じべ。の観てきた!クチコミ一覧

761-780件 / 4332件中
夕闇、山を越える/宵闇、街に登る

夕闇、山を越える/宵闇、街に登る

JACROW

小劇場B1(東京都)

2018/12/20 (木) ~ 2018/12/27 (木)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/12/25 (火) 19:30

座席6列1番

価格3,500円

【宵闇、街に登る】
料亭で進行した「夕闇」に対してこちらは各人の事務所で進行。
物心ついていた昭和40年代が舞台だけに「そうそう、あれあれ♪」満載で、それに「あの裏ではそんな策略や動きがあったのか」も加わって面白いったらありゃあしない。

例えば冒頭で語られる「都市政策大綱」ではカタいのでタイトルを変えよう、と言う角さんに「あ、アレね」だったり(狩野さん、書道の心得があるのかしら?)、流れるテレビ番組のテーマ曲も「あら懐かしい……」だったり。
またこのL字型客席の2面の角に背面を向ける形で置かれたテレビの表現と、それによって劇中でそれから語られる事象の概要を観客に伝える手法が巧み。

ネタバレBOX

終盤で「帝国の逆襲のようなに三部作の第二部ではないか?いやしかしさすがにアイムユアファーザーみたいなものはあるまい」と思っていたらしっかりあって頬が弛む。(笑)
で、夕闇→宵闇と来ているので完結編(?)のタイトルは何だろう?とも考える。「真闇」?「暗闇」?それとも「暁光、闇を討つ」とか???
夕闇、山を越える/宵闇、街に登る

夕闇、山を越える/宵闇、街に登る

JACROW

小劇場B1(東京都)

2018/12/20 (木) ~ 2018/12/27 (木)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/12/25 (火) 14:00

座席3列2番

価格3,500円

【夕闇、山を越える】
2年前の初演時も思ったが、まさしく「政治は料亭で動く」(笑)。そして5人の政治家たちが初演よりもより当人たちに似てきたような気がする。
開幕一番、登場した狩野さんが演説を始めた瞬間にそこに田中角栄がいる、という感じ方に劇団チョコレートケーキ「熱狂」(2012,13,17年)を連想。
そしてそこから、政治の道に入った頃は世のため人のためと希望に燃えていたのにやがて方向を誤り暴走してあんな末路を迎えるという流れが田中角栄、アドルフ・ヒトラーに共通ではないか?などと思う。
それにしてもあの頃は自民のセンセイがたも「ちゃんとした政治」をしていたのに……。

HOME

HOME

劇団おねがいシスターズ

ひつじ座(東京都)

2018/12/19 (水) ~ 2018/12/23 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/12/22 (土) 18:00

価格2,800円

おねがいシスターズのお家芸ともいえる3話連作オムニバスだが、従来は3編の短編ありきでそれを結びつけるような構成だったのと対照的にまずラストありきでそこに向かうための3編という印象。
それは福井という土地を土台に据えたからかとも思い、もちろんそれもあるが、藤吉主宰から最終編で中心となる駅長を演じた方の最後の舞台との裏話を伺い「そういうコトか」と得心。

コーポ・カルミアの由々しき狼

コーポ・カルミアの由々しき狼

牡丹茶房

高田馬場ラビネスト(東京都)

2018/12/19 (水) ~ 2018/12/23 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/12/20 (木) 19:30

価格3,200円

長屋式の古い建物を改築した女性専用アパートに二人組が新たに入居したことから起こる波紋……。かなり身近なトラブルなので妙に現実味がある一方で、それらは表面的なもので奥底には何やら禍々しいモノがありそう、な語り口が巧み。
その「表面的な部分」の元凶(?)が春先に観た「映画クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ~拉麺大乱~」以降、芝居でも時々描かれた「行きすぎた正義(感)」であることにビックリ。今年のトレンドの1つであろう。

