寿苑
劇団ヨロタミ
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2008/01/23 (水) ~ 2008/01/28 (月)公演終了
満足度★★★★
河嶋健太初脚本作品
河嶋健太の初脚本作品ということでいつもとは趣きを異にし、吉本新喜劇の如くベタなキャラやベタなギャグがかえって新鮮である一方、劇中で撮影した(という設定の)ビデオの上映会で悪事が露見するというシカケは(上映のためのセッティングやビデオの内容も含んで)なかなか上手い。
泥棒温泉
OIL30's
「劇」小劇場(東京都)
2008/01/23 (水) ~ 2008/01/27 (日)公演終了
満足度★★★★
コトの真相を徐々に明らかに
個別の証言を組み合わせて試行錯誤しながらコトの真相を徐々に明らかにするという構成が巧い。
また、旗揚げ公演『D・ミリガンの客』とはガラリと趣きを変えたコメディ系ながら、謎解きが軸で終盤に親子ネタが絡むという共通点があるのも面白い。
IZO
劇団☆新感線
青山劇場(東京都)
2008/01/08 (火) ~ 2008/02/03 (日)公演終了
満足度★★★★
骨太かつ重厚な時代劇
理不尽な武士の世界で時流に押しつぶされた岡田以蔵をお得意(?)のおポンチ系ギャグを排して描いた骨太かつ重厚な時代劇で、今まで漠然としか知らなかった以蔵の生涯を改めて教わる。また、青木豪の脚本は「こんな新感線もアリなんだ」という感じ。
明日のアトム
Last Brand
アイピット目白(東京都)
2008/01/24 (木) ~ 2008/01/27 (日)公演終了
満足度★★★★
手塚治虫クロニクル
エポック・メイキングな時をクローズアップして描く手塚治虫クロニクル。虫プロの経営危機などをリアルタイムで知っているので「あぁ、あの頃だったのか」と記憶から蘇ったりするばかりでなく、マンガの実写化・アニメ化、マンガ雑誌の週刊化などマンガ史的な側面もあり、その構成がなかなか見事。
そんな構成ゆえ描かれる時代はとびとびで場所も変わったりするが、わずかな換装でそれを表現する装置もナイスアイデアだし、上手と下手で2組の会話を同時進行させてその両方をキチンと聞き取らせるワザや、映画における天皇表現の如き「先生」の表現も面白い。
PTA
ホチキス
吉祥寺シアター(東京都)
2008/01/19 (土) ~ 2008/01/27 (日)公演終了
満足度★★★★
PTA版『12人の怒れる男』
自転車運転免許証制度を導入する承認を得るための小学校のPTA会議を描いた作品。
事前にはコメディ系と勝手に思い込んでいたが、フライヤーにあった「こ、これじゃぁまるで、裁判じゃないですか!」というヒント(劇中出てくるセリフでもある)の通り、PTA版の『12人の怒れる男』で、キレイに一本とられる。
そう思って観れば、会議の出席者は12人だし、コトの真相を究明するべく事故をその場で再現して検証するしと共通点も少なくなく…
序盤は笑えるものの、後半はむしろシリアス系なところがどちらかと言えば『日本人』ではなく『怒れる男』。
さらに、劇中でも「ユニークなデザイン」とされた校舎を表現した装置、壁と思っていた所に書いてあったタイトルを拭き消したばかりでなく、その壁がまんま黒板として使われようとは…(驚)
(しかも最初に板書する字がとてもキレイ)
ほかにも装置では、平行四辺形なフライヤーと統一された会議机が展開までできる設計になっていたりして、そのセンスには脱帽。
東京遠景
楽園王
ギャラリーLE DECO(東京都)
2008/01/18 (金) ~ 2008/01/20 (日)公演終了
満足度★★★
幻想的な雰囲気
三島由紀夫と寺山修司の作品3編を、入院している友人を見舞った男が聞かされる話として構成したドラマリーディング…ってか、朗読劇というよりはもっと芝居寄り、的な?
特色である言葉の切り方を意識してズラした台詞回しと、おそらく元の作品自体の相乗効果で幻想的な雰囲気。
前回の『6よりも先』では「夢」ということで夏目漱石の「夢十夜」を連想したが、今回は「百年」をキーワードに同作品(「第一夜」)を連想。
うちに来るって本気ですか?
