女ばかり
三度目の思春期
東京おかっぱちゃんハウス(東京都)
2017/10/13 (金) ~ 2017/10/15 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/10/13 (金) 16:00
価格2,000円
昭和54年の解散総選挙、父の急逝により三女が立候補することになった三姉妹を中心とした物語。基本的にはコミカルながら痛烈な皮肉が込められた台詞があったり、当時はそんな社会であったか(具体的にはネタバレBOXへ)と思ったり。また、会場によく合っていて堪能。
急逝した議員が生前「政見ではなく地元に利をもたらすかどうかで選ぶ」有権者たちに憤っていた、というのは痛烈な皮肉。ニヤニヤしながらドキリとした。
愛だ
X-QUEST
新宿村LIVE(東京都)
2017/10/18 (水) ~ 2017/10/22 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/10/19 (木) 19:00
座席G列7番
古代エジプトとエチオピアの戦争で身分を知られないままに囚われの身となったエチオピア王女をめぐる物語。こっぱずかしいほどに真っ直ぐな反戦メッセージからお馴染みのアクション、笑い、言葉遊びなど交えて快調。ベースとなるものがものだけにほんのちょっと格調高さも?
アクションも若手に任せるのでなくベテランメンバーもきっちりこなすのはさすがだし、音響のワザも素晴らしく、ある場面で現実にはいない劇中人物の一方を音によって「見せた」のがスゴい。また、定刻開演もお見事♪(しかし本来は当たり前のことである定刻開演が「お見事」と感じられてしまう小劇場界って……(毒))
あと、戦争のさなかを描いたものの途中に回想場面で戦前の穏やかな時をちょっとだけ見せるのって効果的。
賭け
guizillen
王子小劇場(東京都)
2017/10/12 (木) ~ 2017/10/15 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/10/12 (木) 19:00
本作とかけまして、鍋料理の老舗の裏メニュー「闇鍋」と解きます。
その心は……ベースとなる出汁・スープはしっかりしていて味は確かだが、何が出てくるかワカらない。(笑)
附加すれば、一見不釣り合いなものなども入っているのに不思議と調和して美味い。ただし人によっては合わないものも含まれるかも?
喩えて言えばクラシックの名曲のディスコアレンジ、原典は知らねどもいかにもチェーホフ(と言うかあの頃の作家?)が書きそうな物語にあれこれ娯楽要素を盛り込んで2時間超を感じさせず。
おバカ、エロ、アクションなど多様なネタがよく馴染んで(私見)いるからか?
なお、開演前諸注意も後説も丁寧かつワカり易くかゆい所に手が届く感じで好感。
「遠くの花火」(新作) 「もう一回の、乾杯。」(再演)
空晴
駅前劇場(東京都)
2017/10/11 (水) ~ 2017/10/16 (月)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2017/10/11 (水) 19:30
座席G列12番
【遠くの花火】
可笑しくて切なくて優しくて、な空晴テイスト満載な上に終盤のある部分に空晴の「この十年」の「ある想い」が思い切り込められていてホロリ。まだ、もう、やっと、なそれぞれの十年……。
芝居を通して団体(なり作家なり)の決意……いやそこまで強いものでなくとも考えや想いを伝えられるとぐっとくるものがある。
しかし切なさと可笑しさのミルフィーユ状態な波状攻撃は「どうせいちゅーんじゃ!」であるとともにその落差でより切ないかも。
奇しくもこの日は隣り合った劇場で「喪失感とのつきあい方」がテーマの芝居が上演されていたんだなぁ。
哀しい夢すら、忘れてしまう
sleepwalk [スリープウォーク]
APOCシアター(東京都)
2017/10/04 (水) ~ 2017/10/10 (火)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/10/09 (月) 14:30
価格3,500円
正調上野節と言おうか上野作品ど真ん中と言おうか。
その「あーこれこれ♪」感に加えて本作はオーダーメイドじゃなかろうか?と思うくらいに痒い所に手が届くと言うか「こういう会話が欲しかった」なツボを何度か突かれる。