また、最終場の1つ前の場の照明(関係者は「地獄の照明」と呼んでいたとか)と「アノ人」の意外な(失敬!)美しさが印象深い。

あと、5戸が横に連なったアパートを2戸分だけの装置で住人が入れ替わることによって1号室から5号室まで表現した手法にろりえ「女優(おんなやさしい)」(2010年)を思い出す。いや、あちらは長~い家屋を横スライドさせるというとんでもない手法(笑)を使ったのだが。

【勝手にキャッチコピー】「イヤ~な2時間余を楽しみにいらっしゃい」

ネタバレBOX

最終場、(予想通り)床下から手が伸びてくることにブライアン・デ・パルマ監督の「キャリー」(1976年)を連想。あんな風に引っ張り込まれたりはしなかったけれども。
そしてあのラスト、考えようによっては優しいかも?
ミセスダイヤモンド

ミセスダイヤモンド

ろりえ

駅前劇場(東京都)

2018/12/19 (水) ~ 2018/12/23 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/12/19 (水) 19:00

価格3,800円

アニバーサリーイヤーズに女子ソフトボールチームを結成することにした下北沢の電器店に勤める女子従業員たちを中心に据えた物語。
そうして結成されたチームの1年を「演劇でしかできない」「良い意味でベタな」「映像化不可能な」表現も交えて描いて圧倒的に楽しい。
昭和時代は「スポ根もの」がもてはやされたが、平成は辛いことはあっても「根性」などではなく、例えば友情やチームワークなどで克服するのではないか?(「あさひなぐ」しかり「チア☆ダン」しかり)とも。好きなんだな、こういうの。

そう言えば公演会場である駅前劇場、題材や切り口は全く異なるが、キコの「十二月の蜘蛛と火曜日のオルガン」に続いて「大人の青春モノ」というシンクロニシティでもあった。

ネタバレBOX

終盤の試合場面で対戦相手の「まるで男のような」チームを男性陣が早替えで演じたり、主人公側の「三つ子」を1人の役者が演じたりすることで無理が生ずる「演劇ならでは」の可笑しさも大好きさ。
犬(もしくは)神

犬(もしくは)神

劇団肋骨蜜柑同好会

テアトルBONBON(東京都)

2018/12/19 (水) ~ 2018/12/24 (月)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/12/19 (水) 14:30

座席G列7番

価格3,200円

田瓶市サーガがまた1つ。現在に影響をもたらしている12年前の出来事とは?
あの町ならそんな事が起きても不思議はない、ってかちょくちょく起こっていそうな奇譚に「取り込まれた」感覚=時空や平行世界があれこれ縺れあって絡んでいるが、もしかして劇中のそれらだけでなく現実世界もそこに絡まっているのではないか?
劇中現実と劇中フィクションの境目がないとか、劇中人物が現実世界を意識しているにとどまらず、それを観ている客をも(物理的・心理的)に劇中に取り込むのが究極のメタフィクションではないか?
本作意外にもそういった「究極のメタフィクション」が複数あった2018年の特色でもあるかも。

また、終盤で「あるジャンル」では定番的な展開もあるが本作ではそれが何だか別のものに思えてしまう不思議。これも田瓶市が舞台だからか?(笑)

さらに終盤で出てくる「数字」の意味を知っていると「あ~そうか」と思えたりもするし、いろいろと含みがあって面白かった。

ネタバレBOX

ある部分は時間ものSFにありがちな「過去を変えたことで不幸な今が改善される」パターンなのに、漠然と「何かそれとは違う」という気持ちが拭い去れないのが不思議かつ興味深い。田瓶市サーガだからか?(笑)

神楽舞と過去修正による人命救助という組合せに「君の名は。」も連想。
あと、幕切れの壺のギミックも面白かった。
千一夜の物語 ~as if by magic Sinbad~

千一夜の物語 ~as if by magic Sinbad~

集団as if~

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2018/12/14 (金) ~ 2018/12/18 (火)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/12/18 (火) 16:00

