じべ。の観てきた!クチコミ一覧

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贋作 春のめざめ

贋作 春のめざめ

もぴプロジェクト

ザ・ポケット(東京都)

2019/08/30 (金) ~ 2019/09/08 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/09/02 (月) 19:30

座席L列9番

ドグラ・マグラをベースにした「マークドイエロー」(2017年)ほど原典に近くはないが、事前にWikipediaで「春のめざめ」の「内容」の項を読んでおいたので「ここはアレか」と思うところがあり、観終えて再度Wikipediaに目を通して頷く点が増えた。
また、ある閉鎖集団に新たな人物が加わることで起こる変化、という点でデール・ワッサーマンの戯曲「カッコーの巣の上を」を連想。
ところでタイトルに冠した「贋作」は一般的な「がんさく」という読みでイイのかな?それとも野田リスペクトで「にせさく」?(笑)

とある20

とある20

ミート★ボーン

パフォーミングギャラリー&カフェ『絵空箱』(東京都)

2019/08/29 (木) ~ 2019/09/01 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/08/31 (土) 19:00

価格3,500円

脱サラしたマスターが始めて20年近くなる大衆喫茶、アルバイトの娘と軽妙洒脱な(?)会話をしているところに大量の荷物を持ったワケあり風の客が来て待ち合わせだと言うが……な物語。
まずはマスターとバイト娘の会話で笑わせ、待ち合わせだと言う大荷物の客が現れてからはライトミステリーになり、その客の相手が現れたかに見えた後は不条理系で終わるという多彩な(三段ロケットのような?)構成が良かった。

ユスリカ

ユスリカ

東京夜光

小劇場 楽園(東京都)

2019/08/28 (水) ~ 2019/09/01 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/08/29 (木) 19:00

価格3,000円

冒頭に「病んでいる」人物が登場するが、話が進むにつれて病んでいる人物が増えてゆき、終盤には「この中で一番マトモなのは誰だろう?」状態に。
そうして描かれる捻じ曲がったある家族の姿、ラストで微かな光が見えるのがせめてもの救い。
装置はダイニングテーブルとそれ用のベンチ的長椅子だが、ともに脚がなく天井からワイヤーで吊るされており、時々揺れるのが気に障るが、それは「不安定に揺れ動く家族の姿」を象徴しているのかも?と気付いて納得。

なお、この日の昼に観た第27班「潜狂」もこれもチラシが黒を基調としたモノトーンなことに当日朝に気付いたが、まさか内容がダウナー系という共通点まであろうとは……(笑)

潜狂

潜狂

第27班

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2019/08/23 (金) ~ 2019/09/01 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/08/29 (木) 14:00

価格3,000円

音楽スタジオに通う5人の人物に関するエピソードが併走し、やがて……な物語。
出だしこそ笑いがあったりするが次第にシリアスに転じ、行き着く先は桟敷童子の悲劇より救いの少ない(いや、ラストのアレはある意味救いか?)「ヤな芝居」(笑)。(←決して本気で嫌なのではない(為念))

そこに至る過程で脳内に浮かんだものは
・いっぱいに水が入ったコップにまだ一滴ずつ落ち続けるしずく
・燃え尽きそうな蝋燭の火を新しい蝋燭に移そうとする状況(「死神」トリビュート(笑))
・スパークが飛んでいるところに徐々に伸びて行くガソリンの筋
・ローリングコインタワー
など

また、かつてよく読んだ五木寛之の音楽を題材とした作品群も思い出す。
満ち足りてしまうと鬼気迫る演奏ができなくなるので担当するミュージシャンを不幸に追い込むプロモーター(マネージャー?)……みたいな話、なかったっけか?