時制を入れ替えていて、ある好ましくない結果を見せた直後にそっちに進むことになった分岐点をみせるので「そこで別の選択をしたら……」な感が半端ない。が、最終的には好転方向なのが優しさか。
途中のそのビターテイストに、今回はほろ苦系?それもイイかも、という期待(?)をしたのでラストの救済(?)が肩透かし気味にも感じられたり(笑)
いや、そこが上野作品らしいところでもあるけれど。
万年床
制作「山口ちはる」プロデュース
新宿ゴールデン街劇場(東京都)
2017/10/04 (水) ~ 2017/10/09 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/10/05 (木) 14:00
価格3,000円
当日パンフレットの配役表を見て「好きなアレ」と予見した通り「実録・鈴木美波物語」。公演打合せでプロデューサーに促されて劇作家が語る自らの歴史……継目なく語りから芝居に入りまた語りに、なリズムやスムーズな出ハケでテンポ良く愉しい。
その内容がまた「小劇場あるある」的だったり「そんなことが!?」だったり、前説でご本人が「98%は本当です」とおっしゃったが、ホント?(笑)みたいな。
「事実に基づいたフィクションです」などの芝居を観ながら「どれが事実でどれが創作だろう?」と考えるような癖がついたのか、そうでない芝居を観る時にもすべてを疑ってかかるσ(^-^)である……(爆)
あと、プロデューサー役と劇作家役はそれぞれご本人の前で演りにくくはないか?とか考えたり。
ぼうぼう
なかないで、毒きのこちゃん
OFF OFFシアター(東京都)
2017/10/09 (月) ~ 2017/10/11 (水)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2017/10/11 (水) 14:00
価格2,000円
なるほど初めて観た時とオチを知ってから観るのとで味わいが変わる。初回は「ん、どういう意味?」と思った序盤での やまだ の台詞が理解できる(それどころかかなり核心に触れていることに驚愕)し、終盤の ときめきパイナップルズ の場面で受け取るものが異なるし。
また、それまでの3会場は自然光が入る会場だったのに対してファイナルのここは「劇場」で照明効果もあるのがまた新たな印象の一因でもあるか、と。そういう意味でもアイデアが優れていたな、とも。
なお、開演前トークはRAFTで観た時のマンガ/アニメネタとは別のもの。会場毎?毎回フリー?
ぼうぼう
なかないで、毒きのこちゃん
RAFT(東京都)
2017/10/02 (月) ~ 2017/10/04 (水)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/10/02 (月) 19:30
価格2,500円
集団しゃべくり漫才と言うかハイテンションな台詞のシャワーと言うか。いやしかし「面白うてやがて……」の展開が巧み。そして開演までのアレは毎回違うのか会場毎なのか同じなのか???
開場時からJK(役)たちの雑談。そう、それらのマンガやアニメって、彼女たちの世代にはもはやよく知らていないんだ……。で、これはエチュード的なもの?それともある程度は決められているの?少なくともこのイントロ部分は元学校であるココキタの教室然とした中で演るのはピッタリ、などとも思う。
Mermaid-drop ~マーメイドロップ~
Performing unit colors7~C7
ザムザ阿佐谷(東京都)
2017/09/29 (金) ~ 2017/10/03 (火)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/10/02 (月) 15:00
価格3,000円
ジュヴナイル+立体絵本という内容を歌や身体表現も交えて見せるいかにもこのユニットらしいファンタジー。
パンチで客席を覆うのは土足で入れるようにする他にザムザ阿佐谷の特徴である木の味わいを隠す効果もあり、舞台も幕で覆われてやはり木材感を消していたのは作品の背景が海系だったからか? 漠然と額縁的な印象を受けたことについて考えた結論がこれ。
第一場で布を取り去るとその後ろに人物が複数いるという時にハケ損ねた舞台監督が紛れているのかと思った。(爆) 現実世界で舞監もやる役者が舞監っぽい衣装で出たら誤解を招きます!(笑)
オープニング場面に遅れたお客さんを入場させる時にストーリーテラー的な人物がそれを芝居に取り込んで違和を感じさせないのはアイデアの勝利。
こっそり入れるよりむしろああやって取り込んだ方が作品世界に響かないというのは逆転の発想がお見事。