座席G列5番

価格3,800円

千夜一夜物語の登場人物たちを使いシェイクスピア作品へのオマージュをちりばめたピカレスク史劇。
気付いたシェイクスピア要素は三人の魔女やロバの頭だが、もしや「リチャード3世」や「ジュリアス・シーザー」準拠?
さらにギリシア悲劇の系譜でもあり「ある部分」はVoyantroupe……(笑)

昔観てかなり経ったので不確かだが、1969年の虫プロダクション作品「千夜一夜物語」も主人公アルディン(CV:青島幸夫)が王になろうとして最後は1人になるんじゃなかったっけ?などと思い出した。

また、前日に観た「あゆみ」に続いてリンゴが出てきて「おやおや」なんてことも。

ネタバレBOX

逃げないよう女性の腕と脚を切り落とす場面があって「まるでVoyantroupeじゃないか!(笑)」と思ったら、そこで使われた腕と脚はVoyantroupeのものだったそうで、大当たり!(爆)
あゆみ

あゆみ

feblaboプロデュース

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2018/12/15 (土) ~ 2018/12/26 (水)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/12/17 (月)

17日に15時のとことこver.と20時のてくてくver.をセット券にて観劇。
7年半ぶりにつき概要しか記憶になかったが(爆)改めて観て「一人の女性の人生絵巻」ではないか、と思う=人生の要所要所を巧みに切り取って見せるさまが「縁起絵巻」とかの場面の切り取り方・次へのつなぎ方に似ているのではないかと。

これ、折に触れいろんなキャスト、いろんな演出で観てみたいな。

ネタバレBOX

そうして終盤、主人公は1人で山に登りながらそこで出会ったり見かけたりした人々をきっかけに自分の人生を振り返る場面になるが、登っていたのははたして「リアルな山」だったのか?などと考える。
そしてそのあたりは、三度目の思春期「尼を待つ」と通ずるな、とも。
また、このパート、交響曲などのCodaでそれまでの主題のリフレインのようにも感じるし、例えばかつてシャッターを押してもらう側だったのが押す側に回る「世代交代」的なものとも受け取れ、巧いんだな。

で、同日に2つのver.を観たので「オープニングの楽器の位置、一部違ってないか?」に始まり「担当する役の組み合わせも違うし演技の位置も時として違うな」から「演出も違うトコがあるよ」などと気付く。


あと、未就学児童が「買ってェ買ってェ~!」と駄々をこねるさまって、何だか懐かしくて羨ましい。できれば今でもあんなことをやってみたい、的な気持ちもあるんだろうなぁ……なんてことも考えた。
ヴィクター・フランケンシュタイン、  弔いの焔のなんと早く

ヴィクター・フランケンシュタイン、 弔いの焔のなんと早く

天幕旅団

明石スタジオ(東京都)

2018/12/12 (水) ~ 2018/12/16 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/12/16 (日) 15:00

価格3,500円

6月の演劇企画集団THE・ガジラによるもの(原作準拠)が北極海での晩年(?)のヴィクターから始まったのに対してこちらは少年期から描き、生命研究の動機(原作では明確に語られないらしい)に迫る本歌取り。

途中で原典から分岐、ヴィクターが生命の研究に起因して暴走し悲劇的な結末を迎えるのはいかにも天幕旅団的な展開で「一歩間違えるとこうなったかも知れない平行世界」と言えるのではないか?

また、終盤でモンスターがヴィクターに「あなたは私に名前も付けてくれなかった」と恨み言を言うのは、名前がないゆえに現実世界で「フランケンュタイン」をモンスターの名前と勘違いするケースに対する抗議と言うか、そんな風に思えてニヤリ。

かつてザ・ポケットでもSPACE梟門でも対面客席にした天幕旅団だけに明石スタジオでも対面客席なのは当然と言えば当然。
さて、次はどの会場を対面にして「え、アソコで!?」と驚かせてくれるのかな?

【勝手にキャッチコピー】マザー・ファッカー、マザコンのヴィクター

十二月の蜘蛛と火曜日のオルガン

十二月の蜘蛛と火曜日のオルガン

キコ qui-co.

