じべ。の観てきた!クチコミ一覧

1381-1400件 / 4332件中
-奇譚-地獄たられば

-奇譚-地獄たられば

グワィニャオン

上野ストアハウス(東京都)

2015/08/06 (木) ~ 2015/08/09 (日)公演終了

満足度★★★★

あれこれ流石
内容的には人の業から世の不条理、さらには戦争にまで言及し、構造的には伏線の散らし方と回収が巧みで、序盤の場面の疑問も最後に解消するのが流石。
古典的な「地獄らしさ」ではなく、さらに抽象系で部分的にはモダンアートっぽくさえあるのにちゃんと地獄を感じさせる舞台美術や、21世紀である今っぽいのにそれらしく見える「地獄の職員(笑)」のいでたちも面白かった。
その「地獄の職員たち」、キャラクター設定がいかにもグワィニャオン的で、中でも すわいつ郎さん演ずる人情家の鬼が良かった。(ザ・ドリフターズの雷さまのコントを連想しないでもないが…(笑))

2番目でもいいの♡

2番目でもいいの♡

劇団ズッキュン娘

南大塚ホール(東京都)

2015/08/14 (金) ~ 2015/08/16 (日)公演終了

満足度★★★★

再演につき更に読みが深まったような
あることをきっかけに発覚した不倫の顛末。
初演時同様、主人公・マチコの身勝手さに呆れ相手の妻・ヒトミの聖人君子ぶりに菩薩を見る(爆)。
が、それは既知の事実だったため、今回は更に読みが深まったような…。
まずマチコ。あれはただ身勝手なのではなく、2番目でもいいけれどそれでも彼を愛する“健気な自分”に酔っているのではないかと。
そしてそんなマチコなのに憎めないのは男としての後ろめたさがあるからではないかと(爆)。
いや、身に覚えがあるというのではなく「同じ男であるシゲちゃんがあんな態度で済みません」的な…ね(笑)。
しかし男性客に居心地の悪い思いをさせるなんて、あざといよなぁ(笑)。そこんとこ、女性の方々はどうなんだろう?
次いでヒトミ。あの聖人君子ぶりは不倫をした時の(あるいは現在進行中の不倫の?(爆))相手の妻がそうであったら、という作者・藤吉みわ嬢の願望ではないか?(爆)
いや、男性客も自分の妻がそうであったらと思うのではなかろうか?(笑)
そんなこんなで、脚本がいろいろズルい(爆)。
初演との違いと言えば、舞台が広くなったためにOL側・主婦側それぞれの「陣地」がおよそ喫茶店らしからぬ横一列の席(初演ではボックス席的な感覚はあった)になったが、冒頭で舞台は喫茶店である旨説明するので問題なし。
その前説気味の状況説明をするのが「人ならざる役」の2匹で、浮世離れした(←褒めている)役者が演じているのも上手いよね。

パイドパイパー と、千年のセピラ

パイドパイパー と、千年のセピラ

劇団ショウダウン

あうるすぽっと(東京都)

2015/09/04 (金) ~ 2015/09/06 (日)公演終了

満足度★★★★

千年のセピラ
まさしく「パイドパイパー」エピソード:0であり歴史は繰り返すであり「荒野の7人」を先に観てから「七人の侍」を観る感覚のようでもあり、「あのキーワード」にはキターーーっ!だった。
林遊眠嬢の基本アルト系の声と歯切れの良い台詞回しはとても心地好く、麻薬性があるんじゃなかろうか?
次の公演が待ち遠しくなるくらいならまだしも、東京公演がしばらくない時に大阪まで行くようになったらコトだな。(爆)

ヒミツボ -秘壺- 〜昭和歌謡短編集 其の二〜

ヒミツボ -秘壺- 〜昭和歌謡短編集 其の二〜

はぶ談戯

劇場HOPE(東京都)

2015/11/03 (火) ~ 2015/11/08 (日)公演終了

満足度★★★★★

穂科マジックに翻弄された
1編目のオチから2編目のオチを疑わせてケムに巻き、じゃあ3編目は…というと大ワザで締める穂科マジックに翻弄された。(詳細はネタバレBOXにて)

