じべ。の観てきた!クチコミ一覧

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代役!

代役!

劇団ヨロタミ

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2017/02/22 (水) ~ 2017/02/26 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/02/23 (木) 14:00

座席F列9番

価格2,800円

男性アイドルグループのリーダーの出身地でのコンサート当日、メンバーたちが食あたりで開催が危ぶまれるがスタッフ陣はリーダーに瓜二つな父親を代役に立ててコンサートを決行しようと企て……な物語。
バックステージものにハズレ無し……なところに「いつものアレは?……(しばしの時間経過)……あぁ、そう来たか!」や「ソレはそこで使うのね」も加わったコメディ。
劇中ステージのフィナーレであたかもその舞台の観客であるような錯覚があり、しかも(劇中の)スタッフの苦労を知っている分、劇中の客よりも感動は大きいのではないか?とも思ったり……
劇中現実の部分には時々現実が混じるメタ構造もあり、メタって「絵の一部が額からはみ出しているだまし絵」的でもある、と今さら気付いたりも。

ネタバレBOX

開演前にいつもの前説がなく、どうしたのかな?と思ったら劇中序盤でコンサートの進行担当が前説の稽古をするカタチで行われ、常連客ならニヤリとでき、もちろんお初のお客さんにも楽しめるという趣向もさすが。
すかすからす

すかすからす

ムシラセ

RAFT(東京都)

2017/03/23 (木) ~ 2017/03/26 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/03/26 (日) 14:00

価格2,000円

教師が手を焼く問題児・えりだったが実は……な物語。
ツイッターで流れていた感想を思い出しながら「それな」「なるほどこのことか!」などと納得しながら観たりして。
いやしかしこういうド定番ネタをちゃんと見せてしまう温故知新スタイル、この少し前に観たpeachboysもそうだったけれど、イイね。

おぼろ

おぼろ

ゲキバカ

新宿村LIVE(東京都)

2017/04/05 (水) ~ 2017/04/09 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2017/04/05 (水) 19:00

座席F列16番

ピカレスク・ロマンでありアクション時代劇な力作。
軽さやSFファンタジー的テイストからダーク&へヴィーまで含むスタイルは劇団☆新感線に通ずる感覚?
もちろんこれもアリで諸々の必然性も納得した上で言えば「ある部分」により「痛快」「娯楽」などの語で表現できなくなってしまったのが惜しい。(私見)

ネタバレBOX

ゲス吉は復活するからまだしも、お花を殺してしまうことが「個人的には」残念。
それ以降、おぼろ小僧をより一層奮起させる原動力であるのは十分すぎるほど理解するし「ストーリー構造として」否定する意図はないのだが、そこに至るまでの「痛快時代劇」もしくは「娯楽時代劇」な愉しさが一転してしまう落差の大きさが承服しかねる。

劇中の「人死に」について、悪役側・主人公側あるいは一般人を問わず、必然性の有無や適切・不適切を問わず(必然性がなかったり不適切だったりなら論外だね(笑))批判的になりがちなσ(^-^)、根底には「虚構なんだからハッピーにしてよ」な気持ちがあるのかも?

なお、上手側の通路を花道的に使うことが何度かあったので後方でその通路に近いF列16番は絶好のポジションだった。
第十五夜『盲獣ーあなたの世間に唾を吐くー』

第十五夜『盲獣ーあなたの世間に唾を吐くー』

有末剛 緊縛夜話

ザムザ阿佐谷(東京都)

2017/04/08 (土) ~ 2017/04/09 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/04/08 (土) 14:00

価格3,000円

2人の女優(+α)が朗読(+α)する乱歩の「盲獣」に合わせて緊縛師と3人のモデルによる緊縛ショウが繰り広げられる趣向にして小劇場系のトレンドになりつつある(私見)「光学効果」満載(しかも最近観たいくつかとはまた異なるパターン)で想像力を刺激しまくる朗読緊縛劇。
脚本・演出がオフィス再生の高木尋士さんだけに入場した時点で目に入る舞台両脇のアレに「それな」(笑)だし、以降も再生色が随所に。

アフタートークで出た有末さんの「海外のもの(あるんだって!)と較べて日本の緊縛は多様性がある 」との言葉に風呂敷や折り紙に通ずる日本の伝統文化か、などとも思う。
また、欲情を促進するものがカストリ雑誌のエロ小説→画像(=挿絵・イラスト→写真)→映像(ポルノ映画・アダルトビデオ)と次第に具体的なものに変遷して行くのにつれて想像力・妄想力が衰えてしまったのではないか、とも考えた。

