
まどろみ
森崎事務所M&Oplays
あうるすぽっと(東京都)
2008/05/15 (木) ~ 2008/05/25 (日)公演終了
満足度★★★
幻惑されっ放し
『空中ブランコ』では控えめだった反動か(笑)倉持裕の持ち味が存分に発揮され、まどろみかけて見ている幻想・夢想では?とか、複数の人物は実は複数の人格なのではないか?とか、観ながらあれこれ想像が膨らんで、観客として幻惑されっ放し。

最後の1フィート
劇団6番シード
小劇場 楽園(東京都)
2008/05/10 (土) ~ 2008/05/18 (日)公演終了
満足度★★★★
それぞれタッチが異なるのがミソ
1本の映画をめぐる3つのオムニバス・ストーリーで、それぞれタッチが異なるのがミソ。第1話の「ショウ・マスト・ゴー・オン」精神、第2話の怒りまくるフィルムコミッション代表と冷静な交通課婦警の対比、第3話の緊迫した出だしから家族系のネタを経て軟着陸させる筋立てが特に印象深い。
また、フィルムのスプロケット(送り穴)をモチーフにした舞台美術のセンスもイイ。

人魚とハイヒール
ももいろぞうさん
吉祥寺シアター(東京都)
2008/05/15 (木) ~ 2008/05/18 (日)公演終了
満足度★★★
「人魚姫」+「王子と乞食」
一言で表現すれば「人魚姫」+「王子と乞食」なファンタジー、歌やダンスも交えての2時間15分、「脚が悪くてもハイヒールを履きたい」というヒロインの願いはいかにも女性作家らしく、しかしそれは「希望は持ち続けるべき」というメッセージなのが上手い。
また、もう一人のヒロインである人魚が足を得て陸に上がった後、惚れた相手にアッサリ拒絶されてストーカーと化すというのには意表を突かれる。
あくまで声高にならないレベルでさり気なく環境汚染にも触れていたのも○。

ATT ROCKET LIVE 2008
ATT
アイピット目白(東京都)
2008/05/12 (月) ~ 2008/05/13 (火)公演終了
満足度★★★★
ボケが2枚重ね体制に
新ワザ・新ネタ披露はもちろん、従来のネタやワザもバージョンアップしており、さらにオフィス★怪人社の花見卓哉の参加により従来は濱田朋行が1人で担当していたボケが2枚重ねになったことで表現の幅もグッと広がって非常に楽しい。
もちろん予定通り13日にも鑑賞。

ザ・楽屋
MY proDuce
しもきた空間リバティ(東京都)
2008/05/09 (金) ~ 2008/05/11 (日)公演終了
満足度★★★
気軽に観ることのできるラブコメディ
芝居上演中の劇場の楽屋で縺れる恋愛模様、欲を言えば進行中の舞台の内容とリンクしていればもっと良かったが、コンパクトサイズにまとめてあり、気軽に観ることのできるラブコメディといったところ。
また、カーテンコールに込められる想いに関する台詞のやりとりはバックステージものならではのもので、作者ならびに劇団の観客に対する気持ちが伝わって来る。

Lucky Guy ~ラッキー・ガイ~
ZIPANGU Stage
萬劇場(東京都)
2008/05/09 (金) ~ 2008/05/18 (日)公演終了
満足度★★★
『酒場で…』の後日譚
再演だった『酒場で…』の後日譚。『酒場…』では事故で入院していることになっていたマスターが登場する(代わりにママは登場しない)という、いわば「刑事コロンボ」に対する「ミセス・コロンボ」のようなファルスで、限りなくナンセンスと言うか「なワケねーだろ!」な状況に大笑い。

Lucky Guy ~酒場でダバダ~
ZIPANGU Stage
萬劇場(東京都)
2008/05/10 (土) ~ 2008/05/18 (日)公演終了
満足度★★★★
ツクリが巧み
スラップスティックコメディかと思わせておきながら終盤は謎解きサスペンスに転ずるというツクリが巧み。また、その「探偵役」が拳法で言えば「酔拳」の如く(どういう喩えだよ!)、シラフだと頼りないのにアルコホルが入ると冴える(←ちょっと違うか)というのが面白い。