開演前諸注意は録音されたもの(あるいは影ナレ?)だが、それに生身の役者がマイムをあてるというスタイルで「声だけにしない」のも妙案。
『青いポスト』/『崩れる』
アマヤドリ
王子小劇場(東京都)
2017/11/04 (土) ~ 2017/12/03 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/11/06 (月) 19:30
【崩れる・初日】
架空の設定が全くなく一夜の出来事(と言うより論争?)をリアリズムで描くひょっとこ乱舞時代を加えても初のスタイル。時にニヤニヤ、時に共感、時に「それは言っちゃイカンだろ」とヒヤヒヤの100分、面白かった。
ワンシチュエーションのリアリズム芝居、の他にもかつてなかった試みがあり、ひょっとこ乱舞時代も通じてアマヤドリとしての画期的作品、それを「こんなのアマヤドリじゃない」「アマヤドリとしては邪道」と取るか「こんなこともできるんだ」「こういうのも面白い」と取るか、アナタも「アマヤドリ史」の生き証人に!(笑)
コントラクト
BASEプロデュース
BAR BASE(東京都)
2017/07/12 (水) ~ 2017/07/19 (水)公演終了
満足度★★★★
7月は判断を保留していたら満席となり見送った結果、評判が良くて臍を噛んだがアンコール上演のおかげで観ることができた。(9月18日17時)
最終的な解決方法(?)が巧い。下手をすれば俗の極致になりかねないのにそこまでの流れと演技で説得力がある、的な。
ヨナさん脚本なので脳内でエビスバージョンなど想像しながら観ていたりも。
『青いポスト』/『崩れる』
アマヤドリ
王子小劇場(東京都)
2017/11/04 (土) ~ 2017/12/03 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/11/04 (土) 19:00
【青いポスト・初日】
架空の自治体の「ある制度」にまつわる物語、フリーパスで5回観る予定なのでお馴染みの人物相関図どころか当日パンフレットにも目を通さずまっさらの状態で観る実験をしたがほぼワカったのはさすが。
また、真相は「藪の中」的でもあるので今後それぞれの見方をしてみようと思う。
そうして、内容的に「いかにもアマヤドリ」なことに頬が緩んだり。
さらに、照明の「あるアイデア」に「このテがあったか、今までこの配置は度々あったがそれのそんな使い方は記憶にないぞ」と感心。
劇中の(現実でもそうだが)双子、金髪と黒髪なので見分けはつくが、それぞれの名前を把握していないとまごつくおそれがあるので(←まっさらの状態で観て痛感)、今後ご覧になる方におかれましては開演前にそれだけは相関図で確認しておくことを強く推奨いたします。
なお、満席により増設した席に客を案内する際に退出時の協力を依頼するスタッフさんもさすが。
増設した席を終演直後に片付けず退出する客の動線を遮ったままにする鈍感なスタッフも少なからずいるからなぁ。(毒)
アンネの日
風琴工房
三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)
2017/09/08 (金) ~ 2017/09/18 (月)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2017/09/13 (水) 14:00
価格3,500円
多くの女性が涙を流した(そして男性には理解しにくいのではないか?)と伝え聞く冒頭場面でホロリ。当人の心境は想像に頼るのみだが、周囲の人々のあたたかさがクるんだな。そりゃあ自らの体験に重なる女性の場合は……。
以降は生理用品版「4cm」風でもある開発史(にジェンダー問題なども加えている)、勉強になる(?)しユーモアでくるんであるし愉しい。
出演陣でよく拝見している方々は「あーやっばり♪」あり「こういう役どころはなかなか見られないな」ありでそれぞれ魅力的。
あと、大小の円の背後に明かりが見える装置も良かった。
みち・ひき
アムリタ
早稲田小劇場どらま館(東京都)
2017/09/30 (土) ~ 2017/10/01 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/09/30 (土) 17:00
価格2,500円
川の流れと人の生涯、それに地方の(?)街並みを絡ませたパフォーマンス。物語性は薄いが言葉(「台詞」よりも「言葉」であろう)と演技に明かりや空間の使い方でそれなりの上演時間を魅せてしまうアムリタ・スタイルは今回も好調。好き嫌いは分かれると思うが個人的には好み。