ネタバレBOX

ラストはそれぞれに喪失感を抱えた5人のセッションだが、まず思ったのは「打ちひしがれた状態で奏でる音楽は果たして良いものになるのか?」という疑問。
が、その後、「五木寛之っぽさ」からむしろ心情が滲み出る凄まじい演奏になるのではないか?とか、演奏に没頭することで何か光のようなものが見えてくるのではないか?とかに考えが及び、さて、どうだろう?みたいな。(笑)
NAGISA 巨乳ハンター/広島死闘編

NAGISA 巨乳ハンター/広島死闘編

サムゴーギャットモンテイプ

シアター711(東京都)

2019/08/28 (水) ~ 2019/09/01 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/08/28 (水) 19:30

価格3,100円

2年前にRAFTで上演した中編の増補改訂長編版と言えよう。(あるいは一昨年のものは「パイロット版」?)
「チェキ」や「グループライン」が存在する「戦後間もない」「1973年」という設定からして「このドラマはフィクションであり、時代考証その他、かなり大幅にでたらめです」とオープニングで打ち出される「浮浪雲」(1978年)を彷彿とさせて好き♪(爆)
そうしてパイロット版から継承した「そのテの作品のあるあるネタ」パロディ満載で大いにバカをやりまくった上に巨乳は時間を止めたり戻したりの能力を持つなんてナンセンスな設定を終盤で明かしながらも「過去を変えようとしても阻止する力が働く」なんてSFのお約束をちゃんと守っているのは本当にバカでイイ。(笑)
ま、何にも残らないけどね。(更爆)

あと、ドーナツ状の大きい盆の使い方が巧かったなぁ。これは特筆モノ?

No.2

No.2

神保町花月

神保町花月(東京都)

2019/08/22 (木) ~ 2019/09/01 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/08/27 (火) 19:30

座席H列6番

大学時代に演劇サークルの同期だったレンタとユウジ、社会に出た彼らであったが、それぞれに演劇サークルの新人公演稽古からの来し方を振り返り……な物語。
20歳の国“卒業公演”と銘打たれた2018年4月の「青春超特急」以来に観た竜史作品、これもやはり「青春劇」ではあるが、(主に)大学生の青春であるし、それよりも従来の青春真っ只中の視点で「青春」を描くのではなく社会に出てから「青春」を振り返る視点で描くことで「卒業」前とは一線を画すと言えよう。
新生・20歳の国の公演も待ち遠しい♪

ネタバレBOX

クライマックスの「罵り稽古」、イマの2人と演劇サークル新人時代の2人、さらに新人公演での彼らの役を入れ替えてのもの、と3つの要素を重ねているのがまた巧い。
第一部『1961年:夜に昇る太陽』 第二部『1986年:メビウスの輪』 第三部『2011年:語られたがる言葉たち』

第一部『1961年:夜に昇る太陽』 第二部『1986年:メビウスの輪』 第三部『2011年:語られたがる言葉たち』

DULL-COLORED POP

いわき芸術文化交流館アリオス(福島県)

2019/07/06 (土) ~ 2019/09/08 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2019/08/26 (月) 19:00

座席H列6番

【第三部「2011年:語られたがる言葉たち」】
事前に「最初から涙が止まらなかった」との感想を目にしていた通り、震災被災者の「伝えることができなかった言葉」があふれる冒頭部分は衝撃的。
その後も被災者と彼らの声・姿を取材して特集番組を制作しようとするテレビ関係者が織り成す物語は心に響く。
被災者の「その後」だけでなく報道のあり方にも言及するバランス感覚が絶妙。
また、ある場面での片や凛とした、片やドスの利いたお二方の声の対比が効果的で印象に残った。眼福ならぬ「耳福」か?
あと、福島ドキュメンタリー映画「1/10 ~Fukushimaをきいてみる」も思い出した。

第一部『1961年:夜に昇る太陽』 第二部『1986年:メビウスの輪』 第三部『2011年:語られたがる言葉たち』

第一部『1961年:夜に昇る太陽』 第二部『1986年:メビウスの輪』 第三部『2011年:語られたがる言葉たち』

DULL-COLORED POP

いわき芸術文化交流館アリオス(福島県)

2019/07/06 (土) ~ 2019/09/08 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/08/26 (月) 16:00

座席H列6番

【第二部「1986年:メビウスの輪」】
かつての反原発派リーダーが町長となり原発の安全性を訴える……という表面だけとらえると裏切り・寝返りのような印象を受けるが、その本人を主人公として描く物語からは何らかの力(運命とか歴史の流れ、的な?)に抗えずそうせざるを得なかったように受け取れて妙に納得。
また、飼い犬モモ(の霊)が人々の言動を批判することに漱石の「吾輩は猫である」を連想。このパートが何とも良い雰囲気にしていた感じ。