ネタバレBOX

1編目「夫婦台風」は離婚直前の夫婦のスケッチ。
イイ話で終わるかと思わせておいてのラストが…(笑)
2編目「妖精の凸」は40歳までに童貞を捨てたいという「中年ピーチボーイズ」的な?(笑)
1編目のオチからこれも最後は皮肉かと思いきや、イイ話で終わるという…騙された(笑)。
3編目「監禁ブギ」は3人の女性に“飼育”されている男性の話。
先の2編からこれはどう落とすのか?と思っていたら、一見独立していた各編を1つにまとめる「Heartに'S」方式。
そうして明かされてみれば各編にきちんと伏線が張られていたな、と思い当たる。
さらに各人物の秘密が露見するキッカケが落として表示部が割れたスマートフォンというのは冒頭での二人語りに出てきた「秘壷が割れてしまうと封じ込めていた秘密が一気に放たれて取り返しがつかない」という故事(?)の現代版、見事な伏線とその回収でありました。
『銀飯モンスーン』

『銀飯モンスーン』

ひげ太夫

シアター風姿花伝(東京都)

2015/10/07 (水) ~ 2015/10/12 (月)公演終了

満足度★★★★

そのテがあったか!
毎度お馴染みの神話・民話的な世界と英雄譚的物語の融合。
今回はいつもより併行するエピソードが多目でそれらを経て最後のヤマを越えた時のカタルシスも大きい感じ。
また、長髪ザンバラの人物が登場(しかも二人)して「そのテがあったか!」(笑)。

ネタバレBOX

あと、恒例の「人気アニメキャラクターの顔」、今回はジャイアンで、ウインクした目を靴で表現したのも妙案。
東京学生演劇祭2015

東京学生演劇祭2015

東京学生演劇祭

王子小劇場(東京都)

2015/09/19 (土) ~ 2015/09/23 (水)公演終了

満足度★★★

創像工房 in front「僕僕僕僕僕僕僕」
ある女性が漂着した島の主、「僕」は彼女の過去の知り合いらしいが彼女には覚えがなく…から始まる物語。
衣装・メイクによって虚構性を高めることで寓話っぽくして逆にメッセージを強く伝える感じは好ましいが、個人的には各キャラクターが多少クドく感じ、往き来する自制の中で演じられる場がいつのことなのかすぐに察することができないこともあったのが残念。

遡上/傘を返しに

遡上/傘を返しに

こねじ

magari 駒場店(東京都)

2015/09/12 (土) ~ 2015/09/14 (月)公演終了

満足度★★★★

会場との相乗効果
「傘を返しに」
この会場へのアテ書きでもある20分リアルタイムの会話劇。
説明台詞は1つもないのに、男女二人の会話からその関係や状況などが察せられるのが見事。
そして互いの想いはヒントを出して(極論すれば出しっぱ?(笑))おき、あとは観客の想像に委ねるのも巧い。

「遡上」
こちらは盛岡に実在する喫茶店をモデルにしての女優5人芝居。
やや特殊な事情に加えて「超自然的な」存在も登場するのにリアリティがあるのは各人物の造形に説得力があることと会場のサイズとの相乗効果か?
なお、ラストシーンでタイトル(の意味)を改めて思い出して納得。
ちなみにこちらが始まった途端に外を川が流れているように感じた暗示にかかり易いσ(^-^)であった(笑)。

平成舞姫

平成舞姫

第27班

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2015/08/29 (土) ~ 2015/09/06 (日)公演終了

満足度★★★★

グループD「しばらくは木の家」
女性限定シェアハウスの住人と周辺の人物が織り成す物語、個性的な住人とその友人(泣き過ぎ?(笑))を演じる4人の女優とやや誇張した演技が強烈な印象を残す男優2人ががっぷり四つな感じ。
そんな面々が時間をかけて調えた状況が一気に開花する終盤はドミノ倒しの如き快感。
冒頭をはじめとした時を表す場での手法も面白い。(唐突と言えば唐突だが)

平成舞姫

平成舞姫

第27班

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2015/08/29 (土) ~ 2015/09/06 (日)公演終了

満足度★★★★

【Aグループ】
「平成舞姫」
タイトル通り森鴎外の短編を現代に翻案。
毒や重さを軽減し過ぎてマイルドになった感があるのは否めないが、尺や他作品とのバランスを考えれば妥当か。
それに根底に流れるものは継承しているからね。
あと、一部古風な台詞と選曲も〇。

「スピーディー・ワンダー」
連作コント風の艶笑モノ。
反復で笑いを増幅させておき後半でテンポアップする構成と、浮かんだ疑問をきちんと解消させる落としどころがイイ。
で、「ホテル・ミラクル3」狙いですか?(笑)