ネタバレBOX

ステージは白い幕で遮られており、その手前両サイドに電気スタンドが乗った机が1つづつ。オフィス再生の読書劇で「前科」がある手口だね。
その幕は結局終演まで落ちたりせず、奥での緊縛の影や画像(版画(?))映像(緊縛の様子の生撮影しているビデオ)を投射するスクリーンというシカケ。
光源に近い位置にあるものの影は大きくなるという「影の遠近法」を利用して人の全身と同じくらいある大きな手が人物を愛撫する……などの「SFX」も使うのも面白い。

また、アフタートークで「すべて見せないことによるエロス」などの話も出たのもこの手法に合致しており納得。
3年B組金玉先生

3年B組金玉先生

Peachboys

シアター711(東京都)

2017/03/24 (金) ~ 2017/04/02 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/03/24 (金) 20:00

価格2,000円

大のオトナの本気の悪ふざけ、カカフカカ企画と同じくらいヤバくてカカフカカ企画よりオトナでカカフカカ企画より大人気(おとなげ)ない。
ネタがてんこ盛りで次から次へと繰り出されて一つ一つを反芻する余裕を与えないのは「ネタのわんこそば」状態?(笑)
あと、使い方を誤ると「反則!」とのそしりを浴びかねないテで「綺麗に一本取った」と思わせてしまうのは何?(爆)

その団体への初参加の役者であっても(経緯はどうであろうと)その個性・特性を活かした使い方でちゃんと溶け込ませるのが演出家の手腕か?などとも思った前日に観たたすいちと本作。

夏の夜の夢

夏の夜の夢

Theatre Company カクシンハン/株式会社トゥービー

シアター風姿花伝(東京都)

2017/03/19 (日) ~ 2017/03/26 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/03/22 (水) 19:30

まずは当日パンフレットの配役表を見て「そう来るかぁ」とニヤリ、それ以降は「これが、カクシンハンの、やり方かぁ~っ!」な「確信犯的犯行」。
とはいえ「あそこ」を「そう変えた」ことと大幅につまんだ以外は一応原典に忠実で、ラストも変更というよりは「ある解釈」に基づいた感じ?(ちょっと違うか)

で、観ながらσ(^-^)にとって「夏の夜の夢」というのは音楽におけるヴィヴァルディの合奏協奏曲「四季」みたいなモンかな、と思ったり。本来の編成以外にソロがフルートのものや中国の古楽器によるもの、ポップなレッド・ブリースト版からエレクトリック・ギターの多重録音のものなどそれぞれ違った面白さがあると思うもの。
その喩えで言えば本作はパンクアレンジなのかも知れない(爆)。

なお、ごく一部(うんと引いた画を見せるところ)で惑星ピスタチオの手法を思い出した。あと、舞台美術(装置ならびに「光学効果」)が好みだったな。

ラボ4~こおりおに~

ラボ4~こおりおに~

ノアノオモチャバコ

小劇場 楽園(東京都)

2017/02/21 (火) ~ 2017/02/26 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/02/21 (火) 19:30

とある自治体で行われた「貨幣経済から脱却(?)するために将来導入することが検討されている新システム」の実地試験の顛末。
副題をつけるなら「便利な制度の導入に関する考察、もしくはルールの抜け道やそれに伴う本末転倒について」か?
序盤でのこおりおにの場面に象徴させたもの(=例外的に設けたルールをみんなが使うと行き詰まる)が「こういうことか」とあとから納得できるのも上手い。本来自発的にするべきことを制度によって推進しようとするとその裏をかく輩が現れるとか、報奨で釣っていると一般化して報奨がなくなった時に揺り戻しが来るとか、「落とし穴」を判りやすく描いていることに感服。

『こんこん』 『跡』

『こんこん』 『跡』

世田谷シルク

さくらWORKS<関内>(神奈川県)

2017/02/11 (土) ~ 2017/02/19 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/02/11 (土) 18:00

両編とも「光学効果」あるいは「超小規模プロジェクションマッピングもどき(笑)」が独特にして面白く、それ以外にも(堀川主宰によれば偶然の)共通点がありニヤリとした。

「跡」
1人の男性の一生を軸として100年近くに亘る年月を定点観測的に40分余に圧縮して見せるが、幼年からの加齢が見て取れるし、その一方で「ある手法」により観客の想像に委ねる部分も大きいのが上手い。

