獣の柱 まとめ*図書館的人生(下) 公演情報 イキウメ「獣の柱 まとめ*図書館的人生(下)」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    「異質なモノ」が「当たり前のもの」になる過程
    見る者を幸福の渦中に突き落としてしまう、謎の柱をめぐる
    人々の物語。というより、寓話に近いと思います。

    百年前と現在とで、人々の柱のとらえ方がまったく
    違っていることに、今自分が生きている現在でも
    同じことってあるんだろうな、とふと感じていました。

    ネタバレBOX

    なかなかに考えさせられるテーマを持つ作品でした。

    天から、神話の世界よろしく、人々に刹那の幸福を与える柱が
    落ちてからというもの、目にするだけでマトモな日常生活を
    送れなくなるような幸福感に包まれ続けるため、それまでの
    文明社会は崩壊、

    人々はそれこそ神話の世界のように都市部から田舎へ群れを
    成して逃げていくが、ある程度の人口が確保されると同時に、
    柱はそこにも落ちてくる。まるで「天の目」によって監視されて
    いるかのように…。

    百年前は災いを呼ぶ存在であったはずの柱が、現在では
    人々の悩みを解消させる神として、「ミハシラサマ」として
    信仰の対象にまでなっている皮肉、

    百年前、それを見越した、田舎の村の代表者が、逃げてきた
    研究者に柱を分析させる中で言い放った言葉、「悪い予感が
    する。今、君たちがやっていることは意味のあることだ。柱の
    存在についてはこれからの未来、何かイヤな感じがする。
    ヘンに特別な存在として認識されるのはよくないよな」。

    はたまた、柱が降る前に、同じ効力を持った隕石や変化した
    看板などの登場で警告がなされていたにもかかわらず、
    数少ない警告は無視され、黙殺されていた事実。

    そして、百年後の現在、「柱は人々に幸福を与えてくれる、
    尊い存在だ」という考え、というより思い込みが主流となり、
    誰もそれを疑わない、昔に村の代表者が懸念したことが
    事実となり、柱を見ることができる人、柱の神性を疑う人は
    村八分にされること。

    逆に、柱を乗り越えることが人類の発展と信じてやまない人も
    立場が反対なだけで、実は柱を信仰している人と変わらない、
    ということ。

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    なんか、今の日本を深く考えてしまいそうな、そんな内容でした。

    ラスト、柱を見ることが出来る子たちが、自分たちを利用しようと
    している大人たちの手を離れて、新しい世界に踏み出していこう
    とする姿は、

    この日本で、ひそかに芽生えつつある、新しい視野や考えを持った
    世代の台頭をひそかに感じたような気がして興味深かったです。

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    2013/05/25 10:12

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