私的恋愛ベスト〜全ての女に懺悔しな!〜

私的恋愛ベスト〜全ての女に懺悔しな!〜

元東京バンビ

スタジオ空洞(東京都)

2015/10/24 (土) ~ 2015/11/01 (日)公演終了

満足度★★★★

軽妙なタッチでテンポ良く見せるのは東京バンビ時代からの特質
ハヤシの部屋で次回作の構想を練るアダチとハヤシ。
案を出せと言われたハヤシは恋愛ものを提案、ちょうどアダチがハヤシの昔の日記を見付け…。
ということで過去再現パートは「恋愛あるある」が満載。
本人ならずとも少なくとも身近にはそういうの、あったなぁ、と多くの共感や郷愁を呼ぶのではあるまいか?
また、再現パートの合間に演じられる現在のハヤシの恋愛模様(いやぁ、林さんってモテるんですね(笑))もありがちながら翻弄され狼狽えるハヤシの様子が愉しい。
そんなこんなを軽妙なタッチでテンポ良く見せるのは東京バンビ時代からの特質、巧いよなぁ。
で、「事実2%創作98%」とのことだが、装置はほぼ100%林さんの私物では?(笑)

リクレイムド ランド

リクレイムド ランド

Oi-SCALE

駅前劇場(東京都)

2015/10/21 (水) ~ 2015/10/26 (月)公演終了

満足度★★★★

タイムリーなテーマをOi-SCALEな雰囲気でコラージュ
かつての未成年犯罪者の出版を筆頭にタイムリーなテーマをいかにもOi-SCALEな雰囲気でコラージュ。
被害者遺族の気持ちや「人の死」などについて問題(?)を提示するので観客として考えさせられるシカケ。
がしかし、最後にソフトランディングするのは灰二さんの優しさの顕れ?
あの前で終わるのもインパクトがあったのではないかと思って尋ねてみたら実はあの結末ありきだったそうで、いらんことをゆーてもーたか?(笑)

ココノ イエノ シュジンハ ビョウキ デス

ココノ イエノ シュジンハ ビョウキ デス

日本のラジオ

RAFT(東京都)

2015/10/23 (金) ~ 2015/10/26 (月)公演終了

満足度★★★★

「どどどどーした日本のラジオ?」からの「あーやっぱり日本のラジオだわ!」
古書店を営む夫妻らとたまたま訪れた女性客との心温まる交流…。
口下手や不器用だけれど根は優しい面々が次第に(心の)距離を狭めてゆくさまは心地好くてホロリとさせられる。
その一方で「日本のラジオに求めているものはこういうものじゃない」までは行かずとも「どどどどーした日本のラジオ?」な戸惑いも(笑)。
が、時々どす黒いもの(←比喩であったりなかったり)がチラチラ見え隠れ。
そして終盤で明かされるいくつかのことは「あーやっぱり日本のラジオだわ!」と頬が弛む(従来比ではマイルドかも?)。
さらに提示されるだけのそれらを関連付けることも可能で、ますます日本のラジオ(笑)。
…ということで、すっかり弄ばれた感じ?(笑)
なお、舞台美術として使われていた文学全集のうちで最も古そうなものがかつて実家にあったもので、初めて読んだ夏目漱石も席の近くにあって懐かしいという余禄も。

東京学生演劇祭2015

東京学生演劇祭2015

東京学生演劇祭

王子小劇場(東京都)

2015/09/19 (土) ~ 2015/09/23 (水)公演終了

満足度★★★★

the pillow talk「砂」
いかにもいそうなキャラをやや誇張した高校生たちの部活予算確認会議を描いた50分。
マンガチックとも思える個性的な面々のぐだぐだっとした討論(?)は、アガリスク・エンターテイメントの「ナイゲン」と対照的で、また別の味わいが。
喩えて言えば理詰めの「ナイゲン」は「怒れる男」で、なあなあ(?)のこちらは「優しい日本人」、みたいな。
後半で最後の1人が出てくることで流れが大きく変わる構成や前説アナウンスまで取り込むイントロ的な部分も愉しい。
あまり出てこない先生なども巻き込んだ長編版も機会があれば観てみたい。

時々は、水辺の家で。

時々は、水辺の家で。

monophonic orchestra

小劇場 楽園(東京都)