駅前劇場(東京都)

2018/12/12 (水) ~ 2018/12/16 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/12/15 (土) 19:30

【route A】
事前情報通り後半の分岐点以降は10年前に遡りミネラルの4人を中心とした過去の物語。瑞々しい青春モノはキコらしからぬもの(偏見?(笑))ながらほろ苦い展開に転じ「やっぱり!」みたいな。
しかし「アレ」もABで違うとは。

ネタバレBOX

Bを先に観たので2018年大晦日の試合に賭ける「勝ったら夫のところに戻る」というチカの台詞が(真岡の敗戦どころか夫の死まで知っている(筈だった)だけに)より切なく聞こえたが、Aでは真岡が勝つというパラレルワールド展開で「さっきの切なさを返せェ!」状態。(笑)
(いや、夫の所に戻ったら亡くなっている、というオチなのかもしれないけれども)
十二月の蜘蛛と火曜日のオルガン

十二月の蜘蛛と火曜日のオルガン

キコ qui-co.

駅前劇場(東京都)

2018/12/12 (水) ~ 2018/12/16 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/12/15 (土) 14:00

【route B】
栃木県真岡市の自動車整備工場で働いているかつての暴走族の中心メンバーたちを中心にした「オトナの青春グラフィティー」的な?(※)
劇中の「ケンカよりオモシロ」というフレーズではないが従来よりユーモラスで軽妙なタッチだが、それでいて観終えて芝居を観たというより一編の小説を読み終えたような感覚が残った。

※ 「オトナの青春モノ」と言うよりは「青春を延長し続けている大人たちの物語」という感じか?
もちろんそれは「青春を引き摺っている」などというネガティブなものでなく、青春を享受し続けているというポジティブな意味で。

カラフルモノクローム

カラフルモノクローム

青春事情

OFF OFFシアター(東京都)

2018/12/13 (木) ~ 2018/12/18 (火)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/12/14 (金) 19:30

価格3,000円

祖父が経営していた写真館の取り壊し前日、法事の帰りに見納めに立ち寄った孫娘夫婦が創業当時の業務日誌を見つけ……から始まる物語、コミカルな出だしからハートウォーミングに転じて行くのがイイ感じ。
個人的には「丘の上主従」の表情が特に印象的。

また、舞台が写真館だけに、ポートレート撮影用の大型カメラや箱型二眼レフカメラなどが出てくるのもステキ。

ネタバレBOX

「丘の上主従」は、無表情な早坂が感情を少しだけ表すところと、最後の撮影時の感情があれこれ入り混じった慶子の表情がイイ。

また、舞台となる時代から朝ドラ、ちょっと甘い雰囲気に少女マンガ、「あの二人が結ばれないと今ここにいる人物が生まれないのえでゃないか?」な展開に「バック・トゥ・ザ・フューチャー」、急逝した人物(霊)の想いを遺っている相手に伝える部分に「煙が目にしみる(堤泰之)」を連想。
少女地獄

少女地獄

新宿公社

サンモールスタジオ(東京都)

2018/12/12 (水) ~ 2018/12/16 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/12/14 (金) 14:30

夢野久作臭ぶんぷんの「スタイリッシュ・レトロ」。
衣装やほぼ原作通りという台詞(アフタートークより)が「あの時代」感を出す一方で可動パーティションのような装置は現代演劇っぽく、その両者が違和感なく見事に融合している、的な。

原作は未読だが、当日パンフレットのクレジットに「原作:夢野久作短編集」とあり、観ていて3つの流れが感じられたことから「3本の短編から構成したか?」と推測し、アフタートークで原作は3つの短編と明かされて大いに納得。ちなみに1編はかなり原典に忠実、1編は原作の手紙文を芝居に起こし、あと1編はほぼ創作とのこと。

いつか新宿公社版「ドグラ・マグラ」を観たいものである。(真顔)

ボードゲームと種の起源

ボードゲームと種の起源

The end of company ジエン社

3331 Arts Chiyoda(東京都)

2018/12/11 (火) ~ 2018/12/16 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/12/11 (火) 19:30

