ 2015/05/10 (日)公演終了
満足度★★★★
和製「セブン」?
金田一耕助が呼ばれて訪れるような地方の村で起こる惨劇…。
人の「業」がねっとり(べっとり?(笑))と渦巻いて各人物はそれらに抗えず押し流されて行くが如し。
当日パンフレットに記載され、劇中でも語られる仏教の「三毒(貪・瞋・癡)」がモチーフとして活かされているあたりは和製「セブン」か?
あるいは昭和50年代の松竹映画?
ラストシーンも衝撃的だったなぁ。
眼浸
激団リジョロ
ザムザ阿佐谷(東京都)
2015/04/24 (金) ~ 2015/04/27 (月)公演終了
満足度★★★★
罪を犯す男の脳内?
罪を犯した男の見る幻影…と言おうか、罪を犯すに至る脳内を見せる、な感じ?
幻想とワカる部分もあるが、そうでない部分もあり、しかもそれが前後で相反したりするので観ている側として迷宮に足を踏み入れて抜け出られなくなったような感覚に囚われる。
また、はっきり幻想とワカる部分も主人公と血縁者が反映されているのが巧み。
さらにかなりリアルに1Kのアパートを再現した装置と終盤での仕掛けも見ものだった。
夜が明けたとしても…
リブレセン 劇団離風霊船
ザ・スズナリ(東京都)
2015/04/23 (木) ~ 2015/04/29 (水)公演終了
満足度★★★★
やはり離風霊船らしい芝居
さびれた商店街の再生プロジェクトをめぐる物語。
前半は穏やかな展開…と言うより「今回のテーマはそれ?ちょっとユルくないか?」な印象ながらプロジェクトリーダーが登場してからは離風霊船の真骨頂、キュッと締まり「今はソレだよね」に変貌、キナ臭くなりつつある今の日本への風刺と皮肉に加えて警鐘まで鳴らすという…。
さらにそれをマイルドに一件落着かに見せておいて更にひとひねりして余韻の残る結末にしたのはさすが。
屋台崩しや突如出現するお花畑などはなかったけれど、やはり離風霊船らしい芝居だったな。
無常ホテル
劇26.25団
サラヴァ東京(東京都)
2015/04/17 (金) ~ 2015/04/19 (日)公演終了
満足度★★★★
客船内のバーラウンジにいるような錯覚にとらわれる
動くホテルとも呼ばれる豪華客船での日本一周クルーズの客・関係者たちが織り成す物語。
冒頭、乗務員に扮した劇団員全員によるタップに始まり生歌なども挟みつつ進行するので会場のツクリや雰囲気も相俟って、自分も客船内のバーラウンジにいるような錯覚にとらわれる。
そうして、序盤にあった思わせぶりな台詞をすっかり忘れた頃に訪れる意外な結末。
ここで「そう言えば最初の方にあった台詞はこのことか!」と思わせるのが上手いんだよなぁ。
愛し平成、また昇る
第27班
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2015/04/29 (水) ~ 2015/05/06 (水)公演終了
満足度★★★★
全体が満遍なく良いが…
全世界的に起こった特殊な状況下で戸惑いながらも自分の行くべき道を模索する人々を描いた群像劇。
普通は主人公だけとか、せいぜいバス1台の乗客とか学校の1クラス程度の人数に起こる事態を全世界的な規模にしたのが着想の妙。
が、様々な対応が同時併行的に進行するのが諸刃の剣?
誤解を恐れずに言えばメリハリに欠け、どこが良かったか問われると答えに窮するが、換言すれば全体が満遍なく良い(恋人のどこが好きか問われて「全部」と答える語彙不足の輩みたいだ(爆))…な感じ。
なので155分の長尺が中だるみしたりダレたりしない…どころか長さをあまり感じないのはある意味不思議(笑)。
欲を言えばどこか軸になるものが欲しかったか?
なお、全体の雰囲気は2013年12月上演の初長編「(morning sun...)」に通ずるような。
また、「特殊な状況」の設定に2人のSF作家を、途中で語られる一部の人物の設定に映画化もされた小説を連想。
独りぼっちのブルース・レッドフィールド
ポップンマッシュルームチキン野郎
シアターサンモール(東京都)
2015/02/22 (日) ~ 2015/03/01 (日)公演終了
満足度★★★★
テーマを浮上させる終盤の衝撃たるや!