2015/07/29 (水) ~ 2015/08/02 (日)公演終了

満足度★★★★★

「デッサンから油彩へ」よりは「小説の実写化」な印象
今まで観てきたリーディングから一般的な芝居にしたものや、ひつじ座やRAFTなどの小会場から普通の劇場へスケールアップしたものは、謂わば「デッサンから油彩へ」という印象だったが、本作はその範囲を逸脱。
リーディングで(勝手に)思い描いたイメージと異なり「あ、そこはそういう風になるんだぁ」という部分があり、それはたとえば小説やマンガを実写化されたものを観た時のような感覚で、これが演劇では初めてだったので新鮮。
もちろんイメージ通りだった部分もあるし、観ながら記憶が蘇ったりもしたし、何より須貝作品の特色と言って過言ではない優しさが漂っているし、なのですっかり引き込まれる。
それにしてもあの学芸員、出番が少ないくせに終盤でオイシイところをさらって行くよなぁ…(笑)
あと、どちらかと言えば淡々と進行するのに不思議と引き付けられるのは単館レイト上映される映画に近い味わい?

ヘルメスの媚薬

ヘルメスの媚薬

BELGANAL

新宿眼科画廊(東京都)

2015/07/31 (金) ~ 2015/08/05 (水)公演終了

満足度★★★★

独特な舞台美術により印象を操作された?(笑)
老齢患者が同じ症状で相次いで死亡した病院に遣わされた医療危機管理センターのコンサルタントは院長の友人でありかつては医師で…な物語。
序盤で語られる症状は十七戦地の初期作品にして代表作でもある「花と魚」を想起させるリアルSF的な味わい、過去の事実も絡めて真相が浮かび上がる後半は近年の十七戦地作品風で、柳井脚本ファンにとって「一粒で二度オイシイ」作品。
また、明かされる真相がホラー(心霊系ではなく心理系)っぽくもあり、夏向きだなぁ、とも(笑)。
ホラーと言えば、独特な舞台美術が第一印象で廃墟を思わせ、観ているうちに実は登場人物は全員死んでおり、その亡霊が廃病院に夜な夜な現れて同じ会話を繰り返しているのでは?な妄想も。
リアルな病院的な装置だったら印象もかなり違ったろうなぁ…。
なのでアンケートにあった「本作が映画化されるとしたら?」という設問に対して「思いっきり写実的に、また、回想場面も見たい」と回答。

MonkeyMagic

MonkeyMagic

TEAM空想笑年

中目黒キンケロ・シアター(東京都)

2015/08/20 (木) ~ 2015/08/23 (日)公演終了

満足度★★★★★

上出来娯楽アクションに感服
お釈迦さまから「4つの物語を完結させる」ことを条件に五行山から解放され西遊記と桃太郎の世界を往き来する孫悟空にさらに他の物語の主人公も絡み…な娯楽作品。
2本の大きな柱にコメディリリーフ的な挿話を配し更に他の物語の主人公には「俺の物語は完結している」と言わせて4つ目の物語がなかなか判明しない構成が巧みだし、その人物が敵側にいるという設定(理由含む)も上手い。
そのあたりはスーパー戦隊の対戦ものなどを想起させて愉しい。
また、擬闘もキャラクター毎に技の特徴があり、傀儡として操られた者が人形振りで殺陣を見せるなど工夫が凝らされ、さらに分身の術もお面をつけるようなありふれたものでなく、それでいてちゃんと“分身させる”のが見事。
なお、誰かを救う、または援護するために別の誰かが命を落とすパターンには批判的なσ(^-^)だが、本作のそれは「4つめの物語」への伏線となるので容認。
そんなこんなで上出来娯楽アクションに感服♪
来年はハートウォーミングな新作とバックステージものの秀作の再演とのことで、これまた楽しみ♪♪

超高速大回転ロミオ&ジュリエット

超高速大回転ロミオ&ジュリエット

イチニノ

pit北/区域(東京都)

2015/09/22 (火) ~ 2015/09/23 (水)公演終了

満足度★★★

ラストに構造上の弱点あり
あの有名作を5人の役者で85分ほどで演じるという一種の挑戦。
各役者が複数の役を演じ同じ役を複数の役者が演じる「複数人複数役」とカジュアルな翻案を柱に本拠地である茨城ネタほか様々なくすぐりをちりばめて楽しいし、スケッチブックをフリップのように使うアイデアなどもイイ。
ただ、タイトル通り超高速で進行してゆくだけにノーマルスピード(?)で演じられる原作通りのクライマックスが間延びしたように感じられてしまうのが構造上の弱点。
いっそ大胆に失速感がない結末にしても良かったのではないか?