「こんこん」
複数の昔話をメドレーのようにうまく繋いでいて楽しい。
pit北/区域での初演を観ていたがそれとは印象がガラリと異なり上書き保存されてしまうほど(笑)なのは装置による部分もあるかしら。

青春の延長戦

青春の延長戦

冗談だからね。

王子小劇場(東京都)

2017/03/22 (水) ~ 2017/03/26 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2017/03/23 (木) 15:00

価格2,500円

各論賛成総論反対と言うか細部はそれぞれよく描けているが全体の構図がイマイチな絵と言うか、な印象を受けた。
複数のエピソード/ストーリーが並行して語られる作品も好きだけれど、一見無関係に見えてもいずれ何らかの関係が示されるあるいは暗示されることを期待しながら観ているようだ。なので結局バラバラなまま終わるのはもちろん、関係が察せられるタイミングが遅いと「何だかなぁ」と思ってしまう。
で、あの終わり方、そういえばうんと昔、石ノ森章太郎がまだ石森章太郎だった頃に描いた、世界の複数箇所での出来事を同時平行的に語り、最後に「あること」で締め括る作品があったのを思い出した。アレも各エピソードには関連性がなかったもので。

あと、本作だけでなくここまでに観た何本かの芝居も含めて、「語り過ぎず、説明不足にもならず」で「あとは察してよね」な芝居って、程度にもよるけれど、作家と近いセンスを持っているか、とか好きなものが一致するかどうか、とかによって「ワカる・ワカらない」が分かれるのではないかしらん?……なんてことも考えた。

ある犯罪者の遺言

ある犯罪者の遺言

即席ユニットアバルブ

吉祥寺櫂スタジオ(東京都)

2017/04/06 (木) ~ 2017/04/09 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/04/06 (木) 14:00

価格1,800円

某有名作品の女性版的でその作品と対を成すとも言える中心部分とタイトルの意味が判明しメッセージが示されるラストが上出来で、「それを芝居で演りますか!?」な仕掛けが芝居本編に対しては両刃の剣で微妙(賛否両論かも?)ながら芝居構造という部分に考えを巡らせるとメチャ面白い。

※初日初回の実測上演時間は72分余

ネタバレBOX

想起したのは「ウインズ・オブ・ゴッド」。両編ともに現代の若者2人が戦時体験をするのが中心だが、あちらは特攻隊員、こちらは「銃後」の一般女性であるので「対を成す」と。

映画やドラマを見ていた人物がその世界に入り込むのは「現実では起こり得ないこと」なのに対して本編は上演中の芝居に入り込むワケで、これは(櫂スタジオなどの小さな会場では特に)「やろうと思えばできてしまう」ことなのが微妙。
で、そうして客席にいた2人が入り込んだのは趣旨的には(劇中劇の元となった)過去なのだろうが、「劇中劇に入り込んだ」という誤解・曲解もできてしまうのでその微妙さに輪をかけることに。

なので、芝居の趣旨との関係で言えばどちらかと言えば減点要素なのだが、芝居構造について考えてみると実に面白く、本編を観ながら同時にそのことにも考えを巡らすことに……(爆)
思うに一般的なメタフィクションが劇中現実と劇中劇の二層構造であるのに対して本作はさらに一層(=劇中劇の元となった過去の事実)加わった三層構造で、劇中劇(中間層)を超えて一気に過去に跳ぶのが独特なのではないか?
(そう言えばかつて観た劇団SEINの「孤哀子」も三層構造で層を進んで行くのは一層ずつ順だったのがラストで中間層を飛び越して一気に劇中現実に戻るのでインパクトがあったな、などと思い出したりも)

ということで、評価に迷ってしまったりもするのだが、少なくとも個人的には大いに楽しめた。←おい
幸福の黄色い放課後

幸福の黄色い放課後

キ上の空論

スタジオ空洞(東京都)

2016/05/11 (水) ~ 2016/05/22 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2016/05/11 (水) 19:30