老いたガンマンとヘンな仲間たちの愉快な旅…。
お得意のナンセンス・ギャグ(今回は下ネタは控え目)に大笑いしてすっかり忘れた冒頭で張られた伏線を回収してテーマを浮上させる終盤の衝撃たるや!
おバカな笑いをちりばめつつ、実はきちんとしたテーマが潜んでいるというのはいつものことながら、今回はのテーマは「人を殺す“罪”の重さ」ということで、よりシリアス。
あと、銃撃戦の表現が愉しかった♪
立体文学 「十二歳~おれはねこだぜ~」
ストーリーテラーズ
竹林閣(東京都)
2015/02/20 (金) ~ 2015/02/22 (日)公演終了
満足度★★★★
シンプルになった分、想像力をより刺激される
佐野洋子の随筆数編と絵本用の物語1編で構成した60分。
従来よりも小道具などがシンプルになった分、想像力をより刺激される感じ。
パックマンのような形状のモノの切り欠き部の向きを変えたり組み合わせたりでいろんなものを表現するアイデアも良かった。
30光年先のガールズエンド
The end of company ジエン社
早稲田小劇場どらま館(東京都)
2015/04/08 (水) ~ 2015/04/12 (日)公演終了
満足度★★★★★
ワカり易いカタチで歳月を感じさせる
貸しスタジオでの待ち時間にライターの取材を受けるガールズバンドのメンバーと、その12年後にスタジオを訪れた彼女たち…。
今まで観てきた中では最もワカり易いのは本介さん曰く「前作の反動」(笑)。
とはいえお得意の同時多発会話も使いながら写実的な装置の中で描かれるのは「歳月」?
12年後の自分をライターから問われた彼女たちは「想像できない」と答え、30歳になった彼女たちは当時の自分の記憶が曖昧…。
そこに横たわる12年の歳月に何だか胸がきゅん。
10年後などを想像できない若者、というのは割とありがちながら、同じ人物が過去を振り返った時に…という対比にしたのが鮮やか。
うーん、好きだな、この作品。
いつになったら
劇団Peek-a-Boo
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2015/02/19 (木) ~ 2015/02/23 (月)公演終了
満足度★★★★
SFサスペンスかと思わせておいての…
崩壊寸前の5人家族の引きこもりの次男が53年後の日本の危機をめぐっての騒動に巻き込まれ…な物語。
珍しくも某映画を想起させる時間ものSFサスペンスかと思わせておいての終盤の「仮にやる気のなさがJの仕業によるものだったとしても、自分の力で立ち上がりたい」という台詞はいかにもここらしいもので「あ、やっぱり!」(笑)
弁天劇場のジュリエットたち
劇団オグオブ
キーノートシアター(東京都)
2015/04/24 (金) ~ 2015/04/26 (日)公演終了
満足度★★★★★
再演を熱望、続編も可能では?
200年の歴史がある江ノ島弁天劇場の閉館公演出演者募集に集まったのは舞台経験のない者ばかりで…な物語。
大好きな「ダメな面々がコトを為し遂げる」タイプな上に、シニカルなものを含む演劇界ネタもあり、2時間余の上演時間も長く感じず。
演出家(役&現実の作演)の語る演劇論的なものや演技に対する姿勢、主宰(役)の語る人気役者を起用した商業演劇と小劇場の実態(?)などが興味深く、終盤で演じられる劇中劇の演出も新旧の要素を取り混ぜていて面白いんだよなぁ。
で、結末も巧くまとめてあるけれど、やりようによっては続編もできそうだな、と微かに期待。
谷間にカンパイ!
劇団ズッキュン娘
シアター風姿花伝(東京都)
2015/04/22 (水) ~ 2015/04/27 (月)公演終了
満足度★★★★
キャラメルボックスにおける「TRUTH」的な作品
カメラマンと婚約し、グラビアアイドルから女優への転進を図るモモコに試練が…な物語。
恋愛要素が減りビター系に変貌、さらに従来は「ライバル」や「意地の悪い人」にとどまっていたのが「悪役」と言える人物を登場させるなど新境地開拓?