通常スタイルのどらま館しかご存知ない方は「こんな使い方もできるの!?」なオドロキもあったかと。
そうして、奥側(=通常は舞台として使う側)の席を選んで正解だったな、とも。
変な子ちゃん
kazakami
スタジオ空洞(東京都)
2017/09/27 (水) ~ 2017/10/01 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2017/09/30 (土) 13:00
価格2,700円
「青と遺伝子シリーズ」は理系の話だが、本作を0とする「存在と証明シリーズ」は文系の様子。中盤あたりから芸術とは?才能とは?なんてことがアタマの中を駆け巡る(後述)。また、奏絵のコミュ障っぽさと春真に猛抗議する時の彩歌の演技が真に迫っていて説得力があった。
奏絵の描いた絵に魅かれる彩歌、彩歌を最初は拒絶するがその歌を耳にして彼女を理解し自分と通ずるものを感じる奏絵……言葉を交わさずとも通じ合えるというの、似た体験をちょくちょくするので共感。
奏絵のコミュ障を緩和し、ひきこもりの義春を外出させた彩歌は内向的な人に外向性をもたらす「触媒」か?(笑)
また、奏絵のことを思って去ろうとする彩歌に「泣いた赤おに」の青鬼をも想起……そう言えば彩歌の衣装は青だし奏絵の衣装は赤だし、さしずめ本作は結末も勘案すると「幸福な泣いた赤おに」?
春真が彩歌に「もう奏絵と関わらないでくれ」と頼む場面で浮かんだのは「芸術家か人間性か」的なこと。しかしその二択ではなく「新たな面が現出する」ということもあろう。春真は「今までの売れ線の絵ではなくなる」ことを恐れたということか。芸術家の作風の変化は是か非か?の問題でもある。
絵画でなく言葉でコミュニケーションがとれるようになることでその後の絵が駄目になるならそれまでの絵は「何らかの欠損」によって産み出されていたことにならないか? それは「真の芸術」か? また、その欠損が補填されることで失われるようならそれは「真の才能」とは言えないのではないか?
奏絵が描く絵、彩歌と理解し合う前は暗い色彩でとがった部分もあるが、それ以後は柔らかくて色合いも明るくなる。毎回それをその場で描いている依田玲奈さんってば……。
あと、義春・春真兄弟の父親は名前に「春」の字が使われているよね?(笑)
囚人
Oi-SCALE
駅前劇場(東京都)
2017/09/27 (水) ~ 2017/10/02 (月)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2017/09/29 (金) 15:00
価格4,000円
生と死の境界線上の話を重くならず真冬の晴れた深夜、午前2時頃のような澄んだ空気感の中で優しく語るOi-SCALE節、いつもながら好調。
恒例となりつつある林さんのトークからの入り方に加えて終盤で明かされる立場も林さんだけに説得力があったような。
また、舞台演劇ならではのトリックも時々あるものながらしっかり騙された。
さらに、ある場面では(後方に座っているだけに)客席に長い短い太い細いと様々なロウソクが立っている画が目に浮かんだし、他の部分では同時期に観た芝居で気付いたこととの類似性にニヤリ。
作・演出で出演もする方の何人か(林さんを含む)は、作品中で自在に動いていると言うか、空気のようと言うか、独特の雰囲気を纏っていると感じていたが、その理由がワカった気も。そして同時にその感じ方の一部は誤りとも気付く。
シャーロック・ホームレスの食卓
劇団ズッキュン娘
テアトルBONBON(東京都)
2017/09/21 (木) ~ 2017/10/01 (日)公演終了
満足度★★★★
23日・24日の2日間でAB両チームを観劇。
【Aチーム】9月23日 18:00 4200円 I列12番
藤吉ファンタジー健在。「現実味に乏しい、甘い、ベタ」などの理由で他が避けるような物語・演出を敢えて(狙って?)演ってそれでちゃんと観客を惹き付けてしまうのは「ズッキュン・マジック」。
また、火事や葛藤/心情を身体表現で見せるのも○。
終盤で出てくるそんなモノにそんな装飾を!?なチープなんだか豪華(?)なんだか、な小道具(と言うか装置の部品?)がツボ。
観ながら翌日のBチームの存じている方々の演技を想像して脳内予習も(笑)
【Bチーム】9月24日 18:00 4200円 I列12番
劇中劇で一部棒読み調を入れて三文芝居感・素人芝居感を強調するなど、遊べるところをより遊んでいた感じ?
