
G線上のアリア
PSYCHOSIS
新宿スターフィールド(東京都)
2022/12/16 (金) ~ 2022/12/20 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
月蝕歌劇団のオリジナル版を知らないので推測の域を出ないが、温故知新、スタンダードナンバーのロックアレンジのようなものではなかろうか? そして「解剖台の上のミシンと蝙蝠傘の偶然の邂逅」ならぬ舞台上のフランス革命と島村抱月・松井須磨子の邂逅はまさに高取戯曲の真骨頂。それまで差し挟まれていた島村・松井エピソードとフランス革命パートが融合する終盤のブッ跳び具合たるや!(笑)
あと、衣装も良かったなぁ。(坪内逍遥の表現は爆笑モノ!

凪の果て
動物自殺倶楽部
雑遊(東京都)
2022/12/14 (水) ~ 2022/12/18 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/12/17 (土) 14:00
年初の旗揚げ公演「恋愛論」は「裏・鵺的どころか鵺的とは真逆」と感じたが、本作は鵺的の延長線上と言えるか? 離婚調停の当事者夫婦とそれぞれの代理人弁護士の会話をひとしきり見せてからの後半はその真相編と言おうか「実はこういうことでした」と明かす構成が面白い。
そして序盤では複数の人物の極端さに頬が弛むが観ているうちにそれが次第に実在感をもってくるというか、実際にいそうと思えてくる恐ろしさ。観客全員が固唾を飲んで観ている感もまた格別。濃厚な観劇体験でありました。

気が澄むまでここにいる
チャミチャム
日の出町団地スタジオ(東京都)
2022/05/05 (木) ~ 2022/05/08 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
2泊3日の仙台・松島紀行(強ち誤りではない(笑))。
本作にしてもかるがも団地作品にしても藤田脚本とσ(^-^) の相性が良いのか、会話/台詞も話の流れもごく自然で無理がなくて心地よくもうそのまま受け入れてしまう。喩えて言えば「ヨギボー芝居」?(爆)
随時投影される写真と音響効果(と照明効果)がその場を具体化したり、本役以外は口調や方言などで明確に区別したりするのも妙案。いやホント、脚本・演出が巧みだわ。
なお、それを実体化して演じて見せた演者も、というのは言わずもがなにして絶品。

秒で飛びたつハミングバード
かるがも団地
OFF OFFシアター(東京都)
2022/12/15 (木) ~ 2022/12/18 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/12/16 (金) 14:00
二十代後半となり自分の生き方・あり方に迷いが生じた面々を中心とした群像劇。シリアスな主題ながらユーモアを交えた見せ方はかるがも団地の真骨頂か? また、意外と近かった人間関係も計算しつくしてのものという印象で巧いんだなぁ。
主要人物以外のモブを各演者が早替えで演ずるのも劇中の自虐的な台詞も含めて愉快。
なんだかんだでじーんとした。

骨、噛み
‐ヨドミ‐
四谷3丁目ドリームシアター(東京都)
2022/12/14 (水) ~ 2022/12/18 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
盲目の絵本作家である母とその息子を中心としたヒューマンドラマ。
悲劇ではあるものの不思議と後味は爽やかと言おうかスッキリと言おうか。
もちろん悪いヤツやダメなヤツも登場するが、人間味のある人物が何人か配置されているためか?
その意味では「後味の悪さが快感」という普段の作風とは真逆?(笑)
しかし「アンビバレンツ」というのは共通で、当日パンフレットの「いつもとかなりテイストが違うようで、同じようで」という藤丸さんの言葉通りか。(真顔)
また、祥子と深瀬の口論場面の真実味と盲目役の方々の演技も見事。

超科学戦闘機スーパーホーク1号の着陸(再演)
劇団鋼鉄村松
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2022/12/08 (木) ~ 2022/12/11 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/12/11 (日) 17:00
ヒーローもの(のスピンオフ)の体をしているが芯は挫折した男がそのトラウマを克服して新たな道に活路を見出す感動作。笑い・熱血・感動と少年ジャンプの王道漫画の舞台化みたいな?(笑)
そんな物語に加えて演技・演出と衣装で人物に妙に現実味があり、シンプルな装置・照明がそれを引き立てて見事。