よって、ストーリー、人物像とも類型的な部分が無きにしも非ずではあるが、お得意のダンスやお約束の(?)主宰の“アレ”などで差別化して95分弱にまとめたのは巧み。
また、モモコを想う姉の気持ちと終盤でのモモコの決断がイイ。
特に終盤でのモモコの「赦し」に関する部分は、少し前に観た芝居から考えたことと一致して、共感と言おうか「やはりそうだよね」と言おうか。
で、次回公演は恋愛ものの傑作である「2番目でもいいの」の再演とか。藤吉主宰、策士でもある。
『蝶ゲンボウ』(チョウゲンボウ)
ひげ太夫
テアトルBONBON(東京都)
2015/03/24 (火) ~ 2015/03/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
神話・伝説色が濃くなってステキ
毎度お馴染み東洋風の架空の国の時代不明(というより「不問」?)の英雄譚だが、従来のマンガチックな絵本的世界よりも「ある設定」において民間伝承あるいは神話・伝説色が濃くなったのが今回の個人的ツボにして白眉。
もちろん、「喋る流れ星」「打たせ湯」「食パン」「某キャラクターの顔」などの表現系小ネタにもツボを突かれまくり。
サヨナラワーク
劇団エリザベス
スタジオネリム(東京都)
2015/04/18 (土) ~ 2015/04/26 (日)公演終了
満足度★★★★★
エリザベスど真ん中
心に傷を負った成美は友人の住む女性専用のシェアハウスに入居するが…な物語。
美人系にカワイイ系、それにメガネっ娘まで取り揃えられた女優たちがそれぞれ相応しい人物を演じ、途中からミステリアスな展開になるのはいかにもエリザベス。
その真相は好きなパターンの1つだったので薄々勘付いていたものの、別の好きなパターンかと思ったりもしてあれこれ楽しむ。
また、新宿眼科画廊での再演やラストシーンで「あれ」を見せる「劇場版」なども勝手に夢想。後者はアイドル起用か?(笑)
ゲバゲバッ!
昭和芸能舎
笹塚ファクトリー(東京都)
2015/04/14 (火) ~ 2015/04/19 (日)公演終了
満足度★★★★★
羽原流“昭和庶民伝”
昭和45年、新宿のキャバレー・ゲバゲバに訳ありらしき新人ホステスが入ったことから起こる出来事。
当時すでに物心が付いていたので客入れBGMの歌謡ポップスに始まり劇中の世相・流行語・流行り歌なども懐かしい…と言うか「あれはその頃だったか」的な。
そして物語は基本的にはコメディながら、戦争の傷痕や高度成長の歪みが見え隠れし、それらを背景にした人物像には哀感も漂う。そんなあたりは「羽原流“昭和庶民伝”」なオモムキ。
そうして迎えるクライマックス、新人ホステスの隠していたことが明らかになってからは圧巻。
“ある差別”にしても「自分の正義」を振りかざす報道にしても不思議と今と通ずるようで、半世紀近く経っているのに進歩しないというのは痛烈な皮肉。
そんなことを経ての締めくくりは羽原作品らしいあたたかさ・やさしさで軟着陸。
井上ひさしの「きらめく星座」や「闇に咲く花」に一脈通ずる感もあって、良かったぁ。
ところで終盤で流れるロックバージョンの山谷ブルースはダウン・タウン・ブギウギ・バンド?