第一部『1961年:夜に昇る太陽』 第二部『1986年:メビウスの輪』 第三部『2011年:語られたがる言葉たち』

第一部『1961年:夜に昇る太陽』 第二部『1986年:メビウスの輪』 第三部『2011年:語られたがる言葉たち』

DULL-COLORED POP

いわき芸術文化交流館アリオス(福島県)

2019/07/06 (土) ~ 2019/09/08 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2019/08/26 (月) 13:00

座席H列6番

【第一部「1961年:夜に昇る太陽」】
「その後」を知っているだけにやきもきする展開や子供役の人形を操る演者の表情の巧みさなど前年の先行上演の時に思ったことに加えて、終盤、東京に戻る孝と見送る家族が、単に一つの家族の姿であるだけでなくこれから先の未来に希望を抱いていた「あの頃の日本」そのもの(の象徴)だな、と気付く。
改めて観ることができて良かった。

Monkey Magic ~Mixing~

Monkey Magic ~Mixing~

空想GT

中目黒キンケロ・シアター(東京都)

2019/08/21 (水) ~ 2019/08/25 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/08/25 (日) 13:30

座席H列4番

価格3,500円

事前公開された出演者・キャラ紹介を見て「キャラ、多くね?」と思っていたが、いざ始まってみると初演にあった場面(やキャラ)がなかったり逆に初演になかった場面・キャラが増えていたりと、改訂版どころか基本コンセプトだけ残したほとんど新作で、ゴールデンタイム作品のキャラも登場させたりするサービス精神に感服。
また、空想笑年の定番と言えるがあのスピード感あふれる殺陣・擬闘にS.E,をピタリと合わせる音響テクニックも素晴らしい!
娯楽アクション、かくあるべし!(笑)

夏の階段、一足飛び

夏の階段、一足飛び

楽園王

サブテレニアン(東京都)

2019/08/23 (金) ~ 2019/08/24 (土)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/08/24 (土) 18:30

価格0円

当日パンフレットには「怪談」の文字があるが、怪談(恐怖譚・怪奇譚・怪異譚)というよりは例えば漱石の「夢十夜」のような不思議譚にして文学的な薫りも漂う短編集。
場内の暗さも相俟って、異世界でひとときを過ごしたような感覚がまたステキ。
あと、入場料(?)は無料で、物販で補填できるか?という試み、大胆だなぁ。(意気に呼応して脚本を購入)

ナイゲン(2019年版)

ナイゲン(2019年版)

feblaboプロデュース

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2019/08/22 (木) ~ 2019/09/01 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2019/08/24 (土) 14:00

価格2,700円

もう何度となく観ている演目なので新解釈的な部分に「なるほど」と思ったり先を知っているだけに「この時にあの人はどういう表情をしているかな?」とメインの流れの外を観たりと楽しんだ。

また、観ながら劇中でチラリと語られるこの前年の文化祭の出来事を描いた「ナイゲン:エピソード0」とか、翌年か翌々年を描いた「ナイゲン2」とかできないかな?などと思ったりも。
翌年だったら3148が監査になっているとか、翌々年だったらおばか屋敷の芝居に特殊メイクが使われるとか?(笑)

【余談気味】
どさまわりが「十二人の怒れる男」の3号の血を継いでいるのは皆さんお気付きでしょうが、海のYeah!も一部継いでいるかもなぁ。あと、議長は8号の血だよね。(異論反論大歓迎!)
ってか「十二人の怒れる男」を知っているとより楽しめるので皆さん、是非!