NIGHT EDEN
劇団TIME LIMITS
相鉄本多劇場(神奈川県)
2008/05/09 (金) ~ 2008/05/11 (日)公演終了
満足度★★★★
文字通りの「グランドホテル形式」
知らないうちに知らない女の借金の保証人にされた男と就職面接で落ち続け間もなく100回目を迎える女を中心に、取立て屋、謎の女と彼女を追う刑事、スタア女優、ホテル関係者など多彩な人物たちが織り成す文字通りの「グランドホテル形式」で、それぞれドラマを背負った面々がカジノホテル「エデン」に集まり、伏せてられていた残りのカードが次々に開かれてゆくようなクライマックスは快感。
また、ヒロインの99回目の面接をダンスで見せるという演出、登場する「犬」というキャラクター、ならびにベートーヴェンの交響曲第8番や「医龍」「戦メリ」サントラ、それにガーデンズの「BELIEVE」の英語カバー(誰が歌っているんだろう?)などを使うという選曲もツボ。

hg
風琴工房
ザ・スズナリ(東京都)
2008/05/09 (金) ~ 2008/05/18 (日)公演終了
満足度★★★★★
胸に沁みたり突き刺さったりする台詞
水俣病をテーマにしているということで「重いのでは?」という予感があったが、抱いていた懸念としてはハズれ(なんと笑える部分も少なからずある)、込められたメッセージや得た感動が「重い」…いや、「重量級」と言った方が的確か。沢山の台詞が胸に沁み、いくつかの台詞は胸に突き刺さる。
なお、16日にB列5番で再見。

夜明けに光をまとうもの
遊星歯車機構
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2008/05/07 (水) ~ 2008/05/11 (日)公演終了
満足度★★
ちょっと苦手
療養所を舞台にした患者・医師の会話劇…って、状況が先日観たキリンバズウカの『飛ぶ痛み』とカブリ気味なれど内容、味わいはかなり異なる。
さまざまな「恐怖症」の患者を診ている療養所の真の研究目的が明かされる終盤は重く、ちょっと苦手と言うか、フィクションなんだから希望を持たせてよ、的な。
天然工房のメンバー4人(especially 中谷千絵)と初舞台の範田紗々(好演:それにしても小顔だこと)を観るという目的は十分に果たせたからイイけれどね。

冬の鼠
不消者(けされず)
ザ・ポケット(東京都)
2008/05/07 (水) ~ 2008/05/11 (日)公演終了
満足度★★★
一長一短?
かつてはタブロイド紙であった風俗業界紙の編集部を描いており、編集部がある繁華街のたとえば歌舞伎町のような猥雑さや胡散臭さがよく表現されていた、的な?
ただ、キャバ嬢連続殺人事件という本流の他に編集部内の恋愛も複数(3つ?)描くという欲張りな内容によって焦点が定まりにくいといううらみアリ。
一方、再演作品とのことながら、各キャラクターに北区つかこうへい劇団や文学座、ホリプロなど出演者のバックグラウンドが活かされており、これはキャスティングの勝利か?
とは言え、編集長のハイテンションぶりは全体のトーンとはややそぐわない感なきにしも非ず。

太陽と月とアクシズに背いて
東京ディスティニーランド
タナトス6(東京都)
2008/05/03 (土) ~ 2008/05/03 (土)公演終了
満足度★★★
休憩込み7時間超
粗削りな部分も少なからずありつつ、一般的な一人芝居、紙芝居、なんちゃって二ヶ国語、ほぼ即興、サイレント系などさまざまな手法を駆使し、内容も原作もののパロディ系ありオリジナルありとバラエティに富んでおり全6話、休憩込み7時間を超える長丁場もそれほどの長さは感じず。

夜叉王の面
劇団パラノイア・エイジ
「劇」小劇場(東京都)
2008/04/30 (水) ~ 2008/05/06 (火)公演終了
満足度★★★★
グイグイ引き込まれる
登場する歴史上の人物について予習をし損ねるも当日パンフの人物説明のおかげで人間関係は直前学習でき、「運命の歯車」に巻き込まれる人々を描いたストーリーもわかりやすくかつドラマチックでグイグイと引き込まれる。
「政(まつりごと)」のためにわが子や甥を犠牲にしなくてはならない武家社会を「魑魅魍魎の跋扈する世の中」とした夜叉王の台詞や、知盛の遺児3人が選択したそれぞれの生き方が特に印象的。

二人の女
東京倶楽部
劇場MOMO(東京都)
2008/05/01 (木) ~ 2008/05/05 (月)公演終了
満足度★★★
アングラ臭たっぷり
唐十郎作品を観るのは初めてだったが「演劇基礎知識」的に知っていた「唐十郎の芝居」まんまのアングラ臭たっぷりの内容にニンマリ。
特に詩的でシュール、比喩的とも言える台詞を客席に向かって叫ぶという、パロディにまでされている手法を実際に観ることができ、「やったぁ!」みたいな?(笑)
表現のみならず内容も「蟻」「病院」「砂」というお題の三題噺(いや「二人の女」も入れて四題噺か?)のようでそのシュールさはいかにもアングラ風。がしかしテント小屋向けのこの作品に劇場MOMOはちょっと上品だったかも?(笑)