ハワイ

ハワイ

INUTOKUSHI

新宿ゴールデン街劇場(東京都)

2015/08/18 (火) ~ 2015/08/26 (水)公演終了

満足度★★★★

によってちゃあんとハワイにして終わるのにはもう口が塞がらず
開演前からタイトルにそぐわない舞台美術だと思っていたが、開演するとタイトルらしからぬどころか犬と串らしからぬ(←偏見(笑))シリアスな内容…。
が、次の場に進んで笑いが増えて「なるほど」と思うもまだタイトルとの関係は思い当たらず。
そうしているうちにσ(^-^)の好きな“あるパターン”になり、それでもハワイとの関連が想像できずにいたら、「まさかのワザ」によってちゃあんとハワイにして終わるのにはもう口が塞がらず(笑)。ヤられたなぁ。
あと、美術も特筆モノ。
なお、第1場のシリアス場面、あのままのカタチで膨らませた中編か長編を機会があれば観てみいとも思う。

OZ♀4♂3

OZ♀4♂3

チームジャックちゃん

ザ・ポケット(東京都)

2015/09/23 (水) ~ 2015/09/27 (日)公演終了

満足度★★★★

[靴チーム]
「オズの魔法使い」の13年前を描いたエピソード0、元ネタを知っていると頬が緩みっ放しの前半と終盤の感動との対比が鮮やか。
前半は元ネタの「三人のお伴(?)」にあたる役の設定が名前も含めて特に見事で、それぞれのパートナーと共通の色使いをしている衣装もイイ。
そしてクライマックスでは宰相グリンダと王妃ロシーヌの友情がクローズアップされて感動(そう言えばロシーヌと“もう1人”の名前にも仕掛けが…)。
そんなこんなで「歴史上の事実が語り継がれているうちに変わっていってできたお伽噺」の元となった史実のような物語を堪能すると共に発想に感服。
また、一部が可動式でトランスフォームする装置も効果的。

ネタバレBOX

それにしても原典の主要キャラクターであるライオン、カカシ、ブリキ男を人間として出し、彼等が勇気、脳、心を失ったのは何故かも語るという発想はイイなぁ。
桃太郎と鬼娘

桃太郎と鬼娘

劇団のの

阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)

2015/10/09 (金) ~ 2015/10/12 (月)公演終了

満足度★★★★

タイムリーなテーマをコンパクトに
鬼退治後、きび団子屋で生計をたてていた桃太郎に復讐を目的に近付く鬼の残党の娘、そして他にも桃太郎を狙っている者が…。
民話やお伽噺の元となったであろう史実をそれに近い形で描くスタイルゆえ「鬼」には角がない…どころか普通の人間として描かれる。
それはそのまま桃太郎の驚きでもあり、正義と思って鬼退治に“参加”して鬼ヶ原に行けば、そこにいたのは鬼などではなくごく普通の人々、とてもそんな相手を討つことはできずに一人戦列を離れたことから「敵前逃亡」の罪で追われる。
そうなんだよ、戦時教育で「鬼畜米英」などと刷り込まれ…というより洗脳されたとしても、相手は鬼でもなければ悪でもない。
キナ臭くなってきた昨今、これを忘れてはいけない。
そう考えると鬼退治系のお伽噺ってけっこう過激なんだな…とも。
ヒロインである鬼の娘もそこに気付くが彼女の鬼…いや兄が復讐を諦めないことで起こる終盤の悲劇には考えさせられる(1年戦争時のエルメスのララァを想起したが、のあ主宰はご存知ないそうで…う、ジェネレーションギャップ(爆))。
そうして迎える最終場は「もしかするとこうだったかもしれない」和やかな平行世界。
後味を悪くしないためと思ったが「こういう世界であって欲しい」という願いや祈りとも受け取れ、そう考えると深い。
80分という尺に巧く収めたなぁ。
それにしても、ここの芝居で殺陣を見ることになるとは…!(笑)
あと、TEAM空想笑年、柿喰う客に続く桃太郎ネタ、この後にはタッタタ探検組合も控えているし、何なの?桃太郎生誕〇年とか没後〇年とかなの?

このページのQRコードです。

拡大