満足度★★★
カムヰヤッセンはいつ以来かな?と思って調べてみたら2010年に観たのが最後らしい。
随分と間が空いた、というか観たことあるというレベルですね。
それはちょっと勿体なかったな、と思うくらいの良いお芝居でした。
深刻な内容なのに過激な言葉も過激な演出も一切無く、ただ染み渡ってゆきました。
俳優としての北川さんが良いなぁ。
昨日観た作品との地続きな部分とか、これからグルグル考えます。
満足度★★★★★
誰も観たことのない犬の鳴き声。困窮しつつ借金のない暮らし。要介護度の軽さ。
そういういくつかの違和感と3人の刑事の取り調べの様子が、本当は何があったのか、ということへの興味をそらさず、それが解かれていく時間の生々しい痛みだけでなく、物語としての(こう言ってよければ)面白さ感じさせた。
ナイフで人を殺すより、借金を重ねて踏み倒す方が容易だろう、という意味のことを一人の刑事が言った。
それができなかった母と息子の繊細なやり取りを、3人が交互に語る終盤の場面。痛みと優しさが胸にしみた。
どうしようもない現実。それでも、その淵を渡らずに済むためには……。
答えを出すのではなく、あなたもそして私自身もそれぞれに立ち止まり引き返せますように、という祈りのような何か。
身につまされる、などという安易な共感ではなく、もう少し丁寧に考えてみたい気がする舞台であった。
満足度★★★★
鑑賞日2017/02/16 (木) 19:30
価格3,000円
48時間の勾留期間に介護殺人の被疑者の取り調べを行う3人の刑事たち……。
その人間臭さはあたかも昭和の(特にNHKの?)事件よりも社会背景や人物に重点を置く刑事ドラマの如し。(もちろんミステリー要素もあるのだけれど)
理屈で考えれば被疑者に同情の余地はないのだが、何とも言われぬ切なさに支配され「理屈ではそうじゃないとワカっているのに心がそれを受け入れずに別の方向に動いてしまうこのアンビバレンツをどうしてくれよう?」状態(笑)
切羽詰った被疑者のしたことにどこか共感(?)を抱いてしまうことから鴎外の「高瀬舟」を連想したり、刑事が「もしかすると自分も“そちら側”ではないか?」と悩むことにリチャード・タッグル監督、クリント・イーストウッド主演の映画「タイトロープ」(1984年)を思い出したり。
あと、「もう一人」の「見せ方」も良かったなぁ。
満足度★★★★
濃密な会話劇を三人芝居で。これで活動休止となってしまうのが本当に勿体無い。3人とも良かった。でも、全員参加も観たかった。いつの日かカムヰヤッセン揃い踏みでの活動再開公演を期待して待っています。
満足度★★★★
存外、シリアスな仕上がり。現在、老人問題が徐々に深刻になりつつある感じ。重厚なつくりも良いのですが、カムヰヤッセンって、小規模にやったほうが印象に残っているんです...
満足度★★★★★
ストーリーの柱は、死んだ母親と犯人とされる息子の話。その息子を取り調べる3人の刑事。
その歪な関係性と、それぞれが背負うプライベートの影。
緻密に絡み合う出来事の数々が48時間の時を刻むと同時に解けてゆく。
登場する役者は刑事役の3人だけ。
居ないはずの母親も息子も、ぼんやりと姿が見えるように思えるのは、
良くできた物語とそれを巧みに演じる役者の技量なのか。
巧みに惹き込まれる世界観が心地よい。
好き嫌いはあろうかと思うが、自分的には素晴らしく上質な芝居に出合った気分だ。
この劇団、この上演で活動休止らしい。しかし個々の創作は続けれらるとのこと。
其処に期待したい。
満足度★★★★★
舞台にいる役者は3人ですが、登場人物は4人です。介護に疲れた息子が・・・と言ういま時よくありそうな(あってはならないのですが)お話でしたが、映像ではできない(やらない)お芝居らしいお芝居でした。3人の刑事たちそれぞれの生活や人生や性格のせいで、犯人に対する接し方、思いが違っていて、取り調べをしていくうちに「介護疲れ」というだけではくくれない深淵が見えて来ます。しかし、銀行のATMのたとえは強引な気がしました。
満足度★★★★★
鑑賞日2017/02/18 (土)
この種のテーマはまま取り上げられるので、悲しいかな帰結までなんとなく見えてしまい、テーマだけではもう泣けないし、そこを掘られるとさらに冷めてしまう。
自分が年取ったことを感じる瞬間です。
とはいえ、まだまだお若い作者がこのテーマに挑戦したことに、敬意を表します。
そして、独白のリリシズムが違和感なく楽しめる美しい舞台でした。
何よりの収穫は、役者としての北川さんを堪能できたこと。ここに五つ星。過去の北川さん出演作を物販でさがしたが、なくて残念でした。
満足度★★★★★
三人による一人芝居。一人芝居って難しいですよね。架空の相手に対してリアクション取らなきゃならなくて。独白するときは、誰に向かっていってるのかも重要だったりすると思うし。
満足度★★★★
開演時間を守るような導入にしても
単純な感じにとれる舞台セットにしても
3人芝居ながら上手に4人目をかもし出し
なかなか琴線に触れるテーマを上手に表現していたなぁと思えました
誰にでも起こりそうな感じでの
話の展開は引き込まれたなぁと・・・・
100分ほどの尺であります
満足度★★★★
2010年の「やわらかいヒビ」以降、断続的ながらカムヰヤッセンを観続けており、活動休止公演という事実がとても寂しい。意味深長な作品名ではあるが、作品を通して活動休止の理由が推し量れることもなく、少しだけ垣間見えた堅さが初日を感じさせる以外は安定したカムヰクオリティ。役者・北川大輔の肩肘張らない演技がとても良く、雄弁で美しい照明効果とともに印象に残る。再び全員揃っての復活公演を待ちたいと思う。