エイプリル
角角ストロガのフ
吉祥寺シアター(東京都)
2015/04/03 (金) ~ 2015/04/07 (火)公演終了
満足度★★★★
イヤーな感覚に包まれる一方で面白い
最近ニュースとなった出来事に似たいくつかのことに導かれ、少年法や未成年の実名報道に関する社会派…かと思いきや“薮の中”的事態の真相が二転三転してサスペンス要素が強まり、“ある集団”が蠢きだしてからはボディスナッチャー的なホラーの味わいも…。
(主人公が)信じていた事柄や人が次々に変容して行くので(観客に)自分が立っている地面がゆるんで立っていられなくなるような不安感を抱かせるのだろうか。観ていてイヤーな感覚に包まれるのだが、その一方で面白い。
また、異なる空間の出来事を融合させて見せるお馴染みの手法も健在で、これが効果的。
あと、取材相手の語る話の再現シーンに聞き手が入り込んでいるという「千年女優」的な場面もあって、これもまた愉しい。
そんな見せ方の工夫と、物語に没入し主人公に感情移入しながらもやはり第三者的立場の観客であるという心の片隅にある安心感によって面白く感じられるのかもなぁ。
ホテル・ミラクル
feblaboプロデュース
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2015/04/03 (金) ~ 2015/04/12 (日)公演終了
満足度★★★★
各作家の個性がよく出た5編
各作家の個性がよく出た(河田作品は初見)5編の艶笑二人芝居。
1編目はオトナの味わい、文字通りアダルトなハナシでR-15な方向性を宣言。
2編目は同趣向の長編を観たことはあったがやはりアイデアの勝利で落とし方もイイ。
3編目は上出来だが最後にモタつく感が惜しい。
4編目は演者のキャラ設定に説得力アリ。「マイルドな鵺的」な印象も。
5編目は序盤の「明るいヘンタイ」と終盤の男性批判がいかにもアユムさん。
あと、「あそこ」をシャワーブースに仕立てた舞台美術と3編目、4編目でのその使い方も◎。
ポケットの中に世界
ポムカンパニー
OFF OFFシアター(東京都)
2015/04/01 (水) ~ 2015/04/05 (日)公演終了
満足度★★★★
幕切れが絶品
IT系の会社で働く主人公は反りの合わない父親と何年も会っていず…な物語。
ブラック企業ではなく自主的なものとはいえ、激務からのストレスがコトが起こった時に疑心暗鬼を呼ぶのがリアルで身につまされると言うか身に覚えアリと言うか(爆)。
そんな経験を経て成長した(?)主人公が父親に会いに行くのはセオリー通りとはいえ、ホイッスルケトルの音と「腹、減ったろ」という父の言葉で締めるのが絶妙。
対面客席での演技エリア・小道具などの舞台美術もイイ。
流れない、星
in企画
新宿眼科画廊(東京都)
2015/03/28 (土) ~ 2015/04/01 (水)公演終了
満足度★★★★
“カムパネルラの一人旅”か“胎児の夢”か?
目覚めるとドアのない白い部屋に1人だった女性…はたして何があったのか?という出だしからまさかの宇宙もの!(笑)
そんな謎をほどきながら進んでたどり着くのは“カムパネルラの一人旅”か“胎児の夢”か? そしてそこからの…な物語。
メタフィクションが大好きなのでもちろんあの最終場も好きだし劇中の「物語と現実の狭間」という言葉を強調・具現化し、なおかつ悪いと思われるかもしれない後味を緩和する役を果たすとも思うけれど、敢えて無しというテもあったのではないか?とも。
観ていて「すみれの“記憶を辿り遡る旅”はそこに行き着くのか」と感心し、あれは転生?とも思ったので、その後の場が「着陸態勢に入ったまま上空で旋回待機する旅客機」のように感じられてしまったんだな。←あくまで早とちり気味の私見
ちなみにその日のソワレに観たものの最終場が似た発想・趣向のものだったことに仰天。よりによってマチソワで…!
あと、「本編部分」のラストにちょっと「2001年」を想起。
現役女子中学生アイドル連続失踪事件、他
santacreep
RAFT(東京都)
2015/03/24 (火) ~ 2015/03/29 (日)公演終了
満足度★★★★
晴れ、ときどき束縛、のち解放
過去2回は思いきって実行したものの事態をもて余す姉妹がコミカルに感じられたが今回はシリアスな復讐劇な側面が強調された感じで印象が一変。
これ、四演、五演とかでさらに違った味わいが見られるのではないかしら?
前回は妹の台詞回しに初演で演じた榊菜津美嬢のエッセンスがところどころに残っていたのが今回は払拭されていたし。
あ、別の演出家によるものも観てみたい。