再演版に先駆けて書きかけて放置していた初演のものの加筆修正版をまず……(爆)
なお、作品の構造に触れているのでネタバレBOXに収める。

ネタバレBOX

高校の教室での放課後スケッチ集的な?と思っていたら、リンクしている…と言うか実際にはほぼ同時に起きている会話を個別に見せているらしいことが察せられてくる。そうして、一通り見せたところで同時多発会話的な「本来の状況」を見せる構成がイイ。
かつて冒頭で同時多発会話を見せてから各会話を個別に見せる構成のものは観たことがあったけれど、こちらの方が観ながら推理して、その後に答え合わせがあるようで愉しい。
で、そんな中に当てはまらないピースがあるという仕掛けも面白い。
まさにジグソーパズルを解いていたら全く違うもののピースが1つ紛れ込んでいたような……。
また、終盤の照明がいかにも夕方の教室に射し込む夕陽に輝映のようで見事。
オセロ王

オセロ王

劇団鋼鉄村松

王子小劇場(東京都)

2017/02/01 (水) ~ 2017/02/05 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2017/02/01 (水) 19:30

価格3,000円

20世紀末に起きた「あること」によりこの世界と分岐して別方向に進んだ世界の未来の人種対立を描いたコメディ。
一旦なくなった人種差がまた生ずる過程(?)がとてつもなくナンセンスではあるものの、そこから描かれる人種の対立は今の世界の箱庭的表現にして戯画的でもあり風刺であろう。

ネタバレBOX

奇しくもこの前日に観た劇団天動虫「うえをむいてあるこう」にもノストラダムスの「1999年7の月」に関する予言が出てきてその偶然にビックリ。
ま、あちらはアンゴルモアの大王が降りてこなかった(この)世界、こちらはある意味で的中して核戦争が起こってわずかしか人類が残らなかった平行世界だけれども。
うえをむいてあるこう

うえをむいてあるこう

劇団天動虫

要町アトリエ第七秘密基地(東京都)

2017/01/28 (土) ~ 2017/02/05 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/01/30 (月) 19:30

価格3,000円

とあるビルの屋上で1999年7の月に降臨しなかったアンゴルモアの大王を呼び寄せようとしているグループには急死したその仲間の霊も加わっており……な物語は幼馴染・恐怖の大王・霊媒師の三題噺的で、「心残り」ということについて示唆に富み含蓄がある優霊譚(←変換ミスに非ず、どなたかの造語)。

前半では舞台となる屋上への闖入者が霊媒師のカウンセリングを受けているサイドストーリーも並行して語られ、乱暴に言えばそちらは無くても物語は成立するが、後半で除霊すべく霊媒師が登場する時に唐突に感じさせない=前半と後半の繋がりを強化する脚本に「あ、なるほど」と納得。

ところで冒頭でラジオから流れてすぐに切られる曲、イントロだけだったと記憶しているが、世代によってはワカらないのではなかろうか?(謎)

ネタバレBOX

大切な相手との「訣別のとき」を迎えるのは切ないけれど、遅かれ早かれそれを受け入れて乗り越えなくてはいけない、というのが切なくてステキ。
あと、「何かをしようと思っていた者だけ」に「心残り」がある……という部分にはハッとする。
夢見る乙女じゃいられない

夢見る乙女じゃいられない

たすいち

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2017/03/23 (木) ~ 2017/03/28 (火)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/03/23 (木) 19:00

価格3,300円

※お願い:贔屓目もあるので何割か減じて、あるいは話半分で受け取ってください(爆)

伸長著しい劇団員はもちろん常連から初参加までの客演メンバーも含めて理想のキャスティングに二つの流れが交差してクライマックスか…と思いきや本当のクライマックスがその後に、という構成の脚本では鬼に金棒?

コミケやら腐女子やら初演時(7~8年前)も話題にはなっていたろうが今ほど一般的ではなかったろうに先取りして(し過ぎて?)いたよなぁ、と今さら。
先述の多段式ロケットのような脚本構造もあの頃に……と。

タイトルが利いているな、な場面が2回くらいあり、また、ここで終わりにしてカーテンコールもない「ダークver.」も面白いかも?なポイントも2回くらいあった。

また、初演時には、そしてその後観てきて一度も気付かなかったが、今回初めて(部分的に)某人気団体に通ずるテイストを感じたり(笑)、題材が題材だけに某団体の某公演での装置を想起したり。

あと「マンガ」を「観劇」に置き換えると身につまされる台詞もいくつか……(自爆)

空耳の恋人

空耳の恋人

くらやみダンス

早稲田小劇場どらま館(東京都)

2017/03/25 (土) ~ 2017/03/27 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/03/26 (日) 19:30