価格2,700円

ボードゲームを作っている(途中の)兄とその妹、彼らの家に居着いた女性、兄がゲームマーケットで知り合って連れてきた「自称妖精」の4人の関係とゲーム作りを巡る会話劇。多重会話や時制の前後などがいかにもジエン社。
また各々の人物造形に「あー、そういう人、いそうだな」な説得力あり。

当日パンフレットに登場人物の裏設定(?)が掲載されていて、そこにもある通り本編にはほとんど影響していなかったが、一読しておいたので台詞などの「背景」が受け取れたし、創作ゲームの内容も読んでおいたので理解が早かったと思う。

この回のアフタートークはゲーム作家の渡辺範明さんを迎えてのもので、「プレイヤーはゲームをしても何の得もない」なフレーズ、「観客は観劇をしても何の得もない」と言い換えることができるのでは?などと考えてニヤニヤ。
また、観客は劇場に来ることで「参加」だがゲームはプレイヤーにならないと「参加」と言えない、という部分が昼に別件で話した「ただ見るだけで面白い芝居と観客が積極的に関わらないと面白味が出にくい芝居」に通ずるようでこれもシンクロニシティ?みたいな。

尼を待つ

尼を待つ

三度目の思春期

ギャラリーしあん(東京都)

2018/12/12 (水) ~ 2018/12/16 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/12/12 (水) 19:30

価格2,300円

念願叶って人気の尼僧の年に3回しかない特別説法を聞きに来た3人の女性(うち2人は同伴者アリ)だが、事情により尼僧の戻りが遅れ……な、いわば「尼僧を待ちながら」。
と言っても不条理ではなくむしろ「世にも奇妙な物語」の1エピソードのようなオモムキ。
次第に不思議の度合いが増して行き、隠していた事実と共に種明かしをして、最後にオトすという構成が巧みにして好み。

前作「女ばかり」にしても本作にしても三度目の思春期における柳井作品は他団体でのものとはちょっと違った「アナザーサイド」なのも面白い。
とはいえ本作は十七戦地の某作品(ネタバレBOXに詳述)と根っこは近いけれども。(前段・後段とも私見)

ネタバレBOX

ファーストシーン(=最後に再現される)でセトハルコが寝ていたようには見えなかったのに他の2人が寝ていたと指摘するのはその後に劇中で展開される出来事が夢であることのヒントであろう。

中心となるものの小史を過去のエポックメーキングなことで描くというツクリは十七戦地の第2回公演「百年の雪」に通ずる?(本作では女性の半生、「百年の雪」は航空機・宇宙船会社の歴史が綴られる)

過去の知己の導きによって自分の人生の一部を見るという構造からディケンズの「クリスマス・キャロル」を連想。(=セトハルコがスクルージでシラヌイがマーレイの亡霊)
また、不思議なキャラに導かれて体験したことが実は夢だったというのは「不思議の国のアリス」(シラヌイが時計ウサギ)的でもあるか?

オープニングの般若心経とトイピアノ+おもちゃの鉄琴のセッション?融合?もオカしくて、でも妙に調和していて良かった。
クロノスコープ少女

クロノスコープ少女

劇団ミックスドッグス

中板橋 新生館スタジオ(東京都)

2018/12/12 (水) ~ 2018/12/16 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/12/13 (木) 14:30

価格2,700円

【幾世ver.2日目】
「時をかける少女」ならぬ「時を覗く少女」?(笑)
メインキャストの熱演もさることながらサブキャラ陣の良い意味でベタなほどのサブキャラっぷりが特に印象的。そう言えばキャラメルボックスのサブキャラもこんな感じではなかったか、と改めて気付いたりも。
そんな中、従来は好青年など善人キャラだったニュームラマツさんの悪役ぶり(新境地?)にキャラメルなら大内厚雄さんの役どころか?と思い、だったら祖母は坂口理恵さん、母は岡田さつきさんか?と連想し、本作のサンシャイン劇場版なども夢想(笑)。いや、いつかやってよ!(ほぼ真顔)
あと、懐かしきNHK少年ドラマシリーズ(そういう世代なもんで)の薫りがする部分もあってホクホク。

