獣の柱 まとめ*図書館的人生(下) 公演情報 獣の柱 まとめ*図書館的人生(下)」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.3
21-31件 / 31件中
  • 満足度★★★★★

    変化
    「イキウメ」を知ったのはNHKのシアターコレクションでした。その時に見た「瞬きさせない宇宙の幸福」が長編で・・・。
    これまでいくつか観たイキウメの作品では、何かしらの「答え」を見つけ出す感じでしたが、今回は最後までわからない事があって考えさせられました。
    2年前の震災があったからこそ思う事があるのかもしれません。
    現在(2008~2012年)と未来(2096年)を軽やかに行き来しながら、確実にその役を演じる役者さん達が見事でした。
    「見える者」は異質か進化か・・・山田の『いってらっしゃい』が祝福の言葉になればいいなぁと思いました。

  • 満足度★★★★★

    警笛
    こりゃ傑作だね。この手のジャンルでは岩明均と双璧か。
    さめざめと泣いたよ。

  • 満足度★★★★★


    面白い。

    ネタバレBOX

    2008年の隕石落下の一年後、「柱」が都市部へ次々と落下する。隕石も「柱」も、それを見た人間に幸福感を与えつづけ、思考と動きを止めてしまう力があった。人が大量に死に、都市機能も麻痺し、難民が大量に溢れる中、山田輝夫(安井順平)や二階堂桜(伊勢佳世)は、「町」を作っていく。難民の量治(池田成志)がやってきて、二人は次の「町」を作りに移動する…。
    2096年、「柱」は、見えないように覆われ、月1で開放されるというふうに管理され秩序が保たれていた。「柱」の力が及ばない「見えるもの」である亘(大窪人衛)の存在に可能性を見出す、町長・森永(池田成志)や輝夫のひ孫の山田寛輝(安井順平)だったが、山田は「見えるもの」を好きなところへ行けと送り出す…。

    麻薬、安楽死装置と言われた「柱」が、数十年後には神様の如く祀られ、人はそこに幸せを求めにやってくる。なんのために、誰がという回答とか、どういう反応が体内で起こっているのかも探りつつ、今後をどうするかってとこに焦点されるつくり。大変に面白い設定に興味が尽きない130分。時を越えて生きている(と思われる)柱の大使である望(浜田信也)の存在とか、「見えるもの」の存在とか、好奇心をくすぐられまくった。

    「柱」がなんなのかってのはわからないけど、世界(作中だど日本描写がほとんどだけど)に変革をもたらし、ヒトを原始的(あくまで現代的なんだけども)な状況に追い込み、そこからのリスタートを予感させる作品だった。ちょっとした神話だなと。
  • 満足度★★★

    「異質なモノ」が「当たり前のもの」になる過程
    見る者を幸福の渦中に突き落としてしまう、謎の柱をめぐる
    人々の物語。というより、寓話に近いと思います。

    百年前と現在とで、人々の柱のとらえ方がまったく
    違っていることに、今自分が生きている現在でも
    同じことってあるんだろうな、とふと感じていました。

    ネタバレBOX

    なかなかに考えさせられるテーマを持つ作品でした。

    天から、神話の世界よろしく、人々に刹那の幸福を与える柱が
    落ちてからというもの、目にするだけでマトモな日常生活を
    送れなくなるような幸福感に包まれ続けるため、それまでの
    文明社会は崩壊、

    人々はそれこそ神話の世界のように都市部から田舎へ群れを
    成して逃げていくが、ある程度の人口が確保されると同時に、
    柱はそこにも落ちてくる。まるで「天の目」によって監視されて
    いるかのように…。

    百年前は災いを呼ぶ存在であったはずの柱が、現在では
    人々の悩みを解消させる神として、「ミハシラサマ」として
    信仰の対象にまでなっている皮肉、

    百年前、それを見越した、田舎の村の代表者が、逃げてきた
    研究者に柱を分析させる中で言い放った言葉、「悪い予感が
    する。今、君たちがやっていることは意味のあることだ。柱の
    存在についてはこれからの未来、何かイヤな感じがする。
    ヘンに特別な存在として認識されるのはよくないよな」。