劇団6番シード
劇団6番シードアトリエ「ねりまの隠れ宿」(東京都)
2008/01/12 (土) ~ 2008/01/20 (日)公演終了
満足度★★★★
王道コメディ、臨場感アリ
複数の招かれざる客が訪れ、勘違いや取り違いで事態が混乱するという王道コメディ、芝居のウソの範囲内の無理や先読み可能な部分が多少あったりもしつつ、好きなタイプの作品なのでそんな部分も含めて楽しむ。
また、アトリエといっても和風建築で、上演されたのも2間続きの和室を改装したような空間なので、一般家屋という設定にピタリと一致して、まるで御殿場家の一角で騒動を傍観しているような臨場感アリ。
さらに終演後は台詞にしばしば登場した素麺がふるまわれたりもして、これまたアトリエ公演ならではのイキな趣向。
feel trip
alliancedesign+プロデュース
スパイラルホール(東京都)
2008/01/17 (木) ~ 2008/01/20 (日)公演終了
満足度★★★★
長さもタイプも異なる作品群
事前情報では公演主体は芝居関係ではなく商社的な会社(?)で「劇中登場したものを購入することができます」というふれこみだったけれどその趣向は1編目と6編目(および各編の間に投影されるスライド)のみだったのは良かったようなちょっと残念なような。
1編目「企画会議」こそ商品紹介以外のナニモノでもなく、ちょっと不安になったが、それ以降、2編目「被害者の会」では「相原美奈子ってばやっぱりこういうキャラにされちゃうのね」とニヤリとし、4編目「ぼくのともだち」は少年時代の「ちょっとイイ話」で終盤ホロリとさせられたりなど、長さもタイプも異なるバラエティに富んだ作品群をそれぞれ楽しむ。
真っ赤な真っ赤な物語
ももいろぞうさん
赤坂RED/THEATER(東京都)
2008/01/17 (木) ~ 2008/01/20 (日)公演終了
満足度★★★
ウラミはありつつも満足
主人公がかなり裕福そうなので今一つ感情移入できないとか、欲を言えば主人公の4人の分身をもう少し活用して欲しかったとかのウラミはありつつ、オープニングのタイトル・クレジット場面のダンスや、主人公の娘が持っているぬいぐるみの表現及び劇中でのポジションなどが良くて満足。
MiSTAKE
劇団伍季風 ~monsoon~
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2008/01/11 (金) ~ 2008/01/15 (火)公演終了
満足度★★★★
両バージョンが互いに補完し合うシカケ
中心となる役が男性か女性か(&演出が女性か男性か)という違いだけで同じ脚本であるというのに両バージョンが互いに補完し合うという脚本のシカケが面白い。
残魂エンド摂氏零度
芝居流通センターデス電所
ザ・スズナリ(東京都)
2008/01/11 (金) ~ 2008/01/14 (月)公演終了
満足度★★★
人間同士のつながりが希薄となった世界
18ヵ国にまで減ってもまだ戦争が続き、人間同士のつながりが希薄となった世界を描いた近未来もの。
アンドロイドに依存して精神的に引き篭もっている主人公が初めて自らの意思によって他者に接しようとする姿が爽やか。
目を見て嘘をつけ
KAKUTA
シアタートラム(東京都)
2008/01/10 (木) ~ 2008/01/16 (水)公演終了
満足度★★★★
ちょっぴり切なくもハッピーな幕切れ
誰もが持っていて、普段は覆い隠している「もの」のごく薄い表皮がピッと破れて一部が露見してしまう「とき」が上手く表現されていて、それでいて基本的には楽しく大いに笑えるし、ちょっぴり切なくもハッピーな幕切れにはホロリ。
トーキョーより行先不明の穴に落ちて08
ACTOR’S TRASH ASSH
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2008/01/11 (金) ~ 2008/01/14 (月)公演終了
満足度★★★
戦争の不気味さと、ラストの開放感
近未来、日本から独立した東京から「穴」を通って脱出しようというゲリラたちが中心の物語。前半の閉塞感や中盤での迫り来る戦争の不気味さと、ラストの開放感の対照が印象的。また、「穴が開(ひら)いた」時の照明効果が特に見事だし「地底人」の表現も楽しい。
カゴツルベ
少年社中