静かな欠片

静かな欠片

サカサマナコ

北千住BUoY(東京都)

2018/12/06 (木) ~ 2018/12/09 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/12/08 (土) 13:00

価格3,000円

時代を隔てて夕陽が見える同じ場所で交わされる3組の会話を中心としたパフォーマンス。
時に詩的、時に哲学的な会話とどこか幻想的な雰囲気(夕陽が見える=黄昏時=逢魔時という連想によるものか?)が印象的。
なお、オープニングとエンディングにアマヤドリ作品に通ずる(と言っても「ぽい」「似ている」という類ではない)モノも感じた。

へたくそな字たち

へたくそな字たち

TOKYOハンバーグ

座・高円寺1(東京都)

2018/12/05 (水) ~ 2018/12/12 (水)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/12/05 (水) 19:00

座席A列14番

価格4,000円

山田洋次「学校」小山内美江子「3年B組金八先生」など(部分的に昭和芸能舎の作風も?)に通ずる夜間中学の1年間。
基本に忠実な作劇でベタと言えばベタだが手堅い。また、場ごとの見せ方も工夫されている(例:バレーボールの試合場面)し、場転も効率よく巧み。

ネタバレBOX

中国人生徒と韓国人生徒とのやりとりでヘイト系にも触れるが、深入りはせずしかし観客の問題意識を喚起するに足る程度にとどめたのも全体のバランスから考えると妥当か。
なお、やよいが上履きの踵を踏んで履いている芸の細かさと、最後の黒板の寄せ書きが次の回の冒頭で使われるシカケ(?)に感心。
「約束は溢れる泡沫のよう、掬えもしないのに。」

「約束は溢れる泡沫のよう、掬えもしないのに。」

劇想からまわりえっちゃん

小劇場 楽園(東京都)

2018/12/05 (水) ~ 2018/12/09 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/12/07 (金) 19:00

価格3,000円

【からまわりブルー 妄動】
妖精たちが主体でファンタジックなレッドに対してこちらは生身の人間が中心の文字通りの人間ドラマ。
「王道はそんなに良いことか?」という王道レッドへの「返歌」的なものも含むほろ苦さと「この人がああなるのか(例:段ボール製の肩アーマーを着けた少年がレッドの「あの人」)」な楽しさが共存。
また半紙(?)に単語を書いたものを貼りまくった美術や単語が書いてあるばかりではなく後から文字を貼り付けたりもできる衣装などの「文字情報」も面白い。

王道レッドとの関係性(内容や尺)に少し前の「尊厳の仕草は弔いの朝に」の前半と後半に近いモノも感じたので、15周年か20周年に本作の「レッド+ブルー通し上演」もあるのではないか?(ちょっぴり期待)

「約束は溢れる泡沫のよう、掬えもしないのに。」

「約束は溢れる泡沫のよう、掬えもしないのに。」

劇想からまわりえっちゃん

小劇場 楽園(東京都)

2018/12/05 (水) ~ 2018/12/09 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/12/07 (金) 14:00

価格3,000円

【からまわりレッド 王道】
人間界で暗躍(?)する妖精たちに彼らを元の世界に帰そう(と言うより強制送還?しよう)とする組織の手が迫り……なファンタジー。
前説で青沼主宰が「王道あるあるです」と口にした通り「そうそう、こういう時はそうだよね♪」「やっぱりソレかい!(笑)」とどこかで見たような「お約束」的展開満載。(展開に限らず一部衣装も「ベタ」)
しかしそれらは具体的な何かに似ているのではなく「概念的な(?)いつか見たアレ」なのではないか?先人の創作物の安易な模倣ではなく一度自分のものとして消化・吸収してから新たな表現として創り出している(=ある意味「温故知新」)のではないか?……なんてことを考えた。

このページのQRコードです。

拡大