満足度★★★★
美しい情景、恐ろしい時空
自分が在るべきでない世界を彷徨う男、自分の想いとは裏腹に世界の果てを歩く女。そんな、この世界とは別のもう一つの時空がトラムの中に湧き上がっていた。そこでの会話は禅問答のよう。全てを語らず、しかし言葉で語れぬ心の闇まで語り尽くす。その情景を一言で言えば、走馬燈。意識が無くなる直前、人が見る景色は、これほど美しく、それゆえ恐ろしいものなのか。そう思うと背筋がゾクゾクするのであった。かくも幽玄なる幻の世界と、我々の住む現世をつなぐ演劇的インターフェイスとして、独特な身体表現である、さざ波のように微動する舞踊要素も随所に交えられていて。が、トラムを大空間として利用したためか、身体の揺らぎに場所の磁場との共鳴や、それ故の繊細さがあまり感じられず。大空間こそ全体がうごめくような共振を体験したかったのだが、それは贅沢なことなのだろう。
満足度★★★★
発展途上の
一度しか見ませんでしたが、初日と楽日で違っていたのでは。
という予感とともに、観てみました。多くの人の手の中で
育てられた作品という印象です。モザイクのようなそれでいて
雲の上のような(脳の上のような)ところで繰り返される
記憶。四十九日を迎える人の少しずつ、現世を忘れていくような
そんなことを思いました。
満足度★★★★
怖さと温かさが同居する不思議な空間でした
今回のテーマのせいなのか、途中、しっとりした空気が体にまとわりつく感覚にすこしだけ怖さを感じながら、観ていたのですが、
徐々に空気がいつもの温かさに変わっていく不思議な舞台でした。
客席の作り方も本当におもしろく、素敵な空間が出来上がっていて、その中に役者さんの動線が縦横無尽にあって、それでいて乱雑ではなく・・・
うまく伝えられませんが、観客を舞台の中に入り込める準備の細かさを感じました。
本当に素敵な作品でした。
満足度★★★★
イメージから確かな感触へ
イメージ・・・人の存在が、レンズのように思えた。
複数のレンズが集まり、交差し、散らばり、二つがそれぞれ孤立してクリアな景色を見つめ、映し、そして、二つのレンズは接する瞬間へと向かっていく。。。
二つ(二人)が接したとしても、接しなかったとしてもそれぞれは見つめ合い、幼き日とは違う景色ではあるが、本当のルーツを映し出し、認識することと向き合うこととなるであろうと思った。
また、絶望とは虚無感と違い、確かな手ごたえとなって、砂の存在が風の存在を教えるように、生きるエネルギーやユーモアをおしえてくれる・・・仕草と音と情景を通してそれらを語るこの舞台は、誰かの夢を見ているようで、自分の内面をほの明るく、濁ることなく浮かび上がらせてくれました。
もう少し浸っていたかったです。。
満足度★★★★
静謐な誘い
初日、1列目桟敷席で観劇。
目の高さにゆったりと盛り上がる地平線のような丘のような舞台装置。舞台装置からそのまま地続きの数段の客席。空気の動きがたっぷりと感じられる空間でした。
空間のもつ静けさと 次々と登場する人物からから発せられる 優しさ・安らかさ・切なさ・頑なさ・戸惑い・不安・衝動・・・。
音・言葉・動き、決して多くはないのに いつのまにか引き込まれ胸をわさわとと動かされ コラージュのような浮かび上がるシーンシーンでふと自分の中から湧き上がる記憶や感情を持ち合わせながら 作品を味わっていくという感じでした。
音、言葉、動きそしてもっと何か、把握しきれない何か…
そんな波動たちが降り積もっては日々形を変えていく。
自分がそんな一部になったように感じました。
満足度★★★
舞台と照明が綺麗
マチネを2回 見ました。
1度目は自分の体調のせいもあってか、飲み込み辛く難解でしたが、2度目はなぜかスンナリ入ってきて、2階席でゆらゆらとずっと体が揺れておりました。心地 良い体験でした。
ポかリン初めての人には今回のは辛いかな・・、と感じました。
満足度★★★
意外にも初体験
観ているつもりでいたけど、ポかリンは初めてでした。いい感じの雰囲気。演劇ならではの空気ではあったけれども、わかりにくさというか、とっつきにくさというか、最初からのめりこむタイプのものではなかったです。俳優さんたちのしなやかな身体の見せ方はかなり魅力的でした。
なにも覚えていない。
遅れて劇場に入り、美術に目を見張る。いつものトラムの光景ではない。
普段椅子のある位置に、大きな舞台がある。
たぶん、桟敷で見上げるように見ると面白いんだろうな、と上の席に座る。
それこそ、妙な美術を見下ろす形は、鳥のまなざしだ。
しかし、そこまでだった。
テキストが思い出せない。なにが起こったのか説明もできない。
音や動きは心地よく伝わってくる。が、音や動きが意味として伝わらない。
意味のあるはずの言葉が、意味を持たないなにかとして伝わってくる。
だから、この芝居において何か書けることはない。
俯瞰した風景は、なにひとつとして記憶に残らなかったのだ。
※遅れて入場しましたので、評価は控えさせていただきます。
満足度★★★
とても上品な怖さ
動きや台詞や衣装まで、なんか上品なのである。
照明も音響もかなり上品。
でも、舞台の上では辛い思いをしている人がいる。
そこの怖さを感じた。
黙って見つめる観客の眼の怖さも。
いろいろな場所で発せられるコトバの位置や、大きさなど、耳が敏感になる舞台だった。
とてもとても個人的な感覚なのだが、集中が途切れてしまうところがあった。
それが残念。
満足度★★★★
明日も観てみようと思う
シアタートラムは2回目だったので、なんとなく前観た舞台装置をイメージしてしまっていたようだ。劇場内に足を踏み入れた途端、そのことに気づく。
座席があるはずのフロアの中央に、ぽっかりと浮かんでいる空・・・のような丘・・・のような舞台。
その上を、脇を、ぐるりを、縦横無尽に役者が動く。そして、まどろむ。ささやく。
日常の誰にでも経験のある一コマ一コマが、実は生きているのか死んでいるのか極めて曖昧な空間を作り出しているのだと気づかされる。
浮かぶ空の上(もしくは下?)で繰り広げられる情景の中に、誰もが一度は自分を見つけるのではないだろうか。
明日も、違う角度から眺めてみようと思う。鳥のまなざしで。
満足度★★★
あざやか
センス良く、スリムに構成されている
無駄なく、舞台を縦横に使っている
いいものを見たという感じが後味良く残る
ただテーマ性や、
話の作り上げ方は
別に目新しいところはない
半年後に覚えているかどうか、自信がない