    はたまた、柱が降る前に、同じ効力を持った隕石や変化した
    看板などの登場で警告がなされていたにもかかわらず、
    数少ない警告は無視され、黙殺されていた事実。

    そして、百年後の現在、「柱は人々に幸福を与えてくれる、
    尊い存在だ」という考え、というより思い込みが主流となり、
    誰もそれを疑わない、昔に村の代表者が懸念したことが
    事実となり、柱を見ることができる人、柱の神性を疑う人は
    村八分にされること。

    逆に、柱を乗り越えることが人類の発展と信じてやまない人も
    立場が反対なだけで、実は柱を信仰している人と変わらない、
    ということ。

    ---------------------------------------------------
    なんか、今の日本を深く考えてしまいそうな、そんな内容でした。

    ラスト、柱を見ることが出来る子たちが、自分たちを利用しようと
    している大人たちの手を離れて、新しい世界に踏み出していこう
    とする姿は、

    この日本で、ひそかに芽生えつつある、新しい視野や考えを持った
    世代の台頭をひそかに感じたような気がして興味深かったです。
  • 満足度★★★★★

    イキウメの公演を見るのは震災後に観た『散歩する侵略者』以来だが、そこでは垣間見えなかった意識があるように思われた。
    イキウメのメンバーもよかったが、客演の池田成志さんがとてもよかった。

    ネタバレBOX

    これまでイキウメで観たのは話としてはウルトラマンで言うと実相寺(ウルトラセブン)ぽい感じで、宇宙人とか異能者がいて、それが既存の社会におかれてどうなるのかというのをとても整合的に考えているように見えた。今回の作品は謎の柱によって諸都市が崩壊した経緯と、そのあとに人々が形成した共同体が交互に描かれていた。異常な状況に適応した共同体から次の社会への萌芽がありつつ、様々な相克があって、そうした考察が現今の日本の姿とも重なって見えた。そうした意識において、これまでのイキウメの作品から「進化」(cf じべ。さんの観た)したものになっているように思われる。

  • 満足度★★★★

    更に進化したイキウメ?
    前回のように短編の再構成かと思いきや長編新作(だよね?)。
    聖書の引用なども含んだ「新種誕生」譚、従来のイキウメ味に笑いも織り込み、更に進化したイキウメ、な感じ?
    内容的に とり・みき を、語り口に小松左京を連想したりも。

  • 満足度★★★★

    全てを理解した訳ではないが面白かった
    都市部に降って来た巨大な物体、過疎地に降って来た隕石。宗教的なモチーフにも見えたそれは幸福の象徴か不吉な前触れか。
    近い未来と少し昔の過去を行き来し、放浪していく人々の姿に2年前の日本の出来事をつい思い出す。不思議な感慨が湧く面白い舞台だった。

    話を聞きかじっただけで、色々詮索して物事をあれこれ考えてしまう年代だが、この舞台については、ストレートに見たままの反応をする感受性豊富な子供達の方がもっと想像力を得られるのかも。
    部長と柱の大使、ラッパ屋さん、灰汁の強い役柄というか。とてもテンションが高く、異次元に連れて行ってくれて印象に残る。好演。
    約130分。