キャストの特技を活かしてAチームのギターがBチームではアレだったりもするし、そんなこんなでこちらは「正統派Bチーム(笑)」と言えよう。
ところでズッキュン娘の「キャスティング力」には舌を巻く。決して少なくはない人数かつ幅広い年齢層の登場人物の本作を完全ダブルキャストで上演するし、去年の「シャバダバダ」にしたって「え、そんな方も!?」なキャスティングだったし。そういう面でも今後の期待大。(ハードルを上げてみました(笑))
アンサンブル
劇団ヨロタミ
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2017/09/20 (水) ~ 2017/09/24 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/09/22 (金) 14:00
座席F列9番
価格2,800円
かつての学生下宿を改装したシェアハウスを舞台にした人情噺。
ヨロタミ流メタフィクションとでも言うべき前半の舞台演劇ならではのアイデアが楽しく、楽屋落ち寸前のくすぐりや得意技の使い方も巧み。
後半は喉に小骨的な部分もありつつ上手くまとまるし。
装置も細部が凝っていて、電気のメーターが時代感を出し、玄関のガラス戸のガムテープも「あー、なるほど♪」で、好きだなぁ。
某傑作サスペンス芝居を知っているとニヤリとできる構造/展開が中盤にあるのもイイ。
そう言えばそれを踏まえた後半のある場面はレイ・クーニーなどのファルスをライトにしたものな気も……(むしろコメディの定番か?)
幻の女
劇団天動虫
MANDA-LA2(吉祥寺)(東京都)
2017/09/17 (日) ~ 2017/09/26 (火)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/09/26 (火) 20:00
価格2,500円
一堂に会した人物それぞれが脛に傷を持っていて、自分の旧悪に気分を害したりおののいたりするが、結局今の自分には大して影響しないと喜ぶのは某名作サスペンス芝居に通ずるものがある。
「ウーマン・イン・ブラック」を連想したのは最終場のシカケからなんだが、実はキーパーソンが「黒衣の女性」だし、あの黒い封筒の手紙の内容は違うけれど、脅迫状を英語で「ブラックメール」ともいうことを知っているとニヤリ。
ポジショニングもアタリ。メインのエリアでの進行中に外れた所でコッソリ様子を伺う人物の演技も視野の片隅に捉えることができたし。
魔法の鏡、とその中身
the pillow talk
早稲田小劇場どらま館(東京都)
2017/09/22 (金) ~ 2017/09/25 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/09/25 (月) 13:00
価格1,300円
劇中の地の設定と劇中で撮影しているAV内の設定との境界を曖昧にすることで観ている側を煙に巻くトリッキーな構造が面白い。いわば「内部で完結するメタフィクション」?
ある人物が終始やっていることでそれは増強されラストのアレは1つの解答?
虚構と現実とメタフィクションとか、入れ子構造/層構造とか、無限連鎖/合せ鏡とか、M.C.エッシャーの作品とか好きなのだが、それらの類似性に気付く大きなヒントになった気がする。
一人二役や劇中劇が入る芝居においては観客にどちらかワカるよう明確に演じ分けるのが基本だが、本作では違う人物なのかAV内の設定キャラなのか曖昧にして「どっちだ?」と思わせるし、地の芝居的な場でもカメラを回す人物がいて撮影?なのがキモ。
どの場であっても「これももしかしてそういう設定の撮影?」というループで、そう言えばチラシのモチーフも合せ鏡だし、劇中の虚構と現実の継ぎ目がワカらないのはあたかもクラインの壷(岡嶋二人の小説ではなくそのモチーフとなった内外の境がない容器)の如し。
またその、「これは撮影?」な状況は無限に続き、それがM.C.エッシャーの作品に通ずるようにも思ったのだった。