
12人の怒れる男
ULPS
アイピット目白(東京都)
2011/02/17 (木) ~ 2011/02/20 (日)公演終了
満足度★★★★
名作を忠実に演じて見事
言わずと知れた名作を忠実に演じて見事。各人物の表現はもちろん、三方囲みの写実的な舞台、開場時から流す街頭ノイズ、さりげないながらも効果的な照明などスタッフワークも◎。
さらに三方囲みの客席ゆえ目当ての役者を尋ねてから誘導する対応には感服。

逆髪
演劇ユニット 金の蜥蜴
ブディストホール(東京都)
2011/02/17 (木) ~ 2011/02/20 (日)公演終了
満足度★★★★
お得意の手法、今回も鮮やか
能の題材をモチーフに現代演劇に仕立てるお得意の手法、今回も鮮やか。
奇しくも前夜の作品と同様、英国悲劇を絡ませてある(依然として大人気だね)だけでなく他の共通点もあり、そんな相乗効果も含めて面白い。
しかし次回公演が再来年とは…。

将門
劇団パラノイア・エイジ
恵比寿・エコー劇場(東京都)
2011/02/16 (水) ~ 2011/02/21 (月)公演終了
満足度★★★★
バリ島のスパイスを利かせて英国悲劇の風味も漂わせた「応用編」
ガムラン、ジェゴグ、ケチャというバリ島の3大民族音楽で彩り、英国悲劇の薫りも添えた歴史絵巻。11ヶ月ほど前に観た他劇団のものが基礎編、こちらは応用編というオモムキで、その異なる脚色ぶりやアクションも含めて楽しむ。

「サンポジウム2011」 「劇」小劇場
散歩道楽
「劇」小劇場(東京都)
2011/02/16 (水) ~ 2011/02/27 (日)公演終了
満足度★★★★
昭和編初日
六畳(?)一間に水場がある程度の引き戸の部屋が4つほどの木造(せいぜいモルタル)アパートの1部屋を中心に住民たちが織り成す物語、あれもこれも昭和のニオイがぷんぷんで、高橋留美子テイストにかすかなペーソスも漂うコメディ、可笑しくもあり懐かしくもあって楽しい。

品潮記(ほんちょうき)
BOTTOM-9
サンモールスタジオ(東京都)
2011/02/09 (水) ~ 2011/02/20 (日)公演終了
満足度★★★★
「一粒で二度美味しい」スタイル
冒頭では明治の人々と幕末の人々を同じ舞台に上げてオーバーラップさせるものの、以降は下手側にあるサブステージ(明治では開かずの間だが幕末では奉公人の部屋)に明治の2人がいてメイン舞台で進行する江戸パートに注釈を加えたりするスタイル。
で、時折「章の題」あるいは「小見出し」的なものが障子に投影されることもあり、幕末庶民伝的な(庶民の気位の高さなども描く)江戸パートは山本周五郎あたりの連作短編集の味わい。
が、プロローグからまさに通奏低音のようにサブステージで演じられている明治パートと江戸パートの繋がりが濃くなる(五稜郭に向かう武士とかね)終盤ではまた異なる味が出てきて「一粒で二度美味しい」な感じ。
また、中心となる男(ろく)は明治と幕末で違う役者が演ずる一方、両方に別の役で登場する役者もいて、それが血縁関係にあったりする(例外あり)のも芝居ならでは、的な。
かくて160(70+10+80)分という上演時間もさほど長く感じず。
あ、ただ、泣かせようというのが見え見えな選曲はちょっとあざといかも?(笑)

バレンタインサミット
乱雑天国
エビス駅前バー(東京都)
2011/02/11 (金) ~ 2011/02/15 (火)公演終了
満足度★★★
ぐ~のねも、でねーぜ!
基本的にはナンセンス系でバカバカしいコント集、それを小劇場系の役者たちがホンキで演ずるところに意義がある、みたいな? アクが強いので好みは分かれると思うが「あんな方やそんな方」がそこまで演ってくれればこりゃあもう「ぐ~のねも、でねーぜ!」

さめるお湯
あひるなんちゃら
OFF OFFシアター(東京都)
2011/02/09 (水) ~ 2011/02/14 (月)公演終了
満足度★★★★
雪の千穐楽
毎度ながらのゆる~いぬる~い笑いに加えて「第三の目」に関するシュールかつトボケたパートも可笑しくて、これもまたその思いもよらない発想に感心するやら呆れる(←良い意味)やら。
それにしても劇中設定通り雪になった千穐楽、電車が運休にならずヨカッタ。

悟らずの空
Jungle Bell Theater
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2011/02/10 (木) ~ 2011/02/14 (月)公演終了
満足度★★★★
妖怪と五行説の取り合わせが巧み
妖怪たちを「木・火・土・金・水」の五行説にあてはめ、それによって妖怪たちの「三すくみ」的な力関係を作り出して対立・共闘させているのが上手い。
また、同じ村の者を妖怪にすることで己の利益を得ようとする村長、導師などにより「人の心の中の妖怪」にも言及したのもイイ。「妖怪」というのは「人の心の中にある邪悪なもの」であって「化け物の形で現れるもの」はあくまで「単なる象徴」、的な。

らんでぶ~
LIVELIKELIFE
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2011/02/08 (火) ~ 2011/02/13 (日)公演終了
満足度★★★★
黒版、白版は完全反転ではなく…
15年の時を経て解明される行方不明事件の真相。
男性キャストの黒版、女性キャストの白版は完全反転ではなく異なる点もいくつか。
黒は行方不明者の見せ方・出し方、白は想定外の人物の正体と6人目の設定(黒との対比において)などが特に面白い。