    ネタバレBOX

    一連作の完結編、と分類するのかな?
    高知県のとある田舎町に隕石らしきものが落下して話が始まる。
    その一部を手にした望達。興味本意で探っていたら隕石の被膜が剥がれ、それを目にした途端、思考が幸福感に占領されてしまう事に。外部からの刺激で一瞬で素に戻るが、その後も要所要所でそのやり取りがあったりしてそのやり取りは見てて面白い。
    それから世界中にその隕石が出現、幸福感から来る意識消失?により事故が多発。原因は突き止められそうなのに一個人達では追求までは困難、そのうちいつの間にか行方不明になる望。
    その後、人口密集地に巨大な柱が乱立し始め、世界各国と日本の政令指定都市等に散らばり町を覆い尽くす。
    生活の基盤が一変してしまった世界、柱が来てその場から逃げる人、火中の栗を見たくなる人、居住地を求め放浪していく人。2年前にも似たような出来事があったなと、ついつい思ってしまう。
    深刻な事ばかり考えて生きて来た訳ではないが、日々の暮しだけ考え、それだけでも充分幸せな生き方、生活だとラッパ屋夫婦や部長と桜の会話で示される。そのやり取りを見ているだけで、なんか泣きそうになった。歳だからなっ。

    容貌はそのままでも行動が別人になって現れた柱の大使の望に、終盤まで異論したいが上手く言えない部長のもどかしさは、望達見える者の言動や行動に触発されて変化したんだろう、プロポーズの場面、ちゃんと言えて良かったねーと素直にそう思った。その時の望の顔が柱の大使から、兄の望の顔になっていたのが余計に面白い。その後の「いってらっしゃい」の台詞の流れまで非常に素敵だった。
    暮らしていた土地を譲り渡し、新天地を探す選択をした部長達。自己犠牲心から出た行動ではなく、生きるの為の好転のステップと発想。
    明確な答えが出た訳ではないが、観終わって安堵感に包まれた。
    面白かった。

  • 満足度★★★★

  • 満足度★★★★

    自分にとっての柱を見た!
    面白いじゃん。すごいじゃん!!好きだなぁ。笑いながら観ていて、心で泣いていた。誰でも楽しめて、それぞれの年代で違うイメージを持てる作品と思いました。

  • 満足度★★★★

    ネタばれ
    ネタばれ

    ネタバレBOX

    イキウメの【獣の柱~図書館的人生(下)】を観劇。

    作・演出の前川知大の作風は、SF的な世界観というべきか、現代の僅かな隙間から異次元へと誘ってくれるのが上手い作家だ。ある時はコンビニから異空間へ、ある時は廃墟から大昔へと。そして今作も現代から何十年後の未来へと、妙に現実味のある世界へと観客を連れて行ってくれる。

    ある時、天文家の二階堂が小さな隕石を拾う。それを見ると誰もが幸福感を感じ、思考能力を失ってしまう恐ろしい物体である。一年後、世界の人々が密集している様々な街で、突然巨大な柱が現れる。その柱も隕石と同じような効用をもたらすのである。そして人々はその柱に魅了されてしまい、世界崩壊の序曲が鳴り響いて行くのである。

    今作は映画【2001年宇宙の旅】のモノリスは何の象徴なんだ?
    という疑問符を投げかけるような展開ではなく、巨大な柱に魅了されて、逃れる事の出来ない人達の物語である。柱の存在で崩壊してしまった街、ひたすら柱に熱中する人達、柱を神の存在と崇める人達、柱と共存しようとする人達などである。そして柱の存在を観客独自の解釈によって、自身の身近に起こっている出来事、事件などとリンクしながら舞台を観てしまうという所に、今作の大きな狙いがあるようだ。
    そしてその作術にハマった観客のみが、大いに楽しめるようになっている。
    そう、だから今作はお勧めなのである。

    やはり舞台での池田成志の存在は大きすぎる。


  • 満足度★★★★

    獣の柱
    約百年を隔てた過去と未来を行き来し、日本の今を風刺するSF娯楽作。メッセージにいたく、いたく感動!久保栄「火山灰地」のセリフを思い出し、地球の永い歴史の中に、愚かで儚い私自身の存在を確認できた。シアタートラムで約2時間10分。

    ネタバレBOX

    「幸せだったあの時に、少し昔に戻りたい」という浅はかな政策を腹立たしく思っているし、行き詰って失敗だとわかった社会のシステムに区切りをつけたいとも思っているから、前川さんのメッセージがビシバシ来た。

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