公演情報
「東京ゴッドファーザーズ【5月2日~5月11日公演中止】」の観てきた!クチコミ一覧
実演鑑賞
満足度★★★★
前の口コミを見ると、評価が割れているようだが、私はすごく楽しめた。ちなみに今敏のアニメは未見です。それでも、ホームレス三人が、互いに喧嘩しながらの、捨て子の赤ん坊の親を探してのロードムービーは十分面白かった。オカマのハナの松岡昌宏が出色。ホームレスのギンちゃんのマキタスポーツのうらぶれた感もよかった。競輪選手と嘘をついていた見栄と寂しさもよくわかったし、娘との再会シーンも素直にジンと来た。夏子の突っ張ってみせるけど、本当は素直で優しい思春期の女の子の感じもよく出ていた。赤ん坊の母親役の池田有希子の、ちょっと心を病みかけた、余裕のない必死さもリアルだった。
「歓喜の歌」が要所要所で流れてテーマソングのよう。最後の大団円は第九のオケと合唱のフルバージョンで高らかに歌い上げるのに、素直に感動した。みんな幸せになれてよかったと、素直に温かい気持ちになれる、「大晦日の奇跡」ともいうべき舞台だった。
舞台を立体的に使う演出がうまくいっていた。上下だけでなく、細長い島式舞台の左右中央で3つのシーンが同時並行したのも、面白い。平田オリザ式同時多発会話ではなく、隙間補い合い型の、互いに少しずつタイミングがずれていて、どのシーンの会話もクリアに聞こえるというタイプは初めて見た、気がする。
実演鑑賞
満足度★★★
鑑賞日2021/05/25 (火) 14:00
座席1階C3列7番
まず、今敏のアニメの舞台化表現についての評価。
舞台に段差を現出させ同時進行の話をうまく並行化して見せたり、段差は、その他ビルの屋上、電車内の風景、河川沿いの道端などになり、よくぞ多種多様な光景を見せた。細かい舞台小物の置き換えで、路地、墓場、廃屋、公園、病院、都内一周ロードムービーの場面転換を手際よく展開する手腕には、ただただ肝心するしかない。
特に、ラスト近く、赤ん坊を負ってのカーチェイスの場面は、タクシー、トラック、自転車、皆ハンドルと乗り手の配置だけで、疾走感一杯に再現される。
「東京ゴッドファーザーズ」の二次元を、舞台という生の時間的・物質的制限の中で再現した事実には、拍手を送りたい。
松岡、マキタ、みゆきの呼吸もよく合い、ストーリーは淀みなく進み、そう私の知っている「東京ゴッドファーザーズ」のラストのみゆきと父の邂逅シーンに至るのだ。
とここまで書いてきて、私は何を観ていたのかとふと考える。私は何を観ていたのかと。
私は、舞台を観ながら、常にアニメの場面を頭の中で再現していた。あのシーンだ、このシーンだ、そうアニメと比較しながら。私は舞台を観に来たのか?
この舞台を観に来た人は、今敏のファンという方も多いだろう。予習としてアニメを観てきた人も多いと思う。さて、まっさらで観た方々は、どんな感想を持ったのだろう。ある意味、その無垢な鑑賞眼は、この舞台をどう評価するのだろう。
うーん、私にはあの傑作アニメの舞台での再現を観ることしかできなかった。だとすれば、
この公演にあった価値は何だったのかな、と思う。今敏マニアとしては満足、でも舞台演劇として何か楽しめたもの・発見しえたものはというと、それが出てこない。
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2021/05/20 (木) 19:00
今敏監督の2003年アニメを舞台化。面白かった。
クリスマスイブの日に捨て子を見つけた3人のホームレス、元ドラッグ・クイーンのハナ(松岡昌宏)・自称元競輪選手のギンちゃん(マキタスポーツ)・家出娘のミユキ(夏子)が、わずかな手掛かりを追って、赤ん坊の親を探して、東京をかけ巡る一種のロードムービー的な展開。それぞれの場面が面白く、やや誇張もあるものの、最後はお約束的にハッピーに終わり、気持ちよくエンディングを迎えられるのがいい。久々に新国立劇場での芝居が観たくて行ったのだが、劇場に入って元TOKIOの松岡が出ていることに気づく。松岡の活躍もいいのだが、これが初舞台のマキタスポーツも芸能歴が長く存在感がしっかりあり、若い夏子は芸劇の「赤鬼」でヒロインの「あの女」を演じたときと同じく、勢いを感じさせてくれる。その他の役を他の役者が何役も演じ分けるのだが、春海四方の存在感が独特だった。ダイナミックな舞台美術も充分に見ごたえがある。
実演鑑賞
満足度★★★★
時期外れのストーリーになってしまったが、主役3人や他の俳優たちが好演していてクリスマスらしい寛容な気分に浸らせてくれる。贅沢に迫りのセットを使うが基本的にはシンプルな舞台装置と俳優たちの演技自体で次々と場面転換するところは興味深い。見所ある面白い公演なのにチケットが定員50%で販売停止になってしまったのは残念。
実演鑑賞
満足度★
今この芝居をなぜ30公演も打とうとするのか理解できない。最初の十公演ばかりは突然のコロナ宣言延期で止めたようだが、それにしても、大劇場で30公演は東宝松竹でも逡巡するだろう。中身はアニメの劇化で2・5ディメンションの企画の発想と似ている。クリスマスストーリーのような物語でその時期に家族で見るにはいいかもしれないが、梅雨時に見るのはいかにも時節外れ。アニメでは面白そうな話でも芝居に良いとは言えない。それに物語の進展もアニメなら物語の偶然や飛躍、感情のアップがいいだろうが、芝居では無理やりクライマックスの連続で賑やかなばかりで落ち着かない。俳優はジャニーズの松岡昌宏が女形でつとめ、相手役はマキタスポーツに夏子。キャスティングの狙いも見えず、演劇的には詰まっていかないし、何か新しい趣向があるかと言えば、何もない。
去年の年末企画だったのかとも思うが、アニメの成功作を舞台に移すのは簡単ではない。来年「千と千尋」をミュージカルにするという東宝などはものすごく慎重だ。新国の企画は人気のあるアニメとジャニーズタレントに乗ろうというだけではないか。早い話、この上演には、「斬られの仙太」(これはなかなか良かったが)とこの作品、それにこの後の井上ひさしの推理劇「キネマの天地」の三作を並べて、今年の柱として「人を思う力」というシリーズタイトルがついているが、どこに共通点があると思っているのか聞かせてほしい。全く別の作品ではないか。きっと今の政府に倣って、「しっかり適切に考慮した結果」などと言いそうだが、そういういい加減さは同じ国立でも学ばないでほしいものだ。
客は正直、入りは二割そこそこ(18日夜)、久しぶりに見るガラガラの入りは客の正直な反響である。なんだかどこまでも無駄な税金興業と言った感じだが、新国は誰もその責任を取ることもない不思議な文化庁興行部なのだ。