ネタバレBOX

トイレ休憩騒動で文化書記が許したことで一旦は海のYeah!を許したハワイ庵が、実は完全には許していず(タンブラーを人質にした恨み?)、その後も怒っているようだった新解釈には「それもアリだな」と納得。
また、花鳥風月が節電エコアクションを受け容れることを(最初に)承諾する時のどさまわりの表情も良かった。
堕落ビト

堕落ビト

劇団桟敷童子

サンモールスタジオ(東京都)

2019/08/23 (金) ~ 2019/09/01 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/08/23 (金) 19:00

価格2,800円

実際にあった事件をモチーフにしたフィクションにして劇団員のみの小規模公演、序盤には笑いもあるがやがて物語は悲劇に向かう。
結末も悲劇でありながら、それでも強く生きてゆく人物も併せて描かれるのが巧みで、そこが桟敷童子らしいところか。
また、この規模の会場だからできる複数の場・会話を交錯させる手法でテンポアップを図っているのもイイ。(すみだパークスタジオでは声が響いて聞き取りにくくなりそう)
ちなみにすみだパークスタジオ以外の会場での公演は(成子坂のアトリエは別として)ザ・スズナリでの「紅小僧」(2013年)以来。

大西部激熱活劇 海を知らぬ少女の前にカウボーイハットのわれは

大西部激熱活劇 海を知らぬ少女の前にカウボーイハットのわれは

ガガ

早稲田小劇場どらま館(東京都)

2019/08/23 (金) ~ 2019/08/25 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/08/23 (金) 14:00

価格2,500円

1人のガンマンと南北戦争で戦友だった元保安官を中心にした西部劇。
西部劇のお約束的な部分も多々ある(←批判ではなく賞賛である)中、主人公がしばしば幻想に悩まされるのが特徴で、南北戦争を生き抜いたもののその後も日常的に(?)命のやりとりをしているガンマンはそりゃあ心も病むわなぁ、と改めて気付く。
また、ネタがネタだけに客入れから本編まで新旧西部劇映画の主題曲・主題歌がちりばめられていたのも嬉しい。(「まさかのそんな曲」もあったけれど(笑))

世界の終わりで目をつむる

世界の終わりで目をつむる

東京夜光

小劇場 楽園(東京都)

2018/12/19 (水) ~ 2018/12/24 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/12/23 (日) 18:00

価格3,000円

三畳一間のアパート暮らしの青年、大学の映像研究会で彼と同期だった映像作家らが織りなす群像劇。
一部デフォルメもあるが人物の存在感・実在感に説得力があり、単館レイト上映の映画を思わせる味わいが好み。
思い返してみると、けっこういろんな事象が盛り込まれていて、少し視点を変えると別の色や別の形が見えてくるトリックアートにも似ているか?
なお、かつて映像を撮影した海に当時の面々が……という芝居を楽園で観るのは今年2度目。

Solace-慰め-

Solace-慰め-

さくリさく企画

APOCシアター(東京都)

2019/08/20 (火) ~ 2019/08/25 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/08/22 (木) 20:00

【《B面》遥かなる高速の旅路】
須貝作品としては「1万円の使いみち」系統。
ふとしたことから高速バスに乗り遅れたバンギャを乗せて東京に向かうこととなった女性教師という凸凹コンビのバディ系ロードムービー風コメディ。
一見ガサツなバンギャとおカタい教師が次第に心を許し自分の悩み・状況を打ち明けるに至るのが(お約束とはいえ)イイ感じ。
また、この二人と道中で遭遇する男女各二人ずつの人物を演ずるお二方のギャップのある役の演じ分けも上手く「これがさっきのあの人!?」みたいな。

ネタバレBOX

スコット・ジョプリンのアレを、あの部分を使わずに流すとはニクい。
あと、両編の中心となる女性2人にそれぞれ(程度の差はあれ)通ずる部分(片やデリカシーがない、片や性格が悪い)があるような気も。
壁のビニールテープアート的な美術、照明の加減とテープの色によってAとBで違って見える(上にBのラストで東京の夜明けになる)シカケも面白い。
Solace-慰め-

Solace-慰め-

さくリさく企画

APOCシアター(東京都)

2019/08/20 (火) ~ 2019/08/25 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/08/22 (木) 15:00

【《A面》水曜、19時、スターバックス】
冒頭のモノローグに仕込まれたちょっとした「トゲ」で「米内山さんだなぁ」と思い、本編の題材で「米内山さんならではの戯曲じゃん」と思い、クライマックスの女性二人の諍いと和解が「これまた米内山さんだなぁ」ということで、シッポの先までヨナさんが詰まった鯛焼きのような中編、「米内山テイスト」を満喫!