価格2,500円

地球の陸地が水没し、人類が火星に移住した未来の物語。一言で表現すれば「胡蝶のプレードリコールトータルランナーの夢」か?
セキユさんが「あれ」をご存じなくこういう話を、ということにビックリ。作家さんの発想力って面白いなぁ。
また、シミズアスナさんの役どころに「なるほど、タイガーリリィはあの後そういう職に就いたのか」などと思ったり。

ネタバレBOX

観ていて映画「トータル・リコール」を思い出し、セキユさん、フィリップ・K・ディック(原作の映画)がお好きなのかしら?と思って伺ってみたらご存知ないとのこと。そう言えば四半世紀以上前の映画だもんね。
マークドイエロー

マークドイエロー

もぴプロジェクト

王子小劇場(東京都)

2017/03/29 (水) ~ 2017/04/02 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/03/29 (水) 19:00

価格3,500円

まずはこれからご覧になる方々へアドバイス。
入場した時に舞台中央にある「もの」を考慮して席を選ぶ必要はありません。理由は推して知るべし。
ま、囲み客席の芝居で問題となるような死角を作る演出家はほとんどいないし。(例外的に下手くそな演出家がやらかす危険は否定できないが(爆))
また、ウィキペディアの「ドグラ・マグラ」の項を(観る前でも観た後でも)一読するとより楽しめるかも? ネタバレというほどではないと思うし、そもそも「原作」ではなく「着想」なので。
さらに言えば、夢野久作の「ドグラ・マグラ」を読んでおけば得心がゆく部分も複数。

かく言うσ(^-^) 、夢野久作の「ドグラ・マグラ」を読んだのは20歳前後のことで詳細は忘れていたが、冒頭とラストの「アレ」は「ドグラ・マグラ」に準拠したもの(冒頭の方にはドサクサに紛れてよく知られている「別のもの」を混ぜていなかったか?(笑))とワカったし、メタ部分のある「ドグラ・マグラ」を包み込んだ「もう一層外側の物語」あるいは「呉二郎の物語」な感じ?と解釈できて楽しめたワケで。
なお、元ネタを知らなくてももちろん大丈夫。

ちなみに「ドグラ・マグラ」を読んだのは佐井好子の2ndアルバム「胎児の夢」がキッカケ。メタフィクションあるいは自らを内包するような層構造が好きなのはその頃からだったのか、それがキッカケだったのか……?

なお、聞いたところによると下平主宰は100分を切りたがっているとのことだが、一部の会話がせわしなく間を取らないのが不自然に感じられたので無理して巻くより会話の自然さを尊重して欲しい気もした。

あと、おぼんろのさひがしさんは「やはり(笑)」ストーリーテラー的な役どころであると同時にメガネなこともあってか「その役職の人」っぽさも醸しだしたシブいオジサンでありました。

【参考】初日の実測上演時間は100分強。

ネタバレBOX

冒頭のアホダラ経的な部分は「キチガイ地獄外道祭文」+「アジアの純真」?(笑)
今日は砂糖の雨が降るから

今日は砂糖の雨が降るから

perrot

王子小劇場(東京都)

2017/03/16 (木) ~ 2017/03/20 (月)公演終了

満足度★★★★

機械に人間の遺伝子を組み込んだ「ブリキ」と人間が共存する未来、ブリキの行動には制限を設けるべきとする側が政権を取ったことで起こるあれやこれや……。
具体例は覚えていないが子供の頃に胸をアツくさせて読んだり観たりした作品群に通ずる懐かしさに切なさも加えファンシーにコーティングしたSF風寓話、終盤のある会話に切なさを感じたら、実はフラグだったり、なんてことも。(後付けの理屈だ(笑))
確かに差別や偏見に対するメッセージもあるものの、それを声高に叫ぶのではなくそれによって起こることに重きを置くのがかつての少年向け/子供向けの作品群を想起させたのか?

ネタバレBOX

終盤のマキナとイロハの「ブリキも入れる店があるの?」「今はまだないけれどきっと…」(大意)なやり取り、こんな世界だけれども直してゆくぞ、という決意が含まれていてグッとくると共にどこか切なさの欠片的なものが感じられたが、その後の展開で「そうか、あれはフラグだったのか」と。

冒頭部分にNODA・MAP風味を感じたのでアフタートークでいわもと主宰に「お好きな劇作家は?」と質問したところ野田秀樹の名前は出てこなかったが、ゲストの広田さんが「他には?」と追撃した時に出てきて「やっぱり!」(笑)

ブリキの「機械に人間の遺伝子を融合させたもの(だったっけ?)」な設定にはカレル・チャペックの「RUR」に出てくるロボット(機械人形/機械人間よりもどちらかといえば亜人間)を想起。