吉祥寺シアター(東京都)
2008/01/09 (水) ~ 2008/01/14 (月)公演終了
満足度★★★★
雪のシーンの美しさは圧巻
格子にキャスターを付けたシンプルな装置や和洋折衷の衣裳など舞台美術が面白い上に終盤での次郎左右衛門とカゴツルベがシンクロした殺陣のアイデアが良く、その後の積もるほどに降り続く雪のシーンの美しさは圧巻。
サバンナの掟
柿喰う客
シアタートラム(東京都)
2008/01/05 (土) ~ 2008/01/06 (日)公演終了
満足度★★★★
まるで別作品のような味わい
前年の『女体カーニバル』でのバージョンとはステージが広くなり装置も一新したのにはとどまらず、配役までガラリと変えてまるで別作品のような味わい。
また、不幸な出会い方をした一組の男女の悲恋物語(?)としての側面も読み取る。
キル
NODA・MAP
Bunkamuraシアターコクーン(東京都)
2007/12/07 (金) ~ 2008/01/31 (木)公演終了
満足度★★★★
あれこれまとめて存分に楽しむ
妻夫木聡は、事前に聞いた通り声は傷めていたものの予想以上の好演。
実は初演・再演を観ていないのにもかかわらず、堤テムジンを想像しながら観ていたのだが、それとは異なるいわば妻夫木テムジンを体現していて感心。
広末涼子も「あんな発声で大丈夫なのか?」と思ったものの、後から聞いたハナシによれば、かつての羽野晶紀に近かったそうで、演出意図だとは…
内容についても、予備知識がないとワカランなんてことはもちろんなく、帰宅後、チンギス・ハーンについてちょっと調べた結果、予備知識があればもっとわかるなんてこともなく、いかにも野田流な言葉遊び、いろいろと工夫された装置・衣装、そして個性がそれぞれに発揮された演技を存分に楽しむ。
お台場SHOW-GEKI城「音小僧と殻少女」
グワィニャオン
フジテレビメディアタワー マルチシアター(東京都)
2007/12/29 (土) ~ 2008/01/03 (木)公演終了
満足度★★★★★
まさにグワィの真骨頂
オリジナル版を観ているものの、バランス良く再構成されているので、微妙な違いは感じつつも割愛された部分には気付かず。
内容的には笑いあり涙あり(とはいえアレはオリジナル版同様ちょっと卑怯かも?)そしてアクションまでありとまさにグワィの真骨頂…って、これはオリジナルからしてそうなので当然といえば当然か。
Speak of the Devil LOVE STORY
劇団S.W.A.T!
「劇」小劇場(東京都)
2007/12/19 (水) ~ 2007/12/30 (日)公演終了
満足度★★★
続編としてはフツーだが、単品としては上出来
悪魔でありながらどこか憎めない、人間に恋をしてその相手を他の悪魔から救ってしまう主人公の設定が巧く、口パクや替え歌でのミュージカルもどきのシーンも楽しく、続編としてはフツーだが、単品としては上出来。
ハリケーン嬢 ~The Queen of EMERALDAS~
スーパーグラップラー
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2007/12/27 (木) ~ 2007/12/30 (日)公演終了
満足度★★★★
「ヤラれたぁ!」
前半はどことなく既視感があったが、現実界と小説界の接点を明らかにするところで「ヤラれたぁ!」と思い、以降は評価急上昇。
いざ明かされてみると、オープニングのシーンにちゃんとヒントがちりばめられていて、初めて観る時は当然気付かないのだが、後で納得させられてしまうのは巧い。
さらに安易なハッピーエンドにせず、問題を観客に突きつけて終わるというのも挑戦的。ビターではあるが、ここでも「ヤラれたぁ!」な感アリ。
わが闇
ナイロン100℃
本多劇場(東京都)
2007/12/08 (土) ~ 2007/12/30 (日)公演終了
満足度★★★
「あぁ、こういうのもアリなんだ」
しっとりと落ち着いた感じは「晩年の始まり」(本人曰く)の作品としてふさわしく「あぁ、こういうのもアリなんだ」と。
全体的にはビターテイストだが、ほどよく挿入されているコミカルな場面でバランスをとっているし、終わり方も巧いし、休憩込み3時間半の長丁場もさほど気にならず。
また、劇団、本谷有希子の『偏路』とどことなく共通項があるようにも感じる。