うわつら
殿様ランチ
駅前劇場(東京都)
2022/12/07 (水) ~ 2022/12/11 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/12/10 (土) 14:00
2011年(初演?)、2014年に次いで三度目となるが色褪せない珠玉の名編。人の死を真摯にしかもユーモアも交えて描き「登場人物と共に一人の人間としての作家を看取った」感覚。何年か経ったらまた観たい。
また、「報道センターの斉藤さん」が伝える開演前諸注意と本編導入部を兼ねたニュースのセンスの良さよ! これだけでも一聴の価値があるのでは?(半分真顔)

ANAΓKH -宿命の女神-
劇団天動虫
シアター711(東京都)
2022/12/07 (水) ~ 2022/12/11 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/12/11 (日) 13:00
劇団天動虫featuring野村ようすけ流切り裂きジャック考察。
事件と同時代に書かれた小説とを絡めているのが妙案だし、それらをヒントに真相を明かしてゆくあたりのゾクゾク感たるや♪
また(劇中の)現実と虚構の境界が曖昧になってゆくあたりに夢野久作「ドグラ・マグラ」に通ずるものを感じる。

【兵庫公演中止】パンとバラで退屈を飾って、わたしが明日も生きることを耐える。
趣向
シアター風姿花伝(東京都)
2022/12/21 (水) ~ 2022/12/25 (日)公演終了
実演鑑賞
鑑賞日2022/12/22 (木) 14:00
チラシなどに「整理番号付自由席(購入順)」と「受付開始・客席開場=開演30分前」という相反する情報があり怪訝に思われている方がいらっしゃるかと思いますのでとりあえず速報です。
実際は「購入順の整理番号」どころかそもそもチケットがなく、当日受付順の入場です。
なぜこのような誤情報がチラシに記載されたのか理解に苦しみます。
今後このような凡ミスがないことを祈ります。

鏡の仮面はブラフにて
劇団ミックスドッグス
中板橋 新生館スタジオ(東京都)
2022/12/07 (水) ~ 2022/12/11 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/12/09 (金) 19:30
表裏一体的な二つの世界を併行して描き、しかも表裏一体的な人物が交錯するので確かにややこしいが、上衣などの着脱で人物を描き分け/演じ分けるのは妙案。
また、9つの椅子と鏡(枠だけ)という舞台美術にもセンスを感じる。ミックスドッグスらしさ満載。

『生きてゐる小平次』
楽園王
サブテレニアン(東京都)
2022/12/01 (木) ~ 2022/12/06 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/12/06 (火) 14:00
三角関係での殺人と霊、な既存戯曲と書き下ろし(?)。
「小平次」の影響で書かれたという「風」はまさしくアンサーソングと言おうか対照的でニヤリ。また、ある人物が実は霊だった、というオチは好きなパターンのひとつなので「うひょー♪」。
「小平次」は殺した筈の小平次が二度も現れるが果たしてそれは実際に不死なのか殺した側の良心の呵責かはたまた霊なのか?な見方もできて面白い。

蛍
第27班
三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)
2022/12/02 (金) ~ 2022/12/11 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/12/04 (日) 13:00
併行する4つの軸の関係性が次第に見えてくる構成の巧みさよ!
「4つの軸」というヒントは初演時には明かされていなかったが今回は当日パンフレットで明かされており、所謂「観劇初心者」にもワカり易くなったような
また、萬劇場での初演に対して広い舞台となったことで異なる時空の場面を瞬時に切り替えることを可能ならしめた装置も余裕ができて、そちらの意味でもワカり易くなったと思うが、初演で衝撃を受けた身として物足りなさのようなものがないでもない。
が、今回の再演版を否定する意図は全くなく、「通向けの初演(オフィス上の空プロデュースだったし)、一般向けの再演」ということでどちらもアリと思う。
ところで初演のオシダってあんなにエキセントリックだったっけ?改訂した?

オーガッタジャ!
発条ロールシアター
阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)
2022/11/03 (木) ~ 2022/11/06 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/11/05 (土) 14:00
廃ビルに潜り込んで偶然出くわした面々の物語。そのうちの一人(主人公)が「もう一つの世界」と行き来して、どちらが本当の世界か迷うあたりが「胡蝶之夢」的で好み。
また、得意パターンでもあるラストのあのシカケは考えようによっては「簡易版桟敷童子」的ではないか?