サイキックバレンタイン
たすいち
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2011/02/11 (金) ~ 2011/02/13 (日)公演終了
満足度★★★★
「NHK少年ドラマシリーズ」のノリ
昔懐かしい「NHK少年ドラマシリーズ」のノリにラブコメディを絡ませて、「七瀬ふたたび」と通ずるテーマにも触れた娯楽作。
スピード感のある導入部やセンス良いオープニング映像、瞬間移動や透視を「見せる」装置なども◎。

グレート、ワンダフル、ファンタスティック
ロロ
こまばアゴラ劇場(東京都)
2011/02/09 (水) ~ 2011/02/13 (日)公演終了
満足度★★★
印象派の絵画、的な
喩えれば印象派の絵画、混ぜ合わせることで新たな色を創るのではなく、色を並べて置くことによって新しい色や全体像を創り上げる、みたいな。
あるいはリニアに繋がっているアナログではなくデジタルな感じ?

ChocoLate
7contents
アイピット目白(東京都)
2011/02/10 (木) ~ 2011/02/13 (日)公演終了
満足度★★★★
カーテンコールの後に…
登場人物が多いためにその紹介に充てる序盤は冗長な感があるが、中盤以降はもともと好きな題材でもあり引き込まれる。
また、カーテンコールの後にもう1シーン設けて最後の謎を明かす構造には「そのテがあったか!」と。

恋する、プライオリティシート
コメディユニット磯川家
インディペンデントシアターOji(東京都)
2011/02/05 (土) ~ 2011/02/14 (月)公演終了
満足度★★★★
ビアノの生演奏がミソ
終盤で将棋倒しのように諸々が一気に丸く収まって行くシーンにビアノの生演奏をかぶせたのがミソで、そのイントロ的なサックスとホルンを加えての三重奏も素敵。
また、ホテル高層階のバー・ラウンジを再現した装置も見事。

イエスタデイズ ヒーロー
SPANK YOUR MONKEYS
d-倉庫(東京都)
2011/02/09 (水) ~ 2011/02/13 (日)公演終了
満足度★★★★
旗揚げからクオリティ高し
ヒーローものやマスコミ報道を茶化しながらも思いもよらぬ元ネタをヒーローものの王道的に仕立てて愉快。
また、前説も愉しいし、オープニング映像や衣装のセンスも良く、旗揚げからクオリティ高し。
※ より詳細なものはmixi日記をご参照下さい

ピッキングストーリー
天然工房
ザ・ポケット(東京都)
2011/02/09 (水) ~ 2011/02/13 (日)公演終了
満足度★★★★
奇想天外な発想
霊や転生をネタにしながらも、奇想天外な発想がユニークなコメディ。
まさに思いもよらぬ方向から弾が飛んできて「そう来られちゃあ仕方ない」みたいな?(笑) 一体どこからそんなアイデアが浮かんで来るのやら?

バレンタイム・パラドックス
演劇配合サプリメンツ
荻窪小劇場(東京都)
2011/02/08 (火) ~ 2011/02/13 (日)公演終了
満足度★★★
タイトル通りの時間もの…
…で、歌あり、アクションあり、どんでん返しありと盛り沢山。
主人公の努力(?)にもかかわらずかも過去は変えることができないという結末も『時をかける少女』(2010年版)と比べて説得力あり。また、梶尾真治作品もチラリと連想。

ロクな死にかた
アマヤドリ
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2011/02/03 (木) ~ 2011/02/13 (日)公演終了
満足度★★★★★
死の受け止め方
死に方というよりは死の受け止め方、な感覚。
あるシーンでは自分の死後の友人たちのことなど考えてしまう。
また、弱点の1つである生死関連ではない意外な部分で涙腺を刺激されて堤防決壊。
それに続くあの台詞はもはや「凶器」!(笑)
※ より詳細なものはmixi日記をご参照下さい

ひとひらの犯罪
ジ~パンズ
銀座みゆき館劇場(東京都)
2011/02/07 (月) ~ 2011/02/13 (日)公演終了
満足度★★★
静馬主宰の得意分野
チラシなどに「ブラック・コメディー」とあったが、そう謳うほどにはブラックではなく、むしろラブコメディに近い感じ。
その意味では静馬主宰の得意分野で、晏子のワケアリな部分を中心としてバラ撒いておいた複数のピースを組み上げるようにまとめてハッピーエンドに導くのは鮮やか。
がしかし、椋一(豊永伸一郎)が連続婦女暴行未遂事件の犯人であったかどうか明らかにせず、連行された彼のその後がどうだったか明らかにされないのは片手落ち気味。

リ:ライト
トツゲキ倶楽部
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2011/02/03 (木) ~ 2011/02/07 (月)公演終了
満足度★★★
余韻を残す幕切れもイイ
同じ時間の中をループして事態をより良い方向に導こうとするパターンのバリエーションだが、予知夢としたことで肝心の部分が思い出せない、なんてあたりが上手い。
また、語り過ぎずに余韻を残す幕切れもイイ。

ますく
劇団言葉座
タイニイアリス(東京都)
2011/02/02 (水) ~ 2011/02/06 (日)公演終了
満足度★★★★
中・上級者向け?
言葉座を名乗るだけに時に文語に近くなることも含めて台詞・会話が巧く、凝った照明や各人物の心理を象徴するかのような軋み音なども良い。
が、過去に何があったのかを「寸止め」状態にとどめて明確にせず、事後も観客の想像に委ねるスタイルは中・上級者向けか?