月影番外地「物語が、始まる」
月影番外地
赤坂RED/THEATER(東京都)
2008/04/23 (水) ~ 2008/05/04 (日)公演終了
満足度★★★
一長一短
原作にない本城と三郎の対話は脚色の範囲内で納得できたが、原作には登場しない具体的な地名や路線名を出したのは大いに不服。それによって抽象的、幻想的な味わいが損なわれ、世界観が急に縮まったようで妙に違和感。
一方、三郎を最初から役者が演ずるのにもかかわらず、辻修の演技によって、ちゃんと少年から老人までの変化が表現されていたことには感心。
また、バスルーム場面での音響(声の響き方や水音)や、水面による反射光を表現した照明も見事。

飛ぶ痛み
キリンバズウカ
インディペンデントシアターOji(東京都)
2008/04/25 (金) ~ 2008/04/29 (火)公演終了
満足度★★★★
目を逸らさせない気迫あり
「痛み」「嫌い」「死」など負の要素がこれでもかといわんばかりに盛り込まれていながらも、目を逸らすころができない迫力があるというか、目を逸らさせない気迫があるという感じ。
また、どうなるのか先が全く予測不可能で、早く先が知りたいという意識もあって舞台に釘付け、的な部分もあり…。
柿ファンとしては七味まゆ味のにこやかに「嫌い」を表明するコワさと、田中沙織の「えへへへへっ」(←天然っぽくて萌え気味(爆))が特に印象に残る。

1
劇団
時代空間 遊庵 ねこじゃらし(東京都)
2008/04/26 (土) ~ 2008/04/29 (火)公演終了
満足度★★★★
スタイルさまざま
オーソドックスな朗読のみならず、歌・マイムと組み合わせたもの、ギター演奏とのコラボ、一人芝居を伴ったものなどスタイルはさまざま。
題材も樋口一葉、宮沢賢治、佐野洋子などの作品からオリジナルまで幅広く、さらに主宰の教え子たちというコントグループのパフォーマンスまであって変化に富んでいるため休憩込み1時間50分ほどがアッという間。

空中ブランコ
アトリエ・ダンカン
東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)
2008/04/20 (日) ~ 2008/05/05 (月)公演終了
満足度★★★
そこそこ忠実
原作とは別モノと割り切って観たためかそこそこ忠実に感じられ、むしろ150分(休憩込み)に膨らませる苦労さえ見て取れる。
また、伊良部というキャラクターにはスタイルが良すぎる(?)宮迫博之が、原作通りの子供っぽさ、ダダのこね方によってちゃんと伊良部に見せていたのはさすが。
一方、動きが素晴らしい G-ROCKETS のメンバーが複数出ているが、出番が冒頭とラストのサーカスシーンだけと少ないのは残念。それを見せる芝居ではないとはいえ、せっかく起用しているのにもったいない。
脚本の倉持裕、演出の河原雅彦とも危険を冒さず(笑)本来の持ち味を発揮していなかったのもちょっと残念。

だるまに目は×××。
波天南人
萬劇場(東京都)
2008/04/23 (水) ~ 2008/04/27 (日)公演終了
満足度★★★★
なかなかの出来
県議戦に出馬した女性市議の選挙事務所を舞台に、その夜に予定されている演説会の応援に招かれた国会議員も含めてそれぞれの思惑や勘違いが交錯して…という人情コメディ系。
欲を言えば市議と娘との確執をもう少し強調しておけば終盤がより引き立った気がするし、市議と娘の年齢差があまり感じられず最初は年の離れた姉妹かと思ってしまったので、当日パンフに人物相関図があれば…といううらみはあるが、各キャラがそれぞれ個性を持って描かれており、終盤の市議と国会議員とが語り合う場面などしっとりとしたオモムキもあってなかなかの出来。
また、出演者が多彩であるばかりでなくその役どころに意外性もあり二重の意味で嬉しい。

THE SNAKE
SHIMAISLAND
ウエストエンドスタジオ(東京都)
2008/04/25 (金) ~ 2008/04/29 (火)公演終了
満足度★★★★
懐かしき「明智vs二十面相」の世界
懐かしき「明智小五郎vs怪人二十面相」の世界を想起させる怪盗とその犯行を防がんとする探偵の攻防。
時代設定が曖昧なのは珠に瑕だが、探偵がいるのにクライマックスの謎解きはその友人が語る(探偵が犯人ということではなく)という仕掛けも面白いし、東京コミックショウのスネーク芸に Perfume ネタや最近のギャグを掛け合わせて笑わせておき、最後のレッドスネークを「あのように」使うというのも巧い。
また、スネークネタの時に目を逸らせて笑いをこらえている共演者たちがなんとも観ていて楽しい。危婦人のザンヨウコってば「共演者殺し」か?畏るべし!