瞬きと閃光
ムシラセ
シアター風姿花伝(東京都)
2022/11/30 (水) ~ 2022/12/04 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/12/03 (土) 14:00
観ていて大好きな作品と通ずるものを感じた。1本は「櫻の園」、もう1本は……(ネタバレBOXへ)
ミッション系女子高校の写真部員たちを中心とした物語。若さに基づく一本気さ/繊細さゆえの友人に対する羨望/嫉妬心などが瑞々しくそんな彼女たちに対する先生や先輩(?)の眼差しが優しい。
さらにそこに笑いの要素や個人的に大好きなパターンの一つであるアレも加えて本当に何なの、これ!(語彙力喪失(爆))
脚本、演出、演技の三位一体に感服♪

わなわな
ジェットラグ
雑遊(東京都)
2022/11/29 (火) ~ 2022/11/30 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/11/30 (水) 13:00
ロベール・トマかアイラ・レヴィンか?な騙し合い/化かし合いサスペンスと江古田のガールズ/山崎洋平的笑いの融合。
(先述の作家の作品が好きだと特に)起こっていることすべてを疑ってかかり、二転三転のたびに「ほらやっぱり!」と思い、それでもなお騙されてしまうのが快感♪

babbling
エンニュイ
イズモギャラリー(東京都)
2022/11/25 (金) ~ 2022/11/27 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/11/27 (日) 13:00
一言で表現すれば「夜のコインランドリーに居合わせた4人の主題とその変奏曲」だった。この展開のさせ方が面白い。
いやぁ、面白かった♪(詳細はネタバレBOXへ)

近代能楽集「班女・熊野」
CroixProjec†
APOCシアター(東京都)
2022/11/23 (水) ~ 2022/11/27 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/11/24 (木) 14:00
まずは本編部分。タイトルはよく目や耳にしていたものの初見で、全くの現代劇。もしも全く予備知識なしに観たとして三島の戯曲と聞かされて「なるほど」とは思うが元ネタが能楽と知って「全く気付かなかった」というレベル。
そして当日パンフレットにある概略で原典を知るのみだったのは不覚。元ネタを知っていれば「あれをそう使ったか!」などとより楽しめたのではないかと思い、予習していなかったことに大いに後悔。
そういや「班女」の読みが「はんじょ」、「熊野」の読みが「ゆや」であるとは初めて知った。(何と誤読していたかはナイショ)

万物教会
虚飾集団廻天百眼
ザムザ阿佐谷(東京都)
2022/11/22 (火) ~ 2022/11/28 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/11/23 (水) 14:00
人ならぬ者も含む個性的なキャラクターばかりの異世界での主人公の体験……ということから「ある有名な物語」を想起しつつ観ていたが、終盤はあるキャラの名前に導かれるように「ある方向」に向かい、それもアリと思っていたら「そっちか!」で終わる流れに翻弄された。
また、キャラクター原案がヨシジマシウさんによるポップ/ファンシーなものであることもあってか表現も(廻天百眼としては)マイルドで、まさか血糊が飛ばないとは!(一応「血」は客席まで飛ぶんだが)
その意味で2020年1月上演の「不思議の国のアリス・オブザデッド」同様、興味はあるけれど何か過激そうで……と迷っている方々には特にオススメ!

触れただけ
SPIRAL MOON
「劇」小劇場(東京都)
2022/11/16 (水) ~ 2022/11/20 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/11/20 (日) 14:00
三人芝居・二人芝居・二人芝居の短編三本。
そう思って観ていたせいもあろうが何度か観たらまのだのテイストを感じつつ秋葉演出なのでSPIRAL MOONの味わいもあってまさにいいとこ取り。さらにラストシーンの美しさよ!
また、手話通訳付きの回だったが、3編それぞれに付け方が違うのも興味深かった。
なお、3編の中ではコミカルな2編目が一番好み。

自分がかわいいクッキー屋さん
江古田ぐるぐる
小劇場 楽園(東京都)
2022/11/17 (木) ~ 2022/11/20 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/11/19 (土) 18:00
幼稚園で食べたクッキーの味が忘れられず当時の先生からレシピを教わりクッキー店を開いた主人公の盛衰記。笑いもふんだんにありつつ業界の世知辛さなどを描いて江古田ぐるぐる版の池井戸潤?(笑)。