先に「具体例は覚えていないが」と書いたが実は「鉄腕アトム」の「ロビオとロビエットの巻」は思い出していて、アフタートークで「ロミオとジュリエットもモチーフ」と伺って「ある意味、当たりィ!」とも(笑)
ラクエンノミチ/ボディ

ラクエンノミチ/ボディ

日本のラジオ

シアターシャイン(東京都)

2017/03/16 (木) ~ 2017/03/20 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/03/17 (金) 15:00

価格2,600円

「ラクエンノミチ」
風俗店の待合室で展開するドラマ。
割と早い段階から閉塞感が漂い始め、次第にそれが強くなって行くのはまるで「吊り天井部屋」のよう……そういえば日本のラジオ作品はそのパターンが多くそれはつまり「吊り天井芝居」という1つのジャンル?(笑)

いやしかし、笑顔がイイお二方をそう使いますか……なキャスティング、お見事です。何とコワい笑顔だことよ。
で、笑顔の裏のコワさに限らず、陰になって見えない部分(席によって見えないとかの具体的なものではない)をもどかしく思いながらも、その「隠された部分」が察せられてしまうのが上手いところ。
席によって見えないと言えば、ツイッターにあげられた感想にあった終わり方が微妙(にして絶妙)で、屋代主宰が後説のために登場するまで観客が戸惑ってしまう件、実はちゃんと演者が最後に礼をしているのね。
ただ客席通路の後方でそれを行うために大半の客にはそれが見えないだけで(笑)。(幸いσ(^-^)の視野には入った)
あと、終盤…ってか最終場で空調の音(S.E.ではなく現実のもの)が聞こえるのは一長一短? 観ている時は無音の方が緊迫感が増すのではないかと思い、アンケートに書いていたら、むしろ空調音が大きく感じられることで静けさか強調のか?という気もしてきて。→ ツイッターで得た情報によれば終盤で空調を切るようにしたらしい。

結露

結露

the pillow talk

早稲田小劇場どらま館(東京都)

2017/03/18 (土) ~ 2017/03/19 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/03/18 (土) 19:00

価格1,000円

「キミら、コドモかっっ!!!」な言動だったり、喫茶店や電車内で聞こえてきたらつい耳をそばだててしまい、その結果吹き出さないよう苦心するような会話たっぷりだったりの「当世(劇中設定時期は10年くらい前だがσ(^-^) からすれば十分当世)若者気質」な70分に大いに笑ったりドキドキハラハラしたりして堪能。

ネタバレBOX

男2人(演者ではなく劇中人物の方)は、車寅次郎のDNAが少し入っていなかったか?とも思う。喧嘩っ早い、口が悪い、難しいことはワカらない、気持ちがすぐ顔に出る、(惚れっぽい?)など近いのではないかと。
終盤の叩く、蹴る、取っ組み合うの喧嘩シーンは段取りなしのぶっつけとのことで、そりゃあ2ステージしか演らないワケだ。ってか怪我しないでよね。
フレアーX線のバカンスー

フレアーX線のバカンスー

フォスフォレッスセンス

新宿眼科画廊(東京都)

2017/03/10 (金) ~ 2017/03/14 (火)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/03/13 (月) 14:00

価格2,500円

深夜の天文台に現れ「他の星から来た」と言う女性は何者?なおハナシ。
一言(?)で表現すれば「詩的でSFチックなオトナの童話」あるいは「NHK少年ドラマシリーズの系譜なオトナ向けジュブナイル」。
観ながらいろんなものやフレーズが脳内に浮かんでは消え、物語も複数に解釈できて幻惑される……みたいな?
L字型客席だから見る側によって見え方が違うが、「心象的(?)」にも複数の方向から見ることができる(うまいことを言ったつもり(爆))のも好み。
色合いや明るさを変えることで場/時制/時空(次元?)の違いを表現し、最終場においてもその様子を観客に思い起こさせた照明もまた見事。

ネタバレBOX

浦江(だっけ?)の思念に呼応して意識生命体が時空を超えて訪れたとも思えるし一夜の儚い夢とも思える。また、浦江も(自覚はないが)実態は意識生命体なのではないかとも思え、21世紀風「胡蝶の夢」あるいはSF版「夢十夜」な気も……。さらには「星の王子さま」ならぬ「星のお嬢さま」と言えなくもないし……(笑)

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