2020年以降の夏

2020年以降の夏

くによし組

王子小劇場(東京都)

2019/08/21 (水) ~ 2019/08/28 (水)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/08/21 (水) 19:00

価格2,500円

一言で表現すれば「SF風(???)ファンタジック寓話」か?
開幕して間もない頃の短い台詞で明かされる設定のブッ跳び方がいかにもくによし組だが、3編それぞれにもの哀しさが漂い、またその3編がクロニクル的にリンクして一つの世界を形成するのが巧みだし、それもまたくによし組らしい味わいと言えよう。

ネタバレBOX

「セミ人間と恋した夏」は寿命、「私の頭が消しゴム」は記憶、「晴れた日」は不老不死と、儚さや孤独を思わせるものがテーマになっているからもの哀しいのかも?
発表せよ!大本営!

発表せよ!大本営!

Aga-risk Entertainment

駅前劇場(東京都)

2019/08/15 (木) ~ 2019/08/20 (火)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/08/18 (日) 18:00

初日である15日ソワレを観て急遽アフタートークが決まったこともあり18日ソワレにリピート。

初日には大笑いしつつも「これを笑い飛ばしていいのか?」という疑問が小さなトゲのように残ったが、リピートしたことで多分それは物語の流れを追い表面的なことに注目していたためか?と気付く。

本作は確かに第二次世界大戦中を舞台にしているが、本質・主題は今の日本(の政治)に対する痛烈な皮肉ではないか?
最初は「印象操作」でごまかそうとしながらそれは難しいと察し事実の隠蔽から改竄へ、という流れはまさしく昨今、ちょくちょく行われていること(嘆)であろう。
今の日本もあの中のある段階まで来ており、すると「ああなる」のも時間の問題であるという警鐘ではないか?

また、ラストは「あの芝居の世界」の中では一件落着ではあるが、それが「その後にもたらすもの」あるいは史実としてのあれが「その後の日本にもたらしたもの」を考えるとズシリとした重さがある。

そんなこんなでいかにもアガリスクらしい、かつブラック、かつシニカルな一編と言えよう。

なお、14日・15日の2日間で観た3本の芝居、2本はかつてあった事件や出来事をモチーフとしていて1本は架空の「王国」を舞台としていたがいずれも「イマの日本」に通ずる部分が少なからずあり、そうだよね、芝居ってそういう側面もあるよね、と改めて認識。

ネタバレBOX

ハルさんが戦死した婚約者の写真を大事にしているところでMrs.fictions「月がとっても睨むから」のアコヤ(?)の「カレシって死んだらカレシじゃなくなるんですか?」の台詞を思い起こしたのはσ(^-^) だけではあるまい。

また、望月衣塑子原作・藤井道人監督の映画「新聞記者」と通ずるものがあると感じたのもσ(^-^) だけではなかろう。
空が飛べると想ってみる。企画展「WA」

空が飛べると想ってみる。企画展「WA」

Oi-SCALE

宮益坂十間スタジオ・ギャラリー(東京都)

2019/08/17 (土) ~ 2019/08/18 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/08/17 (土) 18:00

価格2,300円

林さん(と「輪の席」のお客さんと)のトークセッション的に進みながら終盤で……な内容はいつもの公演での林さんの「マクラ」と本編の比率が逆転したような感じか? 「虚」と「実」の境界ははたしてどこ?なのが好み♪
冒頭(と言うより前説?)で「思いつくままに話しているように見えますがすべて脚本です」とわざわざ断りをいれるものの、例えば「輪の席」のお客さんに夢に関して話してもらう部分などはガチに思われ、しかしその中にかつての公演出演者もいるのでなおさら「虚」と「実」の境界が曖昧になるというシカケ……巧いよね。
また、あの「輪」がキャンプファイアのように感じられたのは林さんがキャンプ好きと知っていたためか時節柄か。「輪になって話す」というのもキャンプの夜っぽいし。
あと、複数の灯りを組み合わせ方によって変化をつけたりしたのもステキ。

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